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公安解体

【転載】2.11 反「紀元節」デモにおける警察警備についての公開質問状

「危機」の時代の天皇制を問う! 2.11反「紀元節」行動
http://2012-211action.blogspot.com/



公開質問状

2012年3月2日

 警視庁警備部長 殿
 警視庁戸塚警察署長 殿
 警視庁新宿警察署長 殿

2.11反「紀元節」行動実行委員会


 私たち2.11反「紀元節」行動実行委員会は、2012年2月11日、新宿区西早稲田を出発し、同区大久保に至る集団示威行進をおこないました。この過程で、私たちは様々な右翼団体による妨害行為を受け、また、警察官・機動隊による多くの不当な規制を受けました。

 私たちは、これらは憲法で保障された言論・表現の自由という基本的人権に照らして、多くの問題を含んでいると考え、あらためて抗議の意志を表明するとともに、以下の点について貴職による誠実な回答を求めるものです。

1)今回の示威行進にあたって、2月7日午後、実行委のメンバーが所轄戸塚警察署に赴き、申請書を提出しました。

 しかるに、翌8日、21時24分という時刻に更新された「日本侵略を許さない国民の会」のブログは、「反天連カウンター『逆賊は死ね!女系天皇絶対反対!』」の行動を呼びかけ、そこには「反天連は16時頃出発予定です」と明記されています。そして、駅前から、私たちのデモが通る場所に移動して抗議するとしています。

 私たちが申請し受理されたデモコース、さらにはデモに出発する時間は、示威行進申請書以外には、一切対外的に明らかにしていません。また、今回のデモコースは、私たちとしては初めて通るものであり、他の団体も、このコースでの示威行進を行ったことはないと、デモ申請の際に戸塚署の警備担当者から聞いています。

 さらに当日は、彼らに加えて、20台前後の黒塗りの右翼街宣車が、私たちのデモが通る車線のほうに昼過ぎから車輌を停めて陣取っていました。

 時間もコースも、あまりにも正確に把握されています。こうした点から見て、彼らが事前にデモコースを知っていたことは明らかです。そしてこの時点では、数人の実行委メンバーを除けば、デモコースを事前に知っていたのは警備当局以外に存在していない以上、警察から何らかのルートで、右翼に対してコースや出発時間に関する情報が流されたものと断定せざるを得ません。そうであるとすれば、これは明らかに警察による違法行為であり、さらに表現の自由に対する侵害であると言わざるを得ません。

 この点について、具体的な事実を調査・確認し、それについての見解を明らかにするよう求めます。

2)デモに対する右翼の妨害・脅迫とその煽動は、早稲田通りと明治通りが交差する馬場口交差点において、「日本侵略を許さない国民の会」や「在日特権を許さない市民の会」グループ。また、そこから諏訪通りにかけた明治通り一帯に右翼街宣車と、きれいに棲み分けがなされていました。さらに、戸塚署管内を抜けて新宿署管内に入ると、街宣車も激減しました。彼らに対する規制の柵も設けられていましたが、それはむしろ、彼らがそのなかで自由に声を上げることのできるステージを、準備しているとしか思えないものでした。この点から私たちは、警察の警備担当者が、デモコースや時間を含めて事前に右翼と連絡・調整し、あらかじめ彼らの行動を保障し、この時間帯、明治通りのこの区間を、完全に通行止めにしてまで、そのための場所を作ってやったとしか考えられません。

 大量の街宣車をデモコースに長時間にわたって停車する行為は、道路交通法に違反しているのではないでしょうか。また仮に右翼が街宣許可をとったり、道路使用・占用の許可があるなど「適法」であったとしても、彼らの行為はデモ行進に対する直接的な妨害であり、殺人さえ公然と口にする、デモ参加者に対する脅迫そのもので、きわめて暴力的なものです。これらの行為は、刑法に規定される脅迫・強要、あるいは威力業務妨害に該当すると思われます。警察は、そうした彼らに行動の自由を与え、便宜を図ることによって、これら犯罪行為に協力しているようにしか見えませんが、この点について事実を明らかにし、どのように考えているのか、見解を求めます。

3)デモ行進の最中、警官は一貫して参加者を後ろから「早く進め」と楯で押し、違法な写真・ビデオ撮影を繰り返しました。これへの私たちの抗議に対して警察は、右翼が攻撃した時のために証拠を集めているなどと嘯いています。

 写真・ビデオ撮影については、デモ行進にうつる前からずっと抗議していたにもかかわらず、最後までやめようとしませんでした。そればかりか、撮影者とその保護者(撮影者が後ろ向きでデモ隊を撮影するため、その進行を援助する者)の二人一組となって、デモの宣伝カーの前に陣取って、デモの開始から終了まで一貫して、デモ隊のビデオ撮影をし続けていました。彼らは私たちへのビデオ撮影のためにのみやってきていたのであり、撮影者は「警視庁」の腕章をしていました。

 相手の意思に反して無断で撮影する行為は、明らかに肖像権侵害の違法行為です。逆に、そのような警察官の違法行為を記録するためにデモの主催者が回していたビデオは、公安警察官によって暴力的にはたき落とされようとさえしました。

 写真・ビデオの撮影は、どのような法的根拠で、なんのためになされているのか、見解を示すよう求めます。また、撮影した写真、録画されたビデオの開示を求めます。

4)デモ隊の後方には、足が不自由で、杖をついた参加者もいました。そうした参加者をも楯で押すことは、一歩間違えば、事故にも繋がりかねない危険な行為です。こうしたことについて、警察では配慮することさえしないのでしょうか。

 さらに機動隊員の中には、参加者に対して「このババア」「デモから出て行け」「俺たちが右翼から守ってやってるんだ(から言うことを聞け)」などの暴言を繰り返し発する者が多数いました。

 こうした点に現われている警察官の人権感覚の欠如は、市民の法的権利について警官への教育が十分なされていないことを物語っているといえます。このことは憲法尊重擁護の義務を負う司法警察職員として深刻な問題であると考えますが、この点について見解を求めます。

5)大久保通りで、デモ隊に対する「抗議」を準備していた右翼グループに対して、警官が「そこは危険だから、こちらに移動して」と言ってわざわざ、交番の前に彼らを移動させ、そこで抗議をやらせたことが、参加者によって確認されています。この抗議の内容とは、デモ隊に対して「殺せ殺せ」「つぶせつぶせ」と叫ぶものでした。こういった、明白な脅迫行為を、警察官が「安全」にさせるための場所を確保してやったということになります。
 このことについて、誰が、どのような理由でそうした判断を下したのか、事実を調査して、明らかにすることを求めます。

6)デモ前の屋内集会の会場に対して、右翼団体を名乗る男性から脅迫電話が繰り返しかけられ、その結果、会館の管理責任者より、戸塚署に対して警備要請が出されたと聞いています。しかるに、当日は、会館警備とはなんの関係もない大量の私服の公安警察官が建物のある敷地内にたむろし、集会参加者をチェックしていました。

 いうまでもなく、集会への参加者は、自分がどのような集会に参加しているかを、警察に対して明らかにしなくてはいけない義務などありません。公安警察の行為は、個人情報の違法な収集に当たると思いますが、この点についての見解を求めます。

 2月11日の警察の対応は、総じて、右翼の妨害行為を口実にし、それをも利用しつつ、私たちの行動に対する介入を図ったと評価せざるを得ません。これは、警察が、言論・表現の自由を保障する立場に立つのではなく、それを押さえ込み弾圧する側にたっているという姿勢を、露骨に示しました。
 しかしこうした事態は、なにも今回初めておきた事態ではありません。妨害してくる右翼を規制するのではなく、もっぱら私たちのデモの方を規制することが、あたりまえのように行われ続けているのが現状です。例えば、反天皇制運動の実行委で取り組む、8月15日の九段下でのデモに対して、大量の右翼グループは、さまざまな攻撃をしかけてきました。昨年は、デモ隊参加者への傷害をねらったと思われるナイフさえ見つかっています。このナイフは、公安警察の手によって拾い上げられ、カバンにそっとしまわれました。これはいったいどうなってしまったのでしょうか。当日の警備も、九段下交差点に「在日特権を許さない市民の会」などのための抗議場所を確保してやるものでした。また、水道橋駅前には、車線の両側に、デモの進行方向に向かって大量の街宣車が斜めに止められており、私たちはその道路の真ん中を、機動隊の楯に挟まれて行進させられたのです。

 私たちは、こうした警察の違法・不当な行為を監視し、二度とそのようなことが繰り返されないよう、重ねて申し入れたいと思います。そのためにも、事実が明らかにされるべきです。

 以上の点について、3月12日までに、文書で回答していただけるよう要請します。なお、回答頂いた内容は公開いたしますので、ご承知おきください。真摯な対応をお待ちしています。

秘密保全法案━人権・表現・取材・報道の自由に敵対する反動法制を阻止しよう

bbcea243-s 野田政権は、グローバル派兵国家建設の一環として秘密保全法案を今国会に提出しようと策動している。法案は、公務員らが「国の存立に重要な情報」(特別秘密)を漏らした場合、厳罰化によって統制強化しつつ、同時に民衆の知る権利や報道の自由を規制強化することがねらいだ。日米安保軍事情報、沖縄基地問題情報隠しなど、とりわけ脱原発運動のうねりの中で政権は秘密保全法を使って原発事故・再稼働・放射性汚染などをめぐる情報隠し、敵対を強めてくることは必至だ。

 法案制定策動は、直接的には中国漁船拿捕事件ビデオの動画投稿サイト「ユーチューブ」流出事件(2010年9月)、公安政治警察外事三課の対テロ捜査書類のインターネット流出事件(10月)が発生し、当時の菅政権が統治能力の脆弱性を立て直すために「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」(11年1月)をあわてて設置し、「秘密保全」法の制定を提言する報告書(8月8日)をまとめたことになっている。

 だが、すでに米軍情報防衛のための「秘密軍事情報保護協定」(GSOMIA)(2007年)の徹底を求める米国の圧力によって治安担当官僚らは、米国の軍事戦略と連動した治安弾圧体制強化のために新防衛計画大綱で「情報収集能力・分析能力の向上」と「各府省間の緊密な情報共有と政府横断的な情報保全体制を強化する」ことを押し出し、「秘密保護法の制定」を確認していた。その結果として内閣官房長官、内閣官房、警察庁、公安調査庁、防衛省、外務省、海上保安庁、法務省の官僚によって「政府における情報保全に関する検討委員会」(2010年12月)を立ち上げていたのだ。

 自民党政権時の「スパイ防止法」案(1985年廃案)は、秘密保護の対象を防衛・外交秘密にまで広げ、最高刑は死刑とする内容だった。「国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならない」としたが「努力義務」のレベルであり、人権侵害、報道・取材の制約を狙っていた。この流れをも取り込みつつ、前段の蓄積を引き継ぐ形で有識者会議が法案の骨格となる報告書を提出し、野田政権が法案制定に着手することになったのである。



新たな治安弾圧を跳ね返そう



 法案の全文は、まだ未公表だが有識者会議報告書を土台にすることは間違いない。以下が報告書の主な内容だ。

 第1は、国の安全、外交、公共の安全・秩序の維持の三分野において当局の恣意的判断にもとづいて秘匿性が高い情報を「特別秘密」とした。この「特別秘密」を取り扱ったり、知り得たりした人が「故意」に情報を漏えいした場合、懲役五年、あるいは10年以下の懲役刑としている。現行の情報漏えいに対する罰則は、国家公務員法では「職務上知り得た秘密」を漏らした公務員を「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」、自衛隊法では「五年以下の懲役」だが、重罰主義で対応する方針なのである。

 また、「特別秘密」の漏えいをそそのかした場合(教唆)も処罰対象になる。「独立教唆」とし立件するとしている。

 第2の柱は、「適性評価制度」だ。各行政機関の長が実施権者となって「特別秘密」を取り扱う職員を制度にもとづいて人定事項調査、公安機関を動員したスパイやテロへの関与調査、犯罪歴、薬物・アルコール・精神問題での通院歴などを事前調査し、判定しておけというのだ。人権侵害の対象はこれだけではない。「配偶者のように対象者の身近にあって対象者の行動に影響を与え得る者についても」事前調査をやっておけというのだ。プライバシーの侵害を否定し、監視・調査対象の拡大である。

 警察白書(11年)は「情報保全の徹底・強化のための方策を推進し、情報保全に万全を期す」と述べ、法案制定を応援し、公安政治警察は大歓迎している。新たな治安弾圧の踏み込みを許してはならない。

 第3が取材の自由の制約である。報告書は「不当に制限するものではない」と言っているが、全くの嘘なのだ。「国民の知る権利等との関係」で「正当な取材活動は処罰対象とならないことが判例上確立している」、「特定取得罪は、取材の自由の下で保護されるべき取材活動を刑罰の対象とするものではない」などと言いながら、すぐに「刑罰法令に触れる」取材は処罰対象だと明言し、恫喝しているところに現れている。

 わざわざ「財物の窃取、不正アクセスまたは特別秘密の管理場所への侵入など、管理を害する行為を手段として特別秘密を直接取得する場合」、「欺罔により適法な伝達と誤信させ、あるいは暴行・脅迫によりその反抗を抑圧して、取扱業務者等から特別秘密を取得する場合」などをあげながら、「犯罪行為や犯罪に至らないまでも社会通念上是認できない行為を手段とするもの」も処罰対象とするとしている。これが本音なのだ。



法案反対のスクラムを



 結局のところ「社会通念上是認できない行為」が政府・治安担当官僚の手前勝手な秘密範囲の認定、弾圧対象を拡大し、取材制限することなのだ。強引な手法を駆使しながら内部告発を阻止し、民衆の知る権利への敵対に貫かれている。

 秘密保全法案に対しては日本弁護士連合会、日本新聞協会は知る権利や取材の自由の制約につながると懸念を表明している。

 なかでもムスリム違法捜査弁護団(旧:公安テロ情報流出被害弁護団)は、公安政治警察外事三課の対テロ捜査デッチあげ書類のインターネット流出事件の国家賠償請求訴訟を闘っている中で、「秘密保全に関する法制の整備に対する意見」を公表し厳しく批判している(2011年11月24日)。

 意見は、「本事件が『国際テロ対策に係るデータのインターネット上への掲出事案』として『主要な情報漏えい事件等の概要』に掲げられ、秘密保全法制の必要性を裏付ける事案とされていることに抗議」し、「警察による情報収集活動の名のもと、イスラム教に関係する個人、団体等に関する個人情報が人権を侵害する態様で違法に収集・保管されていたものであり、秘密保全法制がこのような行政機関による人権侵害の秘匿を容易にする」危険性を明らかにしている。

 法案を通した国家権力の人権軽視と居直りを許さず糾弾していこう。表現・取材・報道の自由(憲法21条)に敵対する秘密保全法の制定を阻止していこう。

(Y)

11月2日がくろう神奈川の組合員4人全員釈放を実現

がくろう強要未遂の不当逮捕をはね返す


神奈川県警のデッチ上げを許すな


 10月25日に起きたがくろう神奈川弾圧で拘留されていた4人は、11月2日釈放された。〈事件概要についてはがくろう神奈川声明を参照〉午後2時から勾留理由開示裁判がおこなわれる予定だった横浜地裁ロビーには、4人を出迎える70人あまりの支援者が4人の体調などを気遣ったりして喜びの輪が広がった。そして玄関前で3人の担当弁護士と4人の被弾圧者が簡単に発言すると、そのたびに支援者の大きな拍手に包まれた。



「奪還と言うにふさわしい」


 同じ日の6時から裁判の報告集会を予定していた開港記念館で集会が開かれ、改めて神奈川県警公安3課、裁判所、検察庁のでたらめが浮き彫りにされた。担当弁護士は2人参加したが、その1人である佐藤弁護士は「奪還と言うにふさわしい」と強調し、今回の弾圧の異様さを振り返った。まず逮捕令状の頭書きに「市民団体のメンバーであり、政治党派と関係があり」などと長い説明を加えた後、交渉を「企て」、「脅迫」などという表現で終始していることがあげられる。


 即時釈放のための意見書作成、裁判官などへの説得、準抗告という試みに対して4人の釈放が拒否され、勾留理由開示裁判を迎えた経緯なども説明した。3時間以上に及ぶ勾留理由開示裁判に、経験のない裁判官が耐えられないだろうということが、釈放の背景にあるのではないかという推測も佐藤弁護士は述べていた。そこには、都合のいい裁判官を選んで荒唐無稽なでっち上げの逮捕状を請求し、合計八カ所の家宅捜索を強行しようという、公安警察の「こそ泥」然とした様相がうかがえる。


 その上で「釈放はひとつの区切りだが油断はできない。不起訴を勝ち取るという重要な取り組みが残っている」と佐藤弁護士が語り、岡部弁護士は今回の事件をえん罪弾圧であり、その特徴として、第1は強要罪の要件がない、第2は問題となった話し合いは正規の交渉である、第3は校長の人事評価が誤っていたと、簡潔に位置づけた。強要罪は「生命、身体、自由、名誉及び財産に対する侵害」と「告知」あるいは「暴行」が明らかになったときであり、そうでなければ子供のおねだりも罪になるという例えを用いていた。


 この交渉については元々は要求というより、意外な評価をつけた事情を校長から聞こうというものにすぎなかった、交渉の特質として強く要求するという側面は当然であり、マスメディアは「人事評価は交渉事項でない」という公安3課の見解をたれながしてしまった。また、監察指導者でもある校長は、その怠慢を棚に上げて不当な低評価を当該組合員に強要し、後日横浜市教委の指導で人事評価の一部を覆さなければならなかった。


 岡部弁護士は「交渉がおこなわれた中学校での実況見分もなく、栄署の捜査責任者もなかなか特定できなかった。とにかくずさんと言うに尽きる。だが勾留された側は一方的に迷惑をこうむった。間違いはあくまで明らかにすることだ」と気迫のこもった調子で、この一週間あまりを総括した。



活動の自立性と多様性を逆証明



 この後、がくろう組合で救援を担当したYさんから栄署激励行動、声明文配布など救援活動の概要説明があって、4人の被弾圧者からも次々に発言があった。4人の発言は逮捕される経緯と留置所内の様子のほか、さまざまな決意表明、これまでの組合運動、市民運動とのかかわりに及んでおり、がくろう神奈川の組合員が果たしてきた自立した活動の多様性を改めて確認する場ともなった。だからこそ、集会などに集まった人の数以上に広範な、支援層が弾圧への抗議とともに急速に広がったのだということがいえる。


 公安警察は冤罪を作って延命するだけの犯罪組織だが、市民活動の分断、個人の生活の破壊という点については最も下劣で、これ以上その存在が許されないということをこれからも宣伝していこう。


 (K)

≪読書案内≫ 『国家と情報 警視庁公安部「イスラム捜査」流出資料を読む』

1106091167『国家と情報 警視庁公安部「イスラム捜査」流出資料を読む』

 河崎健一郎、梓澤和幸、青木理 編著/現代書館2200円+税

http://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-5663-7.htm


■公安テロ情報流出被害弁護団と原告の闘い

 グローバル派兵国家建設と連動した治安弾圧体制構築の一環として作られた警視庁公安部外事3課の公安テロ情報流出事件(2010年10月28日)が発生してから約一年。公安政治警察の幹部も含めて400人以上のパソコン、携帯電話、口座記録なども調査したが、いまだに実行犯と流出ルートを特定できないでいる。幹部らの保身を根拠にして腐敗・堕落の欠陥組織を温存し続けいるが、公安内は疑心暗鬼が深まり、「団結」の危機が進行している。

11年の「警察白書」で「国際テロ対策に係るデータのインターネット上への掲出事案」の項を設けて「本件データには、警察職員が取り扱った蓋然性が高い情報が含まれていると認められ、このようなデータがインターネット上に掲出されたことにより、不安や迷惑を感じる方々が現にいるという事態に立ち至ったことは極めて遺憾である。警察では、引き続き、個人情報が掲出された者に対する保護その他の警察措置や本件に対する捜査、調査に組織の総力を挙げて取り組み、事実を究明していく」などと触れざるをえないほど追い込まれている。ただし被害者に対する真摯な謝罪と必要な措置は棚上げのまま居直りつづけているのが実態だ。

 さらに公安の危機の現われとしてあるのが、この10月に警察庁長官に就任した片桐裕の記者会見が決定的だ。片桐は、わざわざ流出事件を取りあげ、「全容解明しないと責任を果たしたことにならない」と述べ、公安系列に回し蹴りするほどだ。もちろん被害者に対する謝罪はなく、組織温存を前提とした居直り会見であることは言うまでもない。とりわけ取調べの可視化に敵対し、新たな捜査手法の導入として「通信傍受の範囲を相当広範囲に認めるとか、DNA型データベースの対象者を相当広げるとか、司法取引を行うとか、何らかの別の捜査手法」が必要だと強調し、その反動性を前面に押し出してきた。

 これまで警察庁長官は公安畑出身が就任するケースが多かったが片桐は生活安全部出身であり、対暴力団を通した治安強化の構築をねらっている。片桐の長官就任は、公安テロ情報流出事件を「決着」つけることができない公安系列の劣勢を反映した警察庁人事力学の現状である。

 いずれにしても公安政治警察の人権侵害、腐敗・堕落の体質は、まったく変わっていないことは、これまでの公安事件によって明白だ。とりわけ反原発運動の高揚に対する支配階級の危機をバックにした公安と機動隊の連携プレーによるデモ弾圧、公安条例違反、公務執行妨害罪などのデッチ上げの弾圧を強化しつつある。警察権力の敵対を許さないために、さらなる民衆の追撃を強化していかなければならない。その一環として警察権力に深く刺した棘である公安テロ情報流出事件の検証は、公安の決壊を拡大していくためにも重要な作業である。

 「国家と情報」は、公安テロ情報流出被害弁護団(http://k-bengodan.jugem.jp/)の団長である梓澤和幸弁護士を中心に以下のような執筆人とテーマだけでわかるように公安警察批判を鋭角的に、かつ厳しく展開していることがわかるだろう。

 「第Ⅰ章『流出資料をめぐって』/青木理(ジャーナリスト) 『公安警察の隠微な歴史と外事3課の新設』『流出資料からみる公安警察の馬鹿げた実態』/古屋哲(大谷大学教員)『警備情報活動と出入国管理行政との関係について』/岩井信(弁護士)『ムスリムの狙い撃ち―公安警察の違法捜査』/上柳敏郎(弁護士)『金融機関の公安警察に対する個人情報提供』/田原牧(新聞記者)『在日ムスリムを襲った無知と偏見』『日本政府のムスリム敵視政策・歴史と変遷』/西中誠一郎(ジャーナリスト) 『デュモン事件と公安テロ情報流出事件』/前野直樹(イスラミック・サークル・オブ・ジャパン日本人部代表)『日本のムスリムとその課題』」

 「第Ⅱ章シンポジウム『検証・公安テロ情報流出事件』/第Ⅲ章資料集『公安テロ情報流出資料』」。

■イスラム教徒=テロリスト?

 公安テロ情報流出被害弁護団と原告(14人、国内在住のイスラム教徒)は、5月16日、東京地方裁判所に対し国と都を相手に国家賠償請求訴訟を提起し裁判闘争中だ。提訴は、「警視庁、警察庁及び国家公安委員会が、人権を侵害する態様で被害者らの個人情報を収集し、収集した個人情報を正当な理由無く保管し、かかる個人情報を漏洩させ、さらに、漏洩後に適切な損害拡大防止措置を執らなかった」ことを理由として総額1億5400万円(一人あたり1100万円)の損害賠償を請求した。

 また、流出情報を無編集のまま「流出『公安テロ情報』全データ イスラム教徒=『テロリスト』なのか?」として出版した第三書館を相手に流出公安情報出版被害回復請求訴訟も闘われている。

 本書の冒頭で弁護団の河崎崎健一郎弁護士は、「なにが問題なのか―事件の見取り図」でこの事件の三段階の問題構造を明らかにしている。
 公安は、イスラム教徒をテロ犯予備軍として捜査、訊問を繰り返し、国籍、氏名、電話番号、旅券番号、職業、家族構成、交友関係などを一人一人調べ上げ、人権侵害、差別・排外主義に貫かれた報告書をデッチ上げた。その情報流出と違法出版によってプライバシー情報、名誉毀損の拡散した。第二が情報流出を警察権力は、自らの犯罪であることを否定し続け、放置による被害を拡大させた。

 そして、「より根深い本当の問題(第3の問題)―被害者を苦しめる三重の被害」についてクローズアップし「イスラム教徒であるというだけで、テロリスト扱いされ、モスクを監視され、一人ひとり尾行され、その個人情報を丸裸にされていたということの屈辱と恐怖である。また、銀行やホテル、レンタカー会社や大学など、社会生活を行う上で信頼して利用している多くの機関が、彼らの個人情報を、令状もないままに、惜しげもなく公安当局に提供し、また、ときには別件逮捕などの違法な手段を用いて、強制的にかれらの情報が収集、分析、そして利用されてきた」ことを痛烈に糾弾し、公安捜査が憲法20条の信教の自由の侵害だと断言する。

 そのうえで「公安警察の活動実態を明らかにし、被害者たちの受けた『三重の被害』の根本に届く議論に資する部分に関しての資料を改めて公表し、解説や多角的な論考をあわせることで、『国家と情報』についての本質的な議論を喚起したい」と呼びかけている。

 もちろんだ!私たちは、10.24免状等不実記載弾圧を許さない!国賠裁判の勝利判決(09年9月9日)をかちとり、神奈川県警公安政治警察の権力犯罪を暴き出してきた地平のもとに公安テロ情報流出被害弁護団と原告の闘いに連帯していく決意だ。

 「10.24免状等不実記載弾圧を許さない!国賠裁判 9・9東京高裁 微罪弾圧国賠裁判勝利判決」については、「かけはし2009.9.21号」を参照していただきたい。
http://www.jrcl.net/web/frame090921c.html

■公安警察は解体だ!

 国賠裁判は、8月24日、第一回口頭弁論が行われ、原告の意見陳述があり、「偏見に基づく違法な捜査で名誉を汚されたままで、捜査当局から謝罪もなく捨て置かれている」現状を浮き彫りにさせ、警察権力を断罪した。本書では「コラム 被害者の証言」のコーナーを設けて、①一〇年以上前から続いていた公安調査の被害②情報流出を警察権力が認めた後でも公安の監視・訪問が続いている実態③公安警察の「事件化」工作と恫喝する検察と警察―を暴露している。

 ところが無反省の公安を防衛するために国賠裁判では国と都は居直り続け、請求棄却を求めた。

 この不当な姿勢は、弁護団が公安テロ情報流出事件に関し、照屋寛徳衆議院議員が内閣に提出していた質問主意書に対する回答(7月1日)にも現われている。 流出情報が警察のものであったのかどうかという確認に対して「個別に明らかにするのは適当でない」などと拒否回答だ。さらに、「被害者らに対し、警察庁としての謝罪は行ったのか」という質問に対し、「警察において、個人情報が掲出された者で連絡することが可能なものに対し、諸事情を勘案しつつ、個別に面会するなどして必要な措置を確認するなどしているところである」などと回答してきたが、弁護団によれば「被害者に対して直接謝罪した例はなく、必要な措置を確認した例もない」ことを確認している。つまり、まったくの嘘、でたらめなのである。

 弁護団は、「実質的な回答を拒否するというのでは、立法府は公安警察活動に対して一切の監視・監督を行うことができないことになる。このこと自体が、公安警察活動が民主的統制に服さない活動であることの証左と言える。情報流出や信教の自由侵害について責任を逃れようとするものであり、このような被害者に対する不誠実な態度は、情報流出発生以降一貫した政府の態度であると言わざるを得ない」と批判している。政府・警察権力の開き直りを許してはならない。公安政治警察は、解体しかない!

(Y)

新たな「秘密保全法」制定を許すな

315supression新たな秘密保全法制定を許すな

「知る権利」剥奪に抗議しよう

人権侵害・情報統制にNO!
治安弾圧体制を跳ねかえせ



有識者会議がまとめた報告



 「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」は、8月8日、外交・安全保障や治安などの重要情報を「特別秘密」とし、漏洩を罰する「秘密保全」法の制定を提言する報告書をまとめた。

 2010年11月の横浜APEC「戒厳態勢」下において釣魚諸島付近での海上保安庁巡視船による中国漁船拿捕事件ビデオが保安官によって動画投稿サイト「ユーチューブ」流出(9月)した。また公安政治警察外事三課の人権侵害に満ちた対テロ捜査デッチアゲ書類のインターネット流出(10月)が発生し、日本統治機構の脆弱性が世界的に露呈してしまった。大慌ての菅政権は、秘密保全法制の検討、国家公務員の守秘義務の罰則強化によって自らの責任を棚上げ延命することを策動した。これら流出事件を便乗利用し法制化作業を加速させるために有識者会議(座長・県公一郎早稲田大政治経済学術院教授)を設置したのであった(11年1月)。

 これまでの政府は、統治能力強化のために「国家機密法」制定を策動してきたが、民主党政権下においても「政府における情報保全に関する検討委員会」(2010年12月)を立ち上げていた。

 そもそも検討委員会は、新防衛計画大綱の中で「わが国の安全保障の基本方針」と「わが国自身の努力」において「情報収集能力・分析能力の向上」「各府省間の緊密な情報共有と政府横断的な情報保全体制を強化する」ことを新たに打ち出し、秘密保護法の制定を明記し、その実現のために設置したのであった。統治機関を担う内閣官房長官、内閣官房、警察庁、公安調査庁、防衛省、外務省、海上保安庁、法務省の官僚によって構成されている。当然、この動きには米軍情報防衛のための「秘密軍事情報保護協定」(GSOMIA)(2007年)の徹底を求める米国の圧力があったことは言うまでもない。報告書では日米軍事一体化の強化のために自衛隊法なども取り込み、「一つの法律に統一させることが妥当」だと強調しているところに現れている。



恣意的な秘密範囲の拡大



 有識者会議は、国の安全、外交、公共の安全・秩序の維持の三分野に限定し、秘匿性が高い情報を「特別秘密」と定義した。「特別秘密」対象について「別表」などで具体的に列挙しているが、結局のところ統治機関の恣意的判断によってその範囲は拡大していくことは必至だ。

 現行の情報漏えいに対する罰則は、国家公務員法では「職務上知り得た秘密」を漏らした公務員を「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」、自衛隊法では「5年以下の懲役」になっているが、報告書では特別秘密を取り扱ったり、知り得たりした人が故意に情報を漏えいした場合、懲役5年、あるいは10年以下の懲役刑などを設けることを提言している。共謀や教唆も処罰対象にすべきだとした。さらに特別秘密を受け取った人は処罰しないようと言いつつ、不正アクセスや管理場所への侵入などによる取得を処罰対象に含めた。つまり、内部告発の絶対阻止のために重罰主義の徹底で対応する方針だ。

 有識者会議は、とんでもない人権侵害も提言している。各行政機関の長が実施権者となって特別秘密を取り扱う職員を事前に「適性評価制度」でチェックせよと提言している。秘密情報を取り扱う適性があるかどうかを判断するために住所や本籍などの人定事項、スパイやテロへの関与、犯罪歴、薬物・アルコール・精神問題での通院歴など事前調査し、判定しておけというのである。また、「配偶者のように対象者の身近にあって対象者の行動に影響を与え得る者についても」同様の事前調査をやれと言う。このように監視・調査対象を次々と拡大していことの証明だ。プライバシーの侵害などについて全く無視だ。

 アンバランスだが、「内閣総理大臣及び国務大臣にあっては、極めて高度な政治的性格を有する職であることから、適性評価の対象外とする」と「意味不明」な根拠で、こんな「配慮」を行うのが有識者会議の人権感覚だ。

 報告書は、法制化によって取材の自由を「不当に制限するものではない」と断言し、「刑罰法令に触れる」取材は処罰対象だと強調する。要するに政府の恣意的な秘密範囲を拡大し、取材制限するということだ。明らかに民衆の知る権利の規制強化であり、情報統制へとつながる。民衆の知る権利の規制強化を許してはならない。



公安警察の活動正当化する論調



 菅政権時における「秘密保全」法制定の動きは、野田政権においても引き継がれる。野田首相の日米安保を軸にした領土主義の強調は、南西諸島への軍事力増強、日米共同実戦態勢の構築であり、グローバル派兵国家建設として「有事対応・戦争指導」体制を確立していくことなのだ。同時に、この体制作りは、公安政治警察にとって「秘密保全」法を「武器」に民衆監視をも含めた対テロ治安弾圧態勢作りの絶好の「チャンス」だと位置づけている。

 警察庁は、この8月に「警察白書」を発表 しているが、さすがに公安政治警察外事三課対テロ捜査書類流出事件をさけることができず、「本件データには、警察職員が取り扱った蓋然性が高い情報が含まれていると認められ、このようなデータがインターネット上に掲出されたことにより、不安や迷惑を感じる方々が現にいるという事態に立ち至ったことは極めて遺憾である。警察では、引き続き、個人情報が掲出された者に対する保護その他の警察措置や本件に対する捜査、調査に組織の総力を挙げて取り組み、事実を究明していく」などと被害者に対して「平謝り」して、捜査が完全にデッドロック状態であることを認めざるをえなかった。

 ところがこの事件を逆手にとり、「情報保全の徹底・強化のための方策を推進し、情報保全に万全を期す」(警察白書)と決意表明し、「秘密保全法」制定と連動してその担い手と「自負」する公安政治警察の宣伝作戦が始まっている。公安を取り扱った週刊誌記事、公安外事課を主人公とするスパイ捕り物合戦本などの賛美キャンペーンを先取り的に展開している。

 『週刊文春』(9月15日号)は「公安警察は何を狙っているのか」と題して政財界・マスコミ等を総合的に監視する公安IS(インテグレイテッド・サポート)出身の濱嘉之を広告塔として登場させている。内閣らの「身体検査」をやっていると自慢し、「反原発を主張する人の思想の変遷やバックにどんな団体がついているのか調べる」と述べ、遠まわしで反原発運動に対する恫喝をしている。そのうえで「政権がどうであれ、常に『国家と国益』を考えているんです。公安警察は国家にとって不可欠なものなのです」などと持ち上げた。公安テロ情報流出事件を無視し、公安幹部らのもみ消し工作もふれることができないフザケた内容となっている。

 産経新聞記者の大島真生の『公安は誰をマークしているか』(新潮新書)では、真新しい公安警察の「活躍」のたぐいはなく、古くさい事例をかき集めてまとめたものにすぎない。

 大島は本書の「おわり」で、ようやく公安テロ情報流失事件に触れ「一国民として考えると、もしテロが計画されようとしているのならば、こうした日頃の内偵捜査は大切だと思う」「もちろん公安警察が情報を得ようとするのは、テロやスパイ活動を防ぐためであり、それは一般国民の利益にもつながる部分はある」などと評価する。

 他方で「『人権』という視点からみると、イスラム教徒というだけで疑いの目で見るのは、いかがなものかとも思う」「国民が関心を持って公安警察の『やり過ぎ』『行き過ぎ』をチェックすることだ」と巧妙にバランスをとるポーズをとりながら公安の人権侵害、民衆弾圧の実態を検証する文言はひとかけらもない。結局のところスパイ天国日本を許さないために公安警察を防衛していくためのアピールでしかないのだ。

 「秘密保全法」制定キャンペーンの一環である公安政治警察の「暗躍」を許してはならない。「秘密保全法」制定の動きを厳しく監視し続け、反対していこう。治安弾圧体制の強化を跳ね返していこう。



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