香港人の民主的コミュニティの誕生
「アンブレラ運動の共同綱領」の提案

區龍宇

今回のアンブレラ運動は香港人による驚異的な民主主義の実践能力を示した。十数万の人々が混乱することなく、しかも自ら秩序を維持しつつ、相互の尊重し認め合っている。長年にわたり香港の人々は一種のアイデンティティの喪失状態にあったが、今回の運動はこの問題を初歩的に解決した。香港人はすでに新しい立場をもつことになった。それは香港人の民主的コミュニティである。

人類社会はコミュニティをつくることで生存が可能になる。しかし「コミュニティでは平等な政治権力を実施し、民主的な手続きで政策をきめなければならない」という概念が一般的となったのは近代社会以降のことである。中国そして香港はその後塵を拝している。1989年の中国の民主化運動において、初めて広く民主主義が叫ばれたが、それは人々が奴隷思想から抜け出しはじめたことを示しており、それに刺激を受けた香港人も同じような訴えを抱くことになった。しかし香港人は今日になってやっと、広範な動員をつうじた権利の獲得に動き始めたのだ。

現在、香港の街頭では民衆アセンブリーが登場しており、人びとは自発的に意見を表明したり相互党論を行っている。民衆アセンブリーを至る所で花開かせよう!われわれもさら様々な方法で組織化を進めなければならない。組織化こそが民主的コミュニティの骨格をうちかためることができるのだ。

この一週間の運動の深遠さから、この運動における絶対的多数の参加者にある種の共通点があることをわれわれは理解している。しかし、生まれたばかりの香港人の民主的コミュニティを健やかに成長させるために、一定の定義づけが必要だとおもわれる。まず、民主的精神とはネルソン・マンデラが言ったように、自らの権利を実現するためだけではなく、すべての人の権利を実現するものでなければならない、ということである。そう考えると、われわれは香港の全面的民主化を実現すると同時に、中国国内の民衆の民主的訴えも支持すべきなのである。われわれは香港人の政治制度の自主性と高度な自治の権利を追求しているが、香港独立を追求するのでも、また中国からの離脱を求めているのでもない。

つぎに、民主的コミュニティであるがゆえに、それは政治制度だけにとどまらず、コミュニティのすべての人の生存権や労働における尊厳が保障されなければならない。しかし1%の人々が経済を支配し、99%の人々の生存には保障も尊厳もないという格差が存在する現在の状況は、まさに民主主義に反することなのである。それゆえ、今回の全面的なオキュパイ香港運動において、独占財閥と専制政府に対する不満の声が至る所で耳にするのも、なんら不思議ではないのだ。民主主義は生存権の保障とかい離することなどできない。これが共通の訴えなのである。この訴えにはすくなくとも、労働時間規制、皆年金制度、団体交渉権が含まれるべきである。[香港では英植民地時代から中国返還された現在も、これら労働者を守る規制は存在していない:訳注]

いま運動には共同綱領が緊急に必要である。目標を明確にし、最大多数の参加者を団結させ、あわせて運動が陥るかもしれない不利な局面の主張とはっきりと境界を引くべきである。

運動は「選挙改革の五つの手続きをもう一度やり直す」などという要求を提起してはならない!これは袋小路にしかならないからだ!

香港人は自身の行動、汗と涙によって、中央政府に対して自らの要求を押し通す決意を示した。それゆえ選挙制度改革における明確な目標は次のようになるべきである。

・2017年の行政長官選挙における市民立候補の要求の堅持
・2016年の立法会選挙で、職能別議席を廃止して完全な普通選挙の実現の堅持
・基本法の変更は香港人の要望に沿ってのみ行われるべきであり、逆であってはならない
・自分たちの政府は自分たちで選ぶ!

運動はもちろん非暴力を堅持すべきである。しかし緊急の事態に対しては、心の準備をしておかなければならない。暴力を制止するためには、必要な力や方法を行使して相手の暴力を阻止することも必要である。そのためには広範な民衆によるピケット隊を組織する必要がある。

以上の提案は、コミュニティの一員としての意見である。市民からの多くの批判や意見が提起されることを望んでいる。これこそが民主主義である。

希望は人民にあり、変革は抵抗から始まる!

2014年9月30日 黎明