虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

反ナショナリズム

【案内】安倍改憲政権を許すな! 2.11反「紀元節」行動

安倍改憲政権を許すな! 2.・11反「紀元節」行動

●日時:2月11日(月・休)午後1時開場/集会後デモ

●場所:日本キリスト教会館4F(地下鉄東西線早稲田駅3b番、2番出口から徒歩5分)

●資料代500円

●主催:反「紀元節」行動実行委員会/連絡先090―3488―0263


よびかけ

 二〇一二年一二月二六日、自民党の安倍晋三総裁が首相に指名され、 第二次安倍政権が発足した。衆院選で二九四議席、公明党をあわせた与 党で全議席の三分の二を超えるという圧倒的な力を得て、「日本を取り戻す」と連呼する国家主義者による、極右保守政権が登場した。

 安倍自民党が選挙戦で掲げた政権公約には、「被災地の復興」「日米 同盟の強化」「集団的自衛権の行使を可能に」「領海警備の強化」「成長するアジア経済圏を取り込み……国際資源戦略を展開」「教科書検定 基準を抜本的に改善し、あわせて近隣諸国条項も見直し」などの文言が 並ぶ。それらは、原発の再稼働と新規建設を見据えつつ、住民不在・資本主導の「復興」をすすめること、安保体制に基づく日米同盟を基軸と し、沖縄をふみにじって軍事力を強化すること、アメリカと共同してアジアにおける覇を唱え、国家主義的な国内再編成を進めるということの 宣言である。そして最後には、安倍の「悲願」ともいえる「新しい日本 のかたち」をつくること、すなわち憲法の「改正」が提示されているのだ。

 サンフランシスコ講和六十年を機に昨年改訂された自民党の憲法草案は、九条改憲はもとより、天皇元首化や「日の丸・君が代」の明記、 「公共の利益と秩序」のために基本的人権や表現の自由の制限を公然と 掲げるものであり、なによりも、主権者である民衆が国家権力を縛るためのものである憲法を、国家が民衆を縛るという観点で書き換えている点において、けっして許すことのできない代物だ。

 たしかに、自民党が 積極的に支持された結果としての選挙戦の勝利とはいえず、また与えられた支持も改憲政策に対するものではなかっただろう。とはいえ、政権公約にそれを書き込んだ自民党が圧倒的多数の議席を得たことの意味は 大きい。さらにまた、自民党を右から突き上げる日本維新の会が凋落した民主党に迫る議席を得た。政権交代期はもちろん、第一次安倍政権の時期と比べてさえ、政治的な力関係、そしてそれを支える社会的な意識が、大きく右に動いているといわざるをえない。こうした状況を少しでも変えていかなければならない。

 もちろん、いったんは挫折した安倍の政治が、こうした背景を力に一気に現実化するとは必ずしもいえないだろう。安倍政権は、当面は中国や韓国との関係修復に動き、村山談話の踏襲も口にしている。さらに「従軍慰安婦」問題での日本軍の関与を認めた河野談話に関しても、当初その見直しを明言していたのに、一転して「慎重に」と立場を修正した。その背景には、主として米日韓の東アジアでの連携を優先するアメリカ国務省からの要請もあったと伝えられる。

 けれども、そうであればなおさら、国内的には国家主義的な右翼政治は一層強まっていくはずだ。対外的なアメリカ追随と国内的な「復古色」、それが安倍のナショナリズムである。さらにいえば、自民党の政権公約に掲げられていた項目も、実際にはすでに実体化しつつある現実そのものだ。米軍基地の強化と日米軍事一体化、領土ナショナリズムの扇動、原発の再稼働、民衆の生存権にかかわる政策の改悪、さらには天 皇の実質的な元首化や、「日の丸・君が代」のおしつけ、社会全体に蔓延する排外主義的なムード、国家による治安弾圧や人権侵害、これらはもはや日常である。安倍政権の役割は、そういった方向性を強化し、より目的意識化し、現実のものとして進めていくことである。

 こうしたなかにあって、われわれは、「安倍改憲政権」を許さないという角度から、今年の反天皇制運動を展開していきたいと考える。天皇起源の建国神話は、「日本の伝統文化」の一環としてあらためて位置づけなおされるであろうし、おそらく今年も、天皇出席のもとで3・ 11の「東日本大震災追悼式」が開催されるだろう。憲法記念日を前後し て改憲論議がすすみ、参院選の結果によっては、その具体化が着手されるだろう。こうしたなかで、国家主義や歴史の偽造がすすみ、「公共の秩序」をうたって治安弾圧も強化されるだろう。私たちは、こういった状況をはねかえしていくためにも、さまざまな運動課題を担ってきた人びととともに、協働の取り組みとしてこれらの状況に対する抗議の声をあげていきたいと考える。

 2・11の反「紀元節」行動をともにつくっていくために、多くの参加賛同を訴えます。
 
 

報告:『日の丸・君が代』強制反対!10.23通達撤回!「破壊的教育改革」を許さない! 学校に自由と人権を!10・20集会

DSCF6592 10月20日、「『日の丸・君が代』強制反対!10・23通達撤回!「破壊的教育改革」を許さない! 学校に自由と人権を!10・20集会」が全電通会館で行われ、200人が参加した。主催は、10・23通達関連訴訟団(「日の丸・君が代」強制反対・予防訴訟をすすめる会、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会など13団体)。

 石原都知事と東京都教育委員会による新自由主義的教育破壊の一環としてある卒・入学式時の「日の丸・君が代」を強制する「10・23通達」(2003年10月23日)を発出してから九年がたった。教育労働者の「君が代」斉唱時の不起立・不伴奏の闘いへの報復弾圧として441人が処分されている。再雇用職員・再任用・非常勤教員等の合格取消・採用拒否も70人にのぼっている。さらに都教委は、都立高校の防災宿泊訓練での自衛隊との連携、侵略戦争美化の副読本の発行、競争と「自己責任」の教育の推進、教職員の管理・支配を強化している。

 連動して大阪でも橋下大阪市長率いる維新の会が主導して、新自由主義的教育破壊と弾圧を押し進めている。集会は、法定内外で粘り強く闘う10・23通達関連訴訟団が軸となり、新たな反撃を作り出し、大阪で闘う仲間たちと連帯していく場として行われた。

 主催者あいさつが近藤徹さん(「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会)から行われ、「都教委は、不起立教員の抵抗を根絶しようと『再発防止研修』を質量ともに強化している。だが学校現場での不服従の闘いは続いている。集会は、訴訟団が共同し『日の丸・君が代』強制反対の裁判勝利をめざす運動の結節点とすると共に、東京の『破壊的教育改革』に反撃していこう」と発言した。

 10・23通達関連訴訟団の紹介、宇都宮健児さん(前日弁連会長、弁護士)、落合恵子さん(作家)からのメッセージが紹介された。



これからの課題



 大内裕和さん(中京大教授)の講演が行われ、「『日の丸・君が代』強制反対運動のこれからの課題~東京と大阪から考える~」について以下のように提起した。

 ①「日の丸・君が代」強制反対運動の意義―「10・23通達が憲法の『思想及び良心の自由』に関わる問題であることを明確にした。「国論二分」状況をつくりだした」。

 ②教育における新自由主義と国家主義―「都教委による新自由主義的教育破壊とは、日の丸・君が代』強制だけでなく、階層的な職階制度とトップダウン体制/教員人事考課制度/学校評価制度/高校再編と中高一貫校の設置/教員給与格差などであった。教員の日々の教育実践のプロセスへの統制・介入、政治支配であり、単純な『戦前回帰』ではなく、新自由主義への『抵抗体』への攻撃であり、解体であった」。

 「橋下・大阪維新の会は、教育行政基本条例、府立学校条例、職員基本条例によって知事の政治支配が教育現場まで貫徹する仕組みをねらった。また、高校再編と整備、公立校と私立校の競争促進などによってグローバルな人材育成にある。会は、富の不均衡の拡大の中で庶民の将来の不安と不満の鬱積を公務員・教員バッシングに向かわせ、労働者間を分断させていった。変えてくれるなら独裁でもいいという雰囲気に流れていった」。

 ③今後の課題―「第1は、『思想及び良心の自由』(憲法19条)にプラスして『日の丸・君が代』が日本の帝国主義的侵略とアジア・太平洋に果たした歴史的役割の認識を広げることだ」。

 「第2は、教育領域ばかりではなく社会全般での新自由主義による『格差と貧困』のサイクルを批判し、反貧困のための闘いと連携していくことが重要だ。具体的には、同一労働同一賃金の原則による最低賃金の飛躍的上昇、時給1200円プラス家賃補助の政策の実現であり、生存権が結集軸だ」。

 「第3は、新たな帝国主義台頭に対する反戦運動の構築だ。とりわけ『尖閣問題』では、国有化を撤回し、外交交渉の場をつくるべきだ。反原発、反消費税増税、反貧困、反TPP、反米軍基地(オスプレイ)の運動を憲法改悪反対の運動とつなげていくことだ。大学の秋入学の前にボランティア活動を促進させると言っているが、ここに自衛隊体験入隊が設定されてくる可能性がある。先取り的な『徴兵制』を警戒しなければならない」。



大阪の闘い



 後半は、よしだよしこさん(シンガーソングライター)のメッセーソングで再開した。


 奥野泰孝さん(大阪・被処分者、府立学校教員)は、「今春の卒業式・入学式で君が代斉唱時に不起立であったことで戒告処分を受け、人事委員会に不服申し立てを行った。仲間たちで不起立の思いをグループZAZAでまとめた。自分の人生の筋を通すために権力の横暴に反対していく」と述べ、府教委を批判した。

 最後に集会アピールを参加者全体で採択した。(Y)
 

【報告】「領土問題」の悪循環を止めよう―日本の市民アピール 10.18首相官邸前アクション

IMG_1411 一〇月一八日、衆議院第一議員会館前で、「領土問題」の悪循環を止めよう―日本の市民アピール世話人呼びかけ、平和のための国会前行動が行われた。ローソクを灯しながらアピールが行われ七〇人が参加した。

 高田健さんが「九月二八日、市民アピールを発表したが今日まで賛同が一九二一人にのぼった。日本全国から期待が寄せられるとともに、韓国・中国・台湾に連帯の動きが広がっている」と報告し、集会が始められた。

 最初に、岡本厚さん(『世界』前編集長)が経過報告を行った。

 「今年の夏から九月にかけて、日韓、日中の争いが繰り広げられ、中国で反日運動が暴動に発展した。政府間で意思疎通がなく、武力衝突も考えられないわけではない。日本のメディアは中国をやっつけろと煽った。何とかこれを止めなければならない。日本国憲法九条で武力の行使・威嚇はできないとしている。こうした状況を打開するためにいっしょになって声明をつくった」。

 「領土問題といってもそれは歴史問題だ。日本の侵略によって起きた問題だ。尖閣問題は石原都知事が火をつけ、日本政府が国有化した。中国から見れば現状を変えたことだ。固有の領土なんてありえない。日本政府は領土問題は存在しないというがこれでは対話さえできない。市民アピールは、大きな反響を呼び起こした。一〇月四日、中国で理性を取り戻そうとアピールが出され七〇〇人が賛同している。一〇月六日、台湾で上海、北京、ソウル、沖縄、そして日本からスカイプで参加した国際会議が開かれた。そこでは平和的、対話で解決をしようと話し合われた」。

 「今後、民間交流やシンポジウムを開きたい。解決のために不戦・互恵の流れを広げていきたい。相互不信があるから領土紛争がある。東アジアを平和で豊かにするためにがんばろう」。

 世話人の内田雅敏弁護士が北京からのアピール(①領土問題の悪循環を断とうについて、理解する。②理性を持って解決を③偏狭なナショナリズム反対④民間ルートの発展を。子々孫々のために平和的未来を築こう)を代読し発言した。

 「中国人強制連行、西松建設問題で和解が成立し殉難の碑が建てられた。それは日中友好のあかしだ。五回目になるが今年も三〇人が中国から参加する予定だった。しかし、十数人は日本が恐いなどと来られなくなり、一八人が広島にやってくる。その中国人たちを広島の原爆資料館に案内する。強制連行して作られた中国電力水力発電所は今も使われている。中国人たちは末永く使って欲しいと言い、中国電力側は大事に使いたいと述べた。殉難碑が友好の碑に変わる。運動の正しさを確信している」。

 橋本勉さん(民主党、衆議院議員)が「山口外務副大臣は尖閣の国有化をやってはいけないと外務大臣に進言していたがこれを無視して野田内閣は国有化を決めた。この結果、中国の日本企業や日本人の生命が危うくされた。慎重にことを進めなければならない。他の国の国民が平和に生きられるように考えて行動しなければならない」とアピールに賛同する立場を語った。

 服部良一さん(社民党、衆議院議員)は「今回の領土問題は日本の帝国主義・植民地支配に端を発しており、歴史認識の問題だ。日中国交回復の時、棚上げにされ、後世のわれわれに託された。侵略の歴史を教えてこなかったわれわれも反省すべきだ。鳩山政権時は東アジア共同体を呼びかけた。その後の政治が悪い。盧溝橋事件勃発の七月七日に国有化を決めた。中国人の歴史認識をまったく理解しようとしないのが今の政府のやり方だ。今回の勇気ある市民アピール行動は平和構築に大きな力になる。国会は国益に流されているが日本がアジアに信頼されることが国益だ」と述べた。

 在韓被爆者問題を長年にわたって取り組んできた小田川興さんが韓国の五九六人が署名したアピールを読み上げた。このアピールでは、中国・台湾の声明に深く共感し、日本の市民アピールに熱い支持をすると表明している。また、小田川さんは日韓の学生交流事業の経験を通して「正義と信義」が大切であり、それが平和の源泉になると訴えた。福島みずほ社民党首は「領土問題を口実に、オスプレイの配備や沖縄の基地の強化、そして憲法を変え、戦争のできる国をつくろうとする動きに危惧を感じる。中国・台湾・韓国でもキャンドルが行われていると聞いている。人と人のつながりをつくりだそう」と発言した。この他、瑞慶覧チョービン衆院議員が連帯のメッセージを寄せた。

 コメディアンの松本ヒロさんほか数人の参加者がそれぞれ熱い思いを語った。最後に高田さんが、世界各国にいる日本人が賛同していること、沖縄からの賛同が多いことを紹介し、①一〇月二五日に内閣府にアピールを提出する。②賛同個人署名を一〇月二四日まで行う、と行動提起した。そして、「米軍と自衛隊が沖縄諸島のすぐ近くで、島の奪還・上陸訓練を行おうとしている。また、中国人民解放軍も同様の訓練をやろうとしている」と、軍事行動のエスカレートを批判し、アピール運動の重要性を再度確認した。(M)
 
 

報告:8.31都教委包囲、要請行動

IMG_4107 8月31日、石原・中村東京都教育委員会の暴走を止めよう!ネットワークは、都庁第二庁舎前で都教委包囲、要請行動を行い、100人が参加した。



田中さんへの弾圧をやめろ



 午前は、水道橋の都教職員研修センター前で「日の丸・君が代」強制不起立を行った田中聡史さん(板橋特別支援学校教員)に対する都教委の「服務事故再発防止研修」強要への抗議行動(80人)が取組まれた。

 都教委は不起立ゼロに向けて処分を乱発してきたが、田中さんの不起立で頓挫してしまった。都教委はその報復として、この5ヶ月間に研修センターの研修(2回)、統括指導主事の学校での研修(3回)、学校長研修(毎週1回が20回)を集中的に続け、人権侵害の「思想転向」を迫ってきた。3回目の研修センターでの再発防止研修は、服務指導、受講報告書の作成、研修部長訓話を行ってきた。

 行動後、田中さんは、「都教委は『今後は二度と服務事故(不起立のこと)をおこさない』とチェックしてきたが、思想・良心の自由、教育の自由から断った」とアピールした。



都教委の居直りを許すな



 午後4時から都庁前で前段集会が行われ、見城﨣樹さん(ネット)から開催あいさつが行われ、「都教委包囲行動は、今回9回目だ。『日の丸・君が代』強制の10・23通達と「君が代」不起立処分を撤回させるまで続ける。大阪・橋下の教育関連条例による攻撃も強化されつつある。東京と大阪、全国の闘いを連携させ、跳ね返していこう」と訴えた。

 近藤順一さん(累積加重処分取消裁判)は、都教委による田中さんへの再発防止研修強要に対する抗議行動の報告を行い、「5ヶ月にわたる長期研修が継続して行われた。研修の成果がないと判断して、分限免職をねらっている。都教委に対する抗議を強化していこう」と強調した。

 第二庁舎10階の会議室に移動。都教委から波田・教育情報課長らが出席した。

 見城さんは、ネットの要請書を提起し、「都教委による『北朝鮮による拉致被害者の救出を目指す署名への協力依頼及びブルーリボンの紹介について』は、明らかに石原知事のお墨付きによって行われたものであり、都政の私物化、地位利用、政治行動だ。署名用紙を撤回し、石原知事は責任をとって辞任せよ」と突きつけた。

 さらに①学校の管理統制の強化②業績評価制度③教育の不平等④全国学力テスト⑤10・23通達について批判し、「『いじめ』が再び社会問題化している。だが都教委は何ら反省せず、開き直っている。教育の機会が大きく損なわれる状態にあるのに、オリンピック招致にカネを使うくらいなら、子どもたちに十分な教育を保障する手立てを講ずるべきだ」と要求した。

 高嶋伸欣さん(琉球大学名誉教授)は、都教委が7つの基本的事実の誤りがある扶桑社版歴史教科書を使っていることに抗議し、「怠慢、不作為の責任の自覚と都民全体に対する謝罪(「恥宣言」)を表明せよ」と糾弾した。

 続いて町田市公立学校教職員組合などから「10・23通達の撤回。懲戒処分撤回。服務事故再発防止県市有の中止。新たな懲戒処分をやめろ」と要請した。

 都教委は、高圧的に「承りました」などと事務対応を繰り返し、参加者の抗議の中、逃げるようにして退室した。

 ネットは、都庁前に戻り集約集会を行った。不誠実な都教委の態度を許さず、抗議のシュプレヒコール。橋下大阪市政と闘う大阪の仲間たちから報告と連帯アピールが行われた。

(Y)

新たな情勢認識の上で釣魚台防衛運動を考える

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釣魚島に上陸した香港の保釣行動委員会のメンバーら(2012年8月15日)

石原慎太郎・東京都知事による「尖閣購入」「尖閣調査」というナショナリズム排外主義の扇動に、労働者市民は祖国敗北主義、プロレタリア国際主義、エコ社会主義で対抗しよう。以下は、香港・先駆社のウェブサイト労働民主網に掲載された小論。小見出しは訳者。(H)

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新たな情勢認識の上で釣魚台防衛運動を考える

陳景基


8月15日、7人の香港人が釣魚台に上陸し、日本政府による占領に抗議し、日本当局に逮捕、強制送還された。香港の親中派は面目をつぶされた形になった。というのも、親中派は香港政府とその後ろ盾である中国共産党が香港で愛国教育を推進することに対して、大声で支持していたにもかかわらず、自分達ではなんら釣魚台に対する行動をとらず、(中国政府と対立的関係にある)民主派をふくむメンバーらが釣魚台に上陸することをなすすべもなく傍観し、愛国主義の大旗を敵(つまり民主派)の側に奪われた形になったからだ。


◇ 人民に愛国教育は不要


40年にわたる釣魚台防衛運動に進歩的な役割があったとすれば、それは当初から市民運動として提起されということだろう。中国と台湾の両政府がともに冷淡だった状況のなかで、日本帝国主義の再拡張に危機感をいだいた香港市民が、政府による逮捕や暴力に屈することなく立ち上げた運動であったからだ。(香港は1941年12月25日から1945年8月15日まで日本の軍事占領下におかれた:訳注)


中国の近代史は次のことをわれわれに教えている。つまり、売国行為を策動し、また実際に売国行為を達成したのは、つねに政府とその指導者であり、国を守るために立ち上がったのは、いつも普通の人々、そして無名の英雄達であったということである。道理は極めて単純である。普通の人民が自分の故郷や国を愛おしむことは自然なことだからであり、愛国教育などというものを注入する必要はなく、ましてや政府がそれを代行する必要などまったくないのである。愛国教育が必要なのは往々にして人民の方ではなく政府の官僚達の方だろう。


いま中国共産党は香港で愛国教育を推進しようとしており、このチャンスに乗じて共産党への忠誠を強制しようとしている。だがそれは、国を愛することとは違うのである。


◇ なぜ釣魚台運動は進歩的だったのか


冷静に考えれば、中国共産党は清朝や国民党政府に比べて、外国からの抑圧に抵抗する気概を持っているといえるだろう。しかし釣魚台の防衛については、この40年来まったく積極的ではなく、逆に市民による釣魚台防衛運動にたいする弾圧に対しては積極的であったといえる。だが近年、中国政府の対応は変わりつつある。いまの中国の政権は釣魚台防衛に積極的な姿勢を見せている。すくなくとも言葉の上では非常に威勢がいい。だがそれは吉兆ではなく凶兆である。


40年前は、冷戦中であり、日本政府は厳密な意味においては軍国主義政権ではなかったが、依然として経済的にアジア人民を搾取し、アメリカ覇権主義と結託して反共政策を実施していた。一方、中国は日米に包囲された貧困国であり、資本主義とアメリカ覇権主義に反対する大国でもあった(すでに妥協路線へとかじを切ってはいたが)。この二つの陣営の対決のなかで、日本支配勢力の再拡張はアジア人民にとって不幸であり、当時の釣魚台防衛運動は多少なりともこのような拡張に抵抗する意味合いを持っていたことから進歩的であった。


◇ 「冷戦」から「商戦」の時代に


40年後の今日、状況は根本的に変化している。日米政府が悪の勢力であることには変わりはない。しかし中国は強大になり、他国から侵略される危険性というのはほとんどなくなっている。だからたとえ中国が当面のあいだ釣魚台を奪還できなかったとしても、それが中国への再侵略の起点となる心配はない。つまり今日の釣魚台防衛運動の意義はかつてにくらべて縮小している。


中国は強大になっただけでなく、その性質にも変化があった。資本主義への回帰である。だから冷戦が終結したいま日米もかつてのように中国を孤立させる必要がなくなっただけでなく、逆に中国政府と経済の上で協力関係を築き、グローバルに新自由主義を推進しながら、あちこちで自由貿易協定を締結している。しかし中国、アメリカ、日本による資本主義のグローバル化政策の推進は、相互間に市場争奪戦を繰り広げ、一層激しい競争を余儀なくさせる。


それゆえ冷戦は終結したが、中国と日米との間の資本主義的商戦の序幕はすでに開かれている。今日、中国政府が釣魚台防衛を熱心に取り組み始めたとすれば、それは市民による釣魚台防衛運動を日米との商戦に利用しようとしているに過ぎない。もしも将来、中国政府が積極的に軍事面で釣魚台防衛に動き出したとすれば、政府による釣魚台防衛は、中国政府が資本主義的商戦を推進するための駒に一つに過ぎず、それは40年来の市民による釣魚台防衛運動の素朴な性質とは大きく異なる。


◇ 経済拡張主義に奔走する中国


最近、強国左派(マルクスや毛沢東の用語を並べ立てて外国資本の言いなりではない民族資本主義の大国を目指せと主張し、労働者民主主義には極めて消極的である点が特徴:訳注)が出版した『大目標:われわれとこの世界の政治的協議』は、報道によると、著者達は中国が帝国主義の道を歩む可能性を排除しないことに同意しているという。しかし、この著者らによると、帝国主義とは必ず軍事的に他国を占領することが含まれるのであり、様々な情勢から中国による他国への軍事占領は難しいことから、中国が帝国主義になる危険性は大きくないという。この考えはおそらく正しくないだろう。軍事占領が帝国主義の主要な特徴ではないからだ。第二次世界大戦以降、帝国主義は民族解放運動による打撃のもとで、経済侵略を主要な形式とした対外拡張に進化を遂げたからである。それは今日の中国の支配者が必死に模倣しようとしている拡張モデルでもある。今日の中国の支配者は建国の理念を放棄し、経済拡張主義に奔走している。これでは愛国というより、その逆である。


◇ 国際連帯こそが前途


冷戦においては、労働者人民はどちらかを選択する必要があったが、商戦においてはどちらかに組みする必要はない。冷戦時代に「社会主義陣営」と呼ばれた陣営は実はそれほど社会主義ではなかったが、少なくとも資本主義には反対していたことから、労働者人民は資本主義にくらべてましな経済的待遇を受けることができた。


しかし今日の資本主義的商戦は、中国の官僚と資本家と外国の同業者達の間での争奪戦であり、しかもそれは各国の労働者人民と自然資源に対するさらなる搾取によってのみ維持することができる。経済競争が過熱すればするほど戦争の危機は大きくなり、その時には支配者は労働者人民にさらなる犠牲を強いるだろう。このような資本主義大国間の商戦は、労働者人民には災禍しかもたらさない。今日の中国は侵略される危険性はないだけでなく、他の小国を抑圧する覇権国家となりつつある危険性が日々増している。市民運動による釣魚台防衛運動は、いま一度、いかに帝国主義政策の駒になることを回避するのかを考えなければならない。


つまるところ、中国の労働者人民の前途は、自国支配者の経済拡張主義を手助けするのではなく、各国の労働者人民と団結してそういった拡張主義を阻止することにある。釣魚台を巡る争いは、このような大局に立って考えなければならない。


2012年8月27日

日本による「尖閣・竹島」の領有は侵略・植民地支配の産物だ-「領土ナショナリズム」に反対しよう!

m0013159730(画像は8月15日に「釣魚台防衛」とともに「靖国参拝抗議」「元"慰安婦"への賠償」などを訴えて台湾台北で行われたデモ)
 
二〇〇〇万人を超えるアジア民衆、三一〇万人の日本民衆の悲惨きわまる死をもたらした天皇制日本帝国主義の侵略戦争が敗北に終わった八月一五日。今年の「八・一五」は韓国、中国との「竹島」(独島)、「尖閣諸島」(釣魚諸島)をめぐる紛争の新たな顕在化の中で、排外主義的ナショナリズムと「領土保全=安全保障の危機」キャンペーンが、日本国内であらためて大きくかきたてられている。

 八月一〇日、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は、「竹島」(独島)に韓国大統領として初めて上陸した。イ・ミョンバク大統領は、日本政府が慰安婦問題の解決のための韓国政府の要請を拒否し、「一九六五年の日韓条約で解決済み」との態度を取り続けていることへの批判である、と語った(八月一三日)。さらに八月一四日には「天皇は韓国を訪問したがっているが、独立運動で亡くなった方々を訪ね、心から謝るなら来なさい」との発言も行った(後にこの発言の一部を訂正したが)。

 イ・ミョンバク大統領のこの行動や発言が、どのような思惑から発せられたかにかかわらず、われわれは「慰安婦問題の根本的解決」すなわち日本軍「慰安婦」への謝罪と補償を求める主張が正当なものであり、日本の労働者・市民自身の課題として日本軍「慰安婦」への謝罪・補償を通じて、彼女たちの「正義」を日本政府に求めていかなければならない、と考える。そのことは、イ・ミョンバク大統領による今回の「独島上陸」行動の政治的意図の分析とは相対的には別個に確認するべきことである。



 「竹島」(独島)が「日本固有の領土」であり、「竹島は韓国によって不法占拠されている」という立場も撤回させなければならない。何よりも、一九〇五年の竹島の「日本領土編入」が、一九〇四年八月の第一次日韓協約、一九〇五年一一月の第二次日韓協約による韓国の「保護国化」を経て、一九一〇年の「韓国併合」に至る日本の朝鮮植民地化のプロセスの不可分の一環であることは、誰にも否定できない歴史的事実だからである。

 ところが、たとえば朝日新聞は「竹島問題、なぜおさまらないの」と題したニュース解説欄(「ニュースがわからん!」八月一六日朝刊)で、「日本は遅くとも江戸初期には領有権を確立したと考えている」との政府見解を無批判に掲載している。しかし江戸時代初期に「竹島」と呼ばれていたのは現在の韓国領鬱陵島なのであり、一六九六年に江戸幕府は朝鮮との交渉の中で鬱陵島が朝鮮領であることを承認し、幕府は鬱陵島への日本人渡航を禁止した。そして当時、鬱陵島への航行の目印として、日本名「松島」と呼ばれていた現在の「竹島」は、絶海の無人島として一九世紀半ばにいたるまで忘れ去られてしまった、というのが事実なのだ。
 
明治政府が一九〇五年二月に竹島の領有を宣言したのは、「江戸初期に領有権を確立していた」などという偽造に基づいたものではなかった。時の日本政府は、「竹島がどの国の領有権も及んでいない『無主の地』」であるという確認に基づき「無主地先占」の原則を振りかざして「竹島」(独島)の島根県への編入を行ったのである。「江戸時代初期に領有権を確立していた」のであればそんなことはしないはずだ。そして一〇年前の「尖閣諸島領有」時と同様に、「竹島領有」にあたっても国際的な「通告」はいっさい行われていない。

 野田政権は、この「竹島」(独島)へのイ・ミョンバク韓国大統領の「上陸」に抗議して、武藤駐韓日本大使を召還するとともに、五〇年ぶりに竹島の領有権問題を国際司法裁判所(ICJ)に提訴する強硬方針を固めた。さらに安住財務相は「日韓通貨協力」の打ち切りも示唆している。

 しかしこの問題の本質が、日本の朝鮮植民地支配、とりわけ日本軍「従軍慰安婦」への謝罪と補償を実現することであることを明確にしなければならない。「慰安婦」問題の解決をさしおいて、「竹島」(独島)の領有権を主張し、領土主義的ナショナリズムを煽りたてることこそ批判しなければならない。「日本の領土を韓国が不法占拠している」と声高に主張することをやめ、植民地支配の完全な清算への努力を進めることこそが出発点なのである。

 

 イ・ミョンバク韓国大統領の「竹島」(独島)上陸に続いて、八月一五日には香港からの抗議船に乗った七人が「尖閣諸島」(釣魚諸島)の魚釣島に上陸し、上陸した香港保釣行動委員会のメンバーと抗議船の乗組員など一四人が沖縄県警と海上保安庁に逮捕され、強制送還されるという事件が発生した。

われわれは「尖閣諸島」の日本の領有権主張に対して一貫して反対してきた。「尖閣諸島」の日本領有が、一八九四~九五年の日清戦争による台湾植民地支配と軌を一にしたものであり、それはおよそ国際法的にも正当化されないものだからである。そしていま、石原都知事による「尖閣諸島」の買い取り宣言や、野田政権による「国有化」の検討が、「中国の脅威」に名を借りた、沖縄を拠点とする日米軍事同盟の実戦的強化と一体のものであり、それと連動した排外主義的ナショナリズムのキャンペーンと連動しているからである。

ところが民主党、自民党から共産党、社民党にいたるまで左右を問わずすべての議会政党、そしてマスメディアが「日本固有の領土」である竹島、尖閣諸島の領有権を毅然とした態度で防衛せよという主張で一致している。野党の側は野田政権の「弱腰外交」を煽りたて、民主党政権が政治能力を喪失し断固とした対応を取れないからこそ、ロシアや韓国や中国の「不当な領土侵犯」に火をつけたと批判し、森本敏防衛相の「イ・ミョンバク大統領の竹島上陸は韓国の内政問題」という言及を取り上げて、野田政権を揺さぶっている。

そしてメディアでは、あたかも中国の「領土拡張」主義によって「尖閣諸島」で日中両国の軍事衝突が近々発生するというような危機アジりが横行している。そして同時に、この「軍事衝突」の可能性も見据えて、それに備えるために「日米の動的協力」が必要なのだとする主張が前面に押し出され、オスプレイ配備に反対する沖縄・「本土」の世論を抑え込もうという主張も強まろうとしている。



八月一八日、自民党の山谷えり子参院議員が会長をつとめる「日本の領土を守るために行動する議員連盟」が呼びかけ、自民、民主、きづなの国会議員八人が「尖閣洋上視察」を名目に石垣島から漁船で、尖閣諸島海域に向かった。この漁船には一六人の地方議員と極右のスター・田母神俊雄元航空幕僚長も乗った。同じく宮古島と与那国島から総勢一五〇人が二一隻の船で、尖閣海域に向かった。そのうち地方議員をふくむ一〇人が魚釣島に「日の丸」を掲げて上陸するという挑発を行った。

極右ナショナリスト・排外主義者たちのデモンストレーションである。国会解散・総選挙を見据えたこうした動きにはっきりと反対しよう。共産党、社民党は「北方諸島・竹島・尖閣諸島」への領土要求に加担してはならない。

 オスプレイ配備に反対する闘いは、「日本の領土が脅かされている」というキャンペーンを明確に反対することによってこそ、真に一貫性を持って繰り広げられることになるのである。「領土」問題を振りかざすことは、民衆間の連帯によって平和を達成しようとする努力を妨げるものでしかない。

(8月19日 K)

報告:排外主義と天皇制を問う8.15 反「靖国」行動

15写真1 8月15日、排外主義と天皇制を問う8・15 反「靖国」行動実行委員会は、集会(在日本韓国YMCA)と反「靖国」デモを行い、170人が参加した。

 天皇と野田首相は、政府主催の第67回全国戦没者追悼式(武道館)でアジア民衆に向けた戦前の植民地支配と侵略戦争の真摯な謝罪と反省をせず、戦後補償について触れなかった。従来から続くこの姿勢を韓国の李明博大統領は、天皇訪韓について「(日本の植民地支配下で)独立運動への謝罪をするというのならいいのだが、『痛惜の念』だとか、こんな単語一つなら、来る必要はない」、旧日本軍従軍慰安婦問題についても「女性の人権問題として、人類の普遍的価値と正しい歴史に反する行為だ」と批判した。李発言が自らの政治的不安定性を乗り切るためであったとしても、その背景には韓国民衆の歴史的に続く怒りがあるからだ。

 野田首相は、全国戦没者追悼式での式辞で「国際社会の一員として、国際平和の実現を不断に追求していく」と強調し、対中国と領土ナショナリズムを煽りながらグローバル派兵国家へと突き進もうとしている。野田は、かつて野党時代に小泉政権に対して「4回におよぶ(戦犯釈放を求める)国会決議などで、A・B・C級すべての戦犯の名誉は回復されている」「A級戦犯合祀を理由に首相の靖国参拝に反対する論理は破綻している」という質問主意書を出していた(2005年10月)。今回は、アジア諸国からの批判をすり抜けるために靖国参拝を行わなかったが、野田の本音は靖国賛美なのだ。産経新聞から「野田首相は靖国神社をよく理解する政治家だけに、残念である」(8月17日)と言われる始末だ。

 野田の立ち振舞いに苛立った松原仁拉致問題担当相、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」副会長の羽田雄一国土交通相が民主党政権下で初めて靖国参拝を行った。侵略戦争と天皇制を賛美する「国会議員の会」の与野党国会議員55人、石原慎太郎都知事が参拝を強行し、英霊にこたえる会と日本会議が靖国神社で「戦没者追悼国民集会」を開催した。連動して天皇主義街宣右翼、在日特権を許さない会、頑張れ日本!全国行動委員会などが反天皇制運動への敵対を行ってきた。反「靖国」行動は、右翼らの暴力的破壊と挑発を許さず、断固として集会と反靖国デモを貫徹した。



全国戦没者追悼式批判



 集会は、実行委から①「戦没者追悼式」と「靖国」参拝に抗議の声を!②右派状況・歴史認識③野田政権の性格④普天間基地へのオスプレイ配備を許すな!日米安保廃棄、天皇沖縄訪問阻止を!―基調を提起した。

 さらに「アキヒトXデーを見据えた天皇制の強化に対しても、反天皇制を鮮明に一つ一つ闘いを繋げて」いくことを確認。とりわけ天皇制国民統合装置と治安管理の強化に反撃するための一環として「スポーツ祭東京2013」(第六八回国民体育大会・第一三回全国障害者スポーツ大会)反対運動、東京都の2020年オリンピック招致運動への批判を強め、反天皇制運動を広げていくことを意志一致した。

 「お話」が山田昭次さん(歴史研究者)から行われ、「8・15と国体護持、日本の軍事大国化のための『愛国心』昻揚」について問題提起した。

 山田さんは、冒頭、「8・15とは何だったのか。この日が敗戦という危機を迎えた天皇制国家の護持を訴えた日であるにとどまらず、その後にもこの日が日本の軍事大国化の精神的支柱としての『愛国心』、すなわち国家に対する忠誠心の昻揚を目指す国家儀礼の日として利用されてきた」と糾弾した。

 そのうえで「8・15」批判を①1945年8月15日、天皇が日本人民私有に天皇制国家護持を訴えた「終戦の詔勅」②アジア・太平洋戦争日本人戦死者を殉国者として顕彰する全国戦没者追悼式と8・15との結合③「戦没者を追悼し平和を祈念する日」の制定と首相中曾根康弘の8月15日靖国神社公式参拝」④首相小泉純一郎の8月15日の靖国神社公式参拝の意図――などを掘り下げ、「全国戦没者追悼式や首相の靖国公式参拝は、反平和的な政治的意図を覆い隠す役割しか果たしていない。国家儀礼にこめられた内実を見破る鋭い批判的な眼をいま日本民衆に求められている」と結論づけた。

 連帯アピールが2012・9・15ピョンヤン宣言10周年集会実行委員会、辺野古への基地建設を許さない実行委員会、自衛隊・米軍参加の東京都・目黒区総合防災訓練に反対する実行委員会2012、福島原発事故緊急会議から行われた。

 集会後、九段下の靖国神社に向けてデモに出発した。すでに水道橋から神保町には、権力機動隊配備下、天皇主義右翼、街宣車が徘徊し、デモに対する挑発を行ってきた。権力は、右翼による集会横断幕、実行委宣伝カーマイクの破壊、水入りゴム球の投擲を放置し、この妨害を利用してデモ規制を行ってきた。九段下交差点前、実行委は、不当規制をはねのけて「侵略・戦争神社ヤスクニ反対!天皇制解体!」のシュプレヒコールをたたきつけた。デモは、水道橋の解散地点に到着し、闘争勝利を全体で打ち固めた。

(Y)
 

報告:2012平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動

IMG_1255 8月11日、2012平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動実行委員会は、豊島公会堂で「60年目に考えるサンフランシスコ条約体制とヤスクニの『復権』」の集会とデモを行った。

 行動は、今年がサンフランシスコ条約発効60年の年であり、また、沖縄「復帰」、日中国交正常化、40年目にあたる位置から戦後日本のあり方を規定し、枠組みをつくったサンフランシスコ条約とヤスクニの関係を検証する場として設定した。

 今村嗣夫さん(共同代費用)から主催者あいさつが行われ、憲法改悪勢力の活性化とともにヤスクニ復権策動の警戒と人権否定の自民党憲法草案を批判していくことを訴えた。



サンフランシスコ条約講和体制批判



 第一部はシンポジウム。

 古関彰一さん(獨協大学教授)は、「サンフランシスコ条約とヤスクニ」というテーマから「講和条約の最大の特徴は、戦争を法的に終結する条約であるにもかかわらず、侵略戦争を行ったことに対する謝罪や反省がないことだ。さらに日米安保条約の締結を義務付け、沖縄を本土から分離し、侵略を受けた国々に対する賠償請求権(戦後補償)を反故にした」と批判した。

 その政治性格について「当時の権力者たちは、A級戦犯の赦免請願運動を取り組み、次々と復権させていった。このプロセスは講和条約によって権力あるいは権力に連なる人びとが有利になるような構造の下で戦後を歩み始め、その対極にある弱者、わけてもアジアの人々の視点を忘れて戦後を歩み出してしまった」ことを明らかにした。

 石原昌家さん(沖縄国際大学名誉教授)は、「サンフランシスコ条約とヤスクニ下の沖縄」について①講和条約が発効した一九五二年四月二八日を「屈辱の日」と捉えたこと②天皇制維持のための沖縄戦③戦後の天皇メッセージの犯罪性④米軍沖縄占領と講和条約⑤戦傷病者戦没者遺族等援護法とヤスクニ化された沖縄――から検証した。

 さらに「オスプレイ配備問題で日米安保を具体的に問題視する状況にある。しかし、軍事活動を活発化させている中国との尖閣列島をめぐって『領土ナショナリズム』が台頭しつつある。沖縄の先島への軍備増強化を促進させる役目を担っている。日米最後の地上戦となった沖縄戦で、沖縄住民が軍民一体化した戦闘だったと沖縄戦体験を捏造して、それを利用しているところに大きな特徴がある。日本の国民世論を好戦的軍民一体形成を狙っている」と分析し、この流れに抗するために「沖縄靖国神社合祀取消裁判」の教訓を強調した。

 曾健民さん(台湾社会科学研究会長)は、「サンフランシスコ条約と台湾」についてアプローチし、「講和条約によつて作られた軍事、政治、経済、文化体制が、未だ我々の現実生活を左右し、東アジアの真の平和にとって脅威となっている。それゆえに条約の再認識は東アジア人民が『平和、民主、公義』を追求するにあたって共同事業だ」と報告した。

 李時雨さん(韓国・写真家)は、「サンフランシスコ条約と日米韓軍事同盟」の実態について大量に配備された劣化ウラン弾の追跡、原子力潜水艦、アジアの米軍基地などを映し出しながら「国連体系化の対日平和条約」を批判した。

 高橋哲哉さん(東京大学教授)は、「サンフランシスコ条約と戦後日本の思想状況」について「犠牲のシステム」「核システム」としての日米安保体制を暴き出し、その柱の一つが「原子力平和利用」だったことを歴史的に明らかにした。



池袋一帯に反ヤスクニのシュプレヒコール



 第二部は証言&コンサート。

 イ・インボクさんは、「父は、一九四四年四月二八日、ニューギニア・ヤピック河口で亡くなり、今は靖国に合祀されています。何の権利があって、家族には何も連絡せず勝手に合祀などできるのか」と糾弾した。

 イ・ヒジャさんは、太平洋戦争費が穂医者補償推進協議会・民族問題研究所パンフ「強制動員被害者に聞く、まだ終わってない話」を紹介し、決意表明した。

コンサートは、ソン、ビョンヒさん、ムン、ジンオさんが熱唱し、連帯を打ち固めた。


 集会終了後、デモに移った。在日特権を許さない市民の会、天皇主義右翼の挑発を許さず、反ヤスクニを池袋一帯に響かせた。(Y)
 

【案内】排外主義をうつ!7.28討論集会& 『靖国中毒』上映

排外主義をうつ!7.28討論集会& 『靖国中毒』上映

 排外主義が市民権を獲得しつつあることへの不安感を、私たちはここ数年実感させられている。その排外主義は、権力の中枢から、「市民社会」と呼ばれる公共の場、市井の人々の間で、さまざまに自己主張している。

 朝鮮学校への暴力的な攻撃、学校や職場で強要される「日の丸・君が代」、自民党などが出した憲法草案の思想、入国管理・外国人登録法の強化と改悪、排除の論理で肥え太る資本、排外主義と戦争、戦争の歴史認識とその歴史認識を歪める「靖国」、デモ中に出くわす右翼の暴力、反天皇制や反「靖国」を掲げた途端に表現の自由を奪われる現実、等々。さまざまな現実があるのだ。

 深刻で今日的なこの「排外主義」の問題について、多岐にわたる視点と切り口から議論を重ね、克服可能な課題に転化していくための一歩を踏み出したい。さまざまな領域で活動する実行委呼びかけ団体を中心に、5分間スピーチの形で問題提起し、全体討論につなげていく。

 1部のDVD『靖国中毒』上映と2部の討論集会、併せてご参集ください。そして、ぜひ議論に加わってください。

◆2012年7月28日(土)
◆日本キリスト教会館4F
(地下鉄東西線早稲田駅3b番、2番出口から徒歩5分)

1部 『靖国中毒』上映
15:15開場、15:30~16:30

2部 討論会
17:15開場、17:30~20:00
問題提起:右翼、ネット上での言論、ナショナリズム、憲法改悪、「日の丸・君が代」、思想・信条の自由、表現の自由への侵害等々、できるだけ多くの視点と切り口から、さまざまな領域で活動するグループ・個人による
*1部、2部それぞれ300円(入れ替え制)
主催:排外主義と天皇制を問う8.15反「靖国」行動実行委員会
   

呼びかけ団体:アジア連帯講座、沖縄を踏みにじるな!緊急アクション実行委員会、キリスト教事業所連帯合同労働組合、国連・憲法問題研究会、市民の意見30の会・東京、女性と天皇制研究会、スペース21、立川自衛隊監視テント村、日韓民衆連帯全国ネットワーク、命どぅ宝ネットワーク、反安保実行委員会、「反改憲」運動通信、反天皇制運動連絡会、「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会、ピープルズ・プラン研究所、靖国・天皇制問題情報センター、琉球センター・どぅたっち、連帯社、労働運動活動者評議会
賛同団体:争議団連絡会議

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苦情申出書

 6月19日、私たち反天皇制運動の実行委員会は、4月29日のデモ警備のありかたについて、反「昭和の日」集会実行委員会の名前で、東京都公安委員会に対して苦情申出書提出を行いました。

 私たち実行委委員会は、今年に入り、2.11反「紀元節」、4. 29反「昭和の日」行動の一環として、警察によるデモ参加者の撮影や、前後左右から圧縮する等の威嚇・妨害行為、右翼への情報提供疑惑に対して是正を要求する行動を継続しています。

 今回の苦情申出書は、主に警察によるデモ参加者の写真・ ビデオ撮影の違法性について訴えるものでした。その後、警察による右翼団体への私たちのデモに関する情報提供の疑惑についても、審査の要求をする文書を追加することとしました。

 今回の苦情申出書提出により、 公安委員会から担当の警察部署に対し調査と回答が要求され、回答がでたところで公安委員会から実行委へ通知がきます。

回答は9月頃とのことです。

 私たちは、今年も例年どおり8.15反「靖国」 行動を準備しています。
 今年のテーマは「排外主義と天皇制を問う」です。

 今回の苦情申出は、デモくらい自由にしたい、 それくらい民主国家の前提でしょう!?と、要求しているにすぎません。

 しかし、それすらが危うい事態となっているのが今の日本社会です。
 基本的人権ともいえる思想・信条の自由と、そのための表現手段の一つであるデモの自由は、沢山の人の手で守っていくしかありません。
 実行委は行動を続けます。どうか、今年も8.15行動にはお集まりください。

 以下、6月19日付けで提出した「苦情申出書」です。 追加文書は近日中に提出予定です。
 警察がどのように調査し報告を出すのか、ご注目ください。

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苦情申出書

2012年5月31日
東京都公安委員会御中

 2012年4月29日に、 新宿区早稲田において開催された集会ならびにその後に実施されたデモ行動に対する、警視庁戸塚警察署・警視庁新宿警察署の警備課と、警視庁警備部および警視庁公安部による規制に関して、警察法第79条に基づき苦情申出を行う。

1、苦情申出人の氏名

植民地支配と日米安保を問う反『昭和の日』集会 実行委員会
実行委員 

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2、苦情申出の原因たる職務執行の日時、場所とその概要について

 年月日:2012年4月29日

 時間: 集会開催 同日13時~16時
     デモ行動 同日16時~17時

 当該の行動のうち、「植民地支配と日米安保を問う反『昭和の日』集会」は、東京都新宿区西早稲田の「日本キリスト教会館」会議室において開催された。その後に実施されたデモ行動は、前記集会会場から出発し、早稲田通りから明治通り、大久保通りを経由して新宿区大久保の西大久保公園まで実施された。

 同日の行動には、子どもや老人も参加していた。そして、このことは、申出人らが事前に戸塚警察署に赴いて、デモに伴う道路使用許可申請を提出した際に、警備担当者らに対し明確に述べており、警備担当者も知るところであった。

 それにもかかわらず、当日の警察官による警備は厳しいものであり、デモ行動への参加者は、行動の最初から最後まで警察官の強い規制に身をさらされ、その思想・信条に基づいた表現が制約された。これに加え、警察官は、指揮官車両や歩道上から、参加者の顔や全身の写真や動画を撮影し続けた。

3、苦情申出の原因たる職務執行による不利益と、 これにかかわる警察職員の執務の問題点について

 この日の苦情申出人らの行動に対し、「警備」 の名目のもとに警察官が行った職務執行は、日本国憲法に基づく個人の自由や権利を著しく損なうものであって許されない。

 この4月29日の集会とデモ行動を主催した、 同集会実行委員会は、集会およびデモ行動に先立ち、別紙の内容の要請書を、警視庁警備部長、警視庁戸塚警察署長、警視庁新宿警察署長に対して提出している。
 これに記載されている、2月11日に実施された「2.11反『紀元節』行動」は、4月29日に実施された「植民地支配と日米安保を問う反『昭和の日』集会」と、主催者や参加者の多くを共通するものである。さらに、2月11日の行動と4月29日の行動は、集会の開催場所やデモ行動のコースもまた、同じ場所とコースで実施された。

 2月11日の行動は、別紙要請書に記載されているように、右翼団体による激しい騒音と暴力にさらされるものであった。2月11日に生起した事実は、すでに日も過ぎており、今回の苦情申立てとは異なるものではあるが、内容において密接に関連性があるのでこれについて述べる。

 この2月11日には、明治通りの上下車線の歩道側には、多数の右翼の街宣車が、あらかじめ警察の指示があったように並べられ、「死ね」「殺せ」「日本から出て行け」などの脅迫が大音量で流され、右翼団体の構成員が、あちこちからデモ行動の参加者に飛びかかってきた。警察官らは、こうした右翼の暴行を十分に抑止せず、むしろ危険にさらされているデモ行動への参加者に対し、厳しい抑制を伴う警備を実施したのである。

 このような脅迫や暴力は、これまでにも形を変えて繰り返されているものである。申出人ら2月11日の行動の主催者は、集会やデモ行動への参加者の安全を最優先させる目的で、本来は広く公開するべき集会や行動のための宣伝活動も控え、デモのコースについても事前に公表しなかった。それにもかかわらず、直前に決定された2月11日当日の行動のタイムスケジュールは右翼団体に流されており、右翼による激しい暴力を前提とした警察官による重警備体制によって、当日の行動は著しく損なわれた。別紙要請書は、こうした事実経過を踏まえたものである。

 今回の4月29日の行動に際しては、 前記2月11日のような危険で不当な事態が生起しないことはもちろん、当日の行動においては、正しく基本的人権を行使し、その意思を表現することができねばならないと、申出人ら主催者は考えた。この意志を明確にするべく、集会と行動に先だち、警備担当者らに対し、要請書を手交し、読み上げたものである。

 別紙要請書に記載されている、1~4の項目は、いずれも要請としては極めてささやかなものであると申出人は考える。

 個人の肖像権は、常に尊重されねばならないものである。街角や建物などに近年はビデオカメラが多数設置されているが、その内容を一般人が開示したり利用したりすることは許されていない。これは警察官においても同様である。デモなどの行動を、犯罪捜査などの特別な理由もなくただ撮影することは、自由な政治行動や意思表示を犯罪と同一視することである。それは、個人の自由や権利を損ない、委縮させることにつながるものであって、そのようなことのないよう、警察官の職務執行においても抑制的でなくてはならない。しかし、今回の行動においては、事前に要請を行っており、当日の状況においても何らこれが必要な状況ではないにもかかわらず、警備の指揮官車両や、歩道上の多数の公安警察官らにより、放恣な写真やビデオ撮影がなされ、参加者らからの抗議によってもこれは是正されることがなかった。

 前記2月11日のような状況は、集会やデモ行動への参加者はもちろん、警備担当の警察官ら自身をも危険にさらすものでもある。今回の4月29日の行動に対しては、そのことが警備担当者においてある程度は周知されたのか、集会とデモ行動を行っている場所と時間においては、右翼団体らの直接的な襲撃は小さいものであった。

 しかし、こうした状況が起きなかったわけではない。デモ行動の終了後になって、あたかも警察官らの警備と交代するように、右翼団体の構成員らが参加者に対して襲撃をかけてきた。これにより、参加者は蹴られたり殴られたりしたが、大きな怪我や被害がなかったのは、極めて幸運なことであった。また、集会を開催した日本キリスト教団の敷地内には、右翼団体らが5台もの街宣車で押し掛け、集会の会場を提供したことに対して脅迫行為を行った。前記集会の開催中にも、右翼団体らは、会場の最寄駅周辺で、参加者らを脅迫するような行動を展開したという。

 これらは、右翼団体に情報提供がなされていたことを疑わせるに足る事情である。もしも、こうした暴力的な右翼団体に、公安部などの警察官が何らかの形で事前に情報を流していたとしたら、それは司法警察員として決して許されることではない。このような暴力的な事態はもちろん、そのような事態が生起することを予期していながら、むしろそれを助長するような動きを、警察関係者が行うようなことは、犯罪的ですらあろう。

 今回4月29日には、 前記2月11日のような事態は生起しなかったが、以上のように、憲法上の権利や自由が十分に保障された状況とはほど遠いものであった。それは、警察による適法な警備がなされていなかったことに他ならないと考える。これらについて、適切な調査と改善がなされることを求める。

 以上、苦情を申出るものである。

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別紙

警視庁警備部長 殿
警視庁戸塚警察署長 殿
警視庁新宿警察署長 殿

反「昭和の日」実行委員会

 私たち反「昭和の日」実行委員会は、4月29日、「 植民地支配と日米安保を問う反『昭和の日』集会とデモ」を行うにあたり、これまでの実行委員会が主催したデモの経験を踏まえ、4月29日当日の貴職による警備について、申し入れます。
 去る2月11日の2.11反「紀元節」行動においても、デモ申請の際に憲法・法律に基づきデモ警備に関する要望を口頭で伝えていました。しかし実際は、警察による違法な写真・ビデオ撮影や、集会会場前からデモ解散地点にいたるまでの公安警察による参加者の監視が多数みうけられました。また、デモ参加者を圧縮や暴言などの行為で威嚇し続けるなど、実行委員会からの事前の要請の多くは無視された形でした。
 それだけでなく、暴力的な妨害行動を行う右翼に、デモコースや出発時間、解散地点等々の情報を流さないよう、これまでの同様の経験に基づき、あえて要請もしていましたが、デモ行進は事前にデモコース上で待ち構えていた右翼による暴力的な妨害により、危険きわまりないものとなりました。情報は流されたと判断するしかありません。およそ表現の自由を認める法治国家とは言えない事態です。
 以上のような経緯から、3月2日付けで、各位へ2.11反「紀元節」行動への警備のあり方について公開質問状を送付し、警視庁戸塚警察署には4人の実行委および関係者が同公開質問状を持って申し入れしましたが、いずれからも真摯な対応はなされていません。
 私たちはこのような事態を繰り返すことなく、思想・信条の自由、表現の自由という権利を街頭で安全に行使していくために、またそのことを前提に集まってくる参加者の安全を守るために、再度、貴職に対し、以下を強く要請します。

1.集会会場付近での参加者の監視行動や、デモ時、 デモ参加者の写真やビデオ撮影を行わないこと。デモ隊前後の警察車両からビデオ撮影をしないこと。肖像権侵害は違法行為であるとの認識を周知徹底すること。

2.機動隊の指揮官車を、デモ宣伝カーの前につけないこと
 デモを指揮するのは警察ではないという認識を周知徹底すること。指揮官車はデモを監視しているようにしか受け取れない。

3.右翼のデモ参加者に対する威嚇・妨害行為に対して、 警察は便宜をはからないこと。
・右翼に実行委員会のいかなる情報も流さないこと。
・右翼の街宣車をデモコースに配置させないこと。

4. デモ参加者への規制および大音量でデモの示威行為を妨害しないこと
 早く歩くように指示したり、デモの後ろから押したりしないこと。不当に左右から挟み込んだり圧縮しないこと。また、大音量によるデモ行進の告知をしないこと。デモ行進は一目瞭然であって告知は不要であり、大音量のアナウンスはデモの示威行為を妨害している。

以上

排外主義と天皇制を問う8.15反「靖国」行動実行委員会 呼びかけ文

 民主党政権は、なりふりかまわぬ原発再稼働へと進み、社会保障の切り捨て・消費税増税、国民共通番号制、普天間基地の辺野古「移設」の再確認、「中国脅威論」を口実とした日米共同作戦体制の強化などを進めていこうとしている。



このような政治状況は、改憲問題をふたたび表面化せざるをえない。今年の憲法記念日を前に、自民党やみんなの党、たちあがれ日本があいついで改憲案を提出した。いずれも天皇元首化、「国旗・国歌」の明確化、首相に権限を集中する緊急事態対処などをうたったものだ。

 こうした国家主義的な改憲案にある中心的な思想が、「国民主権の縮小と立憲主義の否定」であることは間違いない。そして、それらは、現代日本の政治・経済・社会の場面全てを覆う閉塞感を打破するものとして打ち上げられているのだ。

 こうした政治的なムードのなかで、右翼・排外主義者が力を得る状況が目だっている。この間浮上していることだけでも、石原都知事呼びかけによる尖閣購入問題、八重山「つくる会教科書」採択問題、那覇市の「第32軍司令部壕」説明板からの「慰安婦」削除問題、北海道小中学校の「アイヌ副読本」記述改ざん、韓国人写真家による元「慰安婦」写真展の中止などあいついだ。日本政府による、ソウルやアメリカの「慰安婦の碑」撤去要請は、一方で軍事協力を拡大させている李明博政権との関係にさえ、影響を与えている。

 これら一連の事態が明らかにしているのは、近代日本の侵略・植民地支配の歴史が生み出したさまざまな問題について、事実を否定し、是非を転倒させていく歴史修正主義の潮流が、この社会のメインストリームに定着させられてしまったという事実である。自民党が今国会に提出を目論んでいるという「国旗損壊罪」も、そうした風潮に乗っていることは間違いない。

 それは、決して一部右派政治家・排外主義者たちだけのものではない。すでに、この社会における根強い基盤とさえいえる状況だ。そしてそれは、現実政治・社会に対する「うっぷんばらし」としての石原や橋下のポピュリズムに対する支持とも連動しているだろう。私たちの反天皇制運動の課題とは、そのような基盤を解体していくことに他ならない。

 こうした状況のなかで、日本の戦争責任・植民地支配責任の追及、そして反天皇制の声を挙げていくことへのバッシングは、年々厳しいものとなっている。集会の会場に対する右翼の嫌がらせは、会場管理者に対して集会使用への忌避感を募らせる。右翼による暴力的なデモへの破壊と、それを利用した権力の介入も深刻さを増している。暴力によるデモ破壊を公言し続けている在特会は、靖国周辺での「騒乱」を理由に8月15日の「反日デモ」を許可しないよう、東京都公安委員会に求める署名活動をはじめた。

 現実の問題として、表現の自由、思想・信条の自由が、著しく侵害され始めていると言わざるを得ない。このことが、反天皇制運動の課題としても強く主張されなければならない。そしてこういう時代状況だからこそ、私たちは、あたりまえの声をあたりまえに上げていく8・15行動に今年も取り組んでいきたいと考える。

 かつての戦争を美化し、戦争の死者を顕彰する靖国神社の歴史認識は、跋扈する歴史修正主義の思想的バックボーンのひとつであり、また、当日天皇出席のもとで九段で開かれる「全国戦没者追悼式」も、戦争の死者のおかげで「戦後の平和」がもたらされたとする儀式である。それは、死者たちを生み出した国家の責任を解除するばかりでなく、今後も「お国のための死」を尊いものとして受け入れさせていこうというイデオロギーにほかならない。

    今年の春、心臓の手術を行ったアキヒト天皇は、「病後をおして」政府主催の3.11追悼式典に出席して「おことば」を述べ、その後もイギリス訪問や山口全国植樹祭に出席するなど活発に動いている。それは、アキヒト・ミチコ天皇制の「ラストスパート」をさえ思わせる。この11月には沖縄・糸満で「豊かな海づくり大会」の開催=天皇の沖縄訪問が計画されているが、アキヒト・ミチコは沖縄にとくに関心が深いと言われている。かれらの沖縄訪問が、これまでもそうであったように、米軍基地問題をはじめとする日本の沖縄に対する「植民地」的支配の矛盾を糊塗し、沖縄の人たちを「慰撫」する政治的なパフォーマンスとなることは間違いない。それはまた、「復帰40年」を機に、沖縄の人たちの新たな「皇民化」=「国民化」を推し進めることで、この地の人たちの抵抗を押さえつけていく役割を果すだろう。

 確実に近づくアキヒト「Xデー」をも射程に入れつつ、アキヒト天皇制の「総決算」と闘う反天皇制運動を作り出していこう。

【呼びかけ団体】
アジア連帯講座
沖縄を踏みにじるな!緊急アクション実行委員会
キリスト教事業所連帯合同労働組合
国連・憲法問題研究会
市民の意見30の会・東京
女性と天皇制研究会
スペース21
立川自衛隊監視テント村
日韓民衆連帯全国ネットワーク
命どぅ宝ネットワーク
反安保実行委員会
「反改憲」運動通信
反天皇制運動連絡会
「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会
「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会
ピープルズ・プラン研究所
靖国・天皇制問題情報センター
琉球センター・どぅたっち
連帯社
労働運動活動者評議会

【賛同団体】
争議団連絡会議
 

「国旗損壊」罪の新設を許さない!天皇主義右翼らの策動をはねかえそう

tomiko 自民党は、5月29日、天皇制と侵略戦争を賛美する「日の丸」旗を傷つけたり汚したりしたら処罰することができる「国旗損壊」罪を新設する刑法改正案を国会に提出した。法案は、「日本国に対して侮辱を加える目的で、国旗を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する」など「思想・表現の自由」を否定する明確な憲法違反の法案だ。しかも構成要件及び刑罰は、現行刑法第92条に規定されている外国国章損壊罪に準拠すると規定し、外国の国旗と自国の国旗を同列に設定した。

 すでに改正法案は昨年3月の自民党法務部会の法律案審査に提出されていたが一部議員から「自民党が右傾化したと思われる」との反対論が出たため全会一致の賛同を得られず、石破茂政調会長(当時)預かりとなっていた代物だ。この時は、国旗の損壊とともに国歌の替え歌も処罰の対象にねらっていた(朝日2011年3月2日)。石破は、「国旗国歌法で日本の国旗が日章旗だと定められた時(1999年)に(国旗損壊罪を)立法しておくべきだった」と悔しがっていた。

 今回も高市早苗、長勢甚遠、平沢勝栄、柴山昌彦衆議院議による議員立法提出だ。いずれも日本会議議員懇談会、みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会に属している札付きの天皇主義右翼である。高市らは、自民党の天皇元首化、基本的人権否定、現憲法九条改悪などを網羅した「日本国憲法改正草案」(4月27日)の第3条で「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」との明記を根拠にして総務会で了承させた。天皇制統合力を利用しながらグローバル派兵国家の建設とセットで排外主義的なナショナリズムへと収斂していくことにある。



自民党の憲法改悪攻撃の踏み込み



 法案の提出理由を高市は、「現行の刑法では、外国国旗の損壊は処罰の対象とされている一方、日本国国旗の損壊については規定が無く、処罰の対象とされていません。外国国旗であれ、日本国旗であれ、国旗を損壊する行為は、国旗が象徴する国家の存立基盤・国家作用を損なうものであるとともに、国旗に対して多くの国民が抱く尊重の念を害するものです」などと天皇制と国家への忠誠を強要する暴論を主張し、平沢も「日本の刑法は諸外国からみれば常識外れ。それを普通の形に直したい」と手前勝手な珍説を強調した。

 そもそも現行の刑法92条「外国国章損壊等」は、「外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する」「前項の罪は、外国政府の請求がなければ公訴を提起することができない」という規定になっている。つまり、外国国章損壊行為によって、その国との外交問題になることを避けるために刑法罰則を設けており、自国の外交利益を防衛することを目的にしている。だから外国政府の抗議があった場合、見せしめとして刑罰によって取り締まるために親告罪になっている。

 ところが改正案は、外国国章損壊の条文を引き写して「日本国に対して侮辱を加える目的で」とする条文を加え、「日の丸」旗の損壊が「国家の存立基盤・国家作用を損なう」、(国旗への)「尊重の念を害する」から違法だというのだ。「日の丸」旗への「損壊」は抗議の一形態でしかない。この行為そのものを刑事罰で禁止するのは、憲法19条「思想良心の自由」、憲法20条「表現の自由」の否定だ。違憲に満ちた改正法そのものが成立根拠がないのである。

 しかも親告罪とするならば、告訴するのは自分たちだとでもいうのか。いったい誰が、どういう概念で規定するのか。そんな文言は、まったくない。仮に「日本国に対して侮辱を加える目的」がないパロディーのケースは、どうするんだ。あくまでも天皇主義右翼らの主観的なレベルのレッテル張りのやりたい放題を認めさせ、身勝手な妄想によって「国旗損壊」罪を適用することでしかない。公安政治警察も仕事が増えて大喜びだ。要するに自民党の「日本国憲法改正草案」を前提としなければ改正法案の成立根拠が発生しないトンデモない反動法なのである。こんなフザケた法案を自民党が認めたところに憲法改悪攻撃の踏み込みがある。



愛国心と国威発揚のための国旗はいらない



 高市らは、「諸外国の法制度では、むしろ自国国旗損壊に対する刑罰の方が他国国旗損壊に対する刑罰よりも重くなっている」ケースとしてドイツ、イタリア、韓国、中国を取り上げ、「日本の刑法におけるアンバランスを是正することを期し、本法律案を起草しました」などとデマを飛ばしている。

 日本弁護士連合会会長の山岸憲司は、「刑法の一部を改正する法律案(国旗損壊罪新設法案)に関する会長声明」(2012年6月1日)で改正法案反対の立場から高市デマにも照準をあてて「米国では、連邦議会が制定した国旗保護法の適用に対し、連邦最高裁が『国旗冒とくを罰することは、この象徴的存在をかくも崇敬され、また尊敬に値するものとせしめている自由を弱体化させる』として、違憲とする判決を1990年に出している」と批判している。

 さらに米最高裁は、1989年に国旗焼却事件裁判で「我々は国旗への冒涜行為を罰することによって、国旗を聖化するものではない。これを罰することは、この大切な象徴が表すところの自由を損なうことになる」と判決を出している。また、同年に上院で可決された国旗規制法を却下し、「国旗を床に敷いたり、踏みつけることも、表現の自由として保護されるものであり、国旗の上を歩く自由も保証される」の判断もしている。親米右翼の連中が意図的に米最高裁判例をパスしているところに改正法案の欠陥を現している。

 このように国旗をシンボル化していく意図は、民衆を国家へと統合し、帰属意識と忠誠を強化させ、国家意志を強制していくものでしかない。天皇制、戦争と軍国主義、愛国心と国威発揚のための国旗はいらないのだ。今国会情勢下では法務委員会で本格的に審議されていないが、たとえ改正法案が成立しなくても、右翼運動の任務のひとつとして法案制定を設定しており、繰り返し国会提出を行ってくるだろう。天皇主義右翼らの意図を暴露・批判し、監視を強化していかなければならない。「国旗損壊」罪に反対していこう。

(Y)
 

【アジ連講座報告】橋下・大阪維新の会を批判する―反撃の闘いは今―

P6097590講師:寺本勉さん(「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪事務局員、おおさか社会フォーラム2012事務局員)


 6月9日、アジア連帯講座は、文京シビックセンターで「橋下・大阪維新の会を批判する―反撃の闘いは今―」というテーマで講師に寺本勉さん(「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪事務局員、おおさか社会フォーラム2012事務局員)を招き、公開講座を行った。


「橋下改革」の性格


 寺本さんの提起は、「橋下・維新の会による『改革』」の時間系列的整理から始まり(別掲)、「『改革』の性格」についてつぎのように分析した。

 「橋下・維新の会は、第一の目標として統治システム、政策決定システムの改変をあげ、維新八策の第一項目で参議院の廃止、道州制の導入、大阪都構想を掲げている。つまり、日本における政治的、経済的、社会的危機の深さに対して、既成の大政党が政治・経済・社会的展望を喪失していることへのアンチ・テーゼとして設定した。これは戦後民主主義政治の機能不全を巧みに突きながら、『独裁』をも許容する雰囲気を作り出し、常に『抵抗勢力』を作り上げながら、大衆的人気を維持しようとするものである。かつての小泉純一郎が『自民党をぶっ壊す』と叫びながら郵政『改革』などを強行したのと酷似点もあるが、決定的違いは、既成政党の枠外から行っていることだ」。

 「政策の柱は、新自由主義的規制緩和、民営化・民間企業の導入であり、経済成長のための原資を自治体機能の縮小から得ようとする。教育分野においても同様の攻撃を行っている。同時に労働組合への徹底した攻撃は、旧総評運動の中で最後に残った自治労(大阪市労連)運動と組織への攻撃としてある。つまり従来は、選挙運動、職場協議、当局との交渉・折衝、組合費のチェックオフなどを積み上げて、当局との一定のもたれ合い構造の中で正規職員の権利を擁護しながら、一方で政治課題への取り組みを行ってきた。これは非正規職員の組織化の軽視へとつながり、組合運動の弱点となってしまった。だから橋下は組合の権利擁護運動の弱さを突く形で一挙に権利剥奪をかけ、組合運動の基盤そのものを破壊しようしている」。

 「この延長で『新たな労使間ルール(案)』を提案してきた。管理・運営事項は団交事項でないとし、組合に意見を聞いてもいけないというのである。あげくのはてに組合収支報告書を提出させ、『適正』組合でなかったら職員団体の登録を取り消すとしている。具体的には七月市議会へ向けて『組合活動適正化条例』の制定をねらっている。立て続けの組合破壊の暴挙を許してはならない。従来の運動の弱さを対象化しつつ、新たな反撃陣形を強化していくことが必要だ」と述べた。


反撃の闘いは今


 そのうえで「橋下・維新の会に対する闘いは今?」を報告。
 「私が参加している『日の丸・君が代』強制反対ホットライン大阪は、2000年に結成し、『君が代』起立・斉唱強制条例への反対闘争を契機に必然的に反橋下・維新の会の闘いへと広がっていった。昨年五月以来、10回以上の集会・デモ・府教委抗議行動などを展開した。現在、反『君が代』の闘いとして不起立被処分者六人が人事委に不服申し立てをおこない、一人が準備中である。市民運動として支援を行っている」。


 「労働組合運動は、どんな状況になっているか。可能性ある方向性として、昨年11月に大阪市長選での『反独裁』共同アピールが出発点にして大阪労連、大阪全労協、国労近畿、関西MIC、全日建連帯近畿、全港湾関西、おおさかユニオンネットワークによる七労組連絡会が作られた。6月25日に中之島中央公会堂で反橋下集会が行われる。この集会は、法律家8団体(連合大阪法曹団・大阪労働者弁護団・民主法律協会・大阪社会文化法律センター・自由法曹団大阪支部・青年法律家協会大阪支部・大阪民主法曹協会・日本労働弁護団大阪支部)の主催で初めて連合、大阪労連、全労協、独立組合などが結集する決起集会が行われる。6・25集会は、橋下の矢継ぎ早の攻撃に対して労働組合が一致団結して反撃し切れていない困難な状況に対して、弁護団のイニシアチブによって集会が実現するようになった。共同行動を強化していく必要がある。いずれにしても橋下・維新の会を包囲していく陣形作りは急務であり、強化していかなければならない」と強調した。

 「反橋下運動の展望は?」について、次のように提起した。

 「第一は、橋下的『民主主義』に対するオルタナティブの提起だ。橋下的『民主主義』は、選挙での多数が唯一の『民意』、選挙と選挙の間は白紙委任という論理だ。ところが橋下を支持する20代、30代の層が(間接的にではあれ)経験した『民主主義政治』は、機能不全に陥った政治状況だけという深刻な状況に追い込まれている。だから少なくともこの層の相当部分が、自らが作り上げる社会運動を通じて、直接民主主義、参加型民主主義の経験値を上げていくことが重要だ」。

 「例えば、おおさか社会フォーラム(9月15日、16日/エルおおさか)は、いろんな運動の枠を超えて社会運動、市民運動、NGO、労働組合が集まれるような場として設定している。この中で若者世代が中心にYouthフォーラムが行われる。新たな運動の兆候として可能性があり、応援していきたい。橋下的現象に対して従来の運動圏の違いを超えて反撃していくことがキーワードだろう」とまとめた。


論点


 参加者からの質問は、「橋下の大飯原発再稼働容認をめぐる運動圏の反応」、「『日の丸・君が代』強制の大阪の地域的違い」と「教育委員会と校長の指導対応の経過」、「当局の教員攻撃に対する生徒たちの反応」、「大阪の新保守主義勢力の動向」、「大阪都構想に対する市民の評価」、「不起立教員へのバッシングと周辺教員の立ち振舞い」、「橋下のメディア利用」、「貧困と格差を根拠にした橋下支持の雰囲気」などが出た。

 寺本さんは、「橋下の政治スタイルが支持されているところがある。メディアの中でも支持、不支持的傾向がある。毎日放送・MBSは、『VOICE』で批判的な橋下特集を組んだ。ある記者が橋下に批判的ということで視聴者から『辞めさせろ』という攻撃メールが殺到する状況がある。橋下もその記者を徹底的に攻撃した。諸選挙結果を通して『反独裁』だけでは橋下は倒せない。貧困と格差を基盤にしながら橋下現象が社会的に登場していると言わざるをえない。橋下は、『家庭教育支援条例』のように批判されると引っ込める手法がある。柔軟に対応しつつみえるが、やることはやっている。単純なブームという捉え方ではだめだ。政策論議だけではすまない。橋下・維新の会包囲を全国的に広げながら論議の積み上げを共同で行い反撃していこう」と呼びかけた。(Y)


●「橋下・維新の会による『改革』」

2008.2   橋下、大阪府知事に当選、「財政非常事態」宣言

2008.4   「財政再建プログラム」案
非常勤職員の解雇、非常勤講師の賃金削減(約18%)、職員の賃金・一時金・退職金カット、教育・文化・医療・福祉の諸事業の廃止・縮減など
 しかし、宣伝された「黒字転換」は借金を収入にカウントしていたためで、府知事時代の3年間で府債は2151億円の増加

2008.8   府庁のWTC移転方針を表明
その後、府庁移転は府議会で否決されたが、WTC購入を強行、一部部局を移転、耐震問題で全面移転は断念、今後の財政負担は巨額に上る

2008.9   「教育非常事態」宣言、学力テスト結果の公表を市町村教委に迫る
その後、府立高校への特進クラス(文理科)設置、私立高校授業料の一部無償化などを実施

2010.4   地域政党「大阪維新の会」結成、「大阪都」構想の立ち上げ

2011.4   統一地方選挙で、維新の会が躍進し、府議会で単独過半数を確保

2011.6   「君が代」起立・斉唱強制条例成立
複数回の職務命令違反で免職方針を打ち出す

2011.9   教育基本条例、職員基本条例を大阪府議会、大阪市議会、堺市議会に提出、大阪市議会、堺市議会で否決

2011.11  維新の会がダブル選挙で「圧勝」

2011.12 府市統合本部の設置、特別顧問を多数任命し、統合本部の議論に参加させる

2011.12~ 橋下市長による大阪市職員、労働組合への攻撃はじまる
組合事務所問題、政治活動・組合活動アンケート、賃金切り下げ、民営化、入れ墨調査(回答拒否者への懲戒処分の動き)、組合費チェックオフ廃止、組合活動適正化条例制定の動き

2012.2~3 知事、市長提案で、教育基本2条例、職員基本条例を大阪府議会、大阪市議会提案
卒業式での「君が代」起立・斉唱の職務命令
 不起立者36名への戒告処分、2名に再任用取り消し

2012.3   府議会で教育基本2条例、職員基本条例が可決成立、公明・自民が条例案賛成
国政選挙進出へ~「維新八策」(憲法改正を含む内容)、維新塾など、公明との連携

2012.5   大阪市議会で教育行政基本条例、職員基本条例が可決成立、学校活性化条例は継続審議へ

報告:植民地支配と日米安保を問う―4.29 反「昭和の日」集会とデモ

429  4月29日、日本キリスト教会館で「民地支配と日米安保を問う―反「昭和の日」集会が行われ、100人が集まった。

 この日、4月29日は、昭和天皇裕仁の誕生日だ。2005年の祝日法改悪によって欺まん的な「みどりの日」から「昭和の日」へと強引に変え、天皇行事を駆使して天皇制賛美を強めていった。3月11日には政府主催で「東日本大震災一周年追悼式」を天皇夫妻の出席で行い、東京電力福島第一原発事故の責任追及を回避し、震災被災者に我慢を強要した。天皇制が民衆を国家統合する任務を担っていることをあらためて明らかにした。

 同時に政府は、天皇制統合力を利用しながらグローバル派兵国家建設を押し進めてきた。1952年4月28日がサンフランシスコ講和条約発効から60年目であり、沖縄が「本土復帰」してから40年にあたるが、継続する植民地主義と領土ナショナリズム、日米安保・米軍基地被害の中で天皇制の共犯関係を暴きだし、厳しく批判していかなければならない。日本帝国主義と天皇制の犯罪を肯定する「昭和の日」に抗議していこう。

 集会の冒頭、2・9竪川弾圧救援は、被弾圧者の園良太さんの連帯アピール紹介とカンパの訴え、第一回公判(5月18日(金)午前10時/東京地方裁判所429号法廷)の傍聴を呼びかけた。

 次に日本の戦争・戦後責任、植民地支配責任を問い、現在の支配構造の克服をめざして「8分間スピーチ」が各団体から次々と行われた。



諸戦線のスピーチ



 国富建治さん(反安保実行委員会)は、4月28日の「60年目の『沖縄デー』に植民地支配と日米安保を問う」集会を報告した。報告者の新垣誠さん(写真家、沖縄NGOセンター代表理事)の「『本土復帰』40年と沖縄の現在」、太田昌国さん(編集者、民族問題研究者) の「戦後日本国家と継続する植民地主義」の提起を紹介した。

 佐野通夫さん(『高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会)は、連絡会の取り組みを報告し、「朝鮮高級学校に『高校無償化』制度を即時に適用。朝鮮学校をはじめとした民族学校・外国人学校への制度的な保障を早期の実現。東北地方太平洋沖大地震被災地の朝鮮学校をはじめとした民族学校・外国人学校の再建・授業再開へ向け、激甚災害指定に伴う補助を含む緊急支援を速やかに実施せよ」を訴えた。

 木元茂夫さん(すべての基地にNO!を!ファイト神奈川)は、北朝鮮の「人工衛星」打ち上げ予告に対して「防衛省は、イージス艦、地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)を配備した。海上自衛隊は、落下物を回収する北朝鮮艦艇の臨検、拿捕も含めた迎撃態勢をとった。部隊の出動実態も公表せずに軍事作戦を強行した。日米共同軍事体制の強化を許さない反基地運動を取り組んでいこう」と発言した。

 さらにスピーチは、中森圭子さん(盗聴法に反対する市民連絡会)、宮崎俊郎さん(反住基ネット連絡会)、井上森(立川自衛隊監視テント村)、渥美昌純さん(東京にオリンピックはいらないネット)、上原成信さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)、藤田五郎さん(山谷福祉会館活動委)、田中聡史さん(板橋特別支援学校「君が代」不起立者)、丹羽雅代さん(女たちの戦争と平和資料館)、梶川凉子さん(反改憲運動通信)から取り組みと闘う決意を表明した。

 最後に、天野恵一さん(福島原発事故緊急会議)が大飯原発再稼働阻止と野田政権批判、原発推進に加担している天皇制を糾弾した。

 沖縄を踏みにじるな!緊急アクション実行委員会からの集会カンパアピール。

 危機の時代の天皇制を問う!2・11反「紀元節」行動は、公開質問状「警察―右翼連携した弾圧体制を許さないぞ!」の取り組みを報告し、デモ妨害を許さないスクラムを強化していこうと訴えた。

 集会宣言を採択し、デモに移り、早稲田通り→明治通り→大久保通りのコースで沿道の人々に「『昭和の日』はいらない!天皇制解体!」をアピールした。



右翼街宣車のデモ隊接近ゼロ事態について



 なお街宣右翼は、デモに対して一台も街宣車を接近することができなかった。ここ数年の「恒例」の右翼妨害が繰り返されてきたなかで、初めての事態である。

 国家権力の警備サボタージュ、右翼との事前謀議・なれあいによるデモ破壊の実態が2・11実による公開質問状および警視庁警備部長、戸塚警察署長、新宿警察署長への追及によって社会的に暴露されてしまった。

 さらに三月一八日の「だからこそ、反戦を!」デモに対する右翼のやりたい放題の暴力を「容認」した「警備の失敗」に対して、おそらく警視庁で「問題」となったはずだ。公安政治警察さえも右翼に蹴っ飛ばされ、負傷者がでるほどだった。

 だから今回は、なんとかアリバイ的に警察の警備ポーズを取り繕うために事前の警備・公安・関係の機関会議で「右翼の規制を強化する」ことを決め、デモへの街宣車の接近とデモ突入をやめさせたに違いない。

 だがこの日のデモ解散地点の西大久保公園付近で権力の統制から外れた右翼がデモ撤収隊列に対して襲撃を繰り返してきた。解散地点での待ち伏せ襲撃は、事前にその場所を権力から情報を得ていたのだろう。

 いずれにしても街宣右翼によるデモ妨害を許さないし、警察権力の右翼に便乗したデモ規制も許さない。デモは、表現の自由であり、断固として守り抜いていく。権力と右翼のなれあいに対して厳しく糾弾し続けていく。

(Y)

石原都知事の「尖閣諸島」購入発言を批判する―「尖閣諸島は『日本固有の領土』ではない」

釣魚台~1石原慎太郎東京都知事の「都が尖閣購入」発言が話題を呼んでいる。

 四月一六日(日本時間:一七日)に訪米中の石原がワシントンでの講演で、「尖閣諸島を所有者から購入する」方針を示したのだ。石原が講演した場は、右派のシンクタンクである「ヘリテージ財団」で、「日本も核(武装)のシミュレーションをすべきだ」などと四五分間しゃべった後、講演の最後の五分間で唐突な形で「尖閣購入」計画について語ったのだという。

 「尖閣諸島はこのまま置いておくと、どうなるかわからない。中国が日本の実効支配を壊すため過激な運動をしている。ゆゆしき問題だ。豊饒な漁場であり、海底資源が日本の領海にある」。

 「東京が尖閣諸島を守る。日本人が日本の国土を守ることに何か文句がありますか。東京が買うことにアメリカも反対しないだろ」「買い取った後は、沖縄県や石垣市に一緒に持とうとオファーしようと思う」。

 石原は、すでに昨年末の段階で所有者側(埼玉県の栗原家)との間で「売る」という話で基本合意をしている、と語り、講演後の記者との話では「政府にほえ面をかかせる」と得意げにブチ上げたという。

 これは極右ナショナリストとしての彼の、いつものパフォーマンスであり、彼が国民新党から追放された亀井静香や「たちあがれ日本」の平沼赳夫らと打ち上げた「新党」へのアドバルーンであることは間違いないだろう。しかし今回の「尖閣購入」発言が、二〇一〇年九月の海保巡視船と中国漁船の衝突・中国漁船船長逮捕事件によって加速された「中国脅威」キャンペーン、そして中国を主要ターゲットにした米国の新軍事戦略と一体化した自衛隊の「南西配備」――先島諸島への自衛隊配備との連動を意識したものであることは明らかである。それはたんなる「放言」ではなく、意識的な計算にもとづく発言なのである。

民主・自民など既成政党の政治への不信。怒りが高まり、橋下徹大阪市長の「維新の会」や、河村たかし名古屋市長の「減税日本」などの「自治体首長新党」が選挙や世論調査で大き支持を得ているが、かれらはいずれも新自由主主義と強権的「リーダーシップ」の主張、そして中国や北朝鮮・韓国への排外主義的ナショナリズムを共通の土台にして人気を博している。河村名古屋市長が中国からの友好訪問団に対して「南京大虐殺はなかった」と語ったことは、その現れである。橋下は石原の「尖閣購入」発言に肯定的に言及している。こうした動きが極右国家主義的な憲法改悪の流れと連動していることを重視しなければならない。



野田政権は、石原の「尖閣購入」発言に「困惑」しつつも、「尖閣諸島」を国が購入して「固有地」とする可能性についても表明した(四月一七日、藤村官房長官)。多くのマスメディアや「識者」も石原発言を「唐突」と語りながらも、「尖閣諸島」(中国名:釣魚諸島)を日本が「実効支配」している「固有の領土」であることについては、当たり前の前提にしている。日本政府にとって、「北方領土」や「竹島」とは違って「尖閣諸島」については領土問題は存在しないとするのが公式の立場であり、この点については共産党や社民党までふくめた議会内での「挙国一致」が存在している。

われわれは一貫して、こうした「尖閣=固有の領土」論に反対してきた。二〇一〇年九月に大きな問題となった海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突・中国人船長逮捕問題についてもわれわれの立場を明らかにしてきた(注)。

ここでもう一度繰り返すことはしないが、要点だけ挙げておく。

●「尖閣諸島」帰属問題について、明治政府は尖閣が「清国政府の領土である」可能性を考慮して立場を取らなかった。一八八五年の古賀辰四郎による「貸与」申請以来、日本政府は「たびたび沖縄県を通じてたびたび現地調査を行った」という外務省の説明は事実に反する。

●一八九五年一月の日本政府による「尖閣」の領土編入は、日清戦争での清国の敗勢を条件としたものであり、台湾・澎湖諸島の植民地化と一体となった侵略戦争の結果である。

●一八九五年一月の「閣議決定」文書は一度も公開されたことはなく、「尖閣」の領土編入は官報にも掲載されず、国際的にも通知されなかった。

●尖閣諸島に「標杭」(国標)が建てられたのは、国連アジア極東経済委員会(ECAFE)が東シナ海に石油天然ガス資源が海底に存在する可能性を指摘した一九六九年五月に、当時の米国施政権下の琉球政府によってなされたのが最初である。

●保守派の政治学者が編集した文献(伊藤隆編・百瀬孝著『資料検証 日本の領土』 河出書房新社、二〇一〇年八月刊)でも尖閣の領土編入について「官報に出たわけでもなく、外国に通告されておらず、領土編入について無主物先占の万全の手続きをふんだとはとうていいえない」と指摘している。

われわれは、国際法的正統性に欠けるこうした「尖閣=固有の領土」論を撤回し、「領土問題は存在しない」とする立場を放棄した上で、中国・台湾との外交的交渉に入ることを政府に求めるべきである。

「中国脅威論」に基づく沖縄・先島への自衛隊配備をやめさせなければならない。

(K) 

【転載】2.11 反「紀元節」デモにおける警察警備についての公開質問状

「危機」の時代の天皇制を問う! 2.11反「紀元節」行動
http://2012-211action.blogspot.com/



公開質問状

2012年3月2日

 警視庁警備部長 殿
 警視庁戸塚警察署長 殿
 警視庁新宿警察署長 殿

2.11反「紀元節」行動実行委員会


 私たち2.11反「紀元節」行動実行委員会は、2012年2月11日、新宿区西早稲田を出発し、同区大久保に至る集団示威行進をおこないました。この過程で、私たちは様々な右翼団体による妨害行為を受け、また、警察官・機動隊による多くの不当な規制を受けました。

 私たちは、これらは憲法で保障された言論・表現の自由という基本的人権に照らして、多くの問題を含んでいると考え、あらためて抗議の意志を表明するとともに、以下の点について貴職による誠実な回答を求めるものです。

1)今回の示威行進にあたって、2月7日午後、実行委のメンバーが所轄戸塚警察署に赴き、申請書を提出しました。

 しかるに、翌8日、21時24分という時刻に更新された「日本侵略を許さない国民の会」のブログは、「反天連カウンター『逆賊は死ね!女系天皇絶対反対!』」の行動を呼びかけ、そこには「反天連は16時頃出発予定です」と明記されています。そして、駅前から、私たちのデモが通る場所に移動して抗議するとしています。

 私たちが申請し受理されたデモコース、さらにはデモに出発する時間は、示威行進申請書以外には、一切対外的に明らかにしていません。また、今回のデモコースは、私たちとしては初めて通るものであり、他の団体も、このコースでの示威行進を行ったことはないと、デモ申請の際に戸塚署の警備担当者から聞いています。

 さらに当日は、彼らに加えて、20台前後の黒塗りの右翼街宣車が、私たちのデモが通る車線のほうに昼過ぎから車輌を停めて陣取っていました。

 時間もコースも、あまりにも正確に把握されています。こうした点から見て、彼らが事前にデモコースを知っていたことは明らかです。そしてこの時点では、数人の実行委メンバーを除けば、デモコースを事前に知っていたのは警備当局以外に存在していない以上、警察から何らかのルートで、右翼に対してコースや出発時間に関する情報が流されたものと断定せざるを得ません。そうであるとすれば、これは明らかに警察による違法行為であり、さらに表現の自由に対する侵害であると言わざるを得ません。

 この点について、具体的な事実を調査・確認し、それについての見解を明らかにするよう求めます。

2)デモに対する右翼の妨害・脅迫とその煽動は、早稲田通りと明治通りが交差する馬場口交差点において、「日本侵略を許さない国民の会」や「在日特権を許さない市民の会」グループ。また、そこから諏訪通りにかけた明治通り一帯に右翼街宣車と、きれいに棲み分けがなされていました。さらに、戸塚署管内を抜けて新宿署管内に入ると、街宣車も激減しました。彼らに対する規制の柵も設けられていましたが、それはむしろ、彼らがそのなかで自由に声を上げることのできるステージを、準備しているとしか思えないものでした。この点から私たちは、警察の警備担当者が、デモコースや時間を含めて事前に右翼と連絡・調整し、あらかじめ彼らの行動を保障し、この時間帯、明治通りのこの区間を、完全に通行止めにしてまで、そのための場所を作ってやったとしか考えられません。

 大量の街宣車をデモコースに長時間にわたって停車する行為は、道路交通法に違反しているのではないでしょうか。また仮に右翼が街宣許可をとったり、道路使用・占用の許可があるなど「適法」であったとしても、彼らの行為はデモ行進に対する直接的な妨害であり、殺人さえ公然と口にする、デモ参加者に対する脅迫そのもので、きわめて暴力的なものです。これらの行為は、刑法に規定される脅迫・強要、あるいは威力業務妨害に該当すると思われます。警察は、そうした彼らに行動の自由を与え、便宜を図ることによって、これら犯罪行為に協力しているようにしか見えませんが、この点について事実を明らかにし、どのように考えているのか、見解を求めます。

3)デモ行進の最中、警官は一貫して参加者を後ろから「早く進め」と楯で押し、違法な写真・ビデオ撮影を繰り返しました。これへの私たちの抗議に対して警察は、右翼が攻撃した時のために証拠を集めているなどと嘯いています。

 写真・ビデオ撮影については、デモ行進にうつる前からずっと抗議していたにもかかわらず、最後までやめようとしませんでした。そればかりか、撮影者とその保護者(撮影者が後ろ向きでデモ隊を撮影するため、その進行を援助する者)の二人一組となって、デモの宣伝カーの前に陣取って、デモの開始から終了まで一貫して、デモ隊のビデオ撮影をし続けていました。彼らは私たちへのビデオ撮影のためにのみやってきていたのであり、撮影者は「警視庁」の腕章をしていました。

 相手の意思に反して無断で撮影する行為は、明らかに肖像権侵害の違法行為です。逆に、そのような警察官の違法行為を記録するためにデモの主催者が回していたビデオは、公安警察官によって暴力的にはたき落とされようとさえしました。

 写真・ビデオの撮影は、どのような法的根拠で、なんのためになされているのか、見解を示すよう求めます。また、撮影した写真、録画されたビデオの開示を求めます。

4)デモ隊の後方には、足が不自由で、杖をついた参加者もいました。そうした参加者をも楯で押すことは、一歩間違えば、事故にも繋がりかねない危険な行為です。こうしたことについて、警察では配慮することさえしないのでしょうか。

 さらに機動隊員の中には、参加者に対して「このババア」「デモから出て行け」「俺たちが右翼から守ってやってるんだ(から言うことを聞け)」などの暴言を繰り返し発する者が多数いました。

 こうした点に現われている警察官の人権感覚の欠如は、市民の法的権利について警官への教育が十分なされていないことを物語っているといえます。このことは憲法尊重擁護の義務を負う司法警察職員として深刻な問題であると考えますが、この点について見解を求めます。

5)大久保通りで、デモ隊に対する「抗議」を準備していた右翼グループに対して、警官が「そこは危険だから、こちらに移動して」と言ってわざわざ、交番の前に彼らを移動させ、そこで抗議をやらせたことが、参加者によって確認されています。この抗議の内容とは、デモ隊に対して「殺せ殺せ」「つぶせつぶせ」と叫ぶものでした。こういった、明白な脅迫行為を、警察官が「安全」にさせるための場所を確保してやったということになります。
 このことについて、誰が、どのような理由でそうした判断を下したのか、事実を調査して、明らかにすることを求めます。

6)デモ前の屋内集会の会場に対して、右翼団体を名乗る男性から脅迫電話が繰り返しかけられ、その結果、会館の管理責任者より、戸塚署に対して警備要請が出されたと聞いています。しかるに、当日は、会館警備とはなんの関係もない大量の私服の公安警察官が建物のある敷地内にたむろし、集会参加者をチェックしていました。

 いうまでもなく、集会への参加者は、自分がどのような集会に参加しているかを、警察に対して明らかにしなくてはいけない義務などありません。公安警察の行為は、個人情報の違法な収集に当たると思いますが、この点についての見解を求めます。

 2月11日の警察の対応は、総じて、右翼の妨害行為を口実にし、それをも利用しつつ、私たちの行動に対する介入を図ったと評価せざるを得ません。これは、警察が、言論・表現の自由を保障する立場に立つのではなく、それを押さえ込み弾圧する側にたっているという姿勢を、露骨に示しました。
 しかしこうした事態は、なにも今回初めておきた事態ではありません。妨害してくる右翼を規制するのではなく、もっぱら私たちのデモの方を規制することが、あたりまえのように行われ続けているのが現状です。例えば、反天皇制運動の実行委で取り組む、8月15日の九段下でのデモに対して、大量の右翼グループは、さまざまな攻撃をしかけてきました。昨年は、デモ隊参加者への傷害をねらったと思われるナイフさえ見つかっています。このナイフは、公安警察の手によって拾い上げられ、カバンにそっとしまわれました。これはいったいどうなってしまったのでしょうか。当日の警備も、九段下交差点に「在日特権を許さない市民の会」などのための抗議場所を確保してやるものでした。また、水道橋駅前には、車線の両側に、デモの進行方向に向かって大量の街宣車が斜めに止められており、私たちはその道路の真ん中を、機動隊の楯に挟まれて行進させられたのです。

 私たちは、こうした警察の違法・不当な行為を監視し、二度とそのようなことが繰り返されないよう、重ねて申し入れたいと思います。そのためにも、事実が明らかにされるべきです。

 以上の点について、3月12日までに、文書で回答していただけるよう要請します。なお、回答頂いた内容は公開いたしますので、ご承知おきください。真摯な対応をお待ちしています。

報告:2・11反「紀元節」行動

P2116169天皇制統合強化を許さない!
 
 
 「危機」の時代の天皇制を問う!2・11反「紀元節」行動実行委員会は、2月11日、日本キリスト教会館で集会を行い、80人が参加した。

 「建国記念の日」は、1967年、自民党政権が天皇制国民統合の強化にむけて戦前の「紀元節」を引きついでデッチあげた「祝日」だ。政府式典は2005年から政府・自民党は、「国民式典」開催について、「建国記念の日は定着し、式典の役割を終えた」「会員の高齢化により式典を運営するのが困難」などの理由から中止にした。だが神社本庁、日本会議などによる「日本の建国を祝う会」の主催で「建国記念の日 奉祝中央式典」(明治神宮会館)を行ってきた。

 今回参加した自民党の谷垣禎一総裁は、「自民党が政権を取り返したら、こういう式典は当然、政府主催で行う」と発言し、天皇制の政治利用を強めていくことを確認している。街宣右翼らも「紀元節奉祝式典」(日本青年館)を行い、天皇制と侵略戦争賛美と改憲を掲げた。

 さらに3.11東日本大震災以降、天皇・皇族らは被災地訪問を繰り返し、今年の3月11日には政府主催の東日本大震災一周年追悼式に出席する。このイベントは、「追悼」「復興」という名のもとに政府責任をあいまいにし、天皇制に統合していくための演出でしかない。また、天皇行事である「全国豊かな海づくり大会」(11月11日、沖縄・糸満市)、「第六七回国民体育大会」(岐阜県、9月29日)、「第六三回全国植樹祭」(山口県、5月27日)も行う。天皇制強化にむけた諸策動のねらいを暴きだし、反天皇制運動を強化していこう。



政府主催3.11東日本大震災一周年追悼式反対



 集会は、実行委による基調報告から始まり、①2・11をめぐる右派動向と「ハシズム」状況②戦後から続く「危機」③天皇Xデーと「女性宮家」構想問題などを分析。さらに3.11政府主催の東日本大震災一周年追悼式に対して「戦死者をその犠牲者と演出する8・15『全国戦没者追悼式』と同質の攻撃である」と断罪し、「3・11は、核・原発政策を推進する戦後の『平和と繁栄』の欺瞞を明らかにした。だから私たちは、象徴天皇制の戦争責任、そして今日の核・原発大国をつくりだした責任を追及しよう」とアピールした。

 問題提起が次の4人から行われた。

 京極紀子さん(「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会)は、橋下大阪市長問題を取り上げ、「ハシズムがめざすもの……ナショナリズムと超新自由主義」というテーマから「教育基本条例」とハシズムの手法を批判し、「『条例化』阻止のために大阪の闘いを支援していこう。私たちの民主主義を対置し、在特会などの排外主義、公共サービスの民営化などに反対する労働運動、市民運動を強化していこう」と呼びかけた。

 桜井大子さん(女性と天皇制研究会)は、「『女性宮家』? 政府はこんなことやっている場合か」と糾弾し、「女性宮家」構想の背景、伝統主義右翼の「伝統=男系」の危機について明らかにし、私たちの平和・平等・民主主義そのものが危機にあると掘り下げた。そのうえで「天皇も皇后も高齢で体調も芳しくない。天皇・皇后の仕事は、皇太子と皇太子妃雅子にということにしたいが、雅子は病気でそれがかなわずだから、成人した秋篠宮の上の娘に宮家を立てて格上げし、皇后の仕事を託そうという話らしい。男系主義と序列社会の天皇制の悪あがきだ。しかも生身の女性の身体を要求する政治システムを許容し、人権感覚の希薄化の助長だ。天皇制は滅びるべきだ」と強調した。

 なすびさん(福島原発事故緊急会議・被曝労働問題プロジェクト)は、「『紀元節』に考える格差・差別と脱原発・反原発」について提起し、「何をすべきなのか」について「単に格差・差別システムとしての原発の停止で済むのか?そのシステムで生きざるを得ず、生存条件を築いてきた人々の生存権をどうするのか?」などを問いかけ、「格差・差別構造を見据えた人の交流とつながり、そこからこの構造に閉じ込められない共生の方針を探りたい。被曝労働問題はその大きな橋にとなる」と結んだ。

 村上陽子さん(ゆんたく高江)は、冒頭、沖縄防衛局による高江工事の阻止の闘いの報告とともに支援を訴えた。さらに「沖縄と天皇制」について沖縄文学の一つである嶋津与志の「骨」を資料にし、「沖縄が『捨て石』とされたのは天皇制を残存させるための時間稼ぎにほかならず、その負債がいまもって沖縄に苦痛を与え続けている。いま求められているのは、私たちが聞き捨ててきた記憶や文脈を提起し、たどりなおすことではないだろうか」と語った。



権力と右翼一体の闘争破壊を跳ね返せ



 集会終了後、デモに移り、早稲田から新宿方面一帯にわたって「天皇制はいらない!『紀元節』反対!」のシュプレヒコールを響かせた。

 なお高田馬場交差点付近で日本侵略を許さない国民の会、在日特権を許さない市民の会の三〇人ほどが「反天連カウンター」と称して「天皇陛下、靖国神社、英霊を冒涜し続ける反日極左を全員東京湾に叩きこめ!」などと挑発してきた。また、天皇主義右翼も街宣車約二〇台が「反天連は日本から出ていけ!」と叫びながらデモ妨害をしてきた。いずれも警視庁警備課・右翼公安担当との事前打ち合わせのもとで行っていることは間違いない。国家権力、排外主義者、天皇主義右翼が一体となった反天皇制運動の破壊を許さない。

(Y)

報告 10・23通達撤回!『君が代』処分撤回!2・5総決起集会

25 石原・大原都教委の暴走をとめよう!都教委包囲・首都圏ネットは、2月5日、北区赤羽会館で「『日の丸・君が代』強制反対!大阪府教育基本条例反対!最高裁『君が代』不当判決糾弾!新自由主義教育路線と対決を!学校現場の非正規雇用労働をなくせ!全ての原発を廃炉に!」のスローガンを掲げて「10・23通達撤回!『君が代』処分撤回!2・5総決起集会」を行い、130人以上が参加した。

 今春の卒業式・入学式にむけて都教委は、起立斉唱を強要する職務命令体制を確認した。これは1月16日に三件の「君が代」処分最高裁判決が「累積加重」処分について触れたため、あらためて10・23通達の「正当性」を押し出し、手前勝手な解釈によって処分強行ができるという恫喝だ。そもそも「10・23通達」(03年)は、卒業式・入学式等に「日の丸」を掲揚し、「君が代」を起立して斉唱することを強制することを通して新自由主義教育と愛国心教育の推進のためであり、グローバル派兵国家作りと連動した攻撃である。

 石原都知事は、「教育再生・東京円卓会議」(11年11月)を立ち上げ、「憲法と教育は日本人の手で考え直したほうがいい。戦後続いてきた教育の破壊的改革をしなければこの国はもたない」などと暴言を吐き、橋下・大阪維新の会による「教育行政基本条例」「学校運営基本条例」の攻撃に見習って東京版「教育基本条例」の制定を狙っている。すでに抗議の不起立闘争をはじめ反対する教職員四三〇人に不当処分を強行しているが、弾圧に抗して裁判闘争や地域ぐるみの反撃など粘り強く闘われている。ネットは、この間の闘いを集約し、橋下・大阪維新の会の二条例に対する反対の闘いと連帯し、今春の闘争体制強化をかちとった。



1.16最高裁不当判決



 集会は、ネットを代表して渡辺秀美さんの主催者あいさつで始まり、とりわけ1月16日に最高裁判決に対して「高裁での戒告処分取消判決を破棄し、処分を有効とする不当判決だ。加重処分に対して『慎重な考慮が必要』ということで1名の減給と停職1ヶ月を取り消した。『一定の歯止め』と思われるが、根津さんの処分は取り消さなかった。ここに最高裁の闘うものに対する分断攻撃と、『日の丸・君が代』による『規律・秩序維持』を乱すものは許さないという姿勢の現れだ」と厳しく糾弾した。

 さらに「大阪では『条例案』から『減給・停職』は残し、橋下は『指導研修』をしても転向しない者は辞めさせるとまで公言している。最高裁判決後、都教委は、10・23通達の合憲性と職務命令を確認している。大阪府教委も『君が代起立斉唱』を求める職務命令を出した。最高裁判決などはそっちのけで事態は進行しつつある。ともに連帯し、『卒・入学式』を闘いぬこう」と呼びかけた。

 「報告」として、がくろう神奈川の反弾圧の闘い、朝鮮学校への公的助成を求める連絡会・東京、原発いらない!3・11福島県民大集会を呼びかける佐藤幸子さん(原発を廃炉に!原発いらない福島の女たち)から発言があった。

 河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会、東京「君が代」訴訟第一次裁判、アイム89処分取り消し裁判から「1・16最高裁判決」の評価、批判などが行われた。

 根津公子さん(被処分者)は、「最高裁に問われていたのは、『君が代』斉唱時の不起立行為に対する停職処分の是非、並びにそれに対する累積加重処分の是非だった。しかし、私の過去の行為を持ち出し、それを『積極的な妨害』として『秩序を害する』としたことは、司法が『積極的な妨害』を『秩序を害する』と恣意的に判断すれば、いかなる不起立処分も妥当とされる抜け道を用意したのと同じだ。極めて恣意的かつ政治的な判決だ」と批判した。



橋下・維新の会の教育基本条例を許すな



 寺本勉さん(「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪)は、「大阪における『教育基本条例』案・『君が代』起立・斉唱強制に反対する闘い」を報告。1・16最高裁判決に対する橋下の反応を取り上げ、「職務命令拒否の一回目から指導・研修を義務づけ、誓約書を提出しない限り現場に戻さない方向へ条例案をさらに改悪しようとしている。誓約書の提出を拒み続けると、それを理由にした分限免職をねらっている」と分析。今後の闘いの方向性として2・12集会・デモ・ヒューマンチェーン、府庁・大阪市役所に対する取組みなどを提起した。

 大阪と福島のカンパアピール後、大嶽昇一さんが業績評価裁判勝利の意義、学校職場での非正規雇用の実態と問題点について報告する仲間、卒業式不起立闘争にむけた決意表明などが続いた。

 最後に集会決議、行動提起(①裁判・集会・行動参加②都教委への抗議申入れ③卒業式ビラまき)を確認し、シュプレヒコールを行った。(Y)

転載【反天連声明】国家による死者の簒奪を許すな!天皇出席の3.11「東日本大震災追悼式」に反対する

ten1ten2【反天連声明】国家による死者の簒奪を許すな!
天皇出席の3.11「東日本大震災追悼式」に反対する


 2012年2月1日
 反天皇制運動連絡会(http://hanten-2.blogspot.com/

 1月20日、政府は「東日本大震災1周年追悼式」を開催することを閣議決定し、内閣府に「追悼式準備室」を設置した。報道によれば、「追悼式」の会場は東京都の国立劇場で、1500名の規模。「地震発生時刻の午後2時46分に1分間の黙祷をささげる」「実行委員長を務める野田佳彦首相の式辞や、天皇陛下のお言葉、岩手、宮城、福島3県から招く遺族代表のあいさつなどを予定している」という。

 1年前のこの日、筆舌に尽くしがたい惨事が東北を中心とする人びとを襲った。それまでの生活は一瞬にして破壊され、たくさんの命が失われた。それを目の当たりにした人びとにとって、また、そういった人びとに直接繋がる人びとにとって、この日が特別の意味をもつことは当然であり、失われた命に思いを寄せ、その死を悼むことはあたりまえの感情である。だが、国家が「追悼式」において果そうとしていることは、国家がそういった人びとの感情をすくい取り、さまざまな人の持つ多様な思いを、ある種の政治方向へと集約していくことにほかならない。だからこそ私たちは、国家による「追悼式」をけっして許すことは
できない。

 野田首相は、1月24日の施政方針演説で次のように述べている。「大震災の発災から1年を迎える、来る3月11日には、政府主催で追悼式を執り行います。犠牲者のみ霊に対する最大の供養は、被災地が一日も早く復興を果たすことに他なりません。……東日本各地の被災地の苦難の日々に寄り添いながら、全ての日本人が力を合わせて、『復興を通じた日本再生』という歴史の一ページを共に作り上げていこうではありませんか」。

 「犠牲者のみ霊に対する最大の供養」が「復興」であるという。これは、例年、8月15日に天皇出席のもとで行なわれる「全国戦没者追悼式」における、国家による死者の「追悼」の論理とそっくりである。私たちは、毎年、「全国戦没者追悼式」への反対行動に取り組んでいるが、それは、戦争の死者を生み出した責任の主体に他ならぬ日本国家が、その死者を「戦後日本の繁栄」をもたらした存在として顕彰することによって意味づける儀式であるからだ。そこに決定的に欠落しているのは、その死をもたらした戦争に対する反省の意識である。国家がなすべきことは、戦争の死者を褒め称えることではない。被害者(戦場に駆り出された兵士たち、空襲や原爆投下などによるおびただしい死
者、そして日本の植民地支配と侵略戦争によって生み出された他民族の被害当事者と遺族たち)にたいして責任を認めて、謝罪と補償(恩給などというものではなく!)を行うことである。

 この8.15と同様の政治が、3.11においても起動されようとしている。そして8.15において隠蔽されるものが国家の戦争責任であるとすれば、3.11において隠蔽されるものは国家の「原発責任」とでも言うべきものである。

 野田の演説において、地震・津波災害と原発事故災害とは、たんに並列されているだけである。地震・津波の被害をあれほどに拡大させてしまった責任は国にもあるはずだが、それ自体は「自然災害」ではあろう。しかし、それによって起こされた原発事故は100%の人災である。国家的なプロジェクトとして原発を推進し続けた国に、事故の根本的な責任があることは明白である。自然災害はおさまれば確かに暮らしは再建され「復興」に向かうはずだ。しかし、現在進行形の原発事故は、決して旧に復することのできない深い傷を、日々刻み続けている。

 原発政策をそのままにした「復興」などありえない。野田もこの演説で「元に戻すのではなく、新しい日本を作り出すという挑戦」が「今を生きる日本人の歴史的な使命」であるなどと述べている。だがそれは、「自然災害に強い持続可能な国づくり・地域づくりを実現するため、災害対策全般を見直し、抜本的に強化」することであり、「原発事故の原因を徹底的に究明し、その教訓を踏まえた新たな原子力安全行政を確立」することでしかない。こんなことは、従来の原発推進路線においてすら、タテマエとしては掲げられてきたことではないのか。

 このふたつの災害を切り離して前者のみを語ることは、その責任を負っている国家にとっては、決して許されることではないはずだ。「追悼式」において、死者の死はもっぱら今後の「復興」にのみ結びつけて語られ、いまなお原発事故の被害を受け続けている人びとをも含めて、被災一般・苦難一般へと問題は解消され、それを乗り越えて「復興に向けて頑張ろう」というメッセージへと「国民的」な動員が果たされる。野田の演説にも見られる「全ての日本人」「日本再生」といった言葉は、多数の被災した在日外国人を排除するだけではない。被災者のおかれているさまざまな苦難の差異を消し去り、あやしげな「共同性」に囲い込み、挙国一致で頑張ろうと忍耐を求める国家の論理なのだ。

 さらに、国家によって「追悼」されるのは、個々の固有の名を持つ死者ではありえない。儀礼的な空間の中で、具体的な個々の死者は、集合的に追悼されるべき単一の死者=「犠牲者」なるものに統合されてしまう。その抽象的な死者に対して、国家のタクトにしたがって、「国民的」行事として一斉黙祷がなされる。それはあくまで、儀式を主宰する国家の政治目的のための「追悼」なのだ。それはそのとき、さまざまな場所で、自らの思いにおいて個別の死者を悼んでいるだろうすべての人びとの行為をも、否応なく国家行事の側に呑み込み、その一部としてしまう。それが、国家による死者の簒奪でなくて何であろうか。

 この儀式において、天皇の「おことば」は中心的な位置を占めるだろう。天皇は、昨年の震災直後にビデオメッセージを発し、また、被災地を慰問して回った。そこで天皇が果した役割は、被災者の苦難にたいして、その悲しみや怒りを、「慰撫」し「沈静化」させることであった。そのパフォーマンスは、マスコミなどで「ありがたく、おやさしい」ものとして宣伝され続けた。しかし、天皇とは憲法で規定された国家を象徴する機関である。そのような存在として天皇は、震災と原発事故が露出させた戦後日本国家の責任を隠蔽し、再び旧来の秩序へと回帰させていく役割を、精力的に担ったのだ。それこそが天皇の「任務」なのであり、3.11の「追悼式」において天皇が果すのも、そのような役割であるはずだ。

 国家がなさねばならないことは別にある。震災と原発事故の被災者の生存権を守り、被害に対する補償や支援をし、さらには被害の一層の拡大を防止するためにあらゆる手立てが尽くされなければならない。そして、これまでの成長優先社会の価値観からの転換がなされなければならない。しかし、政府が行おうとしている方向性は逆だ。原発問題一つとっても、老朽原発の寿命の延長を可能にし、インチキな「ストレステスト」を強行して無理やり再稼働に進もうとしているではないか。それは、「復興」されようとしている社会が3.11以前と同じ社会であること、そこにおいて利益を享受していた者たちの社会であることを物語ってしまっている。この点で私たちは、国家による「追悼式」への抗議の声を、3.11というこの日においてこそ、反原発という課題に合流させていかなければならない。

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【案内】「危機」の時代の天皇制を問う! 2・11反「紀元節」行動

2・11反「紀元節」行動 実行委ブログ
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「危機」の時代の天皇制を問う! 
2・11反「紀元節」行動

日時: 2012年2月11日(土・休)
     午後1時開場  集会後デモ


場所: 日本キリスト教会館4F(地下鉄東西線早稲田駅3b番・2番出口から穴八幡神社方徒歩5分)


発言: 京極紀子(「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会)
     桜井大子(女性と天皇制研究会)
     なすび(福島原発事故緊急会議・被曝労働問題プロジェクト)
     村上陽子(ゆんたく高江)

主催: 「危機」の時代の天皇制を問う!
     2・11反「紀元節」行動実行委員会

呼びかけ団体: アジア連帯講座/ アンポをつぶせ!ちょうちんデモの会/ 国連・憲法問題研究会/ 立川自衛隊監視テント村/ 反天皇制運動連絡会/ 「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/ 靖国・天皇制問題情報センター/ 連帯社/ 労働運動活動者評議会
 

「危機」の時代の天皇制を問う!2・11反「紀元節」行動へ!

「女性宮家」創設に向けた政府の検討が本格化した。かつて、女性・女系天皇を認める方向で検討された「皇室典範」改正案は、秋篠宮家に悠仁が生まれ たことによって棚上げになった。しかし、このままでは天皇を支える皇族がいなくなるという危機感が、こうした方向性に踏み切らせたのである。
 
天皇主義者にとっては、この焦りには、別の意思も含まれている。次の天皇制を担うべき皇太子夫妻が、きわめて「頼りない」ことがそれである。病気の 妻は「皇后としての役目」を果たせるのか、皇太子は次の時代の天皇像を明確に示せていない、昨年、明仁天皇が入院した。時間はないのだ。
 
昨年の3・11以後の時間は、あらためて、日本の戦後社会の暗部を引きずり出した。原発・安保・基地・新自由主義・生存・ナショナリズム・排外主 義……多くの解決されるべき問題が、危機的な状況としてわれわれの目の前に広がっている。だが、それを隠蔽し、この日本の戦後社会のありかたを文 字通り象徴し、肯定し続けてきたのが天皇制である。絶対敬語にまみれた天皇への賛美は、そのような「日本」を賛美することと同義である。
 
今年の「紀元節」を、われわれは、こうした状況自体をとらえかえし、それに対する反撃の陣形を見出していくための抵抗の日としていきたい。さまざまな社会運動に取り組む方の問題提起を受け、集会後のデモにも取り組んでいきたい。
 
われわれは、さまざまな意味で危機の時代に生きているが、天皇制の「危機」は、もちろんわれわれにとっては危機でもなんでもない。それは世襲の人間が国家 の「象徴職」を独占していることの矛盾の現れだ。それ自体が身分差別であり、家柄や社会的な差別、民族差別を再生産していく装置である天皇制はいらない。

天皇神話にもとづく建国記念日=「紀元節」反対行動へ!

報告:「東京の教育を変えよう!学校に自由と人権を!10・22集会」

jpg 10月22日、全電通会館で「東京の教育を変えよう!学校に自由と人権を!10・22集会」が行われ、343人が参加した。

 石原都政・都教委による新自由主義教育改悪、「日の丸・君が代」強制を通した愛国心の押し付けのための10・23通達(03年10月23日)を発してから八年。「君が代」斉唱時の不起立・不伴奏を理由に437人の教職員が不当処分されている。

 東京高裁(大橋寛明裁判長)は、04年処分取消訴訟で都教委の「裁量権の逸脱・濫用」を認定し169人の処分取消を命じる判決を出した。しかし最高裁は、「10・23通達」関連裁判で立て続けに通達・職務命令を「合憲」とする不当判決を出している。司法の反動化が強まる中、「日の丸・君が代」強制反対・予防訴訟をすすめる会、「日の丸・君が代」不当解雇撤回を求める被解雇者の会、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会などが「『日の丸・君が代』強制反対!10・23通達撤回!最高裁は『司法の良心』を示せ!」を共同スローガンに一六団体の主催で実現した。

 
新自由主義教育改悪はやめろ
 

 近藤 徹さん(「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会事務局長)が主催者あいさつを行い、「最高裁第1小法廷に係属している不当処分撤回を求める3件の裁判について、11月末から一二月にかけて弁論期日指定の通知が届いている。年内又は年明けにも最高裁判決が出ようとしている。これまでの通達・職務命令合憲最高裁判決を許さず奮闘していこう」と訴えた。

 斎藤貴男さん(ジャーナリスト)は、「東京・教育の自由裁判をすすめる会」共同代表の取組みなどを報告し、「野田首相は、真っ先に経団連にあいさつし、経団連が出した資本のための震災復興プランにもとづいて計画を押し進めようとしている。むきだしの資本主義の貫徹だ。教育に対しても同様に新自由主義教育を導入し、破壊している。まさに棄民教育である。この流れに対して反処分闘争、『日の丸・君が代』強制反対闘争は、真っ向から対決している。力を合わせて、粘り強く跳ね返していこう」と強調した。

 澤藤統一郎さん(東京・教育の自由裁判弁護団)は、「今後の裁判方針だが、一つは判決が示した間接制約概念の枠組みの批判と、必要性・合理性の根拠とされた教育公務員論の批判が中心となる。第二は、まだ最高裁が判断を示していないところでの主張だ。国家シンボル論を介在した公権力権限論、裁量権濫用論、教育の自由について主張していくことが必要だ」と問題提起した。
 

赤川次郎さんからメッセージが届く
 
 赤川次郎さん(作家)の集会メッセージが紹介された。

 赤川メッセージは「一旦『心の中へ立ち入る』ことを許せば、次はさらに泥靴で心の中へ踏み込んで来る。それを拒むには、この一歩を拒否することです。『日の丸・君が代』の問題は、決して入学式と卒業式だけのことではないのだと、粘り強く訴えていきましょう」と呼びかけている。

 井前弘幸さん(大阪・新勤評反対訴訟団事務局長)は、「こんな条例あり?大阪府『君が代』強制条例の撤廃を求める」をテーマに報告。

 「10月21日、教育常任委員会は「教育基本条例案」の継続審議を決定し、12月8日~25日の府議会で審議されることになった。橋下は10月22日、府知事辞職届けを提出し、大阪市長選への出馬を表明した。11月27日は、大阪府知事選、大阪市長選のダブル選挙だ。条例案を争点の一つとするつもりだ。しかし、9・24全国集会に762人、10・20府庁包囲行動に300人、10・21府労連集会に2500人で条例反対の取組みが進んでいる。教育委員、教育委員会事務局、PTAも批判している。ともに橋下を追い詰めていこう」とアピールした。

 内田妙子さん(日航不当解雇撤回裁判原告団長、キャビンクルーユニオン委員長)は「日航『整理解雇』との闘い」を報告し、「安全運航を守るため、差別や人権侵害と闘ってきた労働者を排除し、労働組合の弱体をねらって不当解雇を強行した。安全なくして再建なし!一日も早く勝利して職場復帰を果たしたい」と支援を訴えた。

 最後に集会アピールアピールを採択し、闘うスクラムを強化していくことを誓い合った。

(Y)

報告 9.18子どもと教科書全国ネット21総会

教科書+022 9月18日、子どもと教科書全国ネット21は、東京大学農学部で第14総会を行った。

 ネットは、総会で昨年6月からの活動の集約と今後の方針にむけて①教科書制度の改善に向けた活動②新しい歴史教科書をつくる会、日本教育再生機構、日本会議などの歴史のわい曲を許さない取組み③教育・教科書攻撃に対する活動④改定教育基本法・学校教育法を具体化する新学習指導要領・新検定制度に対する活動などについて集中した討論を行った。

 とりわけ2011年度中学校教科書の採択で「再生機構」=「教科書改善の会」の育鵬社版歴史・公民教科書、「つくる会」の自由社版歴史・公民教科書がいくつかの地区・中高一貫校、私学などで採択されてしまった。育鵬社版歴史教科書の採択数は3・7%、公民は4・1%。全国582地区のうち歴史・公民共が11地区。自由社版教科書は、歴史が私学6校。公民は公立20校、私立1校だった。この事態を分析し、反対運動で共有化し、広げていくことを確認した。



「つくる会」、育鵬社版教科書採択問題について



 総会の第Ⅰ部は記念講演。

 高嶋伸欣さん(ネット共同代表、琉球大学名誉教授)は、「中学教科書採択・私の総括―『つくる会』系を中心に」というテーマで提起した。

 「6月にネットは、つくる会が編集した自由社の中学歴史教科書2012年度版の年表が東京書籍の02年版とほぼ一致していたことを明らかにした。この盗用問題は、各地区の教科書採択において自由社版の採択に慎重にならざるをえなくなったし、文科省が自由社版教科書を真剣に検定していなかったことが同時に明らかになった。反対運動によって自由社を大敗北に追い込んだといえる。だが逆に育鵬社の教科書が4%も採択されてしまった。これをどう評価するのか。自民党、日本会議、幸福の科学、統一教会などの右派勢力は、育鵬社や自由社の教科書を採択させるために総力で動いていた。その手法は、首長や教育長、有力な教育委員に裏から働きかけるやり方を用意周到に進めていた。メディアも教科書採択問題についてほとんど報道しなかった。採択を阻止した地区の取組みを教訓化していくことが重要だ」と強調した。

 さらに沖縄・八重山地区(石垣市・竹富町・与那国町)教科書問題を取り上げ、「8月23日に採択協議会が育鵬社公民を選定したが、八重山をはじめ沖縄県民や全国の取組みによって9月8日の教育委員協会総会で育鵬社を不採択し、東京書籍の採択を決めた。採択協議会の玉津会長は、『育鵬社ありき』で独善的に采配してきたが、沖縄戦記述の問題点などが大きくメディアに取り上げられ、八重山住民の強い反対で公民だけの採択を強行せざるをえなかった。この過程において自民党の義家弘介参院議員が政治介入し、『協議会の結論にのっとった採択が前提だ』などと圧力をかけていた」ことを明らかにした。

 さらに「文科省は、自民党政権下で地方教育行政法『教育委員会の職務権限』を根拠に『教科書の採択は学校毎にはない』と解釈し押し切ってきた。『義務教育諸学校の教科書図書の無償措置法』では複数の教委による協議で同一教科書を採択する広域採択制に変更した。それでも学校現場の意向は尊重すべきだとして最も希望の多い教科書が採択されるシステムを教委が採用してきた。しかし右派勢力の圧力によって文科省は各教委独自の判断で採択を強行することができるようにした。つまり、八重山地区は育鵬社版に反対する竹富町教委がこの文科省の通知を根拠に採択権限を主張したため文科省は目下立ち往生中。育鵬社不採択にむけて冷静な協議を再度行っていく必要がある」と提起した。

 永田浩三さん(武蔵大学教授・元NHKプロデューサー)は、「ETV2001改変事件・担当プロデューサーが体験したこと、考えること」を講演した。



慰安婦問題と教科書



 ETV2001改変事件とは、シリーズ『戦争をどう裁くか 第2回 問われる戦時性暴力』(2001年1月30日放送)の女性国際戦犯法廷が放送直前、NHK幹部が自民党右派の安倍晋三、中川昭一国会議員に呼び出され改変の圧力をかけられた事件だ。幹部は永田さんに①慰安婦、慰安所の存在を極力消す②日本軍・日本政府の組織的関与のニュアンスを消す③海外メディアが「昭和天皇の責任」について触れた部分を消す④女性法廷の歴史的意義を消す⑤判決・日本政府と昭和天皇の責任について触れた部分を削除⑥中国、東チモールの元慰安婦の証言、加害兵士2人の証言の削除を指示。

 その後、バウネット・ジャパンが「期待と信頼が損なわれた」としてNHK等を提訴した。最高裁は番組がいろいろ変わることは当然だとしてNHKが勝訴(2008年6月)。

 永田さんは、これらの経過等を昨年七月『NHK、鉄の沈黙はだれのために』(柏書房)、『暴かれた真実』(共著・現代書館)でまとめたことを紹介し、「最高裁は政治家の介入はあったとも、なかったとも判断していない。しかし、NHKを含むメディアでは、安倍・中川氏の『政治介入はなかった』というコメントを一方的に垂れ流した。自己防衛のプロパガンダを国民のNHKニュースへの信頼を悪用するかたちで行った。極めて悪質な、放送史上まれにみる。汚点をつくった」と批判した。

 そして、「この事件以来、NHKのみならず、新聞も含めて慰安婦問題は一切紹介されなくなった。タブーとなっている。ETV2001改変事件は、教科書問題とリンクしており、戦争、暴力などのテーマと合わせて極めて重要な課題だ」と訴えた。

 第Ⅱ部は、ネットの総会が開催され、各議案を提起した。



「つくる会」、「再生機構」、日本会議の巧妙な戦術



 活動のまとめでは「中学教科書採択に関する活動」の中で「採択された地域の共通の特徴」について「一部地域・学校で『つくる会』系教科書が採択されたのは、『つくる会』系教科書を支持する首長がいる地域、その首長によって任命された『つくる会』系教科書を支持する教育委員がいる地域、しかも横浜の今田忠彦委員長のような市民の意見など完全に無視する『強引なリーダーシップ』をもった委員のいる地域で、水面下で採択工作が行われていたことが共通しています。さらに、どこでも学校現場や市民の意見を無視・排除して教育委員の政治的・独断的な判断で投票に決めています。右派勢力は、これらの地域でいわばピンポイントで採択獲得をめざし、それがいくつかの地域で『成功』したということです」と分析した。

 「なぜこれらの地域で育鵬社が採択されたのか」の分析項では「つくる会」系教科書採択の社会的背景として、「戦争をする国」をめざす政財界のねらい/日本社会の保守化の影響/教科書問題をほとんど報道しないメディアの状況について掘り下げた。

 さらにネットは「つくる会」、「再生機構」、日本会議の巧妙な戦術について、「関東のある市の場合、彼らは、01年、05年には集会などをやり、教育委員会の傍聴なども熱心にやっていましたが、今年の採択に向けては、集会も企画せず、教育委員会の傍聴も一切していません。中心人物が、市長と教育長にしばしば会って、圧力をかけ続けていました(この市では「地域ネット」などの活動によって採択を阻止しています)。このように、彼らにとっては『産経』以外のメディアは教科書採択問題をほとんど報道しないで、表向きには『静かな』状況で採択が行われる方が好都合だった」ことを浮き彫りにした。

 主体的な反省点としては「自由社版教科書に比べて、育鵬社版教科書に対する批判をもっと強める必要がありましたがそれが不十分でした。また、歴史教科書に比べて公民教科書の問題点の宣伝をあまり浸透させることができなかった」と対象化し、四年後にむけて全国の各地域に「地域ネット」をつくり日常的な連携を強化していこうとまとめた。(Y)
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