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ヤスクニ解体

報告:排外主義と天皇制を問う8.15 反「靖国」行動

15写真1 8月15日、排外主義と天皇制を問う8・15 反「靖国」行動実行委員会は、集会(在日本韓国YMCA)と反「靖国」デモを行い、170人が参加した。

 天皇と野田首相は、政府主催の第67回全国戦没者追悼式(武道館)でアジア民衆に向けた戦前の植民地支配と侵略戦争の真摯な謝罪と反省をせず、戦後補償について触れなかった。従来から続くこの姿勢を韓国の李明博大統領は、天皇訪韓について「(日本の植民地支配下で)独立運動への謝罪をするというのならいいのだが、『痛惜の念』だとか、こんな単語一つなら、来る必要はない」、旧日本軍従軍慰安婦問題についても「女性の人権問題として、人類の普遍的価値と正しい歴史に反する行為だ」と批判した。李発言が自らの政治的不安定性を乗り切るためであったとしても、その背景には韓国民衆の歴史的に続く怒りがあるからだ。

 野田首相は、全国戦没者追悼式での式辞で「国際社会の一員として、国際平和の実現を不断に追求していく」と強調し、対中国と領土ナショナリズムを煽りながらグローバル派兵国家へと突き進もうとしている。野田は、かつて野党時代に小泉政権に対して「4回におよぶ(戦犯釈放を求める)国会決議などで、A・B・C級すべての戦犯の名誉は回復されている」「A級戦犯合祀を理由に首相の靖国参拝に反対する論理は破綻している」という質問主意書を出していた(2005年10月)。今回は、アジア諸国からの批判をすり抜けるために靖国参拝を行わなかったが、野田の本音は靖国賛美なのだ。産経新聞から「野田首相は靖国神社をよく理解する政治家だけに、残念である」(8月17日)と言われる始末だ。

 野田の立ち振舞いに苛立った松原仁拉致問題担当相、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」副会長の羽田雄一国土交通相が民主党政権下で初めて靖国参拝を行った。侵略戦争と天皇制を賛美する「国会議員の会」の与野党国会議員55人、石原慎太郎都知事が参拝を強行し、英霊にこたえる会と日本会議が靖国神社で「戦没者追悼国民集会」を開催した。連動して天皇主義街宣右翼、在日特権を許さない会、頑張れ日本!全国行動委員会などが反天皇制運動への敵対を行ってきた。反「靖国」行動は、右翼らの暴力的破壊と挑発を許さず、断固として集会と反靖国デモを貫徹した。



全国戦没者追悼式批判



 集会は、実行委から①「戦没者追悼式」と「靖国」参拝に抗議の声を!②右派状況・歴史認識③野田政権の性格④普天間基地へのオスプレイ配備を許すな!日米安保廃棄、天皇沖縄訪問阻止を!―基調を提起した。

 さらに「アキヒトXデーを見据えた天皇制の強化に対しても、反天皇制を鮮明に一つ一つ闘いを繋げて」いくことを確認。とりわけ天皇制国民統合装置と治安管理の強化に反撃するための一環として「スポーツ祭東京2013」(第六八回国民体育大会・第一三回全国障害者スポーツ大会)反対運動、東京都の2020年オリンピック招致運動への批判を強め、反天皇制運動を広げていくことを意志一致した。

 「お話」が山田昭次さん(歴史研究者)から行われ、「8・15と国体護持、日本の軍事大国化のための『愛国心』昻揚」について問題提起した。

 山田さんは、冒頭、「8・15とは何だったのか。この日が敗戦という危機を迎えた天皇制国家の護持を訴えた日であるにとどまらず、その後にもこの日が日本の軍事大国化の精神的支柱としての『愛国心』、すなわち国家に対する忠誠心の昻揚を目指す国家儀礼の日として利用されてきた」と糾弾した。

 そのうえで「8・15」批判を①1945年8月15日、天皇が日本人民私有に天皇制国家護持を訴えた「終戦の詔勅」②アジア・太平洋戦争日本人戦死者を殉国者として顕彰する全国戦没者追悼式と8・15との結合③「戦没者を追悼し平和を祈念する日」の制定と首相中曾根康弘の8月15日靖国神社公式参拝」④首相小泉純一郎の8月15日の靖国神社公式参拝の意図――などを掘り下げ、「全国戦没者追悼式や首相の靖国公式参拝は、反平和的な政治的意図を覆い隠す役割しか果たしていない。国家儀礼にこめられた内実を見破る鋭い批判的な眼をいま日本民衆に求められている」と結論づけた。

 連帯アピールが2012・9・15ピョンヤン宣言10周年集会実行委員会、辺野古への基地建設を許さない実行委員会、自衛隊・米軍参加の東京都・目黒区総合防災訓練に反対する実行委員会2012、福島原発事故緊急会議から行われた。

 集会後、九段下の靖国神社に向けてデモに出発した。すでに水道橋から神保町には、権力機動隊配備下、天皇主義右翼、街宣車が徘徊し、デモに対する挑発を行ってきた。権力は、右翼による集会横断幕、実行委宣伝カーマイクの破壊、水入りゴム球の投擲を放置し、この妨害を利用してデモ規制を行ってきた。九段下交差点前、実行委は、不当規制をはねのけて「侵略・戦争神社ヤスクニ反対!天皇制解体!」のシュプレヒコールをたたきつけた。デモは、水道橋の解散地点に到着し、闘争勝利を全体で打ち固めた。

(Y)
 

報告:2012平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動

IMG_1255 8月11日、2012平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動実行委員会は、豊島公会堂で「60年目に考えるサンフランシスコ条約体制とヤスクニの『復権』」の集会とデモを行った。

 行動は、今年がサンフランシスコ条約発効60年の年であり、また、沖縄「復帰」、日中国交正常化、40年目にあたる位置から戦後日本のあり方を規定し、枠組みをつくったサンフランシスコ条約とヤスクニの関係を検証する場として設定した。

 今村嗣夫さん(共同代費用)から主催者あいさつが行われ、憲法改悪勢力の活性化とともにヤスクニ復権策動の警戒と人権否定の自民党憲法草案を批判していくことを訴えた。



サンフランシスコ条約講和体制批判



 第一部はシンポジウム。

 古関彰一さん(獨協大学教授)は、「サンフランシスコ条約とヤスクニ」というテーマから「講和条約の最大の特徴は、戦争を法的に終結する条約であるにもかかわらず、侵略戦争を行ったことに対する謝罪や反省がないことだ。さらに日米安保条約の締結を義務付け、沖縄を本土から分離し、侵略を受けた国々に対する賠償請求権(戦後補償)を反故にした」と批判した。

 その政治性格について「当時の権力者たちは、A級戦犯の赦免請願運動を取り組み、次々と復権させていった。このプロセスは講和条約によって権力あるいは権力に連なる人びとが有利になるような構造の下で戦後を歩み始め、その対極にある弱者、わけてもアジアの人々の視点を忘れて戦後を歩み出してしまった」ことを明らかにした。

 石原昌家さん(沖縄国際大学名誉教授)は、「サンフランシスコ条約とヤスクニ下の沖縄」について①講和条約が発効した一九五二年四月二八日を「屈辱の日」と捉えたこと②天皇制維持のための沖縄戦③戦後の天皇メッセージの犯罪性④米軍沖縄占領と講和条約⑤戦傷病者戦没者遺族等援護法とヤスクニ化された沖縄――から検証した。

 さらに「オスプレイ配備問題で日米安保を具体的に問題視する状況にある。しかし、軍事活動を活発化させている中国との尖閣列島をめぐって『領土ナショナリズム』が台頭しつつある。沖縄の先島への軍備増強化を促進させる役目を担っている。日米最後の地上戦となった沖縄戦で、沖縄住民が軍民一体化した戦闘だったと沖縄戦体験を捏造して、それを利用しているところに大きな特徴がある。日本の国民世論を好戦的軍民一体形成を狙っている」と分析し、この流れに抗するために「沖縄靖国神社合祀取消裁判」の教訓を強調した。

 曾健民さん(台湾社会科学研究会長)は、「サンフランシスコ条約と台湾」についてアプローチし、「講和条約によつて作られた軍事、政治、経済、文化体制が、未だ我々の現実生活を左右し、東アジアの真の平和にとって脅威となっている。それゆえに条約の再認識は東アジア人民が『平和、民主、公義』を追求するにあたって共同事業だ」と報告した。

 李時雨さん(韓国・写真家)は、「サンフランシスコ条約と日米韓軍事同盟」の実態について大量に配備された劣化ウラン弾の追跡、原子力潜水艦、アジアの米軍基地などを映し出しながら「国連体系化の対日平和条約」を批判した。

 高橋哲哉さん(東京大学教授)は、「サンフランシスコ条約と戦後日本の思想状況」について「犠牲のシステム」「核システム」としての日米安保体制を暴き出し、その柱の一つが「原子力平和利用」だったことを歴史的に明らかにした。



池袋一帯に反ヤスクニのシュプレヒコール



 第二部は証言&コンサート。

 イ・インボクさんは、「父は、一九四四年四月二八日、ニューギニア・ヤピック河口で亡くなり、今は靖国に合祀されています。何の権利があって、家族には何も連絡せず勝手に合祀などできるのか」と糾弾した。

 イ・ヒジャさんは、太平洋戦争費が穂医者補償推進協議会・民族問題研究所パンフ「強制動員被害者に聞く、まだ終わってない話」を紹介し、決意表明した。

コンサートは、ソン、ビョンヒさん、ムン、ジンオさんが熱唱し、連帯を打ち固めた。


 集会終了後、デモに移った。在日特権を許さない市民の会、天皇主義右翼の挑発を許さず、反ヤスクニを池袋一帯に響かせた。(Y)
 

【転載】8・15反『靖国』行動に向けられた弾圧を許すな!右翼による私たちへの攻撃、暴行や傷害を糾弾する!

8・15反「靖国」行動実行委の声明を転載します。
右翼のテロ襲撃を許すな!

8・15反『靖国』行動に向けられた弾圧を許すな!右翼による私たちへの攻撃、暴行や傷害を糾弾する!
 
 私たち「国家による『慰霊・追悼』を許すな!8・15反『靖国』行動」は、今年も、天皇制に反対し、靖国神社に代表されるような国家による死者の「慰霊・追悼」を批判する行動を行なうことができました。

 しかし、本年の行動は、これまでよりもさらに激しい弾圧や攻撃にさらされるものでもありました。そのことの内実を広く明らかにするとともに、こうした事態をつくりだした権力機関や団体・個人を厳しく糾弾せねばなりません。

 天皇制を批判したり、その戦争責任や侵略責任を問う行動は、これまでも公安警察や機動隊による過剰規制に加え、右翼勢力の攻撃にさらされてきました。最近は、こうした右翼勢力に、もっぱらインターネットで流布される虚言によって妄動する「ネット右翼」、そして彼らを現実の場に動員している「行動する保守」を名乗る右翼グループが加わり、私たちや友人たちの行動への妨害や嫌がらせはさらに醜悪なものとなっています。

 今回のデモのさなかに、私たちの行動に対し、襲撃する側が持ち込み、押さえられたとき落としたと思われるナイフが見つかっています。

 私たちは、これまで20数年の長きにわたり、8・15の行動を持続してきました。

 右翼たちの私たちに向けた「殺せ」「殺す」という脅迫的煽動は、「街宣右翼」や「行動する保守」「ネット右翼」たちが相互に顕示を競う中でエスカレートしてきました。しかし、今回ナイフが持ち込まれたことは、デモの参加者に対する、具体的な殺人/傷害が狙われていたと考えるしかありません。これは、右翼たちの行動の最悪の方向への転換の画期を示すものです。

 これに対する、警備・公安警察が実施した「警備」の体制はひどいものでした。それは、私たちの行動を抑え込むばかりか、「街宣右翼」「行動する保守」や「ネット右翼」たちにやりたい放題を許すものでもあり、私たちの行動に参加した人々の身体を、彼らの暴力行使による直接的な危険にさらさせるものでした。

 以下に、その具体的な実態を示します。



★右翼団体構成員による暴力

 警察は、デモコース最初の、上下4車線の白山通りを封鎖し、驚いたことに上下線の歩道寄りの車線にずらりと右翼の街宣車を配置させました。特に危険だったのは、居並ぶ右翼の街宣車の間から、ひっきりなしに右翼団体構成員が私たちを襲撃してきたことでした。

 この激しいもみ合いの直後に、白山通りから靖国通りに向かう半ばで、デモ隊の歩いている路上にナイフが落ちていたことが、多くの参加者によって確認されています。これは、襲撃者が割って入った機動隊員に取り押さられた際に、落としたものとしか考えられません。

 脇を歩いていた私服の公安警察官は、この「証拠物」を、何食わぬ顔で拾い上げ自分のバッグに収めてしまいました。このとき襲撃犯が逮捕されたのかどうかすら、現段階では不明のままです(この一部始終は、私たちにより現認され撮影されています)。

 警察は、この事件をなかったことのようにしたいのでしょうか。目前で不法な暴力行為が展開されている以上、警察は、この右翼によるテロ未遂事件の事態の一部始終を厳しく捜査し、襲撃犯の背景、その後の対応について明らかにする義務を有しています。

 右翼は、中身の入ったジュースなどの缶を私たちめがけて投擲してきました。これにより身体に打撲傷を受けた参加者も何人もいました。これが顔や頭部などにぶつけられた場合は、その被害は深刻です。これについても、警察は積極的に捜査を行う義務があります。

 右翼による襲撃により、宣伝カーは蹴られ、叩かれ、横断幕・バナーやパペットなどはデモ行進の開始直後から終了するまで攻撃を受け続け、強奪などもされました。右翼構成員は、大量な機動隊や公安警察官にほとんど規制もされずデモに併進し、暴行や罵声を浴びせ続けたのです。



★「右翼」に対する警察の優遇措置

 警察は、在特会に代表される「行動する保守」や「ネット右翼」のデモに対する妨害のための、彼らとの「ボス交渉」に積極的に応じ、わざわざ公道である歩道や車道の一部を空けて彼ら専用の区域を提供しました。彼らはこうしてしつらえられた安全な空間から、差別と排外主義にまみれた醜いヘイトスピーチを繰り広げたのです。彼らによるヘイトスピーチは、直接的な暴力をほしいままにする右翼団体と、まさに対をなし、暴力を助長するものです。

 右翼によるこうしたヘイトの行動は、多くの国や団体・個人から、国際的にも強く批判を受けているものです。民主主義を標榜する日本のような国家において、警察がむしろこれを助長するような体制を取ることは許されるべきではありません。



★警察によるデモへの弾圧態勢

 私たちのデモは、左右を街宣車と警察車両によって狭められた車線を、さらに戦闘服の右翼団体構成員と装備した機動隊の列にサンドイッチ規制される形で進ませられました。これは、私たちのアピールが右翼街宣車による圧倒的な騒音によりかき消されることを目的とするものでした。

 私たちのデモ行進が、機動隊によって強く規制される一方で、歩道や車道を並行して歩く私服の公安警察官や制服警官は、右翼団体構成員が私たちに暴行を働くのを積極的に制止しませんでした。警察は右翼に自由に行動させたため、その突進に翻弄され、ぶざまに混乱した警備体制を糊塗するため、むしろ機動隊は私たちの行動への規制を強めたのでした。その経過で、右翼や機動隊員に突き飛ばされ、転倒させられた人も多くいました。

 そして、そのような中でも、大量に動員された公安警察官は、ただただ私たちへのビデオや写真撮影などに励んでいたのです。

 私たちは、こうした日本社会における現実を、日本社会、さらに国際的にも広く知らしめることを希望します。民主主義を標榜し、日本国憲法において思想や表現の自由が保障されているにもかかわらず、現実の社会において、実質的にこれを行使することが不可能ないし困難な状況にあることに注目されねばなりません。

 また、インターネットなどにおいては、天皇制や靖国神社などへの批判、外国人やマイノリティの権利の主張を行なう意思表明すら、右翼勢力の執拗な攻撃にさらされ、発言を封じられることもたびたび起きています。

 こうした、直接的・間接的な暴力を含む攻撃が、どのような政治的・社会的立場やイシューに向けられているかは明らかです。右翼組織や「行動する保守」「ネット右翼」などのそれぞれの背景は、政治団体や暴力団、宗教団体、その他の挑発者グループ、なによりこの社会を覆っている差別・排外主義的な政治環境などさまざまですが、この間、彼らにとっての共通の「敵」をしつらえ、実質的に合流した行動をとることが繰り返されています。

 こうした状況は、社会や経済の破綻から「失われた20年」と呼ばれる最近になって、ますます明白に露呈していることです。排外主義は、人間が使い捨てにされ、生をめぐる競争に駆り立てられ、社会的に分断されるところに浸透しています。これは、社会全体が徐々に威圧的となり、軍事的色彩を強めている歴史的時間の中で、いままさに進行している事態です。

 私たちは、今回のような警察・右翼一体となった攻撃を強く糾弾します。すべての皆さんがこうした事実を認識し、右翼の暴力や、それを理

由とした警察権力の不当な規制をゆるさない声を、それぞれの場で上げていただきたいと思います。

2011年8月26日
 
国家による「慰霊・追悼」を許すな!8・15反「靖国」行動




左上から:右翼が襲撃時に落としたナイフを私服公安警察が何食わぬ顔で拾い上げ自分のバッグに収める。左下写真、公安警察の左腕に警視庁の腕章が確認できる。

右:デモへの襲撃を繰り返す右翼。




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▲テロ未遂の凶器を証拠隠滅した警視庁公安刑事

報告 2011平和の灯を! ヤスクニの闇へ キャンドル行動

813 2011平和の灯を! ヤスクニの闇へ キャンドル行動実行委員会は、8月13日、全電通労働会館で「3・11後の東アジア─原発とヤスクニが強いる国家と犠牲」をテーマにした集いが行われ、450人が参加した。

 集会は、今村嗣夫さん(共同代表)の開催挨拶から始まり、「今年のキャンドル行動は、3・11後の日本の状況を東アジアの民衆の視座からとらえ返す場として設定した。原発震災はこの国の闇を暴き出した。だが今またヤスクニとその思想を利用し、逃げようとしている」と批判し、「原発とヤスクニ」を厳しく糾弾していこうと訴えた。

 シンポジウムは、四人のパネリストから問題提起が行われた。

 高橋哲哉さん(東京大学教授)は、「私は福島出身だ。五月にいわき市を訪ねたが、震災と津波で港は瓦礫の山、原発からの放射能汚染水の放出で漁業も壊滅という惨状だった。3・11は、あらためて日本の病巣―原発・ヤスクニという犠牲のシステムを露にした」と提起。

 具体的に①「安全神話」によって原発を推進し、同時に中央と周辺の構造的差別を利用してきた②大量被曝を覚悟しながら働かざるをえない被曝労働者を「英霊」予備軍―ヤスクニと同様の論理で讃え、犠牲を強要するシステム③ウラン採掘現場での被曝犠牲④「核のゴミ」捨て場所を原発立地地域に押し付けようとしていることを浮き彫りにした。

 とりわけ日本とアメリカの原発推進派が「核のゴミ」の捨て場所としてモンゴルへの投棄計画を進めていたことを報告。結果としてモンゴルによって断られたが、推進派の根底には植民地主義が存在していることを厳しく批判した。

 石原昌家さん(沖縄国際大学名誉教授)は、「3・11原発震災―フクシマを見る沖縄の眼差し」という観点から「核と沖縄の米軍基地」について報告。

 さらに「日米両政府は、東日本大震災と原発事故を利用し、『トモダチ作戦』と称して人びとに受け入れられるような作戦をとってきた。それまで自衛隊・米軍は東アジアの軍事的展開に向けて宮古島や八重島の軍事基地化を目論んできたが、なんと災害発動の拠点・基地にすると言い出した。災害時の救出活動に監感謝されたのをチャンスとして反対しにくい状況時に住民を『絡め取って』『押し付けていく』という軍事配備に着手しようとしている」ことを明らかにし、「軍隊は『人命救助』の訓練にだけ専念すべきだ」と結論づけた。

 潘朝成さん(台湾・慈濟大學講師/ケマラン族)は、「台湾原子力発電所、核廃棄物と台湾先住民族の境遇」というテーマで①環境正義の下の原住民族の立場②新植民地における台湾原子力発展に対する米国の影響③台湾第4原発の建設とケラマン族の反対の取組み④核廃棄物保管場所の選定における環境民族差別について報告した。

 さらに潘さんは、「核廃棄物保管場所の選択は、台湾の権力者の重大な環境不正義、環境人種差別の事実を明らかにしている。先住民族の権利は集団の権利であり、これらの権利は国家が作られる前から存在している。先住民族の権利を認めるためには、現在の政治、経済と文化を徹底的に変えていかなければならない」と強調した。

 韓洪九さん(韓国・聖公会大学教授、平和博物館理事)は、「津波に勝った原発への愛」と題して「核兵器と核エネルギー」を批判。

 「南と北のリーダーである李明博と金正日は、多くの面で相剋関係であるが、核を愛しているという共通点も持っている」と切り出した。そして韓国の「原発ルネッサンス」(原発拡大政策)に触れ、「李大統領は『福島原発事故は、むしろ原発強化のきっかけにしなければならない』などと位置づけている。つまり韓国型原発を売り込むチャンスとしてしか見ていないようだ。しかも2010年、アラブ首長国連邦に原発を輸出したことを政権の最大の功績として宣伝している。世界の原発市場で主導権を確保し、原発輸出を韓国経済の新しい動力源にしようと考えている」と糾弾し、東アジア反核運動の方向性を提示した。

 集いの後半は、服部良一さん(衆院議員)が挨拶で再開され、反ヤスクニと天皇制解体をアピール。

 遺族証言では、韓国のナム・ヨンジュさん、古川佳子さん(靖国合祀イヤです訴訟原告)が発言。

 続いて黒田節子さん(ハイロアクション福島原発40年実行委員会)が「原発震災の渦中 FUKUSHIMAから」を訴えた。

 コンサートに入り、林廣財(台湾・飛魚雲豹音樂工團)、ソン・ビョンフィ(韓国)、ムン・ジンオ(韓国)、(台湾・飛魚雲豹音樂工團)が熱唱。

 内田雅敏さん(共同代費用)は、7月21日、靖国神社韓国人合祀絶止訴訟で東京地裁が政教分離違反問題について「靖国神社を特に手厚く支援する意図・目的はなかった」などと判断し、請求をすべて棄却する不当判決を糾弾した。

 最後にイ・ソクテさん(共同代表)から閉会挨拶が行われ、キャンドルデモに移り神田一帯にわたって「ヤスクニNO!」を響かせた。なおキャンドル行動に対して在日特権を許さない会、天皇主義右翼らが妨害宣伝を強行してきたが、挑発に乗らず毅然とデモを貫徹した。

 付記:警視庁公安部は、8月11日、台湾の高金素梅・立法委員を威力業務妨害、礼拝所不敬、傷害容疑で東京地検に書類送検した。高金素梅さんと台湾の仲間たちは、09キャンドル行動に参加するとともに靖国神社抗議行動(09年8月11日)も取組み、神社境内前で「台湾先住民族戦没者の)合祀をやめろ」、「英霊を返せ」を掲げ、抗議のシュプレヒコールをたたきつけた。権力の書類送検は、台湾の仲間たちの反ヤスクニ行動への敵対であり、キャンドル行動に対する事前弾圧だ。送検糾弾!撤回せよ!

(Y)

【報告】国家による「慰霊・追悼」を許すな!8・15反「靖国」行動

815 8月15日、国家による「慰霊・追悼」を許すな!8・15反「靖国」行動が行われた。まず、午後一時から在日本韓国YMCA九階ホールで集会が行われ、132人が参加、デモには200人が参加した。


集会後、神保町を通り九段下の靖国神社近くを通る「靖国思想」解体のデモを行った。既存右翼や在特会らは最初から最後までデモ隊列に対して執拗に攻撃を加えた。この間の反原発サウンドデモに対して逮捕を相次いで行っている警察だが、この日の右翼らの違法なデモ妨害突撃、交通妨害などの道路交通違反などには一定の規制はするものの、明らかな馴れ合い、泳がせの対応をとっていた。警察・機動隊はデモ隊をサンドイッチ規制して、正当なデモ行進をじゃました。デモ隊はこうした攻撃を跳ね返して、「靖国」「天皇制」を批判して、断固としてデモを貫徹した。


 3月11日東日本大震災以後、被災者の「慰問」と死者の「鎮魂」を行った天皇が新たな「国家の再生」に向けたメッセージを発している。こうした天皇制を撃ち、国家による、あらゆる死に対する意味づけを核とした、8.15の「追悼空間」=全国戦没者追悼と靖国思想――新しい国立の無宗教の追悼施設、あるいは千鳥ケ淵拡充という方向性も含めて――の解体に向けた行動に、今年も取り組んだ。

 


 集会は最初に、加納実紀代さん(女性史研究者)が「原爆・原発・天皇制」と出して講演を行った。


 加納さんは1945年8月6日、爆心から二キロ弱に住んでいて部屋の中で被爆した。当時五歳だった。父親は爆心地で消滅的に殺された。加納さんはじゃがいもからドッチボールのような顔になって死んだ友だちのこと、首のない死体や灰のような死体のことなど自分で見た残酷な原爆のすさまじさを語った。原爆は他の兵器と比べて、瞬間性、無差別性、根絶性そして全面性、持続・拡大性を持つものだ。


 原爆の被害とジェンダーについて。語り部をやっている阿部静子さん(19歳)はまぶたが閉じない、唇がないということで18回も整形手術した。結婚差別がひどかったことを紹介した。ヒロシマは被害者か、と問いかけた。戦争に明け暮れた日本の近代。その中で軍都「廣島」の加害性。1941年開戦時、広島の陸軍第五師団は真珠湾攻撃より一時間早くマレー半島のコタバル上陸作戦を行い、その後行く先々で住民たちを虐殺していった。原爆はアジアにとって「解放」だったのか? 加害者であり、被害者であったヒロシマ。


 原発について。なぜ「唯一の被爆国」が原発大国になったのか? アメリカは核の独占がソ連によって打ち破られた後、西側同盟諸国を支配化に置くために1953年、原子力の平和利用を打ち出した。日本では中曽根康弘と正力松太郎が積極的な役割を果たした。運動側どうであったか。被爆者、進歩的学者にも共有されていた科学技術信仰。原子力情報室初代代表になり、反原発運動で重要な役割を果たした武谷三男は1952年に、「被爆国だからこそ平和利用を」と推進論を展開したが、1954年3月、ビキニ環礁での水爆実験と日本人船員の被爆事件後、立場を転換した。ビキニ被爆を受けて、原水爆禁止署名運動が全国的に行われた八千万人弱の国民のうち3200万人が署名するという空前の運動の広がりが作られた。55年6月に日本母親大会の第一回が、八月に原水禁大会の第一回が開催された。しかし、ここでも「原子力は人類の繁栄のために」というスローガンが掲げられていた。


 原爆と天皇制。昭和天皇はアキヒトに宛てた1954年9月9日の手紙で敗戦の理由を「我が軍人は精神に重きをおきすぎて、科学を忘れたことである」と書いた。そして、アキヒトも8月15日の日記に敗戦の理由を「科学の力が及ばなかったためです」と記している。被爆の現実に立ち向かうというより、「アメリカはすごいんだ」という「クールな認識」であったろう。現憲法の制定の過程で、明治天皇制的なものを残そうとした日本の学者に対して、アメリカは原子力を背景に、マッカーサーの用意した「憲法」をいわば「押し付けた」。天皇制のもとの民主主義であり、沖縄を犠牲にし、日米安保の核の傘のもとでの戦後の出発であった。


 戦前の「近代の超克」論や日本的「和の論理」、「和の母性文明」=天皇制の論理を繰り返さないために、近代がめざした「豊かさや便利さ、効率性」を問い直し「弱者」のままで尊厳を持って生きられる社会をめざそう。

 


 講演後、参加団体によるアピールが行われた。差別排外主義に反対する連絡会の藤田さんは「行動する右翼に対するカウンター行動を9・23新宿柏木公園からのデモを行う」と発言した。「日の丸・君が代」の強制に反対する会の京極さんが、8月4日に横浜市の中学の歴史と公民の教科書が「つくる会」系の育鵬社のものが採択された。神奈川県下では藤沢市などでも採択され、実に45%の中学生が使うことになってしまったこと、そして大阪府で「君が代」強制条例が採択され、さらに「教職員処分」の条例化が九月府議会で目論まれていることが報告し全国的な反対運動をつくろうと呼びかけた。


 福島原発事故緊急会議の天野さんが9.11再稼働反対全国行動に向けた事前学習会を紹介した。許すなヤスクニ国営化阻止8・15集会実行委がアピールを読み上げた。反安保実行委が10月15日、浅井基文さん講演会のお知らせ。ブッ通しデモ実行委が7月23日から9月10日まで50日間、「がんばれ日本」というネオナショナリズムに抗して、都内で毎日デモを行っていることを報告し、ネットで検索してデモに参加してほしいと訴えた。靖国解体企画が正午に黙祷粉砕デモを靖国神社前で行ったことを報告した。最後に集会宣言を読み上げデモに出発した。

(M)

【案内】2011平和の灯を!ヤスクニの闇へ 8.13キャンドル行動

2011平和の灯を!ヤスクニの闇へ 8.13キャンドル行動

「3.11後の東アジア――原発とヤスクニが強いる国家と犠牲」
 
日時 8月13日(土)午後1時(開場午後0時30分)

場所 全電通労働会館(御茶ノ水駅から徒歩4分)
地図:http://www.chiyodaku-town.com/map/cy034670/

参加協力券 1000円



プログラム

■開会

■4地域実行委員会あいさつ

■シンポジウム「3・11後の東アジア――原発とヤスクニが強いる国家と犠牲」

 パネリスト/高橋哲哉さん(東京大学教授)、韓洪九さん(韓国・聖公会大学教授、平和博物館理事)、石原昌家さん(沖縄国際大学名誉教授)、潘朝成さん(台湾・慈済大学講師)

■コンサート+遺族証言/[遺族証言]韓国、日本、沖縄から/[コンサート]ソン・ビョンフィ(韓国)、ムン・ジンオ(韓国)、林廣財(台湾・飛魚雲豹音楽工団)

■閉会

■キャンドルデモ



主催:平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動実行委員会

HP:www.peace-candle.org

連絡先:E―mail:peacecandle2006@yahoo.co.jp

電話 03-3355-2841(四谷総合法律事務所)



賛同のお願い



賛同金:1口1000円

何口でも結構です。団体については、可能であれば5口以上の賛同をお願いいたします。


振込先:(郵便振替口座)00140-3-446364

口座名義:ヤスクニキャンドル行動 内田雅敏

 
 隠す、ウソをつく、過小に見せる――3.11東日本大震災――レベル7のフクシマ原発事故に対する政府の対応は、この国の権力を握る人たちの変わらぬ性向・体質をあぶり出しました。第二次大戦下の「大本営」とまったく同じ対応です。

 その結果、子どもを含む多くの人たちが知らぬ間にヒバクシャにさせられ、大気、大地、海は放射能に汚染されました。人びとは住み慣れた土地を追われ、フルサトとその文化すらも捨てなければならなくなりました。過酷な条件の下で、大量に被曝しながらフクシマを収束させるために働く労働者は、「トッコウ」にもなぞらえつつ、闇に葬られようとしています。その中で「死んだらヤスクニへ」などというメールすらも飛び交っています。

 他方、政府、メディアは、「がんばろう日本」「日本は強い国」「絆を」のキャンペーンを展開しています。天皇は被災地を「巡幸」して被災者を「慰め」ています。「国難」を乗りこえるため一つになること、「国難」打開のために殉ずること、献身することを民衆に求めているのです。そして、その裏で真に責めを負うべき者たちは、易々と追及を逃れています。この国の権力は責任をとりません。

 同じことの繰り返しです。原発推進の虚妄、米国への“従属”、資本のあくどさ、地方の切り捨て、自治体首長の無責任……、原発震災はこの国の闇をあばき出しました。それに蓋をするために、パラダイム転換をはばむために、今またヤスクニとその思想が利用されようとしています。

 3.11後の日本、東アジアはそれをどう見るか。「人災」が「国難」化され、責任追及がいつの間にか宙に浮いて、鵺(ぬえ)のように権力が延命していく……。そんな状況の根底にひそむヤスクニ。今年のキャンドル行動は、3.11後の日本の状況を東アジアの民衆の視座からとらえ返す場として準備し、実施していきたいと考えています。多くの方がたのご参加をお願いいたします。

【案内】 国家による「慰霊・追悼」を許すな!8.15反「靖国」行動

 国家による「慰霊・追悼」を許すな!8.15反「靖国」行動 
 
●日時:8月15日(月)開場:12時45分・午後1時開始、デモ出発:15時30分(予定)


●場所:在日韓国YMCA9階ホール(JR水道橋駅下車)
地図:http://www.ymcajapan.org/ayc/jp/map1.htm

お話:加納実紀代さん「原爆・原発・天皇制」

主催★国家による「慰霊・追悼」を許すな!8・15反「靖国」行動


呼びかけ団体★アジア連帯講座、国連・憲法問題研究会、立川自衛隊監視テント村、反天皇制運動連絡会、「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会、靖国・天皇制問題情報センター、連帯社、労働運動活動者評議会

 
 天皇アキヒトは、東日本大震災にあたってマスメディアを通して「ビデオメッセージ」を流し、関東の避難所を皮切りに、東北三県の被災地 をまわって、被災者の「慰問」と死者の「鎮魂」をお
こなってみせた。

 その姿に「感激」する地元の人たちの映像も繰り返し流された。

 天皇の行為は、それが天皇の行為である限り、批判や疑問の声など始めから存在しないかのように扱われる。ただただ、ありがたく気高い「無私」の行為として賛美されるだけだ。しかし、天皇のこうした行為は、現実の政治のひどさを隠蔽し、抽象的で漠とした「日本」なるものの共同性に、被災者をふたたび包摂・回収していく行為にしかなりえない。

 そのことによって、人びとの具体的な悲しみや怒りは心の深い部分に押し込められ、大文字の「日本」は無傷のままで回復されるのだ。そしてそれは、歴史上そうであったように、「復興」の掛け声のもとで現実に進行する、被災者の切り捨て=「棄民」という現実を、覆い隠す役割をはたすだろう。

 この意味で、8月15日を中心として行われる天皇の「慰霊・追悼」と今回の一連の天皇の行為はつながっているといわねばならない。

 「全国戦没者追悼式」において発せられる天皇の「おことば」は、一貫して「かつての戦争」の死者に思いを馳せ、彼らの「尊い犠牲」によって、現在の日本の「繁栄」が築かれたのだというロジックで貫かれている。3.11以後、原発事故はいまだに進行中であり、それを収束させるためだけでも、さらに多くの人びとの生命を、危険に晒さざる を得ない。そもそも原発自体が「犠牲」を要求せざるを得ないシステムなのだ。こうした、新たに生み出される「尊い犠牲者」をも、震災後の「復興」のための礎として、天皇は顕彰することになるのだろうか?

 われわれは、3・11以後の現実において、あらためて登場している天皇制を撃ち、国家による、あらゆる死に対する意味づけを核とした、8.15の「追悼空間」=全国戦没者追悼式と靖国思想──新しい国立の無宗教の追悼施設、あるいは千鳥ケ淵拡充という方向性も含めて──の解体に向けた行動に、今年も取り組んでいきたい。多くの方々の参加を強く訴える。

報告 「反「靖国」行動プレ・討論集会  それぞれの8・15行動 これまでとこれから

730 
 7月30日、国家による「慰霊・追悼」を許すな!8・15反「靖国」行動 は、池袋・ECOとしまで「反「靖国」行動プレ・討論集会  それぞれの8・15行動 これまでとこれから」を行っ
た。

 侵略戦争と天皇制を賛美する勢力は、毎年、8月15日に「終戦記念日」と称して武道館で天皇出席のもと「全国戦没者追悼式」を行い、靖国神社では超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の参拝、「日本会議」や「英霊にこたえる会」の戦没者追悼中央集会など天皇主義右翼らが総結集する。いずれも戦争の死者の「追悼」をとおして、「国のための死」を賛美し顕彰していくことにねらいがある。同時にグローバル派兵国家に天皇制を組み込み、民衆統合を強化しながら現在の「戦争」の死の肯定を強要する。天皇制の犯罪性を掘り下げることを拒否し、天皇制への統合を押しすすめようとしているのだ。反「靖国」行動は、靖国勢力の動向を見据えつつ、今年の8・15闘争にむけて討論集会を設定した。

 集会は、「靖国中毒」と題するDVD上映から始まった。天皇制と侵略戦争のために作られた靖国神社の歴史、各神社の役割などを境内をめぐりながらレポートし、批判した。

 次に以下の団体から取組みの歴史、課題、今後にむけて発言が行われた。

 第38回許すな!靖国国営化8・15東京集会実行委員会は、「1970年代、自民党は『靖国神社法案』を国会に何度か提出するが、反対の取組みなどによって廃案となった。反対運動を継承し、歴史をつなげていきたい。『日の丸・君が代』強制反対の闘いに対する不当処分事件に最高裁が次々と合憲判決を出している。今年 の八月 一五日は、下嶋哲朗氏(ノンフィクショ
ン作家)さんを講師に『良心をのみこむ国家 ~日の丸・君が代強制反対~』というテーマで講演してもらう(午後2時/在日本韓国YMCAアジア青少年センター)」と述べた。

 「平和の灯を!ヤスクニの闇へ」キャンドル行動実行委員会は、日本・韓国・台湾の仲間たちとともに共同行動を積み上げてきた成果を報告し、今年の行動について「3.11後の日本、東アジアはそれをどう見るか。『人災』が『国難』化され、責任追及がいつの間にかあいまいかされていく。そんな状況の根底にひそむヤスクニ。今年のキャンドル行動は、3.11後の日本の状況を東アジアの民衆の視座からとらえ返す場として実施していきたい」と紹介した。

 日本戦没学生記念会(わだつみ会)の高橋武智さんは、「わだつみ会は、『再び戦争の悲劇を繰り返さないため、戦没学生を記念することを契機とし、戦争を体験した世代とその体験をもたない世代の交流、協力を通して戦争責任を問い続け、平和に寄与することを目的』としている。3月11日の東日本大震災・福島原発事故以降、私たちの生活環境はすべて以前のようではありえなくなった。今年の8.15集会は、『敗戦後と震災後』というテーマで、とくに原発事故をめぐる事態を、敗戦前から今日にまでいたる日本の現状と対比して考える機会にしようと考えている(8月15日(月) 午後
1時/飯田橋レインボービル 1階会議室)」と呼びかけた。

 靖国解体企画は、8月15日の「全国戦没者追悼式」と「靖国神社」に対する抗議行動の歴史を報告し、この闘いの意義として「靖国神社では、戦争で殺し殺されて死んでいった人たちを『英霊』としてまつりあげている。だれかに自分の死や他人の死(殺人)を強制されたことが人々に称賛する社会は、人間の生命そのものをないがしろにすることだ。今後も国家や社会による戦死者『追悼』『慰霊』のシステムそのものに強く反対していく」と強調した。

 8・15反「靖国」行動実行委は、反天皇制運動の取組みを通して「ヤスクニ」の統合力を強化するための「天皇賛美日」に対してカウンターアタックを粘り強く展開してきたことを報告。さらに今年の反「靖国」行動に対して在特会が靖国神社前のデモ中止キャンペーンを行っていると批判し、当日は創意工夫に富んだ靖国抗議デモを行っていこうと呼びかけた。

 最後に討論を集約し、8.15反「靖国」行動で再会することを確認した。(Y)

【案内】7.30 反「靖国」行動プレ・討論集会 - それぞれの8.15行動 これまでとこれから

 7.30 反「靖国」行動プレ・討論集会へ

それぞれの8.15行動 これまでとこれから
――国家による「慰霊・追悼」を許すな! 8.15反「靖国」行動プレ・討論集会

日時:7月30日(土) 開場18:00(予定)
会場 ECOとしま(豊島区生活産業プラザ)の多目的ホール
 *各線池袋東口下車 徒歩7分

■DVD上映:「靖国中毒」(予定)
■発言・問題提起(予定):
キャンドル行動実行委員会、8.15 東京集会実行委員会(NCC)、靖国解体企画、アンポをつぶせ!ちょうちんデモの会、8.15反「靖国」行動実行委、ほか

●主催:国家による「慰霊・追悼」を許すな!8.15反「靖国」行動

●連絡先090-3438-0265

●呼びかけ団体(確認中):アジア連帯講座、国連憲法問題研究会、立川自衛隊監視テント村、反天皇制運動連絡会、「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会、靖国・天皇制問題情報センター、連帯社、労働運動活動者評議会

〈よびかけ〉

 8.15がやってくる。例年そうであるように、あたりまえのようにやってくる。首相の靖国参拝や右翼の大暴れ。そのことで強化される警察の弾圧。げんなりするような新たな課題を抱えて8.15は毎年やってきた。今年も、3.11以降の東北の人びとの苦難と、この事態に無策と無責任を露呈する政府・東電・マスコミに歯ぎしりする状況のなかで、当たり前のように8.15はやってくるのだ。この事態に国家は何を考えているのだ!?

 一方で、そのように繰り返しやってくる8.15に対して、問題であると声をあげる少なくない人たちが存在し続けている。「玉音放送」なる、天皇(当時)ヒロヒトの「終戦」メッセージをラジオ放送した日を「終戦記念日」とするこの社会の歴史認識を、この日に多くの「日本人」が繰り出す靖国神社の問題を、天皇参列と「お言葉」を欠かさない国家をあげた「全国戦没者追悼式」の問題を、直感的におかしいと感じとる人びと、長年の行動をとおして確信を持ち、そのおかしさを伝えようとする人びと。これらたくさんの人びとがつくり出してきた8.15行動の歴史があるのだ。

 私たちは今年、そんな人びとのほんの一部であるが、毎年アピールの交換をしたり、なんらかの共闘を模索したり、デモですれ違ってエールを交換した人たちと、それぞれの8.15への問題意識や行動の目的、作り方への模索の過程など、交流できるような討論集会を持ちたいと呼びかけあった。それぞれがあたりまえに行動の歴史を持っているにもかかわらず、8.15という限定された日程のために、交流そのものがなかなか実現してこなかったのは無理もない。だがそれはもったいないことである。

 この困難な時代に、それでも8.15を課題として何らかの行動を考える多くの仲間が寄り合い、問題の所在や行動の今後について意見交換をし、またそれぞれのこれからの8.15行動にフィードバックしていく。そんな集まりを参加者ともども作りだすことは、きっと私たちの力につながる。討論への参加とともに、情報や問題意識を共有するための交流の場としてもたくさんの方の参加を呼びかけたい。8.15を迎え撃つための前段討論集会へ、ぜひ!
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