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China

中国:改良はすでに死す、革命まさに立つべし

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中国共産党の第20回代表者大会が1022日に閉幕し、翌日の23日には習近平を中心とする新指導部が披露された。ほとんどが習近平に近い人事で、怒りや落胆の声があちらこちらから聞こえてきたが、その日、香港の友人らが主宰するウェブサイト「無國界社運Borderless Movement」に発表された文章(原文)は、中共の自浄作用という幻想をきっぱりと拒否し、社会全体の激しい闘いを通じた大転換という展望を提起している。タイトルは、後漢末期に起こった壮大な農民反乱である「黄巾の乱」が掲げたスローガン「蒼天はすでに死す 黄天まさに立つべし」から。(H)

 

 

改良はすでに死す、革命まさに立つべし


楚三

 

中国共産党の自浄作用への希望は以前からあった。鄧小平一派による「改革開放」はこれまでも崇拝の対象となり、89年民主化運動では趙紫陽ら開明派指導者による巻き返しに期待を寄せ、リベラル派知識人はいわゆる「胡温新政」(胡錦濤と温家宝の新政策)に幻想を抱き、習近平政権の当初における「反腐敗」闘争は各階層から賞賛され、李克強はこの20回大会でトップに就任して政策転換を図るだろうという噂が広く信じられてきた

 

しかし、中共の新しい指導部が明らかになると、習近平一味が全面的に権力を掌握し、この国のさらなる暗部への堕落を阻止できる勢力が中共内部から登場することはあり得ないことがハッキリとした。つまりは、そういった幻想を完全に捨て去るときがきたということである。

 

もちろんそのような期待を嘲笑する必要はない。それは宗教の誕生と同じように、巨大な敵と対峙した人類が救世主の降臨を期待することは、ある種とうぜんの反応でもあるからだ。

 

中共内部には確かに改良に尽力する人物がいるのかもしれない。だが民主主義を欠いたシステムのなかでは、最も悪辣な手法と弱肉強食のルールに長けたマキャベリストだけが最後の勝者となる。しかも彼らはこのシステムを一世代ごとに悪化させてきた。その結果、改良はますます困難となり、それに挑戦しようとする者はますます減り、最終的にはほぼ皆無となる。今日われわれが迎えたのは、体制内から救世主は現れず、中共に改良の可能性がなくなったという歴史的岐路である。

 

しかし統治下にある人々が、このようなシステムが完全に終わってしまったという結論を、おのずと導き出すことはない。現状に満足する習近平一味のファナティックな信奉者と異論派の救世主に期待する人々以外に、さらにこの現実を受動的に受け入れる多くの人々がいる。政治への無関心からかもしれないし、支配機構を突き動かすことができないとあきらめていのかもしれない。人々の意識はバラバラであり、ここにあげた3つのタイプはあくまでおおざっぱな分類である。しかし、彭載舟(※)のように、革命を真剣な選択肢の一つとして考える人間は、いまだごく少数にとどまっている。だが人々の意識は常に変化するのであり、しかも変化の速度も一定ではなく、決定的な歴史の瞬間にはいつも集団的で巨大な変化をもたらす


)彭載舟は、大会直前の北京で掲げられた横断幕に書かれた反政府スローガンの発案者と言われる。

 

楽観的な点でいえば、習近平一味は国家経営に関しては無能で、ファナティックな信奉者が今後も持続して増加することは難しいということである。宮廷内の権力闘争や民衆に対する弾圧には長けていたとしても、日々その困難さを増している経済状況(失業率、財政赤字、成長率の停滞、投資引き上げ、対外投資の失敗など)、帝国主義の国際競争において有利な地位を勝ち得ない(西側の技術封鎖を突破できず、軍事的にも台湾を圧倒できず、頼りになる盟友もなく、国際的イメージもガタ落ち)、無数のファナティックな信奉者らに実質的な利益を実感させることもできていない(社会保障の縮小、実質賃金の低下、対外投資からの利益にあずかっていない)。過去十年の経験が示しているのは、高級幹部あるいは最重要の暴力装置構成員(軍や警察)でなければ、忠実な信奉者による苦労はそれほど報われるものではないということである。これまで以上に多くの時間、精力、子宮(人口減少への対策として党国家に奉仕するために子どもを3人産むことを奨励している)、忖度、治安維持、政治学習と引き換えに得られるものは、十年前とたいして変わらない世間並みの生活とかつて以上に厳しい昇進の道だけにすぎない。曖昧模糊とした「偉大な事業」という口約束も、かれらをそれほど長く引きとどめて犠牲を強いることは難しいだろう。

 

逆に楽観的になれない点で言えば、かつて救世主に期待をかけたかどうかにかかわらず、いま異論派に最も多くみられる選択肢が中国からの逃亡、つまりいわゆる「潤」(ルゥン)である(これは「潤」の漢字の発音を表す「run」[=中国語で「ルン」と読む]と英語のrunをかけたもので、中国からの逃亡を意味する:編集者)。習近平の徒党どもは大富豪の逃亡は許さないかもしれないが、多くの資本家と中産階級にとってはまだ移民は容易である(全ての財産を海外に持っていけるかどうかは別問題だが)。しかしこれらの階層の中国人は往々にして惰弱で利己的である。長年にわたり海外で中国共産党に反対する政治運動への参加や支援を見ればそれが分かる。このような人々が国内に留まっていたとしても、それが革命の主体になると考えることは難しい。その下の階層はどうかといえば、仕事や留学で海外にいく道筋は狭まってはいるが、都市部の青年(とくに大学生やホワイトカラー)にはまだまだチャンスはある。この階層の個人においては、「潤」は最適解であるが、親のコネや財産でなく自分の努力で「潤」が可能な青年たちは、往々にして中国共産党のことをよく理解しており、海外ではもっとも活発な反中国のアクティヴィストになっている。この若者たちは海外において中国共産党を打倒するための力を発揮するであろうが、しかし革命の決定的な一撃は、やはり壁の内側から発生するものでなければならない。

 

今日までに、中国共産党が代表するのは、官僚階級、紅い貴族、そしてその両者のためにマネーロンダリングにいそしむ資本家ら全体の利益であった。そして今日からは、党内には習近平一味の一ファミリー独裁だけが残り、ほかの系列は誠心誠意こころから党のために働くことはなくなるだろう。もちろん習一派も簡単には他の派閥に隙を見せることはない。習一派の武将たちによるこの間の「業績」をみれば、中国の内政と外交が今よりも悪化することが予測できる。現状を受動的に受け入れてきた人々のなかには、すでに「寝そべり」や「放棄」といった風潮が横行してはいるが、状況がよりいっそう悪化した時にはどのような反応をおこすだろうか。多くの場合、民衆が革命に向かう理由は、革命宣伝によってではなく、飢え、失業、巨額の借金で、すべてを失い、自由も奪われ、権利を損なわれ、尊厳を奪われ、戦争に敗北し、約束が破られることがきっかけになってきた。

 

壁の内側の多数の民衆は中国共産党支配の終焉を願ってはいるが、それは必ず革命がおこるということを意味するものではない。恐怖、弾圧、戦争、矛盾の転化、あるいはいくらかの突発的事件の発生が、蓄積されつつある革命情勢を破綻に追いやることも可能である。歴史上の革命もまた偶発的なきっかけで始まったことが多い。それが成功するかどうかは、その機会を逃すことなくつかみ取ることができるかどうかにかかっている。武昌蜂起(辛亥革命)や1917年のロシア2月革命、近年においてはアラブのジャスミン革命などがあげられる。つまり、我々は(破滅への)「総加速師」(※)が鎮座することで「その時が必ず来る」といって傍観して待ち続けていてはならないのである。


(※)「総加速師」とは習近平のあだ名。破滅の道へ加速するという意味が込められている。鄧小平が改革開放の「総設計師」と称されたことに由来する。

 

漆黒の闇が一番深いこのとき、革命の暁の光がどこから射すのかは分からないが、革命家は今できることを精いっぱいやるだけである。工夫した方法で革命の必要性と可能性を宣伝し、アトム化・個人化に陥らないために志を同じくする仲間と結びつく。健康を維持し、敵よりも長く生き延びる。社会の最も抑圧された人々──女性、少数民族、底辺労働者、貧困者など──これらの人々は往々にして最初に抵抗に立ち上がる人々でもある。先人の経験、教訓、戦術、組織化の方法を学ぶ……。

 

當然,還有很重要的一件事是培養自己的勇氣,這樣當千萬人開始行動之時,我們才不會退縮。

 

そしてもう一つ重要なことがある。それは、大衆が行動を始めたときに我々自身が委縮することのないように、自らの勇気を養うことである。

 

2022.10.23


中国新左派の更なる右傾化(転載)

週刊かけはし2021年2月8日号に掲載された汪暉批判の論考は、ウェブサイトの移行でリンクが切れていることから、以下に再掲する。当ブログに掲載した解説「【中国】国家主義と階級協調で党指導部を擁護する汪暉教授もあわせて再掲しておく。

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中国の「左翼」ナショナリストとは?

ナチスの思想家の作品に強い関心を示す中国の知識人集団
 

ブレイン・ハイオレン

 

【解説:この文章で主な批判対象となっている汪暉(1959~)は現在清華大学教授、魯迅研究者として出発したが、幅広く現代思想、世界状況を論じ、一九九〇年代の中国思想界の論争では、「リベラル派」からは毛沢東主義復興を目指す「新左派」の一人と見なされていた。區龍宇氏の『台頭する中国』(2014年、柘植書房新社)にも汪暉批判の論考が掲載されている。近年、習近平寄りのナショナリスト的言説が物議を醸している。本稿は在外香港人左翼のプラットフォーム「流傘/LAUSAN」のウェブサイトに掲載されたものを翻訳した。原注は( )、訳注は[ ]に入れた。:週刊かけはし編集部】

 

米中の緊張が高まる中、多くの人が国際情勢の現状を表現するために歴史的な比喩に向かいがちである。中でも、勢いづく突出した比喩の一つが、中国をナチス・ドイツに例えることである。これには多くのパターンがあり、「CHINAZI」(チャイナチ)のような下品な罵詈や、習近平国家主席のことを「Xitler」(シトラー)と呼ぶなど、ナチスとの連想で惹起される罪の形も含まれる。-中国のナチス・ドイツとの関連性は、中国政府が新疆ウイグル自治区で運営している大量収容所への怒りの声が広がっていることでさらに強まっている(脚注1) 。これはウイグル人や他の先住、少数民族集団を多数民族の漢民族に強制的に同化させようとする民族浄化と名付けられてきた企図の一環である。

 

一方で、中国の知識人の中には、ナチスの法学者カール・シュミットに代表されるナチスの思想家の作品に強い関心を示す者もいることが注目されている(脚注2) 。彼らにとって、シュミットの魅力は、その反個人主義、国家の優位、一人の指導者に委ねられた中央集権的権力の擁護という点にある。興味深いことに、これらの中国の知識人たちもまた、明らかに伝統的左派の出身であり、「中国新左派」といった緩いグループの一員である。私はこうした知識人たちを中国左翼ナショナリストと呼ぶ。

 

中国の美術評論家で元研究者の栄剣(ロン・ジエン)の最近のエッセイは、中国の最も著名な左翼ナショナリストの一人を批判して波紋を呼んだ。汪暉(ワン・ホイ)である。栄剣は、汪氏をナチス党のメンバーであり支持者でもあったドイツの哲学者マルティン・ハイデッガーに例えている。栄剣によれば、汪はレーニンや毛沢東のような20世紀の革命家によるカリスマ的な政治的指導力の重要性を主張しているが、それは同時に、習近平の周囲の個人崇拝の高まりを擁護するものでもある。それは、ハイデガー自身が行った、ファシスト的形而上学の中心的、神話的人物としての[ヒトラー]総統賛美を私たちに想起させる主張である。

 

◆新自由主義と民主主義に反して

 

中国の左翼ナショナリストは、中国を西欧諸国から切り離す本質主義的な差異を信じている。この差異の源は、文明化した術語でいえば、「中華文明」と「西洋文明」のような、あるいは、より近代的な術語で言えば共産主義と資本主義の違いというように考えられてきた。これらの思想家にとって、この違いの本質は、中国の文脈における党・国家の優位性と、西洋の文脈における自由市場や規制されていない民主主義の優位性との間の衝突にある。これはまさに、中国の民族主義的左翼が、国家統制主義概念を支持するシュミットのような人物の方に引き寄せられてきた理由である。実際、シュミットの政治活動を「友と敵」の区別に還元する見方は、中国の民族主義者が、冷戦時代にすでに存在し、今日の米中地政学の中で復活している二項対立で現在の世界秩序を描き続ける限り、彼らに訴えかけるのである。シュミット主義的な考えに寄り添うことで、彼らは主権者としての国家の優位性を保証し、外部の脅威に対抗して国境を強化したいという願望を正当化することができるようになる。

 

過去数十年間、中国の左翼ナショナリストたちは、欧米左翼学界の新マルクス主義やポスト構造主義的なアプローチを参考としてきた。80年代から90年代にかけての中国の自由市場への移行を、西洋左翼の新自由主義分析に沿って位置づけてきたのである。このような流れの中で、デヴィッド・ハーヴェイやナオミ・クラインのような西洋の理論家は、中国の新左派を同伴者として見る傾向があり、この親和的関係は、ハーヴェイの『新自由主義』やナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』のような新自由主義秩序批判の基礎となる書物の中で、汪暉がたっぷり引用されていることからもわかるだろう。しかし、中国の左翼ナショナリストのシュミットへの関心が開花したのもこの時期である。

 

汪はまた、民主主義を実践していないにもかかわらず、民主的コンセンサスを表現する思想を提供しているとして、歴史的に党を擁護してきた。その一例が、毛沢東が政策決定の際に大衆に相談するために用いた戦術である「大衆路線」を過大評価したことである。彼は、このような実践は、欧米のモデルでは成し遂げられなかった民主主義の表現であると主張している。汪は次のように述べている。「人民戦争の基本戦略は大衆路線であった......階級の自己表現、ひいては政治的意味での階級を生み出したのは、人民戦争の状況下での党とその大衆路線であった」(脚注3)。 汪はまた、国家は民主的ではありえないという主張から国家を擁護して、こう主張する。「国家の政治システムが問題に対応する能力を持っているならば、その社会には民主主義の要素があり、その可能性があることを示している。しかし、私たちの民主主義に関する理論は、その政治的形態に焦点を当てすぎたため、これらの実質的な可能性を無視してきた」と(脚注4)。

 

◆党=国家体制の防衛

 

対応力のある国家装置は必ずしも民主的なものではないが、おそらく効率的なものであるとよく言われている。民主的であるふりをすることに関心のない権威主義国家はときに、民主的なシステムよりも効率的であると主張することで、その支配を正当化してきた。

 

実際、歴史を通じて、党や国家は、たとえ特定の利益集団を代表していたとしても、人民の代弁者であると主張してきた。多くの人は、現代の中国の党=国家体制[党が国家を代行しているシステム]は、まさにこのように批判してきた。それは中国国民全体の制度というよりは、党の創始者の子孫である少数の権力者や政治的に影響力のある一族を守ろうとしているだけの制度である、と。ニーチェが言ったように、「国家はすべての冷酷な怪物のうち、もっとも冷酷なものとおもわれる。それは冷たい顔で欺く。欺瞞はその口から這い出る。『我が国家は民衆である』と」。[『ツァラトゥストラはかく語りき』]

 

汪暉は、党と国家を区別してきており、党と国家が完全に同一ではなかったことが中国のシステムの強みであり、鄧小平時代に両者が次第に合体していったときにその区別は失われたと主張している。今なお汪は、党と国家の双方を立て直そうとしている。

 

これは[党に比して機能を]減じつつある国家の弁明に他ならない。国家は西洋の政治モデルと並置して評価されているが、その西洋政治モデルの主要な欠点は、中国の政治システムにおける国家の比較的強い役割とは対照的に、国家の役割が弱いことであると汪は見ているのである。このような党=国家体制の擁護は、人民、党、国家の差異を解消して一つに融合しようとするものである。汪は頻繁に大衆路線を参照することで隠そうとしているが、党=国家はルソーの一般意志[全人民の総意]のようなものを表現することができると主張しているのである。

 

もちろん、ここでの分析の基本的な単位は国家(中国の場合は党=国家)である。国家を欠く人民とは関わることができないため、汪は自己決定の原則に否定的な評価を下すことになる。特に、汪は、国家不在の場合の自己決定の要求を真剣に考えていない。汪が中国の周縁地域でも自決に広く反対してきたのは、このような分析的なレンズを通してであった。彼は、チベットとウイグルの独自のアイデンティティは、中華国家の支援の下では歴史とともに消えていくだろうと主張してきた。香港と台湾のアイデンティティに関する彼の見解は一貫しているが、汪によれば、これらのアイデンティティの出現はかなり最近のことであり、同様に突然崩れる可能性があるのだと。

 

このように考えると、中国の左翼ナショナリストに属する胡安鋼のような人物たちが、中国の民族国家化を直接主張しても不思議ではないかもしれない。胡氏は2012年の論文の中で、「いかなる国家であれ長期的な治安と安定は、統一された民族(ナショナル)アイデンティティを構築し、ナショナル・アイデンティティを強化し、エスニック・グループ(民族)アイデンティティを希薄化させるようなシステムの構築の上にこそ成り立つ」と書いている。胡の主張はその後、文字通り、エスニック・グループのアイデンティティを希釈するために漢人とウイグル人との結婚を奨励する努力を正当化するために使用され、汪氏のアイデンティティに関する見解に論理的帰結をもたらした。

 

◆革命的人格

 

汪暉の断固とした党=国家体制擁護は、最近では習近平の「革命的人格」に対する擁護へとシフトしているが、これは実際彼の初期の研究とは矛盾していることがわかる。汪はかつて、大衆路線の利用が民主的意思決定の効果的なシステムであると主張して党=国家体制を合理化していたのに対し、最近では、声を張り上げ、党の他の指導者たち─彼らが党を指導しているのであるが─を凌駕する権威を持つ非凡な指導者を支持している。汪暉はこの指導者を「革命的人格」と呼んでいる。

 

COVID-19パンデミックの最中に書かれた最近のテキスト『革命的人格と勝利の哲学』の中で、汪は次のように述べている。「差し迫った瞬間に神話的な方法で使命を果たした党指導者は、党システムそのものと完全に同一視することはできない。レーニン、毛沢東、その他の革命的指導者たちは、しばしば自党とその指導路線に反対し、長期にわたる、時には痛苦に満ちた理論的・政治的闘争の後にようやく指導権を獲得したのである」。その結果、汪によれば、「労働者運動、階級政党、社会主義国の衰退を背景に、革命的人格(特に革命的指導者の人格)の問題をあらためて探求することは、現代世界の再政治化を推進しようとする者にとって、意義がないわけではない」とのことである。ここでの政治指導者についての例外論者的見方は、国家主義的プロジェクトに対する汪暉の傾注を圧倒しているように見える。「革命的人格には独特の力があり、社会的・政治的条件が熟していないときでも、この巨大な能力を使って革命を推し進めることができる」のだそうだ。

 

であるなら、栄剣が汪暉の「革命的人格」にハイデガーの総統観を想起するのは驚くに当たらないだろう。この点において、「革命的人格」とヘーゲルの世界精神やニーチェの「超人」のような他のメシア的思想家との比較が可能となる。しかし習近平が、毛沢東や鄧小平型の無制限の権力を持つ他の指導者の台頭阻止を意図して、安全装置を解除した今、汪が「革命的人格」の重要性について書いたのは、習近平の政治的台頭によるものであることは間違いないだろう。たとえ、汪があからさまに個人崇拝を推奨しているわけではないにせよ、汪の「革命的人格」の重要性に対する評価は、習近平の最上位の地位を公認するものである。

 

◆国際主義に扮した膨張主義

 

中国の新左派の中でも特に汪暉の作品の主たる内容は、中国の左翼ナショナリストが、国家とは関わらない者の間で連帯を構築しようと願ってはおらず、中国と西洋の間の大国競争で勝利したいと願っているだけだということを明らかにしている。これは、国際主義的な労働者運動によってのみ対抗できる総体化する力としてのグローバル資本の論理を危険なまでに捨象した偏狭な見方である。その代わりに、汪は、歴史の動因としてのカリスマ的な指導者を持つ党=国家のみを見ているのである。

 

これらの中国の左翼ナショナリストによれば、西洋は資本主義を代表するものであり、中国の国家権力によってのみ対抗可能なのである。この論理では、中国の社会主義は、国家権力にのみ結び付けられ、もっぱら国家権力の行使という観点から構想されており、マルクスが描いた「国家の死滅」に続く無階級社会については、ほとんど言及されない。世界的なポスト資本主義の未来は提示されず、結局のところ、「社会主義」とご都合主義的に名付けられた中国の国家的繁栄という限定的なビジョン以外、何も提示されていないのである。

 

国家権力とポスト資本主義の未来をめぐるこのような議論は、根本的に古く、現在の問題の多くは、第三インターナショナルの形成に伴うソビエト連邦の初期の歴史の中でも論点となっていた。しかし、スターリン政権下のソ連の場合、国際主義的な社会主義プロジェクトを推進すると主張していた第三インターナショナルは、実際にはソ連の国益を推進するために利用されたにすぎなかった。(栄剣は汪が、「革命的人格」を称賛する言い回しをスターリンにではなくレーニンに置き換えることで、スターリン主義的個人崇拝の復活をあからさまに擁護するのを回避している点に注目している)。

 

習近平の中国とスターリンのソビエト連邦の類似性は、非西洋圏の帝国主義プロジェクトと今日の帝国主義の形態にまで及んでいる。1930年代、日本帝国主義は「大東亜共栄圏」を展開し、東アジア諸国間の文化的・経済的統一を促進した。当時の日本の知識人たちは、これを、具体的な日本的「伝統」概念を破壊したとされる西洋近代を克服する世界史的なプロジェクトであると主張して正当化した。中国の左翼ナショナリストにとって悪名高い試金石は、1942年に東京で開催された「近代の超克」座談会であるが、彼らは日本帝国主義に対する知的擁護と自分たちの政治的プロジェクトとの間にある居心地の悪い類似性について、いまだに意識的無知を保ったままであるように見える(脚注5)。中国人の日本に対す鋭い敵意─現代の中国の国家主義の中心的構成要素である─が説明するように、[中国以外の]他の集団でも日本帝国主義を解放者と見たものはまずいなかった。国際主義を装った中国の国家主義プロジェクトもこれと同様である。

 

この意味で、多くの中国の左翼ナショナリストの「左翼主義」は、実際には、社会的生産手段の根本的な再構築としての資本主義的国家主義に根ざしている。その結果、中国周縁部での自決闘争の排除、内部植民地主義の正当化、中国の地政学的拡大の擁護など、国家主義的なプロジェクトは、左翼的な国際主義的イニシアチブとして甚だしく誤った枠で考えられてしまうのである。

 

対照的に、アメリカ帝国主義は、自由と民主主義を世界的に広めるための努力として自らを正当化する。この点で、中国の左翼ナショナリストは、西洋のオルタナ右翼[アメリカの伝統保守に対して、新興の人種差別主義的、白人至上主義的、排外主義的等々の傾向をもつ極右的右翼勢力]の懐古趣味で、現代の世界秩序を考えている。オルタナ右翼は中国の左翼ナショナリストと同様に中国とアメリカの対立を文明の衝突と見なしている。このようにして、現在のグローバル資本の危機は、アメリカと中国の間で類似の反応を引き起こしており、双方が置かれた状況を背景に、国境を強化し、取り締まることに強い焦点が当てられている。これは中国では、チベットや新疆のような内部国境の取り締まりや、香港や台湾のような外部国境の確保に重点が置かれていることからも明らかである。アメリカでは、国内的にはマイノリティグループに対する悪意に満ちた反移民言説や暴力の増加という形を取っている。したがって、アメリカと中国の衝突は、たとえ双方の民族主義者は、行動において同一化するのだというようなことはイデオロギー的に認めることはできないとしても、帝国としてはそのような民族主義的行動を共有する近代的国民国家の衝突なのである。

 

20世紀の歴史は、帝国主義プロジェクトの残骸で埋め尽くされている。かつて植民地化された国や、不均等発展によって不利益を被った国は、支配的な西洋の勢力に取って代わろうとする企てにおいて最高潮に達するような民族主義的自強プロジェクトに乗り出している。西洋の覇権に対抗するプロジェクトは極めて重要なものであるが、そのようなプロジェクトの多くは、大国間の競争のサイクルから完全に脱却するというよりは、むしろ歴史的に西洋に押さえられてきた世界の覇権的地位を切望することに終始してきた。これは現在の中国に見られるものであり、中国の左翼ナショナリストたちが、極右のプログラムやファシスト的な理想に頼って精力的に支持してきたものである。これらの考えを論議するまでもなく、この米中近代帝国の衝突は、それ以前の帝国の衝突と同様に進行すると予想できるのである。

 

20201213

 

 

脚注1)ここで「新疆」とは、新疆ウイグル自治区(別名「新疆」、「西北中国」、「東トルキスタン」、「ウイグル」、「グルジャ」、「タルバガイ」、「アルタイ」、「ズンガルスタンとアルティシャール」、「ズンガリアとタリム盆地」、および/または「ズンガリアとタリム盆地」とも呼ばれ、以後「新疆」と呼ぶ)のことである。「新疆」という固有名詞は、18世紀の乾隆帝が最初に使ったもので、19世紀後半の左宗棠の再占領によって獲得されたものである。中国語では、「新しい領土」、「新しい国境」、「新しい辺境」を意味する。


(脚注2)Sebastian Veg, “The Rise of China’s Statist Intellectuals: Law, Sovereignty, and ‘Repoliticization’” in The China Journal, Volume 82, Number, July 2019, P. 23-45,

https://www.journals.uchicago.edu/doi/10.1086/702687https://www.journals.uchicago.edu/doi/10.1086/702687


(脚注3)同上、P.140


(脚注4)Wang Hui, China’s Twentieth Century: Revolution, Retreat and the Road to Equality, ed. Saul Thomas, London:
Verso Books, P. 160


(脚注5)Harry D. Harootunian, Overcome by Modernity: History, Culture, and Community in Interwar Japan, Princeton: Princeton University Press, 2000.

中国共産党の六つの歴史的画期

20210813china

無國界社運Borderless movementの中国語ブログから訳出(こちら)。原文はイングランドとウェールズのマルクス主義者らによってつくられたグループAnti★Capitalist Rasistanceのサイトに掲載されたもの(こちら

 

中国共産党の六つの歴史的画期

peter wong

2021714

 

今年6月初め、つまり中国共産党の建党100周年のひと月前、当局は何人かの毛沢東主義者らを捕まえた。逮捕された中には2019年に釈放されたばかりの馬厚芝もいた。彼はかつて毛沢東主義共産党を創設し、毛沢東時代の中国を実現しようとしたとして10年の禁固刑を受けていた。習近平政権は毛沢東思想を継承していると言ってきたが、多くの毛沢東主義者らが逮捕されている。奇妙なことである。

 

ほぼ同じ時期に、北京当局は普通選挙を求める香港の運動への弾圧を強めている。興味深いのは192627年の省港大ストライキにおいて中国共産党の要求のひとつに普通選挙の実現があったことである。

 

100年前に建党されたとき、中国共産党は民主勢力として登場した。しかるに20年後には大きく変質を遂げ、1949年の建国以降は建党時の綱領にも背くことになった。われわれはここで「中国共産党の六つの歴史的画期」を追うことで、この党が決定的に変質した点を理解し、革命的な労働者政党がいかにして官僚の党、搾取階級の党に堕落したのかを理解を手助けするだろう。

 

1921

 

1921年に中国共産党は設立された。1925年までのあいだ、それは千人にも満たない小さな政党にとどまっていた。しかし1925年から27年の中国大革命の時期に、百万に上る労働者と農民が帝国主義列強の植民地主義や中国の軍閥に抗して立ち上がったことで、この誕生間もない党が6万人にまで急速に膨れ上がったが、その半数が労働者であった(残り半分は学生、知識人、農民)。この若い民主的な革命的労働者党は1926年末から27年の春にかけて、三度の労働者蜂起によって上海の軍閥政権を打倒し、この重要な都市の支配権を握った。だが国民党への加入戦術による規律の統制から、蜂起した労働者たちは権力を蒋介石に差し出してしまった。この「国民党への加入戦術」は党の創設メンバーである陳独秀らのアイデアはなく、むしろ反対していた。だが当時のソ連共産党の指導者であったスターリンは中国共産党指導部の反対を顧みることなく、中国共産党が国民党に加入することを押し付け、国民党の指導のもとでの北伐(軍閥打倒の遠征戦争)を進めた結果、蒋介石は軍閥に向けていた銃口の照準を共産党に向け直し、幾千幾万の共産党員が虐殺され、中国大革命は敗北を喫することになった。このときの(第一次)国共合作は国民党の独裁を強めただけだった。

 

1928

 

蒋介石による粛清ののち、共産党は本来なら戦術的な退却で勢力を温存させておくことができた。しかし慌てふためいたスターリンは自らの方針の失敗を覆い隠すために、粛清で勢力を大いに損なっていた中国共産党に対して武装蜂起の方針を強制した。まず1928年に広州で蜂起が実行された。この自滅型の武装蜂起の鎮圧することで、国民党は都市部における共産党の都市部の勢力の9割方を粉砕することができた。これ以降、共産党は基盤を農村に移し、労働者党員がごくわずかになり、農民党に転換した。また共産党のスターリニズム化が進むとともにゲリラ戦中心となり、かつて活発だった党内民主主義は上意下達の権力集中型の政党に転換していった。

 

1942

 

1942年は共産党の変質にとって一つの分水嶺である。この年、毛沢東は悪名高い「延安整風運動」を展開した。歴史家の高華の著書『紅太陽是怎樣升起的: 延安整風運動的來龍去脈』(赤い太陽はいかにして昇ったのか:延安整風運動の原因と結果)によると、この「運動」は実際には、党内にわずかに残っていた五四運動の民主的要素を一掃するものであった。これらの要素は1919年の偉大な五四運動と新文化運動を発端としており、その指導者は陳独秀であった。これを一掃したことで毛沢東は党内の最高権力者となった。こうして中国共産党は公式に毛沢東の個人崇拝を進めることになった。このような個人崇拝は、実際には一連の冤罪の犠牲者の屍の上に、そして徳先生と賽先生(デモクラシーとサイエンス=当時陳独秀が掲げたスローガン)の抹殺の上に打ち立てられたものである。共産党は国民党に対抗する革命を続けていたが、それは専制的な指導と個人崇拝によって主導されることになった。その政治形式は、「民主革命」という初心ではなく、ますます中国伝統の「易姓革命」に似通っていった。易姓革命とは封建的な中華王朝というシステムはそのままで、皇帝の血筋が変わるだけの革命をいう。社会政策から見ると中国共産党の「革命」と従来の「易姓革命」との間には異なるところがある。とはいえ、政治的に言えば1942年の中国共産党体制はますます専制政治の様相を呈することになる。

 

1953

 

1949年、中国共産党はついに国民党を打倒し、中華人民共和国が樹立された。全国的に農地改革が進み、土地なし農民に農地が分配された。しかしその数年後、最高指導者である毛沢東は新民主主義の党綱領(農地改革を経て農地を農民に所有させる、集団化は農民の自発性にゆだねる、私的資本の経営を認める等)を破棄、1953年には「過渡期の総路線」に転換し、それはすぐに大混乱のなかで「大躍進」から「共産主義」に至るとされた。小農の農地は公社に没収され、小商人や技術者らもいわゆる「合作社」〔協同組合〕に編入させられ、私的企業は政府系企業との合弁をへて吸収合併され消滅した。中国の体制は「ソ連一辺倒」のスローガンのもと、完全にスターリン体制に取って代われた。1942年に打ち立てられた個人独裁が、いまでは毛沢東の一声で嵐を巻き起こすことができるほどになった。国策は朝令暮改となり、それに敢えて反対する者もいなくなった。1949年以降も真の自由選挙はなく、反対党も禁止され、1950年代中後期には、自治的な民間組織も消滅していった。

 

この転換は、いわゆる「中国共産党は1928年以降に農民党になった」という主張が不適切であることを気づかせてくれる。たしかに28年以降には農民が党員の多数を占めるようになったが、これらの農民党員が指導部にほとんど影響を及ぼすことはなかったからである。むしろ党指導部がもっとも影響を受けたのは「外国勢力」、つまりソ連共産党の指導を受け入れたと言える。当時のソ連共産党は左派と右派が同居しており、いっぽうで資本主義に反対しながら、他方で1917年の十月革命に象徴される労働者民主主義と公平な資源分配の原則(これこそ社会主義の本来のあり方)をとっくに放棄していた。ソ連共産党もその初心を早くに裏切っていたのである。毛沢東の「ソ連一辺倒」とは、ソ連の官僚専制と個人独裁を中国に移植することに過ぎなかった。だがそれはソ連よりも滅茶苦茶な形で移植されたことで、たとえば大躍進では人類史上最大の、そして全く不必要な悲劇が発生することになった。

 

毛沢東の冒険主義は惨めに敗北したが、彼はそこから教訓を学ぼうとしなかった。毛沢東はすぐにもう一つの大混乱をもたらす運動、すなわちプロレタリア文化大革命を発動し、劉少奇のような大躍進の大混乱を収束させて人気があった指導者らを完全に淘汰した。毛沢東は社会主義と革命の旗印を掲げはしたが、政治と経済に最も影響を与えたのはこれらのプロパガンダではなく、毛が革命といえば革命に、反革命と言えば反革命にされてしまう1942年に確立した個人独裁のロジックであった。社会主義と革命の旗印を掲げながら行われた個人独裁は、社会主義の栄光を完膚なきまでに叩き壊し、将来の資本主義復活の基盤を築いた。

 

1976

 

毛沢東が死去した1976年、この国はすでに文化大革命によってその大半が混乱していた。「老幹部」はすぐに権力を奪還した。実務的な彼らはすぐに人民公社や文革関連の政策を廃止するとともに、「階級闘争」にかまけることはしないと公言し、「四つの現代化」〔工業、農業、国防、科学技術の分野における近代化〕を堅持した。1979年に鄧小平が指導者としての地位を確立したとき、彼が約束した「現代化」は人々から歓迎された。だが実際には、鄧小平は毛沢東型の「共産主義」の惨めな失敗を利用して、全面的な官僚資本主義を発展させたに過ぎない。国家が戦略的に資本主義への発展方向をコントロールし、党が国家をコントロールするという党と国家の一体化である。時間が経つにつれ、少数の「紅二代」と「官後代」〔革命世代と高級官僚の子弟ら〕のファミリーが党を全面的にコントロールすることで、中国の最も重要な国有企業をもコントロール下に置き、官僚と資本家の一体化が進んだ。

 

1989

 

1989年の民主化運動は中国共産党による人民搾取に対する反発であるとともに、政治と経済における独裁体制に対する抗議でもあった(ゆえに89年民主化運動で人々を捉えたスローガンに「打倒官倒=官僚ブローカーを打倒せよ」があった)。中国共産党は自らを省みるどころか、逆に血の弾圧を以て人民に応え、完全に独裁と腐敗の党に変質したことを余すことなく示した。中国共産党は1930年代に国民党政権を「官僚資本主義」として批判したことがあったが、いまでは自らが同じような怪物に変身するという皮肉な現実に直面した。現在の中国共産党員の主な構成は労働者でもなく農民でもなく、官僚たちである。89年の天安門事件から30年が経ったいま、共産党は再び人民に牙を剝いた。今回は香港の民主化運動が標的になり、中国共産党の本性を明らかにした。中国共産党が実現しようとしている「中国の夢」とは、完璧なオーウェリアン国家〔ジョージ・オーウェルの『1984』に描かれた監視国家〕なのである。それはまた「易姓革命」を完全に体現したものともいえる。つまり皇帝の首は挿げ替えても専制体制は変わらないということである。あるいは中国共産党はかつての国民党を再生しただけとも言える。ただ、それがかつての国民党よりも大いに成功してはいるのだが。奇妙なのは、海外のタンキーズ左翼〔公式共産党の応援団〕のなかには、いまだに中国共産党を「社会主義」の名のもとに形容しようとする、あるいは少なくとも「進歩的」だと称する輩がいるということである。

 

中国共産党はとっくに創成期の共産党ではない。それはかつて民主主義を求め、搾取に反対した。だがかなり以前から逆の方向に向かい、

 

クローニー資本主義の党に変質してしまった。このような資本主義のただ一つの長所は、中国経済の急速な現代化を実現したことである。それは客観的には中国における民主化運動の物質的基礎を打ち固めた。1949年の中国の農民は人口の90%を占めたが、今日では40%にまで減少した。労働人口における農民の割合はさらに小さく、2019年の農業労働力は労働人口の四分の一にまで低下している。逆に製造業とサービス業を合わせると74%に達している。中国はすでに基本的な工業化を完了している。また同じく注目すべきは、サービス業の労働人口の割合が半分近く(47%)、3.6億人にまで達していることである。このモデルは先進国とますます似通っている。

 

工業化の巨大な飛躍に伴い、労働者階級の総数はすでに5.7億人に達している。しかるに労働者階級の抵抗は依然としてバラバラのままである。中国共産党の長期にわたる独裁は、あらゆる形態の自主組織を抑圧し、組織的な抵抗を困難にしている。このようなオーウェリアン体制においていかにして民主的な労働運動を発展させるか。それはアクティヴィストにとっての最大の課題のひとつとなっている。

【翻訳】新疆ウイグルの再教育キャンプ問題はグローバルに自省する必要がある


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【訳注】新疆ウイグル自治区における「再教育キャンプ」という名の民族抑圧システムが暴露された。ウイグル人による多くの証言だけでなく、中国政府自身もその存在を認めている。ただしそれはウイグル人を「文明化させる」という、植民主義者の大義名分を否が応でも想起させる。

職業訓練も漢語のマスターも、そして他民族と一つの国になる、あるいは連邦を形成するという選択においても、それは自発的でなければならない。この「自発性」こそ、中国共産党が早くから放棄したレーニンの民族政策の肝である。中国共産党は、民族政策においても労働者農民政策においても、この「自発性」を奪い去るか、「上からの自発性」を強制してきた。中国の抑圧的官僚体制による民族抑圧政策に、グローバル資本主義がさらに火に油を注いでいる。

日本も無縁ではない。2020年3月に公表されたオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の報告書によると、日本企業は、日立製作所、ジャパンディスプレイ、三菱電機、ミツミ電機、任天堂、パナソニック、ソニー、TDK、東芝、ファーストリテイリング(UNIQLO)、シャープの11社が、新疆ウイグル自治区での強制労働による製品を使っている疑いがあることが暴露されている。われわれもまたグローバルに自省し、行動する必要がある。

以下は、在外香港人左派のプラットフォーム『流傘LAUSAN』に掲載された論考である。原文は英語だが、中国語訳より重訳した。



新疆ウイグルの再教育キャンプ問題はグローバルに自省する必要がある

A.Liu 2021年1月11日

2020年9月、ディズニーが映画「ムーラン」のクレジットタイトルのなかで、新疆再教育キャンプを管理するトルファン[吐魯番]公安局に感謝の意を表したことについて、世論と政界の双方から非難の声が上がった。NBAでプレーするルディ・ゴベールやフランスの複数のサッカー選手などの著名なプロスポーツ選手が、ウイグル人に連帯してソーシャルメディアに投稿した。ディズニーと同じように、別の米国の娯楽大手Netflix(ネットフリックス)は、中国のSF作家である劉慈欣の『三体』の制作を続けるために、劉慈欣が新疆の「再教育キャンプ」を支援する発言したことを擁護した。

多くの外国人の観察者は、これらのニュースの見出しを政治的な専門用語に翻訳する方法を知らないのかもしれない。強制収容所の詳細は本当に衝撃的です。これまでのところ、それらの報道は否定できないようで、基本的な詳細も中国政府自身によってほぼ確認されている。一方で、これらの事実はしばしば、自由を守るアメリカを悪の中国と戦わせるという二項対立の物語の中に織り込まれている。不吉な右翼のアメリカの政治家と中国の軍国主義強硬派によって、この物語は思う壺になっている。

例えば、ミズーリ州のジョシュ・ホーリー上院議員はムーラン事件を利用して、ディズニーの「原則よりも利益を優先し、中国共産党の大量虐殺やその他の残虐行為を無視するだけでなく、それらを援助し、幇助することを決定した(これは)アメリカの価値観を侮辱することである」と宣言した。

拡大する新疆問題については、ホーリー議員などの粗雑な親米的立場とは異なる立場を提示する国際主義的な視点が研究者には必要であろう。現在の世論の風潮は、極端なナショナリズムを助長している。現在の世論の状況は、反中国か(政治家側の利己的な行為というよりは、あい対峙する国家暴力のデモンストレーション)、親中国か(新疆の「再教育キャンプ」での暴力を認めず、反帝国主義を掲げて多くの中国左翼を味方につける)といった極端なナショナリムズを育成している。例えば、社会主義雑誌『マンスリー・レビュー』は10月10日付で、中国の新疆での政策を恐るべき修正主義的言辞で擁護する記事を掲載している。

これまでのところ、新疆の「再教育キャンプ」をめぐる議論の多くは、漢民族と非漢民族の間の永遠の民族対立を「民族中心主義」として保守派の専門家が対立の根源と見なしているか、あるいはリベラルな西側資本主義に対するアンチテーゼである権威主義的なアジア共産主義か、という二つの説明の間を行き来してきた。

一見すると真実味があるかもしれないが、説明があまりにも静的で、歴史的な分析に欠けている。 中国の西北地域[ウイグル地区を含む]を研究する人類学者ダレン・バイラー(Darren Byler)は、次のように書いている。「『ジェノサイド(大量殺戮)』という明確な告発は、文化主義的モデルで、ある集団が悪か邪悪であり、別の集団を支配していると論証することを許しているに過ぎない。このような非難は問題の根源の解釈を認めない。」

そしてその「原因」は、1990年代以降の政治経済の発展と密接な関係がある。中国政府は、沿岸都市部へのエネルギー供給のために、新疆の石油や天然ガスを開発するためのインフラ整備を国内企業に奨励したのである。この期間の間に、何百万人もの中国人は新疆に移動し、地域の経済的利益を吸い上げることで、現地のウイグル人の反植民地的抗議を引き起こした。 それまでにも漢人とウイグル人の間には緊張関係が存在していたが、開発主義はそのレベルを引き上げたのである。

異論に対する政府の対応は、言語、宗教、文化教育を通じて、ウイグル人やその他の少数民族を「主流」の中華民族の社会に同化させることであった。2001年9・11事件の直後、中国政府は米国の「テロとの戦い」のレトリックを明示的に用いてイスラム教の宗教的慣習を誇大に恐ろしく描き出した。それについては、シドニー大学の歴史学者デビッド・ブロフィー(David Brophy)が記録している。 もう一つの大きな出来事は、2014年5月に起きたウルムチ駅爆破事件である。それを機に政府は「人民による対テロ戦争」を宣言した。

人類学者のダレン・バイラーにとって「再教育キャンプ」は、政府主導の資本搾取と切り離せないものである。 この搾取は、新疆の天然資源と労働力を利用している。新疆地方は、国内の石油や天然ガスの約20%、世界のトマトや綿花の約20%を供給している。中国企業は新疆を国家安全保障やサイバーセキュリティ技術の実験場として利用し、それらの技術が確立すると海外に輸出する。 新疆は中国の「一帯一路」戦略の重要な節目でもあり、新疆の安全確保こそが中国が中央アジアのインフラ輸送プロジェクトを成功させるカギでもある。再教育キャンプに収容されたウイグル人が、ナイキ、アップル、ギャップ、サムスンなどのブランド工場に強制的に出向して生産活動を行っていることが知られており、これらの工場は新疆ウイグル自治区をはじめ、合肥、鄭州、青島など東部の主要都市にある。

したがって、「再教育キャンプ」は、根深い民族紛争やアジアの独裁者の必然的な結果ではなく、中国とグローバル資本主義の結合に関係していることを理解しなければならない。「再教育キャンプ」の形成は、中国政府が市場主導の成長に転じ、天然資源や労働力資源を外国人投資家に低価格で売り込んだ1980年代にさかのぼることができる。

輸出志向の工業化は、海外からの投資に、より高い利益、より良い貯蓄、より有利な信用条件を提供することを意味していた。 こうした外資誘致政策の背景には、労働力の極端な搾取がある。中国の劣悪な労働条件はずっと批判されてきた。1990年代のスウェットショップ(超搾取工場)反対の運動、2010年代の深圳でのフォックスコン[鴻海]労働者の相次ぐ自殺、そして今回のウイグル人の[強制]労働に関する報告などである。このようなスキャンダルは決して解決されておらず、次のスキャンダルが出てきたときに静かに忘れ去られるだけだった。

これらの問題の直接の責任者は、もちろん中国の企業や機関である。 しかし、なぜこのような問題が蔓延しているのかは、グローバルな経済力学を見ないと本当に理解できない。

アメリカの政治家たちは、人権を推進し、中国との関係を断ち切るという大言壮語の割には、米国企業が激しい競争にあるグローバル資本主義から莫大な利益を得ており、米国経済と中国経済の分離がそう簡単に実現するわけでもないことを知っている。この観点から見ると、新疆の「再教育キャンプ」は、中国だけでなくグローバル資本とその政治的庇護者らの責任も問われるべきである。

だからこそ、新疆の「再教育キャンプ」問題は、もはやナショナリズムの枠組みの中で議論することはできず、中国と米国の価値観を単純に対立させることもできないのではないか。このような二項対立の受益者は結局のところ、ホーリー、テッド・クルス、マルコ・ルビオなどの保守的なアメリカの政治家である。彼らは自分たちのために感情的に訴えることに熱心だが、中国の新疆政策の背後にあるグローバルな力の結集を真剣に見ようとはしない。

昨年、米国ではウイグル人への虐待を非難し対中制裁を求める声が多く上がった。しかし、ドナルド・トランプ大統領(当時)は、米国の北京との貿易取引に支障をきたすため、これらの声を無視した。その後、トランプ政権も新疆での虐待を非難し始めたが、これは主に中国からの譲歩を勝ち取るための交渉戦術であり、その後、新型コロナウィルスのパンデミックの初動ミスを非難することに取って代わられた選挙戦略だったのではないか。

米中両政府のナショナリズム競争の結果として最も可能性が高いのは、「アジアの人々の生活を向上させる」という米国の約束されることはないだろう、ということである。それは、無辜の民を犠牲にすることで成立する国家間のつばぜり合いになっている。トランプ政権による中国人学生や中国人労働者に対する在留許可の制限、中国政府による今年6月の香港国家安全保障法可決に伴う外国人ジャーナリストの追放・拘束したことに、それが表れている。

では、われわれはどう取り組めばよいのだろうか。国際的な圧力により、中国政府は少なくとも一部の「再教育収用所」を閉鎖せざるを得なくなったとの見方もある(実際にどうなったかはまだ明らかになっていないが)。また、映画「ムーラン」、アップル製品の部品、H&Mのジーンズ[それにUNIQLOのコットン製品]など、新疆の「再教育キャンプ」に関連した製品に対するボイコットは短期的には効果があるかもしれない。

しかし、長い目で見れば、新疆の「再教育キャンプ」で労働を強制されている労働者について、より国際主義的な方法で語る術を学ぶ必要がある。これは、冷戦期のナショナリズムやヒューマニズムの枠組みを超えることを意味する。つまり専門家や研究者は、グローバルな政治的・経済的な勢力が「再教育キャンプ」の存在にいかに加担しているかを強調すべきである。

アメリカの観察者らは、「再教育キャンプ」が米国社会と何の関係もないことだとみなしていることに抵抗するべきである。なぜなら、無関係だという態度は世界の警察としてのアメリカの存在をいっそう合法化するからである。むしろ逆に、アメリカの資本主義を(中国の)覇権主義や新疆の「再教育キャンプ」と関連付ける必要がある。ブッシュ政権の血なまぐさい対テロ戦争政策と闘ってきたように、中国のイスラム・フォビア(イスラム嫌悪)を強く非難すべきである。グローバル・サプライ・チェーン(国境を越えた生産システム)がウイグル人に強制労働を強いる不平等なシステムであることを指摘しつつ、安価な商品生産ネットワークが(アメリカ国内の)移住労働者や囚人労働者を搾取していることを強く非難すべきなのだ。私たちはまた、中国の辺境部における国家権力の乱用を非難しつつ、アメリカ社会の周縁部おける国境警備隊や警察の暴力を激しく非難しなければならない。

このような国際主義的な枠組みだけが、冷戦を教唆したり中国を擁護したりする当てこすりに対抗することができる。より重要なことは、国際主義的なビジョンだけが、新疆の「再教育キャンプ」を私たち全員が対面しなければならない問題だと捉えることを可能にする(つまり「中国の独裁体制の問題だ」「いやアメリカの政治介入の問題だ」と対立させるのではなく)。我々はグローバル化した今日の世界において、より自省的な対話をする必要があるだろう。

(以上)

【中国】国家主義と階級協調で党指導部を擁護する汪暉教授

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汪暉・清华大学人文学院中国语言文学系教授

最新号の「週刊かけはし」に汪暉批判の論考が掲載されているので、当の汪暉論文(中国語)に若干のコメントをつけて紹介しておこう。


◎汪晖:革命者人格与胜利的哲学——纪念列宁诞辰150周年
https://www.guancha.cn/wang-hui/2020_04_22_547798_s.shtml

「週刊かけはし」のブレインの論考でも言われているように、「汪はレーニンや毛沢東のような20世紀の革命家によるカリスマ的な政治的指導力の重要性を主張しているが、それは同時に、習近平の周囲の個人崇拝の高まりを擁護するもの」である。

もう少し詳しく述べると、汪暉論文はタイトルからも分かるように2020年4月22日のレーニン誕生200年を記念して書かれたもの。グラムシ、ザスーリチ、トロツキー、李大釗、魯迅、そして毛沢東を引用しつつ、レーニンの「革命的人格」を評価する内容で、それは毛沢東の「人民戦争」の勝利から、後半の習近平の「対コロナの人民戦争の勝利」へとつながって、現政権に対する無批判の讃美歌となっている。新左派のソフト・ナショナリズムからハード・ナショナリズムへの移行を象徴する論考だと言えよう。

ナショナリズムだけではない。中共やスターリニズムの負の遺伝子ともいえる階級協調主義を、汪教授一流の巧みな言い回しによって擁護していることも指摘せずにはおけない。汪教授はトロツキーを用いて強権的国家主義下における階級協調主義の復権を目論もうとした。トロツキーを真面目に読んだことのない不真面目なマルクス主義者は騙されるかもしれないが、そうは問屋が卸さない。

教授はトロツキー著の『レーニン』から、ザスーリチが「ブルジョア的でもプロレタリア的でもなく単に革命家よ」とトロツキーに語る会話のくだりを引用して、ブルジョアとプロレタリアの階級の対立を曖昧にしよう試みる。だがトロツキー著の「レーニン」を普通に読めば、そのくだりはトロツキーやレーニンがリベラル革命家に甘いザスーリチを批判的論じている個所であることは分かるはずだ。

中国でもトロツキーは「右派」とか「裏切り者」とそしられてきた歴史があり、その文脈でトロツキーの著書=右派or階級協調派として改ざん翻訳や歪曲して紹介されている可能性もあるのかもしれないなと、上記の汪論文の参考文献にあるトロツキーの中国語版『論列寧』(『レーニンについて』)を確認してみたが、中国語版は日本語版とほぼ同じ内容なので、ふつうに読めば誤読することはないはずだ。

だが汪教授はどうしたことか、まるでこのザスーリチの立場を、トロツキーも、そしてレーニンも評価していたように引用している。その証拠に教授は、ザスーリチのくだりのすぐ後に、レーニン死去2周年を記念する大会での、李大釗のこんな演説の一節を紹介している。

「レーニンの人格は偉大で、彼の友人、信奉者であろうと、彼の敵であろうと、誰もがそのことを認めないわけにはいかなかった。ロシアの人民は共産主義者でないものは、往々にして共産主義には反対だったが、レーニン個人は非常に尊敬されていた。」―――李大釗

この演説がおこなわれたのは第一次国共合作の真っ最中の1926年1月17日のことだ。

そして汪教授はこう続ける。

「李大釗はレーニンと孫文の第一の共通点として、かれらの革命家の人格には階級利害の範疇を超える力があり、友人や信奉者からの承認だけでなく、その仇敵もその力を認めざるを得ないことにあると考えた。」

ここまでくると、ザスーリチのくだりは誤読ではなく意図的な曲解であったと考えざるを得ない。

「革命家の人格には階級利害の範疇を超える力がある」!!! 

ダボス会議で「一国主義に未来はない」という民族共産主義者毛沢東の「世界文化大革命」を彷彿とさせながら「人類は運命共同体です」と中国の特色ある資本主義グローバリゼーションとしての「一帯一路」を宣伝する習近平による階級の利害の範疇を超える「革命家の人格」のことを、汪
教授は言いたいのだ。

言うまでもなく、この「階級の利害の範疇を超える力」とは、労働者や貧農の利害を鉄のブーツで踏みつけて粉砕しながらその屍を越えて(帝国主義ブルジョアジーの側へ)進もうとする力のことである。

これまで汪教授を持ち上げてきた日本の知識人は、この汪論文を翻訳して紹介する責任がある。われわれは鉄のブーツに踏みつけらても抗う中国の労働者、農民、人権派への連帯を続けると共に、毛沢東と中共の人民戦争=人民戦線批判を続けた中国老トロツキストの未邦訳の論考を翻訳する理論的責任があるだろう。(H)

●習近平路線の一断面 民族主義に傾倒する「新左派」
 強い国家求めナチス思想家の主張をも参照
 ブレイン・ハイオレン(週刊かけはし2021年2月8日号)

 http://www.jrcl.net/frame210208%206.html

※なおブレイン論文の原文(英語)はこちら

 https://lausan.hk/2020/who-are-the-chinese-left-nationalists/

報告 12.20 香港連帯緊急アクション・スタンディング

1220政治弾圧に抗議し、香港・中国の民主化運動を支援しよう

民主主義と人権は国境を越えて


人権・民主主義を確立しよう!

 12月20日午後2時から、新宿駅東口アルタ前広場で「民主主義と人権は国境を越えて~香港での政治弾圧に抗議し、香港・中国の民主化運動を支援しよう 香港連帯緊急アクション・スタンディング」がFight for Hong Kong 香港連帯緊急アクションの呼びかけで行われた。

 司会の京極紀子さんが「国家安全法によってジョシュア・ウォン(黄之鋒)、
アグネス・チョウ(周庭)らを初めとして懲役刑が下されるなど、厳しい弾圧が行われている。国際社会から大きな批判が起きている。日本で抗議し、闘いに連帯していきたい」と述べた。

 次に、稲垣豊さんが香港での弾圧状況(別掲載の行動呼びかけ文を参照)を報
告し、12月10日国際人権デーに中国国内で、人権弁護士やその家族が公安警察によって自宅軟禁に置かれる弾圧を受けている事例をあげて、香港での弾圧が中国国内の抑圧とつながっていることを理解し、東アジア規模での民主主義・人権の確立の必要性を訴えた。

思い思いの連帯アピールが続く

 続いて、参加した人たちからのアピールが行われた。

◦「彼らが間違っているわけではない。全人類への圧迫と同じだ。今日のような行動を通じて香港の人たちを勇気づけたい」。


◦「2018年12月南京大虐殺の前日に、香港人2人が靖国神社で抗議行動を1分
間やっただけで10カ月勾留され、10カ月と8カ月の懲役刑を言い渡され、国外追放された。今裁判は最高裁に上告され争われている。香港人への日本国内での弾圧にも抗議する」。

◦「今の香港弾圧は他人ごとではなく共通点が多い。オリンピックが平和の祭典だ
とされるのに抗議しただけで、家宅捜索されたり、ヘイト反対デモで警官に携帯電話を払われたりした。香港では反対派への攻撃として性暴力が行使された。日本では草津町の前町議の新井さんがレイプ告発したのに対して、逆に失職させられる攻撃にあっている。『日の丸』を掲げる人が香港連帯なんておかしい(日本が戦争で香港をじゅうりんした)。民主主義・人権・弾圧抗議に国境はない」。

 行動のまとめとして稲垣さんが「立法会選挙はコロナ感染で1年延長された。70議席のうち、民主派は22議席だったが4人がはく奪され、2人残して他全員が辞任した。来年の選挙は厳しいものになるだろう。『われわれは必ず戻ってくる』というスローガンを2014年12月に掲げた。そして昨年の運動が起きた。必ずもう一度戻ってくるだろう。連帯行動を続けたい」と述べた。  

(M)

 
 12.20行動よびかけより
 
 12月2日、ジョシュア・ウォン(黄之鋒)、アグネス・チョウ(周庭)、アイバン・ラム(林朗彦)の3人が昨年6月21日の香港警察本部包囲行動を扇動したとして、それぞれ13カ月半、10カ月、7カ月の禁固刑の判決を受け収監されました。実際にはけが人や被害など全くでなかった事件にもかかわらず、予想された通りの厳しい量刑となりました。運動全体に対する恫喝とあわせて、来年9月に予定されている立法会選挙への立候補を妨害する判決とも言えます。

 この判決は国際的にも注目されており、欧米諸国の政府も批判的コメントを発
する中、国連人権理事会から多くの勧告を受け続ける「人権後進国」の日本政府はほぼ沈黙を保っています。コロナ対策や人命よりもビジネス、基地建設、オリンピックを優先する人権軽視の姿勢がここでも貫徹されています。

 香港現地で声をあげづらくなっていますが、民主主義と人権に国境はありませ
ん。日本から抗議と連帯の声を上げたいと思います。ぜひご参加ください。

弾圧の厳しさ増す香港の状況 

 今年6月末に制定された香港国家安全維持法によって、香港の人権状況はさらに厳しさを増しています。12月3日には許智峯・元香港議員が滞在先のデンマークで亡命を宣言しました。彼は11月に中国全人代が4人の民主派議員の資格はく奪を決定したことに抗議して議員辞職した19人の民主派議員の一人で、「違法」集会への参加や議会での国歌法案審議の議事妨害など9つの容疑で起訴されていました。同日、米政府の制裁法制定のために資金援助した国家安全法違反の容疑で8月10日に逮捕され保釈中だったメディア王のジミー・ライ(黎智英)も別件の詐欺罪で検挙され、国家安全法を専門に審理する裁判官が保釈を認めず拘置所に収監されました。

民間人権陣線や元議員らにも弾圧

12月8日には、警察の許可がでなかった毎年恒例の7・1デモを無許可で行った容疑で民主人権陣線の副代表のフィーゴ(陳皓桓)、元立法委員の胡志偉、朱凱廸、梁國雄が逮捕。また11月に行われた中文大学の卒業式の際に昨年11月の中文籠城戦を模したパフォーマンスが国家安全維持法違反の疑いがあると大学当局が通報し12月7日に区議会議員2人を含む8人が検挙されているなど、民主派や本土派への弾圧が広がっています。

中国本土に連行され100日以上も接見禁止に

 昨年来の抗議行動で今年10月31日までに1万16人が逮捕、2210人が起訴されていますが、6月末から施行された国家安全維持法では、海外勢力との結託、国家分裂煽動などの容疑で海外指名手配6人を含む延べ44人が逮捕や起訴されています。また台湾への密航を企てたとして8月23日に香港領海上で拘束された16~33歳の12人の香港人は、中国・深圳に送還され、深圳の拘置所に勾留され弁護士や家族とも接見できない状態が100日以上も続いています。

強まる国家主義に抗して

 香港ではコロナ禍によって集会やデモが禁止されるだけでなく、SNSやメディアでの発言を含め声が上げづらくなっている状況です。東アジアや世界で、香港や中国の民主化と人権尊重を求めるための国際的な取り組みは今後ますます重要になります。というのもジョシュア・ウォンさんやアグネス・チョウさんらが社会運動にかかわったのは2010年に中国政府の意向を忖度した香港政府が進めようとした道徳国民教育の教科化に反対したことがきっかけでしたし、デンマークで亡命を発表した許智峯元議員の容疑は国歌法案反対での議事妨害でした。

日本の社会運動が香港・中国の民主化運動に連帯しなければならないたくさんの理由

◦日本でも戦後民主主義に対する反動として同じような国家主義的教育が進められており、それに対して長年「日の丸・君が代」や天皇制に反対する運動が続けられていますが、そういった運動こそ、国家主義に反対するアジアの若い運動とつながる歴史的回路をもっているといえるでしょう。

沖縄辺野古の米軍基地建設に反対する運動、自衛隊による西南諸島の再軍備化や武器輸出に反対する運動は、国家安全や軍事的衝突の危機を煽り中国・香港政府が人権や民主化運動を委縮させる動きを逆に促進させている日米政府の策略にくさびを打ち込む役割を果たすはずです。

◦人権侵害の移民難民政策を続ける日本の政策を変えようとする社会運動は、香港
や中国はじめ世界からの政治難民の受け入れにも大きく門戸を開くことにつながるでしょう。

◦菅政権によるデジタル庁やマイナンバー推進に反対する運動は、日本以上のデジタル監視社会である中国の人権侵害に苦しむ人々につながる回路を十分に持っているはずです。

◦民主的な職場や社会のために奮闘する日本の労働運動は、昨年来の抗議行動に試みられたゼネストの失敗を契機に誕生した香港の新しい労働組合運動や中国の労働者支援を続ける民主派労組とつながる労働者の国際連帯を実践することができるでしょう。

◦日本や世界の#MeToo運動は、権力だけでなく運動内部におけるマッチョイムズや性差別に苦しむ香港の友人たちとのシスターフッドを築くことができます。

◦日本の民族差別とたたかう人々や運動は、香港や中国国内において「抑圧民族」の民族差別に苦しむ人々とつながる優しさにあふれているはずです。

国境こえる民主主義と人権の実現にむけて

 このように日本における様々な人権侵害や差別とたたかう社会運動が、今後、長期にわたって厳しい状況を余儀なくされるかもしれない香港・中国の民主化運動に連帯すること、そして日本において政治的にも経済的にもより民主的で平等な社会をつくることこそ、香港、中国をはじめとする東アジアの民主化にとっての最大の貢献となるでしょう。それは台湾の経験からも明らかです。国境を超える人権侵害に対抗するには、国境こえる民主主義と人権の実現にむけて奮闘するしかないのです。ぜひご参加ください。

報告 7.1 香港と中国、日本と世界の変革のためのスタンディング

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民主と人権に国境はない 
香港と中国、日本と世界の変革のためのスタンディング
中国による「国家安全維持法」施行、弾圧に反対する


 七月一日午後七時から、九段下の香港経済貿易代表部前で、Fight for HongKong 2020(連絡先attac首都圏)の呼びかけで、中国政府が「国家安全維持法」を作り、香港の民主化運動を抑え込むための新たな弾圧法を香港返還の日に合わせて施行したことに抗議する行動が行われた。雨の降る中、三〇人近くの人々が集まった。

 京極紀子さんが司会を務めた。京極さんは「香港で昨年民主化運動をつぶそうと『逃亡犯送還条例』がつくられようとしたが、大きな反対運動が起きた。昨年四月からデモが起き、六月には百万人のデモになり、街中がデモで溢れた。立法会への突入も起きた。私も香港のデモに参加し、香港の運動に連帯するために『Fight for Hong Kong 2020』をつくった」と昨年のデモを振り返り、さらに「秋には区議会選挙があり、民主派が圧倒的に勝利した。今回の国家安全法は、香港人抜きに中国の法律で弾圧をしようとするもので、許しがたいものだ。周庭さんらは香港デモシストを脱退するなど絶望の声も伝わってくるけれど決して香港の闘いは終わらない。これからも連帯する」と発言した。

 次に、稲垣豊さんが次のように発言した。

 「中国の全人代で、国家安全維持法が可決され、公布・施行された。香港政府は記念式典を開催した。しかし、香港の若者たちは朝から団体でのデモが禁止されたので、個人として抗議の意志を表明する行動を行い、引かない姿勢を示した」。

 「国家安全維持法では犯罪として、国家の分裂、政権の転覆、テロ活動、国家の安全を危険にさらすための外国勢力との結託の四種類を規定している。四種類すべてにおいて、最高で終身刑が科される。中国で作った法律を香港に適用するものだ。この法律の制定に香港人は一切かかわっていない。海外から批判が起きている。監視社会になる。昨年来の闘争で八千人以上が逮捕されている。香港独立派は政党を解散し、海外に移転した。学生は命あるかぎり闘うことを表明した(別掲載)」。

 「香港返還時に約束された『一国二制度』を五〇年間維持する中国政府の立場に反しているから問題だという意見が一般的だ。しかし、一九九〇年四月に制定された香港基本法はイギリスの植民地時代のものを維持している。香港の人々の意見をまったく無視したものだ。中国は資本主義グローバル化の中にあり、香港も新自由主義だ。つまり、両方とも資本主義を維持している」。

 「私たちは自由を求める香港の人々、巨大な監視社会と化した中国の民主化をもとめる中国の人々の側に立つとともに、LGBTQ+や外国人への差別、ブラックライブズマターといった各国・各地での人権問題に取り組み、コロナ恐慌や気候変動といったグローバル資本主義を変革しようとする日本と世界の変革をもとめる人々とともに立つ。民主主義と人権に国境はない。主権は国家ではなく民衆にある。抑圧に抵抗するすべての人々とともに」。

 続いて、名波ナミさんが最初に行動を監視する私服刑事など警察官に対して批判した。そして「国家は何から身を守ろうとしているのか。私たちのような人から身を守ろうとしている。国家こそが危険な存在だ。ブラックライブズマターの運動は警察の暴力に抵抗しているが、香港の運動を取り入れている。例えば催涙弾を防ぐために雨傘を使っている。周庭さんは日本によく来ていたが国外への渡航禁止にされている。渋谷署はトルコ人男性に嫌がらせの職質をし暴力を振るった。国家はつながる人々を抑圧している。人々が国境を越えて連帯することが重要だ」と発言した。

 武器輸出に反対する運動を行っている杉原浩司さんは「今回の中国の国家安全維持法は世界人権宣言にことごとく違反している。日本政府は一応抗議しているが、中国とは強いパイプを築いている。香港で使われている弾圧用の催涙ガス弾やゴム弾は最初イギリス製だったが中国製が使われている。世界ではイスラエルで作られている。武器輸出の規制をすべきだ。日本でやれることはもっとある」と話した。

 続いて、参加者から「独立の旗を掲げただけで、国家安全法で逮捕された。改めて許せない」と抗議の声を挙げた。最後に、陳怡(チェン・イー)、區龍宇(アウ・ロンユー)およびBORDERLESS MOVEMENT一同から寄せられた「闘いの炎は消えず 次の炎はさらに激しく」というメッセージが読み上げられた(別掲載)。七月一日、香港では若者たちが国家安全維持法に抗議し、三七〇人近くが逮捕され、独立の旗を持っていただけで、国家安全維持法違反で五人が逮捕された。香港の自由・民主主義を守るために、日本での連帯行動を強めよう。(M)


【資料】



闘いの炎は消えず 次の炎はさらに激しく
7・1 メッセージ


 香港で去年から始まり現在も激しく燃え上がっている逃亡犯送還条例反対運動は、長年のあいだ政治と社会に蓄積されてきた問題が表面化したものです。返還後、香港人が求め続けてきた行政長官と立法議会の普通選挙を実現するという意志は、二〇一四年の雨傘運動によってさらに確固たるものになりました。雨傘運動は失敗したという意見もかなりありましたが、二〇一九年の運動は、社会の覚醒が運動の蓄積の過程であり、それはそう簡単には失われるものではないということを明らかにしました。

 逃亡犯条例反対運動は、デモ参加者の大量逮捕、司法が敵対勢力への政治的道具と化し、そして国家安全法の到来という経過を経てきました。一部のデモ参加者のなかには疲労感も出始めていますが、みなさん、雨傘運動以降のことを思いだせば、それほど悲観的になる必要もとおもいます。大規模な行動は減ってしまいましたが、初心を忘れずに運動を継続すれば、いずれの日にかまた民衆の力が爆発するでしょう。二〇一九年以前は香港で一〇〇万人を超えるようなデモはありませんでした。いったん火の付いた闘いの炎は消し去ることはできません。そして次の炎はさらに激しく燃えあがるでしょう。

 暴政をまえに、冷静に落ち着くことこそが、いつの時代でも必要です。今回の運動では、初めて街頭に出たという政治的経験の少ない香港人がたくさんいました。闘いから学び共に成長する道は長く険しいでしょう。この運動は香港人の激しい闘争心や断固たる意志を示しました。同時に多くの欠点もみられました。昨年の運動がはじまったときには、「みんなで一緒に乗り越えよう」というスローガンで団結力と包容力をしめしました。そこには中国からの新移民や中国国内の仲間も含まれていたからです。

 しかし武漢発の新型コロナの感染拡大を契機として、一部の右翼が新移民や中国国内の仲間を排除する雰囲気を扇動し、世界的な感染拡大のなかで広がる嫌中意識を利用して、中国政権に圧力をかけようとする動きがありました。それによって一部の新移民や中国国内の仲間たちは運動圏から排除されることになりました。

 私たちはそのことを大変残念に思っています。「みんな一緒に」というスローガンの背後に隠されたイデオロギーによる引き回しは、いまこの時にこそ直視しなければならない問題になっています。

 アメリカのブラックライブズマター(黒人の命は大事だ)運動についても、香港の右翼はまたしても「敵の敵は味方だ」(中共の敵のトランプは味方で、それを攻撃するブラックライブズマターは間違っている)という単純な二分法によって、香港人がブラックライブズマターに連帯する道を閉ざそうとしたことを、私たちは残念に思います。

 右翼がイニシアチブをとるこの社会運動のなかで、左翼の声は非常に弱いものです。しかし私たちは世界各地で抑圧される民衆の側に立つというスタンスを堅持します。この一年のあいだ、たとえばロヒンギャ難民たちのように、世界各地で悲惨な状況に置かれた人々にくらべ、香港に対する国際社会の関心はきわめて大きなものでした。

 わたしたちは自分たち受けた過分な恩恵と同じように、私たち自身も、世界各地で被害を受ける民衆に関心と共感を持ち、支援することを忘れてはなりません。私たちが盟友とするのは民衆であり、どこかの国の政府ではありません。

 いま香港やアメリカでは、香港デモとブラックライブズマター運動をつなげようとする人々にレッテルを貼り、中傷しようとする動きがありますが、私たち「無國界社運BORDERLESS MOVEMENT」(ボーダレス・ムーブメント)は正しい取り組みを放棄することなく、人々に対して、恐れたり落胆したりせず、一時の感情に流されないよう呼びかけていきます。

 理性を維持し、共感を抱くこと、これこそ香港人が今後も世界からの支援を獲得するために必要なことであり、遠い将来の勝利への道です。

 最後になりましたが、日本の友人たちによる支援に感謝します。たとえば沖縄の米軍基地に対する闘いのように、日本でも同じように国際的な関心が必要になるテーマを香港にも伝えていきたいと思います。残念なことに私たちの力は微力であまりお役に立てませんが、努力したいと思います。日本と世界の友人たちが私たちとともにあることに感謝します。

陳怡(チェン・イー)、區龍宇(アウ・ロンユー)およびBORDERLESS MOVEMENT一

無國界社運BORDERLESS MOVEMENT?https://borderless-hk.com/


◆7・1宣言:香港11大学の学生団体の共同宣言

 主権移譲以来、香港人は毎年7月1日にはデモを行い政権に意志を表明してきた。2003年に民衆の怒りが爆発したときには50万人以上が街頭で「基本法23条反対」のデモに参加し、六四天安門事件の虐殺以降では最大規模の社会運動になった。それ以降、香港人は毎年民間人権陣線が主催する7・1デモに参加してきた。この7・1デモは香港人の民主化闘争の象徴となった。

 去年の送還条例反対運動においてプロテスターは7月1日に「別の重要な意義」を付与した。2019年7月1日、プロテスターは午後一時半から立法会のガラスを叩きはじめ、夜9時にはシャッターを持ち上げて、香港開闢以来はじめて立法会を占拠し、壁に「平和的デモが無意味だということはオマエらから教えられた」というグラフティを書きなぐった。り、持つ日となった。今年は国家安全法という矢をつがえる日となった。香港人はすでに「私たちの後ろには無数の仲間の犠牲があり、目の前にあるのは民主を実現する唯一のチャンスである。私たちは生死を香港とともにするしかない」という覚悟に目覚めている。

 『香港民族論』共著者の一人、梁継平はマスクを外して、毅然と宣言を読み上げた。「ぼくらは勝たなければならない。いっしょに勝ち続けなければならない。ぼくら香港人はもうこれ以上負けるわけにはいかない。ぼくら香港人はもう負けるわけにはいかない」。勝利はわれわれの香港を取り戻すため、負けは香港人の命の終わりを意味する。われわれは逃げることも、臆病になることも、妥協もできない。これは我々と全体主義との最後の一戦だ。

 過去一年、香港人は世界中の予想を超えて、全体主義に対して団結してきた。
一年のあいだ全体主義の弾圧は強まることはあっても弱まることはなく、いままた国家安全法という矢がつがえられた。香港人は腐敗甚だしく、人間性を完全に失った政権に敗れ斃れることに甘んじるのだろうか。中共政権はとっくに一国二制度という嘘っぱちを投げ捨て、香港を蚕食しようとする狼の野心を露わにしている。香港人は覚醒した。この暴政がわずかでも生存空間を残す余地があるなど考えるのは妄想である。われわれの背後には香港のために犠牲となった無数の仲間たちがいる。目の前には民主を実現する唯一のチャンスがある。われわれは生死を香港とともにする。

7月1日、命ある限り徹底抗戦を。

香港大學學生會
香港理工大學學生會
香港公開大學學生會
香港恒生大學學生會
香港中文大學學生會臨時行政委員會
香港城市大學學生會
香港樹仁大學學生會
嶺南大學學生會
香港教育大學學生會
香港浸會大學學生會臨時行政委員會
香港科技大學學生會

報告:6.21香港に自由を!連帯行動

配信:香港 (2) 6月21日、新宿アルタ前で「香港に自由を!連帯行動」が(呼びかけ:APFS労働組合、ジグザグ会、LACC(反資本主義左翼講座)、No―VOX Japan)行われた。

 6月18日、中国の全国人民代表大会常務委員会は、香港民衆の民主主義を求める闘いを圧殺するための「香港国家安全維持法」の審議を開始した。法は、①中国が香港に国家安全維持公署を設置。香港行政長官を主席とする国家安全維持委員会を設置し、顧問は中国政府が派遣する。②香港行政長官は、若干名の裁判官を選び、国家安全に関わる犯罪の審理を担わせる。③国家分裂罪、国家政権転覆罪、テロ活動罪、外国勢力と結託し国家安全を害する罪を設け、刑罰を定める―というものを柱にしている。

 1997年に香港が中国に返還されて以降の「一国二制度」を投げ出し、中国政府の香港直接支配を力によって支配するものだ。昨年の逃亡犯条例改正案反対、香港民衆による自由と民主主義を掲げた大規模な運動の広がりの直撃を受けた中国政府は、5月の全国人民代表大会で「香港が国家安全を守るための法律制度と執行メカニズムの確立に関する決定」を採択し、その具体化が「香港国家安全維持法」案だ。中国共産党の習金平政権は、早期成立に向けて加速化させている。

 香港政府は、新型コロナウイルス対策に便乗して9人以上の集会を禁止する措置を強行してきた。だが民衆は、集会禁止に抗して5月24日の数千人の反対デモを皮切りに警察の催涙ガスや放水車などの暴行を許さず連続的な反対集会を取り組んでいる。六・四天安門事件追悼集会は、6月5日、ヴィクトリア公園で行われ、数万人が集まり「光復香港・時代革命(香港を解放せよ・革命の時代だ)」、「結束一党専政(一党政治を終わらせよう)」などのスローガンを掲げた。

 さらに労働組合と連合組織、中高生の団体は、香港国家安全維持法」反対のた
めのストライキ・授業ボイコットの組織化に入っている。また、民主派は、昨年の区議選の多数派獲得の成果を踏まえ、9月の立法会選挙への取り組みも開始している。

 「香港国家安全維持法」を撤回しろ! 中国共産党と香港政府による香港民衆の闘いに対する弾圧を許さず、連帯していこう。

 前段集会開催にあたって実行委は、「6月18日、中国の全国人民代表大会常務委員会で香港国家安全維持法案の審議に入った。今月中にも成立させようとしている。この法案は、中国政府を批判する言論の自由を圧殺し、政府に逆らう者は、『アメリカの手先、売国奴』と見なして強権的に服従を迫るものだ。かつての日本の戦前の治安維持法に等しい法律だ。国家への反乱、反逆、反政府や反体制活動を禁じ、自由を求める香港の人々の声を沈黙させようとしている。昨年の百万、二百万規模のデモで逃亡犯条例を撤回させ、今や一年以上におよぶ香港の自由を求めるデモが中国共産党一党独裁体制に対する深刻な打撃になっていることの証だ。香港の自由が脅威にさらされていることに対して黙って見ていることはできない。共に連帯の声を起こしていこう」と訴えた。

 APFS労働組合は、「アジアの人々が参加している組合です。香港の留学生も参加してました。香港出身の仲間たちが、今、どんな気持でいるか、どんなに危機感を持っているかなどを思うと本当に辛い。自由とは闘いとるもの、闘いとった自由はまもりぬかなければいけない。今、香港の人達は、そういう気持で闘っているのだと思う。自由を求める香港の人達と連帯して頑張っていきたい」と発言。

 要請するなら補償しろ!デモ実行委は、「1年前、中国新疆ウイグル自治区カシュガル地区を訪問した。警察によるウイグル族への弾圧を直に見た。教育もすべて中国語に変えさせた。住宅地も破壊し、観光地化しようとしている。香港の仲間が『昨日の新疆は、明日の香港だ』というスローガンを掲げていた。中国政府の香港弾圧を許してはならない。安倍政権は、中国政府の弾圧に黙認している」。

 「私たちのデモは、渋谷、高円寺、秋葉原で行い、安倍政権に対して(新型コロナウイルス感染症拡大下で)『自粛要請するなら、緊急事態宣言を出すならお金を出せ! 新しい生活様式を押しつけるな』と訴えてきた。税金の無駄使いをするなら困窮者に食料を配るのが先だ。そんな当たり前のことができない政府は私たちの手で変えるべきだ。圧政に対してNOを言っていこう」と強調した。

 さらに発言は、差別・排外主義に反対する連絡会、羽田新ルート反対!八潮個人共闘連絡会、市川市民、ジグザグ会から発言が行われた。

 新宿駅周辺デモに移り、「香港への国家安全法を撤回しろ! 中国政府は、香
港の自治を奪うな! 香港政府は、弾圧をやめろ!」などのシュプレヒコールを響かせた。

(Y)

 
 

報告:12.20/21 香港に自由と民主主義を〜沖縄・日本・アジアのなかで

配信:12.20チェンさん 「#FIGHT FOR HONG KONG @ 2019」は、12月20日、21日、文京シビックセンターで「香港に自由と民主主義を〜沖縄・日本・アジアのなかで」をメインスローガンに香港から2人のゲストを迎え、香港民主化運動について報告した。

 20日は、陳怡(チェン・イー) さんが「協力と緊張〜香港デモにおける非暴力派と直接行動派」をテーマに報告した(報告要旨別掲)。

 21日は、「衛港之戰2019」をテーマに陳怡さん、區龍宇(アウ・ロンユー)さんが報告した(報告要旨別掲)。

 陳怡さんは、大学院で学ぶ傍ら、この間の社会運動にも積極的に参加してきた。なお香港政府の厳しい弾圧下のため報告会では「お面」をつけざるをえなかった。

 區龍宇さんは、香港の左派の民主派活動家。邦訳書に『台頭する中国 その強靭性と脆弱性』『香港雨傘運動 プロレタリア民主派の政治論集』(ともに柘植書房新社)がある。


■20日 陳怡さんの報告

 香港民主化運動のきっかけは、2月に逃亡犯送還条例の改正案を香港政府が提案しようとしたからです。すでにこの時に抗議行動を始めています。三月末に民間人権陣線(民陣)が組織した抗議行動がありました。12000人の参加者がありました。4月末には、13万ぐらいの参加者がありました。大規模になったのは、雨傘運動の中心だった9人に対して不当判決が出たことが大きな理由だと思います。実際
に雨傘運動に参加した人たちには大きな怒りがありました。

 つまり、逃亡犯送還条例案が出る以前から市民の中で政府に対する不満が渦巻いていたことがわかります。

 6月4日は、天安門事件30周年であり、その抗議行動の参加者は18万人でした。また、雨傘運動2014の5周年も重なってました。以前から6月4日の抗議行動が取り組まれていたが、それぼどの参加者ではなかった。6月9日も大勢の人たちが参加し、103万人でした。香港の歴史上最も大きなデモでした。これは国際的にもよく知られていることだと思います。しかし、その夜に林鄭月娥長官が6月12日に予定
通りに逃亡犯送還条例改正案の審議を行うことを宣言しました。

 市民の怒りは、6月12日に条例案改正案の2回目の審議に対して抗議するために立法会に集まりました。この時に抗議者と警察との緊張関係になりました。平和的な抗議をする人たちと過激な抗議をする人たちが協力しました。

 6月15日、長官は条例改正案の審議を中止すると宣言したが、その後に200万人という規模のデモがありました。その理由は、6月12日に警察が非常に暴力を振るうようになったので、それに対する怒りとそれ以上の要求をしなければと強まったわけです。もう一つの理由は、若い抗議者がビルディングの上で抗議をしていたが、そこから転落死したことでした(6月15日)。

 主催者の民陣は、参加者を200万人と発表したが、市民たちはさらに亡くなった抗議者も含めて200万プラス1人と表わわしました。抗議者の参加者があまりにも多かったので警察は、恐れをなして大勢で出てこなかったと思います。抗議の暴力はありませんでした。つまり、警察がいなければ暴力的な行動がないと言えるのです。

 ほとんどの人が6月15日までは平和的な抗議によって、よい結果が得られると考えていたと思います。しかし、長官は6月18日に謝罪をしたけれども、条例改正案を撤回するとは表明しませんでした。このことによって多くの市民は失望し、抗議者の考え方が変わっていったと思います。

 6月22日、抗議者は警察本部を包囲し抗議した。他の政府の建物に対しても封鎖するという動きを取りました。この時までは民陣は、やれることはなんでもやろうと考えていたと思います。7月1日、抗議者は立法会の中に突入し、施設を破壊しました。民主派議員の一部は、抗議者を止めようとしたが、抗議者はその呼びかけに応えず突入しました。

 これ以降、色々な団体、個人が色々な抗議行動を企画しました。以前は民陣を中心にやってましたが、誰でも行動していくことになりました。ところが7月12日、地下鉄元朗駅で白いシャツを着た男達が抗議者に暴力を振るうという事件が起きました。ターニングポイントになった事件です。

 香港ラジオテレビは、これに関するビデオを作り、詳細に何が起こったのか、証拠の数々が入っています。これからわかることは、警察はこのような襲撃が起こることを事前に知っていたということがわかります。警察は見て見ぬふりをし、協力したということです。

 8月5日は、香港中でストライキを呼びかけました。このあたりで非常に緊張が高まりました。過激派と言われる人たちの行動は、まったく組織だっておらず、バラバラでした。外国勢力がいるとの声もありますが、バラバラぶりはそんなことはない証明です。このころは平和的な抗議者は、過激な行動をとる人たちに対して、自分たちは同じような行動はしないけれど彼らを支援するという姿勢にな
りました。

 写真には8月11日、女性の抗議者が警察が放ったゴム弾に当たった時のものです。私も含めてこれで怒りをかきたてられた。次の日、空港への抗議行動に向かいました。8月12日の抗議行動は、全く暴力がない平和的な行動でした。午後のフライトが全てキャンセルとなり、成功しました。

 8月12日の平和的なデモは、170万人でした。民陣は、「和理非」というスローガンを掲げ、平和的にやろうというメッセージがこめられていました。過激な行動をとるある人たちは、「私たちは、今日は平和的なやり方で抗議行動をします」というプラカードを持って参加してました。

 ところが8月31日に緊張がクライマックスになるような出来事が起こりました。香港の地下鉄の駅に警官が乱入し、抗議者を殴り、逮捕しました。8月のはじめ、抗議行動で自殺した人たちがいると言われていたが、警察に殺されたのだという噂が流れていました。31日も抗議者が殺されたという噂が流れました。

 つまり、多くの抗議者が警察によって仲間が殺されたと信じこんでいます。証拠がないのに多くの抗議者は、より過激な行動になっていきました。警察は、捜査の結果、死者は出ていないと発表している。抗議者は、警察を信じなくなっています。

 10月1日、警察は抗議者に対して初めて実弾を使用した。民陣は、警察に抗議デモの申請をしたが、許可されませんでした。にもかかわらず大勢の人たちによって無許可デモが行われました。権利が抑圧されてはならないと行動で示しました。

 10月4日、長官は集会でマスクをつけることを禁じる禁止令を出した。政府は、いつも間違ったタイミングで間違った決定をしています。覆面禁止法で、市民の怒りが高まりました。地下鉄が止まるという抗議行動が行われた。

 10月16日、民陣の岑子傑が何者かによって襲撃されました。私の友人です。平和的なデモを行っている人たちも同様なことが起こると感じました。また、自由がなくなっていると思わされました。このことがきっかけとなって平和的抗議者が過激な行動で訴えるしかないという方向に変わっていきました。

 11月8日、警察の強制排除の最中に建物から転落して重体だった香港科技大学の周梓楽さんが亡くなった事件です。これも証拠はないが、ほとんどの抗議者は警察に落とされたのだと信じています。多くの抗議者に悲しみをかきたて各地で追悼集会が行われました。

 理工大に立てこもった学生たちは、警察に捕まったら殺されると信じていた人が多くいました。だから降服しなかったのです。逮捕者は1000人で、理工大に立てこもった学生、支援しようとして外にいた人たちでした。その中の200人は、暴動に参加した罪で次の日に裁判に送られました。この罪は、最高で10年も刑務所に送られるのです。

 11月24日の区議会議員選挙に非常に大勢の人が投票して民主派が勝利しました。区議会選挙以来、状況は非常に落ち着いたと思っています。

 区議会選挙で民主派が勝利したことによって彼らが事態を変えてくれるという期待感が強まったからです。抗議に参加している人たちは、長期戦になることを覚悟しています。なおかつ過激な方法ではない抗議行動になっていくのではと考えています。過激なやり方ではなく、別な方法でやったほうがよいと考えるようになってきました。


 以下は、抗議行動の中で私が観察したことです。

 雨傘運動以来、香港の市民社会は2つに別れています。青リボン派と黄リボン派です。青は政府支持者、黄が抗議をしている人たちの支持者です。

 抗議者の宣伝活動は、政府に対して非常に強いものとなっています。政府支持者を効果的に攻撃するようなスローガンなどが考えられています。青も黄もお互いを攻撃するのですが、攻撃の対象となるのが女性になりがちであった。

 青の人たちは、6月9日の抗議行動で若い女性が警察に連行されている写真を使いました。この写真は加工されていて、乳首を黒くしています。この女性はブラジャーを付けていないと強調し、実は「売春婦」だと印象づけようとしています。

 女性の抗議者は、実際に警察によって恥ずかしいめにあうことがありました。服を破かれたり、下着が丸見えで連行されたりです。 黄は、警察によって女性が侮辱されていると非難しました。それに対して警察を支持する青は、抗議行動に参加するような女にはそのような扱いがふさわしいのだと宣伝しました。

 青リボン派は保守だから女性差別をするのは当然だと考えるかもしれませんが、実は黄リボン派も礼儀をわきまえた行動をとると考えるかもしれませんが、女性差別的な宣伝がありました。黄リボン派のある人々は、長官を非難するために女性差別を使った写真を使いました。もちろん長官は最悪ですが、だけれどもそれが女性だからという事実とは関係ないことです。香港は文明化された社会だと考えられていますが、それでも誰かを攻撃する時は、その人が女性だという側面が利用されて攻撃するわけです。

 このように黄派の中でも女性差別だけではなく、階級とかを理由にした差別的なスピーチがよくありました。私は差別について取り上げていろんな人たちと話をしようと思ったが、周りはとるにたらないことを取り上げて、騒ぎたてようとしているという感じで非難されることが多かったです。しかし、このような問題についてきちんと意識を持っていることは大切なことだと考えています。


■21日 陳怡さんの報告

 今日は、私たちの陣営がどのように総括し、次に結びつけることができるのかについてお話したいと思います。また、運動の中で様々な克服しなければならない課題があり、それらを指摘したいと思います。

 この運動が当初、平和的なデモから始まり、様々な過程を経て、警察との激しい衝突に至っています。デモ参加者が自分たちに敵対する人間に対して私刑・リンチを行ったりとか、お店が破壊されたりとかが報道されています。なぜこうなってしまったのか。

 運動が始まってから7月21日に香港の元朗で行われたデモに対して地元のヤクザが自警団を組織してデモ隊を襲う事件がありました。これが運動の大きな転換点になったと思います。

 例えば、9月15日にも大きなデモがあり、その際には別の福建のヤクザがナイフでデモ隊を襲撃し、デモ隊はそれに反撃し、攻撃したことがありました。一般的にはこの行為は犯罪になるわけですが、ただ香港の状況は緊迫しており、一般的な法律概念では理解できない状況になっています。こういう事件が発生することもいたしかたがないと思っています。襲撃に対して防衛目的でやり返す、襲撃に対して恐れていないということを示すことは必要なことです。

 しかし、それから数ヶ月がたちますが、襲撃してくる者たちに対するデモ隊の中で増幅される憎悪が膨らんでいくことになります。例えば、デモ隊に襲撃してくる者ではなく、街頭からヤジを飛ばすような通行人、政府支持派に対しても暴力を行うようになりました。

 私はこれはおかしなことだと思ってます。間違ったことは間違っているとはっきり言うべきだと思います。今後同じような過ちを繰り返さないためには、正しく指摘することが必要だからです。

 私たちの運動は民主化を求める運動なわけです。1人1人が政治的見解を持ち、それを止めることができないのが民主主義です。政治的立場が違うだけで襲撃の対象にしていいわけではないのです。もちろん直接に襲撃してくる者たちに対しては反撃は必要です。

 運動には「分裂はしない」という大きなスローガンがあります。それは運動が分裂してしまっては勝てない、団結しようという意味です。それが徐々に批判を受入れなくなっていきました。友人達も心理的変化が現れていきました。襲撃、店舗破壊、私刑・リンチに対して批判してきた人たちが批判しなくなり、そのような行動を防衛するようになりました。

 そうなってしまったのは、デモ隊が受ける被害があまりにも大きく、それに対する悲しみと怒りが影響しているからです。もう一つの理由は、平和的なデモ支持派は、警察に対する反撃なども含めてそこまで自分はできないとか、申し訳ないとか、不甲斐なさを隠そうとして応援してしまうのでした。

 議論の中では、勇武派の若者たちがいなければ条例改正は成立していただろうし、そのように若者を追い込んでいったのは自分たちの世代のせいだなどの理由で勇武派の行為を擁護する意見がたくさんありました。

 そういう状況が続くなかで、本来やってはいけないことまでやるようになっていったわけです。その後も批判がなく続いています。

 強調したいことは実力で闘争を行っていくことが間違っていることではありません。力関係が拮抗している時、実力を行使することはありえます。例えば、7月21日のヤクザの襲撃がありましたが、その次の週にそれに対する反撃ということでデモを行い、襲撃があったらやり返すと呼びかけました。私も参加しました。ヤクザと対峙する力はデモ隊は準備をしっかりしていればできるということでそのような方針をとりました。しかし、その対象が警察となると同じような力で対抗できないと考えます。

 私たちは民主化運動をやっているわけですから、実力で闘争する場合も無関係な者をなるべく巻き込まないという原則を守るべきです。

 もう一つ議論になったのは、大学での攻防戦です。警察が大学に突入し弾圧をしました。一般的には警察が大学に入ってはだめだという考えです。大学の友人は、学生宿舎に入っています。大学も攻防戦の一つでした。デモ隊が学生宿舎を闘争の拠点にしたと聞いています。宿舎の防犯カメラを全て壊し、入口に火炎瓶をたくさん並べました。

 その宿舎に友達がいました。それを聞いて私は怒りました。宿舎には闘争に参加するかわからない人たちもいるなかで闘争拠点に変えてしまいました。友人は闘争に参加しないことで出ました。その途中でデモ隊が投げた物が彼女にかすめたわけです。その後、大学当局は警察に通報しました。私は大学がやったことは間違ったことではないと思っています。

 米国の香港人権法案ですが、運動は歓迎ムード一色です。しか、この法律は問題があるわけです。香港の人権と米国の外交政策をリンクさせてしまっています。法律の中には、米国が実施するイランや朝鮮に対する制裁を香港は守っているかと監視する条項があるのです。

 もう一つの問題は、米国と香港の間でも逃亡犯引渡条例がありますが、今後、香港が米国の要請に従って逃亡犯を米国に送り返すのかどうかと書かれています。私は「悪魔との契約」として批判しています。香港の人権を守るために逃亡犯を中国に送らないようにするための闘いだったにもかかわらず、自分たちの人権を守るために朝鮮やイランの主権、米国から政治的に亡命する人間を米国に送り返すことは、自分たちの人権を売り渡すことと同じだ。

 理工大の弾圧は、多くの勇武派の人たちが逮捕され、今の状況は少し変わりつつあります。最近のデモでは大きな激突がみられなくなってます。実力路線がボトルネックにつきあたっていると多くの人たちが感じ始めたからです。30歳以下のサラリーマンの人たちは、労働組合を作ろうという動きが出始めています。将来、ストライキ、ゼネストを打って闘争に参加しようというつもりがあるからです。

 それがいつ成功するか、身を結ぶかわかりませんが、新たしい方向でもう一度始めようという若い人たちがいます。様々な闘争の中で失敗もあり、違いがあり、それらを乗り越えて新しい闘争をやりだそうとしていることに希望があります。


配信:12.20チェンさん■區龍宇さんの報告

 香港返還後22年たちますが、香港の自治を守る闘いは、2003年には国家安全条例に反対する闘争がありました。その後、中国は学校の中で北京語で教育をするように押し付けに抗議する運動もありました。2014年には、雨傘運動がありました。そして2019年の闘争です。

 2月から5月は、運動の萌芽期だった。運動は、すべて若者による闘いと言えないでしょう。当初、政府は法律を発表し、反対の取り組みを始めたのは上の世代が中心となっている民主派の主流派であったり、大衆組織に参加している人たちでした。

 決定的な転換点となったのは、6月12日でした。立法会議会の周りを数万人の人々が包囲しました。政府は、それを見て審議をしないと決定しました。にもかかわらず若者たちは議会から立ち去ることはしませんでした。警察は高圧的な態度で若者達に対応したわけです。それで衝突が起こり、デモ隊からブロックを投げる人も出たわけです。

 当初、政府はデモ隊が暴力を使ったら一挙に支持がなくなるだろうと見ていたわけです。香港人は、普段、おとなしく、優しい人たちです。衝突の際にデモ隊には、様々な暴力を振るうわけですが、世論の非難は政府と警察に対してたくさん届けられたわけです。

 6月12日のデモは民権陣線が呼びかけ、200万人の参加者がありました。これ以降、運動が高揚していきました。本当の運動のピークは、8月5日だったわけです。六月から七月にかけて若者たちは、非常に果敢にデモや警察と対峙したわけですが、一方ではその運動の限界を感じはじめていたわけです。実力で警察と対峙するだけじゃだめだということでストライキが必要だと呼びかけはじめました。

 8月5日にストライキが呼びかけられました。そのストライキでは、香港のかなりの交通部門が止まり、経済活動が麻痺しました。飛行場では国内・国際便含めて半分がフライト中止に追い込まれました。

 8月5日のストライキの時は、香港全土で七カ所でストライキ突入集会が行われました。私は長年香港で活動をしてきましたが初めての事態だったわけです。北京政府はすぐに反撃に出ました。キャセイ航空の経営者2人を解雇する圧力をかけました。新しい経営者は、ストライキに参加した労働組合員を解雇する攻撃に出ました。

 ストライキはなかなか難しくなり、学生たちは別な方法でストライキをやるしかないとなった。交通を麻痺させるということです。11月1日もストライキが呼びかけられ、線路の上に椅子を置いたりしました。こういうことを香港の全てのところで電車の線路、バスが通る道路に障害物などを置きました。その日は社会全体が混乱しました。

 副作用がありました。ああいう形でストライキができるのだったら、労働者は俺たちがやることはないから、あとは学生に任せましたよ、となってしまった。8月5日以降、10回以上ストライキ、ゼネストが呼びかけられるが、一度も成功することはありませんでした。

 9月から10月にかけて引き続き拡大していきました。中高校生が立ち上がったわけです。各地の中高生が地元でグループを作り、ヒューマンチェーンをやったり、スタンディングをやったり、様々な形で運動に参加してくるわけです。

 11月11日以降、二週間にわたって香港の大学で警察との攻防戦が行われました。そこで包囲された学生を救えと多くの市民が理工大に駆けつけました。その一方で運動がボトルネックに入りました。

 市民が学生を救えと呼びかけ、10万人以上が現場に駆けつけました。もしその時、警察と衝突も辞さず学生たちを救援したら香港の情勢は大きく革命的情勢に入っていたと思います。しかし、駆けつけた大人たちは、全てを投げ打って警察と闘う準備ができていなかったわけです。警察の警戒線を突破し、衝突をしてまで突破しようとした人たちは数千人いたかどうかの数です。

 9月以降、それ以上の運動が発展することはなく、政府も弾圧することもできず対峙しながら、どちらも引くことができない状態でした。そのような経過を見て、2度にわたる大学攻防戦で敗北し、12月に入るなかで一時的に運動の見直し時期に入りました。実力で闘うことの代償も大きいわけです。すでに6000人以上が逮捕されているわけです。この6000人という数は、香港で収監されている数を上まわ
っています。

 すでにこの運動ではゼネストが何度もよびかけられ、実際に行われ、たくさんの労働者階級が運動に参加している。労働者を覚醒させているわけです。香港の労働運動は、力が弱かった。この運動を通じて覚醒され、労働運動の弱さを自覚し、再認識したわけです。さきほどの落書きの訴えをどのように形にして、運動につなげていけるのかを考えるのが私たちの役割です。

 若い人たちは、労働組合を軽視していました。もちろん自分たちで労働組合を作ろうなんていう人はほとんどいません。運動の中でストライキの力を感じ、11月以降、労働組合を作らなければならないと動き出している人たちが出始めています。38業種の中で組合が結成されたり、準備中だという人たちがいます。

 香港の民主化運動の歴史的意義は、革命をどのように考えるかということです。1989年の北京の民主化運動以降、初めて革命という言葉が香港で使われたことが歴史的意義があります。89年の民主化運動は、非常に壮絶な運動だった。しかし、その時の学生たちは、私たちがやりたいことは革命じゃないんだと必死で革命の言葉を否定しました。ハンストという死ぬまでの闘争をしたわけです。それでも革命という言葉を拒否したわけです。

 天安門で学生弾圧が始まった時、労働者たちも参加していたが、労働者たちは武器をとって学生たちを守ろうとしたが、その時も学生たちは労働者に対して武器をとるな、革命を止めてくれと必死に訴えたわけです。

 香港の今の運動は、若い人たちだけではなく、大人も「時代革命」と叫んでいるわけです。驚きの事態になっているわけです。革命が必要だとみんな言っているわけですが、どのように革命にもっていくのか。中国では多くの革命があったが、政権が交代するだけだった。

 しかし、私たちが実現しなければならないことは、民主主義革命だと思っています。今回の運動の中で市民が民主主義を実現しようという要求があり、中国の過去の農民反乱だと考えている人たちもいる。いずれにしても運動の路線をはっきりとしなければ中国共産党がたどった悲劇を繰り返すことになります。革命政党として出発した共産党が、反動政権になってしまった歴史を繰り返す必要はないわけです。


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案内 12.20-21 香港に自由と民主主義を 〜沖縄・日本・アジアのなかで

_20191204_162510#FIGHT FOR HONG KONG @ 2019
香港に自由と民主主義を
〜沖縄・日本・アジアのなかで


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BATTLE OF HONG KONG 2019[DAY1]
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◎協力と緊張〜香港デモにおける非暴力派と直接行動派
 報告者:陳怡(チェン・イー)

・12月20日(金) 18:00開場18:30開始
・文京シビックセンター5階 区民会議室C
・資料代 1,000円(賛同者800円)
・英語→日本語の逐次通訳あり

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BATTLE OF HONG KONG 2019[DAY2]
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◎衛港之戰2019/DEFENSE OF HONG KONG 2019
 報告者:區龍宇(アウ・ロンユー)、陳怡(チェン・イー)

・12月21日(土) 18:00開場18:30開始 
・文京シビックセンター5階 区民会議室C
・資料代 1,000円(賛同者800円)
・普通話→日本語の逐次通訳あり


【賛同のお願い】
2019年6月から広範な市民が参加して大規模な抗議行動が続く香港から友人を迎え
て、香港〜沖縄〜日本の運動交流を予定しています。民主主義を求める香港市民
の闘いは、長い闘争の過程にある中国民主化はもちろん、国境や大海原を超えて
東アジアや世界の運動にも影響を及ぼすかもしれません。ぜひ実りある交流のた
めにご協力ください。

【来日するゲスト】
_20191204_230825・區龍宇(アウ・ロンユー)さん:男性。香港の左派の民主派活動家。香港の民
主化のカギは中国の民主化にあると主張。邦訳書に『台頭する中国 その強靭性と
脆弱性』『香港雨傘運動 プロレタリア民主派の政治論集』(ともに柘植書房新
社)。

・陳怡(チェン・イー)さん:女性。大学院で学ぶ傍ら、このかんの社会運動に
も積極的に参加。

【賛同金を募集しています】
 個人1口:1,000円  団体1口:3,000円
 振込先 :郵便振替口座00150-9-251494
 加入者名:アタック・ジャパン ※通信欄に「香港賛同金」と記載してくださ
い。

_20191204_162427【問い合わせ先】
 東京都千代田区神田淡路町1-21-7静和ビル1階Aスペース御茶ノ水 ATTAC(首都
圏)
 メールでの問い合わせ:wen_zhao1917@yahoo.co.jp(稲垣)


【参考資料】
・『香港雨傘運動 プロレタリア民主派の政治論集』(區龍宇著、柘植書房新社、
2016 年)
・『台頭する中国 その強靭性と脆弱性』(區龍宇著、柘植書房新社、2014 年)
・『香港雨傘運動と市民的不服従 「一国二制度」のゆくえ』(周保松 著、社会
評論社、2019年)

その他、ウェブ上で読めるアウさんに関する資料はこちらです。
・『朝日新聞』2015 年4 月2 日(インタビュー) 中国「官僚資本主義」 區龍宇
さん

https://ujikenorio.hatenablog.com/entry/20150409/p5


この間の香港の運動についてはこちらのインタビュー(翻訳)参照
・香港2019:ミレニアル世代の登場〜東アジア規模での巨大な民主化運動(區龍
宇)


http://attackoto.blog9.fc2.com/blog-entry-472.html


區氏の詳しい経歴や思想はこちらのインタビュー記事(翻訳)参照
・2015 年:独立独歩の反対派—區龍宇(上・下)

http://www.jrcl.net/frame150914e.html
http://www.jrcl.net/frame150921d.html         

報告 11.25香港連帯緊急アピール行動

1125★11.25緊急アピール行動
☆香港政府は学生市民の声を聞いてください

 11月25日午後7時から、九段下にある香港経済貿易代表部に対して、「香港政府は学生市民の声を聞いてください」緊急アピール行動が主催:#Fight for Hong Kong @ TOKYO 2019で行われ、20人を超える仲間たちが参加した。前日の24日の区議会選挙で、民主派が八割を超す議席を占め、圧勝を受けての香港民主運動に対する連帯行動としても取り組まれた。

 最初に、司会者が6月以降の逃亡犯引き渡し条例反対から起こった運動の経過を紹介し、この条例を撤回させ、警察のすさまじい弾圧の責任の追及や逮捕者の釈放、行政長官の民主的な選挙など五大要求を突きつけて闘い抜いていることを報告した。香港政府に態度を改めることを求めた。



 次に区議会選挙について、仲間が詳しく報告した。

 「11月25日は6月9日の百万人デモから170日目にあたる。5000人が逮捕され、暴動罪で1000人が起訴された。今日四時から当選した50人の民主派の議員の呼びかけで理工大の近くの公園で『警察は包囲を解除し、立てこもる学生が無事に出てこられるようにせよ』と集会が行われている。410万人の選挙名簿の七割を超える人が投票した。四五二の議席のうち八割が民主派によって占められた。前回の選挙(2016年)では体制派が七割をとっていた。18ある選挙区ですべての区で圧勝した。白色テロにあい一カ月入院した人が「理工大生を救え」と呼びかけた。その人も当選した。また、雨傘運動の中文大のリーダーだった人も当選した」。

 「民主派が当選した区議会だが、法律を作ることが出来ず、地域の住民サービスのみに権限が限定されている。これは英国から返還される前も返還後も変わっていない。弾圧法の撤回や警察の弾圧を制限する法律を制定することはできない。だから、普通選挙を求めている。香港政府のバックには中国共産党がある。香港の運動派民主主義運動の最前線に立っている。香港の運動の進展は日本の運動の力にもなるだろう」。



 参加した若者が香港警察の弾圧について報告した。

 「今まで香港について知らなかったがUチューブなどを見て勉強した。すさまじい催涙ガスの水平撃ちがあった。大学を占拠している学生に対して、親が駆けつけ支援していた。何人も死者が出ている。学生は遺書を書いて闘っている。硬直した警察の暴力を許さない。情報を共有すること、香港の闘いを精一杯支援していきたい。日本の民主主義を変えなければならない。東アジアを変えていく、私たちもその主体だ」。

 香港で不当逮捕され、帰国した井田光さん(東京農大生)が「デモ隊の近くに居たというだけで、何もしないのに逮捕された。帰国した自分も闘わなければならないと思い参加した。抗議行動をしている人が銃で撃たれる。そんな国でいいのか。暴力はやめてくれ。学生たちは市民のために闘ってくれている。これからも連帯したい」と本名を名乗り発言した。

 昨年12月12日に靖国神社で、日本の侵略戦争の責任を問う抗議行動をした香港の二人が逮捕・起訴され、裁判で有罪になった。この支援運動を行った仲間が経過を報告した。そして、山谷で活動している仲間も連帯のアピールを行った。

最後に、申し入れ書を読み上げ、今後も連帯活動を続けていくことを確認した。



(M)

 
申し入れ書

 6月9日の103万人デモから170日目の今日、私たちは6月から続く香港の事態に憂慮し、民主主義を求める香港の人々を日本から応援するために、ここに集まりました。

 「香港の明日はもっと良くなる」といわれた香港返還から22年が経った今、誰
も当時のこの政府スローガンを真に受ける人はいなくなりました。

 むしろ逆に、民主主義や自由が「もっと悪くなる」と考える学生や市民らが、
今回の逃亡犯条例反対の運動に立ち上がり、法案撤回後も残り四つの要求を実現するために、いまも運動を続けています。

 香港政府と警察は、法案が撤回された9月4日までと同じ方法、つまり暴力的措置によって運動の鎮静化を図ろうとしています。それが徒労に終わるであろうことは、警察の包囲にも屈することなく果敢に抵抗を続けた中文大学や理工大の学生市民らの動きや、昨日の区議会選挙の結果を見ても明らかでしょう。香港政府には、民主化を求める人々の声に向き合ってほしいと思います。

 未来の香港を担う10代の若者をはじめ、千人近くもの市民が「暴動罪」で逮捕、起訴されています。数千名の青年が警察の暴力に怯むことなく最前線で民主化を求めています。催涙ガス漂う街頭では幾万もの市民が最前線の青年たちを支えています。そして香港のあらゆるところで百万の市民が民主主義を求めて声を上げています。

 この香港市民の声は必ずや中国国内にもこだまするでしょう。そしてこのこだまは何十倍、何百倍もの勢いで東アジアと世界に響き渡るでしょう。

 普通選挙権に象徴される民主主義は世界中の長いたたかいのなかで実現されて
きました。しかし世界、そして日本にも多くの不平等が存在しています。

 いま私たちは改めて香港の人々から、自分たちの未来は自分たちで決めるとい
う権利は人から与えられるのではなく、ましてや人に奪われるのでもなく、多くの人々との協力によって、実現しなければならないということ教えられています。

 自由と平等、そして平和をもとめる民主主義に国境はありません。わたしたち
は香港の人々の掲げる五大要求に象徴される理念を、日本をふくむすべての場所で要求しつづけます。

 香港政府は、民主化を求める香港市民の声に向き合ってください。残り四つの要求の実現し、覆面禁止法を撤回し、緊急状況規則条例を廃止してください。

2019年11月25日 
香港経済貿易代表部前アクション参加者一同
 

報告:11.15香港に自由を! 連帯デモ

配信:香港デモ 11月15日、新宿アルタ前広場で「香港に自由を! 連帯デモ」が行われた。呼 びかけ団体は、ApFS労働組合、ATTAC Japan(首都圏)、ジグザグ 会、LACC(反資本主義左翼講座)、NO―VOX Japan。

 中国共産党第19期中央委員会第四回総会(4中総会/10・31)で香港に対して 「特別行政区が国家の安全を守るための法律制度と執行メカニズム」(①「一国 二制度」の堅持と改善②中国政府による香港行政長官や主要高官の任免制度③全 人代常務委による香港基本法の解釈制度の改善)構築とともに「特別行政区の法 執行力強化」を確認しながら、「中国の歴史と中華文化」「国家意識と愛国精神」 教育の強化を押し進めていくことも意志一致している。

 四中総会後、中国の習近平国家主席は香港特別行政区の林鄭月娥行政長官と会 談し、香港の治安回復を命じた。以降、香港政府は、民衆の五大要求〈(1) 「逃亡犯条例改正案の撤回は、撤回を勝ち取ったが、(2)デモの「暴動」認定 の取り消し(3)警察の暴力に関する独立調査委員会の設置(4)拘束したデモ 参加者の釈放(5)普通選挙の実現〉を無視し続け、重弾圧体制を広範に敷き、先 取り的にマスク着用を禁止する「覆面禁止法」制定(10・4)を皮切りにデモ参加 者に対する無差別大量逮捕、警告発砲をせず「銃殺」を前提にした実弾発砲を繰 り返している。

 さらに中国の習近平国家主席は、わざわざブラジルの新興5カ国首脳会議(11・ 14)で「香港行政長官が率いる香港政府の法に照らした施政や、香港警察の厳正 な法執行、香港司法機関の法に照らした暴力犯罪分子の処罰を引き続き固く支持 する」と表明し、香港民衆との全面対決を見据えていくことを国際的に宣言した のである。

 緊迫した現地情勢に連動して、実行委は、「香港は、今や『真の民主主義と自 由』を求める闘いの最前線に立っています。香港の民衆と共に立ち上がろう!」 と呼びかけ、本日のデモをスタートに連帯行動を積み上げていくことを訴えてい る。

 実行委の開催あいさつが京極紀子さんから行われ、「昨日、大嘗祭という天皇 儀式を27億円かけて行われた。200人の仲間とともに東京駅前広場から皇居に向け て抗議行動を行った。性差別・身分差別の天皇制がある日本は、本当に民主主義 国家なのか。世界は民主主義のために闘っている人々がいる。香港の人々は、命 をかけて民主化のために闘っている。自分たちのことは自分たちで決めるという 自己決定のために闘っている。「逃亡犯条例改正」案に端を発して春から民衆の 闘いが高揚し、100万人、200万人がデモに参加している。九月に「逃亡犯条例改 正」撤回を勝ち取ったが、五大要求を実現するために闘っている。しかし、警察 の暴力によって亡くなった仲間、多くの負傷者、大学突入破壊などの暴挙を繰り 返している。2回ほど香港を訪問してきたが、すごく心配だ。香港の民衆は、中国 の介入を見据えながら闘っているが、だからこそ国際的な連帯行動が重要だ」と 強調した。

 稲垣豊さん(ATTAC Japan(首都圏)は、香港民衆と警察との攻防局 面、情勢などを報告し、「11月11日~12日、香港中文大学にいるデモ参加者を検 挙するために警察が突入を試みたが、民衆は約10時間以上も抵抗しつづけた。警 察の無差別テロによって負傷者が60人以上となっている。警察の暴力のエスカレー トを国際的な包囲で少しでも止めさせていくことが緊急に求められている」と発 言。  さらに民主化運動内の状況について触れ、「香港の街頭では親中国派やヤクザ と闘う民衆の衝突が起きている。それだけではなく、残念ながら運動内部におい ても暴力によって相手の言論を封じ込める事態も発生している。運動が過激にな ればなるほど運動内部の民主主義が非常に重要になってきている。ある友人は、 運動内民主主義、香港の民主主義、中国の民主化を一体的に求めて闘っている。 香港のゼネストが呼びかけてられている。親中国派の組合が多いなかで困難な闘 いが続いている。運動の内部状況も含めてリアルな報告と連帯を勝ち取るために 12月に香港の仲間が訪日する。ぜひ多くの仲間が参加され、今後、香港と日本の 連帯運動の発展に向けて共に考え、行動していくことを呼びかけたい」とアピー ルした。

 NO―VOX Japanは、「香港に自由を!連帯行動」の呼びかけを行った。  前段集会終了後、デモに移り、「香港に自由を! 香港民衆の五大要求支持!  覆面禁止法撤回! 実現しよう民主主義」などのシュプレヒコールを繰り返し、 新宿一帯にわたって香港民主化をアピールした。最後に香港の仲間によるシュプ レヒコールが行われ、本日の行動を終えた。

(Y)  

報告:10.31「香港人反抗! デモとお粥と催涙弾」報告会/ATTAC Japan(首都圏)

10.31香港 10月31日、ATTAC Japan(首都圏)は、新宿・カフェ・ラバンデリアで「香港人反抗! デモとお粥と催涙弾」報告会が行われた。

 香港民衆は、容疑者送還条例の改悪(容疑者の身柄を中国本土にも引き渡せるようにする条例)に対して6月から大規模なデモを連続的に展開し(6・9は103万人)、7月には香港に拡大していった。すでに逮捕者が9月下旬までに1556人以上にもおよんでいる。そんな中でも民衆は、5大要求〈(1)「逃亡犯条例改正案の撤回は、撤回を勝ち取ったが、(2)デモの「暴動」認定の取り消し(3)警察の暴力に関する独立調査委員会の設置(4)拘束したデモ参加者の釈放(5)普通選挙の実現〉を掲げ、断固として闘い抜いている。

 逆に、反対運動の拡大にともなって中国政府は反対運動の鎮圧指示を香港特別行政区政府に強め、機動隊を先兵に殺人的な暴力弾圧をエスカレートさせている。それだけではない。暴力団ヤクザを動員しながら機動隊の弾圧を強化していくありさまだ。あげくのはてにデモ参加者のマスク着用を禁止する「覆面禁止法」を制定〈10・4〉し、無差別大量逮捕を強行している。

 また、中国共産党第19期中央委員会第4回総会(10・31)では、香港の反対運動をターゲットにしたコミュニケを出し「国家の安全を守る法律制度と執行メカニズムを確立する」「一国二制度を堅持し、香港基本法に基づいて管轄統治を厳格に実行する」と強調し、香港政府の弾圧を支援、強化していくことを確認している。民衆は、中国政府・香港政府と対峙しつつ、反撃陣形を再構築しつつある。緊迫した現地と情勢に注目し、日本における香港民衆連帯・支援の取り組みが求められている。

 京極紀子さん(ATTAC Japan(首都圏)、稲垣豊さん(同)は、7月1日の香港返還記念日のデモ、9月15日の民間人権陣戦の呼びかけたデモに参加した。現地での様々なデモ、仲間たちとの交流、立法会包囲、機動隊の暴力に抗する民衆などの写真と動画を上映しながら報告した。報告会では交流を深めるためにマスター手作りの『お粥』が提供された。

 開催あいさつが京極さんから行われ、「6月9日に103万人、16日が200万人プラス1人(亡くなった仲間も含めて)のデモが行われ、以降も大規模なデモが続いている。香港の人口が800万人だから4人に1人がデモに参加している。政権が倒れてもおかしくはないが、バックに中国政府がいるため倒れていない。行政長官は、デモの収束をねらって条例撤回を明言せざるをえなかったが、覆面禁止法を制定し、機動隊の暴力も激しくなっている。民衆は五大要求の実現に向けて闘っている。中学生、高校生も起ち上がっている。私たちは、反グローバリズム、オリンピック反対などの取り組みとともにインターナショナルな出来事にもつながっていきたいと考えている」と述べた。

 稲垣さんは、①容疑者送還条例改悪の解説と批判②五大要求の積極性③11月24日に行われる香港の区議会議員選挙(地方選挙)と政府の妨害実態などを浮き彫りにした。そのうえで「中国政府は、中国の中に香港情勢を伝えられないように妨害している。正しい情報が伝わることを恐れている。香港の実態について各方面に発信し、連帯の輪をひろげていきたい」と強調した。

 香港の仲間は、「政府は、逮捕者を増やせば収まると考えている。街中で買い物に出ているだけで逮捕されるケースもあるほどだ。昨日も団地に入り込み、デモから逃げた人を逮捕するために不法侵入した。その住民に対しても逮捕するぞと脅かし、手を上げさせていた。当初のデモに対する弾圧と比べると、すさまじい形で弾圧されている。日常的になっている。デモが始まる前、黒Tシャツを呼び止め、カバンにマスクとか持っているだけで逮捕する。警察は、デモ参加者の格好をしてデモ隊列に潜り込み、突然、参加者を逮捕したり、挑発行為を行っている。香港の地下鉄は、警察、機動隊の移動のために優先的に使われている。地下鉄にデモ参加者がいると襲撃も行う。行方不明者も出ている。状況は大変厳しい」と報告した。

 マカオの仲間は、「マカオは、ポルトガルから1999年に中国に返還された。ほとんどの人は中国政府を応援している。だから民主運動を行うのは、大変だ。僕みたいに中国政府を批判し、香港のデモ応援する人は少ない。だが香港が勝ったら大きな変化を作るだろう。正しいことをやつている香港の人々を応援していきたい」と述べた。

 最後に京極さんは、「1997年に香港が返還され、一国二制度で50年間は建前上、今までのままだということになった。だが22年たったが自由選挙になっておらず、だんだん中国に支配される危機感を感じている。香港の人たちは、今、声をあげないとだめだという覚悟を持っている。11月に区議会選挙があり、中国派と対抗して民主派が多数立候補する。見せしめ的に立候補を認められない人もいる。政府は暴力団のテロなども使って恐怖支配を策動している。支援・連帯の呼びかけに応えていこう」とまとめた。

 さらに行動提起①香港連帯スタンディング/11月3日(日)16時~17時、JR御茶ノ水駅 御茶ノ水橋口 ②「香港に自由を!連帯行動」/11月15日(金)、午後七時、新宿駅東口アルタ前広場―が行われた。
          
(Y)

報告:10.1 香港の民衆と連帯し闘おう 新宿駅頭でアピール行動

配信:香港新宿②暴力で民主主義はつぶせない

 10月1日、中国の「建国記念日」にあたる「国慶節」のこの日、香港では中国・香港政府に反対する大規模な市民デモが行われた。「反送中」(法律に違反したとされる市民を逮捕して、強制的に中国に連行することを可能にする弾圧法撤回を求める運動)がメインテーマだ。香港の警察はデモに対して実弾を発射し、18歳の高校生が重傷を負った。なんとか一命を取りとめたとはいえ、こうした暴力的弾圧のエスカレートにわれわれは強く抗議する。

 この日、東京・新宿では香港の自由と民主化を求め、中国・香港の両政府によ
る暴力的弾圧に抗するアピール集会が、呼びかけられた。題して「Stand with Hong Kong @TOKYO 1001」。この間、7月と9月の二回にわたり香港でのデモに参加してきた仲間も呼びかけた。

 午後七時からのアピール行動には、40人が参加。香港から東京に来ている若者たちのグループも参加し、広東語で連帯を訴えた。

 集会では最後に、労働組合活動家による連名の連帯アピールを松元ちえさん
(新聞通信合同ユニオン)が読み上げた。

 香港では、警察の弾圧がエスカレートしている。民主主義と自由のために連帯
を広げよう!    

(K)


アピール
連帯よ永遠に 香港の市民とともに立つ


 私たちは日本における草の根の労働運動活動家のネットワークです。香港で歴史を紡ぐ行動に深く動かされ、この声明を、香港の労働組合やワーカーセンター、市民団体、また労働組合に関りがなくても声をあげている仲間のみなさんに送ります。そして、声を上げたことで解雇された香港の仲間と深く連帯し、解雇した企業に対して強く抗議します。

 私たちは自由意志に基づいて考え行動する権利があること、そしてそれは決し
て侵害されてはならない権利だということを、いまこそともに再確認するときです。声をあげる自由は基本的人権だということを考えるときです。私たちは一人ひとり生まれながらにして、大切にされ尊重される権利があり、力があります。香港の仲間の行動に突き動かされ、今あらためてそのことを思い返し、再確認しようではありませんか。

 職場でもコミュニティーでもそれぞれの国でも、世界中どこにいても、つなが
ることで私たちは強くなるのです。

 香港の仲間たちが解雇され、暴力を受けたり、表現や言論の自由を奪われているのを見て、悲しみに暮れると同時に怒りに震えます。暴力による解決はありません。私たちは、支配よりも連帯を選び、あらゆる暴力を否定します。

 私たちは離れていますが、国境により分断されることはありません。私たちは
ひとつです。労働者と社会の連帯は永遠に。

2019年9月

アジア・ワーカーズ・ソリダリティ・フォーエバー

フォト報告:7・1 55万人デモ~香港のことは香港人が決める!中国政府の統制下の香港NO!との圧倒的民意

「週刊かけはし」2019年7月15日号の、7月7日付の沖縄報告に掲載されている「7・1 55万人デモ
 香港のことは香港人が決める! 中国政府の統制下の香港NO!との圧倒的民意」の写真を掲載する。紙面に使われた写真は、そのごく一部にすぎない。(H)

①2019.7.1 香港の日刊紙「蘋果日報(アップルデイリー)」の紙面。一面に6.9の100万人デモ、6.16の200万人デモの写真と共に、「悪法未撤回、林鄭未退陣」の見出しがある。
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②2019.7.1 香港の日刊紙「蘋果日報(アップルデイリー)」が出した特集版の中の6.9デモの写真。103万人の香港人が決起し、白服姿の良識ある人海だと伝えている。
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③2019.7.1 香港。容疑者引き渡し条例の改正案に反対して行われた大デモ。55万人参加。デモを呼び掛ける横断幕。悪法の撤回と香港行政長官の林鄭退陣を求める。
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④2019.7.1 香港。容疑者引き渡し条例の改正案に反対して行われた大デモ。55万人参加。前日はがされたが一晩で元通りになったステッカー類。その横に救対班のテント。
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⑤2019.7.1 香港。容疑者引き渡し条例の改正案に反対して行われた大デモ。55万人参加。デモ行進の道路わきに設置された様々な団体のブース。
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⑥2019.7.1 香港。容疑者引き渡し条例の改正案に反対して行われた大デモ。55万人参加。デモの先頭の宣伝カーとマイクで呼びかける青年。
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⑦2019.7.1 香港。容疑者引き渡し条例の改正案に反対して行われた大デモ。55万人参加。道路はプラカードを手に行進する人々であふれかえった。
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⑧2019.7.1 香港。容疑者引き渡し条例の改正案に反対して行われた大デモ。55万人参加。中央分離帯をはさんで両側の道路が皆行進コース。
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⑨2019.7.1 香港。容疑者引き渡し条例の改正案に反対して行われた大デモ。55万人参加。「大専同志行動」というLGBTIQA+の学生団体の横断幕「すべての権力を人民へ」
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⑩2019.7.1 香港。容疑者引き渡し条例の改正案に反対して行われた大デモ。55万人参加。女性が手にしていたプラカード。写真を撮らせてと言ったら顔を隠した。
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報告 : 6.13 香港の自由と民主主義を守る緊急行動

香港13元山仁士郎さんらが呼びかけ

香港と沖縄の共通した闘い

東アジアの民主化を共に


六月一三日午後五時半から、九段下にある香港特別行政区政府香港経済貿易代表部の前で、香港の自由と民主主義を守る緊急行動がSNSで呼びかけられ、三〇
〇人を超える人たちが集まった。呼びかけたのは元山仁士郎さんや杉原浩司さんら。

「容疑者引き渡し条例は香港の一国二制度を壊し、香港の自治が脅かされる
ものだ。そして外国人にも適用される。警察の暴力的弾圧も強まっている。東アジアの自由のために連帯する」と発言者と呼びかけ人から趣旨が話された。

プラカードを掲げた参加者が増えていく。参加した人たちが次々と思いを語った。

「何かしなければいけない。民主主義的抗議をしているのに、暴力的な弾圧はしないでほしい」。

香港生まれ。「返還される前に生まれた。こういう事態を恐れていた。民主主義が壊されてしまう。日本もそうなってしまう。なぜ声を挙げないのか。返還から二二年、世界の平和が崩される。自分たちの問題だ」。

沖縄人。「中国が香港に圧力をかける。これは沖縄と日本の関係と同じだ。反対
しているのに辺野古の基地が作られている。黙っていられない」。

香港人。「香港が好きだ。海、人々が好きだ。美しい香港であるように。日本と
香港、友好であるように立ち上がるべきだ。他人ごとではない。平和な世界を歩んでいくように願っている」。

香港人。「父は上海の人。天安門事件を思い出し落ち込んでいる。中国は好きだが中国政府は批判はしなければならない。ヘイトクライムにならないようにしなければならない。今日の香港は明日の日本だ。権力の横暴には東アジアの民衆の力で立ち向かおう」。

日本人。「中国の労働運動を支援している。一九八九年天安門で労働者も立ち上がった。その後弾圧され、香港に亡命してきた。香港は中国の民主化を支援する重要な位置にある。こうした香港の運動をつぶすような条例改正を許してはならない」。

杉原浩司さん。「日本政府と米国は天安門事件弾圧に対して、動かなかった。今回も日本政府は態度表明していない。われわれの自由・人権も脅かされる。私たちの連帯行動が香港の人たちを勇気づけ、条例案を止めることにもつながる。東アジアの民主化をいっしょに進めていこう」。

SNSで呼びかけた林田さんは「無抵抗の若者が思想・自由を守ろうと闘っている。黙って見ていることはできない。法律の問題だけでなく、自由に考え行動することへの弾圧だ。それに対する連帯。言論の自由を守れ、国家の暴力に反対する。『言うことを利かせる番だ。おれたちが』」。

最後に授業の関係で遅れてかけつけた元山仁士郎さんが「なぜ、香港の人たちをサポートするのか、それは沖縄を大切に思っているからだ。人々が声を挙げても届かない。国が弾圧してくる。香港と沖縄が共通している。香港を応援することを大事にしたい」と語った。

「香港頑張れ」のコールを繰り返した。そして、引き続き午後九時から渋谷ハチ公前で同様の集会を開くことを明らかにした。午後九時からの集会には二〇〇〇人が集まり、香港の運動との連帯を固めた。

 (M)



報告 : 6月12日、明治大学で周庭さん(香港浸会大学生、香港衆志常務委員、雨傘学生運動リーダー)が講演

香港12中国政府「やりたい放題」許すな
攻防の現段階と私たちにできること


六月一二日午後五時一〇分から、明治大学駿河台校舎リバティタワー1012教室で、周庭さん(香港浸会大学生、香港衆志常務委員、雨傘学生運動リーダー)が講演「香港における犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを可能にする条例改正案をめぐる攻防」を行った。中国法特別講義として、授業の一部をさいて行われた。六月六日、香港の議会で、この条例案が審議されるのに反対する一〇三万人もの抗議デモが行われたばかりでもあり、日本のマスコミ各社が報道カメラを持ち込んだ。また、香港からの留学生も多数参加し、教室は満席になり入りきれない人もたくさんいた。

鮮明な見解公表日本政府に望む

BBCの反対デモ映像が映し出された後、周さんが講演した。(以下講演要旨)

六月一二日に改正条例案が提出の予定だった。不当に拘束され、中国本土に送還される。これに反対し、一〇三万人が抗議した。一九九七年香港が中国に返還されて以後最大の規模だ。一国二制度によって、中国法は適用されないとされていたがすでに中国法が適用され始めている。

私は二二歳で、二〇一四年の雨傘運動に参加した。二〇一八年の立法会選挙に立候補しようとしたがその権利が取り消された。

香港は夜景が綺麗で食べ物がおいしいと見られているが、政治問題がたくさんある。逃亡犯条例改正案は、中国に引き渡される非常に危ないものだ。香港人だけでなく、外国人も影響を受ける。六月中に立法会で議決される可能性がある。本会議を予定しているが、議会前の占拠によって開催されていない。議会は半分だけが直接選挙され、残りは間接選挙で北京派の議員の方が多い。

中国本土は公平・透明性・人権・自由がない。司法が独立していない。中国共産党の道具として利用されている。三権分立がない。法治社会でもなく、恣意的拘束や逮捕、拷問が行われている。国家転覆罪もある。不可解な形で、障害を負わされたり、死んでしまった人もいる。活動家や弁護士、記者なども標的にされている。国家安全罪があるが、他の罪で引き渡される可能性もある。中国当局は罪をでっち上げることもやっている。

政治的誘拐が合法化されている。身の安全が保障されなくなる。香港の良さがなくなる。二〇一三年に、香港で中国批判の本を売っていた人が中国に誘拐された。このように中国当局のやりたい放題になる。香港は香港でなくなる。

四月二八日、一三万人のデモ、六月九日、一〇三万人の抗議デモが行われた。こ
れに対してカナダ・イギリス政府は条例に反対する共同声明を発表した。アメリカ政府と商工会議所が批判し、EUは反対の申し入れをした。

私が東京にいるのは、日本の現状を変えたいからだ。日本は香港との経済的つな
がりが大きい。日本政府は意見を言っていない。六月五日、衆院外務委員会で河野外務相は改正案について、「一国二制度があるから、声を出すべきではない」と発言した。一国二制度が一国一制度になりそうだ。改正案に対して、はっきりした意見を持ってほしい。

六月二七日を採決の予定にしている。自発的な商店の休業・ストライキや授業ボイコットが起きている。レストランに入って、IDカードをチェックしている。今日休業した店舗は一〇〇〇以上。警察が職権を濫用して、立法会のある駅で身体検査をしている。銃で撃ったという話もある。ペッパースプレイ、催涙ガスなど暴力のレベルが上がっている。どうなるか分からない。もっと注目してほしい。

民主化に関心を 日本も同じでは


講演の後、質疑応答が行われた。

——今後どうなるか。

予測することは難しい。六月九日のデモは三〇万人と予想されていたが一〇〇万人を超えた。想像できない。ストライキも起きている。雨傘運動や反愛国教育運動の時はリーダーがいた。今回は自発的な行動だ。自分の家を守りたいという責任感が強い。大学生は夏休み中、中高生が授業ボイコットした。これを見ても今回の広がりを示している。

—— 一九八九年六月天安門広場に一〇〇万人が集まり、民主化を求めた。しかし六・四悲劇が起きた。

今の香港の事態はあぶない状況になっている。戒厳令の可能性もあり、解放軍の虐殺もありうるか。

若い人はなぜと思っている。変わってしまうことに対する危機感。中国法が適用される所には住みたくない。日本政府は明確な態度を示していない。声を上げていかなければならない。

——運動のきっかけは?


責任感だと思う。一番好きなのは香港だ。好きな場所を守りたい。香港は一九九〇年代に難民を受け入れてきた。今は政治難民をつくっている。香港は自由社会だ。自由を壊しているのは中国共産党政権だ。希望を持っていたから闘ってきたし、これからも持ちたい。

——手助けすることはあるか。日本に望むことは。


民主化に関心を持ってもらいたい。香港の経験から自分が生きる社会に関心を持つことは重要だ。主権者としての意見を持つこと。日本も同じ問題がある。

——目指している政治の在り方は。

普通選挙を求めた。しかしこれがすべてではない。民主的制度がない。有権者は限られている。住宅や教育問題に声がないとダメだ。民主主義とは自らの未来は香港人が決める。生活は民衆が決める。

在日香港人留学生などがプラカードを用意していたが、学内でのパフォーマンスは禁止ということで、外に出てプラカードを掲げるパフォーマンスを行った。

 

(M)


米中貿易戦争 人民はいかなる立場に立つべきか

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米中の貿易戦争が混迷を深めている。トランプ政権は76日に340億ドル規模の輸入品目に25%の追加関税を発動し、中国はすぐに同規模の対抗措置を実施。823日からは第二弾として160億ドル規模の輸入品目に25%の追加関税を実施し、中国も同規模の対抗措置をとる。トランプ政権はさらに年間2000億ドル相当の中国からの輸入品に課す追加関税を10%から25%に引き上げることの検討もはじめた。中国政府はトランプのアメリカファーストは自由貿易に逆行するとして、中国こそが自由貿易の万里の長城であるかのごとく振る舞い対抗姿勢を崩していない。日本のブルジョアメディアは日本経済への波及に怯えながら、TPPプラスやRCEP(東アジア地域包括的経済連携)を通じたアメリカと中国との橋渡しなどという幻想に望みをかけている。以下は香港の左派ウェブサイト「無国界社運BORDERLESS MOVEMENT」からの翻訳(
原文)。原注の参考記事はすべて割愛した。(H)

 

 

米中貿易戦争 人民はいかなる立場に立つべきか

 

錢本立

 

76日、トランプ政府は中国からの340億ドル規模の輸入品に25%の関税を課すと宣言した。中国はすぐに米国からの輸入品に同額の課税を課すという反撃にでた。数か月にわたる剣抜弩張(けんばつどちょう:一発触発)の状況はついに開戦に至った。

 

この半年におよぶ双方のやり取りは、激しいコメントであったり、政府代表を派遣しての直接の交渉であったり、中興通訊(ZTE)に対する制裁やアメリカ大豆の輸入制限であったりと、非常に注目されるとともに、事態が目まぐるしく展開した。だが普通選挙権のない中国人民にとって、この争いがどれだけ熾烈なものであったとしても、それは神仙の戦争であり、関与する余地は全くなかった。

 

だが、時の推移と戦火の拡大(アメリカはすでに2000億ドル規模の対中関税を準備している)につれて、貿易戦争は人民にとっても、物価上昇、株式市場の下落、輸出産業における人員整理、社会保険料の未納、外貨兌換の制限など、無視することのできない影響をもたらすことは必至である。これらすべては社会の不安定要素を増大させるが、社会的不満がどのような方向に向かうのかは、世論の動向によってある程度決まる。

 

筆者の観察によると、現在のところこのテーマに関する中国語圏の主張は、二つの陣営が対立している。一方は右翼によるもので、トランプの政策を称賛するものである。貿易戦争の理由(中国がWTOのルールを守っていない)を正当だと考えているだけでなく、暴政転覆の支援となると考えているのだ。もう一方は、中国共産党の宣伝機関に代表されるもので、アメリカの仕掛けた攻撃が自由貿易を破壊するものであり、中国はそれに対抗することができる、というものである(だが具体的な発言内容は変幻自在で予測困難)。

 

予測可能なことは、この両陣営は民心の支持を得るための争いを今後も続けるだろうということである。左翼の立場は、たとえその身を太平洋のいずれの側に置いていたとしても、両陣営のどちらかの側にたつのではなく、「北京もワシントンも支持しない」という立場を取るべきであり、この貿易戦争のどちらかが正しいということはない、という事実を指摘することである。

 

●非リベラル・ヘゲモニー

 

トランプは新自由主義の信徒ではないことは明らかであるが(彼のブレーンにはWTO脱退を主張するものもいる)、中国の右翼がそれを擁護するおもな理由は、女性や移民やマイノリティへの攻撃という、いわゆるリベラルとは明らかに180度逆の立場をトランプが持っているからである。

 

トランプは選挙期間中に六四天安門の虐殺を称賛する発言をしたことがあるし、米国指導者の訪中の際には恒例となっていた中国の人権に対する言及もなかったことなどから、今回の貿易戦争の発動も中共の暴政に反対するという意図から出発したものではない。

 

トランプ政府の国際政策全体は、それまでの政権からの転換という面が強いが、アメリカのヘゲモニーを維持するという趣旨には全く変更はない。マサチューセッツ工科大学のバリー・ポセン教授(政治学)は今年初めに書かれた論文「非リベラルヘゲモニーの台頭(The Rise of Illiberal Hegemony)」で次のように述べている。

 

「トランプは『自由主義ヘゲモニー』のなかから『自由主義』の大部分を抹消してしまった。彼はアメリカの経済と軍事力の優勢、また世界の大部分の地域における安全保障の決裁者としての役割を維持したいと考えている。しかし彼は民主主義の輸出の放棄と多国間貿易協定の破棄を選択した。つまり、トランプはまったく新しいアメリカの大戦略――「非リベラルヘゲモニー」illiberal hegemonyの道を開いたのである。」

 

最近の朝鮮問題におけるスタンスでもこの点は確認できる。朝鮮がアメリカに対する軍事的脅威(核兵器)を放棄し、北東アジアの地政学的力関係においてアメリカの権威を承認するのであれば、金ファミリーが独裁を継続することにも頓着しないが、そうでなければ武力と制裁に直面することになるというトランプのスタンスである。このディールは、金正恩に体制立て直しの猶予を与えるという中国共産党の方針と同類のものである。

 

その中国に対するアメリカの新戦略は、アメリカのヘゲモニーに挑戦するような力を抑え込むということにのみ関心があり、かつてのような民主化を通じてアメリカの盟友にするという方針はみられない。世界のトップツーのあいだは敵対関係にあるという帝国主義のロジックに従えば、このような事態は理解できないものではない。

 

必然的対立

 

マルクス主義の古典は今日の米中関係を分析するうえでも決して時代遅れにはなっていない。ブハーリンは帝国主義に関する論述のなかで、資本主義には二つの傾向があると指摘している。ひとつは国際化(internationalization)傾向であり、資本が投資、市場、資源、廉価な労働力をグローバルな範囲で探し求めることを推し進める傾向である。もうひとつは国家化(statification)傾向であり、多国籍企業をふくむ資本が拠点をおく国に対して支援を求めるという傾向であり、これは時には競争における保護と対立企業に対する抑制のために国家資本主義企業となることもある。こうして、資本主義においては国家間の対立が不可避となる。そして経済規模が大きくなった国ほど、他国との衝突に陥る可能性が大きくなり、それは自然と世界や地域のおけるヘゲモニーを築こうとする。歴史的に、世界の主導的地位を獲得するために、資本主義大国のあいだで戦争を含む各種の相互牽制がとられてきたが、第一次世界大戦と第二次世界大戦はそのもっとも知られたケースである。

 

中国にとっては「一帯一路」およびそれ以前の「走出去」[外に出る――対外経済進出]戦略は、前述の「国際化」の傾向に対応したものである。中国政府は中興通訊(ZTE)を「国際化」の典型的ケースにしようとしてきた。中国がすでに帝国主義であるかどうかには議論の余地はあるにしても、世界第二位の経済体となった資本主義強国として、対立への道に進むことは不可避である。

 

なぜなら中国が韜光養晦(とうこうようかい:才能を人に気付かれないように包み隠して養っていくこと)政策を継続し、中興通訊(ZTE)などの「赤い企業」がルールを順守したとしても、アメリカが中国の発展を座視するわけがないからである。

 

ブッシュ(子)政権はイラクとアフガンに戦争を仕掛けて中東という戦略の要衝とエネルギー資源の産地を掌握しようとして失敗したが、[この地域における]中国とロシアに対する牽制の意図は明確である。オバマ政権は右翼から宥和的なリベラルだと罵られてきたが、それはオバマが帝国主義的ヘゲモニーに対する情熱に欠けていたからではなく、経済危機への対応と中東における混乱が中国に対する牽制よりも切迫した任務であったからにすぎない。その証拠にオバマはその後「アジア太平洋リバランス」戦略を提起した(彼の任期内での完遂はできなかったが)。

 

その一方で、中国は支配階級の欲望と超大国への熱望を満足させるため、また経済成長を維持して支配の能力と正当性を保持するために、本国資本の対外拡張が唯一の選択肢となった。こうして、短期的にはアメリカの地位に挑戦することは無理だとわかってはいたが(愚か者だけが外交部と宣伝部門の稚拙な演技を信じる)、それにもかかわらず必死に軍備拡張にまい進し、資本の対外拡張の援護射撃を行おうとした。それはアメリカに一層の危機感を抱かせた。このような悪循環のなかで、中国が外交や経済政策においてさらなる出色の表現をしたとしても、状況の趨勢を変えることはできないだろう。

 

誤った立

 

海外の一部の左翼の中には、中国の軍備拡張はアメリカから迫られた結果であり、中国の台頭はアメリカのヘゲモニーに対する牽制になると考えている。トランプの様々な反動的政策も、トランプの敵[中国]=正義の味方という図式を成り立たせている。

 

しかし、中国の対外拡張が迫られたものであろうと支配者の主観的熱望であろうと、また中共の宣伝機関がいかに中国が覇権主義の被害者であり抵抗者であるかと描き出すかにかかわらず、世界各地における中国資本の悪評を覆い隠すことはできない。他の外国資本への抵抗という要素はあるにしても、このような拡張は他の列強と同じように投資先国の民衆に対する搾取が存在する。インドネシアでは、キャッシュローン・ビジネスに対する規制が未整備であることを利用した中国資本が地元青年を借金地獄に突き落としながら巨額の利益を上げた。パキスタンでは、[中国が融資した]グワダール港の建設によって現地住民が追い出された。南アフリカでは、中国資本の縫製工場が現地の最賃を無視した操業を続けている。ガンビアでは現地の役人を買収した中国資本の魚介工場が有毒廃水を海に垂れ流している。

 

かりに、この貿易戦争が中国の降参で終わりを告げたとしても、アメリカとの長期的な対抗関係においては、間違いなく本国民衆の利益を犠牲にすること、ひいては彼らを大砲の餌食にすることを厭わないだろう。もし貿易戦争がさらにヒートアップすれば、予想される結果として、中国は国内に対してさらに搾取や福祉の削減を強めたり、経済問題を民族感情に転化したり、異論派をスケープゴートしたり、専制をさらに強化したり、ひいては局地的な戦争発動による資本の拡張スペースの確保と社会矛盾の転嫁がなされるかもしれない。

 

これらの予想は根拠なきものではない。政治に関心を寄せる者は種々の予兆を注意深く観察しなければならない。この間の税制改革、不動産税、年金改革、ウェブ規制の強化などがそうである。左翼がトランプ反対を理由に中国批判を抑制すれば、[中国]民族主義に洗脳されなかった青年たちを、結果的に[親米]右翼の側に差し出すことになるだろう。

 

内部の抵

 

実際には、帝国主義に反対するために、必ずしも帝国主義の対抗相手やその目標を支持しなければならないというわけではない。むしろ内部の抵抗を支持することこそ重要である。たとえばアメリカでは、移民に対する「ゼロ・トレランス(不寛容)」政策に抗議するデモが各地で起こり数十万人が立ち上がった。似たような闘争は多くあり、我々はそこから、すべてのアメリカ人がトランプのレイシズムや帝国主義の主張に賛同しているわけではないことを知ることができる。

 

アメリカの左翼組織もそのような状況の中で立ちあがりつつあり、小さくない成功を収めている。5月にはアメリカ民主的社会主義(Democratic Socialists of AmericaDSA)が支持する3人の社会運動活動家がペンシルバニア州議会ではじめて議席を獲得した。DSAは選挙だけにまい進しているわけではなく、コミュニティに深く分け入り、人々が関心をもつテーマを議論し、支援を提供して分断され孤立した人々をつないでいる。

 

アメリカにおける左翼の復活というには時期尚早だが、帝国主義内部における強大な左翼潮流の登場が帝国主義の対立と戦争を終わらせてきたことは、歴史が何度も証明してきた。

 

中国では組織的な左翼勢力はなおいっそう空白に近い状態である。しかしどうであれ、国内の抵抗に関心を寄せ、レイシズムを拒否し、本国支配階級こそが我々の最大の敵であり、海外において同じように支配者に抵抗する民衆こそが我々の盟友であることを示すことこそ、帝国主義の争いという暗闇のなかで進むべき道を見失わない方法なのである。

 

2018720日掲載)

習の無思想、官僚共和国、魑魅魍魎主義

20180316china


習の無思想、官僚共和国、お化け主義


區龍宇


2018314日 


原文



全人代は、国家主席が連続二期をこえて就任することはできないという憲法の規定をついに削除した。これを聞いて、わたしは毛沢東が1966年に江青に宛てた手紙の一句を思い出した。「事物はいつも反対面に向かうものである。高く飛べば飛ぶほど、墜落した時の衝撃も激しくなる。わたしは墜落して粉々になることに備えている」。習総書記よ、備えは万全であろうか。


◎習総書記の官職思想


もうひとつの重要な改憲内容は、「習近平新時代の中国特色の社会主義思想」を憲法に書き入れたということだ。結局のところ習総書記の思想とは何だろうか?2015年に習総書記が自らの神格化運動をはじめた際、「焦裕禄(訳注1式の県委員会書記」という中央党学校での講演録を発表した(原注1)。講演は語るべきものなきこの人物の無思想性が見事に反映されていた。講演は全篇にわたって、いかにして……官職を全うすべきかを教え諭している。もちろん良き官僚、清廉公正な役人としてである。「民のために官職を全うしないのであれば、故郷に帰ってイモでも売ってろ」ということのようだ(訳注2)

講演は全部で六千字にのぼり、「官」という文字が19か所登場する。読めば読むほど、どうしたことか、厳かにも歴代の官箴(役人への戒め)を読んでいるようである。現代においてこの官箴を知る者はそう多くない。かつての中華帝国では、官僚は必ず腐敗したが、それでもその道の学問があり、官箴といった類の書物が書かれ、まさに習総書記とおなじように、いかにすれば良き役人となることができるのかを教え諭したのである。官箴には多くの金言がある。たとえば「官を務めるための方法は三つしかない。いわく清く、慎ましく、勤勉であること」。さらにはこんな言葉もある。「万民の心を心とし、百官は無心であれ」。この一句は習総書記の「心中に民あらば、重責を引き受けなければならず」よりもはるかに高尚である。習総書記は冷めたチャーハンにも及ばない。どうせなら歴代王朝の官箴を読むべきであろう。そこには、文学的にも名文といえるものも含まれているし、習総書記の講演のような、党文献特有のだらだらとした文章はみられない。


また、習総書記が良き官僚となるべきだと教え諭していることは、無意識のうちにある秘密を暴露している。つまり、彼は幾度となく革命の初心を忘れるべからずと指摘するが、その実、それを忘れているのが彼自身だということである。


◎「人民の公樸」の現実


毛沢東の革命は、ある程度まで易姓革命[社会革命ではなく政権交代]であったが、それでも「人民に奉仕する」という建前はいくらかあった。それゆえ、毛主席は幾度となく、官僚の旦那になるのではなく、人民の奉仕員となるべきだと全党を戒めた。中国共産党は延安時代から全面的に旧時代の官僚制度を全面的に復活させはしたが、それでも中国国内の新聞紙上では(封建時代を彷彿とさせる)「官」という字を忌諱し、「幹部」という呼称をつかうか、「官」を使う時にはカッコに入れて用い、自分たちは「人民の公樸」であることを打ち出していた。だが現在では、習総書記は人々の前で平然と良き官僚となるよう教え諭し、歴代王朝において下部官僚からの選抜を重視していたかを公然かつ積極的に引用している。これは何かの間違いなのか、これではまるで諸君らは「革命幹部」「人民の公樸」ではなく、かつての専制王朝と同じく大小さまざまな官僚であることを認めることになるのではないのか、と。だがこのような疑問については、市井の庶民は早くからわかっていたことだ。いわゆる人民共和国は、とっくの昔に官僚共和国に変質していたのである。しかし実際にそうなっていても口には出せないとは、なぜ習総書記はかくもいい加減なのだろうか。


毛沢東は結局「お山の大将」的な革命を実行したが、それでも「革命の初心」については理解していた。しかし習総書記といえば、半封建半近代的な官僚制度の中で培養されてきたことから、初心など党の昔にわすれてしまい、官僚主義と権謀術数のほかには、凡庸さしか残らない。現代中国の官僚制度は、封建時代のそれと同じメカニズムをもっている。それは劣勝優敗であり、有能だったり独立的思考をもつ官吏を徐々に淘汰し、もっぱらイエス・マン、つまり太鼓持ちや超凡人のみが残るというものである。「無駄口をたたくな、何度も額づけ」とは、道光帝の寵臣で大学士[皇帝の補佐官]の曹振鏞の宮仕えの心得であった。


◎憲法が雑貨店に

 昨年10月の共産党19回大会の記者会見で、なぜ中国共産党の指導思想に指導者の名前を冠するのかという質問を受けたとき、当時の宣伝部副部長の答えは次のようであった。「党の指導者の名前を指導思想に用いるのは国際共産主義運動においてよく見られるやり方である。たとえばマルクス主義やレーニン主義があるし、たとえばわが国には毛沢東思想や鄧小平理論がある。習近平同志は……大いに貢献し……ゆえに彼の名前を用いて命名したが……その名に恥じない。」(原注2)この大官僚は必ず批判しなければならない。基本常識すら間違っているからだ。「マルクス主義」であれ「レーニン主義」であれ、どちらも本人自ら発明したものではなく、まして自身が所属する党派が奉じたものでさえなく、逆に彼らの敵が皮肉を込めて両人に贈った名称なのであり、おべっかを使って紹介するような代物なのだろうか。極度の自惚れだったスターリンでさえも、ソ連共産党の指導的思想として自らの名前を冠した「スターリン主義」を用いることは憚られ、「レーニン主義」を焼き直してその象徴とした。生きた指導者の名前を用いて「党の指導的思想」を命名したのは、ほかでもない毛沢東自身であり、「マルクス主義の中国化」の後の中国由来のやり方なのである。

 この宣伝副部長をあまりあげつらうのは良くないのかもしれない。「あの皇帝にこの家臣あり」だからだ。習総書記の内閣大臣[明清王朝の皇帝補佐職]が発明した「習近平新時代の中国特色の社会主義思想」という名称のなかで、「習近平」と「中国特色」の二言だけが間違いのないもので、それ以外の文言はすべて事実にそぐわないでたらめなものだ。習総書記の思想に何ら「新時代」的なものはなく、最も陳腐な官僚思想と専制思想を継承したものにすぎない。「社会主義」に至っては、あぁ!これまででのさまざまな公式の呼称である「社会主義商品経済」「社会主義初級段階」「社会主義市場経済」等々、これら導入されたものは人民を裏切る密貿易品であり、どれもこれも公共資産の私物化としての官僚資本主義に他ならない。さらに「マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、三つの代表、科学発展観」などに付け加えて習近平思想が憲法に書き入れられたが、憲法があれやこれやの密貿易品が並べられた雑貨店になってしまった。

こんな笑い話がある。ほら吹きで有名な男が、長さ20丈[約35m]、幅2丈もの大蛇を見たと言った。だが周囲の度重なる疑義に対して、どんどん長さを修正していった。「たしかに20丈はなかったが、15丈はあった!」と。しかし疑義は収まらず、最終的には目撃した蛇の長さを2丈にまで修正した。するとすぐにこう問い詰められた。「大ぼらもいいとこだ!どこにそんなまん丸の蛇がいるもんか!」

 今日の中国共産党の憲法改正は、この大ぼら吹きの男が言ったまん丸の蛇と同じくらいでたらめ極まりないものである。

あれこれと述べてきたが、中国共産党にとって、一つの主義を除いて、すべてはでたらめである。それは「魑魅魍魎主義」である。「魑魅魍魎主義」とは何か?「魑魅魍魎を描くのは簡単だが人間を描くのは難しい」とはよく言ったものだ。お化けなのでどんなふうに描いても間違いではないからだ。だがそれが続けば「正当性の危機」(legitimacy crisis)が訪れることになる。結局のところ、雑貨店なのか、無冠の皇帝なのか、あるいはまん丸の蛇なのか、いったいこれは何なのだ、というわけである。

現在すでにこの状況が訪れている。中国共産党に対して、リベラル派は市場経済から乖離していると非難する。左派は社会主義を裏切ったと批判する。儒家は羊頭狗肉だと憤る。レイオフされた国有企業労働者は労働者への裏切りだと怒りをあらわにする。農民工は低端人口と言われて排除されたと罵る……、こうして中国共産党は人民の公僕から人民の公敵になってしまった。たしかにその批判の多くが公然となされているものではない。だがリベラル派であれ、あれこれの左翼であれ、最近逮捕された8人の毛沢東主義者への支援を公然と行っていることからみれば、事情は確実に変化している。少し前までは、リベラル派と毛沢東主義者はたがいを主要な敵とみなしており、党や政府がその一方を弾圧したときには、もう一方の側はもろ手をあげて歓迎していた。しかし今回は違った。

 中国共産党は、前述の笑い話の男のように批判を受けて自らの主張や振る舞いを後退させることはない。むしろ頑なに「20丈の長さの大蛇」というホラ話を貫き通そうとする。だがここでも問題に突き当たる。ホラ話を貫こうとすると結局は、白黒をつけることができるのは自分だけ、つまり自分の言うことだけが真理ということになる。つまり「朕は国家なり」である。


◎無冠の皇帝の苦悩


ここでもまた問題に突き当たる。今回の憲法改正で実現できるのは、せいぜいのところ習総書記が死ぬまでは法的根拠にもとづいてその地位を享受できるということに過ぎず、皇帝になることはできない。せいぜいなれても無冠の皇帝どまりである。無冠と冠の違いは、習近平にとってはダモクレスの剣[栄華に存在する危険]となる。毛沢東ですら後継者問題を解決することができなかったのに、習総書記がはたして……。この話はこの辺にしておこう。われわれは、冒頭に紹介した毛沢東の手紙のなかの一句を紹介して結論に代えることにしよう。「勝利に酔い痴れていてはならない。自らの弱点、欠点、誤りを常に考えなければならない。」


帝政の長所は、あらかじめ権力継承の方法が、少なくとも制度的に与えられているという事である。だが無冠の皇帝には継承方法が存在しない。これは権力継承の闘争を不断に促進することになる。しかもこの種の制度は高度の不安定さを伴い、正当性の危機に対処する能力に最も欠けるものでもある。習総書記は専制主義と旧官僚制度の全面的復活によって自らの支配を維持できると考えているようだが、この二つの「お化け」こそが、今日の中国の混乱の源なのである。一方、習総書記が直面している今日の中国人民は、識字率の低い農民が大部分を占める1949年のときの人民と全く違った状況にある。かつてのように天下を取り、天下を治めた開国の英雄が、皇帝に即位するとこは当然のことだと考えられていた。だが21世紀の今日、そのような伝統的な考えを信じる者はますます少なくなっている。


さぁ、お立会い。お芝居の見どころは最後に訪れる。

 

2018314


 
【原注】


(原注1)習近平:做焦裕禄式的県委書記(
2015/9/7、学習時報)http://dangjian.people.com.cn/n/2015/0907/c117092-27551158.html

(原注2)王暁暉:用党的領袖来命名理論是国際共産主義運動中的通行做法(2017/10/26、新華網)

http://news.xinhuanet.com/politics/19cpcnc/2017-10/26/c_129727202.htm


【訳注】


(訳注1)焦裕禄(192264):山東省の貧農の家に生まれ1946年入党。196212月、河南省蘭考県書記に就任。防風、治水、土地改良を自ら率先して進めた。64514日肝臓ガンで病死。遺言として「私を蘭考県に送り返して、砂の中に埋めてほしい。生前には砂丘の治理が果たせなかったが、死後も砂丘の治理を見守りたい」という要望を残す。死後、革命烈士に封ぜられ、662月に「人民日報」で紹介。「毛沢東同志のよき学生、焦裕禄同志に学ぶ」という社説も掲載された。

(訳注2)明代の親民聡明な地方役人の活躍を描いた映画「七品芝麻官」の名台詞。

中国型資本主義 二つの最悪の制度の結合か

20170422au

區龍宇さんの『台頭する中国 その強靭性と脆弱性』の中国語版『強国危機』が台湾の群学出版社から出版され、出版に合わせて422日に台北市でイベントが行われました。ウェブメディアにその時の様子が掲載されていたので訳してみました。原文はこちら (H

 

 

中国型資本主義 二つの最悪の制度の結合か

 

【編集者注:今年初め、香港の社会運動家の區龍宇が台湾で『強国危機』を出版した。人民の視点から中国の台頭を分析するという、近年の出版業界ではあまり見かけないものである。2017年4月に著者が台湾を訪れ、香港の活動家という立場から、台湾の学者の許家豪と対談を行い、中国というこの「強大な隣人」という帝国の分析と批判的議論を展開した。以下はその対談をまとめたもの】

 

発言者
區龍宇:香港社会運動団体《全球化監察》創設者

許家豪:中山大学アジア太平洋研究所 助理研究員

 

整理:莊孟文

 

 

◎ 中国はけっきょく左なのか右なのか?

 

【區龍宇(以下、區)】:中国についての論述は、だいたい5、6年に一度おおきな転換があります。以前には中国の崩壊を予言する内容の『中国はもうすぐ崩壊する』といった書籍が発行されていました。しかしその後、すぐに台頭する中国についての論述に転換しました。そして最近の西側では「中国は帝国主義か否か」といった論述に転換しています。このような急速な転換の主な原因は、中国の急速な変化が継続しているからです。

 

1979年以降、中国は徐々に最大の人口を持つ国家資本主義になっていきました。そしてそれは中国国家の階級規定の二極化をもたらしました。アメリカの著名な左翼雑誌『Monthly Review』は、中国を左翼政権だと考えました。また別な人は中国は全体主義右翼だと考え、全体主義的資本主義、あるいはクローニー資本主義と呼びました。わたしは中国を官僚資本主義と呼んでいます。これについて、一部の海外の友人からは「腐敗した官僚は世界的な現象であり、中国だけの特例ではない。たとえばエジプトは、軍隊は企業と同じであり、将校や将軍は軍需産業を含むビジネスに従事している」という指摘もされています。

 

その指摘の一部には同意します。しかしエジプトと中国の違いは次のことにあります。エジプトでは官僚がどれほど腐敗していようとも、民間企業が消滅したことはありませんでしたし、市民社会もなくなりはしませんでした。それらは政府に対する圧力となりつづけました。しかし中国では民間企業と地主が完全に消滅しました。1980年代に入ってから民間企業はふたたび発展しはじめましたが、それは官僚に依存したかたちでの復活でした。

 

その他、これら復活したばかりの民間企業は、一方で政府の圧力を受けながら、他方で労働運動を抑えつけるために政府に頼らなければならないという中途半端な境遇にありました。これは他の国にはなかった現象です。1980年代には中国の内外においてこれら民間企業のオーナーが民主化運動の推進者になるだろうと期待されました。しかし30年たった今、そのようなことはおきませんでした。なぜならそれら企業主は政府に依存するという条件のもとで、かりに政治的野心が起こったとしても、それを横に広げて市民社会のほうにむけることはせずに、上に向けて官僚と結託したからです。

 

こうして中国の官僚資本主義の性質は、必然的に極めて保守的、独占的、寄生的、独裁的です。他方、中共官僚はありとあらゆることを統制しようとしていますが、官僚自身の略奪、錯乱、汚職はますます統制不可能になっており、それは必然的に膨張しています。21世紀の中国官僚は歴代政権の官僚のような安穏とした泰平を過ごすことはできません。経済発展、近代化、都市化の必要に迫られているからです。過去2030年の中国において大規模な反対運動が見られませんでしたが、それは民衆が絶対的貧困にあったからです。絶対的貧困はたしかに改善されましたが、相対的貧困の状況は悪化しています。

 

2008年からの世界金融危機で、中国の輸出は減少し、中国の疾風怒濤の近代化はボトルネックに突き当たっています。民衆生活の改善の継続は困難で、中共はさらに潜在的な敵――都市化による農民工の登場に直面しています。これまで分散していた農民が工場労働者として大規模に集中してきました。これは共産党にとって長期的に挑戦となります。現状について言えば、中国は短期的には社会を転覆するような革命は困難でしょう。しかし長期の歴史的視野でみれば、中国のような独裁、官僚化、そして腐敗した資本主義制度は、ひとつの過渡的段階にすぎず、永続することは不可能です。

 

【許家豪(以下、許)】1978年以降の中国は、基本的にある国家が私有化を通じて資本を社会に放出した過程であり、利益を得たのは私的経営者のほかに、これまで大量の財産を蓄積することができなかった官僚が直接あるいは間接に資本を統制することで、まったく新しい官僚と資本家の合体階級を生み出しました。現在の中国のもっとも顕著な問題は、この隅々まで浸透した官僚と資本家の結合システムがあり、この階級が今日の中国の大部分の資源を統制しているということです。この意味において、區先生が官僚資本主義という用語を用いて改革開放後の中国を形容したことはたいへん適切だと思います。しかしここで補足すべきは、ここでいう官僚とは中国的特徴があるということです。中国の「官僚」とは単に政府の役人と言うだけでなく、党の専従という意味合いも含んでいるからです。

 

 

◎ 中国資本の世界輸出はいつまで続く?

 

【許】:中国の市場を語る際に、消費市場と投資市場との区別をわすれがちです。このように区別する理由は、中国が製造業投資の後進市場としての魅力は20年前に比べると落ちているからです。賃金の引き上げ、政府要素を考慮しないといけないビジネス慣行などは、投資意欲を引き下げています。外資は中国の消費市場としての魅力にひかれています。ハリウッド映画は毎年のように中国市場に合致したシナリオの改編を行っていますが、それは中国政府が決める年間34本の外国映画上映枠を獲得したいからです。中国市場は外資にとって魅力があるのかについては、消費市場について言えばそうでしょう。しかし製造業の投資市場にとってはそうだとは断言できません。全体的に言えば、外資にとって中国製造業への投資の魅力は下がり続けています。

 

【區】:実のところ、1980年代以降、中国はずっと世界屈指の資本輸入国でした。それが十数年もたたずに資本輸出国なり、輸出額も資本輸入を超過しています。今我々は中国資本が全世界を買い占めようとするのを目にしているのです。

 

【許】:マクロから見れば、中国の多くの産業はすでに生産能力の過剰問題に突き当たっています。ですから過剰な生産能力を海外に移転する必要があり、それゆえに中国は短期のうちに資本輸出大国となりました。海外で建設しているのは鉄道などのインフラ建設であり、これは中国政府の「一帯一路」計画がまさにこの考えに当たります。

 

【區】:中国市場の内容は変化がはじまっています。成長率は下落し、賃金は上昇し、かつての有利な条件はすでに存在していません。過去20年の高度成長、市場の吸引力は社会的連帯、道徳そして自然環境の破壊によってもたらされたものです。市場は巨大でビジネスチャンスも多いですが、それは内部矛盾を避けることができません。たとえば中堅都市や地方の小都市は「鬼城」(ゴーストタウン。不動産バブルで投資目的で建設された住宅群)には住民はいません。まさに過剰生産の典型です。

 

中国の発展は資本主義と官僚独裁という二つの最悪の制度が結合したものです。北京のひどいスモッグ公害のおかげで空気清浄機が大量に売れており、いま注文しても数年後にしか納品されないのです。これはフーリエが資本主義を批判した「民衆が苦しめば苦しむほど企業家は儲かる」といった状況です。中国は資本主義に官僚独裁が加わることで災難となっています。

 

このことから経済問題を議論する際は、メインストリームで語られる以外の思考が必要になります。たんに経済上の景気拡大、株価の上昇だけでなく、民衆の福祉、しかも全世界の民衆の福祉から見る視点が必要です。しかしこのような考え方は、利益至上主義の中国では失われています。

 

 

◎ 大国のアキレス腱

 

【許】:強大な国家の力の背後にはさらに大きな目標があります。民族の夢、民族の復興とは、イギリスを追い越しアメリカに追いつくということです。このような背景のもと、中国の左派および右派の知識人はどちらも国家の繁栄に期待を寄せており、區先生のいうところの強国左派と強国右派を形成しています。その中間の過程は国家主義の転向、つまり可能な限り権力を国家に付与することで富国強兵を実現し、もっとも効果的に目的を達成するということです。これは大国や強国に関する議論全体が起こる過程であり、これらの議論は目新しいものではなく、清朝末期から存在していましたが、実際にそれを実現したのは共産党だけでした。それゆえ共産党は民衆からの支持を得ることができたのです。

 

今日の中国では左派であれ右派であれ、経済を通じた国家の復興を実現すると考えていますが、これを実現するには、国家の力を強大にする必要があります。これは官僚資本主義の急速な悪化をもたらします。主な弊害は、政府の役人や党官僚が富を蓄積する無数の機会をもたらしたことです。そしてこれもまた中国の国内問題となっています。

 

また他にも注目すべきことがあります。トクビルの『旧体制と大革命』が2013年にベストセラーとなりました。王岐山(政治局常務委員、中央規律検査委員会)が会議でこの本を推薦したからです。その意図は、経済の発展によって今後は民衆からの抗議の声がでるだろうという考えからです。それが意味することは、中国共産党は革命政党であるが、革命の発生は許さない、ということです。ここからも、共産党は国内矛盾にも目を向けていることが分かります。われわれは中国がどのように次の一歩を準備し模索しているかを観察しなければなりません。なぜなら共産党は政策を決定したら煩雑な過程や検証を必要とせず、非常に効率的にそれを行うからです。しかしその決定自体が間違っていれば、それがもたらす結果も悲惨なものになります。それは全世界に悲惨な結果をもたらします。これも中国に関心を持たなければならない理由です。

 

【區】:中国は急速に変化し、急速に現代化し、同時にまた極度の独裁にある国家です。それは強大ですが、アメリカが強大な時期にベトナム戦争での敗北に直面し、また米国内での反戦の声を押さえられなかったという前例と似ています。これまでの強権国家や帝国のなかで破綻しなかったものは一つとしてありません。次にわたしは、民衆の民主的権力をはく奪している国では、その版図の民衆には独立する権利があると考えています。中国共産党は私たちから民主主義を奪い続けていますが、雨傘運動でも垣間見られたように、民衆自身が民主主義を実現しようとし、また一部の青年たちは独立すべきだという考えに達しています。しかし強大な隣人(中国)と対峙するには、敵の強み、そして弱点を分析すべきであり、そうしてこそ希望が持てると思います。

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