九月一八日、STOP TPP!! 官邸前アクション★オキュパイモンサントスペシャルが同実行委員会主催で開かれ、世界同時アクションに呼応して、日本モンサント社前と首相官邸前で「STOP TPP」と同時に「NO!モンサント」を訴える特別プログラムを行った。モンサント社前行動に一五〇人、官邸前には四〇〇人が参加した。
STOP TPP!官邸前アクションは、八月中旬より毎週火曜日、午後六時から八時まで首相官邸前で活動を開始し、今回で五回目だ。
今年九月は、米国で「ウォール街占拠」が始まって一年。全米各地では様々な行動が企画されている。OCCUPY MONSANTO(モンサント社を占拠せよ!)も、こうした中から生まれた世界同時アクションの一つ。世界有数の多国籍企業である同社は、遺伝子組み換え作物を世界に広げ、種を支配することで世界中で農民を、食べ物を支配し、各国の食糧主権を脅かしている。こうした暴挙を止めるため、世界各地の農民や消費者団体、NGOなどが九月一七日を「OCCUPY MONSANTO」の世界同時アクションデーに決め、全世界に呼びかけた。
モンサントはTPPによって参加国へのさらなる「進出」も目論んでいる。もちろん日本もその対象の一つ。TPPを強烈に推進している経団連の米倉会長が会長を務める住友化学は、モンサントと提携をしている。
午後六時から始まった官邸前では様々なアクションが行われた。スピーチ、ラップ、大きなスクリーンを登場させ、映画『モンサントの不自然な食べ物』予告編上映、海外アクションの映像を交えて紹介した。そしてモンサントがいかに悪どいことを行っているかを現した演劇は迫力満点で拍手喝采。
先住民の土地を略奪するな
オキュパイ モンサント行動には全世界で七〇カ国が参加した、と司会が報告。最初にスピーチ。福岡県久留米のJAみいから六人が参加。「福島原発事故によって肉の値段が下がり、今でも苦しい。九州は山間部が多く畜産が盛んだ。TPPが導入されれば畜産は一〇〇%生き残れない。社会の形が維持できなくなる。水・自然を守ってきた文化、ふるさとを捨てざるを得なくなる。農家をつぶさないでくれ。TPP参加に絶対に反対だ」。
ワーカーズコープ(共済協同組合)。「自分たちで仕事を作っていく運動をしている。人の命を守れないTPPに反対。人間が人間らしく生きられる社会を取り戻そう」。毎回参加している紙智子さん(共産党、参議院議員)が連帯のあいさつを行った。
秋田・横手の佐藤さん(農民連)は「五〇年コメ作りをしている。一俵一六六〇〇円がTPPに入れば、三五〇〇円になる。とても農業はできない」と強く反対の意思を語った。信州の林さんは「四軒分の田んぼ六町歩を耕しているが年収で三〇〇万円にしかならない。自分の跡継ぎはいない。田んぼはダムの役割をして環境を守ってきた。食糧をまもるためにがんばりたい」と発言した。
ゲストトークに移り、世界の種を支配するモンサントの戦略と人々の運動につ
いて、印鑰智哉さん(国際連帯活動家)が報告した。
「モンサントは種の遺伝子組み換えを行い、その面積は世界の耕作地の一割を超えている。南北アメリカ大陸を中心に、南ア、インド、フィリピンに広がっている。特に南米がひどい。パラグアイでは小農民の立場に立つ大統領を代えるためにクーデターまで起こさせた。メキシコでは先住民がモンサントの種を買わないと犯罪になるというモンサント法が出され、反対にあい現在保留になっている。先住民の土地が奪われている」。
茨城県のモンサント実験圃場で何が起きているのか!?、高士太郎さん(にゃんとま~)(自由業)が「一九九七年からコメのめぐみという直播の種を作っている。耕す人は地元の人を雇いモンサントの制服を着せている。モンサントになじんで農協を批判するようになっている。まずは人々の意識を変えようとしている」と報告。
生活クラブ連合会の清水さんが「一九九七年から遺伝子組み換え食品を使わないようにしている。最近アメリカに行き、TPP反対の人たちと交流した。アメリカ政府の後ろ盾となっている一部の大企業が推進していて、人々は反対している」と語った。
新しい形の植民地支配
大地を守る会の発言の後、映画「モンサントの不自然なたべもの」を上映している渋谷のアップリンクの松下さんが「地球を滅ぼす、食糧で世界を支配する、静かなテロのようだ。種に特許を作ってはいけない」と映画を紹介した。
脅かされる食の安全と食料主権をテーマに、安田節子さん(「食政策センター ビジョン21」主宰人)が「TPPは最悪の協定だ。多国籍企業群があやつっている。なぜ日本がねらわれているのか。それは八〇兆円の食糧品市場があるからだ。関税を撤廃させ、もうけようとしている。農薬、BSE対策など規制の緩和のために動いている。モンサントは遺伝子組み換え種の九割、普通の種の二割の特許を持っている。特許侵害をビジネスにしている。日本は普通の種の特許を認めていない。知的所有物の強化ということで食べ物を支配しようとしている。それは軍隊によらない新しい形の植民地支配だ。関税を撤廃することは日本の食糧安全保障が崩壊することだ」と訴えた。
遺伝子組み換え食品はいらないキャンペーンは「日本もベトナムなどにモンサントと同じようなことをしている」と指摘した。
最後に「モンサントポリスを日本に入れてはいけない!」という寸劇が行われ、大いに盛り上がった。TPP、多国籍企業モンサントとの闘いは日本だけの闘いでなく、世界的な闘いであることが分かる行動でもあった。
(M)