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追悼:ベル・フックスbell hooks

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ブラック・フェミニストのベル・フックスが20211215日に亡くなりました。こういう活動を始めてしばらくたった2004年ころ、偶然『フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学』を知り、大変勉強になったことを憶えています。近年ではあまり思い出す事がなかったのですが、第四インターの三里塚女性差別事件を考える機会をきっかけに、『ベル・フックスの「フェミニズム理論」周辺から中心へ』をぼつぼつと読み始めていたところでした。本文の冒頭にも書いていますが、ベル・フックスを知ったのは香港の仲間の機関紙から(こちら)ですが、彼女の死去を知ったのも香港の独立ウェブメディア「端傳媒」の記事(こちら)からでした。もう15年以上も前の古い文章ですが、押し入れの奥から探し出した『青年戦線』200421日号に掲載した読書案内を、追悼と反省の気持ちを込めて再掲します。(早野一、20211223日)

 

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読書会を始めるにあたって

『フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学』
(ベル・フックス著、堀田碧 訳、新水社1600円)

 

早野 一

 

◎スバリと核心に迫り明快

 

香港のトロツキストが出している機関紙『先駆』2003年秋号に、中国大陸で200110月に翻訳・出版されたベル・フックスの『フェミニズム理論──周縁から中心へ』(邦訳『ブラック・フェミニストの主張』清水久美 訳、勁草書房、1997年)の書評が掲載された。情けない話だが、この著書どころかベル・フックスの名前すら知らなかったので、「ベル・フックス」とウェブで検索してみたところ、この本と一緒に検索されたのが『フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学』という20035月に発売されたばかりの本だった。

 

しばらく気にかけていたが、ふと立ち寄った大型書店のフェミニズムのコーナーを眺めていると、この本が目にとまった。価格もお手ごろで、ざっと見たところ20のパーツに分かれた各章は、フェミニズムの何たるかをほとんど勉強してこなかった僕にとっては、とてもとっつきやすかったのだ。

 

「欲しいものは、コンパクトで読みやすく、分かりやすい本だ。長たらしいものでも、学者にしか分からないような専門用語で書かれた分厚い本でもなく、ズバリと核心に迫り明快で──読みやすいけれど、けっして短絡的というのではないような本」(7頁)を目指して書き下ろしたのだから、当然だ。実際に、フェミニズム運動の歴史の中で作り上げられてきた理論のエッセンスが、ほとんどのテーマを包括する各章の中にちりばめられている。そう厚くもない本書だが、読むほどに引き込まれ、あっという間に読み終わってしまった。こんな爽快な読了感をあじわったのは久々だ。

 

◎思い描くのは、支配というものがない世界にいきること

 

それも、第一章「フェミニズム わたしたちはどこにいるのか」の冒頭で「ひと言でいうなら、フェミニズムとは〈性差別をなくし、性差別的な搾取や抑圧をなくす運動〉のことだ。」(14頁)と社会主義革命を目指す人間にとっては、非常にストレートに納得のいく基調がこの本を貫いていたからかもしれない。「思い描くのは、支配というものがない世界に生きること。女は男と同じではないし、いつでもどこでも平等というわけではなくても、交わりの基本は互いに相手を思いやることだという精神がすみずみまで行き渡った世界に生きることだ」(11頁)という彼女の目指す世界は、僕らの目指す世界とそう大差のないものだと感じる。そうだ、僕らの目指す社会はフェミニズムの社会なのだ。この本を読み終えたいま、そのことをはっきりと自覚することができる。

 

◎はっきりしていたのは、リーダーは男性で、女性はただ従うことがもとめられている、ということだった

 

またこの本は、アメリカを中心とするフェミニズム運動の変遷の中で、支配的システムに女性が参入することがフェミニズムであるかのように主張するフェミニスト(ヒラリー・クリントンのような女性をいうのだろうか)を批判する。アメリカを中心としたフェミニズム運動の歴史を反映したものといえるが、一般的にはすべての国や地域のフェミニズム運動にいえることだろう。

 

その一番の大きな理由は、フェミニズム運動にたいするオトコどもの敵対があるだろう。第一章「フェミニズム わたしたちはどこにいるのか」では、簡潔にフェミニズム運動をまとめており、僕にとっては深く印象に残った。少々長くなるが、その箇所を引用する。

 

「初期のフェミニズムの活動家(その多くは白人の女性だった)のほとんどは、階級闘争や反人種差別運動に参加したとき、そうした運動の中の男性たちが、得々として自由の大切さを語りながら、運動のなかで女性を差別するのを見て、男性支配とはいかなるものかという意識を高めていった。社会主義運動に参加した白人女性にとっても、公民権運動や黒人解放運動に参加した黒人女性にとっても、先住民の権利のために闘ったネイティブ・アメリカンの女性にとっても、事態は同じだった。はっきりしていたのは、リーダーは男性で、女性はただ従うことが求められている、ということだった」(16頁)

 

◎フェミニズムをみんなのものに!

 

さて、本編の紹介は、連動で企画される「フェミニズムをみんなのものにする読書会」の報告を反映していくという形で共有化していきたいと考えている。一つの章は短いので、レジメ作りもそう苦にはならない。読書会での発言もできるだけこの連載に掲載していきたい。遠くにいて参加できないという同志や友人も、ぜひこの本を読み、部分的にでも、箇条書きにでも、殴り書きでもいいので感想を寄せてほしい。

 

目次

はじめに フェミニズムを知ってほしい

一  フェミニズム─わたしたちはどこにいるのか

二  コンシャスネス・レイジング─たえまない意識の変革を

三  女の絆は今でも強い

四  批判的な意識のためのフェミニズム教育

五  わたしたちのからだ、わたしたち自身─リプロダクティブ・ライツ

六  内面の美、外見の美

七  フェミニズムの階級闘争

八  グローバル・フェミニズム

九  働く女性たち

十  人種とジェンダー

十一 暴力をなくす

十二 フェミニズムの考える男らしさ

十三 フェミニズムの育児

十四 結婚とパートナー関係の解放

十五 フェミニズムの性の政治学─互いの自由を尊重する

十六 完全なる至福─レズビアンとフェミニズム

十七 愛ふたたび─フェミニズムの心

十八 フェミニズムとスピリチュアリティ

十九 未来を開くフェミニズム

訳者あとがき

 

◎「爽快な読了感」のあとの「一抹の不安」

 

「爽快な読了感」からしばらくして、この「爽快な読了感」に対する一抹の不安がよぎった。不安の根源は、本書で書かれている内容やベル・フックス本人によるものではない。どういうことかというと、「フェミニズム運動は男性に反対する運動ではないということだ」(8頁)、「もしフェミニズムについてもっとよく知れば、男性たちはフェミニズムを恐れなくなると思う。なぜなら男性たちがフェミニズムに見いだすのは、自分自身が家父長制の束縛から解き放たれる希望なのだから」(9頁)という、おそらく進歩的フェミニズムとしては当然の理論が、受け止め方によってはオトコの免罪符になるかもしれないということ。また、これまで、そして今まさにオトコや家父長制と格闘している女性たちに対するオトコの「冷ややかな眼差し」を再生産させかねないのではないか、と感じたからである。

 

ベル・フックスは何十年にもわたって、フェミニズムの歴史の中で鍛えられてきた理論と実践をこの本に凝縮したが、整理され、理路整然と提起される文言の行間には、苦闘する女性たちの存在が見え隠れする。抵抗する人々の訴えや行動は、ときには「乱暴」で「整理」されていない。本書を読んで「フェミニズムとは理路整然とした訴え」であると勘違いするオトコどもが、「乱暴」で「整理」されていない「抵抗」に直面したらどうなるのか。僕にはそうならないという保証があるのか、自信があるのか、いまだに答えは出ない。これが「爽快な読了感」のあとに感じた一抹の不安だ。

 

そういう漠然とした不安を抱きながら、本書を購入したのと同じ書店で手にしたのが『ドウォーキン自伝』(柴田裕之 訳、青弓社、2003730日初版)だった。彼女の活躍は、キャサリン・マッキノンとともに、人権侵害であると当人から告発されたポルノグラフィーを禁止するインディアナ・ポリス条例の制定や、レイプ被害者やサバイバーへの取り組みで有名だ。この本には深く踏み込まないが、痛快でエッセー風の本書は、ドウォーキン自身の叫びであり、オトコどもへの絶望が語られ、オトコどもに深く突き刺さる言葉がちりばめられ、そして女性たちのために涙を流している。

 

ベル・フックスの著書を読んで「スッキリ」したオトコが、現実を再確認するためにも必読の一冊だ。あわせての一読をおすすめする。

 

(『青年戦線』163号、200421日発行:日本共産青年同盟「青年戦線」編集委員会)

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青年戦線第196号(2020.9.14)ができました。

配信●青年戦線196表紙1・表紙4青年戦線第196号(2020.9.14)ができました。

■購読申し込み先

400円

編集発行

日本共産青年同盟「青年戦線」編集委員会
東京都渋谷区初台1-50-4-103 新時代社気付
電話 03-3372-9401
FAX 03-3372-9402

■目次

●日本共産青年同盟(JCY)首都圏会議アピール

●特集—FIビューロー声明
新型コロナウィルスのパンデミックに抗して

★やつらの利益を守るのではなく われわれの生命を守ろう!(20.3.17)

★いますぐエコ社会主義への移行を! 人間の共通の尊厳を守るとき(20.4.16)

★歴史的大転換宿す世界(20.6.8)

●石井紀子さんと共に 6.28三里塚・東峰現地行動

●8.15反「靖国」デモに150人

●香港の人々に自由と権利を

香港デモにおける非暴力派と直接行動派
              衛港之戰2019

●アジア連帯講座:公開講座

イギリスは今 講師:浅見和彦さん

●読書案内/マスコミ・セクハラ白書

読書案内/知らないうちにみられている これ一冊でわかる監視社会


報告 2.11 「高校闘争から半世紀―私たちは何を残したのか、未来への継承 高校生が世界 を変える」シンポジウム

DSC_1030 二月一一日午後一時より、東京・連合会館で「高校闘争から半世紀―私たちは何を残したのか、未来への継承 高校生が世界を変える」シンポジウムが実行委主催で開かれ、会場一杯の三〇〇人が集まった。

 集会の主旨は次の通り。

 今から半世紀前、日本の高校生たちは自由を求めて起ち上がった。「高校紛(闘)争」と呼ばれたこの闘いは、制服の自由化や管理教育の廃止を求め、時に校舎をバリケードで封鎖したり、授業ボイコット、卒業式中止など多種多様、同時多発的な高校生の叛乱だった。……

 高校生が世界を変える。いびつな大人社会へ否を突き付け、研ぎ澄まされた感性と熱情を持ち、恐れを知らず起ち上がった高校生運動の足跡を語り継ぎ、未来への糧に繋がるよう、「高校闘争50年集会」を企画した。かつての高校生は、半世紀の時間をどう生きてきたのか。様々な人生をくぐりながらも高校生としての決意を原点に生き抜いてきた仲間も少なくない。学生運動とは似て非なる高校生運動、その実相に迫り、現在、未来の高校生に何を伝えられるか探る集いである。(呼びかけより)

 シンポジウムは以下の三部からなっていた。

Ⅰ部 1968 年は我々に何をもたらしたか ―自己否定を巡って―山本義隆(東大全共闘)+高校全共闘 司会:高橋順一(武蔵高校・早稲田大学教育学部教授)

Ⅱ部 運動の現場から ―香港の学生・日本の高校生の闘い―
香港の闘う学生+日本の闘う学生 司会:初沢亜利(ドキュメンタリー写真家、東北・沖縄・北朝鮮・香港などの現場撮影取材)

Ⅲ部 いま高校生は社会とどう向き合っているか 現役・卒業高校生+保坂展人
(東京世田谷区長)司会:小林哲夫(『高校生紛争』1969―1970「闘争」の歴史と証言 著者)

 元大阪府高連OB有志からのメッセージの紹介、一九六七年一〇・八羽田闘争で虐殺された山崎博昭さんへの黙とうから会が始まった。

 Ⅰ部。都立北高、麻布学園、都立上野高、慶応高校、教育大付属駒場の元高校
生たちがどのように闘ったのかを証言した。

 池田実さん。都立北高は進学校ではなく、定時制も併設されていた。学内問題とベトナム反戦、王子野戦病院撤去などを求めて、一カ月間バリケード封鎖した。警察の導入による封鎖解除の時、先に教師が来て生徒を逃した。スローガンは「永続バリケードを続ける」、それが革命に続く。全日・夜間の三人ずつが退学処分になった。中卒で郵政に入り、一九七八年の年賀をとばす闘いで解雇されたが撤回闘争を続けて勝利し、職場復帰した。物事を知らないから闘えたし、自分で考え行動する、社会を変えるという信念でその後の人生を生きてきた。

 麻布学園。リベラルの学校だったが山内校長代行が就任してから、生徒への処分を乱発し生徒会を凍結した。それに生徒が怒り大衆的な高校生デモ。学校が学園を封鎖した。全校生徒集会で追及し、山内がその場で辞任を表明し勝利した。街頭デモで逮捕されたが楽しかったし、真実の価値観を見つけた。勝つことで自信がついた。

 その他の高校闘争が紹介された。世界的な閉塞した状況の解放に向けた新しい文化の発信を受けていた。新鮮な怒りの発露であったとの証言。



 そして、元東大全共闘の山本義隆さんが次のように発言した。

 六〇年安保の年に大学に入学した。東大闘争の時は大学院生。一九五八年当時全学連委員長の塩川喜信さん(助手共闘)がいて、集会で発言してもらったら参加していた学生から「ウォー」という驚きと共感の声があがった。

 一九六八年七月に安田講堂を占拠した。もともと本部学館を占拠し、安田講堂は開放しようと考えていた。主導したのはノンセクトと青医連だった。東大闘争は突然起こったのではなく、砂川闘争やベトナム反戦会議の運動の蓄積があったからだ。

 帝大解体というスローガンは国策大学批判として初めからあったが「自己否定」という言い方は安田闘争の後ではないか。

 一九六六年、日本物理学会が米国から援助金をもらった。「科学が発達すれば
いい。政治を持ち込むな」と。ベトナム戦争の最中であり、米国からの援助は政治的なことだった。研究を進めるとは何かが問われた。なぜ、国がカネを出すのか。それは近代的国家になっていく、国際社会に認められるという国威発揚のためだ。

 中曽根元首相は原子力開発を最初に言い出した。核武装のためというより、核技術を持つことが一等国になる、超大国の扱いを受けるという狙いがあった。企業からカネが入ってくる。官産学で推進した。それを支えたのが旧帝大で、特権階級だ。その枠内での運動ではいけないということで、「自己否定」という考えが出てきた。
 

 二〇一一年福島原発事故が起きた。この時、東大の学生は何もしていない。去年、香港の大学に機動隊が突入する時、京大の学園祭に行ったが、連帯の盾看が一つもなかった。ダメだと思った。「この五〇年何をやっていたのか。若い人たちに何も伝えてこなかった」。悔しい思いでいっぱいだ。

 Ⅱ部。香港から陳逸正さん(在日香港人)、劉燕子(香港人、東海大講師)が参加し、香港の事態について報告した。

 新コロナウィルス問題では、マスク、水、トイレットペーパーも足りない、パ
ニック状態だ。香港政府・中国政府はまったく信用できない。患者・死者数はゼロが二つ多いのではないか、家から出ないようにしていると報告した。

 香港のデモの特徴は何か。

 ①リーダーは不在②勇武派と穏健派、内ゲバ対立が起きていない。区の選挙で大勝した。今後ともテロリズムは起きないだろう。勇武派が出てきたのは百万デモやヒューマンチェーンをやっても何も変えられなかったからだ。警察のすさまじい暴力によって、それに対抗する勇武派が登場した。民主派が闘えば勇武派にもなる。理工大の攻防の時、市民が救援に駆けつけた。数十億円のカンパが集められた。

 「時代革命」というスローガン。すべての普遍的価値を求める。香港の一国二制度が終わる二〇四七年に生きなければならない。不安を抱えながら生活していく。今後も何回もうねりが起こり成長していくだろう。皆さんの応援がぜひ必要だ。

 竹中平蔵の授業ボイコットを訴えて闘った元東洋大生の船橋秀人さんがエールを送った。

 Ⅲ部。旭川東、都立上野、国際、杉並、東京学芸大学附属国際、神奈川県立相模原、上溝南などの生徒さん、出身の学生さんなど一〇人が発言した。

◦温暖化対策を求める世界の動きと連動して、都内や全国でデモなどを取り組んだ。

◦二〇一五年安保法制反対の行動。進学校ではない、私立・党派を超えて・キリスト教など多様な人々が集まった。一八歳で選挙権が認められたが政治活動は認めない、届け出制や禁止。政治活動をしようとすると圧力をかけられた。同級生を意識しSNSでの発信、メディア写りを考えてサウンドデモ。それでも各学校二~三人、全国で百人、よく集まって三〇人。アベと言えば、巨人のアベの話になってしまった。

◦「ブラック」(ママ)校則。高校一年の時、校則が一方的に変えられた。自主・自立の自由な高校だった。署名・臨時の生徒大会をやったが、校則は校長が作るものだとはねつけられた。

◦三年間生徒会長をやったが、ブラック校則問題など考える生徒がほとんどいなかった。違和感・疑問を持っている生徒もいないわけではない。どうアプローチしていいのか悩んだ。

◦定時制高校を六年かけて卒業した。校内新聞は検閲され一旦廃刊にされた。いまは日本自治委員会をつくり、昨年から二四の都立高校で表現の自由のチラシをまいている。全校生徒の頭髪検査がやられるなど人権が侵害されている。

◦二〇一五年の夏、三里塚闘争の本を読み、運動に目覚めた。声をあげていくことが大切だ。

◦原水禁の活動に参加している。生徒会は低調で、教員組織の私兵のようになっている。教員から圧力がある。反発生徒もぽつぽついる。ひずみは大きくなっている。未来は開けてくるだろう。世代を超えていっしょにやっていきたい。

◦頭髪問題がおき、署名活動や校長室への直談判を行ったが分断工作で敗北した。国会前のハンスト実に参加したり反ヘイト直接行動をやってきた。

◦北海道の田舎では運動はなかなか広がらない。アイヌ民族への差別が行われてい
た。苦労している福島と沖縄を見ないといけない。声なき声に向き合っていきたい。

五〇年前に闘った元仙台一高が五年かけて制服の自由を勝ち取った報告を行った。



 保坂展人さん(東京世田谷区長)が自らの闘いと世田谷区での取り組みを報告した。

 私は六四歳だが中学生の時、学内新聞を作って「ベトナム反戦や部落差別問題」を訴え、政治活動をさせろと要求した。このことが高校受験の時、内申書に否定的に書かれ、すべての高校受験で落とされた。内申書裁判を起こし、地裁で勝ったが高裁・最高裁で負けた。しかし、学ぶ側の権利権で主張は認められ、その後内申書を使った弾圧はやんだ。

 役に立たない校則を見直そうと呼びかけている。世田谷区立桜丘中学で生徒会が三つの要求を出した。①体育館にエアコンをつける②校庭を芝生に③定期テストの廃止。学校側が①③を受けれ、制服の廃止、携帯電話の使用も認めた。そうすると生徒の自主的活動が活発になり、文化祭には外からも含めて一〇〇〇人もの人が押し寄せた。

 いじめ・不登校について。不登校生は五年前の倍になっている。これに対して、教育機会均等法ができ、夜間中学やフリースクールの支援が行われるようになった。東京シューレのような公設民営の学校でもオルタナティブ教育が広がっている。

 オランダのラーク(高校生連合)は国からの一億円の補助金を使い、高校生が三人の職員を雇い、ロビー活動やテストの監視をやっていて、自治拠点が生まれている。日本でも政権交代を行い、実現してほしい。

 四時間にわたる盛りだくさんのシンポジウムは成功裏に終わったが、現在の高校生が置かれている人権侵害をどうするか、五〇年前の高校生の闘争が個々の生き方として継承されたが、世代としてバトンタッチできなかったのはなぜ?かなど、今後も究明していかなければならない課題が残された。

(M)

青年戦線第195号(2019.9.23)ができました。

配信●青年戦線195表紙1・表紙4青年戦線第195号(2019.9.23)ができました。

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目次

◆終わりにしよう天皇制 4.27—5.1反天WEEK 1p

◆オリンピック災害おことわり! 
     「東京五輪」1年前「返上」アクション 8p

◆「2020年東京五輪に反対する18の理由」 16p

アジア連帯講座:公開講座

◆反自衛隊連続講座1
反基地運動から見えてきた自衛隊の今/池田五律さん 17p

◆反自衛隊連続講座2
自衛隊の南西シフト 戦慄の対中国・日米共同作戦の実態/小西 誠さん 21p

◆フランス「黄色いベスト」運動を学ぶ/湯川順夫さん 27p

◆参院選・統一地方選の結果をどう見るか? 大阪からの視点/寺本 勉さん 45p

【映画紹介】『ルイズ その旅立ち』

mako-ruizu-1001映画

『ルイズ その旅立ち』

製作・監督・脚本 藤原智子 
1997年/ドキュメンタリー/98分


迫害・弾圧をバネに生き抜くこと

NHKBSの「悪女伝説」(7月13日)で伊藤野枝を取り上げていた。「原始女性は太陽であった」と平塚らいてうが「青鞜」創刊号で、鮮烈にフェミズニム宣言をした。その後、伊藤野枝が二代目編集長に就任。伊藤は封建的女性支配の根幹を婚姻制度に求め、「結婚制度の廃止」を主張した。平塚と伊藤の間には考え方の違い、溝が広がっていった。伊藤が大杉と出会い、明治支配体制を根本から否定するようになっていったからであろう。

このテレビの放映後、七月一六日、東京江東区豊洲のシビックホールで「ルイズその旅立ち」が、中井厚さんと東京琉球館の島袋陽子さんで組織する「きっかけとなる映画を上映する会」によって上映された。

鎖を断ち切った後半生を追う

一九二二年、伊藤ルイさんは大杉栄と伊藤野枝の四女として生まれた。大杉によって、フランス・パリコミューンで活躍した無政府主義者ルイズ・ミッシェルにちなんでルイズと命名された。一九二三年九月一六日、大震災の混乱に乗じて、大杉栄と伊藤野枝そして甥の橘宗一は甘粕憲兵大尉らによって虐殺された。朝鮮人や労働運動家も大量虐殺された。一九一七年ロシア革命、一九一八年米騒動、一九一九年朝鮮三・一万歳独立運動と国内外における政治・民族運動に恐れをなした支配者による予防反革命的大弾圧の一環だった。

ルイさんは福岡の野枝の両親の所に引き取られ育てられた。ルイさんは四〇歳代になるまで、社会運動に関わることはなく、素性も明らかにしなかった。一九八二年、「ルイズ―父に貰いし名は」(松下竜一著)が世に出てから、飛び放たれたように、自らを明らかにして活動に邁進した。一九九六年六月にルイさんは七四歳でがんで亡くなった。

虐殺された両親の真実・生き方

映画はルイさんが亡くなった一カ月後の七月に開かれた「みんなでルイさんを送る会」から始まる。ルイさんの子どもたちや幼なじみ、市民運動の仲間たちによって、人間伊藤ルイがどのような人生を歩んできたかが明らかにされていく。そして、大杉らの虐殺問題が取り上げられていく。両親と甥の殺害がどのように行われたか、その墓の行方について明らかにされていく。橘宗一少年の父による「一九二三年九月十六日、大杉栄、伊藤野枝と共に犬共に虐殺さる」と刻まれた墓碑が作られたが、その墓碑は草むらに隠される所にあった。一九七二年、発見された。野枝の墓は一九二四年に建てられ、その大きな石の無名碑(「野枝さんの墓」と村民たちが呼ばれていた)は三度にわたって移動させられた。

一九七六年、大杉ら三人の死因鑑定書が発見された。検死をした軍医が写しを大切なものとして二重蓋の下に、保管していたものを遺族が発見した。それによると、大杉らは連行後、激しい暴行が加えられ、首を絞められ、殺された。麻布にくるまれ古井戸に投げ込まれ埋められた。軍医によってその麻袋の遺体が描かれていた。ルイさんはこの事実を知り、甚だしいショックを受けた。

o-ruiz弾圧された人々の思いを胸に

ルイさんは「朝鮮人被爆者孫振斗さんに治療と在留を!」運動、「九・一六の会」(多くの有名・無名の虐殺された人々、刑死・獄死・拷問死の人たち、話を聞いたりしようという会)を始める。えん罪事件「甲山事件」の救援、東京拘置所が死刑囚にTシャツの差し入れ拒否したのに対して、本人訴訟で提訴。原告団長を引き受ける。一九八三年、松下竜一さん主宰の「草の根通信」に、全国各地の“草の根”の人々を訪ねての旅日記がしばしば登場するようになる。市民運動をつなぐネット作りに貢献した。

「水に流してはいけない事がいっぱいあるんです。それをためて人生のバネにするんです」(ルイさんの言葉)。

映画上映後に、大杉豊さん(大杉栄の弟を父にもつ)が大杉らの虐殺の経過を詳しく説明し、ルイさんについて「不正義と闘い、闘い尽して、生き切った人生だった。大杉、野枝にも見せたかった映画だ」と話した。

映画のエンディングはワルシャワ労働歌であった。非常に気分がよく、「がんばろう」、「ルイさん、ありがとう」と口ずさみながら映画館を後にした。

伊藤ルイ著作
「海の歌う日―大杉栄・伊藤野枝へ―ルイズより」講談社
「必然の出会い―時代、ひとをみつめて」記録社
「海を翔ける―草の根を紡ぐ旅」八月書館
「この世に希望と解放 そして平和の思いを―ルイさんの遺言―」うみの会

なお、「ルイズ、その絆は~関東大震災60年目」(RKB毎日放送、一九八二年)
上映会があります。八月七日(水)午後七時~東京琉球館(JR駒込駅東口下車2分、固定電話03―5974―1333)要予約10人 

青年戦線 第194号(2019.1.1)ができました。

Screenshot_20190102-151544~2青年戦線 第194号(2019.1.1)ができました。


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青年戦線第194号(2019.1.1) 誌面案内

◆特集 「天皇代替わり」とどう闘うか

   天野恵一さん(反天皇制運動連絡会)に聞く

◆なぜ元号はいらないのか?7.21集会

◆10.22 「明治150年」記念式典反対デモ

◆終わりにしよう天皇制 11.25大集会&デモ

◆「教育勅語」礼賛の文科相は辞任せよ

◆読書案内 「日本会議の野望」

◆安田純平さん人質事件をどう見るか

◆12.2「三里塚大地共有運動の会」設立報告集会

◆アジア連帯講座・10.19公開講座
「反資本主義の共同から21世紀の社会主義へ」


読書案内『「働き方改革」の嘘 誰が得をして、誰が苦しむのか』

働き方改革本・写真『「働き方改革」の嘘 誰が得をして、誰が苦しむのか』
(久原穏/集英社新書
/840円)


 「働き方改革関連法」は、①長時間労働を強制する「過労死促進法」、②正社員と非正規の待遇格差のままの努力目標としての「同一労働同一賃金」、③労働時間の規制から外す「脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)」などを柱にしている。改革法〈①労働時間に関する制度の見直し(大企業が19年4月1日、中小企業が20年4月1日、自動車運転業務、建設業、医師が24年4月1日施行)②勤務時間インターバル制度の普及促進③産業医・産業保健機能の強化④高度プロフェッショナル制度の導入⑤同一労働同一賃金(大企業が20年4月、中小企業が21年4月1日施行)〉が19年4月から施行が始まる。

 反撃陣地を構築していくためにも理論武装を強化しなければならない。「働き方改革」法制定に至る過程を丁寧に取材してきた久原穏(東京新聞)が、一つの批判本としてまとめたのが本書(①裁量労働制をめぐる欺瞞②高度プロフェッショナル制度の罠③働き方改革の実相④日本的雇用の真の問題は何か)である。

 久原は、「誰が、何のために『改革』を言い出したのかを明らかにする。なぜ労働問題を所管する厚労省ではなく、経営者再度に立つ経産省主導で進んできたのか。問題の多い『高プロ』にこだわる理由は何か。副業やクラウドワークを推奨し、雇用システムを流動化させようとする狙いとは?……」などの問題意識からシャープに切り込んでいる。

 とりわけ注目すべきところは、「働き方改革とは、財界による財界のための『働かせ方改革』にほかならないことがわかる。政府は、働き方改革の目玉を『長時間労働の是正』と『同一労働同一賃金』だと強調する。しかし、真の目玉は、財界が望み、下絵まで描いた高プロ創設や裁量労働制の対象拡大といった労働時間制度の規制緩和なのである」という評価から、「長谷川ペーパー」という「陰の指針」をクローズアップしているところだ。

 産業競争力会議で雇用人材分科会主査を務めた長谷川閑史(経済同友会代表幹事)は、「個人と企業の成長のための新たな働き方-多様で柔軟性ある労働時間制度・透明性ある雇用関係の実現に向けて」(2014年4月)というタイトルで「働き方改革」法にむけて「長谷川ペーパー」を提起した。

 要するに「世界トップレベルの雇用環境の実現」に向けて「今後の中核となる
政策として▼高プロの創設や裁量労働制拡大など労働時間制度の見直し▼ジョブ型正社員の普及・拡大▼予見可能性の高い紛争解決システムの創設」を掲げた。

 資本が展望する今後のビジョンとするのが「職務は明確に定められ、昇給や雇
用保障は必ずしも約束されない欧米流の正社員(ジョブ型)へ置き換え」ることだ。「紛争解決システムの創設」とは、「不当解雇された労働者へ支払う解決金を明確化するものであり、いわゆる『金銭解雇』の導入である」など労働者の人権・待遇向上を無視し、資本のカネ儲けの拡大に向けた手前勝手な政策でしかない。

 安倍政権は、この長谷川ペーパーを土台に、財界の要求に忠実に応えるために「働き改革法」を準備し、強行制定したのである。「働き改革法」制定以降の安倍政権の野望は、ペーパーの「政府として、雇用改革を成長戦略の重要な柱として位置づけ、経済政策と雇用政策を一体敵・整合的に捉えた総理主導の政策の基本方針を策定する会議を設け、雇用・労働市場改革に取り組む」ことであり、安倍政権・官邸はその通りに「働き方改革」法の具体化に向けて着手しているのが現在なのである。

 この局面について久原は「労働者代表を排除し官邸主導で雇用改革の方針を決める会議の設置や、『失業なき円滑な労働移動』を掲げて雇用流動を強く求める記述が目立つことも非常に重要である」と指摘する。つまり、雇用流動と称して資本は、不当解雇を拡大していくために「金銭解雇」を導入していくことを獲得目標にしている。リストラにとって強力な武器となり、解雇コストの可視化が狙いだと厳しく批判している。「金銭解雇の動向は、働く人自身が注意して推移を見守らなければならない」と警鐘乱打する。

 なお本書は、連合幹部による安倍政権との妥協の立ち振るまいや取り込まれる状況も紹介されている。だが、「働き方改革法」反対を取り組んできた全労協、全労連、地域ユニオンなどによる国会闘争、争議なども含めた闘いなどが描かれていない。だから共有化すべき課題と成果を踏まえて実践的に今後の方向性に向けた方針の組み立てへとつなげていくのが厳しいかもしれない。そういった面を差し引いても、資料として読んでおくことを薦める。

(Y)

 

青年戦線 第193号(2018.9.10)ができました。

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■青年戦線誌面案内 第193号 2018.9.10


「働き方改革関連法」を現場から批判する 1P

トランプの政治とは何か 10P

「アラブの春」とはなんだったのか 19P

1978年3.26三里塚管制塔占拠闘争40年 30P

7.8 三里塚・東峰現地行動 34P

7.8第三滑走路計画地の現地調査 36P

6.12〜17 沖縄・辺野古現地闘争に参加して 41P

8.15反「靖国」行動 46P

福田前財務次官のセクハラ犯罪を許すな 48P

日大アメフト事件にあたって 51P

映画紹介「マルクス・エンゲルス」 54P



読書案内 : スノーデン 監視大国 日本を語る/集英社新書 エドワード・スノーデン 著

61SkvdaQ-7Lスノーデン・リークの衝撃

 スノーデン(CIA〈中央情報局〉、NSA〈米国家安全保障局〉、DIA〈米国防情報局〉元情報局員/「報道の自由財団」理事/ロシア・モスクワ在住)は、2013年6月、米政府が米同時多発テロ事件を契機に対テロ対策と称して違法な情報収集を行っていることを暴露した。情報は国内だけではなく世界中の人々のメール、通話を集め、テロ関連情報として分析していたことを明らかにした。いわゆるスノーデン・リークだ。本書は、『スノーデン 日本への警告』(2017年4月/集英社新書)に続くスノーデン・リークの第二弾である。

 本書を把握するための前提認識を土台とするために『日本への警告』を若干紹
介しておこう。スノーデンは、米政府がNSAの監視プログラムを通して光ファイバーに直接アクセスして膨大なインターネット通信を取得していただけではなく、グーグルやフェイスブックなどのネット会社に顧客の個人情報を提供させていたことや、裁判所の監督が実質的に骨抜きとなっていた現実を明らかにし、世界の民衆の人権とプライバシーが侵害され続けていることに自戒をこめて告発した。

 とりわけ自らが2009年にデルの従業員として横田基地で監視活動を行っていた経験、ハワイでNSAに勤務していた時はXキースコア(XKEYSCORE)という大量監視ツールを扱っていた経験から特定の調査対象の通信をすべて掌握していたという告発は説得力があったため、日本の社会に大きな衝撃を与えた。

 さらに日本は国際的な光ファイバーを米国と共有しており、米国の通信会社は米国を経由する通信を傍受しNSAに提供しているから、情報を共有しているのだと強調する。スノーデンは、「NSAが保管する通信の中には、日本のフラグがつけられたものが多数ありました」と述べ、「ただ横田基地という、アメリカと日本の情報機関の橋渡しをする施設で働いていた経験から申し上げると、アメリカの情報機関は、常時、日本の情報機関とアメリカにおける情報を交換していますし、日本もしばしばアメリカに対して日本に関する情報を交換しています」と浮き彫りにする。

 安倍政権は、日米安保体制下、グローバル派兵国家建設の一環として特定秘密
保護法の制定にみられるように対テロ治安弾圧態勢を日米の連携プレーでレベルを引き上げてきた。

Xキースコアとは

 スノーデン・リークの警告から五年。刑訴法改悪と共謀罪制定によって警察権力・公安政治警察による電話の盗聴やネットデータの強奪、市民運動に対する監視・不当弾圧が拡大している。なんとしてでも権力の暴走を阻止するためにあらためてスノーデン・リークの意義を再確認したい。

 本書の冒頭では、「日本への警告」で紹介したXキースコアを取り上げている。
NHKとインターセプトは、共同スクープとしてスノーデンがリークした機密文書の中に日本に関する文書があり、米政府が日本政府にXキースコアデータを提供していたことが明記されていたと報道した(2017年4月)。

 スノーデンは言う。Xキースコアとは、コードネームで「膨大なソフトで構成
された非常に複雑な技術システムであり、多様な方法で集められた電子的通信を集約することです」。「これまでは時間や予算の制約上、監視の対象は犯罪者だけでした。今では、技術によって誰でもどこでも監視することができます。これは際立って大きな違いです」と述べ、政府は日々、人知れず何千億ものプライバシーを侵害していると注意喚起する。

 さらに本書では、NHKが継続取材しその集約としてNHKスペシャル「日本の諜報 スクープ最高機密ファイル」(2018年5月)を放映した、スノーデン・リーク機密文書の新たな事実を明らかにしている。番組を観た方もいると思うが、日本政府が米政府と共謀して秘密裏に行っていたことに対する批判と警戒を強め共有化するために、以下に列挙しておこう。

 ①日本の組織とは、防衛省情報本部電波部のことであり、NSAの日本側パー
トナーとなっている。同様に内閣情報調査室もその役割を担い、日本のネット諜報導入を推進していると明記。

 ②米軍横田基地内通信機器製造工場が日本政府の思いやり予算によって年間
37万5000ドルを計上。

 ③1990年代から2000年代のはじめにかけて、クロスヘア作戦(内容不明)と呼
ばれる諜報作戦に日本も参加。

 ④防衛省情報本部電波部の傍受施設は全国に六カ所ある。

 ⑤2012年以降、コードネームがマラードと呼ばれる衛星傍受システムにより、
日本は、民間衛星を経由しているインターネットから大量の情報を収集している。

 これらで機密文書のすべてが明らかになっているわけではないが、例えば、安倍政権が掲げる成長戦略の中の宇宙開発が諜報活動とセットであること、5兆円を超える軍事予算が米軍と一体となって支え、諜報機関とそのための高額なコンピューターシステム・ネットワーク実態の一端が見える。

 ところが機密文書について安倍政権は、「証拠となる文書に信憑性がない」と
切り捨てた。スノーデンは、日本政府の姿勢を批判し、「(リーク元である)アメリカ政府ですら、この文書が偽ものであるとは述べていません。説明責任をまったく果たそうとしない日本政府の態度は、国民を侮辱するものであるばかりか、国民を欺くものです」と糾弾している。

 本書を通して、携帯電話・メールなどの個人情報が権力に筒抜け状態であることに対して、あらためて警戒を強め、闘う側の防衛システム、法的規制強化の実現なども含めて反撃していかなければならないと痛感せざるをえない。

(Y)


【読書案内】よみがえる戦時体制 治安体制の歴史と現在 (集英社新書) 新書 荻野 富士夫 (著)

1106888364_1_sub1_l 戦前の治安維持法や特高警察を歴史的に分析、研究してきた荻野は、第二次・第三次安倍政権が「戦後レジームからの脱却」を掲げて特定秘密法、戦争法(安保関連法)、共謀罪を制定してきたプロセスが新たな戦時体制への構築に向けて一挙に加速したと総括し、国家の暴力装置というべき治安体制の観点から現代批判を試みている。

 その批判ベクトルは、特高警察によって虐殺された小林多喜二の「戦争が外部に対する暴力的侵略時に、国内に於いては反動的恐怖政治たらざるを得ない」(評論「八月一日に準備せよ!」〈プロレタリア文化〉一九三二年八月)というキー概念だ。つまり、「安倍政権の下で進行する諸施策は全体として新たな戦時体制に収斂する」流れを「構造的かつ全体的な把握をおこない、それぞれの『つながり』具合と全体の『からくり』を見通す」ことが本書の目的だ。

 もちろん「戦前と現代において社会状況が大きく異なる」「安易な類推は避けるべき」だが、「取締り当局における恣意的な運用という点について共通している」と強調する。奥平康弘(憲法学)は、すでに立川反戦ビラ事件の裁判で弁護側証人として出廷し、「治安維持法がなくても、治安維持法に近いような格好の、新しい現代的な何かが出てくるという徴候を示す」と警鐘乱打していた。

戦前と戦後の比較検証

 荻野は、「第一章 戦時体制の形成と確立——どのように日本は戦時体制を作っていったのか」、「第二章 戦時体制の展開と崩壊——どのように治安体制はアジア太平洋戦争を可能としたのか」で戦前治安体制を支えていたのが「法令としては治安維持法であり、機構・機能として特高警察と思想検察」とクローズアップし、セットとして「情報統制や経済統制、『教学錬成』の機構と機能」させながら治安法令の整備、治安警察法、出版法・新聞法、暴力行為に関する法令、改正軍機保護法などを通して強化していったことを当時の膨大な治安判決、特高警察関係資料集成や思想検察文書を通して明らかにする。

 「第三章 戦後治安体制の確立と低調化」では日米安保体制下の治安体制の再
編と強化を浮き彫りにし、「第四章 長い『戦後』から新たな『戦前』へ」においてでは、安保再定義からシーレーン防衛などの分析を通して米軍とともに参戦していく自衛隊、つまり「戦争ができる国づくり」の踏み出しを明らかにする。

 なかでも興味深いのは、防衛庁の「制服組」が極秘に行った「三矢研究」(一九六三年)を取り上げているところだ。この研究は、第二次朝鮮戦争を想定し、国内に国家総動員体制を敷き、「日米統合作戦司令部」を設置して「日米共同作戦」を実施するという図上演習の訓練を行っていた。国会で暴露され、憲法違反、文民統制違反として問題となり防衛庁長官辞任、関係者の処分という事件だった。

新たな戦争性格

 この研究の目的と狙いは、地下水脈として温存され、安倍政権は、改正防衛省設置法(二〇一五年)を制定し、「背広組」と「制服組」が対等となり、「制服組」を中心とする「統合幕僚監部」に統合され、幕僚長は国家安全保障会議(NSC)にも出席することになった。また、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)に基づき設置された「同盟調整メカニズム」によって米軍と自衛隊の実戦化の具体化が押し進められた。

 荻野は、「朝鮮民主主義人民共和国をめぐる軍事的緊張の下、実質的に『同盟調整メカニズム』が機能し、運用されているはずです。五〇年余前に『三矢研究』で計画された『日米統合作戦司令部』の設置と『日米共同作戦』の実施が、もはや現実のものとなり『戦時体制』に準じた状況が生まれています」と指摘する。
 
 さらに新たな戦争の性格として「アジア近隣地域に自衛隊が先頭を切って主体的に出ていくケースは考えにくいでしょうが、集団的自衛権を実際に行使することでアメリカの軍事行動に追随し、その成り行きのなかで戦争に巻き込まれる可能性が高まりつつあります」と集約する。

情勢分析を深めるために

 「第五章 『積極的平和主義』下の治安法制厳重化——新たな戦時体制形成の最終段階へ」においても荻野は、「「一九三〇年代・四〇年代と現代が決定的に異なる」ことに触れ、「かつては大日本帝国が自らの意思と施策によつて一五年戦争を引き起こしたのに対して、現代日本は日米安保条約の下、アメリカに追随し、従属する関係のなかに深く規定されている」。だから「日本が少しでも安保体制の枠組みを越えて能動的に戦争を仕掛けようとすれば、アメリカは即座にそれを阻止し、押し潰すことは明らかです」。

 つまり、「新たな戦時体制の構築をアメリカが容認しているのは、対中国・対朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)をめぐる東アジアの軍事的緊張のなかで、まず日本に軍事的役割を分担させるためです」とあらためて位置づけることによってグローバル派兵国家建設、すなわち「米軍とともに戦争する国」に向かっていることを共謀罪制定と治安対策強化と連動させながら再確認している。

 「基本的人権の制限や民主主義・立憲主義の破壊の進行と、新たな戦時体制の出現は表裏一体の関係」として延命する安倍政権と日本情勢の分析は、荻野が繰り返し批判しているように単純な「戦前回帰」「ファシズム」などの危機アジリ的アプローチがいかに乱暴であるかを証明している。

 ただ、戦前の天皇制と軍隊の連携構造、「天皇の思想検察」、「天皇の特高警察」の役割分担などについて実証的な解明に成功しているが、戦後「象徴天皇制」と自衛隊、警察権力、公安政治警察の役割、日本会議も含めた右翼の任務、現在的な民衆統合装置などと関連づけた分析は弱い。学習を深めるためには補足文献で補強する必要がある。

(Y)

青年戦線 第192号(2018.1.1)ができました

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■青年戦線第192号 20181.1 誌面案内

アピール 腐敗を強めながら延命している資本主義に楔を打ち込め! ラディカル民主主義の貫徹を 1p


― 特集 ロシア革命100周年 ―

11.4シンポジウム 世界を揺るがした100年間 4p
森田成也さんへのインタビュー 9p


連続講座 マルクス・エンゲルスからトロツキー・グラムシまで 

第1回 マルクス・エンゲルスの後進国革命論の変遷 12p

第2回 マルクス・エンゲルスのロシア革命論の変遷 13p

第3回 ロシア・マルクス主義の成立から1905年革命まで 17p

第4回 ロシア革命からヨーロッパ革命へ 24p

「ロシア革命100年と社会主義を考える」(しんぶん赤旗/日本共産党)を批判す
る 34p

メディアのロシア革命評価を批判する 41p

第2回 労働問題を語り合う交流会座談会 45p

終わりにしよう天皇制11.26大集会・デモ 52p

青年戦線 第191号(2017.8.7)ができました。

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■青年戦線第191号 2017.8.7 誌面案内

共謀罪法制定糾弾!改憲と一体の警察国家を許さない 1P

自由人権協会が反共謀罪で集会 7P

アジア連帯講座報告─
トランプ政権と安倍政権 18P

天皇「生前退位」問題をめぐって 24P 

「労働問題を語り合う」交流会座談会 30P

ミンダナオでの軍による活動家虐殺に抗議/RPM―M(革命的労働者党ミンダ
ナオ)/RPA(人民革命軍)声明/第4インターナショナル声明 39P

4.21~23辺野古ツアー 43P

山谷・野宿者運動 46P

反オリンピック 50P

三里塚闘争 51P

青年戦線 第190号(2016.12.26)ができました。

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■青年戦線第190号 2016.12.26 誌面案内

JCYアピール 1P

11.5アジア連帯講座:トロツキーの永久革命論 講師:酒井与七さん 4P

11.19アジア連帯講座:徹底批判!自民党改憲草案 講師:清水雅彦さん 34P

読書案内:『憲法を変えて「戦争のボタン」を押しますか』 清水雅彦 著 45P

加瀬勉さんが怒りの抗議:抗議文 47P

映画案内:『三里塚のイカロス』 56P

映画案内:『チリの闘い』 59P


★日本共産青年同盟(JCY)アピール グローバルな地殻変動に抗して闘う陣形を構築していこう

米国の反差別・排外主義の闘いに連帯を

 アメリカ大統領へのトランプ就任を前にして、自国民保護を全面に押し出す政策への転換か、新自由主義の加速か、予断を許さない情勢が、アメリカを軸にして進行しているといえる。強くいえることは、こういった指導者が生まれるたびに、そして例えばイギリスのEU離脱を決めた国民投票の時のようなキャンペーンが広がるたびに、移民層、難民状態を余儀なくされた人々をはじめ、差別されきたマイノリティーを後景に追いやっているという事実が速度を増して積み重ねられてゆくということだ。すでにトランプ政権の発足を許さないという意思表示はアメリカ国内で始まっている。何より個人の生存を脅かすデマに対して明らかな行動をもって警鐘を鳴らさない限りは、大小のトランプがひたすら生まれ続け、全世界のヘイトスピーカーは様々な形で連携しつづけるのだ。

安倍政権の自衛隊南スーダン派兵糾弾!

 日本においてはどうなのか。橋下に続き小池のようなヘイトスピーカーは地方自治体における改革パフォーマンスの技巧によって、選挙を勝ち抜いているが、自治体の労働組合等を弾圧し、やがてあからさまに民衆の生活条件を切り崩す存在であることは間違いない。

 そして、国政課題に視点を移せば、成立強行1年の「安保関連法」(戦争法)によって駆けつけ警護「任務」を付与された自衛隊の部隊が、事実上内戦状態に陥った南スーダンへ向けて、「平和維持」を口実に出動してしまった。新しい戦死者が生まれ、「英霊」をまつりあげることによって本格的な軍隊の殺りく機能を構築しようとするもくろみが走りだしたのだ。

 一方で株価、為替相場、内閣支持率といった数値の上がり下がりに一喜一憂する安倍政権のさまは、新自由主義推進の忠実なしもべと呼ぶにふさわしく、とても公共の指導者を名乗るに値しないという理解は広まり続けている。私たちは、特定の利権層が戦争状態の可動域を広め、軍隊・警察といった暴力装置の強化をもてこにして、新自由主義に従属する労働者をどこまでも屈服させる悪循環を阻止していくだろう。

 ともすればヘイトスピーチにくみしがちな労働者層にも粘り強く宣伝し、今なおヘイトスピーチの矢面で呻吟する在日朝鮮半島人、沖縄の人々、アイヌの人々、外国人労働者、あるいは女性を含む性的マイノリティーとの連帯を実現することだけが、無数に増殖しようとするプチトランプを駆逐する唯一の方法である。

ギャンブル国家化に向けた野望

 事態は切迫しているが、国会の状態は喜劇的でさえある。12月の国会で超短時間審議で成立が図られているカジノ推進法は、委員会で質問内容に事欠いて議員が般若心経の話をし始めるという体たらくに現れるとおり、自民・公明連立政権の慢心、民進党、維新の会の政権補完勢力化を絶望的に際立たせている。

 500万人に及ぶともいわれるギャンブル依存症者の問題は、サラ金債務、悪質な強盗犯罪の問題と相まって個人の問題ととらえられがちであるが、作家・精神科医の尋木蓬生著の「ギャンブル依存国家・日本」にある通り、実際は推進する国家の問題でしかない。日本におけるギャンブル用電子的ゲーム(パチンコ・スロット)機の設置台数は450万台でアメリカの88万台を引き離し世界一だ。1台当たりの人口28人も、セントマーチン、マカオといったカジノ設置国に伍して世界3位である。

 ただパチンコ業界利権の所管官庁である警察幹部は「パチンコはギャンブルではなく遊技」とうそぶくわけだが、国際的には日本がギャンブル大国であることは隠しようもない。安倍晋三たちの、それこそギャンブルともいえる安直な政権運営が、格差広がる労働者の反撃にもかかわらず継続している。その理由を考えるうえでもカジノ誘致によるギャンブル国家化への取り組みは重要な課題である。

沖縄差別を許さない!辺野古新基地・高江ヘリパッド建設やめろ

 安倍政権の安易さは、対米追随の一辺倒を生み出し、その表れとして沖縄本島北部における暴力的差別的な米軍基地機能のための工事強行の形で極まった。

 辺野古沖での工事強行を一時的に取りやめた日本政府は、7月参院選で島尻環境相に伊波洋一元宜野湾市長が島尻愛子環境相を破って当選した翌日、今度は高江でのヘリパッド建設工事を強行してきた。本土各県から500人に及ぶ機動隊が連日阻止の仲間をごぼう抜きし、自衛隊はヘリで資材を搬送するなどなりふり構わなかった。9月の福岡高裁ではこのために異動してきたような若い裁判長によって、沖縄県の辺野古埋め立て取り消しの違法性が判決として出された。だがその理由の空虚さが改めて沖縄に対する認識の薄さ、劣悪さを見せつけたに過ぎない。琉球処分以来繰り返された露骨な差別構造が沖縄に未曽有の被害をもたらした地上戦の記憶を修正する勢いで持ち込まれているのだ。大阪府警機動隊員による「土人」発言が発覚してなお、大阪府知事、沖縄担当大臣が警察官の言動を擁護するのは、その最たるものだろう。

 多くの仲間が辺野古で資材搬入阻止行動を貫き、高江で基地敷地内の工事現場に肉薄して身体接触がわずかにあったことなどを口実に、非常に深刻な不当刑事弾圧が進行している。普天間オスプレイ搬入阻止なども含め一貫して現場で山城さんはついに起訴され、病の身でいまだに拘留されている。こうしたことは米軍新基地に反対する運動体の意識を分断した面もあるだろうが、今も沖縄には現地と全国の仲間が結集して、危険で反人民的なヘリパッド建設に抵抗の意思を表し続けている。「オール沖縄」の象徴的存在でもあった翁長知事は高江のヘリパッド工事を容認せざるを得ない状態に陥っていることも確かだろう。ただ国家がこのように振るう暴力に大義はない。最後は人民の抵抗の意思が勝つことは明らかだ。

韓国民衆の反パク打倒闘争の前進

 韓国ではパク・クネ大統領の弾劾手続きが可決され、民衆は毎週大統領府の前に繰り出して、腐敗と保身にきゅうきゅうとする大統領に対し、退陣要求を突き付けている。しかしこれは韓国の政治制度の不安定性、財閥経営者など富裕層への怒り、特定個人の突出した腐敗ということもあるだろう。しかしそれだけで巨大な民衆のうねりが誕生するわけではない。パク・クネが組合しめつけの一環として鉄道民営化を図り、教員組合への弾圧を強化しながら国定教科書制定を目指してきたような、反動政策への怒りということが根底にあるのは明らかである。日本でも、大統領不在の政治空白と「北朝鮮」からの攻撃などを心配して見せる前に、韓国の民衆と連帯する具体性が求められている。中国などを含めた東アジアで必要とされるのは民衆の連帯であって、宮古・八重山に多額の自衛隊配備予算を計上して無用の軍事的緊張を高めることではない。中国軍の上陸を想定した配備などは、尖閣諸島などの領土ナショナリズムをあおることでしか、富裕層、官僚にくみする勢力の士気を維持できないことを表している。

ロシア10月革命100周年 国際主義が問われている

 戦争情勢を考えるうえで、憲法9条改悪をにらんだ国会情勢が常に焦点となってきたが、別の観点で憲法の内実をよりなしくずしにするのではないかという動きもあった。

 それは天皇アキヒトが8月に表明した「生前退位」(譲位)の「お気持ち」メッセージである。このメッセージをめぐって、右派の中でも皇室典範の改正の是非、アキヒトが推進してきた国内外訪問行事等「公務」の是非をめぐって分裂している状況でもある。ただ、私たちが強調するのは、天皇家の「お仕事」が天皇家存続以外に目的を持つとすれば、行き着くところは国家と結びついた資本企業の擁護だけである、ということだ。

 アキヒトと皇后ミチコの振る舞いは一見リベラルな装いにもみちているが、天皇家の慰問、儀礼全般に広がる「お仕事」がどう憲法に違反(反民衆的)しているかは点検の必要がある。そして性差別的な世襲制度のはてに、戦争行為の旗頭として再び天皇家が前面に出る可能性を考えたとき、一層天皇制廃止の主張を強めるしかないといえる。こういった主張を規制しようとして警察権力は、右翼ならず者の暴力と結託して挑発行動を繰り返している。

 「大きな政府」による社会保障から福祉カット民営化が一層進み、新自由主義政策がむき出しの攻勢を強めている。労働者に占める非正規の割合が40パーセントを超えるところに達している。アジアだけでなくヨーロッパ、南米などで新自由主義にノーを突きつける運動は、継続されている。問題は、全世界で深まりつつある労働者・市民による地殻変動を、日本において実感として共有できていないところにある。

 日本では特に、社会主義の展望が大衆運動の場では明らかに欠落している。安倍政権と官僚たちの反動性を指摘する行動の重要さもさることながら、ロシア10月革命100周年を数える2017年、人民が各々あぶくのような存在から結びついて巨大な海として少数の資本家層、富裕層を包囲していけるのかが問われている。

          (海田 昇)

映画『三里塚のイカロス』の製作支援を

CeaA-UaUAAA44T0若者はなぜ農民のために
命がけで闘ったのか



第二章『三里塚のイカロス』は
人生をかけて闘ったあなたの物語です。

映画製作費の支援を、
9月20日まで、クラウドファンディングで募集中

https://motion-gallery.net/projects/sanrizuka02




■2017年劇場公開予定

 国家権力と闘った三里塚の農民たちの生きざまを描いたドキュメンタリー映画『三里塚に生きる』に続く、第二章『三里塚のイカロス』の制作が進行中だ。今度は農民の闘いを助けた若者たちが主人公である。

 2015年から始った撮影はほぼ終了し、音楽録音も行い、現在編集中で、2017年に劇場公開予定だ。制作資金が不足しており、製作者の代島治彦監督が、完成までの諸経費300万円の支援を求めている。

 8月11日、制作支援のためのイベントが都内で行われた。前作『三里塚に生きる』の無料上映に続いて、『三里塚のイカロス』ダイジェスト版が10分ほど上映された。上映後は、安保法制に反対する国会前の闘争を取材したジャーナリストと映画監督、代島監督の3人によるトークショーが行われた。

■ダイジェスト版を見てきた

 ダイジェスト版では、登場人物の名前や場所の説明はない。私の知る範囲で、少しだけ加えて紹介する。
 錆びつき蔓が絡まる鉄骨。そこに轟音とともにジェット機の腹が視界に飛び込んでくる。ジェット機は頭上を通過し、滑走路に消えて行く。航路直下の岩山記念館(要塞)の屋上から見える風景だ。開港を拒んでいた大鉄塔は倒されたが、その跡に建てられた要塞は、今も空港の前に立つ。

 前作で、大木よねの隣で、襲いかかろうとする機動隊に対して、稲を持ちながら激しく抗議する若者がいた。今はすっかり頭も薄くなった加瀬勉さんだ。加瀬さんは、全学連が1967年三里塚の支援にやってきた経過を、当時と同じように、力強い話し方で説明する。

 場面は変わり、ガラス戸が無くなり、荒れ果てた建物の前で、二人の男性が、一人は車いすに座り、支援に来た当時を振り返り、食料も不足しカエルを捕まえ食べた思い出を語りだす。「インター現闘団」と書かれた大きな古いトタン板の大看板。そう、ここは朝倉公民館、朝倉団結小屋があった場所だ。文字の一部は消えかけてい
るものの、「大地を人民の手に」「一坪再共有運動貫徹」の文字が読める。

 二人の話題は、反対同盟分裂後のテロ襲撃にうつる。「襲撃の前には、電話線が切断されるから、電話線が切れたらブザーが鳴る装置を電電公社の労働者が作り、メンバーの家にとりつけた」とテロを警戒しながら暮らした様子を語る。「ある日、ドンドンと玄関をたたく人がいた。開けてみたら『吉田さん大丈夫ですか』と警察だ
った」と笑いながら話す。そして、襲撃に反撃しようと思わなかったのかとの問いかけに、「よく耐えたよな」「耐えなきゃ大変なことになっていた」と真面目に答えた。

 一方、初老のしっかりした服装の男性は、党派の現地責任者であったが「自分に相談なしに(テロ襲撃は)決行された」と話す。

 このほかに、援農先で知り合った現地の青年と結婚した女性。なれそめを聞かれて、恥ずかしそうに、笑顔で思い出を話す。

 三里塚50年のつどいで、「網走番外地」を歌って会場を驚かせた「ミスターX」こと中川憲一さんは、横堀の農道でパトロール中の機動隊員に声をかけられる。「オレは、40年前あの管制塔を占拠した犯人だ。今、撮影中だから・・」「オレの話を聞くか」と切り返すと、機動隊員は「勤務中ですから」と面倒くさそうに引き下っがてしまう。

 わずか10分のダイジェストだが、これだけでも十分興味が沸いた。「過激派」とレッテルを張られ、政府や警察は常に農民と引き離そうとした若者たち。その本当の姿と、闘争のあまり語られない部分にも焦点をあてている。

 なお、車いすの男性は、強制代執行を迎え撃つためのトンネル(塹壕)掘りで落盤事故にあい、半身不随となったのであり、テロ襲撃の被害者ではない。

今の若者がどうみているのか

 トークショーでは、2015年国会前闘争に集まった人々を取材した二人が、昨年の闘争と三里塚闘争について語った。

 一人は、路上で声を上げ国会前を群衆で埋め尽くした学生団体『SEALDs』を、結成から半年間カメラで追った映画『わたしの自由について~SEALDs2015~』の西原孝至監督。

 三里塚闘争を直接は知らない32歳の西原さんは、映画を勉強しているときに小川伸介監督の三里塚シーリズを見て、「ドキュメンタリーはすごい」と思うと同時に三里塚闘争に「あこがれがあった」そうだ。前作については「一生を掛けて闘っている人にはげまされた」と感想を述べた。

 もう一人は、国会前を支えたもう一つの層、中高年を「シニア左翼」と名付けた『シニア左翼とは何か』の著者で教育ジャーナリスの小林哲夫さん。小林さんは、かつて政治の季節を闘った人々に期待を込めて、「70~80年代大変なことを、どうか墓場まで持って行かないでほしい」と、一番しんどい時期の話を残し、今の運動につなげるようにと訴えた。

 代島監督は最後に、「自慢できない話にしていきたい」と締めくくった。

■過激派の温床のイメージ

 前作が公開されたとき、開港阻止闘争を闘った我々の同志から批判の声が上がった。一つは、「3・26が描かれていない」であり、もう一つは、上映時に販売されたパンフレットに「1984年1月 新左翼党派による武装闘争、党派間の内ゲバがはじまる」との記述を見つけ、「あれは一方的な襲撃であり、内ゲバではない、テロだ」という批判だ。

 今作『イカロス』では、この二つの批判に答える内容が描かれている。代島監督は、「政治の季節」の先輩たちに強いあこがれをもっていた。だが、内ゲバがはじまり殺人まで起きると、その熱は冷め、ハシゴをはずされた感覚だけが残り、ハシゴを登ったら、きっとそこは地獄だったかもしれないと感じていたそうだ。前作公開後のある日、管制塔占拠し出所直後に自死した原勲さんを追悼する元被告たちの花見に参加した。横堀鉄塔の下で酒を酌み交わしているとき、三里塚で闘った先輩たちの天国と地獄を映画にしたいという、強い衝動が走ったと述べている。

 闘争を続けた者には苦しかった時期、遠くにいた者には近寄り難い「過激派の温床」というイメージ。実際にそこに生きた人々の声を引き出すのが今作『イカロス』だ。農民を助けた若者は、自由に飛び回る羽をもちながらも、太陽に近づき過ぎて墜落したイカロスだったのだろうか。代島監督は、英雄物語を作るのではなく、それを否定し、よいことも悪いことも含めて伝えたいようだ。

■製作費支援を

 三里塚闘争過程で、命を落とした者、逮捕投獄された人、また心身に傷を負った人は少なくない。多くの人が語りたくないと思っている。にも関わらず、カメラの前に立ち、あえて語った9人に敬意を表したい。また、多くの元若者に断られながらも、三里塚闘争50年の全体像を明らかにしようと努力している代島監督に期待した
い。

 映画への支援は、9月20日まで、銀行振込、口座振込のほか、インターネット上でも行える。クラウドファンディングでは支援額に応じた特典も用意されている。
https://motion-gallery.net/projects/sanrizuka02

青年戦線 第189号(2016.8.1)ができました。

配信:青年戦線189表紙1・表紙4青年戦線 第189号(2016.8.1)ができました。

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■青年戦線第189号 2016.8.1 誌面案内

アピール 「投票」だけではない 政治行動と連帯を! 1P

G7伊勢志摩サミット反対 5P

G7伊勢志摩サミット反対学習会&集会(愛知) 9P

アジア連帯講座:公開講座/マイナンバー運用開始1カ月前にして 白石孝さん(共通番号いらないネット) 13P

5.29「マイナンバー」半年を検証する集会 19P

アジア連帯講座:公開講座/TPPをマクロとミクロの視点から批判する  21P
 大野和興さん(「TPPに反対する人々の運動」世話人)

闘争報告 28P
山谷越年・越冬闘争/日雇全協総決起集会/琉球弧自衛隊配備反対アクション/反「紀元節」行動/防衛省抗議行動/核と被ばくをなくす世界社会フォーラム/脱原発オール荒川アクション/安倍政権下の日米安保体制と天皇制を問う4.28―29連続行動/被ばく労働者春闘集会/れじすたんす大行動/練馬駐屯地撤去デモ/三里塚 横堀現闘本部裁判 高裁不当判決弾劾/東峰現地デモ

6.19沖縄県民大会に参加して 50P

「性と法律」を読む 53P

角田由紀子弁護士講演(再録/アジア連帯講座) 58P

S・Mの映画鑑賞日記 59P

青年戦線 第188号ができました。

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■青年戦線第188号 2015.12.28 誌面案内

反資本主義―過渡的闘争から搾取なき社会変革に向けて  1p

憲法と戦争法 4p

アジア連帯講座―イスラム原理主義とは何か  14p

『香港雨傘運動』出版記念講演  18p

闘争報告―山谷夏祭り/平和の灯を!ヤスクニの闇へ2015/戦後レジームの70年
を問う7―8月行動/横堀現闘本部撤去不当判決を糾弾する/狭山・再審勝利めざ
す荒川集会/原子力空母ロナルド・レーガン横須賀配備抗議集会/ストップ!マ
イナンバー10月通知 集会&デモ/10.8総がかり行動集会/辺野古現地の攻防に
参加して/マイナンバー制度の廃止を求める集会   28~46p

「ルポ・過労社会」を読んで  47p

「最貧困女子」で考えたこと  53p

映画紹介  56p

投稿  57p

第四インターナショナル青年キャンプ&FI青年キャンプ声明


第四インターナショナルベルギー支部(LCR-SAP)作成キャンプ宣伝ビデオ



第四インターナショナル青年キャンプ
ベルギーでの第32回国際青年キャンプは大成功

ニール・ミシェルス


 第四インターナショナルの第32回国際青年キャンプは、7月26日から8月1日までベルギーで行われた。FIベルギー支部のSAP―LCRが、今年の青年キャンプ組織化を主導した。キャンプは、欧州と世界から来た革命派の間での一週間の政治的交流にとっては快適な立地である、リーエン高原自然公園で開催された。参加者は、ベルギー、ブラジル、デンマーク、フランス、ドイツ、英国、ギリシャ、イタリア、メキシコ、スペイン、スイス、米国、西サハラからやって来た。キャンプのあらゆる政治的企画は自らプログラムを設定した若い参加者によって自己組織化された。われわれは、各代表団内部で作成され、キャンプの政治的共同作業部の最終会議で共有された総括から、もっとも注目すべきハイライトからなる外観を示そうと努めた。


 このキャンプの第1のハイライトは、エコロジーの諸闘争とエコ社会主義の政治構想に対する必要性に関し行われた作業に関係している。エコロジーに当てられた二日目のテーマ日の中で、SAP―LCR指導部メンバーであり、「グリーン資本主義:それはなぜ機能しないか」という著作の筆者であるベルギー人のダニエル・タヌロが、「エコロジー的緊急性に立ち向かう社会と綱領と戦略にとっての構想は何か」に関する冒頭報告をもって、エコロジーに関するキャンプの作業の口火を切った。COP21に関する作業グループは、この週の残りの期間、この年末のパリで予定されているCOP21をめぐる気候に関する諸行動を強化し急進化するための共同した働きかけを築き上げることを目標に会議を行った。このキャンプの活動は、決起に向けた代表団からの共同アピールに結実した。


 ギリシャの政治情勢に関する戦略的な諸論争は、今回のプログラムの良質な課程を構成する第2の大成功と見なすことができる。FIギリシャ支部、そして急進左翼連合のアンタルシアの構成組織であるOKDE―スパルタコスの青年代表団は、ギリシャ情勢に関する論争を始めるために青年キャンプに参加した。

 ギリシャ支部が擁護した立場は、欧州とギリシャの資本主義と決裂し社会主義への道を開く、そうした綱領を備えた革命派の自立的連合が必要という立場だった。しかしながらこの政治方向は、参加者すべてを説き伏せるものではなかった。この参加者たちは、多くの場合、自分自身の国で、デンマークの赤緑連合ないしはスペインのポデモスのような、「改良主義者」との共同戦線という幅広い政治的構想の一部を構成している。

 批判的な発言から提出された最重要な課題は、国民投票における六二%の「ノー」支持者を一つの政治的オルタナティブに向け組織する必要性という課題だった。つまり、IMF並びにEU諸機構との間で緊縮メモランダムに署名したばかりの、シリザ指導部による緊縮政策への転換に対するオルタナティブへの組織化だ。

 参加した代表団は、チプラス政権の右への移行が急進左翼に対する抑圧と一体的に進んでいるということを大きな懸念をもって認め、有罪を宣告された7月15日の反メモランダムの闘士たちに対する連帯宣言を採択した。

 今キャンプの第3のハイライトは、LGBTQ諸闘争に関するテーマ日の終わりにあった。力強いいくつかの発言を伴った熱気ある集会の後、LGBTQパーティーが始まった。既に国際青年キャンプの伝統であるが、このパーティーは、LGBTQの諸個人と異性愛志向以外の新しい経験に対し偏見のないすべての参加者に、自由に表現できる一つの空間を提供することを目標としている。寛容かつ自由な環境は、ほとんどの政党の場と全体としての社会の日常生活における、支配的な異性愛を正常とする基準と同性愛嫌悪とは対照をなしている。性的解放なしにはいかなる革命もない!

 第4に、「諸々の代表団間会合」は大きな成功だった。それらは、様々な国から来た代表団に、闘争における諸経験を交換するすばらしい機会を提供した。代表団間の報告と討論のいくつかの主題は、スペインにおけるポデモスの進展、英国左翼内部の地震(社会主義労働者党の崩壊、統一左翼の創出、スコットランド民族党の成長、そしてジェレミー・コルビンの立候補に基づく労働党内部での左翼指導部に向けたキャンペーン)、ギリシャにおける第三次緊縮メモランダムに反対する闘争、リヨン―トリノ間のHST鉄道やミラノでの世界博覧会のような社会には役に立たないイタリアの大規模インフラ計画に反対する闘争、右翼政府と対決する労働組合の行動計画と一体となったベルギーにおけるストライキ運動、その他だった。

 欧州外の代表団の存在がその価値を高く認められるのは、国際主義的集会や、数多くのワークショップ、またキャンプの週を通じた非公式接触に加えて、まさに先のような「代表団間会合」のゆえだ。

 今キャンプは、天然資源の収奪を目的としてモロッコに占領された――国連安全保障理事会におけるフランスの支持の下に――地域である西サハラからの代表団を迎えることができた。同志たちは、西サハラの民族的かつ反植民地主義の開放のために闘っているポリサリオ戦線では左翼部分を構成している。エジプト代表団の参加もまた計画されていた。しかし、抑圧的な欧州の国境政策が彼らのビザ取得を妨げた。

 318人の参加者による今年の青年キャンプの飛び抜けて国際主義的な力学は、スペインで開かれる来年の第33回第四インターナショナル国際青年キャンプに続くだろう。そのキャンプは、ポデモスを共同して創設し、その中で幅広い政治構想内部での反資本主義左翼に対するもっとも重要な指示標識となった組織、アンティカピタリスタスによって組織されるだろう。スペインの今年の代表団が示した政治的熱気――そして創造的な空気!――が、忙しいが同時に活気あるキャンプ組織化に置き換わる道を見つけ出すことができるならば、来年の国際青年キャンプは、見逃してはならない合流機会となり、第四インターナショナルの青年組織にとっては一つの優先企画となるだろう!


▼筆者は、SAP―LCR指導的青年活動家。(「インターナショナルビューポイント」2015年8月号)


●FI青年キャンプ声明●
ギリシャの有罪宣告を受けた7月15日の闘士たちへの連帯


 【この声明は、ベルギーのリーレン高原での第四インターナショナルと連帯する第32回青年キャンプ閉幕集会(8月1日)で、ベルギー、英国、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、スペイン、スイスから参加した同志たち、またブラジル、メキシコ、米国のゲストたちによって採択された】

 メモランダムの議会通過に反対してギリシャ議会前で7月15日に行われたデモの中で、数人の人びとが逮捕された。裁判では、逮捕された者のうち七人は無罪とされたものの、残り3人は、最大期限の執行猶予付きで、そしてそれは3年だが、平均15ヵ月の禁固刑を宣告された。

 有罪を宣告された3人の戦士たち、中でも第四インターナショナルメンバーであるミケ・ゴウドウマスは、政府の政策に反対したがゆえにこの処罰を受けている。はっきりしていることは、この国家が特に労働者階級の部分に罰を与えることを選択した、ということだ。この部分は、最悪の諸条件の下でも、緊縮に敢然と挑もうとしているのだ。この責めを受けている3人はすべて不安定職の労働者であり、そのうちの1人は移民労働者だ。

 シリザ―ANEL(独立ギリシャ人)政権の新たな緊縮諸方策に対する大衆的な反対を前にして、弾圧が意味するものは、この運動に対する、またメモランダムに公然と反対している左翼諸部分に対する最後の武器ということだ。

 資本主義の危機を労働者階級の問題にしようと試みつつある者たちに対決する戦闘に、わが同志たちを単独のまま残すつもりなどないことをはっきりさせることは、われわれの義務だ。われわれは、ギリシャ政府、EU、IMFの政策に対決して彼らと歩を並べて闘う決意を固めている。

 われわれは、有罪を宣告された彼らと連帯して立ち上がるよう、彼らの即時解放を要求するよう、弾圧反対の立場をとるよう、すべての組織、労組、政治勢力――シリザ内の諸勢力と人びとを含んで――に訴える。来る数週間、われわれはわれわれの各国で、あらゆる社会運動組織に接触し、犠牲にされた反緊縮活動家に対する赦免要求統一請願キャンペーン発足に際してわれわれに合流するようそれらに訴えるだろう。われわれはこの請願を、可能な限り数多くの政治運動、労組運動、そして文化人に向け広げるだろう。われわれはこれらの請願をギリシャ大使館に届け、その前でのデモを組織するつもりだ。

 ギリシャの労働者は、チプラス/EU協定に反対する闘いにおいて、国民投票を通して広範に表現されたように、また彼らに押しつけられようとしている緊縮諸計画に反対する闘いにおいて、国際的な連帯を必要としている。これこそが、われわれがあらゆるところで人びとの動員に挑戦し、ギリシャ人には返済すべきものなどまったくないということを確証するキャンペーンを築き上げ、この債務の帳消しを要求しようと挑戦する理由だ。

 われわれは、国際連帯というわが武器をもって、この罪名の執行に反対する決起、またわが同志たちの一人に対するあり得る国外追放に反対する決起を継続するだろう。

 われわれを黙らせようとするやつらの努力は、ただわれわれをより強くするだけだろう!

(「インターナショナルビューポイント」2015年8月号)

青年戦線 第187号(2015.7.1)ができました。

青年戦線187表紙
青年戦線 第187号(2015.7.1)ができました。

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■青年戦線第187号 2015.7.1 誌面案内
沖縄民衆の辺野古新基地反対闘争に連帯し、安倍政権の戦争・生活破壊攻撃をは
ね返そう 1P

闘争報告―1.12日雇全協反失業総決起集会/2.5PARCが人質事件を問う緊急シンポジウム/2.11反「紀元節」行動/3.11東電前アクション!が首相官邸と東電に抗議/3.14 2015原発のない福島を!県民集会  4P

3.15福島原発事故4年―現状を「知る」フィールドワーク  16p

2.22「三里塚に生きる」自主上映会  20p

介護保険制度、社会保障を考える  35p

ネット社会と嫌韓感情の分析  40p

研究ノート「排外主義克服のための朝鮮史」  47p

読書案内「イスラム国」をどうみるか  50p

映画紹介 シャトーブリアンからの手紙  54p

映画紹介 ジミー、野を駆ける伝説  56p

報告:2.22「映画『三里塚に生きる』自主上映会

三里塚に生きる 2月22日、日本キリスト教会館(東京・早稲田)で「映画『三里塚に生きる』(監督・撮影:大津幸四郎、監督・編集:代島治彦)」自主上映会(実行委員会)が行なわれ、会場いっぱいとなる80人が参加した。


上映実行委員会は、代島治彦監督の「配給宣伝・劇場公開をご支援ください」との要請に応え、自主上映と三里塚闘争について語り合う場を東京で創ろうということでできればいいなという思いを込めて2014年12月に、上映実行委員会が作られた。呼びかけ人は、今も三里塚闘争の支援を続けている繁山達郎さん(研究所テオリア)、芝崎眞吾さん(連帯社)、辻和夫さん(横堀団結小屋維持会/田んぼくらぶ)、和多田粂夫さん(元管制塔被告)、中川憲一さん(元管制塔被告)、平田誠剛さんの6人。賛同人は41人だった。


上映時間2時間20分。登場しているのは13人。柳川秀夫さん(元青年行動隊リーダー)、故・三ノ宮文男さん(元青年行動隊リーダー)、小泉英政さん(三里塚に定住した支援者)、島寛征さん(元反対同盟事務局次長)、三ノ宮静枝さん(元婦人行動隊)、椿たかさん(元婦人行動隊)、故・大木よねさん(元婦人行動隊)、萩原勇一さん(元親同盟)、堀越昭平さん(元親同盟)、石毛博道さん(元青年行動隊)、秋葉清春さん(元青年行動隊)、山崎宏さん(団結小屋の住人)、北井一夫(写真家)さんなどだ。登場した皆さんは、三里塚の今と「思い」をそれぞれ語り続けた。参加者は、登場するそれぞれの「重い語り」を受け止め、自分史を検証しながら引き込まれていった。参加者のアンケートにも「素晴らしいドキュメンタリーだ」「生きるとは何かを考えさせられた」「三里塚の人々の思いがよくわかった」等々に現れている。

 

映画を制作したのは、2人の監督。撮影を担当したのは大津幸四郎監督。編集やインタビューや編集を担当したのが代島治彦監督。上映後の代島監督講演会の冒頭、司会の辻さんがからあいさつと「監督・撮影の大津幸四郎さんが14年11月28日に肺がんで逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします」と報告した。

 

代島監督の講演に移った。現地に詳しい方々が集まるだけに、「当日どんな意見が出るか、戦々恐々としています」と、事前に語っていた代島監督だが、「会場から笑い声があり、ここで笑うのかと、映画館とは違う体験ができた。」と、会場の熱気が伝わったことを述べた。「昔のことは喋りたくねえ」という人々の前で苦労したが三里塚闘争の真実を伝えたかったことを語った。(講演要旨別掲)。

 

現地から駆けつけた石井紀子さん(成田市川上)は、「この映画を観るのは3回目だ。観るたびに新たな発見があり、三里塚の人々の気持がわかってくる。私は一九七五年に東峰部落に入った。三里塚ワンパックを立ち上げて東峰の人たちと一緒にやってきた。空港会社は、小泉英政さんが43年目にしてようやく大木よねさんの土地に対する強制収用の補償問題を空港会社と小泉英政さんと話し合いを始めるわれるという有様だ。映画で小泉さんの思いが語られていてよかった。東峰は、北原派、旧熱田派、旧小川派の関係者がいる。あまり多くを語らない、生きていることが闘いだという感じだ。映画を作ると聞いて、何人が喋ってくれるのかと思ったほどだ。いまだから語りたい農民の気持を撮れていた。終わりがない三里塚だといえる」と発言した。

 

呼びかけ人あいさつが芝崎眞吾さん(連帯社)から行なわれ、かつて現地援農の取り組みのことを紹介しながら決意を表明した。

 

会場から感想や質問があり、交流の最後に、山崎宏さん(労活評現闘)が、最新のから現地報告と丹波山「共有者の家」撤去への抗議行動への参加を呼びかけた。策動を許すな! 2・28現地緊急抗議行動に結集を! 三里塚空港に反対する連絡会」が呼びかけられた。

 

最後に質疑応答などが行なわれ交流を深めていった。

(Y)


 

代島監督 代島監督の講演から
「見えにくくなっていた三里塚闘争、百姓の闘いは、基地や原発の問題ともつながっている」


今日は三里塚闘争に関係している方が多いということで画面に対して反応が一番あった上映会になった。ここで笑うのかのシーンがいくつもあって今でとは違う体験ができた。

 

この映画は、大津幸四郎さんに誘われる形で2012年8月、三里塚に踏み入れた。最初は大津さんの思いだった。1968年の「三里塚の夏」に写っている人たちが、DVD化されるのを契機に今どうしているのだろうかということを一人一人会って話してみたいということだった。島さんも柳川さんも温かくは迎えてくれたが、「昔のことは喋りたくねえ」「今、生きることで抵抗している。それでいいじゃないか」ということだった。また、「シンポジウム・円卓会議が終わって、それぞれが自由に生きている。今の三里塚を撮れるのか」と言われたりもした。

 

ドキュメンタリーを作る仲間たちは、東日本大震災があり、被災地を撮りに行ったり、福島原発事故など現在進行形のテーマに入っていた。私は、自分の八〇年代、九〇年代の生き方の反省もあって三里塚に入った。

 

この映画は、単純に闘争を描くということではなくて、日本の戦後の長い時間の動き、人間ってなんだろうという思いが三里塚の人々と話すなかで深く考えることができた。

 

映画には登場していないが、早くから石井紀子さんとはお話していた。逆に柳川さんは農作業、講演などの喋りだけでインタビューはできませんでした。柳川さんは、そういう方なんですね。生き方です。

 

山崎さんは、一番最初に登場しています。撮った順じゃないです。ある上映会で山崎さんが三里塚に生きる一人に入るのか入らないのかという質問があったが、僕は「入る」と言いました。三里塚で生きていると感じたからです。初対面なのに色々と質問をした。山崎さんは緊張感を持って答えたくれた。

 

大津さんが亡くなる前に気にしていたのが、三ノ宮静枝さんだった。周辺の人たちは静枝さんに文男さんのことを聞く人はいなかった。私たちは何回か静枝さんに伺うなかで文男さんの話ができた。静枝さんにとっては、文夫さんのことは過去の話ではない。今も生きている。

 

一人一人の体験、悩み、苦しみ、うしろめたさ、悲しいことなどの心話を持ち、溜め込みながら人生の心話になっていくんだなと思う。だからこの映画は、一人一人の心話です。

 

三里塚は、円卓・シンポジウムを反対同盟の側から働きかけ、国と話し合いによって謝らせて闘争を解決したと言う人がいたが、実感としてそう思えなかった。共生という道を選択するが、真実が見えなくなってきた。

 

この映画の中で三ノ宮文男さんの遺書と大木よねさんの戦闘宣言が朗読される。開港後、北原派と熱田派が分裂し、内ゲバなど色々あったなかで三里塚の真実が見えにくくなっている。多くの人々は、三里塚のイメージが新左翼、過激な暴力という印象が残ってしまった。

 

若い人たちの中で三里塚って、農民の闘いだったんだと言う者がいた。だからこそ見えなくなっている百姓の闘いである三里塚を撮りたかった。基地や原発の問題とつながっている。
(要約・編集部) 

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青年戦線 第186号ができました。

青年戦線186表紙青年戦線 第186号ができました。

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■青年戦線第186号 2014.12.29 誌面案内
打ち倒そう安倍政権 ストップ戦争国家!
アピール 1頁

衆院選挙と若者 分析メモの一つとして 4頁

闘争報告 7~20頁
8.6ヒロシマ被爆69周年/8.9平和の灯を!ヤスクニの闇へキャンドル行動/8.15反「靖国」行動/8.30東京都総合防災訓練反対/9.1日印原子力協定のための首脳会談反対!/9.23さようなら原発全国大集会/9.27「平和に生きる権利」のためのデモ/10.14~15辺野古現地阻止行動に参加して/10.15朝日バッシングとジャーナリズムの危機/11.3「持たざる者」の国際連帯行動

2020東京オリンピック・パラリンピックを問う 21頁

現代から古典へ マルクス経済学を学ぶ 31頁

「資本主義の終焉と歴史の危機 水野和夫」批判 43頁

映画案内「三里塚に生きる」 47頁

2.22「三里塚に生きる」上映実行委員会の賛同人になってください 50頁

12.14三里塚―東峰現地行動 52頁
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