1971年7月7日に香港ビクトリア公園で開かれた釣魚台防衛集会の一幕。横断幕には「日米の陰謀的結託を粉砕しよう」等と書かれている。この後、香港植民地警察により集会は暴力的に解散させられ20名を越す逮捕者を出す大弾圧を受ける。香港の学生運動はこの弾圧に対する抗議から盛り上がっていく。
以下に紹介するのは「世界革命」269号(1972年4月21日)に掲載された論文です。当時の立場は、「革命」中国に対して日本の労働者民衆は「祖国敗北主義」をとるべきである、というものです。
今日、この論文を掲載するにあたっては、現在も私たちが中国を「歪曲された労働者国家」と見なしているのかどうか、ということにも言及する必要があるのではないかと思います。組織的に統一された見解ではありませんが、私は、現在の中国を私は労働者国家と見なしていません。いつから労働者国家ではなくなったのかという点については、1989年6月4日の「天安門事件」で「労働者国家に値しないことが明らかになった」と考えています。
現在の中国は資本主義国家なのかというと、その通りで、日本の高度成長期に比べると、様々な条件から「歪んだ開発主義国家」なのではないか、と考えています。歪んでない開発主義国家はあり得ませんが、中国の場合は国がでかいので、様々な矛盾が大きく表れるというニュアンスを含んでいます。
資本主義であれば資本はいずれ利潤を求めてより弱い国へ進出するのは必然であり、中国資本が進出した地域の労働者にとっては、「革命」中国どころか、一種の「帝国主義」に映るのかもしれません。中国国内の少数民族からみればすでに「中華帝国主義」だともいえるのではないでしょうか。この議論は今後も継続していきたいと思います。
(Y)
「世界革命」第269号1972年4月21日
釣魚台(「尖閣列島」)に対する社会党・共産党の排外主義を批判する
沖縄「返還」協定粉砕、自衛隊沖縄派兵阻止、四次防粉砕、春闘勝利の闘いをすすめるなかで、日本帝国主義の釣魚台(「尖閣列島」)領有にたいしてわれわれがいかなる態度に立つべきかは「世界革命」第267号において原則的にしめした。しかしここでは他の諸党派の立場について充分にたちいって論ずることができなかった。
釣魚台にたいする態度は、釣魚台が現在のアジア情勢の焦点のひとつとして問題となり、かつまた領土にかかわる問題であるがゆえにそれぞれの諸党派の階級的本質を端的に示すものである。それゆえ、釣魚台問題は単にわれわれが自己の主張的態度を提示し、闘争スローガンに掲げるだけでは不充分であり、この問題をめぐって激しい党派闘争を展開することが、われわれをして全人民の多数派の獲得への道をきりひらくものであるといわねばならない。
(1)
社会党・共産党は3月30日にそれぞれ「尖閣列島」は日本の領土であるという見解を決定し、発表した。両党の主張はその論理構成と政治的立場において本質的に同一である。いまここでは共産党の見解を追ってみよう。彼らの見解は次の如くである。