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中国

新たな情勢認識の上で釣魚台防衛運動を考える

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釣魚島に上陸した香港の保釣行動委員会のメンバーら(2012年8月15日)

石原慎太郎・東京都知事による「尖閣購入」「尖閣調査」というナショナリズム排外主義の扇動に、労働者市民は祖国敗北主義、プロレタリア国際主義、エコ社会主義で対抗しよう。以下は、香港・先駆社のウェブサイト労働民主網に掲載された小論。小見出しは訳者。(H)

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新たな情勢認識の上で釣魚台防衛運動を考える

陳景基


8月15日、7人の香港人が釣魚台に上陸し、日本政府による占領に抗議し、日本当局に逮捕、強制送還された。香港の親中派は面目をつぶされた形になった。というのも、親中派は香港政府とその後ろ盾である中国共産党が香港で愛国教育を推進することに対して、大声で支持していたにもかかわらず、自分達ではなんら釣魚台に対する行動をとらず、(中国政府と対立的関係にある)民主派をふくむメンバーらが釣魚台に上陸することをなすすべもなく傍観し、愛国主義の大旗を敵(つまり民主派)の側に奪われた形になったからだ。


◇ 人民に愛国教育は不要


40年にわたる釣魚台防衛運動に進歩的な役割があったとすれば、それは当初から市民運動として提起されということだろう。中国と台湾の両政府がともに冷淡だった状況のなかで、日本帝国主義の再拡張に危機感をいだいた香港市民が、政府による逮捕や暴力に屈することなく立ち上げた運動であったからだ。(香港は1941年12月25日から1945年8月15日まで日本の軍事占領下におかれた:訳注)


中国の近代史は次のことをわれわれに教えている。つまり、売国行為を策動し、また実際に売国行為を達成したのは、つねに政府とその指導者であり、国を守るために立ち上がったのは、いつも普通の人々、そして無名の英雄達であったということである。道理は極めて単純である。普通の人民が自分の故郷や国を愛おしむことは自然なことだからであり、愛国教育などというものを注入する必要はなく、ましてや政府がそれを代行する必要などまったくないのである。愛国教育が必要なのは往々にして人民の方ではなく政府の官僚達の方だろう。


いま中国共産党は香港で愛国教育を推進しようとしており、このチャンスに乗じて共産党への忠誠を強制しようとしている。だがそれは、国を愛することとは違うのである。


◇ なぜ釣魚台運動は進歩的だったのか


冷静に考えれば、中国共産党は清朝や国民党政府に比べて、外国からの抑圧に抵抗する気概を持っているといえるだろう。しかし釣魚台の防衛については、この40年来まったく積極的ではなく、逆に市民による釣魚台防衛運動にたいする弾圧に対しては積極的であったといえる。だが近年、中国政府の対応は変わりつつある。いまの中国の政権は釣魚台防衛に積極的な姿勢を見せている。すくなくとも言葉の上では非常に威勢がいい。だがそれは吉兆ではなく凶兆である。


40年前は、冷戦中であり、日本政府は厳密な意味においては軍国主義政権ではなかったが、依然として経済的にアジア人民を搾取し、アメリカ覇権主義と結託して反共政策を実施していた。一方、中国は日米に包囲された貧困国であり、資本主義とアメリカ覇権主義に反対する大国でもあった(すでに妥協路線へとかじを切ってはいたが)。この二つの陣営の対決のなかで、日本支配勢力の再拡張はアジア人民にとって不幸であり、当時の釣魚台防衛運動は多少なりともこのような拡張に抵抗する意味合いを持っていたことから進歩的であった。


◇ 「冷戦」から「商戦」の時代に


40年後の今日、状況は根本的に変化している。日米政府が悪の勢力であることには変わりはない。しかし中国は強大になり、他国から侵略される危険性というのはほとんどなくなっている。だからたとえ中国が当面のあいだ釣魚台を奪還できなかったとしても、それが中国への再侵略の起点となる心配はない。つまり今日の釣魚台防衛運動の意義はかつてにくらべて縮小している。


中国は強大になっただけでなく、その性質にも変化があった。資本主義への回帰である。だから冷戦が終結したいま日米もかつてのように中国を孤立させる必要がなくなっただけでなく、逆に中国政府と経済の上で協力関係を築き、グローバルに新自由主義を推進しながら、あちこちで自由貿易協定を締結している。しかし中国、アメリカ、日本による資本主義のグローバル化政策の推進は、相互間に市場争奪戦を繰り広げ、一層激しい競争を余儀なくさせる。


それゆえ冷戦は終結したが、中国と日米との間の資本主義的商戦の序幕はすでに開かれている。今日、中国政府が釣魚台防衛を熱心に取り組み始めたとすれば、それは市民による釣魚台防衛運動を日米との商戦に利用しようとしているに過ぎない。もしも将来、中国政府が積極的に軍事面で釣魚台防衛に動き出したとすれば、政府による釣魚台防衛は、中国政府が資本主義的商戦を推進するための駒に一つに過ぎず、それは40年来の市民による釣魚台防衛運動の素朴な性質とは大きく異なる。


◇ 経済拡張主義に奔走する中国


最近、強国左派(マルクスや毛沢東の用語を並べ立てて外国資本の言いなりではない民族資本主義の大国を目指せと主張し、労働者民主主義には極めて消極的である点が特徴:訳注)が出版した『大目標:われわれとこの世界の政治的協議』は、報道によると、著者達は中国が帝国主義の道を歩む可能性を排除しないことに同意しているという。しかし、この著者らによると、帝国主義とは必ず軍事的に他国を占領することが含まれるのであり、様々な情勢から中国による他国への軍事占領は難しいことから、中国が帝国主義になる危険性は大きくないという。この考えはおそらく正しくないだろう。軍事占領が帝国主義の主要な特徴ではないからだ。第二次世界大戦以降、帝国主義は民族解放運動による打撃のもとで、経済侵略を主要な形式とした対外拡張に進化を遂げたからである。それは今日の中国の支配者が必死に模倣しようとしている拡張モデルでもある。今日の中国の支配者は建国の理念を放棄し、経済拡張主義に奔走している。これでは愛国というより、その逆である。


◇ 国際連帯こそが前途


冷戦においては、労働者人民はどちらかを選択する必要があったが、商戦においてはどちらかに組みする必要はない。冷戦時代に「社会主義陣営」と呼ばれた陣営は実はそれほど社会主義ではなかったが、少なくとも資本主義には反対していたことから、労働者人民は資本主義にくらべてましな経済的待遇を受けることができた。


しかし今日の資本主義的商戦は、中国の官僚と資本家と外国の同業者達の間での争奪戦であり、しかもそれは各国の労働者人民と自然資源に対するさらなる搾取によってのみ維持することができる。経済競争が過熱すればするほど戦争の危機は大きくなり、その時には支配者は労働者人民にさらなる犠牲を強いるだろう。このような資本主義大国間の商戦は、労働者人民には災禍しかもたらさない。今日の中国は侵略される危険性はないだけでなく、他の小国を抑圧する覇権国家となりつつある危険性が日々増している。市民運動による釣魚台防衛運動は、いま一度、いかに帝国主義政策の駒になることを回避するのかを考えなければならない。


つまるところ、中国の労働者人民の前途は、自国支配者の経済拡張主義を手助けするのではなく、各国の労働者人民と団結してそういった拡張主義を阻止することにある。釣魚台を巡る争いは、このような大局に立って考えなければならない。


2012年8月27日

『中国トロツキスト全史』の日本出版によせて

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中国の陳独秀研究者の唐宝林氏が1994年に台湾で出版した『中国トロツキスト史』の全訳が出版された。日本での書名は『中国トロツキスト全史』。

この本については94年の出版直後から、当事者である王凡西や鄭超麟ら中国の老トロツキストたちからの批判的見解が表明され、日本でも『トロツキー研究』誌上でもそれらの批判的見解が翻訳紹介されていた。

日本でも当初この本の出版を検討していたという事情もあったことから、著者の唐氏も老トロツキストらの批判に反論し、もし問題があるなら(1)本文の箇所はそのままにして、老トロツキストの批判的書評と唐氏の反論を合わせて掲載する、(2)本文の基調は変えずに、指摘された問題箇所を修正するか、関連資料を資料として掲載する、ということで、日本での出版を進められないか、という提案がされた経緯がある。結局、出版の話はお流れになってしまったようだった。

それから10年以上が経過して日本語での出版というニュースを聞き、「いまさら?」とややおどろいたが、もしかして上記の(1)か(2)のような加工を加えた上で、出版あとがきか訳者あとがきで説明がされているかな、と期待してさっそく購入したのだが、残念ながらそのような形跡はみうけられなかった。

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訳者あとがきでは、本書への批判として「トロツキズムへの理解をほとんど欠落されている」という見解の一言のみを紹介しているだけで、中国老トロツキストの批判的書評は参考文献にさえ紹介されていない。

以下に王凡西と鄭超麟の批判的書評、および唐宝林氏による反論などが掲載された『トロツキー研究』を紹介する。

・王凡西:書評『中国トロツキスト史』
・鄭超麟:書評『中国トロツキスト史』
 長堀祐造 訳 『トロツキー研究』17号(1995年秋号)掲載

・グレゴール・ベントン:王凡西へのインタビュー
 長堀祐造 訳 『トロツキー研究』19号(1996年春号)掲載

・唐宝林:歴史の真相は隠蔽しえない!
 緒方康 訳 『トロツキー研究』20・21号(1996年夏・秋号)掲載

・王凡西:『中国トロツキスト史』の著者に答える
 長堀祐造 訳 『トロツキー研究』20・21号(1997年夏号)掲載

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石原都知事の「尖閣諸島」購入発言を批判する―「尖閣諸島は『日本固有の領土』ではない」

釣魚台~1石原慎太郎東京都知事の「都が尖閣購入」発言が話題を呼んでいる。

 四月一六日(日本時間:一七日)に訪米中の石原がワシントンでの講演で、「尖閣諸島を所有者から購入する」方針を示したのだ。石原が講演した場は、右派のシンクタンクである「ヘリテージ財団」で、「日本も核(武装)のシミュレーションをすべきだ」などと四五分間しゃべった後、講演の最後の五分間で唐突な形で「尖閣購入」計画について語ったのだという。

 「尖閣諸島はこのまま置いておくと、どうなるかわからない。中国が日本の実効支配を壊すため過激な運動をしている。ゆゆしき問題だ。豊饒な漁場であり、海底資源が日本の領海にある」。

 「東京が尖閣諸島を守る。日本人が日本の国土を守ることに何か文句がありますか。東京が買うことにアメリカも反対しないだろ」「買い取った後は、沖縄県や石垣市に一緒に持とうとオファーしようと思う」。

 石原は、すでに昨年末の段階で所有者側(埼玉県の栗原家)との間で「売る」という話で基本合意をしている、と語り、講演後の記者との話では「政府にほえ面をかかせる」と得意げにブチ上げたという。

 これは極右ナショナリストとしての彼の、いつものパフォーマンスであり、彼が国民新党から追放された亀井静香や「たちあがれ日本」の平沼赳夫らと打ち上げた「新党」へのアドバルーンであることは間違いないだろう。しかし今回の「尖閣購入」発言が、二〇一〇年九月の海保巡視船と中国漁船の衝突・中国漁船船長逮捕事件によって加速された「中国脅威」キャンペーン、そして中国を主要ターゲットにした米国の新軍事戦略と一体化した自衛隊の「南西配備」――先島諸島への自衛隊配備との連動を意識したものであることは明らかである。それはたんなる「放言」ではなく、意識的な計算にもとづく発言なのである。

民主・自民など既成政党の政治への不信。怒りが高まり、橋下徹大阪市長の「維新の会」や、河村たかし名古屋市長の「減税日本」などの「自治体首長新党」が選挙や世論調査で大き支持を得ているが、かれらはいずれも新自由主主義と強権的「リーダーシップ」の主張、そして中国や北朝鮮・韓国への排外主義的ナショナリズムを共通の土台にして人気を博している。河村名古屋市長が中国からの友好訪問団に対して「南京大虐殺はなかった」と語ったことは、その現れである。橋下は石原の「尖閣購入」発言に肯定的に言及している。こうした動きが極右国家主義的な憲法改悪の流れと連動していることを重視しなければならない。



野田政権は、石原の「尖閣購入」発言に「困惑」しつつも、「尖閣諸島」を国が購入して「固有地」とする可能性についても表明した(四月一七日、藤村官房長官)。多くのマスメディアや「識者」も石原発言を「唐突」と語りながらも、「尖閣諸島」(中国名:釣魚諸島)を日本が「実効支配」している「固有の領土」であることについては、当たり前の前提にしている。日本政府にとって、「北方領土」や「竹島」とは違って「尖閣諸島」については領土問題は存在しないとするのが公式の立場であり、この点については共産党や社民党までふくめた議会内での「挙国一致」が存在している。

われわれは一貫して、こうした「尖閣=固有の領土」論に反対してきた。二〇一〇年九月に大きな問題となった海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突・中国人船長逮捕問題についてもわれわれの立場を明らかにしてきた(注)。

ここでもう一度繰り返すことはしないが、要点だけ挙げておく。

●「尖閣諸島」帰属問題について、明治政府は尖閣が「清国政府の領土である」可能性を考慮して立場を取らなかった。一八八五年の古賀辰四郎による「貸与」申請以来、日本政府は「たびたび沖縄県を通じてたびたび現地調査を行った」という外務省の説明は事実に反する。

●一八九五年一月の日本政府による「尖閣」の領土編入は、日清戦争での清国の敗勢を条件としたものであり、台湾・澎湖諸島の植民地化と一体となった侵略戦争の結果である。

●一八九五年一月の「閣議決定」文書は一度も公開されたことはなく、「尖閣」の領土編入は官報にも掲載されず、国際的にも通知されなかった。

●尖閣諸島に「標杭」(国標)が建てられたのは、国連アジア極東経済委員会(ECAFE)が東シナ海に石油天然ガス資源が海底に存在する可能性を指摘した一九六九年五月に、当時の米国施政権下の琉球政府によってなされたのが最初である。

●保守派の政治学者が編集した文献(伊藤隆編・百瀬孝著『資料検証 日本の領土』 河出書房新社、二〇一〇年八月刊)でも尖閣の領土編入について「官報に出たわけでもなく、外国に通告されておらず、領土編入について無主物先占の万全の手続きをふんだとはとうていいえない」と指摘している。

われわれは、国際法的正統性に欠けるこうした「尖閣=固有の領土」論を撤回し、「領土問題は存在しない」とする立場を放棄した上で、中国・台湾との外交的交渉に入ることを政府に求めるべきである。

「中国脅威論」に基づく沖縄・先島への自衛隊配備をやめさせなければならない。

(K) 

【香港】行政長官選挙結果に対する声明

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▲開票場前で抗議する香港市民

3月25日、香港行政のトップである行政長官選挙で親中派の梁振英が選出された。投票権を有するのは、選挙委員1200人のみで、今回投票したのは1132人。梁は当選に必要な過半数を上回る689票を得た。

同じ親中派で途中まで本命と見られていた香港行政のナンバー2の政務長官、唐英年は285票にとどまった。当初は唐候補の当選が確実視されていたが、過去のスキャンダルが噴出。「香港人による香港統治」を掲げる中国共産党にとって香港市民から嫌悪される候補者の当選は望ましくないという判断から、共産党が梁候補にてこ入れしたとも言われている。直接選挙を主張する民主党の何俊仁主席も立候補したが76票にとどまった。


行政長官の任期は五年。業界団体などから選ばれた1200人の選挙委員会の投票で過半数を得た候補者が選出される。行政長官選挙への立候補には、この選挙委員会メンバー150人の推薦が必要。行政長官は選挙委員会による間接選挙といわれるが、業界によって選挙委員会選挙の一票の格差の開きは大きく、産業界、金融界、そして親中派に有利な結果になるという批判がある。行政長官は中国全人代常務委員会の批准で任命・罷免される。


中国全人代は2017年の選挙で行政長官の直接選挙に言及している。直接選挙の早期実施について、民主党は将来的直接選挙が実現するよう中国政府から確約をとるという立場に後退した。


よりラディカルな民主派は、いますぐにでも直接選挙を実施すべきという立場。現行の行政長官の選出方法は間接選挙ともいいがたい、一部の利害関係者のみが参加する「内輪」の似非選挙であると批判し、投票ボイコットを選挙委員に呼びかけると共に、市民に対して抗議やデモなどの行動を呼びかけた。数千人の市民らが開票会場での抗議行動やデモに参加した。


23日、24日に香港大学が実施したインターネットなどを使った模擬投票では香港市民22万2990人が投票し、得票率は梁振英候補17.8%、唐英年16.3%、何俊仁11.4%で拮抗したが、54・6%もの投票者は「白票」を投じ、「内輪」選挙の結果と実際の市民らの意識との隔たりを浮き彫りにした。


以下は、香港の左翼ネットワークである左翼21の声明の翻訳。(H)



経済的平等を実現しよう!直接選挙を実施せよ!
香港行政長官選挙結果に対する声明


左翼21 2012年3月25日 
原文 


今日、「内輪」の選挙という批判のなか、梁振英が行政長官に選出された。誰が当選したとしても、この選挙は人々が参加することのできる真の選挙などではない。このような選挙は、最初から最後まで、特権階級のドタバタ劇に過ぎないからだ。


いわゆる「唐梁の争い」といわれる今回の選挙だが、両氏は異なる利害にあるそれぞれの資本家グループを代表しているに過ぎず、どちらも労働者民衆からの搾取によって成立している。それゆえどちらか一方の勝利に歓喜の声をあげることがあってはならないし、当選後には労働者民衆の利益となる政治を行うと期待することなど論外である。両候補者は、この醜悪なドタバタ劇に出演し相互に攻撃しあっているが、自らの利益集団に少しでも多くの分け前を確保することだけが目的であり、700万香港市民の未来は脇へ追いやられている。我々の頭上にのしかかる権力は、彼らのうちのどちらが当選したところで消え去るものではない。


当選した候補の選挙公約に対する不釣合いなまでの幻想をおしまいにする時がきた。労働時間規制には全く触れることなく、また長年社会的論争のあった団体交渉権についてもその影さえ見い出すことはできない。次期行政長官は労働者人民に対して何ら公約を提示せず、口約束をする勇気すらなかったことを見ておくべきだろう。滑稽なことに、梁振英は当選の見込みが高まったとみると、立法会選挙(日本の国会選挙に相当)における法人票の廃止など、進歩的と見られた一部の公約を取り消した。誠実さをアピールしてきた唐英年も自宅違法建築疑惑でデタラメが明らかになった。風見鶏と化したエリート権力者と親中派の醜悪な振る舞いからも、この一部の利害関係者だけが参加できる似非選挙が、まさに中国共産党独裁政権に尻尾を振るこれら恥知らずどものために設定されたものだということは明らかである。


この数ヶ月の間、主流メディアは市民を対象に支持率の調査を実施してきた。しかし、一部の利害関係者らだけが投票できる選挙の支持率のアンケートなど、似非選挙の実態を覆い隠すイメージ作り以外に何ら実質的な意味はない。さらに問題なのは、一部の権力エリートたちは、候補者が市民から高く支持されているというイメージ戦略にこの調査結果を利用していることだ。その目的は特権支配の合法性を維持強化するためである。われわれは、このような民意調査やそれを悪用することに批判し警戒しなければならない。


われわれは、人は生まれながらにして平等であり、経済的地位や職業の違いによって政治的権利に差別があってはならないと考える。似非選挙の問題点は、資本家や業界人だけに投票権があるとものだ。これは下層民衆へのあからさまな差別であり、プロレタリアートを二等公民と見なすものだ。この様な不公正は終わらせなければならない!


一点、言っておくべきことは、われわれの直接選挙という要求はひとつの前提に過ぎない。直接選挙によって平等な社会がすぐにでも実現するとは思っていない。経済的な平等が実現できなければ、政治権力の平等は絵に描いた餅だからだ。世界各地のブルジョア民主国家で巻き起こったオキュパイ運動は、ブルジョア民主主義では富の再分配を保障することもできず、貪欲な資本家を抑制することさえもできないことを明らかにした。財閥政治のもとで、政府の政策は大資本によって操られ、政権はブルジョアジーの玩具と化している。それゆえ、われわれは直接選挙だけでなく、経済制度の根本的な変革を追求しなければならない。政治的な民主主義を実現するとともに、労働者階級を搾取する経済制度を廃止することがわれわれの理念である。


この恥ずべき選挙の結果は、これからの未来の一連の闘争の開始を指し示しすものである。香港の特権エリートによる抑圧はますます激しくなり、政治的弾圧も続くだろう。だが生ある限り屈服はしない。政治弾圧の風雨はわれわれの勇気を奮い立たせるだけである。奴隷か解放か、独裁か自由か、われわれは二つに一つの選択を迫られている。われわれの身は、中国共産党独裁政権と香港の権力エリートが押しつけた鉄鎖に縛られている。それはわれわれ自らの力で打ち砕くしかないのだ!


経済的平等を実現しよう!直接選挙を実施せよ!すべての権力を人民に!

中国:派閥闘争の後塵に現れる「中国の特色ある資本主義」における階級闘争~全人代が終わって

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毎春の政治ショーと揶揄される中国の全国人民代表大会が、この一年の総括と向こう一年の政治方針が記された政治報告を了承して3月14日に閉幕した。党指導部トップの交代が行われる18回党大会を半年後に控えた全人代だけに国内外から注目された。

閉幕の翌日3月15日、中国内外に大きなニュースが伝えられた。秋の党大会で党指導部トップの政治局常任委員会入りに注目が集まっていた重慶市書記の薄煕来がその職を解任されたというニュースだ。

薄煕来は重慶市のトップである書記に就任していらい、汚職撲滅・都市開発・就業支援・革命歌唱和などを特徴とする「重慶モデル」を実践し注目を集めてきた。しかし薄煕来の腹心で「重慶モデル」の功臣とみられていた副市長の王立軍が、全人代の開幕直前の2月初め、アメリカ大使館に逃亡し、その後身柄を中国政府に拘束された。ボスである薄煕来からスケープゴートとして切り捨てられることに抗議したものとみられる。

参考:重慶モデルの破たん (2012年2月9日)

薄煕来に対してはその後、目立った処分もなく、北京で開かれた全人代に重慶市のトップとして参加し、記者からの質問にも「解任されるというのは根も葉もないうわさだ」と答えていた。

温家宝首相は全人代閉幕後の14日に記者会見を行った。重慶市の王立軍副市長の米国総領事館駆け込み騒動についての質問に次のように答えていた。「重慶市の政府と住民はこれまで改革に多大な努力を払い、目覚しい成果を収めてきた。しかし現在の党委員会と政府は今回の一件からしっかりと教訓をくみ取り、反省する必要がある。」

そして3月15日の薄煕来の更迭のニュースである。その背景には党内部の派閥闘争があることは間違いない。薄煕来は失脚した。だが「重慶モデル」は「目覚ましい成果を収めてきた」と評価されたままである。だがこの「重慶モデル」は、中国政府がすすめてきた国有企業の民営化や都市開発に伴う農地収用などによって労働者農民の既得権を徹底してたたきつぶした荒廃地のうえに打ち立てられた中国の特色ある資本主義のモデルの一つに他ならない。

去年、そして今年の全人代では黄奇帆市長は「この三年、土地収用を理由とした陳情が行われたことはない」と平然と言い放っている。だが昨年の全人代閉幕直後の4月1日には重慶の失地農民(土地収用などで農地を失った農民)ら1000人が黄奇帆・重慶市長の罷免要求を重慶市人民代表大会事務局に提出している。2010年1月には中央政府に陳情をおこなった失地農民が重慶市公安当局にひどい暴力的弾圧されるというニュースも伝えられている。

農民だけではない。1990年代末から2000年代にかけて中国全土で国有企業の改革と称する民営化が進められ、無数の労働者が街頭に投げ出された。なかでも重慶は重点的に攻撃を受けた地区と言われている。2000年代中頃からいくつもの闘争が伝えられている。04年には重慶3403工廠の労働者三千人が民営化反対の決議を上げた闘争をはじめ、05年には重慶嘉陵化工廠、重慶特殊鋼鉄工廠における反民営化闘争が伝えられている。

09年には重慶嘉陵グループのストライキ、重慶渝運グループの陳情闘争、10年には重慶〓江での過労死を発端にしたストライキ闘争などが伝えられている。(〓は基の字の「土」が「糸」)だがそのほとんどで闘争は厳しい状況を逆転させることができなかった。

こうして農民を農地から引き剥がし、労働者を工場から叩き出した跡地を利用して進められたのが「重慶モデル」の目玉といわれる廉価な公共住宅の建設である。2週間にわたる全人代の会期中、北京だけでなく全国各地で治安維持のためにありとあらゆる暴力装置が動員され、官僚と資本家の独裁に抗する民衆の抗議の声を封じ込めようとした。

しかし暴政に抗う民衆の怒りを押しとどめる続けることはできない。温家宝首相の記者会見での「重慶市…の党委員会と政府は…反省する必要がある」発言および薄煕来の更迭は、単に党内派閥闘争を反映しているだけでなく、官僚的に歪曲された形であるにしても農民の、労働者の怒りを反映したものである。

「重慶モデル」に社会主義の幻想を抱き「北京コンセンサス」に行き詰まる資本主義のオルタナティブを重ね合わせてきた一部の知識人の夢は儚くもはじけた。そこに現れた現実は、グローバル資本主義と独裁体制の業火に抗う階級闘争の地平である。その地平は国境を越えてグローバルにつながっている。(H)

中国:重慶モデルの破たん

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薄煕来(左)と王立軍

汚職・暴力団追放と共産党精神の高揚を掲げ、格差縮小にむけた経済成長を目指すといわれる「重慶モデル」の発祥地、重慶市の副市長兼公安局長の王立軍が、その職を解任され、数日後の2月8日、「療養」を理由に成都にあるアメリカ領事館に24時間「滞在」し、その後、身柄を国家安全局に拘束されるという事件が起こった。

「重慶モデル」は、今秋に予定されている18回党大会で、最高指導部である党中央政治局常務委員会入りを取り沙汰されていた重慶市共産党委員会書記の薄煕来が、前大会直後の2007年12月に商務部大臣から重慶市に転任して以来すすめられてきた政策で、新左派とよばれる民族左派の知識人らが「格差を広げてきたアメリカモデルに対抗する中国モデルの核心的政策」として絶賛してきたものだ。

今回拘束された王立軍は、08年6月に薄煕来がかつて省長を務めた遼寧省の錦州市公安局長から重慶市公安局副局長に抜てきされ、暴力団やそれとつながっていた警察内部の責任者などに大なたを振るった「打黒」(暴力団弾圧政策)の陣頭指揮者であった。「打黒」政策は「重慶モデル」の象徴的政策のひとつで、超法規的な弾圧をふくめて広く実施された。

王立軍によって2009年8月までに1500人の暴力団構成員と50人の汚職役人が逮捕された。逮捕者には重慶市の司法局長や高等裁判所副所長もふくまれる。司法局長の文強が処刑された2010年7月、薄煕来は勝利宣言を行い、王立軍はその最大の功労者と言われた。

その王立軍が今回アメリカ領事館に逃げ込んだ。2月9日、王立軍によるとされる2月3日付の「公開状」がインターネットを駆け巡った。

「薄煕来の『唱紅打黒』(革命を称え暴力団を取り締まる)政策は、政治局常務委員になるためのパフォーマンスである。……彼は私を含む部下にありとあらゆる事をやらせた。従わない者がいればすぐに卑劣な方法で処分した。……彼こそが最大の暴力団の親玉である。薄煕来は清廉潔白で売っているが、実際にはどん欲でいやらしく、親族に荒稼ぎさせ、それ驚くべき金額に上る……。」

薄煕来は中国東北部の遼寧省の省長在任中に国有企業のリストラという国策を強力に進めた。2002年3月、遼寧省の中堅都市の遼陽市にある遼陽鉄合金工場でリストラに抗議する労働者らが複数の工場と連帯してストライキを打った。だが「国家転覆罪」でスト指導者の姚福信が7年、肖雲良が4年の懲役という弾圧を受けた。

遼陽鉄合金労働者の闘争の敗北は、その後の国有企業の民営化をさらに促進した。グローバル資本主義の大国としてのし上がった中国は、労働者階級の犠牲の上に成立したといえる。遼陽鉄合金労働者に対する弾圧の最高責任者の一人であった薄煕来が進める「重慶モデル」が、格差縮小の経済成長や調和ある社会をめざすなど、冗談にもほどがある。

【参考】 ・2002年春の中国国有企業労働者のたたかい
      ・姚福信と肖雲良を釈放せよ

「重慶モデル」の冗談のなかでも極めつけは「唱紅歌」(共産党賛歌を歌う運動)である。「唱紅歌」運動を「文化大革命の復古主義」と評する論評もあるが、この運動が中国共産党90周年の2011年7月1日にむけた全国規模での愛党・愛国運動の牽引役となったことを考えると、グローバル資本主義化にともなう社会的動揺を、党への忠誠心と愛国心の発揚によって覆い隠そうとするきわめて現代的なものだといえるだろう。


建党90周年の前日に行われた重慶での「唱紅歌」大会

このような「重慶モデル」を高く評価したり、指導部の傾向の違いに希望を見出してきた民族左派知識人たちには、民主主義と労働者階級に対する徹底した自己批判が求められる。

今後、王立軍事件を巡るさまざまな報道や憶測が流されるだろう。2月中旬には習近平国家副主席の訪米が予定されている。習近平は今秋の党大会で引退予定の胡錦濤を継いで中国共産党中央委員会総書記という8000万党員のトップに就任すると言われている。指導部交代にともなう党内闘争についての報道や噂も絶えないだろう。

階級闘争は、どの時代でも支配体制内の権力闘争や外国からの干渉と無縁ではありえない。しかしそれは支配体制内の権力闘争の一方の側につくということではあり得ないし、外国からの干渉に無批判に便乗したり瞬間的に反発するということではない。

中国における民主主義の実現と労働者の解放をめざす勢力のたたかいは長く厳しい局面にある。資本のグローバル化と中国労働者階級の苦難に満ちたたたかいが、労働者の国境を超えた闘争をつなげるだろう。(H)

「重慶モデル」の実態については、こちらの現地ルポも参考になる

・日刊べリタ:中国経済開発・ある断面:高効率農業と農的生活のはざまで
 上 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201202021153174
 中 http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201202051301010
 下 http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201202081154413

マルクス、中国版ツイッターの実名登録の義務化を批判する

higateMarx


【解説】報道・言論の自由が制限される中、中国の人々は「微博」(ウェイボー)と呼ばれる中国版のツイッターでさまざまな情報を発信している。すでに3億人を上回るユーザーがウェイボーを利用しており、政府批判なども盛んに行われている。昨年のアラブの春ではインターネットを通じた政府批判が政権打倒の一翼を担った。今秋に最高指導部の交代が予定される党大会を前に中国政府はバーチャル空間での言論にも神経を尖らせている。巨額の費用と人員を投入しインターネットへの監視を強めている。昨年末には北京、天津、上海、広州、深センの5市でウェイボーユーザーの実名登録の義務化を発表した。以下はマルクスの新聞の自由の主張を用いてこの政策を批判した空想インタビューの翻訳。原文はこちら http://www.yadian.cc/weekly/list.asp?id=109776 (H)


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マルクス、中国版ツイッターの実名登録の義務化を批判する
思寧


C&K通信社2011年12月20日(思寧 記者) 中国版ツイッターのミニブログ「微博」(ウェイボー)の実名登録を義務付ける《北京市ミニブログ発展管理に関する若干の規定》が発表され、インターネット各界では大変な話題になっています。今日はイギリス・ロンドンのハイゲート墓地でマルクス氏の亡霊に、ウェイボー実名登録義務化について伺います。


記者:マルクスさん、初めまして。C&K通信社の思寧と申します。北京の政府が2011年12月17日に発表したウェイボー実名登録の義務化についてのご意見をお伺いしたいと思います。


マルクス:ウェイボーとは何のことじゃ? わしが生きていたときには聞いたこともなかったがな。


記者:ウェイボー(微博)とはミニブログのことです。誰でもインターネットという通信手段を通じて140字以内の短い情報や自分の意見を発信することができる媒体です。あなたが活躍していた時代にもあった新聞を、いまでは誰でも手軽に出版できるようになった、といえば理解していただけるでしょうか。


マルクス:ほぉ、誰でも自分の新聞を発行できるのか。それはまことにすばらしい!報道出版の自由に関しては、当時わしは個々人の自由な発展を目標に掲げておったが、報道や出版の自由に関しては実現を果たしたということじゃな。で、そのウェイボーの実名登録の義務化とは?


記者:ウェイボーの実名登録義務化の規定によれば、政府が指定した機関に個人情報を申告して実名で登録しなければ、ウェイボーで文章を発表できない、というものです。


マルクス:ん? つまり匿名で政府批判をする文章は発表できないということかな?それではまるでわしが生きていた時代に、フランス政府が起草し、秩序党がより厳しく修正したブルジョアジーの出版法とまったく同じではないか。このブルジョア出版法では「新聞に発表する記事はすべて筆者の署名を必要とする」と規定していた。1850年、わしは『新ライン新聞 政治経済論評』に発表した論評でこのようなブルジョアジーの報道独裁イデオロギーを批判した。「新聞が匿名だった間、新聞は無数無名な世論の機関と見えた。だから、それは国家における第三の権力だった。ところが、各論説に署名がついたことで、新聞は多少とも有名な個人の寄稿の単なる寄せ集めに過ぎなくなってしまった。どの論説も広告に堕落した。それまでは、新聞は社会世論の通貨として流通していた。それが今ではかなり不確実な約束手形になってしまったのである。その信憑性と流通度は、振出人の信用だけでなく裏書人の信用にも左右されるからである。」(『フランスにおける階級闘争 1848年から1850年まで』)


記者:報道の匿名性が体現していた社会世論による監督権を主張されていたのですね。ですが北京の政府は、ウェイボーの実名登録の義務化政策はマルクス主義を防衛するためである、と言っているのです。

マルクス:ウェイボーの実名登録義務化はマルクス主義を防衛するためとな?


記者:ええそうなんです。中国の憲法ではマルクス主義を指導的な思想として規定しています。ウェイボー実名登録の義務化規定の第一条では、いかなる組織または個人であってもミニブログを違法に利用して憲法が規定する基本原則に違反する情報を製作、複製、発表、宣伝してはならないとしています。つまり、ウェイボーに流す情報は憲法で定められているマルクス主義の指導的思想に違反してはならないということなのです。


マルクス:マルクス主義に対する批判はまかりならんと? 君たちの中国共産党の毛沢東前主席はこういっているではないか。「わが国では、マルクス主義はすでに大多数の人から指導思想とみとめられているが、それなら、批判をくわえてはいけないのか、と。もちろん、批判してもよい。マルクス主義は科学的真理であり、批判をおそれない。マルクス主義が批判をおそれたり、批判によってたおされたりするようなら、マルクス主義はなんの役にも立ちはしない。」(『人民内部の矛盾を正しく処理する問題について』より) 実名登録の義務化規定の第一条からして、毛沢東思想にも一致していないではないか。(※訳注)


記者:ではマルクス主義にも一致していないと?


マルクス:わしの新聞の自由に関する観念は明確じゃよ。新聞の匿名とは、社会世論の監督権を行使する手段だということじゃ。わが友エンゲルスもこう言っておる。「なんびとも、あらかじめ政府の承認をえずに、自由に自分の意見を発表することができるという権利--すなわち出版の自由である。」(『イギリスの状態 イギリスの憲法』より) ウェイボーの実名登録の義務化は、わしやエンゲルスの新聞の自由に関する概念からも逸脱している。それは「憲法が規定する基本原則」すなわちマルクス主義に反しているのではないだろうか?


記者:なるほど、ウェイボーの実名義務化の規定は、それ自身の第一条にさえ反する禁令なのですね。


マルクス:そうじゃ。もし北京の政府がウェイボーの実名義務化の政策がマルクス主義だというのなら、わしは彼らにこういうしかないの。「私が知っているのは、ただ、私は決してマルクス主義者ではないということだ。」(「エンゲルスからコンラート・シュミットへの手紙 1890年8月5日」より)


※訳注:毛沢東はこのように述べて中国共産党への批判を奨励する「百花斉放百家争鳴」を始めたが、批判が余りに大きかったことからすぐに批判を封じる「反右派闘争」という名の粛清を展開することになる。


10・15香港~金融センターを占拠せよ!



10月15日、アジアの金融センターのひとつである香港でもウォール街をはじめ世界各地で取り組まれた占拠アクションに呼応する取り組み「占領中環」(中環を占拠せよ)が行われた。「中環」は内外の金融機関が集まる香港のビジネス地区の中心。「占領中環」アクションは、香港証券取引所や日本領事館などがある「中環交易スクエア」とオフィスやショッピングモールの複合施設である「国際金融センター」の間の広場で行われた。


左翼21、リーマンブラザーズ投資家被害者連盟、コミュニティメディアのFM101、中文大学左翼学会、反核連盟、社会民主連盟、街坊工友服務センター、人民力量、大学人による企業監視アクション、社会主義行動などが呼びかけた。


左翼21は、第二証券取引所の入り口に「占領中環」と「反資本主義」の横断幕とテントを広げた。その他の団体もさまざまなスローガンを掲げて「中環占拠」に取り組んだ。


参加団体から金融資本が支配する社会を批判する発言が相次いだ。反核連盟のメンバーは、原発産業は核兵器産業から派生したものでありともに多国籍企業のビジネスと化している、国家だけでなく国連までをも巻き込んだ巨大ビジネスであり、それらのシンジゲートが決める被曝基準は安全や科学とは程遠い、ビジネス中心の基準であり、日本政府の福島原発事故後の対応を見ればそれは明らかだと厳しく批判した。


その後も全体行動終了の夕方までさまざまな発言やパフォーマンスがつづき、参加者全員で上海香港銀行(HSBC)までデモを行い、デモ解散地点でさらに集会が続いた。10月17日の月曜日時点でもこの場所での座り込みは続いている。(H)


以下は、左翼21に参加する香港・先駆社の同志による「占領中環」アクションでの発言。

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私たちが占領すべきは何なのか
「占領中環」集会での香港・先駆社の同志の発言
2011年10月15日


2011-10-15B


ニューヨークのウォール街占拠は、金融資本に反対する大衆的行動として世界各地に広がり、現代資本主義制度の本質を人々の前に明らかにしています。

現代資本主義の本質とはなんでしょうか? 私たちの後ろにあるセントラル取引所スクエアを見てください! 毎日2兆ドル(!)ものマネーが24時間絶えず国際金融市場で取引されています。そのうち、モノや労働力の売買といった、まともな経済活動はわずか1%だけです。その他はまるまる投機活動なのです。多くの社会的資本がごく一部の大企業に握られています。かれらはその富を、生産活動にではなく、ますます金融投機に振り向け、マネーがマネーを生むビジネスに賭けているのです。やれ外為だ、いやデリバディブだ、ファンドだ、サブプライム等々、まだまだあります。金融投機がこれまでになく想像を絶するほどの規模に膨れ上がる一方で、生産的な活動や医療、教育、社会福祉などの事業は活力を失い縮小する一方です。

グローバル資本主義はすでに巨大なカジノと化しています。「カジノ資本主義」になっているのです。それは普通のカジノよりもさらに悪質で恐ろしいものです。もしカジノでスったとしても、せいぜいフクロにされるか、家族に害が及ぶくらいが関の山でしょう。しかしこの「カジノ資本主義」は、賭けに参加していない普通の人々に被害を及ぼし、賃下げやリストラを強制し、苦労して支払ってきた年金などの基金の大半をあっという間にスッカラカンにしてしまうからです。


いったいこれはどういった災いなのでしょうか。それは、金融独占の時代における資本主義の腐朽性と反動性にまで発展したものに他なりません。もちろん資本主義が必然的に貧富の格差と環境破壊を引き起こすことはいうまでもありません。資本主義はすでに恐ろしい悪魔になってしまったのです。それを更正することができるなどと、いまだに信じることができるでしょうか。それは消滅させなければ、プロレタリア民衆に前途はないのです。


もちろん私たちは、労働時間の短縮、賃金引上げ、社会保障制度の設計など、部分的な改良を勝ち取ることも必要です。これらの要求は当然であり、プロレタリア民衆の切迫した要求だからです。しかし、資本主義制度が依然として維持されており、1%のブルジョア階級が権力を独占している状態では、これらの改良政策の全面的で実質的な実現は不可能なのです。1%の特権集団による政治経済領域における独裁をひっくり返し、プロレタリア民衆のための民主的政府を建設することではじめて、民衆のための各種の社会改革の全面的実現が可能になるのです。


確かに、私たちはセントラルを占領し、ウォール街を占領し、金融独占資本主義の象徴的空間の一切を占領しなければなりません。しかし、そこは本当に進駐すべき場所ではないのです。では何処を占領しなければならないのでしょうか。われわれが占領すべきはブルジョア階級が独占する政治権力と経済権力なのです。プロレタリア民衆が主人にならなければならないのです!


今日の世界同時的な抵抗アクションは「Global Revolution」と呼ばれています。これは非常にメッセージ性のあるスローガンです。資本主義がグローバル化しているのであれば、反資本主義運動もグローバル化しなければなりません。革命もグローバル化しなければなりません。革命がふたたび日程に上る日が来たのです。しかし革命はそう簡単に実現できるものではありません。なぜでしょうか?


私たちが集会でよく歌う「インターナショナル」には、次のような歌詞があります。「思想を監獄から解放せよ」という歌詞です[中国語バージョンの歌詞:訳注]。そうです!もし私たち自身の思想革命がなければ、つまり革命的意識がなければ、多くの勇敢な大衆運動が起こったとしても、それは袋小路に入り込み、成果をあげることはできないでしょう。ひどい場合には惨敗することにもなるでしょう。


もし我々が資本主義思想の監獄に囚われたまま、「パイを大きくすれば分け前も多くなる」などの主張を信じ続けたり、法人税の引き下げや福祉削減や自由市場を信じ続けたり、あるいは「福祉国家」の改良政策の再来によって貧富の格差を縮小させ公平な社会を実現できると信じていていいのでしょうか。徹底してそのような幻想を放棄することなしには、反資本主義のグローバル革命を実現することはできないでしょう。今日、私たちのセントラル座り込みは、資本主義制度の問題点を検証し、資本主義をのり超える可能性と必要性、そしてそれに代わる社会制度についての討論を始めなければなりません。


2011-10-15

中国:化学工場の撤去を求める数万人の抗議行動が勝利

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 抗議の市民であふれる大連市庁舎前広場(8/14)

中国・東北地方の沿海都市、遼寧省大連市で、危険な化学工場の操業の即時中止を求めた市民の大規模な抗議行動が勝利した。

大連市庁舎前広場に集まった数万人の市民は、さまざまな工夫を凝らした抗議グッズで吸い込むと人体に影響の出るパラキシレン(PX)工場の危険性を訴えた。最終的に大連市のトップにあたる大連市共産党委員会の唐軍書記が、警察車両の上から集まった市民に、工場の即時停止と移転を約束した。


だが、工場移転の具体的な時期については明らかにされておらず、夜間まで広場で抗議行動を続けた市民に対して大量の武装警察が暴力的な排除行動に出た。経済発展著しい中国ではこの間各地で公害や環境破壊をめぐる市民や農民、先住民族らの闘いが展開されている。世界最大の二酸化炭素排出国となった中国。環境と労働者を破壊しながら製造されている商品は、日本をはじめ世界中に輸出されている。国境を貫く階級的連帯を!

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 大連市庁舎前広場へ向かう市民のデモ隊列(8/14)

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事件の経過はこうだ。環境都市として有名な遼寧省大連市の郊外にある大連福佳大化石油化工パラキシレン(PX)工場から、吸い込むと人体に影響の出るPXが、接近していた台風の影響で漏出した疑いが強まったという情報がインターネット上に書き込まれた。


8月8日、接近した台風が、PXタンクのある港の防波堤を破壊し、その影響でPXタンクも倒壊した。事故を知って駆け付けた中央テレビの記者たちは、復旧作業中の作業員に取材を妨害されたうえ、殴られて追い払われた。その後、警察の調べで、この作業員はPX工場のトップから「記者を入れたらただでは済まさないぞ」と脅かされていたこと明らかにした。


これら一連の経過における頑なな取材拒否に疑問を感じたメディアが事件を報道した。その後、インターネットなどでも市民らが、異臭が工場周辺に漂い、工場の労働者たちが避難をしているなどの情報を流し始めた。また工場敷地内で薬品を収めた容器設備が転倒しているのを目撃した市民等も、雨が降っているにもかかわらず異臭がどんどん強くなる、などの情報を提供し、市民に外出しないよう呼び掛けた。またその他の地区の住民からも、異臭が広範囲に漂っていることなどの情報が寄せられた。


その後、インターネットで、8月14日の日曜日のPX工場の操業停止と移転を求める抗議行動が呼びかけられ、それに呼応して大連市庁舎前に集まった市民は1万人以上に上った。

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 大連市庁舎前広場に集まる市民たち(8/14)

このPX工場は、中国最大級のPXプロジェクトであり、前任の大連のトップが政治的に誘致したものでもあることから、市民の間では、一部の指導者の政治的・経済的利益のために安全がないがしろにされるのではないかという不安が高まった。また当初放映する予定であったこの事件に関する取材報道も急遽放送が中止されたり、このPX工場の新規プロジェクトが環境アセスなど必要な手続きをする前から関連当局から許認可を得ていたなどの報道がインターネットメディアで流れたりしたことも、市民の不安を高めたことから、8月14日の大規模な抗議行動に発展した。


今回の抗議行動では、(1)PX工場プロジェクトの即時停止、(2)今回の事件に関する報道の自由、(3)工場撤退期限の明確化、(4)責任者の処罰という4つを勝ち取ることが目標であった。大連市のトップの唐軍・大連市共産党委員会書記は、自ら警察車輌のうえに乗り、プロジェクトの即時中止を集まった数万人の市民に約束した。最初の二つの要求は勝ち取られたが、市民らの「撤去の時期は?」の声には応えなかった。それどころか、「解散しなければ酷い目に遭うぞ」という恫喝まで行い、夜まで広場に残った市民らは十数台のトラックに満載されて動員された武装警察が暴力で排除した。

その日の夜に書き込まれたインターネットの書き込みはこう記している。

「何とか無事に家に帰って来た。一帯どうなっているのか状況はわからないが、四発の催涙弾のようなものが打ち込まれたのをこの目で見た。前方から『警察が殴り始めた、血が流れている』といって人が逃げてきた。何人かが捕まり、たくさんの人がその場で警察に包囲された。ニュースなどでよく見る被災地支援に行くような幌付きのトラックがそこに向かって……。みんな大連以外のところから駆けつけた特殊警察といっていた。」


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 暴力的排除に乗り出す武装警察(8/14夜)

中国では、近年、労働問題、環境問題、農地問題、住宅問題、人権問題、民族問題など、さまざまな課題で大衆的抗議行動が増加傾向にある。2010年は18万件もの集団的事件(騒乱)が発生している。2008年は12万7千件、2006年には9万件だった。それに対応するかのように、中国における治安維持関連の政府予算も増加の一方をたどっている。中国政府公表の予算によると、2011年の治安維持関連支出は6244億元(約7兆7400億円)。全体の6.23%を占め、前年比13.8%。一方、国防費は6011億元(約7兆4600億円)を抜いた。街頭鎮圧部隊とともに、莫大な予算をインターネット監視取締システムに注ぎ、民衆の声を圧殺する「警察国家」の姿が垣間見える。

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 大連市内を警備する武装警察部隊(8/14)

PX工場に関しては、2007年6月に福建省のアモイ市でも大規模な市民の抗議行動によって、台湾資本のPX工場を撤退させた経験がある。今回の大連での闘争はそれを模倣したとも言われている。抵抗は途切れることなく、経験を蓄積しながら継続している。注目を!


(H)

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1989年の「北京の春」と労働者の闘争

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1989年春 天安門広場前の労働者の応援部隊 


6月4日、「北京の春」と呼ばれた巨大な民主化運動に対する血の弾圧である「六・四 天安門事件」から22年目を迎える。中国では、自由主義派知識人や人権弁護士、芸術家やジャーナリストなど、民主化を求める人々への弾圧はさらに厳しさを増している。チベット、ウィグル、そして内モンゴルなど民族自治区域でも民族の尊厳や自治を求める動きに対する厳しい弾圧が行われている。22年前の「北京の春」に対する名誉回復を求める動きは中国内外でも活発であり、5月29日には香港で2000人が民主化を要求するデモに参加し、6月4日には大きな集会が行われる。

 

「1989年 北京の春」については学生や知識人の運動であるかのような紹介も見られる。しかし民主化運動の高揚とともに労働者民主主義を求める労働者の全国的な組織化の萌芽が見られたこと、そして「天安門事件」後には、労働者がもっとも厳しい弾圧を受けたことは、記憶されておくべきだろう。労働者に対する徹底した弾圧があってはじめて、「天安門事件」後の20年に及ぶ資本主義化政策を強力に推し進めることができたのである。


以下に紹介するのは、香港を拠点にして中国労働者の動きを伝える「労工世界網」が昨年出版した「現代中国労働者の民主化闘争 1989~2009」というパンフレットからの抜粋である。同パンフレットは「北京の春」における労働者の闘争と、「天安門事件」後に進められた国有企業改革における労働者の抵抗を紹介している。

 


『現代中国労働者の民主化闘争 1989~2009』

 區龍宇、白瑞雪 共著 労工世界網

・まえがき

・社会の「主人」から被雇用者への没落

・一九八九年の社会的状況★

・民主化運動に参加した労働者階級★

・反民営化闘争

・官製労組を労働者のための労組に変えた:鄭州製紙工場労働者の闘い(2000年)

・工場を跨いだ連合:遼陽鉄合金工場労働者の闘い(2002年)

・独立した組織を:大慶油田の闘い(2002年)

・社会主義思想は死なず:重慶3043工場労働者の闘い(2004年)

・国有企業の労働者は減少したが、潜在力は依然として強力である

・農民工たちの抵抗

・結び

今回紹介するのは★印の二章。小見出しは適宜、訳者が入れた。(H)

 


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