10月13日、IMF・世銀東京総会反対行動実行委員会は、都心厳戒態勢に抗して水谷橋公園から「IMF・世界銀行東京総会への対抗デモ」を行い、300人が参加した。
IMF(国際通貨基金)・世界銀行の年次総会が10月12日~一四日、東京(有楽町・国際フォーラム、帝国ホテル、ホテルオークラ)で行われる。世界約180カ国から財務大臣、財務官僚、中央銀行総裁をはじめ、業界関係者、NGOなど2万人が集まる。会議は、世界経済危機の延命のために各国に対して緊縮財政計画と増税を強要し、「金貸し集団」として太ってきた。新自由主義路線(規制緩和、民営化、社会保障費の削減、非正規雇用の拡大など)の強化によって経済格差、貧困増大を促進していく「談合」を繰り広げようというのだ。こんな支配者たちの会議に対して闘う世界の民衆は「IMF・世界銀行による経済支配は、もうたくさんだ!IMF・世界銀行は、1%の金持ち(グローバル金融資本)の代理人!」「もう、たくさんだ! 我慢も限界だ!」と叫び、グローバルなうねりを作り出しつつある。対抗デモは、世界の仲間たちと結びつきながら総会会場を包囲していった。
生存を脅かすIMF・世銀はいらない!
デモの出発前の打ち合わせでは、稲垣豊さん(ATTACジャパン)からアピールが行われ、「IMF・世界銀行の年次総会は、当初、エジプトで開催される予定だったが、昨年からのアラブの春とエジプト民衆によるバラク独裁体制打倒の闘いがあり、開催できなくなった。この事態が総会の本質を象徴している。IMF・世銀は、これまで各国の軍事独裁政権を支え、自民党政権も支えてきた。城島財務相は、会議でビルマ支援再開、アフリカ支援を表明した。アメリカのビルマ支援の流れに乗ったものだ。ビルマやアフリカを食い物にする経済支配の強化を許してはならない。すでにビルマでアジア商業的農業会議が行われたが、農民たちはヤンゴンの会場前にテントを張り『多国籍資本が支配する農業はNO!』を突きつけた。さらにエクアドルに続きアフリカでも債務帳消し運動があり、チュニジアは、債務支払い拒否の取り組みを行っている。チュニジアでは来年三月、世界社会フォーラムが開催される。世界的な労働者民衆運動のネットワークでパートナーシップを示していこう」と呼びかけた。
「持たざる者」の国際連帯行動の原隆さんは、「No more IMF―IMF・世銀による経済支配は、もうたくさんだ!『持たざる者』の国際連帯行動アピール」を読み上げ、「私たちが望むのは、貧困や失業を拡大する競争社会じゃない。私たちが望むのは、誰も虐げられない人間らしく生きられる公正・平等で連帯に基づいた社会だ。生存を脅かすIMF・世銀はいらない!原発もいらない!沖縄の米軍基地もいらない!」と強調した。
デモに移り、有楽町付近では会場の国際フォーラムにむけて「IMF・世界銀行はいらない!新自由主義路線反対!国境超えてIMF・世界銀行の横暴をやめさせるぞ!」とシュプレヒコールをたたきつけた。
10.14対抗フォーラム
10月14日、「対抗フォーラム」(呼びかけ・「持たざる者」の国際連帯行動実行委員会)が水道橋・たんぽぽ舎で行われた。
実行委は、「昨日の対抗デモは、300人の参加で成功した。搾取と貧困の元凶であるIMF・世銀に抗議するグローバルノイズ、ミュージシャンたちも参加し、会議会場に向けて抗議のシュプレヒコールを行った。外国メディア、銀座の外国人たちにも注目された。今後も民衆の世界的なネットワークでIMF・世銀を包囲していこう」と発言した。
小倉利丸さん(富山大学教員)から対抗フォーラムとしての提起が行われ、とりわけ今後の反IMF・世銀運動の方向性について次のような問題意識を提起した。
「グローバル資本主義の深刻な危機が続いている。どの国も財政危機にあり、経済成長は限界だ。現在の国民国家、市場を中心とする資本主義システムでは、危機を乗り越えるための処方箋は出せない。この局面は、われわれが次のシステムを考えるチャンスでもある。問題は、次の経済システムは何かだ。かつては社会主義、共産主義だと言えばまとまっていたが、今はまとまらない。ところがこれは日本限定の状況かもしれない。ヨーロッパでは社会民主主義、新自由主義の経験のうえで、再度コミュニズムをまじめに考えなおすべきだと、かなり多くの左翼知識人が議論し始めている。僕も真剣に考えるべきだと思っている」。
「世界社会フォーラムは、もう一つの世界は可能だというスローガンを掲げた。フォーラムで多様な議論を交わされたが、もう一つの世界が具体化するだろうという期待があったが、かならずしもそうはならなかった。二〇世紀型社会主義、共産主義の議論は長く行われてきて、その中から私たち組むべきものが多いにあるのではないか。躊躇することなく議論していくことは重要であり、党派的なイデオロギーに回収されないような、新しい考え方の中で再生できるかどうか試みていく価値があるだろう」と呼びかけた。
さらに小倉さんは、第三世界の知識人の議論の場としてサウス・サウス・フォーラムを紹介し、「先進国の枠組みで作られた社会保障、低所得者層対策への配分は、第三世界の搾取によって成り立ってきたものだと指摘する。だからケインズ主義、新自由主義システムを選択することはできないと結論づけている。第三の選択肢を探す議論が行われている。この論議も注目していきたい」と述べた。
小倉さんの提起後、質疑応答が行われた。「ビルマにおける土地強奪に反対するグローバル連帯のよびかけ」、稲葉奈々子さん(茨城大学准教授)からのメッセージ「返済できない債務を負う『先進国』―反グローバリズム運動を問い直すために」が紹介された。
(Y)
IMF(国際通貨基金)・世界銀行の年次総会が10月12日~一四日、東京(有楽町・国際フォーラム、帝国ホテル、ホテルオークラ)で行われる。世界約180カ国から財務大臣、財務官僚、中央銀行総裁をはじめ、業界関係者、NGOなど2万人が集まる。会議は、世界経済危機の延命のために各国に対して緊縮財政計画と増税を強要し、「金貸し集団」として太ってきた。新自由主義路線(規制緩和、民営化、社会保障費の削減、非正規雇用の拡大など)の強化によって経済格差、貧困増大を促進していく「談合」を繰り広げようというのだ。こんな支配者たちの会議に対して闘う世界の民衆は「IMF・世界銀行による経済支配は、もうたくさんだ!IMF・世界銀行は、1%の金持ち(グローバル金融資本)の代理人!」「もう、たくさんだ! 我慢も限界だ!」と叫び、グローバルなうねりを作り出しつつある。対抗デモは、世界の仲間たちと結びつきながら総会会場を包囲していった。
生存を脅かすIMF・世銀はいらない!
デモの出発前の打ち合わせでは、稲垣豊さん(ATTACジャパン)からアピールが行われ、「IMF・世界銀行の年次総会は、当初、エジプトで開催される予定だったが、昨年からのアラブの春とエジプト民衆によるバラク独裁体制打倒の闘いがあり、開催できなくなった。この事態が総会の本質を象徴している。IMF・世銀は、これまで各国の軍事独裁政権を支え、自民党政権も支えてきた。城島財務相は、会議でビルマ支援再開、アフリカ支援を表明した。アメリカのビルマ支援の流れに乗ったものだ。ビルマやアフリカを食い物にする経済支配の強化を許してはならない。すでにビルマでアジア商業的農業会議が行われたが、農民たちはヤンゴンの会場前にテントを張り『多国籍資本が支配する農業はNO!』を突きつけた。さらにエクアドルに続きアフリカでも債務帳消し運動があり、チュニジアは、債務支払い拒否の取り組みを行っている。チュニジアでは来年三月、世界社会フォーラムが開催される。世界的な労働者民衆運動のネットワークでパートナーシップを示していこう」と呼びかけた。
「持たざる者」の国際連帯行動の原隆さんは、「No more IMF―IMF・世銀による経済支配は、もうたくさんだ!『持たざる者』の国際連帯行動アピール」を読み上げ、「私たちが望むのは、貧困や失業を拡大する競争社会じゃない。私たちが望むのは、誰も虐げられない人間らしく生きられる公正・平等で連帯に基づいた社会だ。生存を脅かすIMF・世銀はいらない!原発もいらない!沖縄の米軍基地もいらない!」と強調した。
デモに移り、有楽町付近では会場の国際フォーラムにむけて「IMF・世界銀行はいらない!新自由主義路線反対!国境超えてIMF・世界銀行の横暴をやめさせるぞ!」とシュプレヒコールをたたきつけた。
10.14対抗フォーラム
10月14日、「対抗フォーラム」(呼びかけ・「持たざる者」の国際連帯行動実行委員会)が水道橋・たんぽぽ舎で行われた。
実行委は、「昨日の対抗デモは、300人の参加で成功した。搾取と貧困の元凶であるIMF・世銀に抗議するグローバルノイズ、ミュージシャンたちも参加し、会議会場に向けて抗議のシュプレヒコールを行った。外国メディア、銀座の外国人たちにも注目された。今後も民衆の世界的なネットワークでIMF・世銀を包囲していこう」と発言した。
小倉利丸さん(富山大学教員)から対抗フォーラムとしての提起が行われ、とりわけ今後の反IMF・世銀運動の方向性について次のような問題意識を提起した。
「グローバル資本主義の深刻な危機が続いている。どの国も財政危機にあり、経済成長は限界だ。現在の国民国家、市場を中心とする資本主義システムでは、危機を乗り越えるための処方箋は出せない。この局面は、われわれが次のシステムを考えるチャンスでもある。問題は、次の経済システムは何かだ。かつては社会主義、共産主義だと言えばまとまっていたが、今はまとまらない。ところがこれは日本限定の状況かもしれない。ヨーロッパでは社会民主主義、新自由主義の経験のうえで、再度コミュニズムをまじめに考えなおすべきだと、かなり多くの左翼知識人が議論し始めている。僕も真剣に考えるべきだと思っている」。
「世界社会フォーラムは、もう一つの世界は可能だというスローガンを掲げた。フォーラムで多様な議論を交わされたが、もう一つの世界が具体化するだろうという期待があったが、かならずしもそうはならなかった。二〇世紀型社会主義、共産主義の議論は長く行われてきて、その中から私たち組むべきものが多いにあるのではないか。躊躇することなく議論していくことは重要であり、党派的なイデオロギーに回収されないような、新しい考え方の中で再生できるかどうか試みていく価値があるだろう」と呼びかけた。
さらに小倉さんは、第三世界の知識人の議論の場としてサウス・サウス・フォーラムを紹介し、「先進国の枠組みで作られた社会保障、低所得者層対策への配分は、第三世界の搾取によって成り立ってきたものだと指摘する。だからケインズ主義、新自由主義システムを選択することはできないと結論づけている。第三の選択肢を探す議論が行われている。この論議も注目していきたい」と述べた。
小倉さんの提起後、質疑応答が行われた。「ビルマにおける土地強奪に反対するグローバル連帯のよびかけ」、稲葉奈々子さん(茨城大学准教授)からのメッセージ「返済できない債務を負う『先進国』―反グローバリズム運動を問い直すために」が紹介された。
(Y)