虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

反領土主義

【報告】「領土問題」の悪循環を止めよう―日本の市民アピール 10.18首相官邸前アクション

IMG_1411 一〇月一八日、衆議院第一議員会館前で、「領土問題」の悪循環を止めよう―日本の市民アピール世話人呼びかけ、平和のための国会前行動が行われた。ローソクを灯しながらアピールが行われ七〇人が参加した。

 高田健さんが「九月二八日、市民アピールを発表したが今日まで賛同が一九二一人にのぼった。日本全国から期待が寄せられるとともに、韓国・中国・台湾に連帯の動きが広がっている」と報告し、集会が始められた。

 最初に、岡本厚さん(『世界』前編集長)が経過報告を行った。

 「今年の夏から九月にかけて、日韓、日中の争いが繰り広げられ、中国で反日運動が暴動に発展した。政府間で意思疎通がなく、武力衝突も考えられないわけではない。日本のメディアは中国をやっつけろと煽った。何とかこれを止めなければならない。日本国憲法九条で武力の行使・威嚇はできないとしている。こうした状況を打開するためにいっしょになって声明をつくった」。

 「領土問題といってもそれは歴史問題だ。日本の侵略によって起きた問題だ。尖閣問題は石原都知事が火をつけ、日本政府が国有化した。中国から見れば現状を変えたことだ。固有の領土なんてありえない。日本政府は領土問題は存在しないというがこれでは対話さえできない。市民アピールは、大きな反響を呼び起こした。一〇月四日、中国で理性を取り戻そうとアピールが出され七〇〇人が賛同している。一〇月六日、台湾で上海、北京、ソウル、沖縄、そして日本からスカイプで参加した国際会議が開かれた。そこでは平和的、対話で解決をしようと話し合われた」。

 「今後、民間交流やシンポジウムを開きたい。解決のために不戦・互恵の流れを広げていきたい。相互不信があるから領土紛争がある。東アジアを平和で豊かにするためにがんばろう」。

 世話人の内田雅敏弁護士が北京からのアピール(①領土問題の悪循環を断とうについて、理解する。②理性を持って解決を③偏狭なナショナリズム反対④民間ルートの発展を。子々孫々のために平和的未来を築こう)を代読し発言した。

 「中国人強制連行、西松建設問題で和解が成立し殉難の碑が建てられた。それは日中友好のあかしだ。五回目になるが今年も三〇人が中国から参加する予定だった。しかし、十数人は日本が恐いなどと来られなくなり、一八人が広島にやってくる。その中国人たちを広島の原爆資料館に案内する。強制連行して作られた中国電力水力発電所は今も使われている。中国人たちは末永く使って欲しいと言い、中国電力側は大事に使いたいと述べた。殉難碑が友好の碑に変わる。運動の正しさを確信している」。

 橋本勉さん(民主党、衆議院議員)が「山口外務副大臣は尖閣の国有化をやってはいけないと外務大臣に進言していたがこれを無視して野田内閣は国有化を決めた。この結果、中国の日本企業や日本人の生命が危うくされた。慎重にことを進めなければならない。他の国の国民が平和に生きられるように考えて行動しなければならない」とアピールに賛同する立場を語った。

 服部良一さん(社民党、衆議院議員)は「今回の領土問題は日本の帝国主義・植民地支配に端を発しており、歴史認識の問題だ。日中国交回復の時、棚上げにされ、後世のわれわれに託された。侵略の歴史を教えてこなかったわれわれも反省すべきだ。鳩山政権時は東アジア共同体を呼びかけた。その後の政治が悪い。盧溝橋事件勃発の七月七日に国有化を決めた。中国人の歴史認識をまったく理解しようとしないのが今の政府のやり方だ。今回の勇気ある市民アピール行動は平和構築に大きな力になる。国会は国益に流されているが日本がアジアに信頼されることが国益だ」と述べた。

 在韓被爆者問題を長年にわたって取り組んできた小田川興さんが韓国の五九六人が署名したアピールを読み上げた。このアピールでは、中国・台湾の声明に深く共感し、日本の市民アピールに熱い支持をすると表明している。また、小田川さんは日韓の学生交流事業の経験を通して「正義と信義」が大切であり、それが平和の源泉になると訴えた。福島みずほ社民党首は「領土問題を口実に、オスプレイの配備や沖縄の基地の強化、そして憲法を変え、戦争のできる国をつくろうとする動きに危惧を感じる。中国・台湾・韓国でもキャンドルが行われていると聞いている。人と人のつながりをつくりだそう」と発言した。この他、瑞慶覧チョービン衆院議員が連帯のメッセージを寄せた。

 コメディアンの松本ヒロさんほか数人の参加者がそれぞれ熱い思いを語った。最後に高田さんが、世界各国にいる日本人が賛同していること、沖縄からの賛同が多いことを紹介し、①一〇月二五日に内閣府にアピールを提出する。②賛同個人署名を一〇月二四日まで行う、と行動提起した。そして、「米軍と自衛隊が沖縄諸島のすぐ近くで、島の奪還・上陸訓練を行おうとしている。また、中国人民解放軍も同様の訓練をやろうとしている」と、軍事行動のエスカレートを批判し、アピール運動の重要性を再度確認した。(M)
 
 

「領土問題」の悪循環を止めよう! 9・28記者会見・院内集会

IMG_1337 九月二八日、参院議員会館で「『領土問題』の悪循環を止めよう!――日本市民のアピール――」に関する記者会見と院内集会が開催された。

 「尖閣(釣魚諸島)」と「竹島(独島)」の領有問題をめぐって、日中・日韓関係が一挙に緊張している。とりわけ「日中国交回復」四〇年の今年、日中関係は最悪の段階に直面している。いま日本の国内では、各政党が「領土防衛」の強硬な姿勢を競い合い、中国各地で吹き荒れた「反日暴動」ともあいまって、マスメディアも例外なく「尖閣」「竹島」への日本の「主権」の「正当性」を何の歴史的検証もないまま断定的に主張し、中国・韓国の反論を一方的に切り捨てて、反中・反韓の排外主義的ナショナリズムを煽っている。

 こうした危機的状況の中で、九月二九日の日中共同声明四〇年記念日を前にして、こうした流れに憂慮する市民運動の中から、今回の市民の共同アピールを準備するための活動が進められた。「呼びかけ」がネット上で発信されてから一週間足らずで、賛同個人は一四〇〇人近くに達し、その数はさらに増え続けている。この声明は中国語、ハングル、英語でも同時に発表された。

 

ピースボートの野平晋作さんの司会で進められた記者会見・院内集会では、今回のアピール準備に尽力した、岡本厚さん(『世界』前編集長)、高田健さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)、内田雅敏さん(弁護士)、小田川興さん(早稲田大学アジア研究機構日韓未来構築フォーラム)が、経過説明と発言を行った。

 岡本さんはアピールの内容を説明し、政府やマスメディアの「挙国一致的」ナショナリズムではない市民の別の声の存在を、とりわけ中国・台湾・韓国の人びとに伝えることが重要である、と語った。岡本さんは、「尖閣」「竹島」の問題がたんなる「領土」問題ではなく、日本のアジアに対する侵略の総括という歴史問題でもあることを強調し、野田政権の「尖閣」国有化方針が七月七日という盧溝橋事件勃発の日に発表されるという挑発的行為を厳しく批判した。

 高田さんは、当初の予想をはるかに超えて賛同者が続々と集まっており、とりわけ在外日本人や、沖縄からの賛同者が目立っている、と報告した。高田さんは寄せられた声の中から、晴れた日には海の向こうに台湾の高峰が見えることもあるという八重山からの賛同者の「平和の海へ」という声を紹介した。

 内田さんは、無責任きわまる「ハーメルンの笛吹き男」=石原慎太郎東京都知事の吹く笛の音に誘われた政治家。メディア、世論の動きに警鐘を乱打し、中国人強制連行被害者裁判の弁護人としての経験から、民衆による平和の実現への希望を語った。

 小田川さんは朝日新聞ソウル支局の記者として在韓被爆者の悲痛な声に接したことを契機に「在韓被爆者問題市民会議」の活動を進めている、と語り「次世紀の子どもたちにどのような東アジアを作るのかが課題だ」と提起した。



 この記者会見には韓国や中国のメディアから多数の人が参加したが、日本のマスメディアの関心は低かった。国会議員として参加したのは消費税増税に反対し「党員権停止中」だという民主党の橋本勉衆院議員(比例東海選出)ただ一人。橋本議員は、野田内閣の「尖閣国有化」決定が非常に大きな間違いだった、と指摘した。

 会場からの意見では「時期にかなった勇気ある呼びかけ」として感謝する意見が多かった。また国会議員の役割が重大だ、という意見もあった。「領土」問題を沖縄へのオスプレイ配備の正当化につなげる主張に反対する声も上がった。

なおアピールへの賛同署名は一〇月一七日まで継続し、一〇月一八日には首相官邸前での行動も計画されている(時間未定)。

 挙国一致的な「領土防衛」ナショナリズム、「反中」「反韓」排外主義に抗して、東アジア民衆の連帯による平和を実現しよう。「中国の脅威」を口実にした沖縄へのオスプレイ配備や、自衛隊の「離島防衛」作戦に反対しよう。(K)
 

新たな情勢認識の上で釣魚台防衛運動を考える

dyt
釣魚島に上陸した香港の保釣行動委員会のメンバーら(2012年8月15日)

石原慎太郎・東京都知事による「尖閣購入」「尖閣調査」というナショナリズム排外主義の扇動に、労働者市民は祖国敗北主義、プロレタリア国際主義、エコ社会主義で対抗しよう。以下は、香港・先駆社のウェブサイト労働民主網に掲載された小論。小見出しは訳者。(H)

=====


新たな情勢認識の上で釣魚台防衛運動を考える

陳景基


8月15日、7人の香港人が釣魚台に上陸し、日本政府による占領に抗議し、日本当局に逮捕、強制送還された。香港の親中派は面目をつぶされた形になった。というのも、親中派は香港政府とその後ろ盾である中国共産党が香港で愛国教育を推進することに対して、大声で支持していたにもかかわらず、自分達ではなんら釣魚台に対する行動をとらず、(中国政府と対立的関係にある)民主派をふくむメンバーらが釣魚台に上陸することをなすすべもなく傍観し、愛国主義の大旗を敵(つまり民主派)の側に奪われた形になったからだ。


◇ 人民に愛国教育は不要


40年にわたる釣魚台防衛運動に進歩的な役割があったとすれば、それは当初から市民運動として提起されということだろう。中国と台湾の両政府がともに冷淡だった状況のなかで、日本帝国主義の再拡張に危機感をいだいた香港市民が、政府による逮捕や暴力に屈することなく立ち上げた運動であったからだ。(香港は1941年12月25日から1945年8月15日まで日本の軍事占領下におかれた:訳注)


中国の近代史は次のことをわれわれに教えている。つまり、売国行為を策動し、また実際に売国行為を達成したのは、つねに政府とその指導者であり、国を守るために立ち上がったのは、いつも普通の人々、そして無名の英雄達であったということである。道理は極めて単純である。普通の人民が自分の故郷や国を愛おしむことは自然なことだからであり、愛国教育などというものを注入する必要はなく、ましてや政府がそれを代行する必要などまったくないのである。愛国教育が必要なのは往々にして人民の方ではなく政府の官僚達の方だろう。


いま中国共産党は香港で愛国教育を推進しようとしており、このチャンスに乗じて共産党への忠誠を強制しようとしている。だがそれは、国を愛することとは違うのである。


◇ なぜ釣魚台運動は進歩的だったのか


冷静に考えれば、中国共産党は清朝や国民党政府に比べて、外国からの抑圧に抵抗する気概を持っているといえるだろう。しかし釣魚台の防衛については、この40年来まったく積極的ではなく、逆に市民による釣魚台防衛運動にたいする弾圧に対しては積極的であったといえる。だが近年、中国政府の対応は変わりつつある。いまの中国の政権は釣魚台防衛に積極的な姿勢を見せている。すくなくとも言葉の上では非常に威勢がいい。だがそれは吉兆ではなく凶兆である。


40年前は、冷戦中であり、日本政府は厳密な意味においては軍国主義政権ではなかったが、依然として経済的にアジア人民を搾取し、アメリカ覇権主義と結託して反共政策を実施していた。一方、中国は日米に包囲された貧困国であり、資本主義とアメリカ覇権主義に反対する大国でもあった(すでに妥協路線へとかじを切ってはいたが)。この二つの陣営の対決のなかで、日本支配勢力の再拡張はアジア人民にとって不幸であり、当時の釣魚台防衛運動は多少なりともこのような拡張に抵抗する意味合いを持っていたことから進歩的であった。


◇ 「冷戦」から「商戦」の時代に


40年後の今日、状況は根本的に変化している。日米政府が悪の勢力であることには変わりはない。しかし中国は強大になり、他国から侵略される危険性というのはほとんどなくなっている。だからたとえ中国が当面のあいだ釣魚台を奪還できなかったとしても、それが中国への再侵略の起点となる心配はない。つまり今日の釣魚台防衛運動の意義はかつてにくらべて縮小している。


中国は強大になっただけでなく、その性質にも変化があった。資本主義への回帰である。だから冷戦が終結したいま日米もかつてのように中国を孤立させる必要がなくなっただけでなく、逆に中国政府と経済の上で協力関係を築き、グローバルに新自由主義を推進しながら、あちこちで自由貿易協定を締結している。しかし中国、アメリカ、日本による資本主義のグローバル化政策の推進は、相互間に市場争奪戦を繰り広げ、一層激しい競争を余儀なくさせる。


それゆえ冷戦は終結したが、中国と日米との間の資本主義的商戦の序幕はすでに開かれている。今日、中国政府が釣魚台防衛を熱心に取り組み始めたとすれば、それは市民による釣魚台防衛運動を日米との商戦に利用しようとしているに過ぎない。もしも将来、中国政府が積極的に軍事面で釣魚台防衛に動き出したとすれば、政府による釣魚台防衛は、中国政府が資本主義的商戦を推進するための駒に一つに過ぎず、それは40年来の市民による釣魚台防衛運動の素朴な性質とは大きく異なる。


◇ 経済拡張主義に奔走する中国


最近、強国左派(マルクスや毛沢東の用語を並べ立てて外国資本の言いなりではない民族資本主義の大国を目指せと主張し、労働者民主主義には極めて消極的である点が特徴:訳注)が出版した『大目標:われわれとこの世界の政治的協議』は、報道によると、著者達は中国が帝国主義の道を歩む可能性を排除しないことに同意しているという。しかし、この著者らによると、帝国主義とは必ず軍事的に他国を占領することが含まれるのであり、様々な情勢から中国による他国への軍事占領は難しいことから、中国が帝国主義になる危険性は大きくないという。この考えはおそらく正しくないだろう。軍事占領が帝国主義の主要な特徴ではないからだ。第二次世界大戦以降、帝国主義は民族解放運動による打撃のもとで、経済侵略を主要な形式とした対外拡張に進化を遂げたからである。それは今日の中国の支配者が必死に模倣しようとしている拡張モデルでもある。今日の中国の支配者は建国の理念を放棄し、経済拡張主義に奔走している。これでは愛国というより、その逆である。


◇ 国際連帯こそが前途


冷戦においては、労働者人民はどちらかを選択する必要があったが、商戦においてはどちらかに組みする必要はない。冷戦時代に「社会主義陣営」と呼ばれた陣営は実はそれほど社会主義ではなかったが、少なくとも資本主義には反対していたことから、労働者人民は資本主義にくらべてましな経済的待遇を受けることができた。


しかし今日の資本主義的商戦は、中国の官僚と資本家と外国の同業者達の間での争奪戦であり、しかもそれは各国の労働者人民と自然資源に対するさらなる搾取によってのみ維持することができる。経済競争が過熱すればするほど戦争の危機は大きくなり、その時には支配者は労働者人民にさらなる犠牲を強いるだろう。このような資本主義大国間の商戦は、労働者人民には災禍しかもたらさない。今日の中国は侵略される危険性はないだけでなく、他の小国を抑圧する覇権国家となりつつある危険性が日々増している。市民運動による釣魚台防衛運動は、いま一度、いかに帝国主義政策の駒になることを回避するのかを考えなければならない。


つまるところ、中国の労働者人民の前途は、自国支配者の経済拡張主義を手助けするのではなく、各国の労働者人民と団結してそういった拡張主義を阻止することにある。釣魚台を巡る争いは、このような大局に立って考えなければならない。


2012年8月27日

日本による「尖閣・竹島」の領有は侵略・植民地支配の産物だ-「領土ナショナリズム」に反対しよう!

m0013159730(画像は8月15日に「釣魚台防衛」とともに「靖国参拝抗議」「元"慰安婦"への賠償」などを訴えて台湾台北で行われたデモ)
 
二〇〇〇万人を超えるアジア民衆、三一〇万人の日本民衆の悲惨きわまる死をもたらした天皇制日本帝国主義の侵略戦争が敗北に終わった八月一五日。今年の「八・一五」は韓国、中国との「竹島」(独島)、「尖閣諸島」(釣魚諸島)をめぐる紛争の新たな顕在化の中で、排外主義的ナショナリズムと「領土保全=安全保障の危機」キャンペーンが、日本国内であらためて大きくかきたてられている。

 八月一〇日、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は、「竹島」(独島)に韓国大統領として初めて上陸した。イ・ミョンバク大統領は、日本政府が慰安婦問題の解決のための韓国政府の要請を拒否し、「一九六五年の日韓条約で解決済み」との態度を取り続けていることへの批判である、と語った(八月一三日)。さらに八月一四日には「天皇は韓国を訪問したがっているが、独立運動で亡くなった方々を訪ね、心から謝るなら来なさい」との発言も行った(後にこの発言の一部を訂正したが)。

 イ・ミョンバク大統領のこの行動や発言が、どのような思惑から発せられたかにかかわらず、われわれは「慰安婦問題の根本的解決」すなわち日本軍「慰安婦」への謝罪と補償を求める主張が正当なものであり、日本の労働者・市民自身の課題として日本軍「慰安婦」への謝罪・補償を通じて、彼女たちの「正義」を日本政府に求めていかなければならない、と考える。そのことは、イ・ミョンバク大統領による今回の「独島上陸」行動の政治的意図の分析とは相対的には別個に確認するべきことである。



 「竹島」(独島)が「日本固有の領土」であり、「竹島は韓国によって不法占拠されている」という立場も撤回させなければならない。何よりも、一九〇五年の竹島の「日本領土編入」が、一九〇四年八月の第一次日韓協約、一九〇五年一一月の第二次日韓協約による韓国の「保護国化」を経て、一九一〇年の「韓国併合」に至る日本の朝鮮植民地化のプロセスの不可分の一環であることは、誰にも否定できない歴史的事実だからである。

 ところが、たとえば朝日新聞は「竹島問題、なぜおさまらないの」と題したニュース解説欄(「ニュースがわからん!」八月一六日朝刊)で、「日本は遅くとも江戸初期には領有権を確立したと考えている」との政府見解を無批判に掲載している。しかし江戸時代初期に「竹島」と呼ばれていたのは現在の韓国領鬱陵島なのであり、一六九六年に江戸幕府は朝鮮との交渉の中で鬱陵島が朝鮮領であることを承認し、幕府は鬱陵島への日本人渡航を禁止した。そして当時、鬱陵島への航行の目印として、日本名「松島」と呼ばれていた現在の「竹島」は、絶海の無人島として一九世紀半ばにいたるまで忘れ去られてしまった、というのが事実なのだ。
 
明治政府が一九〇五年二月に竹島の領有を宣言したのは、「江戸初期に領有権を確立していた」などという偽造に基づいたものではなかった。時の日本政府は、「竹島がどの国の領有権も及んでいない『無主の地』」であるという確認に基づき「無主地先占」の原則を振りかざして「竹島」(独島)の島根県への編入を行ったのである。「江戸時代初期に領有権を確立していた」のであればそんなことはしないはずだ。そして一〇年前の「尖閣諸島領有」時と同様に、「竹島領有」にあたっても国際的な「通告」はいっさい行われていない。

 野田政権は、この「竹島」(独島)へのイ・ミョンバク韓国大統領の「上陸」に抗議して、武藤駐韓日本大使を召還するとともに、五〇年ぶりに竹島の領有権問題を国際司法裁判所(ICJ)に提訴する強硬方針を固めた。さらに安住財務相は「日韓通貨協力」の打ち切りも示唆している。

 しかしこの問題の本質が、日本の朝鮮植民地支配、とりわけ日本軍「従軍慰安婦」への謝罪と補償を実現することであることを明確にしなければならない。「慰安婦」問題の解決をさしおいて、「竹島」(独島)の領有権を主張し、領土主義的ナショナリズムを煽りたてることこそ批判しなければならない。「日本の領土を韓国が不法占拠している」と声高に主張することをやめ、植民地支配の完全な清算への努力を進めることこそが出発点なのである。

 

 イ・ミョンバク韓国大統領の「竹島」(独島)上陸に続いて、八月一五日には香港からの抗議船に乗った七人が「尖閣諸島」(釣魚諸島)の魚釣島に上陸し、上陸した香港保釣行動委員会のメンバーと抗議船の乗組員など一四人が沖縄県警と海上保安庁に逮捕され、強制送還されるという事件が発生した。

われわれは「尖閣諸島」の日本の領有権主張に対して一貫して反対してきた。「尖閣諸島」の日本領有が、一八九四~九五年の日清戦争による台湾植民地支配と軌を一にしたものであり、それはおよそ国際法的にも正当化されないものだからである。そしていま、石原都知事による「尖閣諸島」の買い取り宣言や、野田政権による「国有化」の検討が、「中国の脅威」に名を借りた、沖縄を拠点とする日米軍事同盟の実戦的強化と一体のものであり、それと連動した排外主義的ナショナリズムのキャンペーンと連動しているからである。

ところが民主党、自民党から共産党、社民党にいたるまで左右を問わずすべての議会政党、そしてマスメディアが「日本固有の領土」である竹島、尖閣諸島の領有権を毅然とした態度で防衛せよという主張で一致している。野党の側は野田政権の「弱腰外交」を煽りたて、民主党政権が政治能力を喪失し断固とした対応を取れないからこそ、ロシアや韓国や中国の「不当な領土侵犯」に火をつけたと批判し、森本敏防衛相の「イ・ミョンバク大統領の竹島上陸は韓国の内政問題」という言及を取り上げて、野田政権を揺さぶっている。

そしてメディアでは、あたかも中国の「領土拡張」主義によって「尖閣諸島」で日中両国の軍事衝突が近々発生するというような危機アジりが横行している。そして同時に、この「軍事衝突」の可能性も見据えて、それに備えるために「日米の動的協力」が必要なのだとする主張が前面に押し出され、オスプレイ配備に反対する沖縄・「本土」の世論を抑え込もうという主張も強まろうとしている。



八月一八日、自民党の山谷えり子参院議員が会長をつとめる「日本の領土を守るために行動する議員連盟」が呼びかけ、自民、民主、きづなの国会議員八人が「尖閣洋上視察」を名目に石垣島から漁船で、尖閣諸島海域に向かった。この漁船には一六人の地方議員と極右のスター・田母神俊雄元航空幕僚長も乗った。同じく宮古島と与那国島から総勢一五〇人が二一隻の船で、尖閣海域に向かった。そのうち地方議員をふくむ一〇人が魚釣島に「日の丸」を掲げて上陸するという挑発を行った。

極右ナショナリスト・排外主義者たちのデモンストレーションである。国会解散・総選挙を見据えたこうした動きにはっきりと反対しよう。共産党、社民党は「北方諸島・竹島・尖閣諸島」への領土要求に加担してはならない。

 オスプレイ配備に反対する闘いは、「日本の領土が脅かされている」というキャンペーンを明確に反対することによってこそ、真に一貫性を持って繰り広げられることになるのである。「領土」問題を振りかざすことは、民衆間の連帯によって平和を達成しようとする努力を妨げるものでしかない。

(8月19日 K)

【尖閣/釣魚台】国際主義に貫かれた「人民日報」の記事~アメリカの占領に反対する琉球諸島人民の闘争(1953年)

19530108pd
▲「アメリカの占領に反対する琉球諸島人民の闘争」(「人民日報」1953年1月8日)


右翼民族主義ポピュリスト・石原慎太郎都知事による尖閣諸島購入から、野田佳彦首相・民主党政権による国有化への動きは、混迷する政局と打つ手なしの金融危機における帝国主義ブルジョアジーの危険な国家戦略となっている。


政治的、経済的のみならず文化的、軍事的にも拡張する中国に対する日本帝国主義の対抗的戦略に対して、「万国の労働者団結せよ!」のスローガンの下で闘ってきた日本、沖縄、中国、台湾、朝鮮、韓国などの労働者階級はインターナショナル―国際主義―の断固たる旗を掲げて抵抗しなければならない。


戦略なき帝国主義者の火遊び的外交・軍事路線のために、労働者階級は自らの血を一滴さえも流してはならない!

最近、尖閣諸島/釣魚台の領有については、「中国共産党の機関紙、『人民日報』で尖閣諸島は琉球群島の一部だという記載があった」という主張を、右翼だけでなく日本共産党までもが声を大にして叫んでいる。


「人民日報」による当該記事は1953年1月8日付。それを以て「中国も尖閣を日本領とみなしていた」という主張を国際的に納得させるには無理があるが、日本政府は外務省のホームページで以下のように紹介している。


 + + + + +

参考:1953年1月8日人民日報記事「琉球諸島における人々の米国占領反対の戦い」(抜粋・仮訳)

 「琉球諸島は,我が国(注:中国。以下同様。)の台湾東北部及び日本の九州南西部の間の海上に散在しており,尖閣諸島,先島諸島,大東諸島,沖縄諸島,大島諸島,トカラ諸島,大隈諸島の7組の島嶼からなる。それぞれが大小多くの島嶼からなり,合計50以上の名のある島嶼と400あまりの無名の小島からなり,全陸地面積は4,670平方キロである。諸島の中で最大の島は,沖縄諸島における沖縄島(すなわち大琉球島)で,面積は1211平方キロで,その次に大きいのは,大島諸島における奄美大島で,730平方キロである。琉球諸島は,1000キロにわたって連なっており,その内側は我が国の東シナ海(中国語:東海)で,外側は太平洋の公海である。」外務省:尖閣諸島に関するQ&Aより)


 + + + + +


しかし外務省も右翼も日本共産党も、上記のようにこの記事の冒頭個所のみを紹介するだけで、全体を紹介してはいない。いや、紹介できないのであろう。


この記事は、タイトルの通り米国による軍事占領に反対する沖縄民衆の闘争を扱った国際連帯の思想に基づいて書かれた記事であり、民族問題と国際連帯を結合させた、いまだ革命の理念にあふれるすばらしい記述となっている。とくに最後は次のように締めくくられている。


 + + + + + 


「アメリカによる琉球の軍事基地化と苦役支配に反対し、自由解放と平和をかちとる沖縄人民の闘争は決して孤立していない。それは日本人民が独立と民主主義と平和をかちとる闘争と不可分であり、アジアと太平洋地域の人民および全世界各国人民による平和のための闘争と不可分である。ゆえに、アメリカ占領者が琉球人民に対して野蛮な弾圧を行ったとしても、最後の勝利は琉球人民の側にあるのだ。」



この記事が書かれた2週間余り前の1952年12月22日は、中国共産党の闘争路線とは別の立場から抗日戦争・革命事業を主張してきた中国トロツキストの同志たちが、権力についた中国共産党の弾圧機構によって一斉検挙された日であり、多くの同志たちは「反革命」などの無実の罪で投獄され強制労働を強いられた。


それにもかかわらず、日本帝国主義を打倒・駆逐し、反革命の蒋介石国民党を中国大陸からたたき出し、労働者と農民が中心の社会にむけて歩むという革命中国の伝統は、同じく帝国主義に占領されていた琉球民衆の闘いを国際的に支援するという原則を踏まえたのがこの「人民日報」の記事である。


つまり、尖閣諸島/釣魚台が、明治政府による朝鮮、中国への侵略戦争の過程でどさくさにまぎれて日本領に略奪されたものであったとしても、それは中国のものか日本のものかにかかわりなく、琉球民衆のアメリカに対するさまざまな抵抗闘争に反映される反帝民族主義の闘争の高揚を国際的に支持するというである。


しかし、労働者階級の前衛を自認する政党である日本共産党は、あろうことか「日本政府は堂々とその大義〔尖閣諸島/釣魚台の所有:引用者〕を主張すべき」として、外務省と同じように冒頭の部分のみを紹介して、尖閣諸島/釣魚台の領有権を主張している。


 + + + + +


「1953年1月8日付の中国共産党機関紙『人民日報』は、『米国の占領に反対する琉球群島人民の闘争』と題して、米軍軍政下の沖縄での日本人民の闘争を報道し、そのなかで、『琉球群島は、わが国台湾の東北および日本九州島の西南の間の海上に散在し、尖閣諸島、先島諸島、大東諸島、沖縄諸島、大島諸島、吐か喇(とから)諸島、大隅諸島など7つの島嶼からなっている』と、『尖閣諸島』という日本の呼称を使って同諸島を日本領土に含めて紹介していた。」(日本共産党「尖閣諸島問題 日本の領有は歴史的にも国際法上も正当」より)

 + + + + +


日本共産党は、当該記事に象徴される労働者階級の国際主義とはまったく真逆の、帝国主義民族主義者と同じ立場から、この国際主義に貫かれた歴史的文献を持論を補強する歴史的資料であると持ち出して、自らの一国的、民族主義的歴史観を恥ずかしげもなく披瀝している。これは共産主義者として恥ずべき民族主義、そして帝国主義的歴史観への屈服である。


しかも「『尖閣諸島』という日本の呼称を使って同諸島を日本領土に含めて紹介していた」と事実を歪曲してこの記事を紹介している。記事全文を読めば「『尖閣諸島』という日本の呼称を使って同諸島を日本領土に含めて紹介していた」という記述は何処にもない。「人民日報」の記事は、尖閣諸島を日本ではなく、アメリカの占領下にある琉球群島の一つとして紹介しているに過ぎないからだ。


中国はその後、中ソ対立を契機に、その国際連帯の方向性を極端にゆがめてゆき(スターリンのソ連に学んだ)、日本共産党を含む各国共産党への介入、ベトナム侵略戦争にまい進した米国帝国主義との「平和共存」、「ソ連社会帝国主義反対」というマルクス主義の理論とは無縁の立場から北方四島に関しては日本領土だと主張するなど、その国際主義を著しくゆがめ、世界革命の進捗の大きな阻害となるが、これは後の話であり、1953年「人民日報」の当該記事の重要性をいささかも貶めるものではない。


「領土問題はなく、有効に支配している」と言う日本政府も、「古来より中国の領土」という中国政府も、どちらも自国民にウソをついている。「中国・台湾政府より異議申し立てがあるが、日清戦争の過程で無断で日本領に編入し、戦後は沖縄復帰までは米施政下にあり、現在は日本が実効支配し、久場島が米軍の射爆場になっており、中国・台湾から領有権の主張がなされている」というのが事実である。


ほとんどだれも住んだことのない絶海の小島に関する歴史的資料や文献をさかのぼり、やれ「わが国固有の領土である」とか「古来よりわが方の領土である」と吼え合い、偶然でてきた歴史文献をまるで鬼の首を取ったかのように掲げて領有権を主張することは、グローバルな貧困と格差を何ら解決できず、資本主義的搾取とギャンブルのツケを貧しい労働者、農民、漁民らの血を敷き詰められた戦争への道を千鳥足で歩もうとする支配階級を利するだけである。

尖閣諸島/釣魚台問題における労働者階級の国際主義は、沖縄の米軍基地移設やオスプレイ配備をめぐる緊迫する情勢の中でとりわけ重要である。

万国の労働者、団結せよ!


(H)

【歴史資料】アメリカの占領に反対する琉球諸島人民の闘争
「人民日報」1953年1月8日より


琉球群島は我が国の台湾東北部と日本の九州島西南の間の海面上に散在しており、尖閣諸島、先島諸島、大東諸島、沖縄諸島、大島諸島、トカラ諸島、大隅諸島など7つの島嶼から構成されており、それぞれ大小の島嶼があり、あわせて50以上の名前の付いた島嶼と400以上の無名の小島があり、すべての陸地面積は4670平方キロになる。群島中、最大の島は沖縄諸島の沖縄島(すなわち大琉球島)で、面積は1211平方キロメートル。次に大きなのは大島諸島の奄美大島で、面積は730平方キロメートル。琉球群島は1000キロにわたって連なっており、その内側は我が国の東海、外側は太平洋の公海である。


アメリカは1945年6月に琉球群島を占領した後、この島で軍事基地の建設に着手した。アメリカのアジア大陸侵略計画の破産に伴い、琉球の基地建設工事も積極的になっていった。すでにアメリカが朝鮮戦争を発動する以前から、アメリカは琉球群島の軍事工事は琉球の三分の一の土地を占用しており、基地建設に費やした費用は2億ドルを超えていた。その後、琉球の基地建設計画はさらに拡大し、さらなる速度で進行している。


1951年6月22日、『USニューズ&ワールド・レポート』誌が明らかにしたアメリカの侵略者の野心は次のとおりである。「アメリカの沖縄島での目標は空軍を用いたアジア覇権であり、そこを太平洋最大の基地にすることである。沖縄島から飛び立ったB29型爆撃機はアジアの大部分の内陸地域にまで達することが可能で、爆撃半径は中国全土とシベリア鉄道を含むシベリア地区の大部分を含めることができる。B36型爆撃機はさらに遠距離に達することができる。」


昨年9月8日、沖縄島のアメリカ政府職員は「沖縄島を『太平洋のジブラルタル』にするための総費用は4億8000万ドルに達する。建設作業は計画通りに進んでおり、台風よけの道路、飛行場、兵舎、司令部およびその他の軍事設備が島全体に配置される」と公然と宣言した。また、先日の日本の新聞報道によると、アメリカは沖縄島那覇港の入口にある浮島神社の下に、容量8万トンの地下油槽所をすでに建設しており、沖縄島周辺の島嶼には基地が散在し、20数か所の大型飛行場が建設されており、奄美大島、宮古島、沖之永良部島などの島嶼にレーダーを設置し、多くの島で滑走路兼用の軍事道路が建設されているという。AP通信社も「アメリカのB29型爆撃機は毎日沖縄島から飛び立ち北朝鮮への爆撃を行っている」ことをこれまで一度ならず認めている。

琉球における軍事基地の建設、使用とともに、アメリカ侵略者は琉球群島を永遠に占有するために積極的に陰謀をおこなっている。アメリカは琉球を占領してすぐに琉球の一切の政治権力を独占した。


昨年来、アメリカ侵略者は、「カイロ宣言」「ポツダム宣言」等の国際協定に琉球群島の国際信託統治についての規定がない事を顧みず、ソ連政府と中華人民共和国政府による度重なる声明も顧みず、そして100万の琉球人民の断固たる反対をも顧みることなく、日本の吉田政府と結託し、一方的に定めた対日「和平協定」のなかで「日本はアメリカが国連に提出した北緯29度以南の琉球群島を……国連の信託統治のもとに置き、アメリカを唯一の管理当局とした一切の提案について、同意するものとする。この種の建議を提出し、かつこの種の建議に対して肯定的な措置を取るまでは、アメリカは領海を含むこれらの島嶼の領土および住民に対して、一切の行政、立法、司法権力を有するものとする」と規定している。アメリカはこのような卑劣な手段で、ほしいまま無期限に琉球群島を占有する侵略行為を「合法」の外套に包んだ後、去年の4月1日に比嘉秀平を首長とする琉球傀儡政府を樹立した。


7年来、アメリカ侵略者は極めて乱暴で横暴な手段を用いて、琉球群島をアメリカの軍事基地に変えてきた。100万の琉球人民はアメリカによる苦役と搾取のもと、生活苦に陥っており、極めて悲惨な生活を余儀なくされている。米軍によって軍事施設の建設に指定された土地では、すべての住民は故郷から追い出され、いまでは沖縄島の三分の二の土地が軍用に供用させられている。琉球人民は土地を強奪占拠されているだけでなく、労働力を有する青年の大部分は米軍基地建設の奴隷労働に強制的に参加させられている。


アメリカ侵略者は銃剣を用いて、琉球人民が生活の基盤としてきた平和な我が家と漁村を荒廃させることを残酷に迫り、全島は田畑が荒廃し、食糧欠乏、漁業不振に陥っており、戦前には大きな規模を誇った製糖業もいまだ回復していない。また、米軍は恐怖の警察統治を用いて琉球人民の抵抗を抑圧している。1947年以降、米軍は軍事機密を守るという口実で住民が全島を旅行することを禁止している。アメリカ憲兵とその走狗の琉球警察(かつては日本軍閥の手先で、いまでは米軍に雇われている地元のチンピラ)が全島に充満している。


村落と村落の間には有刺鉄線が張られ、村民の行き来も先ず警察に報告して許可を得なければならず、そうしなければ「無断で境界を超えた」犯罪となり、幹線道路脇にも有刺鉄線があり、中には電流の流れるものもある。従って琉球人民は対外貿易を禁止され、交通は阻害され、耕作と漁業は制限され、一切の自由の権利が米軍によって剥奪されている。しかも戦争の砲火によって全島家屋の90%が破壊されており、いまだ大多数の琉球人民が住む所にも困っている。去年、琉球北部一帯を飢饉が襲ったとき、被災民はトカゲや蛇などを食べて命をつないだ。


米軍で働く琉球労働者の賃金は、アメリカ人労働者の十分の一しかなく、米軍のバーやホテル、事務部門で雇用されている琉球女性の賃金は多い時でも毎月わずか4ドルである。ふしだらで恥知らずな米軍は、琉球に多数の「ジープ・ガール」も招き寄せ、琉球群島に駐留する米軍は琉球女性を野蛮に凌辱する。米軍が琉球人民をむやみに射殺する暴行行為も珍しくはない。


かつて琉球群島はアメリカと日本の激戦地域であり、住民の犠牲は深刻で、戦争の傷跡は深く琉球人民の心に刻まれている。琉球人民は戦争を憎んでおり、熱烈に平和を求めている。戦後、琉球を基地と苦役搾取の軍事植民地に変えるアメリカ侵略者の政策は、琉球人民が様々な方法でアメリカの占領者に反対する闘争に身を投じることを余儀なくさせた。


最初は飢餓に迫られた琉球人民は米軍物資を奪い、その後じょじょに、公然と軍事物資を奪うための米軍攻撃に発展した。日本の新聞報道によると、一昨年の1月21日に、嘉手納飛行場の航空隊第18号火薬庫でまた火薬7トン半がなくなった。米軍の武器弾薬庫ではよく「理由なく」爆発が発生する。たとえば1948年8月、沖縄島付近の小島にある米軍武器弾薬庫で爆発があり、一昼夜燃え続け、この島に保管していた武器弾薬はすべて爆破された。去年、台湾から伝えられたアメリカニュースの情報によると、琉球人民ゲリラ隊とアメリカ占領軍の間で激しい戦闘が行われ、琉球人民は沖縄島の嘉手納飛行場に潜入し飛行場を破壊したことが明らかになった。


米軍のために働かされている琉球労働者は度重なるストライキやサボタージュで米軍の苦役に抵抗している。昨年6月、沖縄島で米軍基地建設に従事する琉球労働者が、米軍の禁令を顧みず、賃上げ要求の闘争を行い、島ぐるみの労働者の支持を獲得した。7月には、建設会社・松村組の労働者が解雇反対のストライキを行い、全島の各地で連帯ストの示威行動が行われた。


アメリカ占領の占領に反対する琉球人民の闘争は、戦争に反対し平和を守る運動と結合しており、かつ強力に前進している。昨年のメーデーでは、沖縄島の労働者、職員、市民は、琉球人民党の呼びかけのもと、米軍の弾圧をも顧みず、生活権利保障大会と示威行進を行った。最近では、沖縄島人民は、琉球傀儡政府が日本の吉田政府のために行う徴兵に反対する運動を後半に展開している。


アメリカによる琉球の軍事基地化と苦役支配に反対し、自由解放と平和をかちとる沖縄人民の闘争は決して孤立していない。それは日本人民が独立と民主主義と平和をかちとる闘争と不可分であり、アジアと太平洋地域の人民および全世界各国人民による平和のための闘争と不可分である。ゆえに、アメリカ占領者が琉球人民に対して野蛮な弾圧を行ったとしても、最後の勝利は琉球人民の側にあるのだ。

(以上)

石原都知事の「尖閣諸島」購入発言を批判する―「尖閣諸島は『日本固有の領土』ではない」

釣魚台~1石原慎太郎東京都知事の「都が尖閣購入」発言が話題を呼んでいる。

 四月一六日(日本時間:一七日)に訪米中の石原がワシントンでの講演で、「尖閣諸島を所有者から購入する」方針を示したのだ。石原が講演した場は、右派のシンクタンクである「ヘリテージ財団」で、「日本も核(武装)のシミュレーションをすべきだ」などと四五分間しゃべった後、講演の最後の五分間で唐突な形で「尖閣購入」計画について語ったのだという。

 「尖閣諸島はこのまま置いておくと、どうなるかわからない。中国が日本の実効支配を壊すため過激な運動をしている。ゆゆしき問題だ。豊饒な漁場であり、海底資源が日本の領海にある」。

 「東京が尖閣諸島を守る。日本人が日本の国土を守ることに何か文句がありますか。東京が買うことにアメリカも反対しないだろ」「買い取った後は、沖縄県や石垣市に一緒に持とうとオファーしようと思う」。

 石原は、すでに昨年末の段階で所有者側(埼玉県の栗原家)との間で「売る」という話で基本合意をしている、と語り、講演後の記者との話では「政府にほえ面をかかせる」と得意げにブチ上げたという。

 これは極右ナショナリストとしての彼の、いつものパフォーマンスであり、彼が国民新党から追放された亀井静香や「たちあがれ日本」の平沼赳夫らと打ち上げた「新党」へのアドバルーンであることは間違いないだろう。しかし今回の「尖閣購入」発言が、二〇一〇年九月の海保巡視船と中国漁船の衝突・中国漁船船長逮捕事件によって加速された「中国脅威」キャンペーン、そして中国を主要ターゲットにした米国の新軍事戦略と一体化した自衛隊の「南西配備」――先島諸島への自衛隊配備との連動を意識したものであることは明らかである。それはたんなる「放言」ではなく、意識的な計算にもとづく発言なのである。

民主・自民など既成政党の政治への不信。怒りが高まり、橋下徹大阪市長の「維新の会」や、河村たかし名古屋市長の「減税日本」などの「自治体首長新党」が選挙や世論調査で大き支持を得ているが、かれらはいずれも新自由主主義と強権的「リーダーシップ」の主張、そして中国や北朝鮮・韓国への排外主義的ナショナリズムを共通の土台にして人気を博している。河村名古屋市長が中国からの友好訪問団に対して「南京大虐殺はなかった」と語ったことは、その現れである。橋下は石原の「尖閣購入」発言に肯定的に言及している。こうした動きが極右国家主義的な憲法改悪の流れと連動していることを重視しなければならない。



野田政権は、石原の「尖閣購入」発言に「困惑」しつつも、「尖閣諸島」を国が購入して「固有地」とする可能性についても表明した(四月一七日、藤村官房長官)。多くのマスメディアや「識者」も石原発言を「唐突」と語りながらも、「尖閣諸島」(中国名:釣魚諸島)を日本が「実効支配」している「固有の領土」であることについては、当たり前の前提にしている。日本政府にとって、「北方領土」や「竹島」とは違って「尖閣諸島」については領土問題は存在しないとするのが公式の立場であり、この点については共産党や社民党までふくめた議会内での「挙国一致」が存在している。

われわれは一貫して、こうした「尖閣=固有の領土」論に反対してきた。二〇一〇年九月に大きな問題となった海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突・中国人船長逮捕問題についてもわれわれの立場を明らかにしてきた(注)。

ここでもう一度繰り返すことはしないが、要点だけ挙げておく。

●「尖閣諸島」帰属問題について、明治政府は尖閣が「清国政府の領土である」可能性を考慮して立場を取らなかった。一八八五年の古賀辰四郎による「貸与」申請以来、日本政府は「たびたび沖縄県を通じてたびたび現地調査を行った」という外務省の説明は事実に反する。

●一八九五年一月の日本政府による「尖閣」の領土編入は、日清戦争での清国の敗勢を条件としたものであり、台湾・澎湖諸島の植民地化と一体となった侵略戦争の結果である。

●一八九五年一月の「閣議決定」文書は一度も公開されたことはなく、「尖閣」の領土編入は官報にも掲載されず、国際的にも通知されなかった。

●尖閣諸島に「標杭」(国標)が建てられたのは、国連アジア極東経済委員会(ECAFE)が東シナ海に石油天然ガス資源が海底に存在する可能性を指摘した一九六九年五月に、当時の米国施政権下の琉球政府によってなされたのが最初である。

●保守派の政治学者が編集した文献(伊藤隆編・百瀬孝著『資料検証 日本の領土』 河出書房新社、二〇一〇年八月刊)でも尖閣の領土編入について「官報に出たわけでもなく、外国に通告されておらず、領土編入について無主物先占の万全の手続きをふんだとはとうていいえない」と指摘している。

われわれは、国際法的正統性に欠けるこうした「尖閣=固有の領土」論を撤回し、「領土問題は存在しない」とする立場を放棄した上で、中国・台湾との外交的交渉に入ることを政府に求めるべきである。

「中国脅威論」に基づく沖縄・先島への自衛隊配備をやめさせなければならない。

(K) 

報告 2.7 アイヌ文化から北方諸島の問題を考えるトンコリと語りの夕べ

ain 二月七日、東京・飯田橋の富士見区民館で「アイヌ文化から北方諸島問題を考えるトンコリと語りの夕べ」が開催された。

二月七日は「北方領土の日」とされている。一八五五年に当時の江戸幕府と帝政ロシアがこの日に結んだ日露通好条約によって千島列島のエトロフ島とウルップ島の間が両国の国境と定められたことを根拠に、現在ロシア領となっているエトロフ以南の「北方諸島」を「日本固有の領土」と主張し、「日本への返還」を求めるキャンペーンが展開されてきた。しかしこうした「北方領土返還」運動は、先住民族であるアイヌ民族の自決権を無視し、日ロ両国の先住民族に対する植民地主義的侵略、差別と同化の歴史を正当化するものだ。

二〇〇七年九月には国連で「先住民族の権利に関する宣言」が賛成一四四、反対四(アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)、棄権一一という圧倒的多数で採択された。日本も条件付きで賛成票を投じた。さらにG8北海道・洞爺湖サミットを前にした二〇〇八年六月には「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が国会で採択され、政府もそれを追認した。しかし日ロ間の「領土問題」交渉では、自決権・自治権を有する先住民族としてのアイヌ民族の意思はまったく無視されている。

こうしたあり方に抗してアイヌ民族の先住民族としての権利を回復する闘いを支持する立場からこの日の集会が準備された。



集会では、制作が進められているアニメーション映画「七五郎沢の狐」の冒頭部分が映し出され、制作者の杉原由美子さんがこの作品についての思いを語った。この映画は狐のカムイ(神)が住んだ土地に産業廃棄物の処分場ができたことで、そこから立ち去らざるをえなくなるという創作ユーカラ(神謡)のアニメ化で、全編アイヌ語で語られる。それは自然とともに暮らしてきたアイヌ民族の生き方の意義を思い起こさせるるものになっている。

司会の本多正也さん(グループ“シサムをめざして”)がカラフトアイヌの歴史について説明した後、「アイヌ・アート・プロジェクト」の版画家・結城幸二さんが「文字を持たず、国を作らず、『神』である自然の一部としてあったアイヌ民族の精神文化」と、それが日本に同化される中で奪われた過程を、静かに、時には激しい言葉で語り、その自らの文化を取り戻して自立していく展望を語った。

「アイヌ民族とはいったい何者であるのか。先住民族であるということが常識とはなっていない。アイヌはあいさつの際に、『イラムカラプチ』という言葉を使った。直訳すれば『あなたの心に触らせてください』という意味だ。『あなたの本音に触れたい』ということで翻って『私も本音で語ります』ということになる。一つの集落の中でウソや見栄があればその集落は成り立たなくなる。だから本当の気持ちをしゃべりあおう、という意味だ。ここにアイヌの精神文化の一つの現れがある」。

「いまカラフト・アイヌ(エンチゥ)は、天然ガス開発によるエネルギーマネーで、自分たちの精神文化を奪われ、解体の危機にある。経済が文化をこわした。自然とともにあるというところから物事を考える必要がある」。

「確かにアイヌは二〇〇八年の先住性を承認されたが、アイヌの中では次のビジョンを描き出せていない。多くの予算が北大に流れ、北大がアイヌ文化のステーションのようになっている。すべて北大の中で政策が決められようとしている。しかし旧土人保護法の際も北大が政策の発信基地になった。いま同じことが行われようとしている。しかしなぜ北大は自分たちがやってきたことを謝罪できないのか。私たちはアイヌが間違っていなかったこと、アイヌとして生きてきたことの証を求める。私たちが民族としてのあり方を奪われた百数十年前にさかのぼってメスを入れてほしいのだ」。

「アイヌ民族は、自分に対する自信を奪われてきた。そこから酒におぼれ。家庭内暴力をふるい、自殺者を多く生み出した。自分がアイヌであることを忌み嫌ってきたのがアイヌ民族にとっての近代だった。本当のことを語らないと人間は進歩しない。人間力を高める必要がある。原発事故は、人間が自然を壊すことによって自分たちを壊していったことを示した。人間が神になろうとしたのが原子力エネルギーだった。しかし人間は神にはなれない。『神』とは自然なのだ」。



結城さんへの質疑応答のあと、結城さんと同じ「アイヌ・アート・プロジェクト」に所属する福本昌二さんのトンコリ演奏に合わせて、結城さんが語りを行った。トンコリとはカラフトアイヌの民族楽器。二人は昨年一二月にフランスのノーベル文学賞作家ル・クレジオさんの招きでパリのルーブル美術館で、ミロのビーナス像などを背にトンコリの伴奏に合わせ「ホロケウカムイ(オオカミ)の語り」を披露した。

風に吹かれた森のざわめきのようなトンコリの響きと結城さんの語りに、参加者は静かに聞き入った。

(K)

報告 8・18「枝野暴言糾弾」首相官邸抗議行動

枝野暴言を糾弾する!再び沖縄を戦場にするな


20110818

 8月18日午後6時半から首相官邸前で、8月10日の参議院沖縄北方特別委員会で、枝野官房長官の「尖閣諸島への他国の侵略に対して、あらゆる犠牲を払ってでも自衛権を行使し、これを排除する」発言に対して、発言の撤回と長官の辞任を求める緊急行動が沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの呼びかけで行われた。


 沖縄平和市民連絡会代表世話人の新崎盛暉さんの連帯メッセージが読み上げられた。


 「……尖閣諸島問題に関して、日本政府は、一貫して、日中間に『領土問題は存在しない』という立場をとっている。したがって話し合いの場はなくなり、そうなると武力解決しかなくなる。そこから、宮古、石垣、与那国への自衛隊配備や、敵に奪われた離島を奪い返すための日米合同演習、さらには今回の枝野発言にみられるような発想が出てくる」と批判し、平和裏に解決していく道は「抽象的観念的な『固有の領土』論を棚上げし、これらの地域を歴史的文化的経済的生活圏としてきた人々の話し合いの場を通して、共存圏の構築に努力する以外にない」と訴えた。


 日本共産党沖縄選出の赤嶺政賢衆院議員が住民をまきこんだ沖縄戦を振り返り、枝野発言を批判した後、「尖閣諸島海域では中国漁民は日本人の口に合わないカワハギをとり、沖縄漁民はマグロ漁だ。日本と中国には漁業協定があり問題はない。大げさな中国脅威論に基づき、軍事力の行使なんてとんでもない。今、石垣島で日本会議の言いなりになる市長や教育長ができ、沖縄戦を否定し、ことさら領土問題をあおる自由社、育鵬社の教科書を採択しようとしている。来週の火曜日に採否を決めることになっており、それを阻止する闘いが続いている」と発言した。

 次に沖縄のヘリ基地反対協の安次富浩さんが「憲法九条をないがしろにし、戦争をすると発言する枝野は即座に辞任すべきだ。こうした発言を許す日本社会の危険な風潮がある」と電話メッセージで指摘した。この他参加した平和フォーラム、辺野古実、全労協全国一般東京労組などから枝野発言を糾弾する発言があった。沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが「今回の長官の発言は、沖縄の自衛隊基地を強化し、沖縄を米国と一体となった軍事要塞の島にして中国封じ込めの最前線にしようとするものであり絶対に許すことは出来ません」とする「長官の自衛権行使発言を撤回し、辞任を求める要請書」を首相官邸に手渡した。(M)


20110818_02

記事検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

「最新トラックバック」は提供を終了しました。
  • ライブドアブログ