虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

North-South America

トランプの勝利は中東にとって何を意味するか

trump2_18_16トランプの勝利は中東にとって何を意味するか

ジルベール・アシュカル

2016年11月11日


 米国の新大統領ドナルド・トランプの対外政策一般、そしてとりわけ中東政策は、彼の国の海外に向けてその帝国的政策を一九世紀末に開始して以来、この職についた者の中で最も予測不可能な人物としてきわだった存在である。

 トランプは自ら矛盾に満ちており、幾つかの問題に関して選挙期間中も立場や調子を変えていった。しかしここ数年の間、彼が執拗に繰り返してきた幾つかの重要なテーマから考えれば、彼が大統領の任期中、中東に関してこだわっているだろう問題点を推測できる。

 彼の大統領への選出によって、最初に悪影響をこうむるのはシリア民衆となるだろう。米国へのドアはシリア難民に対して、キリスト教徒を例外として閉ざされてしまう。トランプのシリア難民に対するアジテーションは、つねにイスラム嫌悪(イスラモフォビア)を中心としているからだ。

 シリアからの難民流出を完全に止めるために、トランプは国境に「安全地帯」を作ることを主張している。居場所を奪われたシリア人たちは。そこで難民として海外への出国を許されるのではなく、一つにまとめられる。彼はアラブ湾岸諸国がそのための費用を払えと叫んでいる。メキシコとアメリカの国境に彼が作れと言っている「壁」の費用をメキシコに払わせる、というのと同じだ。

 トランプは第二に、ロシアの利害に協力することを基礎にロシア大統領ウラジミール・プーチンとの新たな友好・協力政策を出発させるだろう。これは中東において、シリアでのロシアの役割を積極的なものとして受け入れ、バシャル・アル・アサド政権を「より少ない悪」として受け入れることを含む。

 それは論理的には、この地域における米国の同盟者に対して、シリアの武装反対派への支持をやめるよう求めることを含む。ワシントンはその時、モスクワとともに「和解」政権の「反対派」メンバーを含むシリアの「連合政府」の共同スポンサーとなる。それは「テロとの戦争」の名の下に米国がアサド政権と協力する道を開くことになる。

 プーチンとともに権力の座にある「強い政治家」を支持する政策を採ることによって、トランプは、エジプトのアブデル・ファタハ・エル・シシ大統領とトルコのレイップ・タイイップ・エルドワン大統領の双方とワシントンとの関係を改善しようと望むだろう。

 彼は二人の男との間のフェンスを修繕し、二人をなだめすかして「テロリズム」に対する共同の努力を支持させることになる。それは二人の大統領がかれらの国で行っている「テロリズム」の定義を受け入れることになる。

 トランプがオバマ政権によるイランとの間の核交渉を廃棄しイランを敵に回す用意を示した以上、彼はサウジアラビアを引き入れてワシントンが支援するアンカラ(トルコ)、カイロ(エジプト)、リヤド(サウジアラビア)のスンニ派トライアングルに加わらせるよう試みるかもしれない。

 中東に向けたトランプのビジョンの原則的自己矛盾がここに存在する(彼の中国への敵対的スタンスは彼のグローバルビジョンの原則的自己矛盾なのだが)。それに打ち勝つにはモスクワ(ロシア政府)とアサド体制をテヘラン(イラン)との決裂に誘い込むことが必要である。

 最後に、トランプの下でワシントンとの関係が大きく改善されるだろうもう一人の地域的「ストロングマン」がいる。イスラエル首相のベンジャミン・ネタニヤフである。こうしてトランプが大統領に選出されたことによるもう一つの直接的犠牲者は、パレスチナ民衆である。ネタニヤフは、二〇〇一年九月一一日の攻撃の後のアリエル・シャロン以来のどのイスラエル首相よりも、パレスチナ民衆への対処においてより多くのフリーハンドを与えられることになるだろうからである。

(「インターナショナルビューポイント」ウェブ版二〇一六年一一月号)

【トランプ当選に際しての米社会主義組織の声明】右翼を打ち破るために左翼の建設を!

Cw8rJTJWgAAONLP(トランプ当選の報とともに「トランプ打倒」の大きなうねりが全米で巻き起こった。写真はマイアミにおける高速道路占拠)

 以下は米大統領選挙結果についての社会主義組織「ソリダリティー(連帯)」執行委員会の声明。「ソリダリティー」は米国における第四インターナショナルの支持組織。

右翼を打ち破るために左翼の建設を!



ソリダリティー執行委員会


2016年11月10日



 以下は米大統領選挙結果についての社会主義組織「ソリダリティー(連帯)」執行委員会の声明。「ソリダリティー」は米国における第四インターナショナルの支持組織。



 われわれは全世界の幾億の人びとと同様に、今朝目覚めて、ドナルド・トランプが米国大統領になったことにうろたえ、恐れおののいた。民主党やヒラリー・クリントンについてそれぞれがどのように考えていようと、投票した人の多数がトランプに投票したなどとは誰も信じたくなかった。トランプの勝利は、勢いを増しているポピュリスト右翼のグローバルなあり方であり、同じように予期されなかったイギリスの「ブレグジット(EU離脱)」投票の軌跡に従うものだった。トランプはマリーヌ・ルペン(フランス国民戦線の代表)のような欧州における右翼民族主義指導者たちの祝意を浴びている。

 今回の選挙で生み出されたものは、部分的には明らかに白人優位主義の表現である。しかしそれだけではない。選挙でクリントンがほぼ間違いなく代償を支払わされることになった戦場である、斜陽化した鉄鋼業が広がる州(ラストベルト=赤さびたベルト地帯)では、二〇〇八年と二〇一二年の選挙でオバマは二〇一六年のクリントンよりも白人有権者の中で明らかに好成績を残した。それは、今回の投票結果が単純に白人有権者のレイシズムのためだという意見よりも、もっと複雑な事態を示すものだ。

支配階級の新自由主義の政治が、数十年にもわたって全国と全世界で勤労人民の生活とコミュニティーを荒廃させてきたことが事実なのであり、ヒラリー・クリントンは多くの人びとによって、支配階級のエスタブリッシュメントの権化として、正しくも見なされている。多くの白人にとって、そうしたことが生み出した恨みは、レイシスト的で外国人嫌いの怒りという形を取っているが、その根っこはもっと広いものであり、レイシストの逆襲に打ち勝つためには、左翼はこうした事態を引き起こした根源を正しく指し示さなければならない。



悲しむべきことに、共和党の既得権層はドナルド・トランプの右翼ポピュリズムに対して自らの党をコントロールすることができず、民主党は新自由主義のセンターに危険を侵して倍賭けした。民主党全国大会は、あらゆる手段でバーニー・サンダース―-ポピュリストである彼はあらゆる世論調査でクリントンよりもよくトランプと対抗できるとされており、トランプが助長していたのと同様の経済的不安をかきたてていた――が候補として指名されないよう全力をつくした。

 ほとんど誰もが良いとは感じない候補者のために非民主的な道を切り開いた民主党は、左派や有色人種からの投票を当然のことと想定した上で、大統領選で保守派の有権者の票を獲得しようと追求したのである。民主党全国大会は、共和党大会の予備選でトランプが勝利するよう促し、そうすることで大統領選挙の本番において民主党が、それほどレイシスト的ではない保守派の票を獲得して勝利することがたやすくなるとふんでいた証拠が存在する。

 その一方で、緑の党――民主党よりも左に位置する最も目につくオルタナティブ――は大統領選で一%に満たない票しか獲得できなかったようである。この結果も、緑の党を左翼の党として建設しようと追求していた人びとにとって失望をもたらすものだった。その多くは五%の得票を目標にしていたが、実際の得票数は民主党の支持者あるいは無党派で、投票せず家から出なかった人びとや、さらに悪いことに船を飛び越えてトランプに投票した人の数よりも少なかった。

 簡単に言えば、米国の政治の中で左翼は空白となっている。まともな分析のどれも、民主党の大統領候補選びには最善の場合でも人間の顔をした新自由主義以上の存在はいなかった、とは結論づけていない。あらゆる人口統計とすべての政治的領域で見られた大衆的不満を生み出したものは、まさにこうした政治なのである。「どいつも同じ」という気分を促し、解決への期待を低めたのは、解決策を提起しなかったためであり、あらゆる左翼オルタナティブの不在こそ、少なくとも選挙期間中は不満のはけ口が右翼の側に流れていくことを確実にさせてしまったのである。



 われわれは、トランプに代表される白人至上主義とナショナリズムの極右的言説を打ち負かさなければならない。われわれの生命は、まさにその点にかかっている。しかし右翼を打ち負かす唯一の道は左翼の建設である。われわれは支配階級が選んだ候補者とかれらの新自由主義的課題を背後にして、より大きな統一を構築することでは、この闘いに勝利することはできない。何か悪いことへの恐怖から、この選挙でクリントンに勝利をもたらすに十分な多くの人びとを結集したとしても、あるいは彼女のような誰かのために二〇二〇年に同じことをしても、問題を先送りするだけで、右翼は強くなり続けるだろう。それではわれわれが勝利し、よりよい世界を作るために必要なパワーを築き上げることにはならない。

 そうするためには組織化が必要である。地域レベルから始めて、選挙政治において意味ある介入手段を左翼に与える、真に独立した政治的パワーを作り上げることが必要だ。リッチモンド進歩連盟は、その一例だ。同連盟は昨日、カリフォルニア州リッチモンド市政府で多数を獲得する三つの選挙で勝利した(訳注:米国西部カリフォルニア州のリッチモンド市は、人口一〇万人。同名の東部バージニア州のリッチモンド市とは別)。それは草の根の選挙パワーがどのようなものかの例証だ(こうした活動に参加する一つの方法は、二〇一七年三月三日から五日までシカゴで開かれる左派選挙会議に参加することだ)。

マサチューセッツ州の州民投票で、教員組合が主導する運動がチャータースクール(公設民営校)の拡大を求める大量の資金を投入したキャンペーンを打ち負かしたことも、われわれが新自由主義的民営化に反対して組織化をする時、何ができるかの励ましとなる例である。

われわれは、「黒人の命は大事」運動、ダコタ・アクセス・パイプラインに反対するスタンデイング・ロック・スーと連帯する闘い(訳注:スー族などスタンディング・ロックのアメリカ先住民保留地を通る環境破壊の石油パイプライン計画に反対する運動)、移住民の権利擁護グループなど、トランプの構想や極右のトランプ支持者の暴力による被害を最もこうむりやすい人びとにパワーを与える闘いを支援する必要がある。

現場の一般活動家が先頭に立つ社会的公正を求める組合活動、さらには階級的連帯による労働者の団結を可能にし、白人労働者の中でのレイシスト的・右派的語りを打ち破る新しい刷新的形態での組織化を含めて斬新な労働者階級の組織を作り出すことも決定的に重要である。

最後に、われわれは革命的組織を作る必要がある。現在、世界でわれわれが直面している恐るべき諸力の配置の究極的な解決のためには、それを支え、その衝撃を形づくっている資本主義と白人優位主義、ならびに異性愛的家父長主義のシステムを打倒するほかない。社会主義組織なしに社会主義世界を勝ち取ることはできない。われわれは、それが「ソリダリティー」であろうと別のグループであろうと、革命組織を見いだし、参加し、その建設にかかわり、公正な世界のために闘っているすべての人びとを強く励ますものである。

現在、われわれすべてが次に何が来るのかについて恐れており、われわれすべてが、友人、家族、同志たちの感情的・肉体的健康を確保するようチェックする必要がある。しかしわれわれは、闘い、勝利することができる活気にあふれた反資本主義左翼の再建を明日まで待つ余裕はない。われわれは心の底から、今日、多くの人びとが語る言葉に同意する。悲しむことなかれ、組織せよ!



2016年11月9日



「イスラム国」とアメリカの空爆について米左派の論評

無題今問題になっているISISと米国のイラク爆撃についての米国の同志の分析です。
…………

からまった帝国主義のクモの巣

デービッド・フィンケル

http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article3599

 帝国主義は、自ら解決できない危機を創り出す。これこそオバマ大統領が九月一〇日に行った演説が最終的に残したものである。それはシリア、イラクからアフガニスタンなどにつながる破局の連鎖なのである。米国が次の中東戦争に滑り落ちるなかで、今度こそ違ったものになると期待できる理由などあるのだろうか?

 テロリズムからエボラ出血熱にいたる、あらゆるグローバルな危機と闘う米国の「リーダーシップ」に関する、型にはまったたわごとはさておき――水責めの拷問、「異常な演出」、アフガニスタンやイエメンの結婚式パーティーを一掃する無人機爆撃、ガザへの連続的虐殺のためのイスラエルへのF16やヘルファイヤー・ミサイルの提供などでのわれわれの前衛的役割は知ったことではない――、オバマ大統領は少なくとも、イラクの石油収入で支払われる速やかで値段のかからない勝利というジョージ・W・ブッシュのウソを再利用してこなかった。オバマの演説は、敵を「弱体化させ、究極的に破滅させる」には時間とカネとリスクが伴うことを明らかにしている。

 

二〇一四年九月一〇日、オバマはイラクでの新たな米軍配備を発表した。

 オバマは、実際には一つの国名も名指しをしないまま、同盟諸国の広範な連合について語った。一五〇〇人ほどの米軍「顧問団と訓練員」の派遣という大統領の発表は、確かに婉曲な響きがする。しかし戦術的な意味では、彼が概括した限定的で特殊な目的は確かに達成可能である。しかしイラク、シリア、そして地域全体で次に何が起こるかは、巨大な戦略的空白状況を招くことになる。

 自称「イスラム国」なるものが、全体主義的でジェノサイド的存在であることは疑いない。しかしこの怪物は真空から生まれたものではなく、一部の頑迷な賢者がわれわれに信じ込ませたように七世紀のイスラムの教義から生じたわけでもない。それはむしろナチズムとマフィアの現代的混合である。そこではヒトラーを権力の座につけたドイツの強力な産業的基盤、あるいはコーザ・ノストラ(米国のマフィア)に無辜の非戦闘員の大虐殺を一般的には抑制させる社交儀礼を欠いているのだが。

 もともとの呼ばれ方からすれば「イラクとアル・シャムスのイスラム国」(ISIS)、そしてかつての「メソポタミアのアルカイダ」は、二〇〇三年の米国の侵略によるイラクの破壊の直接の産物であった。第一次大戦後のドイツに強制された屈辱と経済的破壊からナチスが登場したこととおおまかに類比すれば、アルカイダのイラク支部は、イラク国家と支配政党のバース党を解体し、スンニ派主導の軍を廃止し、それを破壊された国家の諸機関に真空状態で置き替えた、ジョージ・W・ブッシュ、ディック・チェイニー、ドナルド・ラムズフェルドの「偉大な」決定から生み出されたものだ。

 「産業的」スケールでの宗派間の殺害が続き、シーア派・スンニ派の混住地域は消滅し、イラクは内戦の中でほとんどメルトダウンしてしまった。そして米国の占領は惨害の中で泥沼にはまり込んでしまった。二〇〇六年から〇八年にかけて、米国はスンニ派の部族指導者にカネを出し、アルカイダに立ち向かわせて大きな成功を収めた。しかし資金が干上がる中で、ブッシュ、つづいてオバマの政権は、腐敗した宗派主義者のアル・マリキ政権に依存し、米国の戦闘部隊は不可避的に撤退した。ジャーナリストのロバート・フィスクは、米国の占領のきわめて初期に、先見の明ある言葉でこの物語を要約している。「米国はイラクから去らなければならない。米国はイラクから去るだろう。そして米国はイラクから去ることができない」。

 そうした中で、アラブの春が二〇一一年にもたらされ、シリアで民衆蜂起が起こり、アサド政権がそれに大規模な軍事的残虐性によって対処した時、米国は政策的ワナにとらわれた。米国政府とその地域的同盟国は「アサドは退陣しなければならない」と宣言しつつ、反乱の結果を恐怖していた。その結果、ゆるやかに組織されていた「自由シリア軍」(穏健な反対派)の指導者たちは、アサドはイラン、ロシア、レバノンのヒズボラから全面的な支援を得ているのに対し、西側はかれらを支援するが実際にはかれらが失うものを補充する援助だけを与えている、という印象を持っていた。

 シリアの悲劇の中から「メソポタミアのアルカイダ」の残党が立ちあがり、ISISという新名称の下にアサド政権と一定の戦術的共謀を行った(ジハーディストの囚人の釈放、ISISが接収した油田の秘密の購入をふくむ)。そしてイラクが混乱状況に舞い戻った時、イラク北部に乱入してモスルを奪取し、捕虜にした兵士数百人を処刑し、キリスト教徒とヤジディ社会(訳注:ヤジディ教はイラク北部のクルド人の民族的宗教とされる)で虐殺を行い、この暴虐行為をメンバー募集ビデオとして撮影し、「イスラム国」として征服を拡大するという願望をはっきりと言明したのである。

 

 次は何か? 米空軍はクルド人勢力や部分的に再編されたイラク軍とともにISISによるこれ以上の領土征服の勢いを鈍らせるだろう。支配の空白領域で拘束されたかれらの輸送部隊は全滅させられる可能性がある。かれらの武器が倉庫に置かれている限り、破壊される可能性がある。ISISは自らの武器産業を持ってはいない。非スンニ派社会における、初期的段階でのジェノサイド的絶滅はほとんど予防できる。そして外国からのジハーディスト青年の流入は、トルコが国境管理を厳しくし、そしてとりわけ「イスラム国」がもはや勝ちそうもないと見られれば、減少することになるだろう。

 クルディスタン地域政府とペッシュメルガ(訳注:イラク・クルド人ゲリラ部隊)武装勢力は、その弱点にもかかわらず、ISISの脅威に対して抵抗するとともに、かれら自身の自由のために闘っている。かれらは、それが手に入れられる場合にはどこでも、必要とする援助への権利を有している。住民たちののど元に突きつけられたISISのナイフを押し戻すために、かれらは最も重要な「地上兵力」なのだ。

 これらは多かれ少なかれ容易な部分である。次に起きることはもっと困難だ。情報アナリストのジョージ・フリードマンは次のように指摘している。

 「イスラム国は勢力を分散させ、非軍用航空機を標的にするのを否定するだろう。イスラム国支持者と他のスンニ派グループを区別し、支持者を殺害してイスラム国を打ち負かそうとするのは、最初の段階で失敗に終わるだろう……。今やかれらはスンニ派社会の網の目の一部であり、スンニ派社会だけがかれらを根絶できる」

 このことは明らかに事実である。ISISはイラクのモスル、ファルージャ、シリアのラカアといった都市に根を下ろし、空爆では打ち負かされない。

 要するに、イラク新政権(依然として重要閣僚の穴は埋まっていない)がアル・マリキ政権の閣僚の入れ替えのようなものになり、米国がシリアの政権――その軍事力、市民への残虐性は、その度合いにおいて「イスラム国」を超えている――と協力するようなことになれば、スンニ派ジハーディストの言説が確認され、ISISはもはや征服軍ではないかのように、かれらの影響力は持続的なものとなり、その病巣が転移することになる。



 注意を払っている誰もが、最近の経験から多くの教訓を得ている。オサマ・ビン・ラディンを殺害したオバマ大統領の大きな成功は、何も変えなかったことが明らかになった。何か変化があったというなら、CIAの協力組織がビン・ラディンを追い詰める中でポリオ・ワクチン注射プログラムを創り出したことが、パキスタンの極端な原理主義者にワクチン注射の労働者を殺害する口実を与え、公共保健に深刻な事態を招いている、ということだ(訳注:CIAによるビン・ラディンの捜索・特定にあたっては住民への肝炎ワクチンの投与が口実として利用された。そのためタリバンはワクチン投与活動を攻撃するキャンペーンを行っている、と報じられている)。

 オバマが米国の「スマート・ウォー(訳注:コンピューター情報戦争)」と考えたアフガニスタンでのブッシュの戦争は、想像できるかぎり最悪に近い形で終わろうとしている。米国の無人機爆撃は。イエメンやソマリアで起きたことを改善したという彼の主張は、幻想の飛翔である。

 正直になろうではないか。強いリーダーというオバマ大統領のイメージは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフが幾度もくりかえしオバマを失望させたことで、ほとんど高まらなかった。

 バランスをとることがほとんど不可能に見える、地域の政治的・宗派的紛争は、この新しい介入と米帝国のグローバル政策が直面する手に負えない矛盾の始まりに過ぎない。それはさらに拡大している。今やイランとの協力がイラク軍を保持する上で不可欠である。それはアサドを弱体化させる米国の意図にとって何を意味するのか。あるいはイランの核開発計画に関わる交渉にとってどういう意味を持つのか。代理人を通じたロシアの東ウクライナ占領によって混乱の淵にある欧州、そしてロシアが天然ガスの供給を削減すればこの冬に闇の中で凍える恐れに直面している欧州.を抱えるオバマ政権は、一度にいくつも複合的に起きる危機に対して、どのように「指導性を提供」しようとしているのか。

 大気中の二酸化炭素濃度が三九六ppmという不気味なレベルに達し、地球を荒廃させる気候変動の影響が戦争によって悪化するだけだという時に、こうしたことが起こっているのだ。帝国主義のグローバルなテロは、タリバンから「イスラム国」に至る、醜悪な、地方的かつ領域的な片割れを生み出したのである。破壊された社会で生じるテロリスト勢力は、不可避的にかれらを育むグローバルシステムを根こそぎにしないかぎり根絶できないのである。(二〇一四年九月一二日)

▼デービッド・フィンケルは米国の社会主義雑誌「アゲンスト・ザ・カレント(流れに抗して)」編集長。

(「インターナショナルビューポイント」編集長)

Occupy Wall Street-ウォール街を占拠せよ ニューヨーク声明

全世界に強いインパクトを与えている「Occupy Wall Street-ウォール街を占拠せよ」運動のデモ参加者によって9月29日に採択された声明を翻訳して転載します。


▲10月1日のブルックリン橋占拠闘争と700人に対する大弾圧




ニューヨーク市民総会(フリーダム公園)の第一「公式」声明

[原文 "Declaration of the Occupation of New York City"
http://nycga.cc/2011/09/30/declaration-of-the-occupation-of-new-york-city/]



これは9月29日午後8時ごろに、「ウォールストリートを占拠せよ」の全メンバーの投票で、満場一致で採択された。これは私たちの最初の、公式発表用の文書である。私たちはこのほかに3つの声明を準備中であり、まもなく発表されるだろう。それは(1)諸要求の宣言、(2)連帯の原則、(3)あなたがた自身の「直接民主主義のための占拠グループ」を組織する方法についての文書である。



ニューヨーク市の占拠の宣言



私たちは、大きな不公正に対して感じていることを表現するために連帯して集まっているこの時、何が私たちを結集させたかを見失ってはならない。私たちは、世界の企業勢力によって不当な扱いを受けていると感じているすべての人々に、私たちがあなたがたの味方であることを知らせるためにこの声明を書いている。



団結した1つの人民として、私たちは、人類の未来がその構成員たちの相互協力を必要としており、私たちのシステムは私たちの権利を守らなければならず、そのシステムが腐敗している時には、それぞれの個人こそが自分たちや隣人たちの権利を守らなければならず、民主主義的政府の正当な権力は人民に由来するが、企業は誰に同意を求めることもなく人民や地球から富を簒奪しており、民主主義のプロセスが経済権力によって決定されている間はいかなる真の民主主義も実現不可能であるという現実を認識している。



私たちは、人民よりも自分たちの利益を、公正よりも利己的な関心を、平等よりも抑圧を優先するさまざまな企業が私たちの政府を動かしているこのとき、あなた方に呼びかけている。私たちは次のような事実を知らせるために、ここに平和的に集まっており、それは私たちの権利である。



あの人たちは違法な差し押さえ手続きによって私たちの住宅を奪った。もともとの抵当権など持っていないにもかかわらずである。



あの人たちは納税者のお金で救済され、免責され、今まで通り役員たちに法外なボーナスを与え続けている。



あの人たちは職場の中に、年齢、皮膚の色、性別やジェンダー・アイデンティティー、性的指向をもとにした不平等と差別を永続化してきた。



あの人たちは怠慢によって食糧供給を汚染し、独占化を通じて農業システムを崩壊させてきた。



あの人たちは人間以外の無数の動物たちを苦しめ、閉じ込め、虐待することによって利益を上げ、そのことを隠してきた。



あの人たちは従業員から、より有利な賃金やより安全な労働条件を求めて交渉する権利を奪おうとしつづけてきた。



あの人たちは学生を教育のための何万ドルもの借金に縛り付けてきた。教育は人権であるにも関わらずである。



あの人たちは継続的に労働者をアウトソーシング(外注化)し、それを梃子として労働者の健康保険や賃金を切り下げてきた。



あの人たちは企業に人民と同等の権利を与えるように裁判所に圧力をかけてきた。いかなる刑事責任も社会的責任も負わせることなしにである。



あの人たちは健康保険に関する契約を免れる方法を見つけるために、何百万ドルものお金を法律対策チームのために使っている。



あの人たちは私たちの個人情報を商品として売っている。



あの人たちは報道の自由を妨げるために軍隊や警察を使ってきた。



あの人たちは利益追求のために、生命を危険にさらすような欠陥製品のリコールを意図的に拒否してきた。



あの人たちは自分たちの政策が破滅的な結果をもたらし、現在ももたらし続けているにもかかわらず、いまだに経済政策を決定している。



あの人たちは自分たちを規制する立場にある政治家たちに巨額の献金をしてきた。



あの人たちは代替エネルギーへの移行を妨害し、私たちを引き続き石油に依存させようとしてきた。



あの人たちは人々の生命を救うことができるジェネリック薬の普及を妨害しつづけている。これまでの投資を守るためと言っているが、それらはすでに莫大な利益を上げている。



あの人たちは利益を守るために石油の漏出や、事故、不正経理、添加物を意図的に隠してきた。



あの人たちはメディアの支配を通じて意図的に人々に誤った情報と恐怖を植え付けている。



あの人たちは囚人を殺害するための民間契約を承認してきた。容疑についての重大な疑義が提示されている場合にさえである。



あの人たちは国内でも国外でも植民地主義を永続化してきた。



あの人たちは国外において、罪のない市民の拷問と殺害に関与してきた。



あの人たちは政府からの調達契約を獲得するために、大量破壊兵器を生産し続けている




(・・・私たちの不満はこれに尽きるものではない)



世界の人々へ



ウォールストリートのリバティー広場を占拠している私たち、ニューヨーク市民総会はあなた方に、あなた方の力を行使することを促す。



あなた方の平和的に集会を開く権利を行使し、公共の空間を占拠し、私たちが直面している問題に対処するプロセスを作り出し、すべての人々に届く全体的な解決策を作り出そう。



直接民主主義の精神において行動を起こし、グループを形成しているすべてのコミュニティーに対して、私たちは提供可能なあらゆる支援、文書、およびすべての資材を提供する。私たちと共に、声を上げよう!
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