11月20日に行われたスペイン総選挙で、与党の社会労働党(PSOE)が大敗北を喫し、右派野党の国民党(PP)が8年ぶりに政権の座に復帰した。社会労働党の敗北は、深刻な財政危機と20%を超える失業率をもたらした社会民主主義政党への不信の表現である。

 社会労働党の敗北は確かに右派の復活をもたらしたが、同時に他方では統一左翼(スペイン共産党系)・緑連合の躍進も見られる。またバスクでは民族主義右派を抑えて、民族主義左派連合のAmaiurが第一党になった。

 大都市の広場を占拠する「怒れる者たちの運動」が社会労働党の敗北を促したが、EUを貫く危機の拡大の中で、いまだ反資本主義の政治的オルタナティブが弱体であることもスペインの選挙結果は示している。

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スペイン

右派の勝利、大きな危機が迫っている



ルイス・ラベル



 11月20日に行われたスペインの選挙での社会労働党(PSOE)の予想通りの敗北は、予言されたほど重大なものではなかった。スペインの選挙制度は比例制とはまったく違い、実際をはなはだしくゆがめる歪曲されたイメージを投げかける。獲得議席数からはフランコ独裁時代に起源を持つ保守右派の国民党(PP)の「歴史的勝利」と見ることができる。

 PPは2008年の選挙での153議席から186議席に増加し、圧倒的な絶対多数を確保した。確かに右派は、民衆的諸階層を疑いなく含んだ伝統的支持層を活性化させ、動員した。しかしこれは「押し寄せる波」のようなものではなかった。PPはスペイン全土で得票数を60万票を少し上回る程度しか増加させなかった。

議会多数派の右派への移行は、PSOEの疑いなく壊滅的な敗北によるものである。それは重大な結果をもたらすことになる。議席数ではPSOEの後退は壊滅的である。2008年に獲得した議席は169だったが、2011年には110議席しか取れなかった。この敗北の規模をつかみ取ることは、何よりも得票数を比較することで可能になる。PSOEは前回の総選挙と比べて400万票以上を失ったのである。

 欧州を揺るがす経済危機は、こうして政府をもう一つ追い払ってしまった。確かに今回は社会自由主義の政府だった――サパテロは、守られない約束、欧州連合の金融市場と諸制度の指令への協力に対するツケを払うことになった。500万人の失業、公的救済措置によって支えられる荒廃した不動産市場と銀行を抱えたまま、2010年5月以来採用された緊縮措置(年金凍結、公務員の賃金削減、予算カット、年金の改悪)は、左派支持の有権者の不満をもたらしただけであり、その中で国は不況に沈みこみ、社会情勢は誰の目にも明らかな形で悪化した。

社会労働党(PSOE)の伝統的二大拠点であるアンダルシアとカタルーニャは右に移行した。サパテロの二度の勝利に決定的な役割を果たしたカタルーニャでは、PSOEは右翼民族主義者のCIUに敗北した。CIUは課税問題でのカタルーニャの主権と、移民に反対するポピュリスト的不平を混ぜ合わせて訴える言説によって世論をリードした。この春、CIUはすでに、以前は複数左翼が掌握していた地方政府選で勝利した後、三〇年以上にわたる左派の領地だったバルセロナの市政をPSOEから奪っていた。カタルーニャ州政府は今や公共サービスへの新自由主義的攻撃の最前線に立っている。

統一左翼(IU、スペイン共産党主導の選挙組織。今回は「緑」との統一リストで選挙に臨んだ)は得票数を七〇万票以上増やし、これまでの二議席から一一議席に伸ばす大きな前進を収めた。IUは批判的かつ新自由主義反対の主張で、PSOEへの投票の一部をすくい取った(しかし他の地域、とりわけマドリッドではPSOE支持票は右翼的選択へと流れた)。「怒れる者たちの運動」もまた、PSOEより左の「有効投票」先として現れたIUに有利に作用した。欧州エコロジーの例に示唆を受けたグリーンプロジェクトを出発させる企図は破綻した。

しかし「有効投票」への圧力は、スペインの第四インターナショナル派が他の勢力や活動家とともに支援した「反資本主義」候補がターゲットにしていた層にも感じられていた。銀行、証券取引所、省庁オフィスの象徴的な占拠によって強調され、われわれがバルセロナにおける候補者リストのトップに据えたエステル・ヴィヴァスへの法的措置までもたらした、不服従を呼びかける大胆なキャンペーンは、オルタナティブな綱領の大衆化、はっきりと見て取れる活動家の突破口を可能にした。(「反資本主義」リストは、候補者リストが選挙法の強制する制限条項を乗りこえることができた幾つかの州で、約2万5000の支持を得た)。

反社会的攻撃を倍化させようという右派の意図は勝利した。しかし、ここ数週間にわたってマドリッドでの学校での重要な動員、バルセロナの大学のゼネストが見られる。選挙のレベルではバスク独立派左翼連合のAmaiurはスペイン議会に登場して以来の爆発的躍進を遂げた(6議席を獲得)。その一方、5月15日運動(15―M)は決して終わってはいない。国際的危機の脈絡の中で、激しい社会的・政治的衝突のシナリオが地平線上に姿を現している。戦闘的左翼の新たな編成が以前にもまして課題となっている。

▼ルイス・ラベルはカタルーニャの反資本主義左翼の活動家



(「インターナショナルビューポイント」11年11月号)