虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

原発輸出

【報告】11.16「日印原子力協定反対・原発輸出反対」首相官邸前アクション

1116インド1クダンクラム原発稼動反対・住民弾圧やめろ」、「日本政府はインドの核開発に手を貸すな」

 一一月一六日午後八時から、首相官邸前で「日印原子力協定反対・原発輸出反対」、「クダンクラム原発稼動反対・住民弾圧やめろ」、「日本政府はインドの核開発に手を貸すな」行動が東電前アクションとノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパンの呼びかけで行われ四〇人が参加した。

 この日、日本とインドの原子力協定反対の署名提出を予定していたが衆院解散に伴い、インド首相来日の延期が伝えられ、議員会館前の行動は中止になり、首相官邸前行動のみになった。

 最初に、東電前アクションの栗原さんが「インド・シン首相の来日は中止になったが、二日後のアセアン会議で野田首相と会うことになっている。シン首相の来日の大きな目的のひとつは日印原子力協定の締結のための調整と言われている。日印原子力協定は、主に日本からインドへの原子力技術と設備の提供・供与を目的としている。それは当然、近い将来の日本からインドへの原発輸出のための地ならしだ。また、核兵器保有国への原発技術の提供は、核武装を積極的に是認する暴挙であり、許されるものではない」と、協定の問題点を指摘した。

さらに、「インド政府はインド最南端のクダンクラム原発の建設を強行し、住民の強い反対の意思を踏みにじり続けています。今年九月一〇日には住民たちの反対デモに対して警官隊が発砲して死者まで出している」と、インドでの反原発運動の攻防を伝えた。

 そして、「福島の巨大原発事故を引き起こしながら未だに原発を推進し、海外に売り込みを図る日本政府。核兵器を保有し、さらなる核大国をめざして人々を暴力で踏みにじりながら原発増設を目論むインド政府。私たちはインドの人々とつながって、世界のどこにも原発はいらない」と訴えた。

 次に九月にインド政府に入国を拒否された大阪の二人がアピールした。

  宇野田陽子さん(ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン事務局)さんは「ロシアから一〇〇万Kwの二基の原子炉を輸入してクダンクラム原発が建設されている。九月九日には地元民二〇〇〇人が座り込みをし、三万人が原発を包囲した。九月一〇日一万人の武装警官が陸から海へと包囲し人々に襲いかかった。何人も逮捕者は遠くに拘留された。クダンクラム原発反対運動のリーダーのウラル・クマールさんは死刑か終身刑かの国家反逆罪で逮捕状が出ている。ヒロシマ・ナガサキ・フクシマを経験した我々が脱原発・脱核兵器のメッセージを出し、世界中のどこでもダメだと言おう」と報告した。

 中井信介さん(ビデオジャーナリスト)はベトナムの原発建設問題を報告した。

 「建設予定地に行き、住民に話を聞いた。一〇kmぐらい離れているので自分たちには関係がない。原発が出来て道路や雇用が生まれるのに期待している、という答えだった。日本の原発メーカーが村の有力者を日本の原発を視察させ、安全性をアピールしていた。原発安全神話が作られている。また、ベトナムでは政府の弾圧によって、反対運動が出来ない状況がある。知識人のある人がブログで反対署名を集めたら、傷痍軍人が研究所に押しかけやめるようにいやがらせをした。こうした状況だからこそ、日本をはじめ海外からの働きかけが重要だ」。

 再稼働反対!全国アクションの国富さんが「インドは出稼ぎ労働者がたくさんいるが、原発反対運動をすると政府はパスポートを出さないいやがらせをしている。また独立記念日に黒い旗を掲げた人たちに国家反逆罪を適用して弾圧している。ウラン鉱山での労働者の被曝問題も深刻だ」とインドの運動の状況を報告した。

 この日、日本とインドの原子力協定反対の署名を官邸に提出しようとすると警察官が「アポがない」とジャマをし、提出者を無理やり官邸前から道路反対側に押し返した。主催者はこうした民主主義を踏みにじる行為を批判し、総務省の受付に署名を手渡した。なお、東電前アクションは11月23日午後六時から八時まで東電前で「被曝労働問題などで東電の責任を追及する」アクションを起こすと告知があった。(M)

【案内】日印首脳「原発会談」抗議!11.16緊急アクション

【拡散歓迎】
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クダンクラム原発稼働反対!インド政府は住民弾圧やめろ!
  日印首脳「原発会談」抗議!11.16緊急アクション


   《呼びかけ》東電前アクション!
BLOG:
http://toudenmaeaction.blogspot.com/
TWIT: http://twitter.com/toudenmaeaction
MAIL: toudenmae.action@gmail.com
TEL : 090-1219-4519

  
   《協力》ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン
HP :
http://www18.ocn.ne.jp/~nnaf/
mail: sdaisuke@rice.ocn.ne.jp

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時間:2012年11月16日(金)19時半~ (国会議員に署名提出)
場所:国会衆議院議員面会所前集合
地図⇒
http://tinyurl.com/abf2uav

20時から野田首相とインド・シン首相の「原発会談」に対する首相官邸前抗議アクション!


★インド首相来日と野田首相との「原発会談」に抗議!「日印原子力協定」締結-原発輸出反対!
☆インド政府は原発も核兵器も放棄しろ!「クダンクラムの血の弾圧」を許さない!
★9月にインド政府に入国を拒否されたノーニュークス・アジアフォーラムのメンバー二人がアピールします。

11月15日から17日にかけて、インドの新首相が来日します。

来日の大きな目的のひとつは「日印原子力協定」の締結のための調整と言われています。
「日印原子力協定」は、主に日本からインドへの原子力技術と設備の提供・供与を目的としています。
それは当然、近い将来の日本からインドへの原発輸出のための地ならしと考えるほかありません。
また、核兵器保有国への原発技術の提供は、核武装を積極的に是認する暴挙であり、許されるものではありません。

現在、インド政府はインド最南端のクダンクラム原発の建設を強行し、住民の強い反対の意思を踏みにじり続けています。
そして、今年9月10日には住民たちの反対デモに対して警官隊が発砲して死者まで出しています。

福島の巨大原発事故を引き起こしながら未だに原発を推進し、海外に売り込みを図る日本政府。
核兵器を保有し、さらなる「核大国」をめざして人々を暴力で踏みにじりながら原発増設を目論むインド政府。
こんな両者の思惑に対して、私たちはインドの人々とつながって「世界のどこにも原発はいらない!」と表明します。

そして、私たちは野田首相に言いたい!
核開発を推進するシン首相を広島・長崎、そして福島に案内しろ、と。
そうすれば、核兵器を保有するということがどういうことか、
原発を建設するということがどういうことか、理解できるはず、と。
それこそが被爆国そして原発事故当事国の責務であるはずと考えます。

原発も核兵器もない世界へ!



★☆日本とインドの原子力協定に反対する署名のお願い★☆

http://www18.ocn.ne.jp/~nnaf/119a.htm
(11月16日に日印両政府に提出します)

・クダンクラム原発:反対運動と弾圧(9月10日の映像)
http://youtu.be/zb_jyJaUAic

・クダンクラム原発反対に連帯する日本人3名がインドで入国拒否
(ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン)http://www18.ocn.ne.jp/~nnaf/118a.htm

・連帯声明 歴史的な闘いの中にあるクダンクラムのみなさんへ
(ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン)
 
http://www18.ocn.ne.jp/~nnaf/118b.htm


☆★☆★↓↓こちらもご参加を↓↓☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

11.15緊急集会「日本はインドに原発を輸出するのか?」
~日印原子力協力協定の問題点とインドの反原発運動~

講演「日印原子力協定の問題点」福永正明(大学教員)

クダンクラム原発反対運動の報告など
 伴英幸(原子力資料情報室)中井信介(ジャーナリスト)宇野田陽子(NNAF

日時 1115日(木)1830203018:00開場)
場所 連合会館(旧・総評会館) 402号室

千代田線新御茶ノ水駅、丸の内線淡路町駅、新宿線小川町
駅からB3出口すぐ。JR御茶ノ水駅・聖橋口から徒歩5

<主催> シン首相来日緊急集会実行委員会 <連絡先> 090-8169-9693

::::::ここまで:::::::::::::::::::::::::::

【報告】10.23 リトアニアへの原発輸出に反対して日立前で緊急行動

IMG_143810月14日にバルト三国のリトアニアで、ビサギナス新原発建設の是非を問う国民投票行われた。日立製作所が事実上受注したこの原発建設計画に対して、国民投票では反対が62%を占め、賛成の34%を大きく上回るという結果になり、リトアニア民衆は明確に「原発建設に否」の意思表示をした。


しかし、この国民投票の結果に対して、日立製作所の中西社長は投票結果直後の記者会見で「撤退するという判断は永遠にないだろう」「原発へのニーズはある」などと述べるなど、リトアニアの人々の「原発いらない」の意思は踏みにじることをあらためて宣言した。


この中西の発言を受けて、東電前アクション!は、リトアニア民衆に連帯して日立にリトアニアからの撤退を求める告知期間三日強の緊急アクションを10月23日に東京駅前の日立製削除本店前で取り組んだ。当日は三日強の告知期間であることに加えて荒天にもかかわらず、40人が結集して熱気あるアクションを展開した。

東電前アクション!から植松さんが「小国リトアニアは歴史的に侵略され続け、踏みにじられ続けてきた。そしてまたも、原子力で踏みにじられようとしている。この高いビルを見て村上春樹の"卵と壁"の喩えを思い起こす。はたして私たちは壁なのか卵なのか。卵の側に立ちましょう」とアピール。次々に参加者にマイクを回し、リトアニア語のプラカードを掲げて日立に「原発輸出反対」を訴えた。

 

「福島第一原発はアメリカから輸入された原発だった。当時から欠陥が指摘された原子炉BWRマーク1型だったが、3.11事故後当時の技術者は『事故と欠陥の因果関係は否定できない』と証言している。しかし、原子炉メーカーGE社もも米政府も福島事故に謝罪もせずその責任を頬かむりしている。原子炉メーカーのような大企業は売ったら売りっぱなし、誰も責任など取ろうとしない。あとは野となれ山となれ・我が亡き後に洪水きたれ、だ。そういう大企業と経済のあり方そのものを変える必要がある」

東電株主訴訟の木村結さんは「日立で働く人々は、生活のため家族のためなどと嘘をついて自分を騙すのはもうやめてほしい。リトアニアは2004年にすでに"脱原発"を選択している。それをお金の力で原発を押し付ける日本という国が本当に恥ずかしい。日立の人々はリトアニアに原発を売り込むというのなら、有給休暇でも使って福島の現状を見に行ってほしい」と訴えた。

そして、「あの福島第一原発事故を引き起こした当時国の市民として、原発の輸出や日本からの新たな核拡散を許すわけにはいかない。原発輸出を断念するまで、何度でもこの場所に立つ」と司会が締めて、この日の行動を終えた。

 

(F)

【報告】1.16「原発? No. Thank you! ヨルダンの国会議員・弁護士は訴える」

IMG_0805 一月一六日、東京・水道橋の在日韓国YWCAで「緊急集会 『原発? No,
thank you!』ヨルダンの国会議員・弁護士は訴える」が行われ、一〇〇人以上が参加した。主催はミーダーン≪パルスチナ・対話のための広場≫。FoE Japan、JACSES(「環境・持続社会」研究セ ンター)、JSR(アル・ジスル――日本とパレスチナを結ぶ)、JIM―NET(日本イラク医療支援ネットワーク)、NINDJA(インドネシア民主化支援ネットワーク)、福島原発事故緊急会議、アジア太平洋資料センターが共催した。

 集会には一月一四日、一五日に横浜で開催された脱原発世界会議のために来日したヨルダンのモオタシム・アワームレさん(国会議員、医師、議会の保健・環境委員長)、ジャマール・ガッモーさん(国会議員・エネルギー委員長)、ムナ・マハメラーさん(弁護士)が発言した。

 昨年一二月、臨時国会はわずか半日ほどの審議でヨルダンとの原子力協定を承認した。


通常国会では、八月二四日に参考人として発言したJACSESの田辺有輝さんが人口密集地域での原発建設の危険、水資源に乏しい砂漠地帯で冷却水の供給が首都アンマンの下水処理場の処理水しかない問題、シリア・アフリカ断層の上に位置する地震多発地域であること、さらに被占領パレスチナ、シリアなどと接する紛争地域であることを指摘し、そのこともあって承認は見送られた。だが原発輸出競争で勝ち抜くことに原発延命の活路を見出そうとする資本の圧力によってヨルダンとの原子力協定はついに承認されてしまったのである。

 しかしヨルダンでは国王が議員を任命する上院(六〇人)は別にしても、普通選挙で選ばれる下院(一二〇人)では反対する議員が多数派であり、福島第一原発事故以後は世論でも反原発の気運が高まっている、と言われる。この日の緊急集会は、野田政権が進める「原発輸出」政策を批判し、ヨルダンの人びとの生の声に耳を傾けるために設定された。
 
 田浪亜央江さん(ミーダーン)が進行役をつとめた集会では、最初にフリーランス・ジャーナリストの鈴木真奈美さんが、原発輸出の問題点を鋭くえぐり出した。

 鈴木さんは、日本での原発の新設は、かりに福島原発事故がなかったとしてもきわめて困難であったこと、新設がなければ運転年数の上限四〇年なら二〇四五年にはすべて終わり、仮に六〇年に延ばしても二〇六五年にはなくなることを指摘した。米国では価格競争力、事故リスクなどの面で一九七〇年代以後新設原発はゼロとなり、原子炉の設計能力はあるものの製造・建設の技術と人材が衰退してしまった。米国は核兵器という軍事用技術に特化した形でしか人材を維持できていないこうして今のままでは世界で運転される発電用原子炉は二〇五五年にはほぼゼロになってしまう。

 こうした中でいま新興市場・途上国市場をねらった原発輸出で原子力産業の延命を図ろうという動きが進んでいる。中国、インド、ベトナムでは電力供給の拡大と将来の原発輸出国となることを目標として、リトワニアではロシアへのエネルギー依存を減らすために、中東・インドネシアでは石油・天然ガス資源を外貨獲得用に残すために、など新興国・途上国の側の思惑はさまざまだ。

 澤明・三菱重工原子力事業本部長はヨルダンを契機に他の新興国市場への原発輸出を進めていくこと、そしてそのためにフランスのアレバ社との協力を強めていく、と語っている。二〇〇六年の「原子力立国計画」では、建て替え需要が始まるまでに輸出により技術と人材を維持し、法的・制度的整備を進めていくと述べている。二〇〇七年の「日米原子力共同行動」では、日本が米国の新規原発建設を支援するとともに日米でパートナーを組んで「世界の原子力拡大に貢献」することをうたっている。こうして、原子力輸出とは核産業の延命策であり、輸出国と輸入国の双方の政治・社会・経済を核のしがらみにしばりつけるものだ。

 鈴木さんは、このように語って「ポスト・フクシマ」の時代での「開かれた議論」の必要性を訴えた。



 次にヨルダンからの三人のゲストが報告した。

 ジャマール・ガッモーさんは「福島の悲惨な事故がヨルダンでも世界のどこでも起こってはならない」と述べ、次のように語った。

 「ヨルダンは被占領パレスチナ、イラク、シリアに接しており、そうした地域では数々の戦争で禁止された兵器が使われてきた。木も枯れ、植物も育たなくなった。イラクでは劣化ウラン弾が使われた」。「二〇〇三年以前、ヨルダンはイラクから非常に安く石油を輸入してきた。半分は無料、半分は半額だった。したがってエネルギー自立など考えてこなかった。二〇〇三年以後、イラクからの石油は止まりそれへの代替戦略として、国内備蓄への依拠、エジプトからの天然ガス、国内のウラン採掘などが挙げられた。そして国内のウランを使って貧しい国から豊かな国になることができる、との希望が呼び起こされた」。

 「このウラン開発で中国、ベルギー、フランスとの交渉が始まったが、三年後中国とベルギーは撤退した。国内には十分な量のウラン鉱がないことが分かったからだ」。

 「いまどこに原発を作るのかの場所もはっきりしないまま、入札が行われてきたが、ヨルダンには十分な冷却水供給減もないし、人材面でも運営に限界があり、廃棄物処理技術もない。結局、利益だけを求める企業に食い物にされてしまうだけだ」。

 モオタシム・アワームさんは「ヨルダンでは代替エネルギーとしての太陽光の発電の可能性が大きい。しかしその可能性は意図的に無視されてきた」と語り、次のように批判した。

 「核大国クラブは原発ルネッサンスの計画で途上国を説得している。しかしそれは技術を持つ国への依存を深めるだけだ。私は議会の環境委員長として、また医師として放射能の危険性を認識しており、その影響は一時的なものではない。米国、ソ連、日本といった先進国でも事故が起こった。こうした事故がヨルダンで起こればどうなるのか。ヨルダンはトルコから紅海に至る断層の上に位置している。政治情勢も不安定だ。かつてイラクやイランの発電施設が攻撃された。廃棄物処理はだれが責任を持つのか、その費用はだれが負うのか。被害をもたらすエネルギーではなく、農業などへの支援をこそ期待する」。

 弁護士のムナ・マハメラーさんは「ヨルダンは世界で最も水資源の乏しい国の一つであり、電力を化石エネルギーに依存している。その九七%が輸入だ。うち七五%がエジプトからの天然ガスだ」と説明した。

 「パレスチナの正義と平和を求める国連決議は一貫して無視されてきた。近隣にはイスラエルという核保有国、そして核兵器開発を進めているとされるイランがある。事故や戦争の危険性に私たちは取り巻かれている。もし日本がヨルダンに原発を輸出すれば、ヒロシマ・ナガサキの惨劇に同情してきたヨルダン人の日本へのイメージが変わるだろう。ぜひ日本政府に原子力協定を取り下げる運動をしていただきたい」。

 この呼びかけに参加者たちは共感の拍手で応えた。

 原発輸出政策をやめさせ、世界の人びととともに脱原発を実現しよう。

(K)

【報告】4カ国との原子力協定承認を許すな 原発輸出に反対し12.1首相官邸前行動

IMG_0733 野田政権は国会会期末を目前にして、原発輸出のための原子力協定の国会での承認を強行しようと動きだした。しかもヨルダン、ベトナム、韓国、ロシアとの協定を一挙同時に短時間の審議で承認を求めているのだ。12月2日に衆院外務委員会で審議・採決が行われ、民主、自民両党の賛成で可決された。公明党は、11月29日に四カ国との原子力協定に賛成の意向を表明していたが、「政府の原子力政策が定まらないので協定は時期尚早」との理由で反対にまわった。当初はこの日の衆院本会議で採決が行われ、参院に回されるとしていたが、結局本会議採決は12月6日に先送りされた。

 12月1日、国際環境NGO FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、メコン・ウォッチが呼びかけ、福島原発事故緊急会議などの賛同で「緊急声明 問題だらけのベトナム/ヨルダンへの原発輸出~拙速な原子力協定批准に抗議」が出され、午後六時から首相官邸前で抗議行動が行われた。緊急の呼びかけにもかかわらず行動には90人が参加した。
 
 ヨルダンとの原子力協定については、延長された八月の通常国会で、参考人として招致されたJACSESの田辺有輝さんが、冷却水の供給、事故になった場合、建設予定地周辺の100万人の住民の事故時避難が困難であること、テロのリスクも高いことなどを説得的に語ったことにより、採決が見送りになっていた。こうした問題に何の解決もないまま、原発商戦に乗り遅れるなという理由で、福島原発事故を引き起こした日本が原発輸出を行うことは「事故・被害の輸出」に他ならない。

 杉原浩司さん(福島原発事故緊急会議、みどりの未来)の司会で行われた首相官邸前行動では、まず田辺有輝さんが「ヨルダンで作られるという原発では、冷却水の供給が下水処理場からしかなされない。しかもヨルダンはシリア・アフリカ断層の上に立ち地震国だ。福島事故の教訓を明らかにできないまま原発輸出を進めることに抗議する」と訴えた。

 社民党の服部良一衆院議員が国会状況を報告した後、メコン・ウォッチの木口由香さんがベトナムへの原発輸出について「ベトナムの人々に真実が伝えられていない。事故が起きたらカンボジア、ラオス、タイなどにも深刻な被害を及ぼすことになる。こうした原発建設に日本の公的資金が使われることは間違いだ」と語った。

 続いてこの日から再び経産省前での座り込みを始めた女性たちから椎名千恵子さん、佐藤幸子さんが「命を生み、育てる女性として福島の悲しみ、苦しみを海外に押し付けることはできない」と発言した。さらにFoE Japanの吉田明子
さん、ミーダーン(パレスチナ・対話の広場)の田浪亜央江さん、グリーン・アクションのアイリーン・美緒子・スミスさん、玄海原発プルサーマル裁判の会の石丸初美さんらが発言。

 この冬一番の冷え込みの中で、原発輸出に邁進する政府や大資本への怒りの声が渦巻いた。

(K)

7.31国際シンポジウム「海を越える原発問題~アジアの原発輸出を考える」

731七月三一日、東京の早稲田大学小野講堂地下ホールで国際シンポジウム「海を越える原発問題――アジアの原発輸出を考える」が行われた。主催は早稲田大学アジア研究機構アジア平和研究所で、メコン・ウォッチ、インドネシア民主化支援ネットワーク、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、原子力資料情報室が共催、協力はノー・ニュークス・アジア・フォーラム・ジャパン、国際環境NGO Foe Japan、アジア太平洋資料センターの各団体。このシンポは七月三〇日から八月六日まで全国で開催された「ノー・ニュークス・アジオ・フォーラム2011」に参加した海外からのゲストとともに原子力産業と日本の公的資金の流れ、アジアへの原発拡散の動き、各国の市民運動について論議するために準備された。

 もともと今年の第一四回ノー・ニュークス・アジア・フォーラムは八月下旬にタイで開催の予定だったが、タイの原発建設計画が延期され、主催者のタイ側やアジアの各国からも「福島の原発事故についてもっと知り、運動に役立てたいため、日本で開催を」という要請があったため日本で行われることになったものである。



 国際シンポ開会のあいさつを行った早稲田大学アジア研究機構の村井吉敬さんは、「震災からの復興が進まない最大の原因は原発事故にある。しかし福島が世界中に投げかけた問題の大きさにもかかわらず、日本では三・一一以後内向き志向が強まっている。『海を越える原発』というテーマでは日本も韓国も当事者であるにもかかわらず、菅首相が『脱原発』を語るほど菅おろしが勢いを増している。私の専門領域であるインドネシアでもジャワ島中部ムリアでの原発建設が大きな争点になってきた。もし福島事故が起こらなければ日本や韓国がインドネシア原発建設の当事者になっていた。今日は、そういう問題を討論してほしい」と語った。

 次に「環境・持続社会」研究センターの田辺有輝さんが「日本の原発輸出と公的資金の関わり」というテーマで報告した・

 田辺さんは原発輸出の問題点として安全性、経済性と財政的リスク、廃棄物処理問題、核拡散、環境的・社会的影響などを指摘しながら、国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)、国際協力機構(JICA)による融資、保険引き受け、研修などの原発輸出支援の現状を紹介した。JICAによる原発研修は福島事故があった今年も継続される。

 菅政権は昨年六月の「新成長戦略」でパッケージ型インフラ海外展開を提唱し、原発がその重点分野のひとつになった。核物質や原子力関連の資機材・技術の海外移転のためには原子力協定の締結が必要である。今年の通常国会にはロシア、ヨルダン、韓国、ベトナムとの協定が提出され、韓国、ベトナムとの協定は見送られるが、ロシア、ヨルダンとの協定は承認予定だという。さらにアメリカに対しても今年一月にJBICがサウステキサス原発への支援を検討していると発表し、将来的には東京電力が出資予定とされていたが、福島原発事故のためこの計画は、ご破産になりそうである。

 田辺さんはベトナムでの原発建設に対して予定地の住民から反対の声が上がっていると述べ、政府は公的資金を使った原発輸出支援をやめるべきだ、と訴えた。



 次に海外代表からの報告に移った。韓国のエネルギー正義行動代表・李憲錫(イ・ホンソク)さんは「福島原発事故でも止まらない原子力発電所輸出の夢」と題して、韓国政府がまさに国家をあげて進めている原発輸出戦略について提起した。

 韓国には現在四カ所・二一基の原発があり、さらに七基が建設中で四基を計画中である。イ・ミョンバク政権は発電に占める原発の割合を現在の三一%から、二〇三〇年には五九%と約二倍に高めようとしている。韓国政府はさらに国家規模での原発の海外輸出戦略を立てており、最近初めてアラブ首長国連邦(UAE)の原発売り込みに成功した。政府はUAEの原発売り込み成功を記念してお手盛りでコンサートを行い、「原子力の日」という記念日を制定した。政府は原発に慎重な姿勢を取っているメディアに圧力をかけている。

また、いまだ売り込みに成功したのは一基だけであるにもかかわらず今後二〇年間で八〇基の原発を海外輸出すると打ち上げている。政府はUAEに韓国軍を防衛隊として派遣した。政府はそれが「ビジネス派兵」であると認めている。韓国は国際金融市場から高利で借りて低利でUAEに貸すということまで行っている。

イ・ホンソクさんは「原子力産業界は国家を越えて協力している。それに勝つためにわれわれも国境を越えて協力しなければならない」と強調した。

続いてインドネシアのヌルディン・アミンさんが報告した。アミンさんはインドネシア最大のイスラム組織であるナフダトゥル・ウラマー(NU)の中ジャワ州ジュバラ県代表で、同地のムリア原発建設計画に反対する運動を指導し、原発をイスラム教の「ハラム(禁忌)」とする裁定の「仕掛け人」である。

アミンさんは人口一二〇万人のジュバラ県が漁民、農民、家具製造労働者を中心とする豊かな自然に支えられた地域であると語り、住民に多大な影響を与える原発建設に対して住民自身にはまったく情報が与えられていないことを批判し、住民の激しい原発反対運動を報じる映像を紹介した。

 海外からの報告の最後はタイのソッサイ・サンソークさん(「タイ市民による非核ネットワーク」コーディネーター)。

 タイでは一九六六年以後、原子力発電所建設計画が持ち上がった。サンソークさんはタイの電力消費の六〇%が大規模工場。二〇%が一般家庭、一〇%が零細事業者で、消費のほとんどは首都バンコクだが電力を作っているのは地方だという都市―農村関係の矛盾を指摘し、バンコクの大手ショッピングセンター三つで地方の一県分の電力を使っている、と語った。

 そして日韓両国の運動への要求として「福島事故を教訓化し、各国政府に原子力政策の見直しを求めてもらいたい」と訴えた。サンソークさんは最後に「原子力の平和利用とは原子力を利用しないことだ」と強調した。



 パネルディスカッションでは次のような意見が語られた。

 「ASEAN会議の時に政府秘書官と会談し、原子力の導入には慎重に扱うよう求めた。福島事故の後に話し合いを再度持ったが、ベトナム政府はなお原発導入に積極的だ。ベトナムの原子力計画はベトナムだけの問題ではない。タイやラオスの問題でもありベトナムの安全対策には懸念を抱いている(サンソークさん)。

 「原子力は『こわいもの』というイメージを多くの人が抱いており、核といえば『原爆』が連想される。インドネシア独立後、歴史教科書にはかならず『ヒロシマ・ナガサキ』が出ており、原子力・原発には否定的イメージが一般的。インドネシアの人びとは政府を信用しておらず、政府がエネルギー政策や原発の必要性を訴えても、人びとはどうせ私腹を肥やすためだろうと考える」(アミンさん)。

 「一九八〇年以後、反原発運動が各地で作りだされ九カ所で新規の立地を阻止した。キム・テジュン、ノ・ムヒョンは改革派政権だったが、それでも原発推進政策は変わらなかった。確かに建設計画の数は減ったが。現在ハンナラ、民主の両党で原発政策に大きな違いは存在しない」(イ・ホンソクさん)。

 「ヒロシマ、ナガサキがありながら原発については『平和利用』ということでつなげて考えられなかった。長い歴史の中で起きたことをとらえ返す必要がある」(村井さん)。

 「アジア・東南アジアだけのネットワークではなく欧州や中東の人びととつながることが必要だ。エジプトやアラブ諸国でも人々が立ち上がった。そうした人びととの連携が大事だ。私たちはイスラムのことだけ言っているのではなく、仏教徒やキリスト教徒とも連携して生活の見直しをしていきたい」(アミンさん)。

 「アジアで作られようとしている原発の数は世界の五二%に及ぶ。アジアで原発を止めることができれば全世界で止められる。自国で原発を作らせない運動が重要であり。とりわけ韓国と日本が一番大事だ。日本で脱原発に至らなければ韓国の運動にもマイナスの影響を与える。韓国で原発が増えればベトナムでもタイでも作ろうということになる」(イ・サンソクさん)。

 最後に村井さんが「ASEANは世界に先駆けて非核(兵器)地帯を宣言したが、『非核』の中に原発も含めるようにしたい。そうした目標を掲げた運動を!」とまとめの発言を行った(K)
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