1月12日、三里塚芝山連合空港反対同盟(代表世話人:柳川秀夫)は、横堀農業研修センターで2014三里塚反対同盟旗開きを行い、30人が参加した。
安倍政権は14年度予算で成田空港機能拡充にむけて29億円を計上し、成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置法」(成田財特法)も5年間延長する方針まで決めた(1月7日)。成田国際空港会社の夏目誠社長は、年頭あいさつで夜間飛行時間延長(午後11時までを12時まで認める)を強行したことを「弾力的運用」と称して居直り、「本年は駐機場やLCC専用ターミナルビルの整備を進めるなど、2014年度中の空港容量30万回への拡大へ向け取り組んでまいります」と宣言した(1月1日)。
国土交通省が「首都圏空港の中長期発着枠拡大に向けた有識者委員会」(13年11月1日)を起ち上げ、発着時間制限緩和などを検討していることと連動して、空港会社は「成田国際空港の更なる機能強化に向けた検討チーム」を設置した。つまり、14年度中の30万回発着達成、東京五輪に便乗した夜間飛行時間制限緩和をねらい三里塚農民、空港周辺住民の生存権・環境・営農破壊攻撃を拡大しようとしているのだ。
13年7月15日、東峰地区の島村さんの畑にキャセイ航空機の主翼にある空気抵抗をおさえるフェアリング(60×20センチ/1・5キロ)が落下した。その後も空港周辺で立て続けに航空機部品が落下していたことが判明したため国土交通省は、部品の欠落を空港当局に報告する義務を外国の航空会社にも課すことを決め、1月9日から実施すると公表した。欠落事故が社会問題化したため今頃になって報告義務化した。営利主義を優先させることによって安全軽視を放任してきたことを自ら証明した形だ。30万回発着を撤回し、過密運航をただちに中止せよ。
夏目は年頭あいさつで落下事故被害者への謝罪、事故について一切触れることをしない傲慢な態度を押し出してきた。空港反対運動への敵対と空港機能強化にむけて司法権力の強制力を使っての横堀団結小屋強制撤去(12年11月28日)を皮切りに天神峰地区の農民が耕す農地を平行滑走路の誘導路整備のために裁判を通じて強奪しようとしている。この延長で横堀現闘本部に対しても、一方的に鉄板で囲み、封鎖しておきながら建造物撤去にむけた申入書(13年12月3日)を送りつけてきた。横堀研修センター破壊策動も開始している。
反対同盟と支援は、横堀現闘本部撤去阻止をはじめ木の根ペンション・プールと一坪共有地、横堀の鉄塔・団結小屋と案山子亭の拠点を守りぬき反撃していくことを打ち固めた。
国交省と空港会社の策動
旗開きは、山崎宏さん(労活評現闘/横堀地区案山子亭)の開催あいさつから始まり、「今年で加瀬勉さんが富里空港予定地反対運動から含めて五三年。柳川秀夫さんは四八年も反対運動を取り組んできた。現在も反対運動が続いていることは人民の力は敵権力に負けていないんだという一つの証だ。全国の三里塚に心を寄せる仲間たちとの連帯と初心を貫くことによって強化されてきた。空港会社は、昨年一二月、横堀現闘本部を撤去しろと申し入れ、拒否するなら法的措置を強行すると恫喝してきた。こうした敵の攻撃に対しては、これまで通り原則的立場を貫いて断固として闘いぬいていきたい」と訴えた。
柳川秀夫さん(反対同盟世話人)は、「昨年、横堀団結小屋が裁判で土地と建物が強奪された。強制収用がなくなったから力による行使ができないにもかかわらず、権力を持っているものは形を変えて法律を使って目的を達成しようとする。ものすごく腹が立っている」と厳しく糾弾した。
報告として「第1は、敵は横堀共有地(柳川名義)を強奪し換金したが、そんなカネは守るものではない。反対同盟は、共有地について目的が終了したら元の地主に返すという約束だった。だからカネは地主に返す手続きを行った。第2は、空港会社は横堀現闘本部を撤去してくれと言ってきたが、一方的に封鎖し通行する道もないなかでそんなことができるわけがないと反論しておいた。空港会社が自ら撤去すると言ってきたから、ある時期に裁判の手続きに入り、強制的に撤去するつもりだ。第3は、横堀研修センターの土地は共有地だが元の地主が12月に『返してもらえないか』と言ってきた。私は、『問題が解決したら返すが、そんな状況ではない。長い目で見てもらわないと困るよ』と言っておいた。空港会社は、ここも法的手段で強奪することをねらっている」と述べた。
そのうえで柳川さんは、「敵はやれるところはやるが、その先はできないことをよくわかっているはずだ。昔のやり方を繰り返しているだけだ。今年も気を引き締めて頑張っていきたい」と決意表明した。
加瀬勉さん(大地共有委員会〔Ⅱ〕代表)は、「安倍が内閣を作ってから、福島原発の悲劇が起きているのに原発輸出、沖縄米軍オスプレイの配備、消費増税、辺野古新基地建設、秘密保護法制定など山ほど闘う課題がある。全国的な反撃が不十分だ。ところが沖縄県議会が普天間閉鎖、辺野古新基地反対の意見書を決議した。かつて反対同盟も成田空港反対決議をしたが、運輸省と千葉県は芝山町議員に対して白紙撤回させたことを思い出した。空港賛成議員リコールの署名を行った。しかし町長の雲隠れ、選挙管理委員を辞職させたりなど直接請求権を蹂躙したり、買収したりした。同じような陰謀が沖縄県議会にやられる危険性がある。沖縄民衆の、ヤマトンチューはなにをしているんだという突きつけに対してどのように応えるのか。沖縄基地反対集会を三里塚をはじめ全国で行っていかなければならない」と発言した。
さらに「敵はデモ、抗議をテロだと言ってきた。東京五輪に参加する選手は、成田、羽田、関西空港を使うが、反対運動に対する弾圧が強まってくるだろう。一坪共有地を武器にして闘っていこう」と強調した。
平野靖識さん(東峰地区らっきょう工場)は、「東峰の島村さんの畑にキャセイ航空機の部品が落下した。長年恐れていたことが現実化した。東峰部落は緊張し、空港会社と国交省に抗議した。ところが『落し主が悪い』という無責任な態度だった。シンポジウム、円卓会議で地域住民の同意がなければ滑走路は作れないと合意していたにもかかわらず、約束破りに対して謝罪もしていない」と批判した。
さらに「東峰地区の萩原進さん(北原派反対同盟事務局次長)が12月21日に亡くなった。非常に残念だった。同じく北原派の市東孝雄さん(天神峰地区)の土地が裁判を通して奪われようとしている。大木よねさんの代執行を上回る規模になる。お父さんの市東東一さんは、三里塚物産の協力者であり、大恩人だ。だから息子さんの土地が奪われようとしているが、なにかあれば現場に駆けつける」と発言した。
さらに、小山広明さん(泉南市会議員)、刈谷稔さん(田中機械)、渡邊充春さん(関西三里塚闘争に連帯する会/関西三里塚相談会)、などの関西の仲間たち、東水労、たんぼクラブ、横堀団結小屋維持会などの仲間たちが連帯あいさつした。
最後に2014年闘争勝利にむけてスクラムを強化していくことを誓い合った。(Y)
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