虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

反IMF

報告:10.13-14 IMF・世界銀行東京総会への対抗アクション

DSCN3099 10月13日、IMF・世銀東京総会反対行動実行委員会は、都心厳戒態勢に抗して水谷橋公園から「IMF・世界銀行東京総会への対抗デモ」を行い、300人が参加した。

 IMF(国際通貨基金)・世界銀行の年次総会が10月12日~一四日、東京(有楽町・国際フォーラム、帝国ホテル、ホテルオークラ)で行われる。世界約180カ国から財務大臣、財務官僚、中央銀行総裁をはじめ、業界関係者、NGOなど2万人が集まる。会議は、世界経済危機の延命のために各国に対して緊縮財政計画と増税を強要し、「金貸し集団」として太ってきた。新自由主義路線(規制緩和、民営化、社会保障費の削減、非正規雇用の拡大など)の強化によって経済格差、貧困増大を促進していく「談合」を繰り広げようというのだ。こんな支配者たちの会議に対して闘う世界の民衆は「IMF・世界銀行による経済支配は、もうたくさんだ!IMF・世界銀行は、1%の金持ち(グローバル金融資本)の代理人!」「もう、たくさんだ! 我慢も限界だ!」と叫び、グローバルなうねりを作り出しつつある。対抗デモは、世界の仲間たちと結びつきながら総会会場を包囲していった。



生存を脅かすIMF・世銀はいらない!



 デモの出発前の打ち合わせでは、稲垣豊さん(ATTACジャパン)からアピールが行われ、「IMF・世界銀行の年次総会は、当初、エジプトで開催される予定だったが、昨年からのアラブの春とエジプト民衆によるバラク独裁体制打倒の闘いがあり、開催できなくなった。この事態が総会の本質を象徴している。IMF・世銀は、これまで各国の軍事独裁政権を支え、自民党政権も支えてきた。城島財務相は、会議でビルマ支援再開、アフリカ支援を表明した。アメリカのビルマ支援の流れに乗ったものだ。ビルマやアフリカを食い物にする経済支配の強化を許してはならない。すでにビルマでアジア商業的農業会議が行われたが、農民たちはヤンゴンの会場前にテントを張り『多国籍資本が支配する農業はNO!』を突きつけた。さらにエクアドルに続きアフリカでも債務帳消し運動があり、チュニジアは、債務支払い拒否の取り組みを行っている。チュニジアでは来年三月、世界社会フォーラムが開催される。世界的な労働者民衆運動のネットワークでパートナーシップを示していこう」と呼びかけた。

 「持たざる者」の国際連帯行動の原隆さんは、「No more IMF―IMF・世銀による経済支配は、もうたくさんだ!『持たざる者』の国際連帯行動アピール」を読み上げ、「私たちが望むのは、貧困や失業を拡大する競争社会じゃない。私たちが望むのは、誰も虐げられない人間らしく生きられる公正・平等で連帯に基づいた社会だ。生存を脅かすIMF・世銀はいらない!原発もいらない!沖縄の米軍基地もいらない!」と強調した。

 デモに移り、有楽町付近では会場の国際フォーラムにむけて「IMF・世界銀行はいらない!新自由主義路線反対!国境超えてIMF・世界銀行の横暴をやめさせるぞ!」とシュプレヒコールをたたきつけた。
 
 

10.14対抗フォーラム



 10月14日、「対抗フォーラム」(呼びかけ・「持たざる者」の国際連帯行動実行委員会)が水道橋・たんぽぽ舎で行われた。

 実行委は、「昨日の対抗デモは、300人の参加で成功した。搾取と貧困の元凶であるIMF・世銀に抗議するグローバルノイズ、ミュージシャンたちも参加し、会議会場に向けて抗議のシュプレヒコールを行った。外国メディア、銀座の外国人たちにも注目された。今後も民衆の世界的なネットワークでIMF・世銀を包囲していこう」と発言した。

 小倉利丸さん(富山大学教員)から対抗フォーラムとしての提起が行われ、とりわけ今後の反IMF・世銀運動の方向性について次のような問題意識を提起した。

 「グローバル資本主義の深刻な危機が続いている。どの国も財政危機にあり、経済成長は限界だ。現在の国民国家、市場を中心とする資本主義システムでは、危機を乗り越えるための処方箋は出せない。この局面は、われわれが次のシステムを考えるチャンスでもある。問題は、次の経済システムは何かだ。かつては社会主義、共産主義だと言えばまとまっていたが、今はまとまらない。ところがこれは日本限定の状況かもしれない。ヨーロッパでは社会民主主義、新自由主義の経験のうえで、再度コミュニズムをまじめに考えなおすべきだと、かなり多くの左翼知識人が議論し始めている。僕も真剣に考えるべきだと思っている」。

 「世界社会フォーラムは、もう一つの世界は可能だというスローガンを掲げた。フォーラムで多様な議論を交わされたが、もう一つの世界が具体化するだろうという期待があったが、かならずしもそうはならなかった。二〇世紀型社会主義、共産主義の議論は長く行われてきて、その中から私たち組むべきものが多いにあるのではないか。躊躇することなく議論していくことは重要であり、党派的なイデオロギーに回収されないような、新しい考え方の中で再生できるかどうか試みていく価値があるだろう」と呼びかけた。

 さらに小倉さんは、第三世界の知識人の議論の場としてサウス・サウス・フォーラムを紹介し、「先進国の枠組みで作られた社会保障、低所得者層対策への配分は、第三世界の搾取によって成り立ってきたものだと指摘する。だからケインズ主義、新自由主義システムを選択することはできないと結論づけている。第三の選択肢を探す議論が行われている。この論議も注目していきたい」と述べた。

 小倉さんの提起後、質疑応答が行われた。「ビルマにおける土地強奪に反対するグローバル連帯のよびかけ」、稲葉奈々子さん(茨城大学准教授)からのメッセージ「返済できない債務を負う『先進国』―反グローバリズム運動を問い直すために」が紹介された。
 
(Y)
 

IMF・世界銀行年次総会に抗議の声を!10.13対抗デモへ

10.13 IMF/世界銀行総会対抗デモ
10月13日(土)正午
東京・水谷橋公園(東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅下車)
主催:実行委

biz1 10月12日から14日までの日程でIMF(国際通貨基金)・世界銀行の年次総会が東京国際フォーラムや帝国ホテルをメイン会場にして開催される。

 IMF・世界銀行とは何か。東京で開催される今年の年次総会にあたって作られた公式サイトから引用しよう。まずIMFである。

 「IMFの基本的な使命は国際システムの安定性を確保することであり、この安定性の確保は、3つの方法により行われます。すなわち、世界及び加盟国の経済状況を把握すること、国際収支が悪化した国に融資を行うこと、加盟国に対して事実支援を提供することです」。

「サーベイランス:IMFは国際金融システム、加盟国の金融・経済政策を監視しています。IMFは各国、地域、グローバルなベースで、経済活動を把握し、加盟国と定期的に協議を行い、マクロ経済政策・金融政策面のアドバイスを行っています」。

 「技術支援:主として低・中所得国による自国経済の効果的運営を支援するため、IMFは、制度の改善、適切なマクロ経済政策・金融政策・構造政策の立案に関する技術的な指導と研修を提供しています」。

 「融資:IMFは、対外支払いに困難が生じており、妥当な条件で十分な資金調達先を見つけることができない国に対して、融資を提供しています。この資金支援は、各国が外貨準備の再構築、自国通貨の安定化、輸入の支払い(これらすべては経済成長を再開するための必要条件である)によって、マクロ経済の安定性を回復するのを助けることを意図したものです。またIMFは、低所得国の経済発展・貧困削減を助けるため、これらの国に譲許的融資を提供しています」。

 次に世界銀行である。

 「文字通り『世界の銀行』として、開発途上国の貧困削減への努力を支援することを目的にしています。途上国の持続的成長や生活水準の向上につながる事業に対して、融資による支援や政策アドバイスを行っています」。



 しかしこの自己宣伝を信じる人は、そう多くはいまい。実際のところIMFや世界銀行が、グローバルな金融資本主義の司令塔として各国に新自由主義政策を強制し、債務危機を口実に「構造調整政策」を導入してさまざまな民衆支援策を解体し、「途上国」の債務奴隷化と、市場競争原理による貧困・格差を拡大してきた張本人であることは、今や多くの人びとが知ることである。

 「加盟国が経済危機に陥った場合、常にIMFが最初に介入します。/ある国の財政が火の車になり、支払いを続けられなくなった途端、IMFは財政消防隊に変身します。ところが、この消防隊は実は放火魔で、構造調整政策という(SAPs)という扇で火を煽るのです」「借り手の国の経済政策は、いまやIMFとそのウルトラ自由主義経済専門家の支配下に置かれることになります。こうして新しい形の植民地支配ができあがります。もはや以前のように、占領軍や行政官をその国に駐在させる必要はありません。なぜなら、債務があるというただそれだけで、債権者に依存し続けなければならない状況ができあがってしまったのですから」(ダミアン・ミレー、エリック・トゥサン『世界の貧困をなくすための50の質問』、大倉純子訳、つげ書房新社刊)。

 そして今や、この債務危機・債務奴隷化の波が、途上国から欧州など先進資本主義国にも押し寄せ、失業・賃下げ・年金改悪・社会福祉の切り捨てによる社会全体の解体と貧困をもたらしていることはギリシャ危機などで周知の事実である。金融資本による過剰貸付の野放図な強制、債務返済の不履行、債務危機の発生と金融資本の救済、そのための「緊縮政策」による労働者民衆への犠牲の強制と労働者の社会的諸権利の解体――こうした構図を強制したのはIMF・欧州委員会・欧州中央銀行から成る「トロイカ」だった。

 IMF専務理事のクリスチーヌ・ラガルドは今年、トロイカによる過酷な「緊縮政策」の強制に対して闘うギリシャと労働者民衆を嘲りながら「私は、3人で1つの椅子を分かち合い、教育を得ようと切実に熱望しつつも日に2時間しか教育を受けていないニジェール小さな村の子どもたちのことのほうを、もっとたくさん考えている」と言い放った。しかしアフリカのニジェールの子どもたちにそうした状況をもたらしたものこそ、IMFが長期にわたって強制してきた構造調整政策であることを彼女が知らないはずはない。

 民主主義・人権を破壊し、貧困と差別、グローバル資本の新たな植民地支配をもたらした元凶である金融資本の総本山、IMF・世界銀行に対して、途上国の人びとも先進資本主義国の労働者・民衆も闘いに立ち上がっている。

 チュニジア、エジプトの労働者・市民が切り開いた「アラブ革命」、そしてスペインの「怒れる者たち」の広場占拠の闘い、ギリシャのゼネストと職場占拠・街頭決起、そしてウィスコンシンからウォール街にいたる米国の「オキュパイ」運動の急速な拡大は、グローバル金融資本に対する怒りの世界的・同時的拡大を示している。

 自らの闘いとしてこのIMF・世銀総会への抗議の意思を表明し、世界の人びととの連帯を求めていこうではないか。



 IMF・世銀総会が東京で開催されるのは、1964年以来、48年ぶりである。

IMF・世界銀行年次総会準備事務局長である財務省の仲浩史は同年次総会のサイトで東京開催の意味について次のように語っている。

「東京での開催は一九六四年以来、2度目となります。1度目の総会は、同じ年に開かれた東京オリンピックと共に、日本を世界へとアピールする舞台となり、戦後からの『再出発』の原動力となりました。/そして半世紀たった今、日本が再び国際通貨基金・世界銀行年次総会の開催地として立候補したのは、もう一度『再出発』を実現したい、という思いからでした。/大震災から力強く復興するこの国の姿を、世界のみなさまに見ていただくために……」。

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そして10月9日から始まる多くのIMF・世銀総会関連企画の中には10月9日、10日に仙台で開催される「防災と開発に関連する仙台会合」が含まれている。ここでは「災害に強い社会を構築して持続可能な開発を支えていく」という観点からのパネルディスカッションが企画している。しかしこの企画においては、被災者の生活再建をなおざりにした資本主導の「復興」の問題点が排除されているばかりか、何よりも現在、さらに深刻化している福島原発災害の問題が完全に切り捨てられている。原発事故の惨状と被害の実態を語らずに、どのようにして「災害からの復興の教訓」など語られるのか!

われわれはこのような問題を改めて前面に押し出しながら、貧困、失業と飢餓、差別と権利破壊、環境破壊を押し付けるグローバル資本主義の司令塔であるIMF・世界銀行年次総会に抗議の意思を示そう。

10月13日正午、東京・水谷橋公園(東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅下車)に結集しよう。(K)
 

【第四インター声明】欧州の労働者の未来はギリシャで決定される


▲Antarsyaの選挙宣伝用ビデオ

声明:欧州の労働者の未来はギリシャで決定される
 
第四インターナショナル執行ビューロー



 ギリシャ人民は二年間にわたりトロイカ(IMF、欧州委員会、欧州中央銀行)が押し付けた緊縮政策に反対して闘ってきた。七一日間のゼネスト、大規模なデモと「アガナクテスミニ」(怒れる者たち)の広場占拠、職場占拠の後に、五月六日に行われた選挙はギリシャに押し付けられた「メモランダ」(訳注:トロイカが旧制した「ショック療法」的新自由主義政策)を受け入れた政党を六〇%以上の票で拒絶し、PASOK(全ギリシャ社会主義運動)の反社会的な自由主義の左に位置する各政党に三七%の票を与えた。

 二年間にわたり、金融資本の過剰蓄積のはけ口として使われてきた公的債務によって押しつぶされてきたギリシャは、資本主義の危機のツケを民衆に支払わせるための政策的実験室になっていった。ギリシャに強制された救済プランは、たったひとつの目標しか持っていない。ギリシャ国家の銀行に対する債務の支払いを保障すること、銀行が作りだした金融バブルの投機的マネーを保存することである。こうしたプランに伴っている「メモランダ」は、労働者を貧困に追い詰めることで、かれらが生みだした富をどこまで独占できるかをギリシャの中で試すことを狙いとしている。

 この政策の影響とは、賃金と年金の残酷なまでの削減、労働法とさまざまな規制の解体、失業率の大幅な上昇(すでにそれはギリシャの労働力人口の二一・二%、女性の約三〇%、若者の五〇%に及んでいる)、一九二九~三〇年と同様の景気後退(二〇一一年にはGDPの六・九%低落、二〇一二年にはさらに五・三%低落の見込み、工業生産は二〇一一年三月に比べて二〇一二年三月には四・三%減少)、保健システムの破壊(一三七の病院が閉鎖、医療における雇用の五分の一が消失、一一億ユーロの不払い手形のため薬剤の不足)、住宅市場の解体(二〇万戸の住宅が売れず、その一方でホームレスの人びとの数が激増)、栄養失調……という形で及んでいる。

専横、秘密、恐怖を政府の真の統治様式とする、民衆に対するこうした残忍な支配の政策は、激情、苦悩、怒りを引き起こさずにはおかなかった。この怒りの一部は、邪悪なレイシスト、反ユダヤ主義、外国人嫌悪の勢力であるネオナチグループ「黄金の夜明け」への水路を開いた。「黄金の夜明け」は、デモ参加者を弾圧し、移民狩りを行う政府の政策の波に乗って、警察に浸透していった。われわれは、政府の弾圧政策とギリシャにおいて「トロイカ」が強制したレイシズムに警告を発し、非難しなければならない。

トロイカが押し付けた政策に対決したギリシャのラディカル左翼、とりわけ今やギリシャ政治情勢の中心的位置を占めているSyriza(急進左派連合)は、五点の緊急プランを打ち出した。

 1 国を破壊しているメモランダのあらゆる緊縮措置、労働法改悪の廃止。

 2 多額の政府資金を投入された銀行の国有化。

 3 債務の支払い停止と、不当な債務への非難と廃止を可能にする監査の実施。

 4 告訴された閣僚の不逮捕特権の廃止。

 5 ギリシャ住民を犠牲にし、国家を危機に投げ込みながら、PASOK(全ギリシャ社会主義運動)と新民主主義党(ND)に統治することを許容した選挙法の改正。



 第四インターナショナルは、すべての国際労働者運動、すべての「怒れる者たち」、左翼の理想を擁護するすべての人びとが、こうした緊急プログラムを支持するよう呼びかける。

 われわれは、ギリシャ人民がその投票と動員を通じて、緊縮政策を拒否するすべての社会的・政治的左翼による政府、債務帳消しを可能にする政府を打ち立てることに成功するのを望んでいる。われわれは、緊縮政策に反対するすべての勢力――Syriza(急進左派連合)、Antarsya(第四インター・ギリシャ支部と英SWP系組織の選挙連合)、KKE(ギリシャ共産党)、労働組合その他の社会的運動――が、緊急プランを軸に結集するよう呼びかける。

 危機はギリシャの危機ではない。資本の意思とそれに奉仕する諸政府に従属した欧州連合の危機である。それは全世界の資本主義的生産様式の危機である。この国の次の政策を決定するのはトロイカではなく、ギリシャ人民である。六月一七日の選挙の機会にユーロに関する国民投票をギリシャに強制しようというドイツ首相アンゲラ・メルケルの目論見――それはまさしく選挙による一揆的クーデターだ――は、拒否されなければならない。今や闘わなければならない対象はユーロではなく、トロイカの強制指示である。

 緊縮政策に反対する闘争は、欧州連合構築の基礎である政策や条約との決裂を、以前にも増して必要とする。緊縮政策との闘いは、民族主義への後退を意味するのではなく、主権的民主主義と、それぞれの民衆の社会的諸権利と、ヨーロッパ社会主義共和国の展望を、以前にも増して意味することになるのだ。



 ギリシャは欧州の実験室となった。かれらは、これらの措置を人間を「モルモット」としてテストしようとしており、次にはそれがポルトガル、スペイン、アイルランド、イタリアなどに適用されるだろう。ギリシャ人民は、こうした残虐な政策に反対して職場で、街頭で、そして投票箱を通じて反撃してきた。ギリシャの抵抗はわれわれの抵抗であり、かれらの闘いはわれわれの闘いだ。

民衆的諸階級の死活的利害の防衛は、国民的・欧州的レベルにおける支配階級との衝突を意味することを、この抵抗が示している。われわれは、ギリシャ人民の闘争とラディカル左翼の闘争を支持する統一的なイニシアティブを強めなければならない。しかしギリシャ人民と連帯する最善の形態は、非人間的な緊縮と破壊の政策に対する抵抗の発展と調整によって、すべての国でギリシャの模範にならうことである。危機と恐怖の責任を取らなければならないのは、まさしく資本なのだ。闘いの波及・伝染を!



二〇一二年五月二四日

【ギリシャ】自称救済者によって搾り取られ破壊された国

インターナショナル・ビューポイント オンラインマガジン : IV441 - October 2011

【ギリシャ】

 
自称救済者によって搾り取られ破壊された国
http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article2335
 
ソニア・ミトラリア
 
 2011年10月1日、「抵抗の連合」が組織した「欧州反緊縮政策」ロンドン会議の開会セッションで行われたこの発言は、参加者のスタンディング・オベーションで迎えられた。(「インターナショナル・ビューポイント」編集部)
 
 私は、この国を救済すると称する者、すなわち国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行、欧州委員会によって搾り取られ、破壊された国であるギリシャからやってきました。「メモランダ」という名で知られている四つのショック療法が採択され、適用され、何よりもそれが失敗に終わった後、現在適用されている五番目のものは最も乱暴で、非人間的なものであり、ギリシャはもはや私たちが知っていた国ではなくなっています。今や日没とともに街頭は空っぽとなり、レストランは客を求めて絶望的になっており、荒れ果てた商店街にある店舗は廃墟と化しています。


▲10月19日から48時間の全土ゼネスト-国会包囲闘争に起ちあがった労働者・失業者たち
 
 この変化の原因は、次に述べるような事実と数字に示されています。賃金取得者と年金生活者はすでに三〇%から五〇%、場合によってはそれ以上の購買力を失いました。その結果、約三〇%の店舗と三五%のガソリンスタンドが永遠に閉店となりました。失業率は来年にはおそらく三〇%になるでしょう。病院とベッドの数は四〇%以下となるでしょう。数日前、ギリシャ国家は子どもたちに教科書を与えることができなくなり、子どもたちはコピーするよう求められている、などなどです。簡単に言えば今や飢餓、そう飢餓が大都市で見られるようになっており、ストレスと絶望に襲われた農村では自殺が増えています。

 しかしギリシャ人は絶望しているだけではありません。人びとは戦闘的になり、抵抗し、闘ってもいます。とりわけ2011年5月末に「アガナクティスメニ」運動、ギリシャの「怒れる者」たちの運動が登場しました。「われわれには借りがない、われわれは何も売らない、われわれは払わない」、「奴らはみんな出ていけ」という二つのスローガンを掲げた急進化した群衆が、数百のギリシャの都市の広場を占拠したのです。
 

 しかし気をつけなければならないのは、「メモランダ」の野放図な緊縮政策の時期にギリシャで抵抗するのは、たやすくはないということです。第一に、恐ろしく、体系的で、非人間的な弾圧のためです。それから課題の重要さゆえにギリシャは現在、世界的テストケースになっています。それは公的債務の大規模な危機の中で、構造調整政策に対する民衆の抵抗能力が試される、まさしくグローバルな実験室なのです。すなわち、頂点にいる者であれ底辺にいる者であれ、すべての人びとの目が、今や最もシニカルな新自由主義のグローバルなモルモット(実験動物)になるという不幸を背負ったこの欧州の小国に注がれています。その結果、ほんのわずかな実際的要求を勝ち取ったとしても、政府の打倒、まさしく革命ということになるのです!

 私たちが、このまったく前例のない情勢から汲み取る教訓とは、昨日よりも今日になれば民族ブルジョアジーの内部での救済策はなくなってしまうということです。諸国の政府とトップにいる者たちの神聖同盟に直面する中で、底辺の人びとの抵抗の調整とネットワーク化は、成功へのあらゆる希望の必要条件なのです! 簡単に言えば、ギリシャの実験が、悪名高いトロイカ、すなわちIMF、欧州中央銀行、欧州委員会というわれわれの死刑執行人たちの利益にならないようにするためには、私たちは可能な限り速やかに私たちの勢力を結集し、底辺の者たちの「神聖同盟」を築かなければなりません!
 

 私が創立メンバーの一人である公共債務監査国際委員会ギリシャ・イニシアチブによって、債務と緊縮措置に反対する第一回国際会議が五月初旬にアテネで組織されたのは偶然の一致ではありません。この第一回国際会議の成功は、喜ばしくも私たちを驚かせましたが、実際には二重の意味でその兆しがありました。第一は、そのほんの二週間後に、ギリシャの怒れる者たちの運動がアテネのシンタグマ広場を占拠し、政治的・社会的場に爆発的に登場したことです。そして、公共債務の問題が今日のすべての重要な問題の根っこにあるということがますます鮮明になっていったというだけでなく、公共債務監査の要求を軸に独立した動員を行うことが完全に可能であるために、それは真の民衆的要求に合致したのです!

 私は、公共債務監査委員会ギリシャ・イニシアチブの経験から引き出されるこの教訓が、ギリシャだけに有効なものであるとはもはや考えません。それは、金融市場、トロイカ、資本に攻撃された他のすべての国にとっても有効です。公共債務の監査は、一見したところ割の悪い活動であり、人を引き付けるものではなく、専門家の仕事であるかのように見えるかもしれませんが、実際には二つの条件があれば多くの人びとを刺激し、動員しうるものなのです。第一は、それが制度的機構から完全に独立し、居住地域や労働・学業の場から結集した市民たちに支持されていることです。次に、債務の不正きわまる部分を明確にして帳消しにし、支払わないということです!

 アテネで開催された緊縮措置と債務に反対する第一回国際会議から五カ月後の今、私たちは達成された成果を測定できます。ギリシャ・イニシアチブは、ヨーロッパのほとんどすべて、南欧と北欧、東欧と西欧で、高く評価されています。この情勢がわれわれすべてに強いている課題は明確です。公共債務監査に関するこうした運動とキャンペーンは、すみやかに合流し、ネットワークを結成すべきです。誰にとっても遅すぎるようになる前に、行動をより効果的なものとし、民衆の期待に応えるためにそうすべきなのです。

 この課題とは、まさしくCADTMが行ってきたことでした。私もそのメンバーであるCADTM(第三世界債務帳消し委員会)は、専門的分野と幾つかの欧州諸国での闘争の分野――南の貧しい人びとと共にした二〇年間の闘いの成果――を結びつけてきました。ギリシャならびに他の諸国での債務と緊縮政策に対する運動の発展におけるCADTMの貢献は、これまでも現在でもきわめて重要です。しかし、金持ちと貧乏人との間の生死をかけた本物の戦争という情勢が投げかけている新しい挑戦に応えるためには、CADTMや、債務と緊縮政策に対して勇敢に闘っている他の組織以上のものが必要なのです。私たちは、もっと多くの活動家勢力、もっと多くの綱領的発展、とりわけもっと多くの国境を超えた協力を必要としています。



 私は最後に、私の常々考えていることをお話ししたいと思います。自立的組織あるいは自主的組織、そして債務と緊縮政策に反対する女性たちの闘いについてです。賃金所得者と社会のすべての人びとに対する現在の新自由主義的攻撃の第一の犠牲者が女性であるのは、彼女たちがまずはじめに一まとめに解雇されるからだけではないのです。それはおもに、この攻撃、すなわち公共サービスの民営化と破壊が、昨日までは国家が引き受けていた家庭内の公益的仕事を、女性たちに強制的に押し付けるという結果をもたらすからです。

 つまり今や女性たちは、以前は保育園、病院、高齢者用ホスピス、失業基金、精神治療施設、さらに社会保障が提供していたサービスを、家族の中で私的に提供するように求められているのです。そしてそれは完全に無償労働です! さらにそれは他者の忠実な奴隷としてのみ女性を受けいれる、いわゆる「女性の天性」なるものによって家庭・家族の下へ強制的に戻すイデオロギー的パッケージの中に収められています。つまり私たち女性が保持している幾つかの権利への正面攻撃と結びついた、最もあさましい家父長制への回帰なのです。

 私の結論は定言的(カテゴリカル)なものになります。なぜ女性は債務と緊縮政策に反対する闘いを独立的に組織する必要があるのか。そうしなければ、彼女たちに代わって闘う者などいないからです。

 どうもありがとう。



▼ソニア・ミトラリアはギリシャのフェミニスト活動家でCADTMギリシャのメンバー。


(「インターナショナルビューポイント」11年10月号)
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