▲Antarsyaの選挙宣伝用ビデオ
声明:欧州の労働者の未来はギリシャで決定される
第四インターナショナル執行ビューロー
ギリシャ人民は二年間にわたりトロイカ(IMF、欧州委員会、欧州中央銀行)が押し付けた緊縮政策に反対して闘ってきた。七一日間のゼネスト、大規模なデモと「アガナクテスミニ」(怒れる者たち)の広場占拠、職場占拠の後に、五月六日に行われた選挙はギリシャに押し付けられた「メモランダ」(訳注:トロイカが旧制した「ショック療法」的新自由主義政策)を受け入れた政党を六〇%以上の票で拒絶し、PASOK(全ギリシャ社会主義運動)の反社会的な自由主義の左に位置する各政党に三七%の票を与えた。
二年間にわたり、金融資本の過剰蓄積のはけ口として使われてきた公的債務によって押しつぶされてきたギリシャは、資本主義の危機のツケを民衆に支払わせるための政策的実験室になっていった。ギリシャに強制された救済プランは、たったひとつの目標しか持っていない。ギリシャ国家の銀行に対する債務の支払いを保障すること、銀行が作りだした金融バブルの投機的マネーを保存することである。こうしたプランに伴っている「メモランダ」は、労働者を貧困に追い詰めることで、かれらが生みだした富をどこまで独占できるかをギリシャの中で試すことを狙いとしている。
この政策の影響とは、賃金と年金の残酷なまでの削減、労働法とさまざまな規制の解体、失業率の大幅な上昇(すでにそれはギリシャの労働力人口の二一・二%、女性の約三〇%、若者の五〇%に及んでいる)、一九二九~三〇年と同様の景気後退(二〇一一年にはGDPの六・九%低落、二〇一二年にはさらに五・三%低落の見込み、工業生産は二〇一一年三月に比べて二〇一二年三月には四・三%減少)、保健システムの破壊(一三七の病院が閉鎖、医療における雇用の五分の一が消失、一一億ユーロの不払い手形のため薬剤の不足)、住宅市場の解体(二〇万戸の住宅が売れず、その一方でホームレスの人びとの数が激増)、栄養失調……という形で及んでいる。
専横、秘密、恐怖を政府の真の統治様式とする、民衆に対するこうした残忍な支配の政策は、激情、苦悩、怒りを引き起こさずにはおかなかった。この怒りの一部は、邪悪なレイシスト、反ユダヤ主義、外国人嫌悪の勢力であるネオナチグループ「黄金の夜明け」への水路を開いた。「黄金の夜明け」は、デモ参加者を弾圧し、移民狩りを行う政府の政策の波に乗って、警察に浸透していった。われわれは、政府の弾圧政策とギリシャにおいて「トロイカ」が強制したレイシズムに警告を発し、非難しなければならない。
トロイカが押し付けた政策に対決したギリシャのラディカル左翼、とりわけ今やギリシャ政治情勢の中心的位置を占めているSyriza(急進左派連合)は、五点の緊急プランを打ち出した。
1 国を破壊しているメモランダのあらゆる緊縮措置、労働法改悪の廃止。
2 多額の政府資金を投入された銀行の国有化。
3 債務の支払い停止と、不当な債務への非難と廃止を可能にする監査の実施。
4 告訴された閣僚の不逮捕特権の廃止。
5 ギリシャ住民を犠牲にし、国家を危機に投げ込みながら、PASOK(全ギリシャ社会主義運動)と新民主主義党(ND)に統治することを許容した選挙法の改正。
第四インターナショナルは、すべての国際労働者運動、すべての「怒れる者たち」、左翼の理想を擁護するすべての人びとが、こうした緊急プログラムを支持するよう呼びかける。
われわれは、ギリシャ人民がその投票と動員を通じて、緊縮政策を拒否するすべての社会的・政治的左翼による政府、債務帳消しを可能にする政府を打ち立てることに成功するのを望んでいる。われわれは、緊縮政策に反対するすべての勢力――Syriza(急進左派連合)、Antarsya(第四インター・ギリシャ支部と英SWP系組織の選挙連合)、KKE(ギリシャ共産党)、労働組合その他の社会的運動――が、緊急プランを軸に結集するよう呼びかける。
危機はギリシャの危機ではない。資本の意思とそれに奉仕する諸政府に従属した欧州連合の危機である。それは全世界の資本主義的生産様式の危機である。この国の次の政策を決定するのはトロイカではなく、ギリシャ人民である。六月一七日の選挙の機会にユーロに関する国民投票をギリシャに強制しようというドイツ首相アンゲラ・メルケルの目論見――それはまさしく選挙による一揆的クーデターだ――は、拒否されなければならない。今や闘わなければならない対象はユーロではなく、トロイカの強制指示である。
緊縮政策に反対する闘争は、欧州連合構築の基礎である政策や条約との決裂を、以前にも増して必要とする。緊縮政策との闘いは、民族主義への後退を意味するのではなく、主権的民主主義と、それぞれの民衆の社会的諸権利と、ヨーロッパ社会主義共和国の展望を、以前にも増して意味することになるのだ。
ギリシャは欧州の実験室となった。かれらは、これらの措置を人間を「モルモット」としてテストしようとしており、次にはそれがポルトガル、スペイン、アイルランド、イタリアなどに適用されるだろう。ギリシャ人民は、こうした残虐な政策に反対して職場で、街頭で、そして投票箱を通じて反撃してきた。ギリシャの抵抗はわれわれの抵抗であり、かれらの闘いはわれわれの闘いだ。
民衆的諸階級の死活的利害の防衛は、国民的・欧州的レベルにおける支配階級との衝突を意味することを、この抵抗が示している。われわれは、ギリシャ人民の闘争とラディカル左翼の闘争を支持する統一的なイニシアティブを強めなければならない。しかしギリシャ人民と連帯する最善の形態は、非人間的な緊縮と破壊の政策に対する抵抗の発展と調整によって、すべての国でギリシャの模範にならうことである。危機と恐怖の責任を取らなければならないのは、まさしく資本なのだ。闘いの波及・伝染を!
二〇一二年五月二四日