虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

Global Justice

【かけはし編集部から】欧州「国境を超える連帯」(ESSF)の呼びかけ コロナ危機に直面するアジアの仲間にカンパを!

index(バングラディッシュの貧困地域に届けられたESSFのカンパ物資 2020年5月)





アジアの仲間にカンパを!
「かけはし」編集部
【送り先】◦新時代社 郵便振替 00290=6=64430
(アジアカンパと明記して下さい)


 6月1日付の『かけはし』に掲載されているように、ESSFはコロナ危機の中で奮闘するアジアの仲間たちへのカンパを呼びかけています。私たち『かけはし』編集部は全国の仲間たち、『かけはし』読者のみなさんがこの呼びかけに心から応えて、日本からカンパを送るために協力してくださることを強くお願いしたいと思います。

 呼びかけのなかでは、先住民族に食糧支援とコミュニティによる感染防止・衛生向上への支援を提供しているフィリピンの仲間、生計手段を失った日雇い労働者とその家族に食糧援助を提供しているパキスタンの仲間、失業中の女性労働者と家族に食料を提供しているインドネシアの仲間、貧困層の居住地域で食料を配布して衛生管理を支援しているバングラデシュの仲間たちの活動が紹介されています。

 現在は絶対量として世界的に食糧が不足しているわけではありません。タイ米の国際相場は1トン・600ドル弱で、1キロ・60円ほどです。しかし問題は、貧困層の人々はそれを購入することができないことです。国連の世界食糧計画と児童基金は、学校の休校などによって給食を提供されなくなった3億人を超える子供たちが深刻な影響を受けるだろうと警告しています。また、2年ほど前から東アフリカで発生したバッタによる穀物被害は現在、パキスタンとインドにまで拡大していて、それによってもたらされる深刻な食糧危機は今後、数年間は続くだろうと指摘されています。

 食糧危機ばかりではなく、コロナ危機も社会的な弱者にその影響が最も集中しています。現在米国で爆発し、ヨーロッパを始めとして全世界に拡大しているBLM運動のうねりの根源にあるものは、差別と抑圧そして耐えきれないまでに拡大した経済格差への怒りの爆発です。世界中の人々が、平等で自由で連帯して暮らしていける平和な世の中をつくろうとする挑戦を始めたと言っても過言ではないでしょう。

 そろそろ政府による個人への10万円給付が届くころだと思います。これを何に誰のために使うのか真剣に検討していただきたいのです。コロナ危機による経済的な影響がほとんどなく、比較的生活に余裕のある人は全額を、なんとかやっていける人は半分を、生活が苦しい人もアジアの仲間たちへの連帯の気持ちを込めて一~二万でもカンパしてくださることをお願いします。

 第一次集約を7月末として、私たちが責任をもってESSFに送金します。集約結果は随時『かけはし』紙上で報告します。
 
 6月15日 『かけはし』編集部
 

【第四インターナショナル声明】コロナと闘うキューバへの国際連帯と支援を!

Welcome_Cuban-pros(コロナ治療支援にジャマイカに到着したキューバ140人の医療団)

第四インターナショナル声明

COVID-19との闘い強化へキューバ封鎖を即時解除せよ

2020年4月20日 第四インターナショナル・執行ビューロー

 教育(保育園から大学までの公的かつ無料の)への権利と共に、医療はキューバ革命の偉大な成果の一つだ。それは、諸困難、過ち、またいくつかの後退にもかかわらず、今なお適切さを保っている。キューバの医療制度がもつ強さを知る上では、いくつかの決定的なデータを比較するだけで十分だ。

一人あたりGDPが年に五万八四六九ドルになる国であり、医療への投資がGDPの一四・三二%にあたる米国の中でわれわれは今、医療における実際の崩壊を目撃している。そしてそれを理解するのは難しくはない。つまりそこでは、住民一〇〇〇人あたりで三人の医師しかいないのだ(それは、この社会を特徴づけている残酷な社会的不平等に関し十分な情報を与えるものだ)。

キューバは、一人あたりGDPが僅か年七四七〇ユーロにしかならないが、医療にGDPの一〇・九二%を投資し、住民一〇〇〇人あたり九人の医師を抱え、二〇一九年の公式データによれば、本国における感染症に対処できているだけではなく、海外に支援を与えることもできている。

確固とした公的医療と対外支援


 二〇二〇年四月一九日時点で、キューバでは今回のコロナウィルスによる感染者が一〇三五人、また感染の始まり以後で死者が三四人だった。当局は、感染の広がりについて警告を発し、勝利を誇るような姿勢はとっていない。

 死者数は相当に高まりそうであり、対キューバ封鎖は、それがこの感染症に対応するために必要になる一定の装備と医薬品の輸入を妨げているがゆえに、一つの腹立たしい要素になっている。

 しかしながらはっきりしていることだが、キューバにおける諸資材の割り当ては他の諸国におけるよりもはるかに平等だ。その上にキューバ民衆の国際主義的連帯の伝統が、一〇〇%公的であるシステムのおかげで、特に医療の分野でこれまで示されてきた。

 この間いくつかのEU諸国が、この感染との闘いにおいてキューバの助けに頼ることを迫られた。住民一〇〇〇人あたり約四人の医師を抱え、一人あたりGDPが年二万九六一〇ユーロになるイタリアは、一人あたりGDPが年三万五九七五ユーロになるアンドラ公国(フランスとスペインの間にある:訳者)と共に、このカリブ海の国に助けを求めざるを得なくなった。EUの麻痺状態と彼らを助ける隣国の無能力が理由だ。

 公式データによれば、二〇一九年、海外のキューバ人医療要員は六〇ヵ国で二万八〇〇〇人を超えていた。

 キューバは現在まで、二〇ヵ国の全国的、また地方的な努力に加わるために医療専門家からなる二一の部隊を派遣してきた。この二〇ヵ国はこの間、このコロナウィルスとの闘いのためにキューバの医療支援を求めてきたのだ。これらの二一の部隊は、それらが前からサービスを提供していた六〇ヵ国における医療協力部隊を強化するもの、あるいはそれに追加されたものだ。

感染症対処経験と医薬品開発


 キューバの医療要員は過去五〇年にわたって、アフリカ、米州、中東、さらにアジアの一六四ヵ国で数々の使命を果たしてきた。

 キューバの医療要員は、この島を周期的に揺さぶるデング熱との闘いにおいて、加えてシエラレオネ、ギネア・コナクリ、リベリア(二〇一四―二〇一五年)におけるエボラ感染、ハイチのコレラ感染において、大量の経験を蓄積してきた。それはまた、カリブ海の国に加えてパキスタン(二〇〇五年)やネパール(二〇一五年)での数回の地震で犠牲者を助けるために、また中米とカリブ海での洪水やハリケーンに対して、効果的な役割も果たしてきた。世界保健機構(WHO)は、国際レベルにおけるキューバの医療支援の重要性と質を認めてきた。

 キューバはさらに、いくつかの感染症に対する処置と高度に有効な医薬品生産をも発展させてきた。COVID-19を生み出している新しいコロナウィルスのSARS―CoV―2に対する予防ワクチン、あるいは特定的な処置はまったくないとしても、キューバの製薬工業は、インターフェロン・アルファ2bのような折り紙付きで極めて有効な薬剤の生産を保証している。そこには、今回の疾病と起こる可能性のあるあらゆる合併症に襲われている患者に対する処置の一部である他の薬剤が加わる。

発展途上諸国の重荷を除け


 キューバに敵対して米国が課している禁輸は一つの犯罪行為だ。それが、キューバとさまざまな諸国間の自由な保健協力を妨げることをもくろむものだからだ。そしてそれらの国は、キューバの支援を求めてきたか、このカリブ海の島国との協力を強化することを願っているのだ。

 キューバの当局は四月一六日、外務省声明の中で、正しくも以下のように言明した。すなわち「発展途上諸国が、特に医療の分野で、高度に工業化された諸国民がたいていは利用できている、そうしたテクノロジーの利用を保証されないならば、また彼らが妨害のない無私のやり方で科学の発展とその成果を共有できないならば、世界人口の圧倒的多数は、一層相互に結びつくようになった世界で、今日同様、あるいはもっとひどくさえ危険にさらされるだろう」と。

 同じ声明が次のように述べたことも全く正しい。すなわち「発展途上諸国に敵対する政治的な動機による威圧的な経済方策が解除されなければ、またそれらの国が負担となり返済不可能な対外債務の返済を免除されず、国際金融機構の容赦ない監督から自由にならなければ、われわれは自らを欺いて次のように考えてはならない。つまり、感染症が一つもなくてさえ、子ども、女性、高齢者を含んで毎年何百万人もの人びとを殺している経済的、社会的不均衡に対応する上で、これからわれわれはもっと良好な位置にいることになるだろう、と考えてはならないのだ」との言明だ。

キューバの対外支援を妨害するな

 コロナウィルス危機は、コロナウィルス感染への十分な対応の背骨は公的な医療システム、ということを示すことになった。全体としてのこの四〇年の新自由主義諸政策、および特にこの一〇年の緊縮は、命の重大な喪失に責任を負ってきた。何と言っても、切り詰めがもっとも過酷となったところで、医療システムの崩壊はもっとも劇的になっているのだ。米国では混沌状況は他の諸国よりも大きい。理由は、政府の超反動的な性格だけではなく、何らかの無料で普遍的な公的医療ケアシステムに似たものの不在にもある。

 その上米国は、犯罪的な法の形でキューバの支援を拒絶してきた――それは、数百、あるいは数千の命を犠牲にさせることになろう――だけではなく、キューバからの支援を求めた諸国にそれを断念するよう圧力もかけてきた。ブラジル、エクアドル、ボリビアの反動的諸政権はともかくも彼らで、キューバ人医療派遣団を追放した。

 トランプはこのすべてでも十分ではなかったかのように、今年四月一五日、この国連機関がコロナウィルスとの闘いで一つの重要な役割を果たしている最中に、WHOへの米国の拠出を停止する決定を行った。

 キューバはこのゆえに、予防活動、もっとも傷つきやすい人々の保護、また社会的管理の諸行為の分野で、科学的研究を共有し発展させるために、また様々な国の経験を交換するために、政治的な偏見のない国際的な努力が絶対に必要、と主張している。それは、感染期間と人命の損失率を引き下げることを可能にするだろう。

 したがって第四インターナショナルは、すべての革命的、進歩的、また民主的諸勢力に、キューバに対する封鎖に反対する闘いを強化するよう、そしてキューバ民衆との連帯を強めるよう訴える。われわれは、キューバの医療労働者が与えている国を超えた援助を全面的に支持する。この危機からの出口は唯一、国際連帯および民衆内部の国際主義の発展だ。彼ら自身の民衆の命を軽視し、危機からの出口として民族主義、レイシズム、さらに戦争に力を貸す反動的政権を打倒しよう。

キューバ敵視の封鎖を解除させる闘いを強化しよう!
連帯、自己決定、国際主義を!
われわれの命はやつらの利益よりも価値がある!

(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年四月号)

原文
http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article6539


【コロナ禍に際しての第四インターナショナル声明】いますぐにエコ社会主義への移行を!「もう一つの世界は必要で緊急だ!」

1(画像は業務時の安全確保と有給休暇の権利の確立を求めてストライキを闘うカリフォルニアのファストフード労働者)








いますぐにエコ社会主義への移行を!

第四インターナショナル・執行ビューロー声明 4月16日




1.われわれは危険に満ちた危機、資本主義文明の危機の渦中にある。これは二〇世紀における二回の世界大戦以来もっとも深刻な危機である。われわれは、すべての人々に影響をもたらすコロナウイルスのパンデミックと闘っている。


新型コロナウイルスに対して、(今のところ)ワクチンは存在しないし、効果が立証されかつ安全な抗ウイルス治療法も存在しない。つまり、今日、われわれが頼ることができるのは、ウイルスの影響を軽減するために物理的な距離を保つことだけであり、それによって感染の連鎖を断ち切ることだけである。


われわれが隔離を強いられているときに、唯一われわれを守ってくれるのは公的医療システム、収入と権利の保障、連帯なのである。恐慌になりつつある景気後退のさなかでも、多くの企業家が自らの利益を確保しようとしている。その一方で、各国の支配層は近隣諸国の犠牲の上で自らの利益を確保しようとしている。


しかし、万人の万人に対する闘争のなかで、スケープゴートを探し求めて格差・外国人嫌悪・レイシズムを抱えたままでは、われわれがこれから迎える長期にわたるパンデミックから抜け出す道はない。つまり、全体としての人間社会の利益・権利・連帯を擁護することによってのみ、われわれはこの危機を克服できるのである。


まさに国際主義のとき、社会・人種・ジェンダー・環境的な正義のとき、人間の共通の尊厳を守るときなのだ。


2.新型コロナウイルスは新自由主義によるパンデミックであり、グローバル化された新自由主義段階にある資本主義の産物である。新自由主義的ゴローバリゼーションを原動力とする資本主義は、世界全体へとその裾野を広げてきた。


世界的な生産連鎖は企業が利益を増やすために提供されているが、それによって各国はちょっとした危機に対しても脆弱になっている。企業を持続させている過剰運動性は、医療や生態系のセキュリティ対策を排除してきた。化石燃料の使用や大規模な資本主義農業にもとづく自然との略奪的な関係は、地球システム(炭素、水、窒素)の根本的な循環バランスを破壊するとともに、生物圏やわれわれもその一部でしかない生物網と人間との関係をも破壊する。


それは持続不可能なモデルである。それは、限られた地球上で際限ない成長をめざし、地球の限界を超えてしまっている。そして、共有財の合理的使用とは両立できないエコロジー的疎外や消費の欲求を作り出している。


3.いわゆる「自然」災害が気候危機の結果であるとすれば、新型コロナウイルスや起こりうる変異種も地球の生物圏への攻撃の結果である。森林伐採、環境劣化、野生動物の商業的狩猟や「レクレーションとしての」狩猟は、人間が免疫抗体を持たない新たな病気の条件を絶えず作り出している。食肉産業はきわめて多数の遺伝子型が同一の動物を監禁状態に置くことを必要としている。そのため、食肉消費が加速度的に増加していることは、近年のウイルス大流行のほとんどと不可分に結びついている。


それはまた、世界の多くの部分における森林伐採や遺伝子多様性の喪失の主要な原動力となっている。つまり、農業は居住可能な土地の半分をすでに占有しており、その七七%は、放牧地や動物飼料生産のための耕作地に使われているからである。このパンデミックを生み出す産業を克服するためには、われわれの食料生産システムや食事の重大な転換が必要とされている。


4.全人類がウイルスによって攻撃されている。被搾取階級や被差別セクターが最も影響を受けている。危険な住宅や貧弱な衛生環境のなかで生活している家族、不安定労働者、飢餓賃金しか受け取っていない人々がそうである。医療労働者(医師、看護師)、供給を止めることができないトラック運転手や運送労働者、そして誰もが生活できるように世界の歯車を動かさなければならないすべての人々が被害を受けている。


言い換えると、パンデミックは誰にでも影響を与えるが、社会階級によって影響は同じではないということである。しかし、世代的な影響もある。つまり、すべての階級にわたって高齢者が亡くなっている。人間社会全体を見れば、貧しい高齢者がもっとも多数亡くなっている。


そして、危機は女性に厳しい打撃を与えている。女性は社会的再生産労働のほとんどに責任を持っており、自宅に隔離されると仕事でずっと大きな束縛を受け、もう一つのエピデミックであるドメスティック・バイオレンスの被害を受けている。


5.グローバル・サウス諸国の状況はさらに深刻である。さまざまな条件や環境のもとで、ラテンアメリカ・アフリカ・中東・東アジア・インド亜大陸の国々はパンデミックによって影響を受けてきた。まだ初期段階にあるこれらの諸国において、あらゆることが示しているのは、パンデミックと貧弱な衛生条件、基本的衛生設備の欠如、極端に過密な都市・地域、社会的安全手段を取ろうとしない地方政府や支配階級とが結びついて、このパンデミックでは見られていないが、これから先かなりの割合で真に人道的な破局を引き起こすに違いないということである。


エピデミックが、アルジェリア・エジプト・南アフリカのようなアフリカ諸国やペルー・エクアドル・インド、そしてブラジルの大都市におけるファベーラ(訳注:スラム地区)で拡大している状態を見ると、非白人の人々はより大きな危険に直面していることがわかる。非白人の人々は、何十億もの人々を貧困へと追いやっている資本主義支配の論理にさまざまなやり方で従属している。


いま必要なことは、グローバル・サウスの国々との経済的・社会的・人道的連帯の呼びかけにエネルギーを注ぐことである。そのことが、先住民族、小農民、貧しい労働者、黒人、ダリット、そして現代の新植民地主義的形態のもとで人種差別を受け民族的に排除されたままのすべての人々に対する、レイシストによるジェノサイドの震源地が広がるのを阻止する方法だからである。


6.とりわけ資本主義周縁部やグローバル・サウスの極右政権によって推進されている強権的措置に大きな関心を寄せる必要がある。インド・フィリピン・ペルー・エクアドルの政府によって後押しされている抑圧的・強権的政策は、強権的措置を深化させ、政治体制をさらに閉じたものとするために、新型コロナウイルスのパンデミックがどのように用いられるかという例である。


ドゥテルテは、隔離に従わない者を射殺すると述べているし、エクアドルでも貧しい労働者の住居に警察が侵入してきている。

7.ウイルスは資本主義システム全体の矛盾と害悪を明らかにしている。そして、それらを解決する唯一の方法が、人間と自然とのもう一つの関係を確立するもう一つのシステムにあることを示している。


*新自由主義段階において、資本主義は、それまで労働者の生産強度および二〇世紀を通じて労働者がかち取ってきた社会的権利を保障するために国家が提供していたサービスを放棄した。新自由主義はこうしたサービスを民営化し、国家を人々の人間的なニーズを充足することができないようにした。システム総体とその行動を攻撃することなしに、この危機に対応することは不可能である。


*新自由主義のもとで民営化された医療システムは、基本的にはこうしたサービスを利用できるお金を持つ者にだけ役立つものであり、生命という人間的なニーズを充足することはできない。


*新自由主義は労働関係を混乱させ、それをより不安定にした。したがって、自分の力で働いているフリーランスの人々や被雇用者の収入を保障するためのメカニズムは、収入の再分配システムの発展と並んで、今日の中心的な要求である。


*グローバリゼーションの破壊的な特徴、および企業やその世界的な生産チェーンの人質となっている社会の脆弱さを明らかにすることによって、その危機は国際分業の一般的構造に異議を唱える可能性を再び開くことになる。そうした構造は社会的・エコロジー的に持続不可能だからである。


*新自由主義は消費至上主義を通じて、利己主義的な行動を深化させてきた。しかし、危機のなかで、社会は、生き残るためには社会的連帯が必要だということを再び学びつつある。


*反科学的イデオロギー、反啓蒙主義、宗教原理主義が、ロナルド・レーガン、ブッシュのイデオロギーやいまもトランプ、ドゥテルテ、モディへと続くイデオロギーとともに、支配を正当化し、持続させるために再浮上してきた。しかし、彼らによる否認主義(訳注:幅広く認められている事実や歴史的事象を否定する立場)的行動は科学的仮説とますます明白に衝突し、混乱を深めている。


政府は、時間的尺度や方法はさまざまだが、ときには強権的行動と結びついて、危機を緩和する措置を取らざるをえなくなってきた。しかしながら、指導者のなかには、ブラジルのボルソナロ大統領、トルクメニスタンのベルディムハメドフ大統領、ベラルーシのルカシェンコ大統領のように、抵抗を続け、反啓蒙主義や否認主義を維持している者もいる。


*危機はあらゆるものに疑問を投げかけている。パンデミックを封じ込めるために政府が採用している(しばしば不十分な)緊急措置は、客観的に見て、資本主義社会の現行形態に挑戦するものでなければならない。つまり、生命を助けるために、われわれは資本主義機構総体を攻撃しなければならないのだ。このことが全力で実現されれば、人類と地球を救うことになるだろう。


8.労働者人民はパンデミックという非常事態の前から、精力的にこのシステムに立ち向かっていた。チリ、レバノン、アメリカ合衆国、インド、香港、そしてその他の多くの場所で、大衆は二〇一九年をとおして立ち上がっていた。


女性、青年、環境保護活動家の運動は、強力な戦闘的国際主義を再構築してきた。それは実際のところ、一九六〇〜七〇年代以降では、国際主義のもっとも強力な推進力となっている。それらの運動が直面しているのは、ますます強権的で全体主義的になっている政府である。そうした政府は、伝統的なブルジョア体制の危機の産物であり、さらに破壊的な、生命と自然の略奪者である資本主義を存続させるという必要性の産物でもある。


自らの強さや連帯を信頼するのではなく、反科学を主張する救世主を信頼するように、人々を導こうとしているのはそのような体制なのである。まさにこの瞬間において、これらの体制は全体主義を強化するためにパンデミックを利用することを望んでいる。街頭行動はいま凍結されているが、闘いは街頭においてだけではない。抵抗の新たな形態、人々の意見を得るための新たな手段の利用が連帯という意味において成長している。


9.この状況のなかで、多くの政府は極端な措置を取らざるをえなくなってきた。われわれは新自由主義の形式や内容と資本主義システムを攻撃する措置を防衛しなければならない。


*パンデミックに対応し、健康を守るための公衆衛生政策。


*物理的隔離にかかわらず仕事を保障すること。活動を一時停止した労働者の賃金を企業や国家が一〇〇%の責任を負うこと。休暇を取得する義務やあとで未就労時間を取り戻す義務を課さないこと。それには不安定労働者、臨時労働者、家事労働者、フリーランス労働者、季節労働者が含まれること。


*インフォーマル・セクターの労働者、失業手当の出ない失業者、学生、それを必要とするあらゆる人々のために、国はまともな生活を送るのに十分な、保障された最低限の収入を与えなければならない。


*あらゆる解雇の禁止。パンデミックが始まって以降に解雇された被雇用者の復職。


*ストライキ権を含む社会的権利を一時停止する強権的・例外的措置の拒否。


*情報とコミュニケーションの権利。


*障がい者、高齢者、ロックダウンによって社会的に隔離されたすべての人々に対する適切な社会的介護の提供。


*特に隔離が決定された諸国において、暴力の犠牲者となっている女性と子どもに対する即時緊急の保護措置をとること。暴力的な配偶者を排除する、あるいは犠牲者のための別の住居を提供するという決定を速やかにおこなうこと。


*弱者への援助。


*すべての人々への平等な処遇。


*適切な産業(自動車、航空機、武器など)を社会が医療危機を乗り越えるのに役立つ生産、たとえば換気装置、モニター装置、集中治療室、防護設備などの生産へと即時転換すること。


*薬品、予防用品の無料配布と価格固定。


*必要不可欠な領域での労働条件改善。


*新自由主義によって解体された医療サービスを公益管理のもとで社会化・再構築すること。


*製薬業の国有化。


*国民経済と住居の防衛。


*不当な債務支払い拒否/帳消しという視点から、市民参加による債務監査をおこなうとともに公的債務の支払いをただちに一時停止すること。


*銀行に対する家計債務、マイクロクレジット、家賃を凍結すること。誰もが水・電気・ガス・インターネットを利用できるようにすること。


*銀行システムを公益管理のもとにおくこと。その際、大株主への補償なしに銀行を接収すること。銀行システムを市民管理のもとで社会化すること。


*大資産への課税。


10.われわれは、政府が行動するのを腕組みして待つことはできない。われわれは、農村地帯や都市部において、抵抗の領域から、労働者の自己管理型イニシアティブを発展させるために、協働して行動しなければならない。


こうしたイニシアティブの例は、人々や組織されたセクターから生まれている。たとえば、特に小農民、先住民族、失業者、大都市周縁部に住む人々やそのコミュニティ、フェミニスト連帯ネットワークによる例がある。これらのイニシアティブは、非常に興味深いオルタナティブを作り上げている。


特に、確実に感染を防ぐために人々に提供される布マスクの協同生産、食料の寄付やオルタナティブな生産、公的医療システムの防衛、医療システムに例外なくアクセスするという要求、労働権や賃金支払いの保障を求める要求、女性に対する暴力のエスカレーションが増えていることへの告発、家で隔離されている間に女性によって担われている辛い介護労働への非難がその例である。いまや、いままでよりもさらに、こうしたイニシアティブを一般化しなければならない。


そして、エコ社会主義と「よく生きること」の一部として、自律的自己組織化という日常的なオルタナティブに向かわなければならない。このエコ社会主義と「よく生きること」とは、生命と地球を破壊した、大量虐殺・生態系破壊システムである資本主義に対する具体的なオルタナティブとして、われわれが提案しているものである。


11.必要な物理的隔離とそれに従うための条件を作り出している緊急措置を尊重したうえでも、労働者大衆は行動し闘う手段を持っている。ブラジルでは、「カセロラソ」(訳注:鍋などを叩く抗議行動)やボルソナロ大統領の弾劾を求める一〇〇万以上の署名が、連帯意識へと変化した連帯感情の例である。


その連帯意識は人民によってとられるべき必要な手段を求める闘いへと導く。もし食料が十分でないならば、われわれは、電話やインターネットを使って、近隣地域で自らを組織し、コミュニティ農園の収穫物を利用したり、農民協同組合が生産した食料を意識的に消費したりする。


さらに、大衆食堂を調理食品や食材の分配センターに転換することができる。もし収入を保障する政策が不十分であれば、自治体当局からの給付金を要求することは可能だ。大衆的な創造力をあらゆる形態で喚起すべきである。


12.その深刻さにもかかわらず、新型コロナウイルスのパンデミックは「パーフェクト・ストーム(訳注:複数の災厄が同時に起こる破滅的な事態)」というわけではない。われわれの食料システムや自然との略奪的関係は、最後には新型コロナウイルスよりも伝染力が強く、かつ(あるいは)致死的なウイルスによる感染爆発を引き起こす可能性がある。くわえて、猛烈な感染爆発は気候カオスによって引き起こされる極端な事象と同時並行的に起きるかもしれない。


何千人の、あるいは何百万人の人々が突然に避難せざるをえなくなる深刻な洪水や猛烈なハリケーン/台風がその結果として起これば、深刻なパンデミックと闘うために必要な社会的距離や隔離といった措置をとることが不可能になるだろう。公衆衛生危機と気候危機が結びつけば、人間にとって前例のない大惨事を生み出すかもしれない。同時に、パンデミックと気候/エコロジー緊急事態には類似点がある。


その類似点とは、すぐに行動することが決定的であること、(伝染と排出の両方の)加速度的な増加を厳しく抑え込まなければならないこと、そして公平・公正な反資本主義的解決策だけが、最大多数の生命を救うオルタナティブとしての機能を果たすということである。


13.巨大な地政学的シフトが進行中である。それは世界の様相を再構成するだろう。しかしいま、ある要求が押し付けられている。つまり、世界中での休戦協定という要求である。諸国人民の連帯を強化すべきときなのだ!


14.新型コロナウイルスに起因する危機は、環境に肯定的な影響を与えていると言われてきた。エアロゾルや亜酸化窒素のような短期的な大気汚染物質の濃度減少が、とりわけ大都市圏において観測されている。それによって、大気の質や視界が改善されている。しかし、CO2のような長期的な汚染物質という観点からは、新型コロナウイルス危機は根本的な変化をもたらしてはいない。


国際航空便の半数以上はいま地上にとめおかれており、エネルギー使用の減少は電力や輸送を含めて、世界のCO2排出量を五%減少させたと推定されている。これは世界のCO2年間排出量の減少としては最大のものである。しかし、それは、地球温暖化を産業革命以前の平均気温から一・五℃以下に抑えるために必要とされる年間減少率をまだ下回っている(排出量を二〇三〇年までに半減させるためには、年間排出量を六〜七%削減することが必要とされる)。


しかし、資本主義企業が期待していることは、できるだけ速やかに以前の状況に戻って、経済成長を再開することなのである・・・。さらに、ブラジルのようないくつかの国では、CO2の主要排出源は土地利用の変化にあるが、新型コロナウイルス危機の間に環境監視が中断していることが森林伐採や排出を増加させているという証拠がある。


エネルギー需要を減らし、森林や先住民の土地を守り、排出量を削減するための首尾一貫した組織的な努力だけが、気候緊急事態に対する適切な対応を可能とする。新型コロナウイルス危機が「環境に肯定的な影響」を与えることができるという幻想は、せいぜいのところお人好しであり、最悪の場合は、その幻想が厭世的・優生学的・エコファシスト的状況へのドアを開けるかもしれない。人間社会の根底からの再組織化が必要である。


15.新自由主義の初期において、「もう一つの世界は可能だ」とともに叫んだ野心的な運動や社会セクターがあったのなら、今日われわれは「もう一つの世界は必要で緊急だ!」と言うために団結しなければならない。


共通の国際主義的行動を通じて、生命が利益よりも価値がある世界、自然が商品であることをやめる世界に向かう道筋が示されている。現在の危機が明らかにしているのは、資本主義生産の重要な部分が純粋に略奪的で、全体として不必要でむだの多いものであることだ。


その危機はまた、著しく減少した労働時間でも必要不可欠な物を作り出すことができること、賃金・収入保障や医療システム・教育システムへの例外のないアクセスが過渡期において完全に実現可能であること(その過渡期ではエコ社会主義への移行とともに、エネルギー・システムや生産システムは完全に置き換えられ、膨大な数の労働者がさまざまな経済部門に移行していく)、政治的な意思次第では大規模な産業調整が比較的短期間でおこないうることを示している。


エコ社会主義への移行なしには未来はない。エコ社会主義を打ち立てるために団結しよう。


原文
Fourth International on Covid-19 pandemic

Let’s build the transition to ecosocialism now!


報告 4.10 緊急事態宣言!?カネは公共医療と人々の生活のために使え!日銀前スタンディング 

IMG_3110Friday for Fair Finacial(FFFF)公正な金融のための金曜日@日銀前スタンディング(その3)

 四月一〇日(金)午後七時から・東京・日本銀行本店裏で「緊急事態宣言? カネは公共医療と人々の生活のために使え!日銀前スタンディング」が、att
ac首都圏の呼びかけで、三回目が行われた。真冬のような冷たい強風が吹くなかであったが元気に行動を行った。

 司会の京極さんが「非常事態宣言が出されたが、政府の強権的なやり方ではなく、市民がどのように行動して止めていくのか、みんなで考えて言いたいことを発信しよう」と呼びかけ、「テレワークが推奨され、ZOOM会議システムが使われているがセキュリティの問題があり、監視されているということも指摘されている。私たちは違うシステムで発信していく準備をしている。また、二回目のアクションはインターネットラジオで配信した。今回もそうしたツールを活用したい」と提起した。

 次に参加者から発言が行われた。加藤匡通さん(茨城不安定労働組合)が発言した。

 「非常事態宣言の対象都市に茨城県は入っていないが、知事はつくば市など七つの市に対して同じ扱いをするとし、外出自粛を強く要請し、公共施設を使えないようにし、シネコン・大規模商業施設は閉まっている。メーデー会場は借りれないので、どうするか思案している。つくば市は有料でない所で、一〇人以上人が集まらなければ使うことはできるとしている」。

 「ハウステンボス、ディズニーランドで非正規が雇止めにされている。そして倉庫・工場の派遣労働者の仕事がなくなっている。カネを寄こせ。食料を配給せよ。死なないですむようにしてくれ」。

 フリーライタ—の仲間は「憲法に非常事態権限を入れたいから出したのだろう。PCR検査を行わないから、誰が感染しているか分からない。まず救済を。反貧困ネットなどが四月一六日に各省と交渉する院内集会を開催する」と報告した。

 神奈川県の茅ケ崎で生活困窮者の支援を行っている松本和史さんが「今、話題
になっているのは安倍のマスクと休業補償と自粛要請がセットになっていないこと。布マスクで安倍の評判は落ちた。介護事業者などにマスクが優先的に一人当たり一枚から二枚届いた。毎日洗って使えるというものだが、毎日そんなことはできない。役に立たない。四六六億円もそんなことにカネを使うな。日銀は一日に一〇〇〇億円も株価を上げるために使っている。カネには困っている人のために使え。生活保護の申請が増えているが親族で支える人がいるのではないかなど、生活保護を受けさせないようにする圧力や手続きの煩雑さがある。アメリカのように即現金を支給すべきだ。また、外国人労働者がコロナウイルスを持ち込むなというようなヘイトを受けている。横浜市はカジノ誘致をやめていない。ギャンブル依存症者を生み出すものだ」と報告した。

 京都で大学の非常勤講師をしている堀江さんは「オンライン講義の採用によって、どれくらいの首切りがあることか。自宅でオンライン講義を受けるには、そのためのコンピューターなどの資源を持っていないとできない。学生の一割がスマホしか持っていないという調査結果がある。そして、キャバクラなど性的サービス産業でバイトをする学生もいる。こうした人たちの仕事が奪われている。怒りをもっている。自宅が安全か。自宅で暴力を受ける問題が出ている。いろんなグループが連帯・連携しつつやっていきたい」と発言した。

 小倉利丸さん(批評家)は「外出するなと言われているが、世界的にもどれだけリスクを軽減しているのか。それ以上に犠牲を強いているのではないか。国家や企業が生き延びるためにやっているのではないか。アメリカの黒人・ヒスパニック、貧困者などの感染者率が非常に高いことが分かった。メディアの情報しかない。言論・表現の自由が奪われている。日銀前アクションも多くの人とつながっていきたい。この運動は一から二カ月で終わるものではない。もしかしたら一から二年になるかもしれない」と話した。

 最後に、ATTACKの稲垣豊さんがまとめの発言をした。

 「緊急事態宣言とあわせて発表された事業規模一〇八兆円の経済対策。しかし実際の新規の財政支出は二九・二兆円、しかも減収家庭への給付金は四兆円など市民生活に関係する支出の少なさに比べ、財政投融資を活用した『新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンド』などに九・三兆円、そして金融措置によるメガバンクをはじめとする金融機関による民間資金は四二兆円と最大の金額を誇っている」。

 「この巨額のマネーの出どころは日本銀行。そしてそのマネーは金融システムと大量廃棄の生産システムを温存する大企業へと流れるだけ。膨大なCO2排出をつづけてきた大企業、たとえば航空会社は二兆円の支援要請、トヨタもメガバンクに対して一兆円の融資枠を要請。カネの使い方、完全に間違えてます!」。

 「減収補償やリストラ阻止とともに、いま最も重要なのは、最前線で感染症に取り組む医療従事者や公衆衛生人員の増員などを担保する財政支出です。しかし政府の緊急経済対策ではそのことがほとんど語られておらず、ただ医療従事者らの自己犠牲に感謝するだけです。これでは現場からの悲鳴に応えることはできません」。

 「メガバンクと大資本による大量浪費の生産システムの温存ではなく、自然環境を守り、公共サービスや福祉医療などの必要が満たされた社会システムへの転換こそ、この危機の先に見出すべき出口だ」。

 次回は四月一七日午後七時から、日銀本店裏で、看護労働者や学生から訴えを
予定している。

(M)

【第四インターナショナル・ヨーロッパの声明】新型コロナウイルスのパンデミックに直面して:われわれの生命は奴らの利益よりも価値がある

20200318at29S_o【黄色いベストもストライカーも去り、警官隊に制圧されたパリの街頭】


ヨーロッパにおいて、とりわけ世界で二番目に巨大な経済ブロックであるヨーロ
ッパ連合(EU)において、過去二〇年間以上にわたって続けられてきた公共政策が、新型コロナウイルスのようなパンデミックに対応できたはずの公的医療体系を破壊してきたことが日々証明されている。


三月には、この地域はパンデミッ
クの中心地となった。いまではパンデミックの中心地はアメリカ合衆国へと移っているが、明日にはアフリカやラテンアメリカ、アジアへと移り、貧弱な医療体系しかない国々で何百万人もの人々をますます危険にさらすだろう。



この二〇年間、緊縮予算の原則や自由主義的資本主義の論理に合致させるために、つまりGDPに占める社会保障費の割合を減らすために、病院、医師や看護師、何万もの集中治療室や蘇生病室が削減されてきた。オーストリア、ベルギー、ドイツ、ルクセンブルグは別として、他の諸国では一〇万人につき四〜一一床の集中治療室しかない。ポルトガルやギリシャではもっと少ない。この二カ国では、スペイン、フランス、イギリスと同じように、過去一〇年間に病院の病床を廃止する計画が継続されてきた。こうした政策は近年つねに医療労働者によって非難されていたが、パンデミックに対応するためのリソースの破局的な不足を招いた。


イタリアとフランスでは、すでに集中治療ユニットの最大能力に達したか、あるいはそれを超えてしまっている。他の諸国も今後数週間以内に、同じ状況に直面するだろう。どこでも、政府は、防護用品(マスク、ジェルなど)や必要不可欠な設備(病床や人工呼吸器)の必要な供給、病院スタッフの緊急補充といったこの不足に対処するための対策を講じるのに時間をかけすぎている。ドイツにおいてさえ、何十万もの病床が過去二〇年間で削減され、患者に対する看護師の割合を見れば、少なくとも一一万人の看護師が不足している。


同時に、ヨーロッパの政府や雇用主がとらわれている最大の強迫観念は、不景気に対する不安であり、最大限の生産を維持することだった。人々を守るための緊急措置が課せられたとき、いくつかの政府は矛盾した命令を続けたし、今も続けている。いくつかの国においては、ウイルスの拡散を遅らせ、減少させるために全国民の隔離を決定せざるを得なかったが、それでもなお、自動車生産や建設業、軍事産業、造船所といった部門においてさえ、労働者の健康を危険にさらして最大限の経済活動を維持しようと求め続けた。さらに、必要不可欠な部門(食料生産、配送、道路、公共交通、医療・在宅介護スタッフ)の労働者は十分な個人的防護設備を持っておらず、EUの安全(健康)法のガイドラインさえ幅広く無視されている。


「不要不急な活動」を禁止する法令を出した国もあるが、つねに最大限の経済生産を維持しようという欲望を捨てたわけではない。フランスとイタリアは特定の労働者の解雇を禁止したが、こうした措置は対象範囲が限られている。スペインでは、すでに過去数週間で一五〇万人の解雇者(そのうち五〇万人はカタロニアにおいて)が出ているにもかかわらず、企業閉鎖によって影響を受けた労働者は、企業再開後に、働けなかった時間分を回復しなければならないだろう。


イタリア
では、雇用主の組織である「コンフィンダストリア」は、ほとんどの経済部門でいつも通りのビジネスを続けるよう強い圧力をかけたが、労働者と戦闘的労働組合が政府に操業続行を許可された部門の数を部分的に減らさせた。しかし、今のところ、もっとも打撃を被っている地域においてさえ、地方警察当局へのたった一つの布告によって、多くの工場が活動続行を認められている。労働者の抵抗も続けられている。フランスで生産が停止したのは、しばしば部品不足や当面の販路不足によるものである。プジョー・シトロエンやルノーはいまでも活動を最大限再開しようとしている。フランスの労働大臣自らが建設業や公共労働部門に対
して、活動を再開するように圧力をかけた。


何百万人もの労働者が直接に解雇されたり、無給の部分的失業状態に置かれたりした。不安定で一時的な契約は更新されなかった。被雇用者の資格を有していなかった何百万人ものフリーランスも、気がつくと仕事や収入がなくなっていた。しかし誰にとっても、請求書やローン支払いが届けば支払わなければならないのだ。すべての労働者は自らの立場(賃金労働者、フリーランス、失業、短期雇用、季節雇用など)にかかわらず、収入は一〇〇%保障されなければならない。その国で生活する費用にもとづく最低限の収入が全員に保障されなければならない。


利益や配当金はこの資金調達のために使わなければならない。


不安定な条件の中で生活している労働者、ホームレス、そして女性が真っ先に新型コロナウイルスの拡散とそれによる隔離によって影響を受けることになる。倒れそうな住宅や狭く不健康な住居によって、貧困層にとっての隔離は富裕層にとっての隔離とは違うものになる。イタリアやフランスでは、裕福な人々はより危険の少ない地域で自己隔離するために、もっとも危険にさらされている地域を離れてしまった。

ロシア当局は弾圧的な手段へと転換し、隔離違反には高額の罰金を課すとともにビデオ監視や警察による管理を強化してきた。同時に、ロシア当局は収入や仕事を失った何百万人の中小企業労働者に対するいかなる支援も事実上拒否してきた。しかし、故郷に帰国できないまま、その多くが仕事を失った中央アジア出身の三百万人の移民労働者はもっとも弱い立場に置かれている。感染の拡大は、ロシア政府がこれまで実行してきた新自由主義的で容赦ない病院「最適化」プログラムを主な要因として、多数の被害者をもたらす恐れがある。


同様に、この状況の中で、ドメスティック・バイオレンスとフェミサイドがあらゆるところで増加している。


多くの国の刑務所では、囚人や職員が防護設備もないまま過密状態におかれている。


移民(とりわけギリシャとトルコの間で立ち往生している人々や収容所内にすし詰めにされた人々)は、不安定な健康条件のゆえにさらに大きな危険にさらされている。ほとんどの国において、彼らは国の支援やNGOの支援さえなく、食料支援もなく取り残されてきた。そして、防護手段のないセンターの中にすし詰めにされてきた。ポルトガルは国内にいる難民にたいして一時的に居住許可を出すことを決定した。しかし、これはすでに居住申請が出されたことを当局が確認した人々についてだけのものである。

他の誰にも増して、移民は収入、仕事、住居、食料の面でかつてなかった危機に直面している。国籍があろうとなかろうと、移民や難民も含めて、巨大で多様な不利な立場にいる人々のための「社会支援」部門は破綻している。同時に、移民やもともと移民であった人々は、医療・介護、公共交通、食料生産、配送、清掃といった絶対不可欠(エッセンシャル)な部門の労働現場で多くが働いている。と同時にその多くが女性を中心とした職場でもある。


パンデミックは階級差別を悪化させている。そして民衆諸階級やもっとも不安定な人々はこのパンデミックの間、とりわけ死と向き合っているにもかかわらず、もっとも低い賃金しか支払われていないし、これからも支払われないだろう。同時に、いくつかの政府は、イタリアやフランスに先導されて、好戦的な姿勢や国家主義的な構造に頼ることによって自らの怠慢を覆い隠そうとしてきた。軍隊や国歌を目立たせ、「聖なる連合」を呼びかけてきたが、その一方でこのパンデミックが始まってからほど階級差別が強まったことはかつてなかった。同様に、いくつかの政府は、社会的・民主的権利を制限するためにこの状況を利用しようという誘惑に駆られて、非常事態宣言を出した(イタリア、フランス、ポルトガル、スペイン)。


そのようにして、ドイツでは、新型コロナウイルス危機は、労
働運動がかちとったさまざまな成果(たとえば、バイエルンにおける労働時間法やドイツ全域における介護部門の人員比率法)に異議を唱え、それを撤廃するために利用されている。フランスでは、政府布告によって、企業が労働時間や休日
の権利に関する規定から逸脱することが認められた。スペインやポルトガルでは、規定を逸脱して、医療部門や必要不可欠な生産部門におけるストライキ権を禁止し、雇用主にスト破りを認めた。ハンガリー議会は、すべての民主的規制を無視して、オルバン首相に全権を与えた。


このパンデミックの到来は、多くの科学者や他の者たちにとって驚きでもなんでもない。企業的農業の大規模な成長は、食肉産業や森林伐採、大都市におけるスラムの増大や世界的生産連鎖とともに、新たな未知のウイルスを培養し世界的に拡散するという時限爆弾を生み出した。


ヨーロッパ連合は、この危機に直面して哀れな様相を呈している。現在の状況は、長年にわたる緊縮政策の結果である。たとえば、過去一〇年間に少なくとも六三回にわたって、EUはさまざまな国における公的医療支出の削減を要求してきた。医療での協同のとりくみを準備したり、パンデミックと闘うためのリソースをプールしておいたりするどころか、政府は手始めに「感染国」との国境を閉鎖し、イタリアが求めた支援を拒絶し、混乱したやり方で矛盾した措置をとった。数週間にわたって、イタリアはヨーロッパ諸国からよりも多くの支援を、中国やロシアから、そしてキューバからでさえ受け取った。


マスク、検査キット、集中治療室
の不足が、ほとんどの国において深刻なロックダウンを不可避としたが、今日においてさえヨーロッパレベルでの協力は(感染拡大に)追いついていないままである。最近数週間以内に開かれたヨーロッパ・サミットで関心を集めたのは、株式市場の危機や金融危機から自らを救い出すために、予算規定を一時中断し、ヨーロッパ中央銀行(ECB)が量的緩和をおこなうことだけだった。


その一方で、
この要求に直面して、EUはたとえばイタリアに対する低利の借款を供与しないために、ヨーロッパレベルで直接に保障されたコロナ債を発行することを拒否した。皮肉なことに、唯一の提案はESM(欧州安定メカニズム)を利用することだった。しかし、ESMによる支援は、現在の破局的な状況を生み出した緊縮策を条件としたものなのである。医療、産業資源、予想される医療人員という観点からの協力はまったくなかった。各国はみずからの自衛策を追求している。


緊急措置

ヨーロッパにおける第四インターナショナルの諸組織と活動家は、それぞれの組織とともに以下の緊急措置プログラムを支持する。


-スクリーニング検査キットを大規模に使えるように有効な手段を投入すること。

蘇生病室と人工呼吸器を増やすこと。すべての人々に適切な防護マスクを配布し、生物学的検査を受けさせることが、隔離解禁の条件である。こうした手段を民主的に管理されたもとで生産すること、新型コロナウイルスに対する薬品やワクチンの非商業ベースの研究に直接的な支援をおこなうこと。


-人々の日常生活や医療保護にとって必要不可欠ではないすべての経済活動を停止すること。


-不安定雇用労働者、臨時雇いの労働者、家事労働者、フリーランス労働者、季節労働者を含む、活動を停止した労働者の賃金について、休暇を取ったり、あとで働かなかった時間を回復したりする義務なしに、企業・国が一〇〇%の責任を負うこと。雇用主が賃金を支払うことを拒否した被雇用者の賃金を国が支払う義務をもつこと。インフォーマルな部門で働く労働者、失業手当が支給されない失業者、学生、それを必要とするあらゆる人に対して、国は保障された最低限の収入を支給しなければならない。それはまともな生活を送るのに十分でなければならない。


-あらゆる解雇を禁止すること。パンデミックが始まって以降に解雇された被雇用者を復職させること。


-ストライキ権を含む社会的権利を一時的に停止する強権的・例外的措置を拒否すること。


-活動を続けているすべての被雇用者に対して防護手段(マスク、ジェル、ゴーグル、手袋)を供給すること。安全条件が尊重されないのであれば、彼らの保護と職場から離れる権利の即時行使を認めること。


-テナントからのあらゆる立ち退きを停止すること。家賃、個人ローン、水道料金・エネルギー料金の支払いを猶予すること。倒れそうな住居に住む人々や住居のない人々に対して適切な住居を提供すること。空き家を徴発すること。


-障がいを持つ人々、高齢者、ロックダウンによって社会的に孤立したすべての
人々に対して適切な公的介護を提供すること。


-とりわけ隔離が決定された国々において、暴力の犠牲者となっている女性や子どもに対してただちに緊急保護の手段を確立すること。


-証明書を持たない移民や難民全員にただちに居住許可を与えること。あらゆる社会的保護システムへのアクセスを即時保障すること。すべての追放措置を停止すること。すでにコロナウイルスが移民キャンプに入り込んでいるため、きわめて過密となっている移民・難民キャンプ(とりわけレスボス島のモリア・キャンプ)をただちに閉鎖することは絶対に必要である。それとならんで、基本的で健康的な隔離条件を持っている必要なホテルやアパートの徴発も絶対に必要である。

難民の安全な入国手続きのために、ヨーロッパの各国国境を開放しなければなら
ない。

情勢の求めに応じて、一連の緊急決定においては、民衆諸階級の利益が中心に置かれるべきである。


-民間医療部門全体を統合して、医療部門を公的に再組織すること。近年閉鎖された病室、サービス、病院を再開して、そのサービスを運営するために必要なすべての医療労働者をただちに雇用すること。必要なすべての医療組織をオープンすること。医療労働者の賃金を引き上げること。


-製薬業を公的管理へと移行させること。必要な薬品を特許権とは無関係に生産すること。


-主要なソーシャルメディアを公的所有へと移行させること。フェイスブック、ワッツアップ、アマゾン、ズームはロックダウンから多大な利益を得ており、未来の巨大な利益を生み出すデータを収集しているからである。それらは(すでに利益を集めすぎているのだから、補償なしで)支配権を移され、利益を追求しない透明な公的サービスとして運営されるべきである。


-あらゆる国で葬祭業を公的所有に移行すること。民間企業が死から利益を得て、売り上げを最大化しようとして人々の悲しみを操作することは認められるべきではない。


-持続可能な農業と世界的な食料正義(フード・ジャスティス)を目指すこと。


-適切な産業(自動車、航空機、武器など)を社会が医療危機を乗り越えるのに役立つ生産、たとえば換気装置、モニター装置、集中治療室、防護設備などの生産へと転換すること。労働者は自らの労働現場を調査して、医療当局と協力して転換のための手段を講じることができるだろう。


-主要株主への補償なしで民間銀行を接収すること。市民管理のもとで金融システムを社会化すること。個人口座への銀行からの請求をすべて一時停止すること。


当面のニーズを満たすために勤労諸階級にゼロ金利の融資を提供すること。

-ただちに公的債務の支払いを一時停止すること。それによってパンデミック期間中の人々のニーズを満たすために十分な資金を動員するのを可能にしなければならない。債務支払いの一時停止は、不当な債務を確定させそれを帳消しにするために、市民による監査と結びつけなければならない。

残念ながら、このパンデミックとそれに続いて起こる世界的危機は、グローバリゼーションと気候変動によって繰り返し生み出される危機の始まりなのである。資本主義は、人間社会を不安定化させ破壊する世界、気候災厄や医療惨事のリスクを増大させる世界を作り出した。われわれは、利益、パンデミック、気候変動という古い世界に終止符を打ち、地球の破壊を止めなければならない。


これまで以上に、われわれの生命は奴らの利益よりも価値があるのだ。

二〇二〇年四月八日

オーストリア:ソーシャリスト・オルタナティブ(SOAL)

ベルギー:社会主義労働者党(SAP)-反資本主義左翼

イギリス;ソーシャリスト・レジスタンス

デンマーク;社会主義労働者党(SAP)

フランス:SFQI-フランス・第四インターナショナリスト

ドイツ:国際主義社会主義組織(ISO)

ギリシャ:OKDE-スパルタクス

ギリシャ;TPT(第四インターナショナル綱領的傾向)

アイルランド:ソーシャリスト・デモクラシー

イタリア:コムニア・ネットワーク

イタリア:反資本主義左翼

オランダ:SAP-グレンゼロス

ポーランド:ズビグニエフ・マルチン・コワレフスキー

ポルトガル:SPQI-第四インターナショナル活動家集団

ロシア:ロシア社会主義運動(RSD)

スペイン:アンティキャピタリスタ

スウェーデン:ソーシャリスティスク・ポリティク

スイス:社会主義のための運動(BFS/MPS)

スイス:ソリダリテ(連帯)

トルコ:ソシアリスト・デモクラシ・イジン・イエニヨル(社会主義民主主義への新たな道)

(『インターナショナル・ビューポイント』四月九日)

原文 
Faced with the Covid-19 pandemic, our lives are worth more than their profits

【フランス】国際女性デー 新たな闘いの宣言 暴力への対決で抵抗新たに高揚

1(高揚したパリ3.8国際女性デー闘争2020)







国際女性デー 新たな闘いの宣言

ペネロペ・ドゥガン

暴力への対決で抵抗新たに高揚

 近年における女性運動の新しい高まりは、暴力の問題によって大きく推し進められてきた。二〇一五年のアルゼンチンにおける「ニ・ウナ・メノス」(一人も欠けさせない)の第一宣言以来、挑戦課題は、その経済的、社会的、国家的、家庭内、またジェンダーの諸形態をとった女性に対する暴力に向けたものになった。二〇一六年、ポーランドの女性は中絶の問題で決起し、最初の女性ストライキが起きた。

 これらには、二〇一七年一月のトランプ就任式典に対する諸々のデモ――米国内だけではなく国際的にも――が続いた。二〇一七年の国際婦人デーでの国際的女性ストライキ呼びかけと同年九月の「#me・too」運動の爆発は、この運動の国際的拡大のもう一つの段階を刻みつけた。

 われわれは、気候運動の中に、アルジェリア、スーダン、ブラジル、またチリの民主的抗議行動、同じくロジャヴァ(シリア圏クルディスタン)女性の闘争の中に、決然とした、そして著しい女性の存在を見てきた。われわれはまた、フランスの黄色のベストの中の、あるいは年金「改革」反対の運動の中の女性を忘れてはならない。そして重要なことだが、ラテンアメリカ、スペイン、イタリア、スイス、ベルギーでは諸々の運動が女性ストライキを呼びかける声を上げてきた。

システムにノー 女性ストライキ

 フェミニストストライキの呼びかけは、全体としての、またさまざまな道筋で特に女性に害を及ぼしている、その新自由主義政策に反対する反抗の前線に女性がいる一つの時期と関係している。女性ストライキは、「#me・too」、賃金と所得の不平等や緊縮の効果の姿をとった経済的暴力、国家的抑圧、自身の肉体を支配する女性の権利に対する暴力の形をとった社会的暴力、そして過剰消費により引き起こされたものも含む地球に対する暴力、これらの暴力との間に結びつきを作りつつ、ジェンダー的暴力に異議を突きつけている。それゆえフェミニストストライキの呼びかけは、職場での作業停止という観念の先まで進み、それは、全体としてのシステムに対する拒絶を象徴する行動の一方法となっている。

あらゆる波と同じようにこの波は不均等だ。いくつかの地域では長続きする影響力をまだ獲得するにいたらず、他のところでは下降を経験中だ。しかしアルゼンチン、ブラジル、あるいはチリでの大規模な諸決起、あるいは二〇一八年のスペインで数百万人の女性が決起したストライキ、のような高い段階がこれまでに生まれ、他方遅れて始まった諸国は、ベルギーやスイスを例に、二〇一九年にようやく初めてのストライキを作り上げた。

フェミサイド(女性殺人)の高い発生率で悪名高い国であるメキシコは二〇二〇年、ブルジョア報道の中で注目の焦点になっている。しかし現場のフェミニストはもっと慎重だ。行動の呼びかけには、サパティストが組織し、女性と少女に対する暴力に反対する今年の、特に三月八日の共同行動を呼びかけた、「第二回闘う女性国際集会」が加わった。

その呼びかけは次のように述べている。つまり「日、週、月がいつであれ、世界のどこであれ女性は、いつか攻撃を受け、連れ去られ、殺害されるのでは、とびくびくしていることをわれわれは知っている。われわれはすでに、闘う女性には安心がないと確認した。したがってわれわれは、われわれの声を聞き、読み、あるいは注目しているみなさんに、一つの共同行動を提案したい。それは今年のどんな日でも可能だろう。家父長制はわれわれへの虐待を止めない、ということをわれわれが知っているからだ。しかしわれわれは、世界中の闘う女性のこの共同行動を二〇二〇年三月八日に行うことを提案する」と。

ベルギーの運動は、二〇一九年のブリュッセルにおけるうまくいった最初のイニシアチブを受けて、この国の様々な部分における異なったリズムをも考慮しながら、さまざまな現場でのもっと多くのイベントを今めざしている。

フランスのフェミニストは、特に女性がどれほどひどく失うことになるかを示すために、また決起とフェミニストストライキの行動日として三月八日を押し上げるために、年金改革をめぐる運動の中でずっとキャンペーンを行ってきた。とはいえ主要労組は、年金に関する長期に続いたストライキの後を受けたストライキの呼びかけに腰が引けてきた。交通ストが原因で全国会議が計画できなかった期間が長かったことを条件に、全国レベルの協調は難しかった。とはいえ、重要な決起がさまざまな都市で予想されている。

女性決起の伝播ウィルスしのぐ


コロナウィルスのCovid―19の広がりと政府による諸制約を前にイタリアとスイスでは、メッセージを行き渡らせるためにフラッシュモッブスや他の戦術を利用して、さまざまな運動は分散的な諸行動を組織してきた。たとえばスイスの組織、ソリダリテSは次のように説明している。

つまり「今年二月二八日、連邦会議はコロナウィルスの広がりを抑えるために異例の保健衛生方策を取り、一〇〇〇人以上のあらゆるデモを禁じた。結果として、ストライキの活動家たちはこの大動員日に向けて、計画を再構築することを公表した。ソリダリテSはこの日曜日、さまざまな分散的行動に加わるつもりだ」。

再び南からのイニシアチブ


今日あらゆる者の任務は、時を通じて維持され、政治的、社会的現場で強力な主体となることを国際的に確実にする、一つの組織化され包括的な運動を構築することだ。この方向でのイニシアチブがあらためてラテンアメリカから現れている。一月九日から同一一日の間に、チリの三・八共闘が「闘う者たち」の多国民会議の呼びかけを発した。この会合から現れた呼びかけは次のように強調している。

つまり「下記に署名した諸団体は、労働者階級、先住民、黒人や農民の女性、同じく学生、レスビアン、トランス、また異性服愛好者が三月八日と同九日に発進させられた反乱と行動に向けた多くの呼びかけに加わるために結集した。われわれは、支配、搾取、占領、また強奪に対決して世界中に広がり続けているフェミニストの反乱にエネルギーを注ぎ続けるための、共通の戦略構築を求める」。

多様で包括的な国際的運動追求


その呼びかけは、次のように極右の脅威を照らし出している。「それは、マイノリティが集住しているコミュニティ、女性、レスビアン、トランスジェンダーの人々を敵視する憎悪に油を注いでいる」。そしてその極右に対し女性は、違いと経験の多様性を認める包括的な闘いとして今闘っているのだ。

それはさらに進んで、「中東やクルディスタンの女性がロジャヴァの歴史的な抵抗に続いて今行っているように」、女性の人権と自由に対する系統的な侵犯と軍事化に対して反乱するという女性の権利、また政治的暴力としての性的暴力を糾弾しつつ、暴力に対決して女性の肉体と土地を支配するという女性の権利、を例に挙げ、「人生のあらゆる側面をひっくり返すことになると思われる決起の広大な歩みの高まりを求めて」呼びかけを行っている。

それらはまた、「子どものケアの世界的危機、強奪の直接的形態としての債務の高まりと投獄、臨時職化、命の否認」をも指摘している。それらは、「反乱するよう、もうたくさんと言い、ノーと言うわれわれの力をはっきり声にするよう」叫びを上げ、「われわれがこれまであったこととしての同じダンス――悲惨……の管理に関し真に責任ある者たちを示し、われわれの多くの物語と傷跡を共に織り上げるいわば有罪宣告であるダンス――に調子を合わされた前進の道を示すよう」叫びを上げている。

アルゼンチン、ボリビア、チリ、エクアドル、メキシコ、ウルガイの諸団体、同じくクルディスタン、ブルガリア、フランス、またイタリアの他の人々、および米国の国際的な「女性ストライキ」が署名したこの呼びかけは、一つの重要性を示している。それは、あらゆる多様性の中にある全女性を含む一つの運動の建設に、および資本主義と家父長制のシステムを打倒する闘いの中で、これまで歴史的に女性に対し否認されてきた場を含むところで、全面的に自分の場を占めることに、この新しい運動が与えている重要性だ。

▼筆者は、フランスNPAメンバーであると共に、第四インターナショナル執行ビューローの一員、かつ「インターナショナルビューポイント」の編集者。また特に女性プログラムに責任を負っているアムステルダムのIIREスタッフでもある。

(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年三月号)



報告:8.30アフリカの資源・環境・未来を奪うTICADにNO! TICAD7に反対するアピールとデモ

配信:チカッド 8月30日、横浜でTICADを考える会は、桜木町駅前広場で「アフリカの資源・環境・未来を奪うTICADにNO! TICAD7に反対するアピールとデモ」を行った。

 安倍政権は、グローバル派兵国家建設の一環としてアフリカへの経済侵略と軍事的影響の拡大に向けて横浜の第7回アフリカ開発会議(TICAD/8月28日〜30日)でたち振る舞った。TICADは、国連とともに日本のイニシアチブで積み上げてきた。アフリカ各国(五四カ国)の政権首脳を経済援助と称して買収し、日本資本と共同で権益を広げてきた。

 TICAD7のテーマとして「アフリカの躍進を!ひと、技術、イノベーションで」を掲げたが今回の横浜宣言は、中国によるアフリカへの覇権からの劣勢を意識して対中国シフトに貫かれた内容となっている。その一つが中国の海洋進出に抗して「自由で開かれたインド太平洋」構想を押し出し、日本帝国主義の利益と手前勝手な立場から「海洋安全保障における協力促進と国際法の原則に沿った、ルールに基づく海洋秩序」などと言い出しているにすぎない。

 つまり、中国の軍事力の影響拡大に対して日本は、日米安保のグローバル戦争を前提にした軍事作戦の展開のレベルアップを策動しながら米軍とともにその一端を担っていくことを目的にしており、それを中東・アフリカへと広げていくのが本音だ。軍事的緊張と挑発を射程に入れた帝国主義的野望を許してはならない。

 さらに宣言は、経済的分野についても中国による借金漬けを前提とした過剰融資の手法を批判する。だが、政策目標として「経済構造転換の促進と改善が必要」「質の高いインフラは、持続可能な経済、社会、開発効果の最大化に寄与する」「アフリカ開発における民間の役割を認識」と強調し、欧米帝国主義の経済侵略政策に連動しながら諸分野に渡って収奪と搾取を行っていくことを宣言した。

 安倍首相は、わざわざ「この三年間で日本からアフリカへの民間投資が約二兆一千億円に達した」と自慢し、「この勢いが日々新たに塗り替えられるよう、全力を尽くす、日本企業のアフリカへの投資を助けるため、あらん限りの策を講じる」と居直った。

 横浜宣言は、アフリカに対する人権・環境破壊を加速化させることは明白だ。アフリカ民衆とともに連帯運動を強化し、中国も含めた帝国主義諸国の野望を打ち砕いていこう。

 アピール行動は司会の中森圭子さんのあいさつから始まり、「私たちはTICADに反対する声をあげていこうということで集まりました。TICADは、アフリカの人々のためになるからやると言ってますが、本当にそうでしょうか。アフリカでは戦争が続き、民族同士の争いが絶えません。先進国が資源をどのように使うかという目的のために襲いかかるようにねらっている。アフリカ民衆の生存を脅かすような日本政府の政策に対して反対していくことだ」と訴えた。

 リレートークに入り、TICAD7に反対するアピールが行われた。

 大友深雪さんは、アパルトヘイト時代から南アフリカの教育支援に関わってきた観点から「どんな地域でさえ武器、原発、軍隊、有害物質の所有・持込みを許さず、水・種子の民営化を阻止。住民の立ち退き、土地破壊をまねく大規模開発と農業ビジネス、巨大プロジェクトへの投資をやめさせよう。債務は取り消し、不当蓄財解体、汚職根絶だ。住民による資源の再配分、協働の助け合いが必要だ」と強調した。

 さらに会の小倉利丸さん、茨城国体を問う「戦時下の現在を考える講座」、信仰とセクシュアリティを考えるキリスト者の会、木元茂夫さん(すべての基地にNO!をファイト神奈川)、宮崎俊郎さん(「2020オリンピック災害」おことわり連絡会) が発言。

 アピール終了後、桜木町駅前から横浜赤レンガ倉庫に向けてデモに移った。「TICAD7反対!アフリカ民衆の人権破壊を許さない!」とシュプレヒコールを響かせた。

(Y) 

報告:アフリカでの資源収奪と私たちの『豊かさ』―ルワンダとコンゴ民主共和 国を中心に―

 8月25日、アフリカから学び考える横浜の会は、かながわ県民センターで村田はるせさん(アフリカ文学研究)を招き、「アフリカでの資源収奪と私たちの『豊かさ』―ルワンダとコンゴ民主共和国を中心に―」をテーマに「おはなし」が行われた。

 8月28日~30日、横浜で第七回アフリカ開発会議(TICAD)が行われる。この国際会議は、一九九三年以降、日本政府がアフリカへの経済侵略を強化していくために主導し、国連、国連開発計画、アフリカ連合委員会、世界銀行と共同で開催してきた。安倍政権は、この会議に対して「横浜宣言」において「民間企業の発展、デジタル変革、若者・女性の起業」を掲げ、「投資環境整備」「最後の市場アフリカ」として日本資本の侵略を促進させていくステップとして位置づけている。

 その本音を隠すこともなく「TICAD7の主要テーマの一つは、投資の促進とビジネスの活性化です」と強調するほどだ。例えば、国際協力銀行は再生エネルギーや廃棄物処理の普及促進として4000億円融資するが、当然、日本資本の利権を前提にして計画している。国際協力機構もアフリカ開発銀行と共同でインフラ開発に3000億円超の円借款融資によって借金漬けを通した権益を広げていくねらいだ。

 軍事的にも、モザンビークPKO派兵(1993年)を皮切りに自衛隊医療部隊、空輸部隊を派兵してきた。11年7月にはジブチ共和国の国際空港内に海賊対策などと称して自衛隊基地を設置し、ここを拠点に軍事展開をしている。

 憲法九条改悪を先取りした派兵強行を既成事実の積み上げによって強行突破してきた。とりわけ中国による「一帯一路」構想と連動させたアフリカに対する大型インフラ投資と借金漬けによる権益拡大、軍事的影響力の拡大に対して横浜宣言で「ルールに基づく自由で開かれた海洋秩序」を明記し、対中国シフトの一環として構築していくことをねらっている。

 このようなTICADに対して横浜の会は、「サハラ以南アフリカの多くの国は、独立したあとも独裁的な統治や、資源収奪をねらう先進国の政治的・経済的介入に苦しめられてきました。日本から遠くはなれたアフリカでの紛争は、わたしたちの豊かな生活と無縁ではなく、むしろ深くかかわっています」という立場と視点からアフリカが抱える課題を探った。

 村田さんは、最初に「コンゴ東部での資源収奪」についてクローズアップし、歴史経過を踏まえ「1998年からの10年間、暴力、病気、飢えなどによるコンゴ東部の死者数は540万人にのぼっている。人権侵害の多くは、資源の採掘現場で起きている。コンゴ軍や武装勢力が資源の搾取のために一般市民を奴隷労働者扱いしている。資源を売った資金で武器を買い、兵力が増すことによって資源地域への支配をますます強化している」と述べた。

 次に「ルワンダのジェノサイド」を取り上げ、①前史―ベルギーの植民地支配、ツチ族優遇政策②内戦(1990年~)③ジェノサイド(1994年4月~7月)などについて整理し、武装勢力の支配と住民抑圧がつづいていることを批判した。

 そのうえで「紛争を終らせるためには、ガバナンス改善、治安改革、法の統治
の浸透が必要だ。コンゴ人による取り組みを支援するべきだ。それはコンゴの市民社会による活動、議会による規制の取り組みだ」などを強調した。また、「紛争資源問題や性的暴行ばかりを取り上げる過度に単純化された『語り』が、意図せざる問題を引き起こしたり、他の重要な問題を覆い隠したりしている」という研究者たちの指摘を紹介した。

 村田さんは、「外から見れば『民族対立』に見えるが、本質的には権力者間の
争いであり、利益を守るために民衆をだまし、対立を煽る操作などを繰り返してきたのが実態だ。だがルワンダ民衆は、権力者たちの正体を見抜き、新たなステップに向かおうとしている。私たちはアフリカ民衆の訴えを誠実に聞き、生活や生き様などに対して具体的に寄り添う姿勢が重要だ」と訴えた。

 木元茂夫さん(「自衛隊は何をしているのか」編集委員会)は、「アフリカ大陸と自衛隊 海賊対処部隊派遣の10年」について報告した。

 最後に、主催者から8月30日の「TICAD7に反対するアピールデモ」(午後6時半、横浜・桜木町駅前広場)への参加を呼びかけられた。

(Y)

報告:6.28 G20大阪NO!集会とデモ

_20190703_2046496月28日、29日の両日、インテックス大阪で主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開催された。

 全国から三万人の警官を動員し、市内のいたるところに警察車両が配置され高速道路は閉鎖、駅のごみ箱もすべて封鎖または撤去という異様な雰囲気と、「大阪で世界最大の政治イベントが開催され、日本政府がリーダーシップを発揮する」という執拗な宣伝の中である種の「高揚感」さえ煽られている状況の中、同二八日にサミット会場の対岸に近い天保山公園で午後一時から「G20大阪NO!」デモの前段集会が開催された。海外からの参加者や全国各地からの参加者を含む約200人(主催者発表)が参加した。

 司会の「梅田解放区」の園良太さんの開会宣言と、歌とコールの練習に続いて、実行委員会呼びかけ人の一人である斎藤日出治さん(大阪産業大元教授)の基調的な発言。斎藤さんは「世界の貿易・投資・GDPのいずれも80%以上を占めるG20の経済成長は、私たちの生活とはまったく無縁だ。すべてはグローバル資本の利益のためだ。今やグローバルなリスクが拡大し、地球温暖化をはじめとした矛盾になんら対応できてはいない。私たちは国家のあり方を変える必要がある。グローバル資本の競争力を高めるための政策が、リスクを引き起こしており、G20の首脳会議はこうした問題に何ら対応できない。私たちの暮らしのために世界を変えよう」と訴えた。

 齋藤さんはさらに「ファシズムと二つの世界大戦は資本主義の行き詰まりを示すものだった。資本主義は歴史的使命を失ってしまった。私たちこそが世界を変えよう」とアピールし、大きな拍手を受けた。

 次に、韓国から参加を予定していたアジア共同行動の活動家と「平和オモニの会」のメンバー7人が空港で入国を拒否され、参加できなかったことが報告され、メッセージと実行委員会の抗議声明が読み上げられた。

 海外からの参加者のアピールは、同25・26日に大阪市内で開催されたG20市民
サミットと開催期間中の会場内での提言活動のために来日したインドネシア環境フォーラムのサウンさん。「気候変動対策への支援がきちんと行われていない。日本政府はインドネシアで石炭火力発電所を建設しようとしているが、それは気候危機を引き起こす可能性がある。地元では漁民が生計の手段を失い、農民の土地が奪われようとしている。工事の現場では三五人もの子供たちが死ぬ大事故も発生した。私たちはG20が石炭産業への融資をやめるよう申し入れたい」と語った。

 連帯挨拶としてFoE(地球の友)Japanの深草亜悠美さんが、インドネシアでの石炭火力発電の持つ危険性を指摘し「気候変動への責任のない人たちが大きな被害を被っている。クライメート・ジャスティスは人権を重視したつながりだ」と呼びかけた。深草さんたちは27日にも神戸や大阪で人目を引くアクションを起こし、世界で広がっている若者たちの気候アクションに呼応した日本での動きを印象付けた。
 
 全日建連帯労組からは「不当な弾圧で権利を制限し、身動きできなくさせる弾圧が続いている。この間も新たな弾圧があり、子どもの保育園のために就労証明を雇い主に求めたことが強要にあたるという無茶苦茶な罪状で仲間が逮捕されている。連帯労組にかけられている弾圧をはね返し、無罪を勝ち取る」という力強いアピールがあった。

 米軍Xバンドレーダー基地反対京都連絡会からは「トランプが使う自動車を積んだ乗用車を積んだ軍用機が着いた」という情報が紹介された。

 最後のリレートークで、実行委員会参加団体や飛び入りの参加者の3分間アピー
ル。

香港からG20への支援要請活動のために来日した若者たちの一団がリレートークの最後に登壇し、習近平への抗議をこめ「反送中」(中国政府に身柄を引き渡すな)のプラカードを掲げて闘いの決意を表明した。

三時からのデモは天保山公園からサミット会場の対岸の中央突堤へ向かって進み、元気なシュプレヒコールとドラムで注目を浴びた。終了後、中央突堤でサミット会場を睨みながら抗議の声を上げた。香港からの参加者の一人が海に飛び込むパフォーマンスで香港の闘いへの注目を訴えた。

          (K)

報告:5.17 多国籍資本のための世界なんてゴメンだ

配信:G20

つくば市のデジタル経済・貿易閣僚会合に反対
暴きだそう!この問題点を


 五月一七日夜、文京シビックホールで、「G20サミットを持続させるな!」と銘打った学習会が行われた。六月二八、二九日の日程の下大阪で開催が予定されているG20サミット(金融・世界経済に関する首脳会合)に対し、世界の多数の民衆と連帯して抗議の声を上げるために、この会合のもつ極度の反民衆性をあらためて共有しようと企画された。

 この場の焦点は特に、自由貿易とデジタル経済の諸問題。今回のG20の一部として関東では、六月八日つくば市でデジタル経済・貿易に関する閣僚会合が予定され、関東のG20抗議としてはそれに対する抗議行動が中心になるからだ。主催は、戦時下の現在を考える講座、ATTAC首都圏、盗聴法に反対する市民連絡会の三団体。

G20に反対する五つの理由とは

 学習会は、盗聴法に反対する市民連絡会の小倉利丸さんからG20に反対する総括的な観点の提起、藤田康元さん(戦時下の現在を考える講座、つくば市を中心に活動)、内田聖子さん(PARC)、稲垣豊さん(ATTAC首都圏)による、自由貿易とデジタル経済に関し今回のサミットで議論されようとしている方向性に対する批判的論点提起、それを受けての会場を交えた意見交換、という形で進められた。
 
 小倉さんは、五つの理由に整理する形でG20に反対する観点を提起した。その五つとは、密室談合のトップダウンという民主主義とは相いれない性格、集まる二〇の国家・機関に極右、原理主義、権威主義の影響が深く浸透している現状、たとえば今回の会合では大阪の警備に一二〇億円が投入されることに示されるような、いわば非常事態の常態化と言うべき強権化の進行、知識・情報の商品化と国家・資本による独占・囲い込み・管理に向けた方向設定、そして格差拡大やCO2急増を加速する新自由主義の枠組み。

 そしてこの最後の点については、格差とCO2に関する資本主義の二〇〇年を通じた増大を示す図表を示して、単に新自由主義だけではなく資本主義の時代を通じて一貫して格差の拡大とCO2の増大があったことを確認しつつ、今や資本主義そのものが大問題になっていると指摘、その上で、何かを決められなくても、決めても、G20を持続させてはならないと強調した。

様々な角度から批判点を明確に

 藤田さんは、技術論研究者の立場から、デジタル技術に対する批判的視点として、権力者が浸透させようとし、また社会一般にも素朴に流布している技術決定論的思考への対抗の必要を主張した。つまり、社会的問題を技術それ自体が自動的に解決することはないといういわば当たり前のことだが、それがことデジタル技術となると見過ごされる傾向が見られることの指摘だ。その上で特に、安倍政権が「ソサエティ五・〇」などと段階的歴史発展イメージを操ってデジタル経済の可能性を持ち上げていることに注意を喚起し、それへの意識的な批判が必要だと力説した。
 
 内田さんは、WTOの機能不全をメガFTA(多国間自由貿易協定)で突破しようとする自由貿易追求も実は難航している、とまず指摘。そこで取り上げられている「保護主義対自由貿易」という対立構図が偽りのつくられた対立であり、「強い者がつくるルール」をめぐる争いという本質を隠している、本当の対立は「新自由主義的な市場原理主義対人々と地球環境のための持続可能性」だ、自由貿易が実際には格差と貧困を深刻化している現状を見据えた民主主義によるコントロールが切実に必要だと訴えた。

 さらに電子商取引に関しても、個人情報を含む情報全般の国境を越える移動の自由が追求されていることの問題、この部門の投資に制限がない問題、投資家保護に潜む問題、などを放置したまま有志国だけで議論が進められている現状の危険性を指摘した。また内田さんも、安倍首相がG20議長国を意識し今年一月のダボス会議で、デジタル経済で社会問題に取り組む展望として「ソサエティ五・〇」(安倍首相によれば超スマート社会)を打ち出したことに触れ、そこには社会問題の解決につながる具体的な内容に触れるものがまったくないことを明らかにした。
 
 稲垣さんは、今注目の焦点になっている米中貿易紛争を、まず資本主義の覇権をめぐる対立であると指摘した。その上で自由貿易をめぐる対立の根底には世界的な階級闘争が潜んでいるとして、その重要な構成要素として、中国の強搾取と必然的な労働者の抵抗の発展を取り上げ、中国の社会階級構成の歴史的な変容と、いわゆる農民工の闘争に発展した労働者の抵抗の現状を概説した。

 さらにこの抵抗の発展も背景に、中国ではIT技術をデジタル監視と民衆管理に応用する技術開発が急速に進んでいる現状が、BBCが制作した映像も交えて明らかにされた。まさにデジタル経済と持ち上げられるものの闇の部分が現実になっている。しかし一方でウェブサイト上に、IT部門の労働者による労働条件の内部告発があふれ出るなど、民衆統制に次々に穴が開いている現状も、いわばデジタル経済が抱え込む一つの矛盾として指摘された。

勝手に決めるなと声を上げよう!

 これらの提起を受けて行われた会場を交えた討論では、デジタル経済がSDGs(国連が設定した持続可能な開発目標)達成に資するかのように持ち上げられている問題、デジタル技術を通じた思考の枠付け、AIと失業の関係などで意見が交わされた。そして第一の論点では、問題が結局のところ成長に預けられていること、およびエンパワーメントでの解決以上の踏み込みがないこと、が確認され、そこでの打ち出しも事実上リップサービスでしかなく、貧困と格差の問題にはまったく届いていないことがあらためて明確にされた。

 第二の論点では、IT技術に本質的に内在する問題だが、情報のコントロールという点で、現代では特に民衆による監視と統制をメディア全体の動向にも広げる必要が指摘された。第三の論点では、かつての機械打ち壊し運動の経験なども考え合わせ、資本との力関係の決定的重要性に焦点を合わせて検討を今後さらに深める必要が確認された。

 問題の深刻さに比して時間が足りないことは明らかであり、討論の不十分さは歴然としていた。しかしこれら全体を通して、G20が人々の暮らしと地球環境の持続可能性に敵対していること、したがって「勝手に決めるな」と声を上げて闘う重要性、があらためて明快にされた。その上で、世界の民衆と意識的につながる抵抗をどのように日本で広げてゆくかが課題になる。

 その課題を念頭に、この日の学習会は最後に、つくば市から参加した戦時下の現在を考える講座の仲間から、六月八日に行われるデジタル経済・貿易閣僚会合抗議行動への結集アピールを受け、そこへの結集を確認して終了した。 

(D)

TPP協定批准・関連法案12.9採決糾弾

IMG_1655TPP協定批准・関連法案採決糾弾
多国籍企業の利益のための協定
命と暮らしを守る闘いを今後も


 一二月九日午後二時一二分、自民・公明・維新などによって、TPP協定批准の参院本会議での採決が行われ成立した。そして、続いて関連法も採決成立した。TPPは多国籍企業の利益のための貿易協定で、命と暮らしが脅かされる。しかし、アメリカのトランプ次期大統領がTPP協定を批准しないことを明言しているので、TPPは発効しない。

 当時の菅民主党政権がTPPに参加すると発表した二〇一〇年から反対運動を続けてきた「TPPを批准させない!全国共同行動」は午前一〇時から、参議院議員会館前で、成立阻止へのアピール行動を行った。和歌山の農協労連。「農協がつぶされ、農地が企業に奪われるとTPPを批判してきたが農業だけの問題ではなく、この国の仕組みを変えていくのに重点があった。運動を広げ、あきらめないで地域で助けあっていく」。

 北海道食の連絡会。「北海道で公聴会があった。与党が推薦した証人は食の安全や医療問題には一切触れず、だれもTPP賛成とは言わなかった。これからも暮らしを守るためにがんばる」。 

 内田聖子さん(アジア太平洋資料センター事務局長)は「まだ批准していないのに、一兆円以上の予算を使っている。こんな国は他にない。例えば、農業対策費とか中小企業が海外に出ていくようにとセミナーや相談窓口をつくった。しかし、トランプの勝利が明らかになり、最近では誰もセミナーに行っていない。誰のためにも何の役にもたたない。税金がどぶに捨てられている」とTPP推進を批判した。篠原孝さん(民進党、衆院議員)が衆院での与党の中身を明らかにしない審議姿勢を批判した。

 採決に向けた討論が始まったと報告されると、コールを行う。「廃案めざして、野党はガンバレ、ガンバレ。農業つぶすな、廃案めざせ。子どもを守れ、雇用を守れ」。

 和田聖仁さん(TPPに反対する弁護士ネット事務局長)は「私はカジノ法問題の担当もしている。安倍首相の答弁は目茶苦茶でウソだらけだ」と批判した。

 「トランプが撤退を言い、クリントンが反対していた。これは米国世論が圧倒的に反対していたからだ。世界的にもグローバリゼーションに反対する運動が盛り上がっている。こうした流れが事態を動かしたのだ。日本の国会で批准してもTPPは発効しない。これからは二国間協議が行われるだろう。その時アメリカ第一主義でアメリカの要求を通すように圧力をかけてくるだろう。安倍政権がこれに応えないようにさせよう。EUはTPP水準が必要と言っている。今後も運動は続く」と、事務局から発言があった。連続運動の中心を担っている山田正彦さん(元農水相、弁護士)は「これからも運動を」と語った。

 投票が始まった。山本太郎さん(自由党)と森ゆう子さんが投票に対して牛歩を始めたと報告があり、「牛歩だ、牛歩だ、山本太郎、森ゆう子、いけいけ山本太郎、採決やめろ」のコールで応援する。結局、議長が二分以内での投票を示し、採決・可決された。

 採決・可決を糾弾するコールが国会にぶつけられた。この後、本会議を終えた共産党の議員団が続々と駆けつけ、抗議集会を行った。紙智子さん(共産党、参議院議員)は「本会議で採決を強行した。満身の怒りを込めて抗議する。三〇日ルールを押しつけ成立を図った。私たちはいろんな分野で質問してきた。TPPは発効しない。闘いはこれからだ」と訴えた。共産党議員団の発言の後、徳永エリさん(民進党、北海道選出参院議員)は「農業がつぶされ、地域が壊されるTPPは許さない。これからTPP水準で自由貿易協定が進められる。これを許さ
ない闘いを」と力強く抗議した。

 醍醐聡さん(TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会よびかけ人)、農民連青年部が採決を批判した。最後に、事務局より「二〇一〇年からTPP反対運動を始めた。この運動で育てたことを大事にしよう。協同の力、連帯の力で政治を変えていこう」と締めくくった。

(M)

TPP協定批准・関連法案強行に、 断固として抗議する
2016年12月9日
TPPを批准させない!全国共同行動


 政府与党は、12月9日、圧倒的多数が今国会での批准に反対している世論を無視して、ルール破りの異常な国会運営を繰り返し、TPP(環太平洋連携協定)の批准と関連法案の成立を強行した。断固抗議するものである。

 そもそもTPP協定の内容は、国会決議にも自民党の公約にも反するものであり、国会審議でも政府はまともな情報を開示しないまま、提起されたさまざまな疑問や参考人などの指摘に対しても、根拠も示さず「その懸念はあたらない」を繰り返すだけであった。私たち参加各国の人々の、いのちや暮らし、地域、人権や主権さえも脅かすという、TPPへの懸念は、払拭されるどころか、ますます強まった。

 しかも、次期アメリカ大統領に決まったトランプ氏が、「TPPからの離脱」を宣言し、もはやTPPが発効する見通しが無い中での暴挙である。ニュージーランドを除く参加各国が、承認作業を止めているなかでの国会承認は、無駄だという以上に危険である。二国間協議を主張するトランプ氏に、TPP水準を最低ラインとした協議に応じることを、国会がお墨付きを与えたに等しい。

 私たち「TPPを批准させない!全国共同行動」は、この臨時国会を前に、多様な国民階層を代表する20名のよびかけ人と、これに賛同する270団体及び多数の市民を結集して、「今国会でTPPを批准させない!」を合い言葉に、多様な行動を展開してきた。10月15日には、各地で取り組まれた集会、学習、宣伝行動を土台に、2010年にTPP反対運動が始まって以来最大規模で中央行動を成功させ、緊急に提起した請願署名も70万余に達している。この動きに励まされ、国会最終盤にも全国各地で行動が展開されている。臨時国会開会以来毎週水曜日に国会議員との情報交換を行い連携を強めるとともに、衆参審議最終盤には、連日座り込み行動も展開し、多くの市民も参加した。

 私たちは、今回の暴挙に抗議し、ここまで育んできた共同の広がりを力に、今後始まるであろう日米二国間協議など、多国籍大企業の利益のためにいのちや暮らし、地域を差し出すあらゆる企てにストップをかけるため、奮闘するものである。

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報告:アジア連帯講座/講座報告「「ロシア革命― 革命的民主主義とプロレタリア権力」 講師:酒井与七さん(JRCL)

酒井講座 11月5日、アジア連帯講座は、文京区立アカデミー湯島で「ロシア革命― 革命的民主主義とプロレタリア権力」というテーマの講座を酒井与七さん(JRCL)を講師に招いて行った。

 来年はロシア革命100周年。資本主義の死の苦悶が続く現代において、その意義と継承すべき成果を探求していく契機の第一歩として講座を設定した。

 酒井さんは、その切り口としてトロツキーの永久革命論の成立プロセス、強調していたアプローチなどを①「マルクスとエンゲルスのヨーロッパ永久革命」②「トロツキーのプロレタリア永久革」③「1905年の第一次ロシア革命とトロツキーのロシア永久革命論の成立」④「1905年革命における革命的民主主義ブロック」⑤「トロツキー『総括と展望』と帝国主義時代におけるプロレタリア永久革命論」と整理し、各論分析、掘り下げた(講演要旨別掲)。

 講座の後半は、DVD「トロツキー伝」が上映された。
 「TROTSKY━革命の盛衰━(KULTUR社、米国)」は、以下のような内容で構成されている。

「①紹介/トロツキーの孫 エステバン・ボルコフがトロツキーの生活・襲撃時などを語る、メキシコの邸宅、撲殺後のベッドのトロツキー

 ②10月革命/武装蜂起、軍事革命委員会のトロツキー、レーニンとトロツキー

 ③トロツキーの生い立ち /1879.10.26 ヘルソン県イワノフカ村で生まれる

 ④トロツキー・ペトログラードソヴィエト議長/就任アジ演説など

 ⑤ウィーンにてスターリンとはじめての会議

 ⑥ロシア内戦

 ⑦第三インターナショナル

 ⑧クロンシュタット叛乱/鎮圧後のクロンシュタット

 ⑨勝利への試練 レーニン

 ⑩ソ連からの追放/アルマ・アタ到着1928.1.25

 ⑪わが生涯/トロツキーの演説 ほんもの声

 ⑫ヒトラーとスターリン

 ⑬メキシコシティー/リベラ、フリーダカーロなど登場、トロツキーのラジオ演
説の声とシーン

 ⑭暗殺/葬式

 ⑮メキシコ・トロツキー記念館」。
 

酒井与七さんの講演(要旨)

トロツキーの永久革命論 ― 革命的民主主義とプロレタリア権力


 1、マルクスとエンゲルスのヨーロッパ永久革命

 19世紀ヨーロッパ世界において民主主義革命を完遂することによって階級的な労働者革命にむけて急進することができるというマルクスとエンゲルスの近代的共産主義の立場は、さらに1848年 革命敗北の教訓として、労働者階級の運動が全政治革命において勝利的に前進することなしには全 ヨーロッパの民主主義革命も完遂されえないという結論にまで発展させられた。(『第二インターの革命論争』解説(1975年、 紀伊國屋書店、1~3頁) )

 トロツキーはこのような立場と方法を20世紀のヨーロッパとロシアにおいてつきすすめ、ロシア永久革命論という独自の綱領的立場に到達したのである。

 2、トロツキーのプロレタリア永久革命論とその3つの位相

 永久革命論に関するトロツキーの1929年の著作(トロツキー文庫『永続革命論』現代思潮社版) では、永久革命とされるものが3つの位相でとらえられている。

 すなわち、①帝国主義時代における民主主義革命を基盤にするプロレタリアートによる権力の獲得(いわゆる民主主義革命からプロレタリア革命への飛躍)、

②プロレタリア権力樹立後における社会主義にいたる長期の過渡的変革過程 (資本主義に対する長期にわたる過渡的社会革命過程 ― 社会主義にいたるまでの不断
の政治的・社 会的変革の過程としての反資本主義的過渡期)、

③一国または数ヵ国におけるプロレタリア革命の勝利から世界プロレタリア革命の完遂にいたるまでの国際的波及および相互影響の過程としてである。

 そして、社会主義にいたるまでの不断の政治的・社会的変革の過程としての反資本主義的過渡 期の展開は 世界プロレタリア革命の完遂にいたるまでの国際的過程に依存し、社会主義の達成は ただ国際的に世界規模においてのみ展望されうるとされる。

 トロツキーは、以上のような位相を包括するものとして永久革命または永続革命という概念を説明 している。

 3、1905年の第一次ロシア革命とトロツキーのロシア永久革命論の成立

 ロシア革命の性格とその展望をプロレタリア永久革命として構想するトロツキーの考え ― 永久革命の概念 ― は1905年の第一次ロシア革命をつうじて形成されるのであるが、1904年夏に出版されたトロツキーの『われわれの政治的任務』ではロシア革命について“2段階革命”論の立場が 依然として保持されていた。

 トロツキーの『1月9日以前』では、以上のように、プロレタリアートが階級的に主導する全人民 的政治ゼネストならびに武装蜂起によるツァーリ専制体制打倒と全人民的憲法制定会議の実現が展望 されていたが、しかし“臨時革命政府”の問題 ― 専制体制打倒後の革命権力とその階級的性格 の問題 ― はまだ提起され
ていなかった。

 ツァーリ専制権力に取って代わるべき革命的権力の問題が提起されるのは、専制体制の解体打倒を めざす政治的ゼネラル・ストライキと武装蜂起の実現とその勝利的成果としての臨時革命政府樹立の 問題が現実的課題として意識されることになる1905年初めであった。1905年の第一次ロシア革命は同年1月9[22]日の「血
の日曜日」をもって始まる。

 ここでは大衆的武装蜂起によるツァーリ専制政府の転覆と“われわれの政府”の樹立が呼びかけら れていて、こうして、現実の闘争展開をつうじてツァーリ専制権力打倒後の臨時革命政府の問題 ― 旧専制権力に取って代わるべき革命権力の問題が提起されたのである。

 まさにこのとき、メンシェビキは“専制権力打倒・革命政府樹立”に反対する立場をとったが、 そのメンシェビキについてトロツキーの「ロシア革命の3つの概念」で批判している。

 2つの党派の間で基本的不一致が始まったのはまさにこの点である。ボリシェビキは、ロシアのブ ルジョアジーが自分自身の革命を最後まで導くことができると認めることを断固として拒否した。”

 また1905年3~4月頃に書かれたレーニンの未発表手稿の「1879年型の革命家、1848 年型の革命か」には、ロシア革命とメンシェビキについて批判する記述がある。

 メンシェビキと異なり、革命をつうじて樹立されるべき臨時革命政府の問題について最初に鮮明な 立場を提示したのがパルヴスだった。パルヴスはトロツキー『1月9日以前』の序文を書いていて、その日付は“血の日曜日″の9日後になっている。

 1905年1月9日の労働者請願デモを主導したゲオルギー・ガポンは「血の日曜日」のうえで専 制政府打倒と武装蜂起の共同行動の呼びかけていて、レーニンはこれに積極的に呼応する「蜂起のための戦闘協定について」という文章を2月21日に発表している。

 レーニンは専制体制打倒の蜂起と民主主義的変革を実施すべき革命的臨時政府樹立が実 践的課題として現実的射程に入ってきていることを確認している。そして、民主主義的革命の全般的 課題を引き受けるべき臨時革命政府の政治的・階級的性格について、レーニンは“プロレタリアート と農民の革命的民主主義独裁”
として定式化したのである。レーニンは同年7月に『民主主義革命における社会民主党の二つの戦術』を発表し、労働者と農民 の革命的民主主義独裁の立場からロシア革命の戦略問題を詳細に論じ、メンシェビキを全面的に批判している。

 トロツキーがロシア革命における権力問題について自己の立場を確定し、パルヴスによる“労働者 民主主義の政府”の考えを跳躍台としてプロレタリア永久革命の展望を定式化したのは1905年夏 だった。

 4、1905年革命における革命的民主主義ブロック ― レーニン、ルクセンブルク、パルヴス、トロ ツキー

 1905年革命においてレーニン、ローザ・ルクセンブルク、パルヴス、トロツキーがカウツ キーをもふくめて基本的に“革命的民主主義”ブロックを形成し、全体としてメンシェヴィキに対立 していた。その基本的対立点は1905年のロシア革命におけるブルジョア自由主義派の政治的性格 の評価 ― ブルジョア自由主義派にたいして革命の政治的主導権を認めるか否かということについて であった。

 レーニン、ローザ・ルクセンブルク、パルヴス、トロツキー ― そしてカウツキー ― のあいだに 次の3点にわたる基本的一致点をみいだすことができる。

 すなわち、革命の当面する直接的性格としての民主主義革命、この革命における諸階級の基本的相 互関係、ロシア革命の国際的展望とプロレタリアートの社会主義的な階級的独立性などの諸点におい て、レーニン、パルヴス、ルクセンブルク、トロツキーはメンシェヴィキ派と対立するという点で共 通し、1905年のロシア革命において客観的に革命的民主主義ブロックを構成していた。

 だが彼ら の間には、一つの革命政党の内部において存在しうる様々な戦術的相違やロシア革命の究極的な綱領 的展望についての相違があった。

 ロシア革命の勝利にむけた綱領的展望にかんしては、ロシア民主主義革命の勝利は農民に支持されたプロレタリアートの独裁以外にはありえないし、そのプロレタリア独裁権力は都市の大工業にたいして反資本主義的な集産主義的手段をとるだろうと主張するトロツキーが他の3人から“孤立”して いた。

 他方、レーニンは、ロシア民主主義革命の勝利によって実現されるべき革命権力の階級的ならびに 政治的性格についてきわめて慎重で“抑制”的だった。専制体制打倒後の“権力は …… プロレタリ アートの手中に移るだろう”としたローザ・ルクセンブルクの考えは政治的にレーニンに非常の近 かったが、民主主義革命勝利の見通しについて最も慎重かつ“抑制”的だったといえるだろう。そし て、革命勝利後に“労働者民主主義の政府”を展望するパルヴスはレーニンとトロツキーの中間に位置し、カウツキーはロシア革命の展望についてパルヴスとトロツキーの中間に位置していたといえそうである。

 レーニンのロシア革命構想は、
①ツァーリ専制体制転覆後の革命権力を“プロレタ リアートと農民の革命的民主主義的独裁”であるとし、この革命権力はさしあたってブルジョア民主 主義革命の枠内にとどまらざるえないこと、しかしながら、

②労働者・農民の革命的民主主義独 裁として勝利的に実現されるロシア革命はヨーロッパ・プロレタリアートの革命的活性化の時期を切り開くだろうということ、そして

③ロシア・プロレタリアートの社会主義のための階級的闘争 ― プロレタリア革命 ― は西ヨーロッパ諸国プロレタリアートを主力とする国際社会主義革命の一環として展望することができるということによって構成されていたといえるだろう。

 このようなロシア革命構想からすると、レーニンはロシア革命の“革命的民主主義独裁”=ブルジョア民主主義革命段階を必ずしも固定的・教条主義的にとらえることなく、永久革命的モメントの 可能性を含めて考えていたように思われるし、以上のような構想は、その内容からして、独自のレー ニン版“永久革命”構想といえるかもしれない。

 5、トロツキー『総括と展望』と帝国主義時代におけるプロレタリア永久革命論

 トロツキーのロシア永久革命構想の基本的枠組みは、1905年『総括と展望』でまとめ、“永久革命論の3つの位相”という特徴を明らかに認めることができる。

 『総括と展望』の主張を“1905年ロシア永久革命論”といえるが、この時期の永久革命論の国 際的枠組みは、同書の第九章「ヨーロッパと革命」の結語から明らかなように資本主義ヨーロッパ だった。 また、一九〇五年ロシア永久革命論はその革命的労働者党建設において自然発生主義であった。こ のことについて、トロツキーの『永久革命論』(1929年) において革命的労働者党建設において“一種の社会革命的運命論”に陥っていたことを述べている。

 だが、 トロツキーの『永久革命論』(1929年)は『結果と展望』(1906年)のたんなる拡大延長 ではない。この2つのもののあいだには、一つの飛躍と一つの転換がある。『永久革命論』は資本主 義の帝国主義時代の意識的把握のうえに展開された反帝プロレタリア国際社会主義革命の理論と綱領 であり、そこには『結果と展望』からの重大な歴史的飛躍がある。また、1929年の『永久革命論』 はプロレタリア革命党組織論におけるトロツキーのレーニン的転換を明白に前提としているのである。

 「帝国主義と国際革命 ― 一国社会主義反対」については、 『レーニン死後の第三インターナショナル』一章、 『ヨーロッパとアメリカ』 で述べている。

 「帝国主義と植民地革命」については、「東洋における展望と任務 ― 東洋勤労者大学三周年記念講演」、 『レーニン死後の第三インターナショナル』3章、『永久革命論』で述べている。

 「プロレタリア独裁下における反資本主義的過渡期」については、ソ連共産党10大会トロツキー報告「産業 について」、「合同左翼反対派綱領」のソ連邦経済政策の部分『裏切られた革命』で述べている。

 最後に

 “3つの位相”とは別に、永久革命論に潜在的に含意されるものとして“国家をめぐる権力のため の闘争方法”という位相があると私は考えていて、“革命的民主主義と革命的民主主義とプロレタリ ア権力”というテーマは“国家をめぐる権力のための闘争方法”の問題になる。今後、このテーマを追求してみたい。

11.2 TPP反対行動報告

TPP11211.4
TPP衆院特別委員会で強行採決
八日衆院本会議採決許すな!
農業、医療、労働など破壊するな


一一月四日午後、自民、公明、日本維新の会はTPP(環太平洋経済連携協定)の承認案と関連法案を衆院TPP特別委員会で野党議員の抗議の中、賛成多数で強行可決した。与党側が民進など野党側と審議日程の調整がつかないまま、委員会採決に向け、午後から締めくくり総括質疑を実施した。民進党、共産党議員は、合意のない状態での委員会開会に反対し退席した。質疑の終了直前、委員会室に戻り、「強行採決反対!」などと書いた紙を手に、塩谷立委員長を囲んで抗議する中、採決を強行した。

今後政府・与党は四月八日にTPP承認案・関連法案の衆院本会議採決を目指すとしている。民進党は山本有二農水相の不信任決議案の提出も検討している。臨時国会の会期は一一月三〇日までだが、政府・与党は会期延長をせざる程追いつめられている。

この日も国会前ではTPPに反対する人々の抗議行動が行われた。TPPの協定審議内容がほとんど黒塗りで明らかにされないまま、農業、医療、労働、食の安全などを根底からくつがえすTPPが成立に向けて、全国の人々の意思を無視して進められている。断じてこれを許してはならない。

11.2STOP TPP 市民アクション国会前行動
国内批准反対 強行採決絶対反対


 一一月二日午後六時半から、衆議院第二議員会館前で「TPP批准反対 強行採決絶対反対」行動がSTOP TPP 市民アクションの呼びかけによって行われた。一一月四日に特別委員会と衆院本会議での強行採決が予定されていたが、山本有二農水相の「強行採決を認める発言は冗談だった」とする二度目の発言が明らかになり、四日の採決をめぐり与野党の激しい攻防が続く中での緊急行動であった。

衆院TPP特別委員会の理事・畠山和也さん(共産党衆院議員)が終わったばかりの理事会の様子を報告した。

「午後五時以降に理事会が開かれた。昨日の山本農水相の二度の暴言を問題にした。①強行採決発言について、撤回したが冗談だった発言②JA関係者に明日農水省に来てくれれば良いことがある、と発言した。大臣の資質に欠けると、野党は午前中に辞任に値すると要求。昼、自民党国対委員長は今日採決したい。野党は採決する状態にないとして午後五時自民と決裂。午後五時一五分理事会で、自民は四日の委員会で締めくくり質疑をする。強く抗議したが民進党理事は退席、共産党は残った。塩野谷委員長は四日午後一時半から総括質疑を行い、委員会の採決をすると決めた。本会議での採決はこの日は行わず、来週にずれこむことになった」。

集会の始まる前、カムロテツさんらのグループがラップ調で訴えた。

「TPP絶対反対、強行採決反対、国内批准反対。与野党合意も認めない。円満採決絶対反対。野党はもっと気合を入れろ、市民はもっと気合をいれろ。採決延ばしてもうれしくない。延ばした分だけこぶしをあげよう」。

山田正彦さん(元農水相)が「四日採決と聞いて頭にきた。日本の農業が危機に陥り、自給率が一〇%になる大事な問題だ。我々の勝負の時だ。許されない。TPPの葬式を出そう。四日正午に集まろう。何が何でも止めよう」と檄を飛ばした。清水忠史さん(共産党、衆院議員)。「採決が一日二日延びたぐらいで満足しない。廃案に追い込もう。農業のみならず、医療・中小企業への問題点が明らかになりつつある。審議は道半ばだ。山本農水大臣の発言、冗談で採決をもてあそぶな、辞めてもらうしかない。四日の委員会強行採決断固反対。中央公聴会も開いていない。日本を滅ぼす自民党になるな」。

植草一秀さん(オールジャパン平和と共生運営委員)。「TPPは様々な仕組みを根幹から変えてしまう、恐ろしいものだ。共同通信の行った世論調査でも、七八%が慎重審議を求めている。賛成しているのは一〇%のみだ。世界的にグローバリズムに抵抗する動きが現れている。TPP批准を阻止しよう」。加藤好一生活クラブ生協会長は金曜日には黒のコスチュームでがんばると語った。

毎日反対行動を行っているカムロテツさんは「TPPは社会の根幹が根底から変えられるものだ。6が9になる。山が海になるようなものだ。経済は円運動でなくてはいけないのに、線になりどこか一カ所に集められ独り占めされる。人間の生存・生活が破壊される。だからTPPは許せない」。JR総連、神奈川自治労連、全労連全国一般、自由の森学園の仲間がそれぞれTPPを批判した。



山浦康明さん(日消連共同代表)は「一〇月二七日午前中に、参考人として発言した。食の安全問題、遺伝子組み換え食品は鮭、麦、コメにまで及んでいて我々はそれを食べるのを拒否できない。食品添加物について知りたいが、TPPが通れば企業秘密だから表示しないとなってしまう。安倍首相は午後に、何ら私の具体的説明に反論することなく、日本の基準は変えないと答弁した。まともな審議が行われていない」と批判した。

ママの会の杉山さんは「先週の金曜日からずっと抗議行動に参加している。批准しても抗議しあきらめない。子どもをTPPから守る」と語った。神奈川県大和市から来た仲間は地元の人にTPPを知っているために話しかけている。一一月一二日には地元で行動する。TPPの危険性を地元で訴えようと話した。

横浜からきた岩田さんは「多国籍企業は彼らに都合のよいルールを作る。NAFTAで、アメリカの安いトウモロコシがメキシコに輸出され、メキシコのトウモロコシ農家は壊滅した。その人たちがアメリカに行き、低賃金で雇われたのでアメリカの労働者の賃金が半分になった。米韓自由協定によって、韓国の畜産農家は壊滅した。ボリビアでは水道事業民営化され、水道料金が値上げされ庶民が困った。エジプトでは最賃が上げられない。EUに加盟したイギリスの漁業はノルウェーの安い魚が入り衰退した。一%の多国籍企業だけがもうかる。それがTPPだ」と世界で起きている自由貿易協定の問題点を指摘した。

フェイスブック憲法九条の会、歌手のえみむめもの歌など発言が続いた。最後に、「ふるさと」を合唱してTPP阻止まで闘いぬく決意を固めた。

(M)

追記:
この日の行動を終えて、家に帰り午後九時からのNHKテレビニュースで、山本農水相の発言問題を取り上げて、政治家の発言として問題があるとコメントしていた。これで終わると思っていたら、TPP批准によって良いことが起こると三つの例を紹介した。

一番目、日本は豚肉に一キロ四八二円関税をかけているがこれが五〇円になる。価格では米国産に負けるが霜降肉のような質で対抗する農家。この農家は初めTPPに反対していたがピンチをチャンスに変えると紹介した。

二番目、コメ。日本のコメ消費は二〇年前の三分の一に減っている。ベトナムは二二・五%の関税をかけているがこれが撤廃される。そうすると日本の三倍のコメを食べているベトナムに輸出できる。日本のおむすびをベトナムで販売したら、高い商品だがおいしいと売れた。

三番目、自動車部品製造会社。メキシコに輸出しているが、アメリカに製造拠点がない。輸出するには自動車部分の三七・五%しか輸出できないという制限が撤廃される。これが雇用につながる。

このどの例を考えてみても、どれも不確かで、日本の農家やベトナムの農家が豊かになるとは思えない。圧倒的な日本の農家や関税をなくすことによる相手国の農家や労働者の生活が厳しい競争にさらされ破壊されるだけだ。こんなウソとごまかしでTPPを通してはならない。

報告 : 10.15 TPPを批准させない中央集会

IMG_1522今国会でTPPを批准させない
10.15農民連合など全国から八〇〇〇人が結集


ハゲタカによるハゲタカのための条約だ
百害あって一利なしが実態

一〇月一五日正午から、東京芝公園23号地で「今国会での拙速な批准は絶対許さない!1万人行動・中央集会」がTPPを批准させない!全国共同行動の呼びかけで開かれ、全国から八〇〇〇人が集まった。会場には以下のような団体の旗が翻った。農民連、全農協労連、農民センター、全国農団労など農民団体。パルシステム、生活クラブ生協などの生協団体。全労連、東京全労協、国労、全水道東水労、全建総連、国公労連、全建総連、JR総連など労働組合。

集会前段に歌手のえみむめもと制服向上委員会が歌でTPP反対を訴えた。続いて本集会に移った。山根香織さん(主婦連合会参与)が開会のあいさつを行った。

「政府は今月中の衆院通過を狙っている。TPPは一四兆円の経済効果があるとか、日本が締結し米国を引っ張っていくとか、信じられない言葉が政府からあがっている。農水産業の聖域をまもれないことがはっきりしてきている。残された関税の撤廃、食の安全・安心問題など危険な内容であふれている。国民軽視で大企業や投資家優先の協定だ。決まってしまえば後戻りできない。国会批准阻止のために全国で行動が行われている」。

次に、国会議員がかけつけ、連帯のあいさつをした。福島みずほさん(社民党)。「昨日から衆院で審議が始まった。TPPは①農業・酪農を壊す②食の安心・安全の問題。遺伝子組み換え、原産地を表示しなくてもよい③薬の安全問題、国民皆保険を壊す、ものだ。TPPは強欲資本主義のためであり、人々のためにならない。ISD条項によって、企業からしか提訴できない、それによって政府が多額の損害賠償金を払わされる。TPPは百害あって一利なし。米国大統領候補の二人も反対している。どんなことがあっても承認させない」。

小池晃さん(共産党)。「①多国籍企業のために関税をなくしてしまう。医療、食の安全、ISD条項。これは亡国の条約だ。②条約の内容を明らかにしていない。国会決議を踏みにじっている。国産米に影響を与えないと言っていたが嘘だ。米国大統領候補二人も国内の雇用・産業が壊されるから反対している」。

山本太郎さん(自由党)が「英文で六三〇〇頁もある条約は三分の一しか訳されていない。どんなやりとりをしていたのか情報公開したら、すべて黒塗りで出されてきた。こんなひどい状況を多くの人に知らせ阻止しよう」と話した。民進党の国会議員は参加せずにメッセージが紹介された。

オーストラリアはISD条項を禁止

全国から参加した仲間たちが訴えた。Anti-TPP Hokkaido(北海道の青年)。「デモや講演会をやり反対を訴えている。台風で被害を受けた。その上TPPが通れば死刑宣告を受けると同じだ。ベトナムの労働者の賃金が下げられる。ブラック企業が増えるなど、すべての労働者の安全を守ろう」。

石田正昭さん(日本協同組合学会会長、龍谷大学教授)。「批准のやり方に賛成できないという総会決議をあげた。学会がこうした行動をすることは異例のことだ。
①暮らし、命をおびやかす
②協同組合の組織・経営に脅威を与える
③日本が加害者になって途上国の人々を脅かすから、TPPに反対だ。さらに、アベノミクスに反対しなければならない。①財政出動②TPPは年金、健康保険へ民間投資の拡大をすることだ。これは生活を脅かす」。

ママデモ(三鷹)。「オーストラリア上院で、『ISD条項を禁止する』ことを通した。日本の三三県の一一一六人の地方議員にメールしてTPP反対行動に参加してほしいと訴えたが八人しか賛同の返信がなかった。これを一〇〇人以上に増やしたい」。

高田健さん(総がかり実行委)。「安倍首相は参院選で全国一〇〇カ所の演説で憲法改正を一度も言わなかったのに、憲法改正をやろうとしている。一一月南スーダンへ自衛隊を派遣し、駆けつけ警護をしようとしている。安倍打倒の共同の闘いを進めよう」。

吉田敏恵さん(岩手県生協連合会専務)。「午前四時発の貸切バスで五〇人が参加している。八月三〇日の台風一〇号で甚大な被害を受けた。一四〇〇億円の被害のうち二割が農水産物だ。しかし、これは再生する。TPPは食料の自給を壊す。七つの農協を訪れ反対の署名してもらった。まだまだあきらめない」。

植草一秀さん(オールジャパン平和と共生運営委員)。「ハゲタカによるハゲタカのための条約だ。日本を経済植民地にするための最終兵器だ。何が生じるのか。
①日本の農業がハゲタカ農業へ
②医療、すべての人から富裕層だけのものへ
③食の安全・安心が壊される
④労働、一億非正規化⑤農協・生協など共済事業が破壊される
⑥一〇〇〇兆円の郵貯などがハゲタカに持ち去られる
⑦六三〇〇頁の条約。四年間の秘密の保護。これがステルス爆撃機で、ISDに核弾頭が植えつけられている。断じて許せない」。

安倍政権はなぜ批准をいそぐのか

福島農民連。「10・7怒りの軽トラパレードをトラクター三台、軽トラ二〇台で本宮駅から二本松市に向けて行った。原発事故とTPPで二重に苦しめられている。安倍打倒しかない」。内田聖子さん(アジア太平洋資料センター)。「条約内容を翻訳し、読み解きブックレットを作った。国会答弁を見ているとすべて無視していたので怒りがこみ上げた。海外の状況。米国。議会で承認されないように運動している。雇用の問題、ISD条項で主権が脅かされる。日本やオーストラリアの企業から米国政府が訴えられる。カナダ、オーストラリアでは説明会やパブリックコメントが行われているのに、日本ではただの一度も説明会も開いていないし、パブリックコメントもとっていない。民主主義の観点からも異常だ」。

海外からのメッセージが紹介され、集会アピールを採択した。最後に山田正彦さん(弁護士・元農林水相)が「米国に行き、多くの議員や労働組合、環境団体らと話し合った。米国で批准されないものをなぜ日本は急ぐのか分からないと言われた。TPPは米国多国籍企業・軍産企業の世界支配が狙いだ。強行採決させてはならない」と閉会のあいさつを行い、トラクター、軽トラを先頭にして都心をデモ行進した。臨時国会での最大の課題、TPP批准を阻止しよう。 

(M)

報告 : 反G7名古屋5.21集会&デモ

IMG_0529 名古屋市立教育館講堂で5月21日、講師にイラクの子どもを救う会代表でフリージャーナリストの西谷文和を招いて「G7伊勢志摩サミットを問う!講演集会」(主催:G7伊勢志摩サミットを問う集会実行委員会)が開かれた。約70人が参加した。

今回の講演は映像の解説を中心に進められ、G7における「テロとの戦い」の欺瞞を深くえぐる内容であった。同時に事実の背景を報道しないメディアの欺瞞を追及するものであった。

講師は一昨日までシリアのイスラム国支配地域にいたとのこと。これまでISへの空爆は10,000回以上行われており、空爆によりシリアの多くの子供たちの命が失われている。日本はテロの有志連合に入っている日本とも無縁ではない、と指摘した。

講演では現在までのシリアの内戦の歴史がスライドで説明された。そもそも中東で戦争が多い原因は宗教の違いで戦争が行われているのではなく、ヨーロッパ列強の植民地支配のなかで民族対立、宗教対立があおられ戦争が発生している地域背景について述べた。スライドでは、講師が自ら取材、政策したシリア現地の映像も紹介され、臨場感あふれる内容であった。

トルコからシリアに入り、さらにカメラは空爆で破壊された激戦地に進み衝撃的な映像が続く。アサド軍と自由シリア軍が対立して壮絶な銃撃戦が続いている地域ではほとんど人が歩いていない。人がほとんどいない街で、カメラは「アラーは偉大なり」と叫びながら機関銃を連射する兵士。長引く戦争が日常となっている異常な状況のなかで銃弾、戦車砲の破片が取り除かれないまま、麻酔薬のない病院に放置されている子供たちが映し出す。

映像は続いてIS(イスラム国)のものに切り替わる。石油の強奪をもくろんだ米国、欧米の資本がもたらした数年間のシリアの無政府状態、マリキ政権によるスンニー派の虐殺を背景に台頭したISはクルド人虐殺を始めた。

罪なき人々が虐殺されても動かなかった米国だったが、自らの油田が危うくなった段階で空爆を始めた。シリア内戦による大量の武器の調達により潤う戦争商人によりシリアの内戦は泥沼化、長期化させられる。ISの正体は、米国がイラクに無謀な戦争にもってもたらされたものである。

映像のあと講師は、わかりにくい戦争、テロとの戦いによって儲け続けたい死の商人らが存在するため、本来取り締まれたISやアルカイダの台頭を招いた、と指摘。歴史的背景を含めてわかりやすく説明する必要があるメディアが役割を果たしていない、と会場に取材に来ているマスコミに問題提起した。

また、諸悪の根源は米国にあるが、米国の後方支援のために集団的自衛権を行使して憲法の解釈を変え、日米ガイドラインを変えた日本にも「米国の正義の戦争」の責任の一端があることを指摘した。講師はさらに、最近のパナマ文書の暴露にも触れ、戦争法と格差拡大は密接につながっていることも訴えた。

講演の終了後、約80人の参加者が名古屋の繁華街の栄を中心にメッセージボード、横断幕、旗を掲げてデモ行進を行った。名古屋の街に「Attac.jp」の%の旗、「アジア連帯講座」の旗等がひるがえった。デモの参加者は大量の公安政治警察が過剰警備するなか、G7の欺瞞性を市民に訴えるとともに、世界経済の問題、沖縄県で起きた米軍属による女性遺棄事件への抗議の声を上げた。

今回の集会、デモでは大量のマスコミへの対応が行われた。デモの終了後にネットで検索をしたところ、相当数の記事がヒットしている。名古屋の主要な通信社、新聞社、テレビ局が取材・報道を行った今回の集会、デモは、社会的な影響が大きかったといえる。

(山本)

報告:5.12G7伊勢志摩サミット反対街頭記者会見

12日銀前 5月12日、G7伊勢志摩サミット反対街頭記者会見の主催で「G7伊勢志摩サミット反対! 街頭記者会見に夜たちあがれ!」が日本銀行本店前で行われた。

 5月26~27日、G7伊勢志摩サミット首脳会議が行われ、約半年かけて関連会議を全国10カ所で開催する。仲間たちは、「サミットが大企業と金持だけが潤う世界の秩序と安定を目指し、テロの危機を叫びながらテロの原因となっている貧困と混乱を世界中にまき散らしてきた」と抗議し、フランスの労働規制緩和に反対する「夜たち上がれ」運動の「5月15日に世界中で夜に立ち上がろう」という呼びかけに応えて行動が行われた。
 
 小倉利丸さん(ピープルズプラン研究所)は、「G7は、『民主主義』を標榜しているが、ほとんど民衆の意志を無視して密室で物事を決め、あたかも国際公約であるかのように国内に持ち込み政策に反映させている。こういう反民主主義な手法は2008年の洞爺湖サミット以降も変わっていない。今回は、安倍政権による戦争法制定後のサミットであり、先進国の軍隊とともに対テロ戦争に参加していこうとねらっている。パナマ文書が公開され、世界の指導者、金持ちが税逃れをしていることが明らかになった。世界の人々は重税で苦しんでいるのに、大企業、金持ちはタックスヘイブンを使って税逃れをし、私腹を肥やし、欺瞞的なナショナリズムを煽っている。グローバル資本主義の末期症状だ。貧乏人は税金を払えないのだとつきつけ、抗議していこう」と訴えた。
 
 ATTAC Japan(首都圏)は、「2008年6月洞爺湖サミット後の九月にリーマンショックという世界的金融危機が起きた。さらにユーロ債務危機、緊縮攻撃、イスラム諸国に対する軍事介入、放射能被害者を放置したままでの原発再稼動・輸出、沖縄へのさらなる基地負担の押し付け、そしてアベノミクスという危機の先送りなどが続いている。フランスでは労働法改悪に反対する『夜たち上がれ』運動が展開され、全世界の仲間たちにむけて5月15日同時行動を呼びかけている。国際的な連帯を強め、サミットに反対していこう」とアピールした。
 
 G7茨城・つくばサミットを問う会は、「5月15日にG7茨城・つくば科学技術大臣会合への抗議デモを準備している(つくばセンターペディストリアンプラザ)。すでに学習会では『日本の反グローバリズム運動の16年』、『G7伊勢志摩サミットとは何か』、『科学技術と核・軍事体制を問う』をテーマにして行ってきた。共に闘おう」と発言。

 伊勢志摩サミットに反対する実行委員会(東京)は、「5・22伊勢志摩サミット反対・新宿デモへ!」の参加を呼びかけた。

 「対テロ戦争」と天皇制賛美のG7伊勢志摩サミット粉砕実行委員会は、「5月27日に志摩市・木場(きば)公園でG7サミット反対集会を行い、志摩市内サミット抗議デモを取り組む」と報告。

 仙台で開催するG7財務大臣・中央銀行総裁会合に異議あり!実行委員会の仲間から携帯中継で報告とアピールを受けた(5・20平和ビル前アピールと小倉利丸さん講演会)。

 最後に主催者から全国各地の反サミット行動スケジュールが紹介され、連帯し共同の取り組みを確認した。

(Y)

報告:4.16アジ連公開講座「TPPをマクロとミクロの視点から批判する」 講師:大野和興さん

配信用:大野さん講座 4月16日、アジア連帯講座は、大野和興さん(「TPPに反対する人々の運動」世話人)を講師に「TPPをマクロとミクロの視点から批判する」公開講座を豊島区民センターで行った。

 安倍政権は、食料主権と生活破壊、グローバル資本のための環太平洋経済連携協定(TPP)を昨年、12カ国政府と談合し、強引に「大筋合意」を進め(15年10月5日)、TPP署名式(ニュージーランド/2月4日)で署名した。TPPの既成事実化を押し進めながら自民、公明党は、交渉内容や協定などの情報公開、説明が不十分なままTPP関連法の改正案11本を一括法案として国会に提出することを決め、3月8日にTPP協定承認と関連法案提出を閣議決定した。4月5日、審議入りを強行し、なんとしてでも批准し、関連法案なども成立させようとしていた。

 しかし、アメリカは11月に大統領選があるため批准に遅れるだけでなく、次期大統領候補たちもTPPに反対傾向が強い。日本の国会では、強引に審議入りしたが、

①甘利明前TPP担当相が金銭問題で失脚し、病気を理由に雲隠れ中

②TPP衆院特別委員会に提出されたTPP交渉の経過・関連文書はほぼすべてを黒塗り状態で実質的に「審議」を否定

③委員会の西川公也委員長(自民)が『TPPの真実-壮大な協定をまとめあげた男たち』(中央公論新社)という本の出版予定が判明。黒塗り文書提出とは真逆の対応で審議紛糾してしまった。3月14日の熊本震災の発生もあって、結局、安倍政権は参院選前のTPP争点化を避け、今国会での成立を断念し、秋の臨時国会に先送りすることになった。

 TPPは農産品関税の撤廃と称する農業破壊の拡大、食の安全基準や食品表示の緩和、金儲けのための投資や金融、サービス貿易などの協定で貫かれている。世界の人々はTPPによる貧困の拡大、農業と環境の破壊、食の安全軽視など民衆の生活全般への深刻な影響へと直結するために不安と批判を強めている。あく
までも安倍政権は、TPP関連法制定をねらっている。大野さんの問題提起を材料に、さらに学習・論議を深めていきたい。

■大野和興さん講演要旨(文責アジ連)

 国会でTPPの審議が始まっている。だが緊迫感がない。なぜかというとアメリカが動かないからだ。米大統領候補全員がほぼTPP反対だ。最初はいいよと言っていたクリントンも反対に回った。大統領選挙が終わったら、すぐに賛成に転じる話もあるが、あれだけはっきりと反対と言っていたら、そんなに簡単に賛成はできないだろう。たぶん米は、再交渉を要求してくるだろう。米が主導してきたと言っても、積み木細工の再交渉は、なかなかうまくいかないだろう。そこを見越して批准をしていない国もある。議会の批准をしなければならない国は、アメリカの動きを見ている。

 その中で安倍政権だけが、突出して前のめりだ。今国会で確実に成立させるということでやってきた。ところが甘利の問題で失脚した。さらに情報開示で黒塗りの書類が出てきた。やつていることが、すごくちぐはぐだ。熊本地震も重ねって、強行にやるメリットは日本にない。アメリカは大統領選で動かず、選挙後も1年、2年は動かないだろう。参院選あるいは衆参同時選挙前にTPP成立を強行突破するメリットはない。たぶん次の国会にまわるだろう。私たちは批准阻止を掲げて取り組んでいるが、やはり運動が上滑りしている所がある。ここらで地域からもう一度作り直すことが必要かなと思っている。 


本題にはいりますと、TPPをどう捉えるかを一つは、軍事と経済との関係、つまり、日米安保とTPPの問題だ。二つ目が、憲法とTPP。三番目が、具体的に暮らしの中でどうなるのか、というアプローチをしていきたい。

■日米安保とTPP

 2010年に民主党の菅首相が、10月の通常国会の冒頭で「TPPに入る」ことを表明した。ほとんどの人がTPPを知らなかった。なぜ突然、こんなことを言い出したか。その背景は日米安保にある。

 日米経済摩擦が70年代から80年代にあったが、そのとき改めて感じたのはそもそも60年安保改定だった。安保条約に経済条項が入り、単なる軍事同盟だけではなく、経済同盟にもなった。日米安保条約の第二条(経済的協力の促進)には、「締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによって、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」と明記されている。安保条約で日米政府は、経済政策の食い違いを除くことになっている。アメリカの主張に沿って「除く」となる。

 このことを具体的に示したのが、吉岡 裕さん(元農林水産省経済局長)の「日米貿易摩擦とアメリカの農業政策 」(昭和62年度〔日本農業経済学会〕大会討論会報告)だ。その中に「5.日米関係の特殊性と日本の政治状況」がある。「特殊性」とは、日米安保の存在だ。「この条約には同時に『経済協力条項』が含まれており、自由な経済社会体制の強化をめざして両国は、経済政策上の相違を除去するように努力し、そのための協議を続けることを確認している。この防衛関係と経済関係のリンクは、米国側の政治的解釈としては当然視されており、『防衛での貸しは、経済で返させる』との期待が米国にはある。」と述べている。

 つまり、日米の貿易関係は、防衛と軍事に確実にリンクされている。東西冷戦下、安保はどんどん変質し、冷戦終結と同時に安保も経済もグローバル化していった。グローバル安保とグローバル経済のリンクがTPPだ。

 2011年東日本大震災の年の11月にAPEC首脳の閣僚会議がホノルルであった。野田首相(民主党政権)は、オバマ米大統領と会談をし、TPPの交渉に日本入ると宣言した。ぼくらもデモをするために現地に入っていた。

 集会で、グアム、ホノルル、ハワイ、グアム、沖縄、韓国の済州島、オーストラリアの人たちが集まってのセッションで、米軍基地でなにが起こっているのかということを話した。これらの地域を線で結ぶと中国をすっぽり包囲する形になる。沖縄からは高里鈴代さんが参加した。この時にTPPの狙いを実感した。

 野田首相は、中国の包囲網としての経済の軍事化、原発の輸出、武器輸出3原則をはずして武器輸出と兵器協力などを言い出していた。これが安倍政権に引き継がれ、アベノミクスの核のところに原発輸出と武器輸出がおかれた。日米安保は、冷戦下の安保からグローバル安保へと変わっていた。TPPはグローバル経済の象徴として位置づけられた。この二つがここで具体的に結合したとみてよい。TPPは経済のグローバル化であり、世界の市場化の一環だ、アジア・太平洋における自由な企業活動を行うこためのものだといわれているが、実態は米日主導の経済のブロック化の一つの現れだとぼくはみている。

■反国益論としての反TPPではなく

「TPPに反対する人々」を作った時、奇妙な状態があった。保守主義の経済を論じている中野剛志(経産官僚)をTPP反対の論客として引き込んだ。当時、ネット右翼の在特会がTPPに反対だった。中野は、在特会が講師として招くような人物だった。中野はよく右翼のインターネットTVのチャンネル桜にも出演していた。右翼のTPP反対のよって立つ位置はナショナリズムで「国益に反する」という主張だ。私たちは、こういう主張や運動とは一線を画さなければならないと考えた。国益論としての反TPPではなくて、グローバリゼーションで抑圧され収奪されるのは世界の民衆ですから、生活者として共に反対していく論理を作っていかなければならないと考えた。

第二は、日本は加害者だということだ。

 TPPにはISDS条項(投資家と国との 間の紛争解決)がある。例えば、米国の企業が日本に投資したが、日本の公害防止条例で停止させられた。投資の儲けと投資の自由を阻害したことになるから、その企業は日本政府を相手に損害賠償請求ができる。すでに米国ではやっていて、結構、カネ儲けをしている。だから日本は米国にそれをやられると大変だ、日本の国益が侵されるというのが、TPP反派主流の論理だ。

 私たちは、そうじゃないだろう、海外投資をしているのは日本も同じだろうという視点を提起していった。例えば、フィリピントヨタでの組合潰し、マレーシアで住友化学がある村に放射性廃棄物を出し、住民の健康被害を発生させるといった日本企業による悪事の事例は沢山ある。住民たちは、日本に来て、抗議集会、住友化学と交渉を行った。TPPは日本の企業にとって絶好のカネ儲けの話だった。日本は、むしろそこを狙っているのだから加害者だ。このことをきちっと言っていかなければならないとキャンペーンを開始した。革新系のTPP反対運動をしている人たちも「日本の国益に反する」といういい方をよくする。国益論は、右派、左派関係なく侵されています。右派は、単なる経済的なことだけではなく、軍事の問題を絡めて国益論を主張する。左派は国益論を出したほうが人々に訴えやすいので安易に流れていった。今もTPP反対運動では国益論の傾向に流れている。

●憲法とTPP

 今、TPP違憲訴訟が行われている。違憲訴訟の幹事長の山田雅彦さんは、民主党政権時代の農林水産大臣でTPP反対運動で頑張っている人だ。「なぜ違憲訴訟を始めたのか」と質問したら、山田さんは、「TPPは人権、生存権を損なう。憲法違反で真っ向から問うたほうがいいだろう」と強調した。当初は、みんな門前払いになるだろうと思っていたが、門前払いにならなかった。

 違憲訴訟は、一つはTPPによる損害賠償を請求し、二つ目が憲法判断をさせる、二本立てになっている。つまり、TPPによって農産物の安全性か損なわれる、薬が高くなるとか、色々あげて国民が不利益を被るから損害賠償請求した。だが、まだ協定が結ばれていないから諸被害発生していなかったので「そうなるであろうという」論理なので損害賠償請求はできないのだが、山田さんはそれを前提にしつつ、たとえ損害賠償請求で却下されたとしても、憲法判断を仰ぐことが狙いだと語っていた。

 TPPに対する憲法判断とは何か。13条の「生命・自由・幸福追求権」、15条の自由権と基本的人権、22条の職業選択の自由、25条の生存権、健康で文化的な最低限の生活をする権利に対する憲法判断だ。つまり、農業者がTPPで関税撤廃などで農業を辞めざるをえなくなったから憲法13条違反だという立論だ。さらに職業選択自由とは、営業する権利、生業の権利、つまり百姓は百姓で生きる権利、商店で生きる権利が脅かされるから違憲だという論理だ。

 もう一つの柱は、ISDS条項だ。進出企業は、その国による諸規制などによって投資の自由が脅かされたとして、国際仲裁裁判所に訴えられることができる。仲裁裁判は、ほとんど投資した方が勝っている。投資の自由を保障するための仲裁機関だから、負けるわけがない。仲裁裁判所の国際法廷の結論は、日本の最高裁判所の判決よりも優先するという条項らしい。そうすると司法の独立性とか、権限はどうなるのか。一国の司法の最高裁の判決を越える国際仲裁裁判所の決定は、ほんとに効力があるのか。そんなことが許されるのか。司法独立の問題として争点となる。

 これらが違憲訴訟の争点だ。すでに原告側の証言が三回もやられている。山田さんは、「証人調べまでいけそうだ」と言っていた。

 アメリカと韓国のFTA(自由貿易協定)が結ばれて、最初は韓国の米、豚、牛が大変だと言っていた。たしかに牛は大変になっている。それ以上に果樹農家が壊滅的状況だ。どんどん安い果物が入ってきた。想定外の被害が韓国では発生している。日本でもこれから何が起きるかわからない。韓国の状況を知っておくことは重要だ。山田さんは、農家、薬価の問題などで国民は不安におののいていることを根拠にして精神的慰謝料を請求するべきだと主張している。

 このように反TPPのアプローチは、生存権の問題として捉えることだ。そして日常の運動のレベルに降ろさなければいけないなというのが課題だ。裁判の意義も含めて日常の問題として労働と生活の現場に問題を引き下ろして、運動を組立てていかなければと思っている。

■反TPP運動の課題

 世論調査を見ると、TPP賛成が多い。一般の人は、「いいじゃないの安いものが食えるから」と言う。みんなが食えなくなって、低賃金で非正規になってという背景もある。ここをいかに崩していくか。現実としてTPPの運動は、いつも少数だ。僕らの集会だって数百人を超えたことがない。だから共産党も含めたネットワーク作ることにした。TPPストップ市民アクションに全労連、全労協、全日農、農民連も入ってくれと、一緒にやろうよと広げた。農協は途中、安倍政権に脅されて抜けてしまった。反TPP運動は、いかに戦争法反対と反原発と結びつけて取り組んでいけるのかが大きな課題だ。

 じゃどうすればいいのか。一つの試みとして農業集落ごとに入り、その集落の農業が20年後にどうなるか計算をしょうよと言って集まってもらう。つまり農業グループ、個人の農家などが一番身近なところで、今後どうなってしまうのかを実感しないと運動にならない。

 3.11大震災で東北が壊滅し、福島の原発が吹っ飛んだ。実は、2011年5月、6月は反TPP闘争の山場だと位置づけていた。そのために陣形作りをやっていた。2月に東京で集会をやって、500人集まった。それをバネに春の決戦だとしていた。そしたら3.11だ。TPPどころじゃないとおもっていたら、4月に読売新聞が社説で「震災復興のためにTPPを」を出した。TPPでカネ儲けをしよう、カネで震災復興しなければならないという論理だった。その後、経団連が「今こそTPP」「震災復興はTPPなくしてありえない」と提言した。原発が爆発し、津波被害で三陸海岸は深刻な状況、行方不明者が5000人も発生していた。こんな時になんでTPPなのか。

 権力者は、TPPによって反転攻勢を狙った。 典型的な意見として元農水省官僚だった山下一仁(キヤノングローバル戦略研究所)が「ダイヤモンド」で「この大震災は、強い農業を作っていくためのチャンスだ」と主張していた。要するに、三陸海岸含めて農業地帯が真っさらとなった。だから農民の土地所有権がない状態だから私権を制限して大規模な区画を作り、大型農業機械を入れ、政府投資をして企業を動員して大規模農業を育成することができるというのだ。これがTPPで勝つことであり、強い農業の中心だ。TPPで儲けることのチャンスを震災が作ってくれたと言っていた。まさにTPPの本質をずばり指摘し、その後、あらゆる分野に貫徹していくことになる。私はいろんなところで「ショックドクトリンもいいところだ」と山下批判やった。

 もう農業という言い方で語ることはできない時代に入っていると思う。誰の農業か、主体は誰か。企業の農業、資本の農業、百姓の農業、農家の農業と言わないとだめだ。一つにくくれない局面に入っている。強い農業を作ると言うと時は、それは農家の農業ではない。それを農業と言ってしまうと、百姓自身が俺も強い農業でやっていけると誤解してしまう。

 色々な農家と知り合いだが、千葉の米作地帯で農業を行っている仲間たちからTPPの話をしてくれというので行った。かつて三里塚闘争もやっていた人たちもいる。TPP批判を話したが、終わってからの交流会で大型農家の彼は、「TPPになったら米の輸出を考えている。どやら儲かるみたいだ。外国で和食がブームだから日本の米が売れる」と言だし始めた。TPP賛成だという農業者はたくさんいる。農業者だからTPP反対だというのは間違いだ。むしろ専業農家のほうが主流で米の輸出で儲かるからTPP賛成だというのが多い。

 私は、「日本中に同じようなことを考えている人が一杯いる。みんな輸出で儲かるということで輸出したら、そんなの誰が買うのだ。それだけの需要があると思うのか。当然、だぶついて大暴落だ。それより国内で売ったほうがいい。アジアで金持ちが増えているといったって、中国の富裕層だけだ。そんな話に乗らないほうがいいよ」と言ったけど納得しなかった。

 こないだ日経新聞で全国の農業法人のアンケート調査の記事が出ていた。大型経営の農業法人は、7割がTPPになったら輸出が増えると答えている。同じように5割が値段が下がると答えている。つまり大型経営の7割は、輸出が増えるから、それに乗っかれということだ。

 山下一仁の「強い農業」「大震災が絶好のチャンスだ」という論理と空気が浸透している。このような雰囲気が農業者にも広がっている。

 それに対してどうすればいいのか。今、北海道五区で衆議院補選が行われている。自民党の 小泉進次郎が張り付いている。小泉は、細かく歩き、強い農業の話をしている。北海道は、TPPでたしかに大変だが、実は北海道の百姓で遺伝子組み換えをやりたがっている農民、農民グループがある。遺伝子組み換えを認めろと常に発信しているグループもある。モンサントからカネも出ている。遺伝子組み換えで量産して、輸出して儲けるという論理が蔓延している。

■TPPによって貧困連鎖が拡大

 いま企業化した輸出型の農業経営者は俺らの時代だと思っているが、TPPによって、確実に小さな農業が潰れてしまう。小さい農業が潰れたら、どうなるか。僕らはきちっと言わないとだめだ。

 例えば、国威内では1000万トン~1200万トンぐらいの米の潜在生産力があるが、それを減反して800万トンぐらいにしている。この列島の人が食べるうち、大型経営の人たちの米より小さな農家・兼業農家が生産した米の方がはるかに多い。その小さな農家はつぶれる。小さな農家は、高齢化し、平均年齢が70歳ぐらいだ。国民年金が夫婦で5万か、6万だ。これでは食えない。畑、田んぼを耕して、年金と農業で生活を支えている。小さな農家がいなくなるということは、村がなくなるということだ。地域社会がなくなり、商店がなくなり、そして食えなくなる。地域社会が崩壊しつつある。TPPは、その状況を進めることになる。

 都市の労働者にも関係する。例えば、TPPのメリットで牛丼が安くなると言われる。確かに牛肉が安くなる。輸入米も安くなる。安い米と安い牛肉でいっぱい350円の牛丼が300円になる。かつて4~5年前、牛丼の安売り競争があった。260円になったこともある。めし代が下がるということは、それだけ賃金を引き下げてもいいということでもある。350円の牛丼を260円に下げた時、経営者は、260円の牛丼が食えるのだったら、また給料を下げるのもいいなと判断する。そして給料が下がり、200円の牛丼になる。このように貧困と牛丼の値下げは、貧困の循環だ。

 牛丼の引き下げは環境問題にもつながる。1993年、GATTウルグアイラウンドの最後に牛肉の自由化をやった。例えば、今回地震にあった阿蘇の山麓は、肉牛の放牧をやっている。赤牛の放牧地だ。春になると草原を野焼きして、牛を放つ。牛は草を食いながら、夏と秋を過ごして、その間に子どもを産む。秋は子牛を連れた母牛を呼びもどして小屋で飼う。牛小屋の牛のフンは、畑、田んぼに入れて作物、米を作る。山と田んぼ、畑、牛がぐるぐると循環する。日本型の循環農業だ。こういう循環の農業が昔から成立している。TPPでやすい牛肉が入ってくることでこの循環が破壊されてしまう。春の野焼きと牛が草を食べることで、草原は再生する。熊本は昔から名水の地域だが、その水は阿蘇の草原に降った雨が地下に染み込み、地下水となったものだ。牛がいなくなって草原が荒れると、その水も枯れてします。

 韓国と米国でFTA協定を結び、その後、農家は先行き不安で牛を売り出した。大暴落し、牛肉不足になった。結果として牛がいなくなることによって、いろんな循環が途絶えてしまった。

 TPPの問題は、一筋縄でいかない。都市の貧乏人、農村の貧乏人の拡大再生産だ。同時に環境は、どんどん壊されていく。食の安全の危険以前にこのような問題がある。食の安全の基礎が壊されていくのだ。

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アピール:「G7伊勢志摩サミット」反対の闘争に

584970239-dpa_148d8c00984b1efa-155auC83fRNG(画像は昨年のドイツ:エルマウG7サミット対抗行動)

「G7伊勢志摩サミット」反対の闘争に

「G7伊勢志摩サミット」G7(以下、「G7」という)が5月26~27日に三重県の伊勢志摩市で開催される。それに先立ち外相会合(4月10日~11日  広島市)、科学技術相会合(5月15~17日 つくば市)、保険相会合(9月11~12日  神戸市)などの担当相会合などが開かれる。

今回のG7で予想される主要な議題は、世界経済貿易、政治、外交、気候変動エネルギー、インフラ整備、保健衛生、女性などである。独占資本と結託した安倍政権は、G7を通じて日本の次世代成長戦略として先進技術を内外にアピールし、外交において内閣支持率をあげ、5月27日G7終了後の参議院運動勝利をもくろんでいる。


  G7の問題点とねらい

G7はすでに帝国主義・独占資本の利益調整のための会議の段階を通り越し、現在は国境を越えた資源の確保、市場の確保、外交的・軍事的支配の確保・拡大の旗振り役を担っており、ありとあらゆるグローバル・ガバナンスを担う政治主体となっているが、そもそもG7には国連をはじめとする国際機関が何の権限も与えていない。G7は、帝国主義諸国と独占資本の寄せ集めの制度であり、国際法の観点からみても非公式の実態のないグループにすぎないのである。

問題は、G7でなされた決定、決議、宣言、表明は国際法上の根拠なしのG7内での仲間内の取り決めにもかかわらず、その決定等がG7とはなんの関係もない第三世界、途上国までに実質的に強い影響を及ぼしていることである。逆にこのような「世界政府」の役割に期待を寄せる途上国の存在が、問題をさらに複雑化している。さらにG7への少数の参加国の内政が過度に影響するグローバリズムに内包するナショナリズムの問題もはらんでいる。

G7における帝国主義・独占資本の反動的なねらいは、経済、軍事の新自由主義グローバリゼーションとナショナリズムによる世界支配である。われわれの身近にあるもの(商品、製品)、金(金融、投資、株式)、ひと(労働力、労働者)、情報、技術、サービス、システムといったありとあらゆるものが国境を越えて行き来して貧富の格差が拡大している今日、経済、産業、財務、交通関連の財界の関与の下で国家が介入しない市場の原理に基づいた自由市場経済の世界的拡大の背景となる新自由主義をリードしているのがG7である。

また今回のG7では「IS(イスラム国)掃討」をはじめとする世界各地での「対テロ戦争」の遂行における帝国主義諸国の国際的な軍事連携の強化が行われる。特定秘密保護法の強行採決、武器輸出の解禁、安保関連法の強行採決を行い、憲法改悪に突進している安倍政権は、さらなる帝国主義間の軍事同盟の強化を今回のG7を通じて行っていくであろう。同時に安倍政権は、伊勢神宮の近辺でG7を開催することにより、日本の神道イズムの世界への発信、「天皇制戦争国家・日本」のG7に結集した帝国主義諸国における承認をもくろんでいる。


  新自由主義グローバリゼーションの拡大、ナショナリズムの世界化反対の闘争に

われわれは、G7に結集する帝国主義諸国と独占資本の「世界政府」の仮面をかぶったナショナリズムによる世界支配を弾劾する。世界の労働者は、G7に反対する、国家と資本から自立した主体的な運動を創造していかなければならない。

プロレタリアは祖国を持たない。プロレタリアの唯一の目的は、全世界にわたるあらゆる民族の労働者の祖国を作り上げることである。労働者は国家をこえて、力の強いもの、お金のあるもの、販売力、宣伝力のあるものが世界を凌駕していく世界共通化の考え方の欺瞞性を暴露し、G7に結集した帝国主義・独占資本による新自由主義グローバリゼーションの拡大、ナショナリズムの世界化と対決する闘争に立ち上がらなければならない。

帝国主義諸国と独占資本と結託し、「天皇制戦争国家」、改憲に突き進む安倍ブルジョア政権打倒!
世界の労働者は労働者政府の樹立に向かって前進せよ!

(愛知:山本)

報告 : 3.27「原発を輸出しないで! 〜アジアの人びとの叫び」(反核世界社会フォーラム2016)

IMG_0987反核世界社会フォーラム2016分科会:原発を輸出しないで!
アジアの人びとの叫びに応えて
国際的な連帯闘争が必要だ


輸出される国の民衆の声を聞け

 三月二七日午前中、韓国YMCAスペースYで「原発を輸出しないで! 〜アジアの人びとの叫び」(反核世界社会フォーラム2016の分科会3)が主催:No Nukes Asia Forumで開かれた。

 欧米諸国で行き詰った原子力産業は、生き残りをかけてアジア各国でその動きを強 めている。日本では国内での原発新増設の問題に加えて、原発輸出の問題も深刻さを増している。三菱とアレバが四基輸出予定のトルコ・シノップ、米仏の原子力企業と結んで日立、東芝、三菱が大規模な原発輸出をねらうインドなど、輸出される側の声に耳を傾ける。そして、輸出する側の国に住む者がどうすべきかを明確にし、原発輸出を「挟み撃ち」にして食い止めるための議論のきっかけとしたい。

トルコとインドから切実な訴え

 トルコの報告。プナール・デミルジャンさん (トルコ、脱原発プロジェクトnukleersiz)とメチン・グルブズ(トルコ、シノップ反原発プラットフォーム)が行った。

 「二〇一三年五月に、日トルコ原子力協定が結ばれ、四基の原発を建設する。値段は二二〇億ドルとされていたが一六〇億ドルに値下げされた。しかしこのことをトルコ側は説明していない。建設反対の理由は次の通りだ。建設予定のシノップ市の近くに地震の断層がある。電力は不足していない。トルコは自然の豊かな国で、水力・風力・太陽力を活用できる。発電は天然ガスが四八・七%で、ロシアに依存している。ロシアとも原発協定を結んでいる」。

 「シノップ市は黒海に面し、九九%が森であり、第一級の自然遺産だ。漁港もあり、漁業と観光業が盛んだ。二〇一四年にシノップ市で二万五〇〇〇人が建設反対のデモを行い、二〇一五年には三万人のデモを行った。チェルノブイリ原発事故の影響で三年後にガンが増えた。全世界の原発に反対する」。

 インドの報告。ラリター・ラームダースさん(インド、核廃絶と平和のための連合)、アミルタラージ・スティフェンさん(インド、反核運動全国連合)。

 「一九七四年にインドは最初の核実験を行った。その後核実験をしないとしていたが一九九八年に核実験を再び行った。核兵器と原発をリンクして考えることが大事。インドとパキスタンは一九四七年に分裂した。一九七四年、インドが核実験をした二週間後にパキスタンが核実験をやった。核国家主義になっている。安全保障アイデンティティと結びついていて、スーパーパワー国は核兵器・原発を持っているのに、なぜわれわれが持ってはいけないのか。ここに闘う難しさがある」。

 「日印原子力協定の問題点。非常に危険だ。貧困層へ苦しみを与える。フクシマ、ヒロシマ・ナガサキがあった。日本が原発輸出するのは道徳違反だ。死んでしまいそうな核産業を復活させた。インドには原発が二二基あるがこれを四六基にする計画だ。原発企業は事故の免責を要求しているがこれは絶対に受け入れられない。核拡散反対の願いが打ち切られ、武器レースがエスカレートしていく。軍事主義になり、日本国憲法九条違反になる」。

 「クダンクラム原発反対運動について。父が原発建設関係の仕事をしていた。原発は経済開発のものだと思っていたが福島の原発事故で変わった。情報公開を求めたが安全性は見せない。フクシマの恐怖が起こってきた。二〇一一年八月から、非暴力・平和デモを行った。多くの漁民が参加した。警察は激しい弾圧を行った。一日六億リットルの海水を使い、四〇度になる温水を海に流す。二〇一一年九月、海から抗議した。それに対して国家に対する扇動罪で弾圧した。五人が殺された。核廃棄物の処理計画がまったくない。日印原子力協定を止めたい。再稼働反対、原発ゼロを」。

止めた比国、輸出する韓国

 フィリピンの報告。コラソン・ファブロスさん(フィリピン、非核フィリピン連合)。

 「一九七〇年代にマルコス時代、独裁体制で秘密裏に建設が進められた。最初二三億米ドルで原子炉が二つであったが、三二億米ドルで原子炉一つとなった。マニラから車で三時間のバターンに作られた。電力不足、安い電力ということだった。IMFから大きなカネを借りた。汚職や人権侵害もあった。反対運動は消費者の問題として始まり、反マルコスキャンペーンの一部となった。一九八三年バターン原発は稼働した。しかし反対運動が全国化し、一九八六年にピープルズパワーがあり、原発は止まったままだ。一九九一~二年に米軍基地が閉鎖された。政府は一三カ所の建設計画をあきらめていない。五月に総選挙があるが原発反対の候補者がいない。バターンから原発に反対している。世界中の仲間と共に反対している。『平和・連帯・再稼働反対』」。

 韓国からの報告。イ・ホンソクさん(韓国、エネルギー正義行動)。

 「韓国政府の原発輸出問題について十分な対応ができてこなかった。政府は原発輸出をどんどん進めている。韓国では二五基の原発が稼働しているがこれを二〇年で四六基に増やす計画だ。電力需要は増加しない、核濃縮サイクルがない、再処理はしないのにだ。二〇〇九年、ヨルダンに研究用の原子炉を輸出、二〇一一年三月一五日にUAEと原子力協定を結んだ。韓国にとってフクシマ原発事故は原発輸出のチャンスになった。そしてこの日を原子力の日として制定した。二〇一六年にアラブ首長国連邦(UAE)に輸出。このオプションで韓国の軍隊がUAEに行き、UAEの軍隊を訓練している。これに対して平和団体が反対している。国際金融機関からカネを借りてUAEに貸し付けて原発を作っている。低金利で返してもらう構造になっているので韓国にとって負担だ。また核兵器を持とうという動きが強まっている。韓国インド原子力協定を結んだ。さらに、サウジアラビアにはスマート原子炉の輸出をしようしている。反対する国際的な闘いを」。

原子力マフィアとの闘いへ

 台湾からの報告。王俊秀さん(国立清華大学社会学研究所教授/台湾環境保護連盟)

 「台湾には三基の原発があるが民進党政権ができ、二〇二五年には原発が止まる。日本が輸出する必要はない。今後核廃棄物が問題になる。自転車で発電するなど市民の電力の運動が起きている。日本のデモに参加した。若者が出てこないと運動は成功しない。がんばって」。

 アジアの報告を終え、日本の運動団体が発言した。日印原子力協定反対キャンペーンの福永正明さんは「国際的な原子力マフィアがうごめている。世界中の原発を止める。輸出させない。次の世代に核の被害を受けさせないためにがんばろう」と訴えた。河合弘之さん(脱原発弁護団全国連絡会代表、弁護士)は「原発が稼働していないと輸出はできない。台湾は原発を止めた。『日本と原発』を自費で制作し、一一〇〇回の自主上映を行い、八万人が観ている。高浜原発3、4号機を止めた。稼働しているのは川内原発二基だけだ。四月二日には、差し止めの判決がある。原発なし自然エネルギーでやっていける」と発言した。宇野田陽子さん(ノーニュークス・アジア)が「原発には未来はない。原発や武器を売ってもうけるのは許せない。台湾へ日本企業が原発を二基輸出した。今回、アジアフォーラムとして富岡など福島被災地をアジアの人々に見てもらった。貴重な交流が持てた」と報告した。

アジアで反原発・反核の闘う仲間たちとフクシマの交流の実現は重要な機会だった。原発・核兵器のない世界の実現に向けて奮闘しよう。

(M)
 

【第四インター声明】新しい自由貿易協定(TPP、TTIP,TISA)について

ttip-action-brusselsTTPなどの国際自由貿易協定についての第四インターナショナル国際委員会の声明を紹介します。

………………

声明:新しい自由貿易協定(TPP、TTIP,TISA)は、何の解決にもならない。それはさらなる問題を生じさせるだけだ

第四インターナショナル国際委員会

2016年3月1日



 強盗団が犠牲者から奪い取るように秘密裏に、そして非民主主義的やり方で――。金融機関と多国籍企業を所有しているエリートたちは、新しい「自由貿易協定」の実施に向けて進んでいる。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)、TISA(新サービス貿易協定)がそれだ。

 以前の場合――欧州連合(EU)を生み出した諸条約や北米自由貿易協定が強制された時――と同様に、支配階級はこうしたイニシアティブを、「貧困をなくし、富と繁栄を増進させる」魔法の定式であるかのように提示している。自由貿易協定のバランスシートが「魔物の誘い」に惑わされて、それを待ち望んだ人びとにとって次のようなものであることは疑いない。

多国籍企業による現存各国家の合法性と主権の侵害、企業と国家の間の紛争を解決する「民間」法廷の設立、国家が依然として保持している公共サービス(教育、保健、交通、水道)の民営化と商品化、ソーシャル・ネットワークにおける表現の自由を消滅させる通信コミュニケーションの規制緩和、自営農民・家族農業の解体とモノカルチャーや遺伝子組み換え作物や殺虫剤の拡大、環境保護法よりもどん欲の優先、都市と農村の人びとの生活・労働条件のいっそうの悪化、そして新しい移民のうねりの促進。

新しいルールはそうしたことを許容するものだ。

もしこうした条約が実際に世界貿易を拡張していたのだとすれば、なぜ三〇億人以上の人口、すなわち世界の総人口の三分の一以上を占める諸国が全体としてはじき落とされているのか。こうした新しい規制の本当の意味には二重の要素がある。西側帝国主義諸国の影響圏内にある「他の国」のプレゼンスを制限すること、かれらの多国籍企業のために最大限の利益を保障することである。

現在、資本主義がこうむっている危機は、「自由貿易」を実現する諸条件に限定が課されているなどということで引き起こされたわけではない。

少数者の手中への富の過剰な集中(国際協力団体オックスファムによれば、現在、六二の家族が残りの九九%が所有するのと同じ額のものを持っている)、労働者階級の購買力の大幅な減少、グローバルな規模での巨額に上る債務の重荷(二〇一四年の統計では二〇〇〇億ドル)、架空資本の異常なまでの拡大――こうしたことが生産能力の相対的過剰を引き起こし、二〇〇八年よりもさらに深刻な、新たなリセッションを回避する国家の能力を減退させたのである。

米国ならびにその同盟国(西欧、日本、その衛星国)と中国との、経済的利益をめぐる矛盾の拡大――それは部分的にはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)として知られる諸国との間の矛盾をも形成するが――は、こうした新しい条約を、それぞれの国の超国家企業の力を強化し、可能な限りの民営化を促進し、そうした動きと対立する完全雇用や人間的・社会的・エコロジー保全法制を廃棄するはずみにさせていくことになる。

世界の労働者階級は、国民的政治の狭い領域に閉じ込められることはできない。われわれはこうした諸矛盾を注意深く追跡し、帝国主義的盗賊どもの対外政策のセットのあらゆる秘密を習得し、世界の労働者階級や人間性の利益と完全に相いれない、見せかけの利害に自ら引きずられることを許してはならない。中国。ロシア、米国や欧州諸国の支配階級は、われわれの共通の敵である。これは国家間の闘いではなく階級闘争であり、われわれは多国籍企業や軍事化に反対して、世界のすべての人びとに手を差し伸べる。

われわれは、こうした「商業的条約」の創設に全面的に反対して、グローバルな規模ですべての労働者の生活条件・労働条件の改善にもとづくオルタナティブな政策を促進する。労働組合活動と集団的交渉の実践の自由を回復し、経済の戦略的部門を再国有化する。巨額の資産と投機的資本への強力な進歩的課税を行う。移住の自由のために国境を開放する(合法的でない人などいない)。すべての不快で、不法で、正統性のない、持続不可能な公的債務を否認する。労働の領域と人権の擁護において国際的協定の適用を求める。そしてさまざまな国家グループの間の現存する不均衡を計算に入れた国際的貿易を育成する。

第四インターナショナル――すべての大陸にいるそのメンバーはこうした条約の批准に反対する運動の一部分を構成している――は、二〇一六年二月二一日にスペインにおいて、欧州大陸のさまざまなラディカル左派政治勢力によって採択されたようなイニシアティブを歓迎する。それは民衆の社会的統合のためのオルタナティブなプログラムを発展させ、きたる二〇一六年五月二八日(土曜日)に計画されているような広範な動員を実現することを目指している。

こうしたタイプのイニシアティブを世界レベルに拡大すべきであり、大陸を結んだ統一した動員が調整されるべきだ。こうした条約の批准は、決して不可避のものではない。世界の民衆が、最後の決定権を持っているのだ。

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