虹とモンスーン

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Middle East

トランプの勝利は中東にとって何を意味するか

trump2_18_16トランプの勝利は中東にとって何を意味するか

ジルベール・アシュカル

2016年11月11日


 米国の新大統領ドナルド・トランプの対外政策一般、そしてとりわけ中東政策は、彼の国の海外に向けてその帝国的政策を一九世紀末に開始して以来、この職についた者の中で最も予測不可能な人物としてきわだった存在である。

 トランプは自ら矛盾に満ちており、幾つかの問題に関して選挙期間中も立場や調子を変えていった。しかしここ数年の間、彼が執拗に繰り返してきた幾つかの重要なテーマから考えれば、彼が大統領の任期中、中東に関してこだわっているだろう問題点を推測できる。

 彼の大統領への選出によって、最初に悪影響をこうむるのはシリア民衆となるだろう。米国へのドアはシリア難民に対して、キリスト教徒を例外として閉ざされてしまう。トランプのシリア難民に対するアジテーションは、つねにイスラム嫌悪(イスラモフォビア)を中心としているからだ。

 シリアからの難民流出を完全に止めるために、トランプは国境に「安全地帯」を作ることを主張している。居場所を奪われたシリア人たちは。そこで難民として海外への出国を許されるのではなく、一つにまとめられる。彼はアラブ湾岸諸国がそのための費用を払えと叫んでいる。メキシコとアメリカの国境に彼が作れと言っている「壁」の費用をメキシコに払わせる、というのと同じだ。

 トランプは第二に、ロシアの利害に協力することを基礎にロシア大統領ウラジミール・プーチンとの新たな友好・協力政策を出発させるだろう。これは中東において、シリアでのロシアの役割を積極的なものとして受け入れ、バシャル・アル・アサド政権を「より少ない悪」として受け入れることを含む。

 それは論理的には、この地域における米国の同盟者に対して、シリアの武装反対派への支持をやめるよう求めることを含む。ワシントンはその時、モスクワとともに「和解」政権の「反対派」メンバーを含むシリアの「連合政府」の共同スポンサーとなる。それは「テロとの戦争」の名の下に米国がアサド政権と協力する道を開くことになる。

 プーチンとともに権力の座にある「強い政治家」を支持する政策を採ることによって、トランプは、エジプトのアブデル・ファタハ・エル・シシ大統領とトルコのレイップ・タイイップ・エルドワン大統領の双方とワシントンとの関係を改善しようと望むだろう。

 彼は二人の男との間のフェンスを修繕し、二人をなだめすかして「テロリズム」に対する共同の努力を支持させることになる。それは二人の大統領がかれらの国で行っている「テロリズム」の定義を受け入れることになる。

 トランプがオバマ政権によるイランとの間の核交渉を廃棄しイランを敵に回す用意を示した以上、彼はサウジアラビアを引き入れてワシントンが支援するアンカラ(トルコ)、カイロ(エジプト)、リヤド(サウジアラビア)のスンニ派トライアングルに加わらせるよう試みるかもしれない。

 中東に向けたトランプのビジョンの原則的自己矛盾がここに存在する(彼の中国への敵対的スタンスは彼のグローバルビジョンの原則的自己矛盾なのだが)。それに打ち勝つにはモスクワ(ロシア政府)とアサド体制をテヘラン(イラン)との決裂に誘い込むことが必要である。

 最後に、トランプの下でワシントンとの関係が大きく改善されるだろうもう一人の地域的「ストロングマン」がいる。イスラエル首相のベンジャミン・ネタニヤフである。こうしてトランプが大統領に選出されたことによるもう一つの直接的犠牲者は、パレスチナ民衆である。ネタニヤフは、二〇〇一年九月一一日の攻撃の後のアリエル・シャロン以来のどのイスラエル首相よりも、パレスチナ民衆への対処においてより多くのフリーハンドを与えられることになるだろうからである。

(「インターナショナルビューポイント」ウェブ版二〇一六年一一月号)

【第四インターナショナル決議】自由と尊厳をもって生きぬくために闘うクルド人民の闘争を支援する

無題(画像はクルディスタン北部-トルコ南部のクルド住民自衛部隊YPS)


自由と尊厳をもって生きぬくために闘うクルド人民の闘争を支援する

第四インターナショナル書記局

二〇一六年三月九日



 第四インターナショナル書記局は、三月二日の国際委員会会合の委託を受けて、以下の声明を発表した。



 

1 クルディスタン労働者党(PKK)の指導者アブドゥラー・オジャランとの二年間にわたる交渉の末、エルドアン(トルコ大統領)のスンニ派権威主義・新自由主義・イスラム主義政権は、二〇一五年夏以後、クルド民衆に対する血ぬられた戦争を再開すると決定した。しかしこの夏は、六月七日の選挙結果による民衆の大きな希望をもって始まった。HDP(人民民主党――クルド人の統一した左翼改良主義政党)が得票を倍増させ、かつてないような一三%の票を獲得したのである。

そのためAKP(公正発展党、エルドアンの与党)は、国家機構の分野での支配をこわすことになりうる連立政権の形成を余儀なくされた。さらにこの選挙結果は、憲法を改変し、R・T・エルドアンが求めていた専制的大統領制――その下で、彼はスルタンになりうる――をもたらすのに必要な議席数に達することを妨げるものだった。



2 エルドアンは、すでに二〇一五年三月初めには、進行しているように見られたAKPの得票の減少を押しとどめるために強硬路線的民族主義への転換を開始し、交渉に敵対的な極右の方向に向かっていたが、それはなによりもダーイシュ/イスラム国に包囲されたコバニの抵抗運動を支持する二〇一四年一〇月の暴動への恐怖によるものだった。

クルド人大衆のこの怒りの爆発は、「和平交渉」の枠組みの中で、AKPが具体的な措置を講じるのを拒否していることに対する、つもり重なった失望に基づいていた。この怒りは、AKPはダーイシュを支持しているという、広く共有されていた確信から生まれた怒りと混ざり合っていた。その確信とは、イスラム国のジハーディストが、長年にわたりなんの統制も受けずにトルコとイラクの国境を双方向から通過できており、国境近くの病院で健康診断を受ける便益を持っていたという事実に基づいていた。

そしてわれわれは、トルコの政権がつねに隣人としてクルドよりもダーイシュの方を好んでおり、今でも明らかにそうであるということを知っている。最後に、エルドアンは「クルド問題は存在しない」と宣言してオジャランとの面会を禁止し、事実上二〇一三年春に宣言した交渉の道筋を停止してしまったのである。



3 議会選挙の結果に不満をつのらせたAKPは、エルドアンの支援の下で早期の再選挙を呼びかけた。しかしHDPの弱体化が、AKPが次の選挙の勝者になるための必要条件であった。スルチでの爆弾攻撃でダーイシュが非難され、そしてすぐその後にPKKの「地域部隊」による報復が二人の警官の死を引き起こした、というきわめて疑わしいやり方で、クルドへの戦争が再開される機会が提供された(訳注:このテロ事件については本紙昨年一〇月一九日号7面記事参照)。そのようにして「テロリスト組織」の合法部門と見なされたHDPが犯罪組織とされたのである。

すべての社会的・政治的抗議に対する暴力的弾圧、反対派報道の犯罪化、クルド人へのポグロム(集団的虐殺)の気運を伴う内戦の気運は、ついにその結果を生み出すことになった。AKPは早々と行われた二〇一五年一一月一日の選挙で容易に勝利したのである(訳注:この選挙結果については本紙昨年一二月一四日号7面参照)。



4 それ以来、テロ体制が現実のものとなった。エルドアンの党―国家体制は、トルコ内クルディスタンのすべての抗議と抵抗を粉砕するために、警察や憲兵隊と結びついた公然たるファシスト・イスラム主義者の「反テロ軍団」を動員した。

PKKと結びついた(しかし直接の統制下にあるわけではない)若いクルド人都市民兵部隊が「民主的自治」を宣言しているディヤルバクル、マルディン、スルナック、ハッカリなどさまざまな都市の各地域では、数カ月間にわたり夜間外出禁止令が出され、軍の戦車や装甲車両による包囲と破壊の下で、飢餓に直面している。その一部は完全に焼かれて識別不能になっている数百の死体が瓦礫の下に横たわり、一〇万人以上の住民が家から逃れなければならなかった。

トルコ人権基金の数字によれば、二〇一五年八月中旬から二〇一六年二月初旬までの間に二二四人の市民(四二人の子どもを含む)、四一四人の活動家、一九八人の警官と軍人が死亡した。



5 闘いを山岳部から都市に移すというPKKとYDG-H(革命的青年愛国運動)の選択――オジャランの当初の勧告に反して――は、もちろんのこと戦術に関する幾つかの討論を引き起こした。この衝突の気運は、HDPの民主主義的で戦闘的で平和志向のメッセージに耳を傾ける可能性をはっきりと弱めることになった。しかしかれらHDPは、クルド人の枠を超えて、エルドアンの独裁への衝動と社会をイスラム化するという国家的策謀に反対する住民の広範な層へのヘゲモニー的極として、自らを押し出すことに成功したのである。

 しかし悲劇の責任が、エルドアン体制と、みずからの権力の強化のためにクルド人に関する別の政策をその道具とするやり方にあることは明らかである。さらにエルドアンの政策は、双方の側の民族主義的感情に油を注ぎ、両民族が共に生きる可能性を深刻に掘り崩している。

 われわれはエルドアン政権とAKPの好戦的政策を非難する。われわれはトルコ国家が、虐殺を終わらせ、クルド人の都市に行っている夜間外出禁止令や封鎖を解除するよう要求する。またわれわれは、男女の人権侵害の責任者を特定し、有罪判決を下すよう要求する。

 われわれはトルコ国家が、オジャランの独房への隔離を終わらせ、永続する平和への条件を確立するためにクルド人運動のさまざまな勢力との交渉を再開するよう求める。それはクルド人の民主的・社会的要求に合致することによってのみ永続する平和を達成できるのだ。

 われわれはまた、西側帝国主義、とりわけ欧州連合の共謀を非難する。EUは移民の波――その責任の一部はかれらにある――に恐怖し、トルコが巨大な難民収容キャンプになることを受け入れるという条件で――そんなことはありえないのだが――抑圧・虐殺の体制と共存しようとしている。われわれは欧州のクルド人運動への迫害と法的告訴を終わらせるよう求める。PKKは欧州においても、どこにおいても「テロ組織」リストから取り除かれなければならない。

 われわれは尊厳を持って生きるためのクルド人の闘い、国家機構によって前代未聞の犯罪組織化攻撃を受けているHDP、ラディカル左翼活動家、平和と人権擁護活動家、エルドアンの民族主義的・宗教的・権威主義的体制に訴追されている学者やジャーナリストへの支援を表明する。



6 トルコ国家がクルド人の運動に対して行っている戦争は、PKKの戦略と同様に、今や主要にはシリアで起こっている事態の展開によって決定されている。PKKにとっては北部シリア(ロジャバ)の兄弟党であるPYD(民主連合党)の支配を通した行政の確立と拡大が、トルコ国家との交渉を通じて獲得できる成果よりもはるかに重要である。とりわけPKKの歴史的競争相手であるバルザーニの封建主義的・親米路線から、四カ国(イラン、イラク、トルコ、シリア)に分割されたクルド人へのヘゲモニーを取り戻すという観点からもそう言えるのである。

 トルコにとっては中東における地域的覇権国家になろうとする目的から、シリアの民衆決起が始まって以来、エルドアンは最初の数カ月、政権とムスリム同胞団との間の交渉を追求した。その後、その外交政策の中心は、アル―アサド政権の急速な打倒を計算に入れて、シリア問題への積極的関与に移った。

 トルコは、その目的のために最初はムスリミ同胞団とリベラルな反対派が支配するシリア国民評議会を支援し、アサド体制の暴力的な圧力に抗して決起の軍事化を進めたが、ダーイシュをふくむさまざまなジハーディスト集団への直接的・間接的なさまざまのレベル(政治、財政、物資調達、軍事、医療)での支援をもためらうことはなかった。



7 エルドアン政権がシリアのアル―アサド政権を打倒する戦いに関与している主要な理由の一つは、トルコ・シリア国境地帯に強力なクルド人住民が存在していることである。帝国主義が二〇〇三年に侵攻して以後、イラク北部にクルド人の地域行政機構が形成されたことは、トルコ国家が経験した最も目立った政治的トラウマの一つであったことは疑いない。

 かくして、シリアでの体制転換に続いて同じようなシナリオを見るはめになってしまう恐怖こそ、トルコ政府をシリアの危機に介入するよう押しやった要因である。しかし二〇一二年七月にシリアのクルド人地域から政権の武装部隊が後退するや、情勢はさらに危機的となった。PYD(民主統一党;シリアのクルド人政党)はトルコとの国境に近いこの地域の支配権を握ることに成功し、後にはこの地域の自治を宣言するに至ったのだ。

 現在トルコ政府は、トルコとシリアの国境封鎖を実施し、トルコならびに海外で組織されたロジャバ(北部シリアのクルド人)との連帯の努力を妨害している。われわれは、弾圧に反対し、封鎖反対のキャンペーンを行う市民的イニシアチブを失敗させようとする政府による国境管理の実施を非難する。



8 二〇〇三年にPKKの中に脱中央集権の流れが生まれる中で、PYDは今でもアブドゥラー・オジャランのイデオロギー的・政治的指導性を認めている。「ロジャバ革命」を受けて、ジャジラ、アフリン、コバニの三つの地域の行政組織は、オジャランの「民主的自治主義」(あるいは「民主的連邦主義」)の戦略を実施する企図を代表するものとなっている。それはPKKのかつてのマルクス・レーニン主義への固執(一九九〇年代初頭にそれは放棄された)に代わるものと考えられている。

二〇一三年一月に宣言されたロジャバ憲章は、民主主義、非宗教、多元的文化主義の原則に基礎づけられたものであり、深いエコロジー的感覚を特徴としている。女性の権利、エスニック的・宗教的少数派の権利の強調は、シリアのカオス状況の中ではとりわけ強い感動を与えるものだ。そして地域においては不安定さが広がっているにもかかわらず、これらの約束は、完全に棚上げされているわけではない。もっと先に進めるべきであるのは当然だが。

しかしこの独自で進歩的な自己統治の経験の中で、政治的複数主義は実際のところ不在となっている。ロジャバでの強力な歴史的存在の実績を持たないPYDは、亡命先であるイラクのクルド人地域から帰還して以後、ヘゲモニーを回復することに成功した。その多くはかれらの軍事力(YPG=人民防衛隊)に負っている。YPGはさまざまなクルド民族主義の地域的潮流であろうと、革命的決起に深く関わった若いクルド人の民主主義的ネットワークであろうと、軍事力を使って鎮圧することをためらわなかった。われわれは、またハッサケ、カミチなど特定の町で、自治宣言の後にもアサド政権がその勢力を保持し続けていることも付け加えなければならない。



9 現在、PYDとYPGは、ダーイシュの暴虐に対するコバニ(そこではトルコの革命組織、自由シリア軍、イラクのクルド人グループのペシュメルガも参加していた)の英雄的レジスタンスのおかげで、国際的に大きな名声を得ている。



PYDのこの地域でのポジションと戦闘における効率性は、逆説的なことに彼らを、一方では米国の、他方ではロシアの特権的な盟友に仕立て上げている。米国はもともと大きな責任を負うべきシリアのカオスという泥沼に巻き込まれたくないのであり、またロシアは二〇一五年九月三〇日以来、アル―アサドの血ぬられた政権、イラン、そしてレバノンのヒズボラの側に立ってこの地域での支配力を増大させるために紛争への軍事的介入を進めてきた。

しかしエルドアンはどんなことがあってもアザスからジャラブルスに広がる地域――その多くはダーイシュの支配下にある――がPYD―PKKの手に落ちることを阻止しようとしている。なぜならそこは、シリアとの国境地帯において、現在クルド人勢力が支配していない唯一の場所だからである。

こうして、その主要な構成組織がYPGであるシリア民主主義勢力(SDF)は、ロシアによる空爆の支援を得て、さまざまなジハーディスト集団――ダーイシュ、エル・ヌスラ、アフラル・エルシャムなど――、そしてサウジアラビア、トルコ、カタールが武器を与えて支援している、いわゆる穏健なサラフィスト集団とのきわめて効果的な戦闘を行っている。しかしSDF軍のこうした前進と勝利は、プラグマティックな同盟政策ゆえに矛盾に直面している。かれらは体制側と手をたずさえるか、あるいは「敵」の領地をどちらが早く占領するかを競争している自らを見いだすことになるからである。

さらに、政権側から解放した地域でのサラフィスト―ジハーディストによる支配の結果として、また前者(サラフィスト)の自由シリア軍(FSA)との相互浸透の結果として、SDFそしてYPGは、FSAならびに不均質な地方的反乱軍事組織との衝突に入ることがしばしばであり、地方の住民がかれら(SDF、YPG)を政権の側に立っていると見なすリスクを増大させる。

さらに特定の地域でのアラブ人住民の追放に対する非難は、幾つかの報告と証言に基づいて、YPGへの批判となり、また北部シリア地域での民族的緊張を背景にしてPYDへの疑惑の感情を強めている。それはアラブとクルドの間での緊張として、数十年の歴史を持つものだ。最後に、トルコと湾岸王制諸国が支援するシリア国民連合内の指導的勢力(リベラル派ならびにムスリム同胞団とつながっている)は、トルコの政権によるPKK弾圧を支持し、アラブ排外主義路線を採用し、クルド人の民族的諸権利になんの保障も与えないのだ。PYDのこうした反対派への疑惑は、ここから説明できる。



10  第四インターナショナルは、シリアへのあらゆる形での軍事介入と、シリア分割をねらうあらゆる帝国主義的プランへの反対を再確認する。こうした帝国主義的・サブ帝国主義的介入は、世界と地域の大国の自己利害を強めることがただ一つの目標であり、シリア民衆にいっそうの破局をもたらすだけである。われわれは、ロシアによる爆撃、そして他の諸国によるあらゆる爆撃の即時停止を求め、すべての外国の軍事勢力の撤退を要求する。

 ジハーディストや政権による暴虐に直面する中で、あらゆる形態での抑圧に反対し、シリアの住民は、かれらが見いだすことができるさまざまな手段で自らを守る権利を持つと、われわれは考える。

 PYDとFDSの特定の実践に関してわれわれが持ち得る批判にもかかわらず、われわれは、シリアにおける反革命の一つの柱である反動的ジハーディスト勢力に対するかれらの戦闘に敬意を表し、クルド人民の自決のための闘争に全面的な連帯を表明する。そしてわれわれは、クルド民族の自決のさだめとシリア革命の命運が深く結びついていることを断固として強調する。この地域の民衆の解放は、権威主義的体制の打倒と、これら諸民族の民衆的諸階級の連合を通じた、諸大国や多国籍企業の支配からの解放によってのみ達成されるのである。

【パリの大規模テロ】パキスタン・アワミ労働者党書記長のファルーク・タリクのコメント

48249121_cachedパリの大規模テロ事件について、パキスタン・アワミ労働者党書記長のファルーク・タリクからのコメントが送られてきました。

以下、紹介します。

 パリはムスリムの宗教的テロリストによって襲撃された。今日の午前8時までに160人以上が亡くなっている。パリには非常事態と夜間外出禁止令が敷かれている。

 われわれは最愛の人を亡くした家族に心から同情するとともに、フランスの人びとに連帯する。

 とりわけヨーロッパに住む一般のムスリムの生活は、こうした事件の後ではとりわけ困難なものとなるし、労働者階級の間で、レイシズムがさらにその基盤を広げることになる。シリアなどの諸国から欧州に迎えられた難民たちの生活は、さらに厳しいものとなる。

 右翼の思想は、、左翼の多くの新組織によってこの間、その地歩を奪われてきたが、新しい余地を見いだすことになる。

 難民を守り、レイシズムと闘う進歩派は、その機会を維持することが難しくなる。

 宗教的原理主義者は世界のどこでも、人道への最大の脅威となっている。

 宗教的原理主義に対しては、イデオロギー的地盤において闘わなければならない。

 原理主義に対する通常の軍事的解決策は、9・11後に起こったような否定的な結果をもたらすことになる。9・11の後、米国とNATOの軍隊はアフガニスタンを占領したが、宗教的過激派はさらに広がり、新しい国にもその基盤を拡張した。

 他の勢力と闘っている宗教的原理主義への支援は、それがいかなる勢力であろうとも、大きな誤りである。どこでもファナティックな過激派を孤立させなければならないし、あらゆるファナティックなグループとのつながりを終わらせ、宗教的ファナティック派のあらゆる形態を支援してはならない。

ファルーク・タリク
アワミ労働者党書記長

【報告】イスラエルはパレスチナを殺すな!10.23緊急行動

P105055210月23日、2014年のイスラエルによるガザ攻撃への抗議行動を何度かオルガナイズした有志の呼びかけで、「イスラエルはパレスチナを殺すな!緊急行動」がイスラエル大使館近くで行われ30人が参加した。

現在、イスラエルとパレスチナは緊迫の度合いを深めている。イスラエルは昨年夏のガザ攻撃「停止」の直後から主に東エルサレムからヨルダン川西岸地区にかけて、パレスチナ住民の追い出しと家屋破壊による入植地拡大を強行している。とりわけ、イスラエル政府は、この9月にイスラム教の「犠牲祭」に合わせて東エルサレムに通じる主要な幹線道路をコンクリートブロックで封鎖するなど、エルサレムの最終的な完全支配を目論んでいる。

このイスラエルの目論見と攻撃に対して、パレスチナ側も若者たちを中心とした抗議・抵抗運動が拡大し、現在「第三次インティファーダ」あるいは「エルサレムのインティファーダ」と言われるような情勢に入っている。この抵抗運動に対して、イスラエルは軍と警察、そして武装した入植者民兵による過酷な鎮圧作戦を繰り広げ、すでにこの日行動が行われた23日までに50人以上が殺害され、その犠牲者の多くが十代から二十代の若者・少年少女だ。

この情勢に際して、すでにパリやロンドン、アメリカ各地でイスラエルへの抗議行動が新たに広がりつつある。この日の行動は、そうした世界的パレスチナ連帯行動の一環として行おうと呼びかけられた。

最初に、例によってイスラエル大使館の百m手前で抗議団を阻止して妨害する警視庁機動隊・公安警察に参加者全体で抗議し、呼びかけた一人である栗原さんから状況説明と「パレスチナ占領やめろ」「イスラエルはエルサレムから退去しろ」「これ以上パレスチナの人々を殺すな」とシュプレヒコールを上げた。参加者にマイクを回してのアピールはイスラエルの占領支配への抗議とともに、このかんイスラエルとの関係強化と武器輸出・共同開発を進める安倍政権の姿勢を糾弾する発言が続いた。

また、10月20日にネタニヤフ首相によってなされた「ホロコーストはパレスチナ人宗教者がヒトラーに進言したから起こった」というとんでもない歴史歪曲発言に対しても、事実を挙げながら抗議し、「撤回してパレスチナの人々に謝罪しろ」とシュプレヒコールを上げてイスラエル大使館への申し入れ文でも触れている。

この日の行動は「イスラエルによる暴力と虐殺、入植地拡大政策が続くようなら私たちも執拗に声を上げよう」と確認して、解散した。

(F)

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イスラエル政府への申し入れ書

イスラエル国大統領:ルーベン・リブリン 殿
イスラエル国首相:ベンヤミン・ネタニヤフ 殿

2015年10月23日

2014ガザ攻撃抗議有志

主に東エルサレムからヨルダン川西岸地区で現在起きているイスラエル軍・警察・武装した入植者とパレスチナ人住民の「衝突」に関して、私たちは以下のように認識し、イスラエル政府に求めるものである。

1, 昨今のイスラエル軍・警察・武装した入植者とパレスチナ人住民の「衝突」の根本的な原因は、イスラエル政府によるエルサレム不法占拠の東エルサレム地域への更なる拡大、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ住民の暴力的追い出しと土地強奪と一体の入植地拡大、このイスラエル側による暴力に対するパレスチナ住民の正当な抗議行動へのイスラエル側の過剰な暴力的鎮圧政策にあると考える。

とりわけ、この10月だけでも子ども11人を含む50人以上のパレスチナ住民が、イスラエル軍・警察・シオニスト入植者の攻撃によって殺害されている(パレスチナ自治政府保健省発表)。
私たちは、イスラエル政府に軍・警察による暴力的鎮圧政策をただちに停止することを求める。

2, イスラエル政府は、パレスチナ住民を度重なる襲撃で殺傷している武装した入植者集団の暴力・テロ行為を適正に取り締まること。

3, イスラエル政府は、国際的にもほとんど承認されていないエルサレムの「首都化」を断念し、エルサレムから退去すること。
東エルサレムおよびヨルダン川西岸地区への入植地拡大と土地強奪による住民追い出し政策をただちに停止すること。

4, イスラエル政府は、ガザ地区の軍事的経済的包囲を解き、昨年のイスラエル軍による攻撃で破壊されたガザ地区の生活再建への援助を妨害しないこと。

5,イスラエル政府は 国連加盟国193ヶ国中、すでに135ヶ国が承認しているパレスチナ国家を承認し、二国間平和共存の道を選択すること。

6, シリアの戦乱によって、すでに3000人以上のパレスチナ難民が犠牲になっていると伝えられている。私たちはアサド政権軍や「イスラム国」の暴力を非難するとともに、この犠牲の根本的原因はイスラエル建国時から行われてきたパレスチナ住民の追い出しと占領政策にあると考える。

したがって、イスラエルはすべてのパレスチナ難民の帰還を認め、とりわけシリアで発生している難民となることを余儀なくされた人々を適正に保護すること。あるいは、責任をもって難民の生活再建のための支援を実行すること。

7, 10月20日にネタニヤフ首相による「パレスチナ人の宗教指導者が大量虐殺をヒトラーに進言したからホロコーストが起きた」という、とてつもない歴史歪曲発言を撤回し、とりわけパレスチナの人々に謝罪すること。

私たちは、以上のことを求めます。

【トルコでのクルド民族を狙ったテロについて】HDP(人民民主党)共同代表セラハッティン・デミルタシュの談話

無題(画像は10日にドイツ・ケルンで行われたテロへの抗議デモ)

トルコ・アンカラで行われた平和を求めるクルド人の集会をねらった爆弾テロで多くの死傷者が出ています。

クルド人が中心のHDP(人民民主党)共同代表のセラハッティン・デミルタシュの談話を送ります。






…………………

トルコ国家はマフィア、殺人部隊になった
http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article4251

 本日、平和のために集まっていたデモ参加者への大虐殺が起こった直後、人民民主党(HDP 六月の総選挙で大躍進し国会に進出したクルド人政党)のセラハッティン・デミルタシュ共同代表は、アンカラからイスタンブールに向かう前に記者団に対し、「爆弾攻撃は差し迫った休戦についての論議期間中に起こった」と語った。

 デミルタシュは「われわれは、マフィア、人殺し部隊という心性に取りつかれた国家に直面している」と述べた。(「インターナショナル・ビューポイント」編集部)



「救急車ではなく機動隊がやってきた」



 事件が起きた直後、警察は爆発の現場に催涙ガスを撃ち込んで襲撃し、救急車の接近を妨害したとデミルタシュは指摘し、トルコの首都の中心街で起きた殺人事件に動員されたのは救急車ではなく機動隊だった、と語った。

デミルタシュは述べる。「死者を増やす意思があったのは明らかだ。政府の代表と首相は、われわれの顔には『青臭い常識』が浮かび上がっているなどと言うだろうが、その一方、彼らの指揮下にある警察部隊は負傷した人びとに襲いかかったんだ。ディヤルバクル(訳注:トルコ南東部、クルド人居住区域の中心都市でクルド労働者党[PKK]の拠点都市)でやったように、人びとに催涙ガスで襲いかかるなんて、いったいどんな政府だ!」

「この虐殺を引き起こしたのがどんな爆弾だかわからないが、敵意に満ちたものであることは明らかだ。スルク、ディヤルバクルで使われたのと同様に、確実に多数の人びとを傷つける高性能爆弾が使用された。この虐殺の背後にいる勢力は、今回も明らかにならないだろう。ディヤルバクルやスルクの場合のように、この事件の背後にいる勢力は明白だからだ」。



「国家はマフィア、殺人部隊になった」



デミルタシュは問いを発した。「かくも強力な諜報組織を持っている国家が、この事件にはなんの情報も持ってないなどということがありうるだろうか」。彼は続けた。「こうした問いを発するには厳しい状況がある。われわれは、社会をとりこにしたいと思っているマフィア、人殺し、殺人部隊と化した国家的マインドに直面している。われわれは、迫害に屈服しない人びととともに、こうした日々を乗り越えなければならないだろう。しかしわれわれは法の範囲内で責任者の罪を問うだろう。われわれは、こうした事件をたんなる残忍な出来事として歴史に残すことを許しはしない。われわれは、こうしたやり方が永遠に続くことが絶対にないようにする」。



「われわれはどこでも、わが選挙綱領を取り消す」



 HDP(国民民主党)の共同代表は、同党がどこにおいても選挙綱領を取り消しにすると述べた。なぜなら何十人もの人びとが殺害されたような状況で、それを続けることはできないからだ。彼は、死傷者に手厚く配慮し、こうした攻撃に抵抗することをどこでも宣言すると述べた。「自由と平和は、選挙よりもはるかに大事なのだ」と彼は語った。



二〇一五年一〇月一〇日 アンカラ



(「インターナショナルビューポイント」サイトより)

【パキスタン:アワミ労働者党声明】ペシャワールの学校での大虐殺を糾弾する

taliban-attack-pakistan-6ペシャワールの学校での大虐殺を糾弾する
http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article3773



アワミ労働者党(AWP)は、ペシャワールでのジハーディスト(聖戦派)武装集団の攻撃による、なんの罪もない生徒たちへの愚かで無慈悲な虐殺を強く非難する。



今朝、宗教的過激派がペシャワールの学校を占拠し、一三二人の生徒たちをふくむ一四一人が殺された

戦闘的イスラム主義のジェノサイド的・千年王国的イデオロギーが煽りたてた、この非人間的行為によって殺された罪のない人びとの両親や家族に、AWPは深い哀悼の意を表明する。

パキスタン国家と軍部が何十年にもわたり、政治(戦略的深みの域にまで達した誤った政治を含めて)の道具としてジハードを支援してきたことが、現在この国を襲っているイスラム主義テロリストの残忍な脅威に直接の責任があるという立場を、AWPは再確認するものである。

 

ジハード主義集団を創設し、支援してきたことは別にしても、国家と軍部が数十年間にわたり(帝国主義諸国の財政的・政治的支援を受けて)、その戦略的利益を保護するという目的のために保守的イスラム主義イデオロギーを幾百万もの人びとに吹き込んできたことが、今やわが国の無実の人びとを殺害するファシスト的暴力をもたらしたのである。

 

さらにAWPは、自らの狭い政治的利益のためにこうしたジハード集団との連携を維持し、ファシスト的ジハード集団と同じ千年王国的イデオロギーに同意している政党は、この虐殺の共謀者だと判断する。

AWPは強く確信している。国家が「安全保障国家」のパラダイム(枠組み)を放棄し、ジハード主義グループを無遠慮かつ無差別に「戦略的資産」として支援することをやめないかぎり、こうした暴力は終わらないだろう。



アワミ労働者党は、パキスタンのすべての政治勢力に、この国を破壊・消耗させているイスラム主義ファシズムの明白な危険を認識し、あらゆる形のテロリズムへの国家による支援を一掃するために団結し、パキスタンの国家政策の道具として宗教を乱用することをやめさせるよう呼びかける・



ファルーク・タリク



アワミ労働者党書記長



2014年12月17日

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【パキスタン】ジハーディスト集団による学校襲撃事件

epaselect-pakistan-taliban-attack宗教的過激派グループ:形成途上にあるファシスト

http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article3776


ファルーク・タリク




それは、宗教的過激派集団が行ったどれよりも殺人的な襲撃だった。一〇歳から一七歳までの一三六人の子どもたちをふくむ一四六人が、ペシャワール陸軍小中学校で殺された。襲撃者たちは子どもたちにカルマ(訳注:仏教やヒンドゥーの経典)を暗誦するよう命じ、それから子どもたちに発砲した。それはムスリム過激派によるムスリムの子どもたちへの攻撃だった。



テフリーク・タリバン・パキスタン(パキスタンのタリバン運動)は、犯行声明を出し、この「作戦」に加わった七人の戦士が銃と爆弾を抱えている写真を送りつけた。それは、反撃に出た軍によって殺害された七人の死体の顔写真――かれらが致命的被害を引き起こす以前のものではなく――がネットに投稿されたことへの反応だった。


この犯罪を行った者たちは、自分たちは子どもを殺してはいないと主張した。一二歳以下の「敵」の子どもは殺すことは、かれらの「イスラム」の教えによって許されてはいない、というのだ。学校に在籍している子どもたち全体の約一一%が、かれらが学校を占拠してから一五分以内に殺害された。

校長の死体は判別不可能なまでに焼かれた。彼女(校長)の過ちは、攻撃の最中に子どもたちを導いて学校から脱出させようとしたことだった。子どもたちは整列するよう指示を受け、その後で撃たれた。敢えて逃げようとした者たちも追跡され、そして撃たれた。

こうした事態はパキスタン全国の子どもたちに恐るべき影響を与えている。一四歳になる私の息子は母親に、やつらが学校に来た時はどうすべきか質問した。「整列するの、それとも逃げるの」と。

この事件が起きた日、パキスタンと世界に衝撃が走った。罪のない子どもたちの殺害のニュースは、この日のメインの話題として世界中に速報された。それは大きな怒りと衝撃を与えた。

翌日の一二月一七日、パキスタンのすべての地域で自然発生的なゼネストが見られた。それはどの政党によっても呼びかけられたものではなかった。すべてのカネ持ちたちの政党の夢は、自分たち自身の狭い政治的利益のためにパキスタンを閉じ込めることができる位置に座ることである。道路での輸送が途絶え、ほとんどの店や施設が閉鎖されたこの日の状況は、最も成功したストの一つと言いうるものだった。それは、パキスタン全土が悲しみと怒りに閉ざされた二〇〇七年一二月のベナジール・ブット(訳注:元首相、パキスタン人民党[PPP]の指導者)殺害後の状況を思い起こさせるものだった。

パキスタンの大敵と呼ばれるインドのすべての学校で二分間の黙祷が行われ、インド議会はこの攻撃を非難する決議を採択した。

その日、議席を持つパキスタンのすべての政党の代表がペシャワールで会合し、過激派をどう扱うかに関して意見の変化もなく、具体的提案もないまま「共に活動する」ことに同意するという無駄な一日を過ごした。実際、かれらに何ができるというのか。

この会合にイムラン・カーンがいた。彼の党は、事件が起きたカイバル・パククントゥワ州(訳注:ペシャワールをふくむアフガニスタンとの国境地帯の州)の政権についている。また彼は、連邦政府を打倒するために国の別の場所で座り込みや集会を行う一方、自分たちの州の住民の生命守るという任務を完全に無視している。

イムラン・カーンの「良いタリバンと悪いタリバン」という哲学は、トライバル(部族)地域で「安全地帯」を建設している過激派には何の措置もとらない、という意味だ。良いタリバンも悪いタリバンも存在しない。かれらはすべて同じネオ・ファシズム家族の中にいる。

政権党であるムスリム連盟は、長期にわたって宗教的過激派とコンタクトを取っており、二〇一三年の総選挙で勝利するためにかれらを利用した。過激派はPMLN(ムスリム連盟ナワーズ・シャリフ派)、PTI(パキスタン正義運動)など、ほとんどの野党に対して自爆攻撃を行い、かれら野党が効果的な選挙運動を行うのを妨害している。

この会合にはジャミアート・イスラムもいた。同組織の前党首は死んだタリバンをシャヒード(殉教者)、過激派に殺された軍人をたんなる「死者」と宣言している。この会議にはジャミアート・ウラマー・イスラムも出席していた。この党は宗教的過激派の一派の政治部門として知られている。さらに幾つかの別の政党もいた。かれらは狭い政治的利益のために宗教的過激派との定期的接触、連携を維持し、同じジハード(聖戦)派の千年王国イデオロギーを支持している。

この会議は、国家の治安政策を定式化する委員会を一週間以内につくることに同意した。まるで一週間のうちに、どんな魔法の定式でも考えつくことができるかのようだ。

パキスタン国家は、宗教的原理主義の高揚を抑え込むことに悲劇的なまでに失敗した。かれらのソフトスポット(特別に有利な場所)はつねに存在している。長い間、かれらは国家によって治安の第二線として支援されてきた。インドの敵意を意味する安全保障パラダイムは、国家による保護の中核的目的だった。イスラム化のプロセスは、アメリカ帝国主義に全面的に支援されたジアウル・ハク軍事独裁によって促進された

ジハード集団の創設と支援を別にして、国家と軍部は帝国主義諸国の数十年間におよぶ財政的・政治的支援を受けて、その戦略的利益を守るために、幾百万人もの人びとに保守的イスラムのイデオロギーを吹き込んだ。

一九八〇年以後の三〇年は、マドラサ(イスラムの宗教学校)の時代として見られており、現在二万以上のマドラサが自爆攻撃の要員を募るホームグラウンドを提供している。主にサウジアラビア、そして数百万人のムスリム移民に支援されたマドラサは、通例の学校制度へのオルタナティブとなった。パキスタンやそれ以外の場所で行われているテロリスト活動のほとんどは、こうしたマドラサの組織的・政治的支援と結びついたものである。

九・一一(二〇〇一年)の後、国家と原理主義者の密接な関係はある程度変化したが、実際のところ崩れ去ったわけではなかった。禁止されたテロリスト集団は名前を変え、定期的な基盤で活動を実行した。かれらは会合を行い、公的集会を開催し、資金を集め、国家からのいかなる介入も受けずに文書を発行した。

パキスタンは保守的になり、いっそうイスラム的で右翼的になり、その結果、極端な「イスラム主義」の思想がはびこることとなった。個人的・イデオロギー的問題に片をつけるために冒涜禁止法がしばしば使われた。宗教的少数派、女性と子どもたちは、容易にターゲットになった。こうしたソフトなターゲットは、この決定的な右翼転換によって最大の代価を支払うことになった。

宗教的原理主義の勃興は、進歩的勢力のみにとどまらず、現代社会の基礎そのものにとっても最も深刻な挑戦として現れた。教育と医療・保健活動は、過激派の現実的ターゲットになった。

おもに女性であるポリオ対策(訳注:ワクチン配布など)の労働者が、過激派によって殺された。ポリオ根絶のために行動しているチームが、オサマ・ビンラディンの発見、そして彼の殺害に導いたという憶測にもとづいてである。その最終結果は、世界保健機構(WTO)がポリオワクチン証明書を持たないパキスタン人に外国渡航禁止を勧告する、という事態になってしまった。

パンジャブ州とカイバル・パククントゥワ州の小・中学校教育は、宗教の名において、より非科学的でジハードを支持する考え方の余地を与えられるように修正された。ほとんどの学校教育では、戦争をうながすような哲学がばらまかれている。

宗教的過激派グループは、新版のファシズムである。かれらは形成途上のファシストだ。かれらはファシズムの歴史的特徴のすべてを身につけている。かれらは反対勢力をひとまとめにして殺害する。かれらは中流階級、とりわけ教育を受けた層の中にかなりの活動スペースを有している。かれらは労働組合や社会運動に敵対している。かれらは女性が男性より劣っていると主張し、女性を家庭にとどめようとしている。宗教的少数派への攻撃が行動の規準になった。

宗教的過激派集団は国際主義者である。かれらはイスラムの世界を望んでいる。かれらは民主主義に反対し、統治の方法としてカリフ制(王制)を奨励している。「イスラム国」やタリバンという形をとったかれらは、最近の歴史のなかで最も反文明的な勢力である。かれらのイデオロギーには進歩的なものは何一つとしてない。かれらは反帝国主義ではなく、反米・反西洋である。かれらは、自爆攻撃、爆弾破裂、大量殺害、無差別銃撃という形で最も残忍なテロリスト活動を作り出し、それを遂行している。

かれらに反撃しなければならない。「テロとの戦い」という形をとった米国式の反撃の仕方は、無残な失敗に終わった。占領、戦争、民主主義的オルタナティブ創造のすべてにおける米国のイニシアティブにもかかわらず、宗教的原理主義者は、より一層の力をもって成長した。

アフガニスタン占領にもかかわらず、原理主義者は、「九・一一」の時よりも強力になっている。

包括的対策パッケージが必要である。国家は、ファナティック集団とのあらゆるつながりを断たなければならない。宗教的原理主義は「われわれ自身の兄弟、ヒンズーの奴らに対するわれわれ治安の前線であり保障だ。一部は悪だが一部は善だ」などといった考え方は、変えなければならない。陰謀論は、宗教右派の間で最も好まれている主張である。かれらは現実に向き合うことを望んでいない。

宗教的原理主義を終わらせる近道はない。軍事的解決の道もない。ほとんどのムスリム諸国で教育、保健、労働の現実における劇的なまでの改革を伴う政治的闘争が行われなければならない。マドラサの国有化を皮切りに、原理主義に対決する最も効果的方法として無料の教育、医療、交通を提供し続けなければならない。

右翼的思想が極右イデオロギーを促進する。社会運動と結びついた労働組合という形をとった大衆的な労働者階級のオルタナティブが、宗教的原理主義と対決する最も効果的な方法なのである。

(「インターナショナルビューポイント」二〇一四年一二月号)


★ファルーク·タリクは既存3党派の統一により2012年に結成されたアワミ労働者党の書記長。彼は、以前はパキスタン労働党のスポークスパーソンだった。

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【対「イスラム国」】クルディスタン-コバニ戦争の結果―これまでのところ

imagesクルディスタン-コバニ戦争の結果―これまでのところ

アフメド・ディクル
http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article3672

ISISの攻撃を撃退している

コバニ戦争は過去一カ月続いてきた(一〇月二一日現在:訳者)。九月一五日に始まった攻撃は、当初の計画に従えば、まず周辺の村々、次いで町の中心に対して、九月二〇日までには終わるはずだった。

 トルコ国家の将校たちもまた、この計画に沿って偶発事件をいくつか起こし、二〇日までにコバニの四〇万人がウルファにやって来るものと期待した。このようにしてトルコは、コバニに向けて、それが陥落した後にその砲火を開く最初の国になると思われた。

 この計画が崩れたとき、ある者たちはあらためて書き直された計画の中で、コバニのモスクで間近の祭事を祝うことなどを話していた。ある者たちはまた、決して具体化することのなかった予想シナリオの類の一面見出しを書き飛ばすことを抑えることができなかったほどに、この計画にのめり込んでいた。エルドアンはこの時期、自身をもはや抑えることができず、コバニは陥落の瀬戸際だなどと公言することで、彼の感情を赤裸々に漏らした。

 しかしながらコバニは決して陥落しなかった。それは抵抗した。そして今現在抵抗を続けている。この抵抗は今、クルド人たちと中東のみならず、全世界の主要なテーブル上の課題となっている。


YPGは有利な市街戦を展開

ISISによる九月一五日の攻撃は、ISISがモスルを占領し、ラッカのシリア軍基地を攻略した後では、ある種予想された展開だった。YPG(シリアクルド人の政治勢力、クルド民族防衛グループ)は彼らがもつ手段の枠内でそれに対する準備を行った。攻撃が始まった時YPGは、コバニ周辺の村々から人びとを立ち退かせた。そのうちの何人かはコバニに連れてこられ、残りは、彼らの居住地に近いスルクに入るため国境を越えた。この何万人という人びとの立ち退き作戦は、成功だった。YPGは計画された攻撃の規模が分かっていた。そして大虐殺を防ぐためにこうした用心をしたのだ。

地理的諸条件とISISがもつ武器の圧倒的優位性は、YPGが防衛線を狭めなければならない、ということを意味した。そうやることでYPGは、自身をより良好に配置することができた。最後の段階は市街戦だった。それゆえ主要な準備はこれに向けられた。ISISはこれをある種の弱さと信じ、彼らが達成した砂漠での前進が今回に向けても成功を示すと考えた。これこそ、エルドアン、何人かの米軍高官、また評論家が「コバニは陥落間際」との主張を行った理由だ。

しかしながら、ISISとの本物の戦闘は町の縁で始まった。ISISは彼ら自身の通り道を開くために、一定の距離を置いて迫撃砲を撃ち込んだ。これが、町の外縁部にある居住域に彼らが入り込むことができた方法だ。かれらは、YPG/YPJの戦闘員による待ち伏せ攻撃の結果として、数百人の戦闘員を失った。四日間にわたってISISは、どのような意味でもまったく前進ができなかった。彼らの攻撃は多くが撃退された。

今やISISは、YPGの陣地に対する自動車爆弾の使用を試みている。これらの自動車は気付かれ一定の距離から破壊されてきた。しかしこれらの爆発が作り出した破壊の中で、ISISの戦闘員たちは僅かながらの前進をすることができている。しかしながら市街戦においては、町を知っている者が有利となる。そして現在の市街戦の中で、YPGはコバニを、ISISにとってのバミューダ―トライアングル(船が迷子になる魔海を指す:訳者)に変えてしまった。

戦闘の展開を変えているもう一つの要素は、頻度を増す有志連合の空爆だ。過去二、三日、空爆は非常に効果を発揮した。空爆はISISの重火器に向けられた。しかし彼らの補給路が有効に標的となっていなかったが故に、現時点ではまだ、彼らは補充を受けることができている。何人かのYPG司令官にしたがえば、有志連合が空爆を現在の頻度ではじめから行っていたならば、ISISは、コバニに達することさえできなかっただろう。このことは、有志連合が制御された戦力の逐次投入作戦にしたがっている、ということを意味している。

有志連合の空爆の目標座標は、コバニから提供され続けている。しかし、提供された座標すべてが今なお目標になっているわけではない。このことは言われる必要がある。このことは、「救済者」となりたいという有志連合の切望の一部として読まれつつある。

他方でISISは、空爆の効果を下げる目的で、市内あちこちに自身を拡散させようと試みつつある。地上での陣地が互いに混在するならば、空爆の遂行はもっと困難となるだろう。

YPGは、コバニでISISを生き長らえさせるつもりはないと語ることによって、あらゆる者たちを驚かせている。彼らは「コバニはモスルではない」と語っている。われわれは、彼らの土地で生きるためにそのいのちを犠牲にする何千という人びとについて語っている。これこそが、太陽が明日昇らないと言うと同じほどにISISのコバニ奪取があり得ない理由だ。

 

クルド人に開かれ始めた国際的側面

コバニの抵抗は、報道において、国際社会と外交において、クルド人たちにとっての重大な成果に向け扉を開くことになった。以前にはクルド人のことなど聞いたことのなかった人びとが、今やコバニを知っている。この抵抗は、「クルド自由運動」と「女性解放運動」を世界に導き入れた。それはさらに、クルドの代表者たちのために、重要な外交の扉を開くことにもなった。多くの重要な諸会合が、世界の重要な諸勢力と共に開催された。これらの成果は、この地域における諸クルドの地位を打ち固めるだろう。

pkk民族統一の気運が固まりつつある

コバニの抵抗は、ハラバジャとシンジャルの虐殺がもたらしたことと同じ筋道で、クルド人の統一を大きく打ち固めることになった。それは、大きな精神的、政治的相乗効果をもたらした。この土台の上で、まずKCKの一代表団が南クルディスタンの諸政党との会合に出向き、次いで南の諸政党が各自の中で集まり、ロジャヴァの諸政党がそこに合流した。クルドの政治的人物すべては、民族統一の路線を取り入れるよう強いられた。なぜならば、この路線を取り入れない者たちはクルドの民衆によって地獄に落とされるだろう、ということが最終的に理解されたからだ。

再考をせまられるトルコ政府

ISISの攻撃が進行している中で、トルコはサリー・ムスリム(クルド民主統一党、PYDの指導者)をトルコに招待した。しかしながらこのイニシアチブは、遅延戦術以上には先に進まなかった。「われわれはあらゆる方法で君たちを支援するだろう。必要なら、われわれもまたISISに攻撃を加えるだろう。まず安心し給え」、おそらくはコバニでの抵抗の熱意を冷やす目的で、トルコはこの類の約束を行った。クルド人たちはこのことに気付いていた。そして彼らはトルコに向けた扉を閉ざさなかったとはいえ、彼ら自身の用心を怠らなかった。もっと印象的ですらあったことは、クルドに向けられたトルコの敵意、またそれがトルコ国家の諸政策をどれほど規定しているかが今や公然となった、という事実だ。

トルコの立場は諸クルド勢力を強いて、情勢をあらためて分析させた。この再分析はいわば政治行動としてだけではなく、クルド人すべての精神と魂の中に起きたものでもあった。「トルコ―クルド関係はどのように進むべきか? この敵意は一体なぜなのか?」は、今度々問いかけられている疑問のいくつかにすぎない。

おそらくトルコは、クルド人がそうする以前に、これらの問題を考え続ける必要がある。これらの問題への解答がはっきりさせられることになる一つの場は、疑いなくイムラリ島だ。そこでは、クルド民衆の指導者であるアブドゥッラー・オカラン(クルド労働者党の最高指導者)との間で何回もの会談が続いている。コバニに向けた、またその情勢に対するトルコの政策と操作は、イムラリ島での会談と対話の将来を決めるだろう。

結論としてわれわれは、戦争のど真ん中にいる。戦争においては天秤は度々傾き得る。しかしながら短期的には、ISISは徐々に、コバニの市街地から、またコバニ周辺の村々から取り除かれるだろう。この進展の結果として、われわれは、テル・アビヤドから西まで、シリリンから南まで、ジャラブラスとアザッツから西まで、ISISは取り除かれるだろうと言うことができる。この突撃は、この地域の未来を決めるだけではなく、あらゆるクルド人とクルディスタンの運命にも形を与えるだろう。

人道のためのこの闘争を支援している人びとは勝利するだろう。「偏らない」との想定の下に誤った方に身を置いた人びとは、暗黒勢力と共に溺死するだろう。歴史はこれを書きとどめ、われわれはこの歴史をしっかりと見ることになるだろう。(一〇月二一日)

▼筆者はクルド人ジャーナリストであると共にTV制作者。(「インターナショナルビューポイント」二〇一四年一〇月号)

【対「イスラム国」】イスラエルの活動家:ミシェル・ワルシャウスキーの論評

michel%20warschawski_0イスラエル、オルタナティブ情報センターのミシェル・ワルシャウスキが書いた「イスラム国」についての短評です。

米国と闘っているという理由で「イスラム国」を味方だと考える欧州の左派の一部の論調を、厳しく批判しています。



………………

「ダーイシュ」(イスラム国)―「ゴーレム」はその製造者に逆襲する

ミシェル・ワルシャウスキー

http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article3663


「ゴーレムは、それを作り出した者に逆襲する」。米国は再びこの古いユダヤの物語(訳注:ゴーレムと名づけられた人造人間が、その創造者である人間に反逆するという物語)の現実性を経験している。ソ連邦の影響力に終止符を打つことに望みを抱いてアフガニスタンで最も原理主義的なムスリムを支持したことが、数年後にはアルカイダとその不透明なインターナショナルに対する全面戦争になったのであり、結果は勝利とはほど遠いものになった。その背景にあるのは、つねに間違いなのだが、「私の敵の敵は私の友だ」、という考え方だ。一九三〇年代にさかのぼれば、「民主的」諸国は、ヒトラーが共産主義という危険に対する同盟者になりうると考えた。しかし、私たちは知っている。そんなことにはならなかった……。

イスラエルもまた一九八〇年代に、こうしたゲームをもてあそんだ。民族主義のPLOに対してイスラム主義のハマスの成長を促したのだ。その結果何が起きたか、われわれは知っている。現在、米国とその同盟者が同じ経験をしているのは「ダーイシュ」(IS、ISIS、あるいはISIL)に対してである。このアルカイダの副産物は、ペンタゴンの戦略とCIAの専門家を驚かせた重要性を身につけており、ほぼ一世紀前、オスマン帝国が「欧州の病人」になった時に、サイクス氏とピコ氏によって作り出された中東の枠組み(訳注:サイクス・ピコ協定。第一次大戦中の一九一六年にイギリスのサイクスとフランスのピコによって取りきめられたフランスとイギリスによるオスマン・トルコ帝国の領土分割協定)を破壊するおそれがある。

次のような強調が重要だ。中東における米国の巨大な同盟者であるサウジアラビアは、中東でのイランの影響力の拡大に対決する戦争の中で、アルカイダ、そして間接的に「ダーイシュ(イスラム国)」を作り上げたのだ。そのラディカルな原理主義的ワッハーブ派イスラムは、この運動のイデオロギー的学校だった。いまやゴーレムは、その製造者に逆襲している。

私は、最近欧州の最左派の間で、ダーイシュを支持する表明を聞いた。またも、私の敵(米国)の敵は、おそらく私の味方だというのだ。深刻な誤りだ。かれらが米国とその同盟者に対して闘っているとしても、「ダーイシュ」には進歩的要素などない。それは死と破壊の種をまくだけではなく、おおやけにかつあからさまに公共的自由、女性の権利、マイノリティーの権利の無視などをもたらす、最も頑迷に解釈されたイスラム体制を強制する文明破壊の侵略なのである。

政治的戦闘は、一方のチームが好きでなければ、他方のチームを応援しなければならないというサッカーの試合ではない。どっちも一方に比べてましではないという災難に向かいあう場合もある。

米国は中東での汚い戦争をやめ、国際社会はイスラエルの植民地政策を飾りつけるのをやめ、「ダーイシュ」はムスリム世界で持っていた一定の層からの民衆的支持を失う。それは簡単な話だ。

(「クーリエ・ド・ジュネーブ」2014年10月号。「インターナショナル・ビューポイント」一〇月号サイトより)。

 

◆ミシェル・ワルシャウスキー

ミシェル・ワルシャウスキー(1949- )は、イスラエル在住のユダヤ人ジャーナリスト、反シオニズム活動家、「イスラエル革命的共産主義者同盟」のメンバー、ノンフィクション作家。元イスラエル社会主義機構(通称マツペン)構成員。1984年創設のNGO「オルタナティヴ・インフォメーションセンター」(AIC)創設者。

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【対「イスラム国」】コバニとの連帯:緊急の課題

BzYbqkgCEAQlL-5(ISISの侵攻に備えて武装したコバネの女性たち)

 

【シリア-クルディスタン】

コバニとの連帯:緊急の課題

サラー・パーカー(英ソーシャリスト・レジスタンス)




ISISの部隊はコバニに侵入している



コバニ(訳注:シリア・トルコ国境地帯のシリア側、クルド人が多く住む都市)の情勢は時間を追って厳しくなっている。市街の外と周辺部でのクルドの町の守備隊とISIS(イスラム国)部隊との恐ろしい戦闘が展開されている。抵抗者たちはトルコ軍が保持している国境をめぐって争っており、クルド人指導部は幾百万人ものクルド人同胞に、トルコから国境地帯に向かうよう呼びかけている。クルド人は全欧州に向かって抗議している。

ネット上で人びとはコバニの陥落を予想し続けている――もちろんコバニは早晩、陥落するかもしれない。しかしレジスタンス勢力はこれまでのところ驚くべき闘いを展開している。そこでは数千人の戦士が戦っており、それに加えて残った全住民たちがこの闘いに動員されている。かれらは街路から街路へと移動する闘いを準備しており、ISISが彼らを発見するのは、たやすいことではない。

したがってわれわれにとってきわめて重要なことは、コバニの陥落を既定の結論として取り扱うのではなく、抗議活動を継続しコバニ防衛部隊への武器を要求し続けることだ。トルコを抑制するために、もっと多くの抗議活動、もっと多くの圧力を連合諸国にかけ、コバニへの効果的軍事援助を準備させることだ。その闘いが長く続くほど、より多くの人びとがクルド人を支持するようになり、連合国のトルコへの寛大な振る舞いがどれほど嫌悪感を催すようなものであるかを理解させ、コバニが結局のところどうなろうとも、連合諸国が支払う代価は高くつくことになるだろう。

トルコのダウトオール外相は、コバニの陥落を望んではいないと述べたが、しかし陥落を押しとどめるためにトルコやその同盟諸国はなにもしていない。事実はそれとは逆だ。トルコはますますまぎれもなくISISを支持しており、新しい武器を流し、トルコの病院で負傷兵を治療している。

Bzf-6E0CEAAdhIK幾百万もの人びとが戦闘をTVで観ている。ホットバード衛星テレビを持っている人びとは、その戦闘を観ることができる。恐るべき虐殺があったなら、それは連合諸国が容認したからだ、なぜならかれら連合諸国は独立を望んでいる人びとに敵対しているトルコを政治的に支持しているから、ということを知るだろう。

六カ月前にはコバニという町のことなど誰も知らなかった。しかし今や世界の半数は、ISISに対して闘うコバニを支えるために連合諸国が何もしていないことを見ている。クルド人もそれ以外の人びとも、この事実を忘れないだろう。ホットバードがなくても、クルドのTVウエブサイト――グーグル・メド・ニュース、スターク、ロナヒ、ニューロズ――で観ることができる。BBCとアルジャジーラは、かりに外国通信員がその場にいなくとも、その現場にいるクルド語のチャンネルでライブ放送や映像を観ることができる。

あなたがそうしているように、人びとはクルド人のデモに参加し、可能な限り国会議員や自治体議員に手紙を書くべきである。コバニには幾千人もの住民がおり、もしこの町が陥落すれば、トルコもまた少し退却するということではすまなくなり、トルコ国内の国境から遠く離れてはいない場所にいる避難民や難民の中で、ISISに好き勝手な振る舞いをさせるようなことになる。それが彼らにとって都合がよければトルコ軍の行動はすべて正当化される。

今日のニュースではPYD(クルド民主統一党)のリーダー、サリハ・ムスリムがアンカラで治安当局と会談し、クルドの戦士と武器をコバニに届けるためにトルコが国境を開放することを要求した。これはとても良い動きだ。トルコと連合諸国、そして南クルディスタンのペシュメルガ(クルド人民兵組織)が、現場に投入されることになるからだ。おそらく彼はPKK(クルド労働党)、KDP(クルド民主党)、PUK(クルディスタン愛国者同盟)が国境を通過するのを認めるように求めたのだろう。PKKについてトルコが認めると考えるのは難しいが、KDPとPUKについては人員を送れるが治安状態のために不可能、と弱々しく語ることになるのだろう。

それは彼らがカネを私物化するチャンスであり、KDPにとってはシャンガル(シンジャール、イラク北部ニーナワー県の都市)とモスル平野の人びとに自分たちが保護すると語りながら、後になって見捨ててISISに引き渡してしまったという不面目を取り戻す機会でもある。

最後に、もしコバニが陥落すればISISはシリアとイラクのより多くの土地を手に入れる自由を拡大するだろう。そしてシリアのアサド政権がアレッポの再掌握をほしいままにすることは疑いない。(英ソーシャリスト・レジスタンス 一〇月六日)

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【「イスラム国」情勢】われわれは、なぜ、どのようにしてISISに反対すべきなのか(英ソーシャリスト・レジスタンス)

BzhYX6GCQAA6Jcd(10月9日にロンドンで行われた行われたクルド連帯デモ)


われわれは、なぜ、どのようにしてISISに反対すべきなのか


2014年10月2日

ソーシャリスト・レジスタンス


http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article3647

●われわれは、なぜISISに反対すべきなのか



ISISはシリアとイラクの主要な地域、そしてクルディスタンの重要な部分を支配し、あるいはその支配圏をめぐって争っており、レバノンに侵入した(ベッカー高原のエルサルで)。

かれらはモスル、ならびにかれらが支配するあらゆるところでテロ支配を行い、その途上でかれらの女性蔑視のワッハーブ派イデオロギーに従わない人びとを処刑し、大規模な虐殺を遂行している(シーア派やクルド人に対して)。

かれらは諸勢力や同盟者の輪でバグダッドを包囲している。バグダッドをめぐる闘いはすさまじいものとなる。

かれらは若い女性を誘拐し、その女性たちを極度の虐待、拷問、性的暴力、奴隷的体制の下に従わせている。誘拐された女性たちは、家族に電話し、何が起きているかを語るよう強制され、彼女たち自身と家族をさらなる屈辱、恐怖、悲痛に追いやることまでしている。一部は奴隷として売り払われる。

かれらは、デリゾール(シリア北東部の都市)やシリア第二の都市アレッポとその周囲でシリア反対派諸勢力と闘って解体した。アレッポはISISによって陥落させられる危機に直面しているようだ。

ISISは、すでに二年にわたって、シリアのコバニのクルド人多数派地域を包囲してきた。

九月一五日以来、ISISはシリアにおける三つのクルド人自治地域の一つであるコバニに対して、三方向からこれまでで最大規模の攻撃を行ってきた。四番目の側面は、部分的にトルコ軍がカバーしている。かれらはヤズィーディー教(訳注:クルド人の民族宗教)信徒のクルド人は数百、あるいは数千の規模で虐殺し、生き残った人びとをかれらの昔からの故郷であるシンジャル(イラク北部)から追放している。一部の村落で戦闘が続いており、少なくとも三〇〇〇人の女性が行方不明になっている。

かれらはすべてのキリスト教徒、アッシリア人(訳注:イラク北部の少数民族、キリスト教徒)、トルクメン人(訳注:イラク国内の少数派トルクメン人はシーア派イスラム教徒)をニネベ平野(モスル近く)から追い出した。米国によって形成された「連合」は、モスルを取り戻すクルド人ペシュメルガ(イラク・クルド人の民兵組織)の計画に関与しているようである。これまでのところ一部の村落が取り戻された。

かれらは財政的・政治/宗教的支援を、少なくともサウジアラビア、カタール、トルコから引き出しており、そのすべてが「有志連合」(米国が主導してISISへの軍事攻撃に参加した諸国)に加盟している。「有志連合」は再びイラクで、そして新たにシリアで爆撃をし始めた。

かれらはトルコからますます公然たる軍事的支援を引き出している。トルコの意図は、コバニのクルド人勢力を粉砕するところにある。

かれらは、正確な数は未定だが相当数に達するイラク軍のシーア派信者を虐殺した。


かれらは、後退するイラク軍や、さらにおそらくモスルやシンジャル周辺で後退するKDP(クルド民主党)ペシュメルガ、この闘いに参加したシリア反対派から得た強力な米軍兵器の大武器庫を持っている。そしてかれらは捕獲した大量のシリア陸軍・空軍の武器を持っているに違いない。そのすべてが、イラクとシリアの多くの場所で民衆を攻撃するために使われているのだ。

かれらは米国人、米国系イスラエル人、英国人を処刑し、その死刑執行ビデオを送りつけた。

かれらは、ナイーブで怒りに満ち、そして心を乱されたムスリムの若者を、欧州からさらに世界中から引きつける極として行動している、

リビアやチェチェンで経験を積んだジハーディストがかれらの隊伍にいる、と評価されている。

かれらはFSA(自由シリア軍)の戦士たちを自らの隊伍に組み込むことによってFSAを解体した(その数は明らかではないが、現象としてこの事実は繰り返し報じられている)。

かれらの行動は大規模な「イスラム嫌悪症」を培養しており、それは西側のリーダーたちにとっては分裂の道具としてきわめて有効である。



●われわれはISISにいかに反対すべきか



われわれは、ISISの統治を拒否し、ISISに対して自らを守っており、その多くが民主主義、自決、社会的公正に信頼を置いている地域の人びとを支援することで、ISISに反対すべきである。地域の人びとが自己防衛に成功すればするほど、帝国主義からの独立を主張し、帝国主義による従属に抵抗し、ISISの存在を利用してイラクとシリアへの支配を再び主張する米国・英国・EUのプランを全般的に断ち切ることができるようになる。

われわれは、シリアで依然として機能しているFSA(自由シリア軍)内反対派グループ(「ソーシャリスト・レジスタンス=第四インターナショナル・ギリシャ支部」は、「シリア連帯運動」を通じて、すでにこのグループを支持している)、YPG(クルド民族防衛グループ)、女性組織をふくむイラクの反宗派的組織を支持する。全欧州と中東のクルド人組織は、大衆的デモ、占拠行動、ハンストを恒常的に行っている。ロンドンに本部があるRoj Women(訳注:クルド人・トルコ人女性の権利擁護組織)はクルディスタン、イラク、シリアの女性と連帯するキャンペーンを開始しており、われわれはこの運動を支持する。

医療支援での助力を望む人は、「ハンド・イン・ハンド・フォー・シリア」やHeiva Sor(クルド赤三日月社)を通じて行うことができる。

またわれわれは、ISISが外部――トルコ、カタール、サウジアラビア――から得ている直接的支援を暴露するために最大限の力を傾注すべきである。そして米英両国によるここ一〇年以上に及ぶ宗派主義強化政策――マリキ前政権を通じるものを含めて――や、民衆的勢力の武装化に失敗しながらシリアの極右勢力を力づけたかれら(米英)のやり口を指摘すべきである。これらすべてがISISの勃興を助けたのだ。

トルコは、北シリアの一部を彼らが支配し、ISISとともにやりたいことができる、クルド人のいない「緩衝地帯」にすることを望んでいる。われわれはこれについての米国の見解の正確なところは分からないのだが、米国がトルコとの国境の破壊は言うまでもなく、クルド人自治地域の創設を促しているようには思えない。もし米国が本当にコバニの住民を助けたいと思っていたのなら、トルコにもっと圧力をかけ、イラクのクルド自治政府に向けたとされる武器の一部をコバニに送っていただろう。しかしそんなことは起こらなかったのであり、その意図自身が疑わしい。



●有志連合の空爆



われわれは有志連合諸国の空爆に反対する。米国は、イラクとシリアの事態に再び介入するためにISISを口実に使っている。新しい地域的パワーが死亡や人災にかかわる問題で統制の利かない状況になるのが、もっと憂慮すべきことだ。こうしたことが起きていなかったとしても、われわれはバグダッド住民の宗派主義的殺害や、それ以外での地域における二〇〇三年の侵略以来となる恐怖の中での生活について聞かねばならないことになった。

ISISのようにつねに移動している勢力に対して空爆はきわめて有効というわけではない。すでに間違った場所で、間違った時間に行われた空爆で市民が殺されており、いかなる理由であれ、コバニ周辺に集結したISIS勢力を抑止するために空爆が使われることはなかった。

最近のシリアにおける空爆は、アルビール(訳注:イラク北部クルド人自治区の中心都市)の近くで数週間前に行われた空爆と同様に、一般的には認識済の米国の利益を守るためのものであった。つまりISISを弱体化させるためであって、地域の住民を支援するためではなかったのである。われわれはさらに次のことに注意すべきである。一部の非ISIS反対派グループの指導部がここ数日間ターゲットになっており、いくつかの場合、それは明らかにシリア政権によるものであった。

米国の情報によれば、九月二二~二三日の米軍の夜間爆撃で一七〇人のISISメンバーが殺害された。 米軍はおそらくISISの「首都」ラッカへの攻撃で、きわめて甚大なダメージを与えた。しかしラッカにはいまなお数千人の戦士が、あらゆる武器を保持したまま活動している。もちろん市民の被害も報じられている。したがってかれら(ISIS)のターゲットと、シリアの反対派勢力の残った部分は、コバニと同様、依然として強い圧力の下に置かれている。

われわれは、イラクとシリアでISISに反対している人びとに武器を支援すべきである。しかしわれわれは帝国主義者が進歩的勢力を武装させようとしないことを認識しており、それは進歩的勢力自身の資源と、連帯の力に依存しなければならないだろう。有志連合諸国のプロパガンダは、述べている。「爆撃以外の代案はない。しかしISISへのレジスタンスを武装させようとするのなら、このレジスタンス勢力は三年前に立ちあがったシリアの反対派勢力よりもはるかに強大である必要がある」。もしイラクとシリアの人びとが、ISISに対して自らを守る権利があるのなら、かれらは自分たちを守るのに必要な武器を手に入れるべきである。

八月に大がかりな声明を発表した後、米国主導の「有志連合」はイラク政府を通じて一部の装備品を送った。その多くはおそらく政治的理由で止め置かれ、限定された一部の量がKDP(クルド民主党)部隊に送られた。最近PUK(クルディスタン愛国者同盟)の情報では、自分たちが新しい重火器を全く見ていないと不満を述べている。シリアのYPG(クルド人の「人民防衛隊」)は、デンマーク政府が軍事装備を送ることを許容する投票を行ったデンマークの「赤と緑の同盟」の希望(参照:【対「イスラム国」】デンマーク「赤と緑の同盟」(RGA)の立場)に反して、いかなる武器も受け取っていない、と不満を述べた。

ISISとアサド政権の残忍な弾圧に対して自らを守ろうとする人びとは、武器を獲得すべきである。シリアが示したように、より進歩的で民主主義的勢力が彼ら自身の財力に依存しなければならない時に、外部の諸国は大量の武器を最も反動的な要素に与えているのだ。

われわれは空爆に反対する。かれら連合諸国は、この地域への西側帝国主義の支配を強化しようという意図を持っているのであって、ISISの手中で被害をこうむっている民衆を救おうとしていないからだ。さらに空爆は、つねに罪のない多くの局外者を殺す結果になるからだ。われわれは、ISISに反対して自らを守っているイラクとシリアの人びとを支援すべきである。ニュースを見ている西側の人びとの多くは、空爆で安心しているのではなく、ISISに対して自らを防衛している人びとへの支援を望んでいる。自らを守っているこの地域の人びとへの支援が、米国とその同盟国がふたたび戦争に向かうなかで、われわれが観ているイスラムフォビア(イスラム嫌悪症)の波を打ち負かすというのは、そのためである。(「インターナショナル・ビューポイント」一〇月号サイト)

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【「シリア革命的左翼運動」の声明】米国に指導された国際的連合の爆撃についての立場

1528755_594428210636707_107649569_n(画像はシリアでのISISへの抗議行動)

シリア革命的左翼運動の声明

米国に指導された国際的連合の爆撃についての立場


http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article3613

2014年9月23日

本日(九月二三日)、米軍機は「ダエシュ」(「イスラム国」としても知られている)、「ジャビハット・アル・ヌスラ」(アルカイダのシリア支部)、「アフラル・シャム」の拠点を爆撃した。幾つかの情報源によればこの爆撃は、地域レベルで反革命を主導しているアメリカ政府の同盟者であるアラブの反動的政権も加わった形で行われたものだ。

われわれはこの爆撃を歓迎するものではない。われわれはこうした反動的・ファシスト的勢力の登場以来、かれらに反対するよう呼びかけてきた。それは、かれらがシリア国民評議会やシリア革命・反対派勢力全国連合とつながったさまざまなリベラル反対派組織と異なり、民衆反乱に敵対しているからである。リベラル反対派勢力は、その愚かさと不道徳性ゆえにこの反動的・ファシスト勢力を、革命の構成要素と見なしていた。われわれはこの爆撃と帝国主義の軍事的介入に反対し、強く非難する。そして帝国主義の軍事的介入を歓迎するシリア国民評議会やシリア革命・反対派勢力全国連合のリベラル組織機関に反対する。

われわれはなぜ反対するのか。その理由は、この帝国主義の介入の目的が革命の渦中にあるシリアを支援するためではなく、現在進行中の民衆反乱がこの地域の諸国への帝国主義による支配を掘り崩してきた後に、その支配を復活させるためだからである。

「ダエシュ(イスラム国)」とジハーディスト(聖戦)勢力は、帝国主義の軍事介入、ならびに専制的政権の腐敗の産物である。

われわれは、シリア民衆の革命に反対して行動する敵の増殖に直面する中で、真に革命的な指導部によって導かれた意識的で組織的な大衆のみが革命に敵対する反動勢力を打ち倒し、権威主義体制を打ち倒し、さらに帝国主義の介入を打ち倒すことができると考える。



●ワシントンとその同盟国に反対

●モスクワとその同盟国に反対

●「ダエシュ(イスラム国)」反対、反革命勢力反対、権威主義体制反対

●あらゆる場所での労働者と被抑圧者の闘争の統一万歳

●すべての力と富を民衆へ



(「インターナショナルビューポイント」2014年9月号サイト)

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【対「イスラム国」】デンマーク「赤と緑の同盟」(RGA)の立場

Iraq_0(画像は8月のコペンハーゲンでのISISによる虐殺への抗議行動)

以下は、デンマークの「赤と緑の同盟」(RGA)が、「イスラム国」(ISIS)との闘いのために軍用機を派遣する決議に賛成したことについての文書。私たちは、このRGAの立場に総体として批判的な立場を取るものですが、ISISの暴虐・ジェノサイドを国際反戦運動が止めることができていない状況で、左翼がどのような方針を採るべきか、議論の一助として掲載します。

…………
デンマークの左翼は、武器・弾薬を積んだ軍用機をイラクに送る議会の決議になぜ賛成したのか

ボス・マイケル


2014年9月14日

 米国の指揮下でイラクに軍用機を派遣する国会決議にデンマークの社会主義者が賛成票を投じたのは、異例のことである。もっと異例のことは、革命的マルクス主義者を自認する私自身がこの決議に賛成票を投じたことだ。しかしこれはほんの数週間前に起きたことなのだ。

 「赤と緑の同盟」(RGA)の議会グループは他の政党とともに、イラク政府の要求に応えてイラクにハーキュリーズ機を派遣することに賛成投票した。この飛行機はISIS(イラクとシリアのイスラム国)と闘っているクルド人民兵に武器・弾薬を届けることになる。

 RGAの規約によれば、議会でのこうした投票には党指導部の承認が必要である。議会での投票の数日前に全面的な討論が行われた。それはまた、議会への提案の正確な文言が明らかになる前のことだった。

 全国指導部は決議ではなく、議員グループに対して一定の条件付きで賛成投票を認めることに賛成した。投票以前は、ほぼすべての全国指導部メンバーはある種の疑いを持っていたが、最終的にこの文書は賛成一四(私も含めて)、反対六、棄権・欠席五で採択された。

 この決定に対しては、多くの妥当な反対意見が提出された。最も基本的なものは、米国の指揮下での軍事行動を支持するという問題だった。

 米国政府と軍部は、米国の大企業と帝国主義の利益を防衛しているのであり、その両者とも狭い意味では資源、市場、利潤へのアクセスを手に入れようとしており、より一般的には地政学的支配を求めている。

 アメリカ帝国主義こそ、この地域の宗派的戦闘を引きおこした基本的原因である――それはかつてのイラク戦争がそうであり、特殊的にはアメリカ帝国主義こそ、ISISが存在していることへの責任の大きな部分を有しているのだ。米国の同盟国の一部はISISに資金提供しており、トルコは――ワシントンからのいかなる異議もなく――ISISがトルコの国境を行き来して作戦を行うのを許容している。

 そしてデンマークは、米国主導のアフガニスタン、イラク、リビアでの作戦に参加したという極めて苦い経験を、この地域で有している。

 RGA指導部と国会議員グループの誰もが、このことに留意している。しかし今回の軍用機派遣を認める決定は地域の情勢の具体的な分析に基づいたものだった。米帝国主義はISISを創り出し、かれらが一定の段階にまで成長するのを許容した。しかしかれらは大きく成長しすぎ、軍事的にあまりにも強大化し、米国の利害にとって危険な存在になった――まさにタリバンがそうであったように。したがって当面のところ米帝国主義は、ISISを止めようと望んでいる。

 革命的左翼もまた、人殺しで、宗派的で、きわめて反動的な勢力であるISISと闘い、それを阻止することを望んでいるという事実を補強するために、多くの議論が必要だと私は考えない。ISISの勝利は、シリアとイラクの一部で起こりえた社会的・民主的で女性の権利を促進する発展、あるいは反帝国主義的な発展を後退させることになるだろう。

 こうして、ISISと闘うという単純な課題において、帝国主義と社会主義者の間に一時的な利害の一致が現れる。われわれはクルド人への武器の提供を望んでおり、米帝国主義も、当面のところ、クルド人への武器提供を望んでいる。米国が指揮しているというたったそれだけの理由で武器提供を支持しないのは、ドイツ帝国主義が提供した封印列車でドイツ帝国を通ってロシア革命のただ中にあるロシアに行く旅路をレーニンが拒否したようなものだ――ある全国指導部メンバーはそのように語った。

 しかしわれわれとは全く違った意図を持った、そして地域の民衆に大きな害を与える、より広範な帝国主義の軍事作戦の一部となるというリスクを、われわれは冒してはいないのか。これは決定に反対する別の主張なのか。

デンマーク政府の方針への追認という事態を伴って、こうしたことが起こり得ることを誰も否定しない。しかし全国指導部の決議と一致した形で、わが国会議員団は以下のことを明らかにしている。

●デンマークのハーキュリーズ機は、ISISと闘う勢力に武器を届けるという目的以外に使用しない。

●この決議は、当該地域におけるデンマーク軍の別の活動を許容するものではない。

●何が起ころうとも、政府が二〇一五年一月以後も航空機の活動を延長しようとする時には新しい議会決議が必要である。

 この決議に反対する論議を考えれば、いったい誰がその武器を受け取ることになるのか、という疑いがある。少なくともRGAの誰も、この政府に武器を提供したいとは考えていない。しかし議会決議の公式文言では、イラク政府ならびにISISと闘っている他の勢力への行動を呼びかけている。

 全国指導部は、これが国際法と一致した決定であることが必要であると保証し、確認している――他の政府からの軍事的支援を受け取れるのは政府だけである。第二に、イラク政府は武器に欠乏しているわけではなく、東欧製の武器はかれらの役に立たない。第三に、イラク軍は実際のところISISとは全く闘っていない。

 さらに別の問題が残されている、最も進歩的なクルド人勢力であるトルコのPKK(クルド労働者党)とそのイラクでの仲間であるYPGが本当に武器を受け取るのか、あるいは地域のクルド人政府が武器を独占するのではないか、という疑問である。このクルド人政府は伝統的にPKK/YPGと衝突関係にあり、かれらが支配する地域で厳しい新自由主義政策を採用している、

 誰が、いかにして、この武器の大部分を現実に手に入れるのか、という問題には何の言及もない。しかしすべてのクルド人勢力は、ISISと闘う共同の軍事戦線を結成した。かれらが現実に武器を分け合っている証拠が存在しており、PKK/YPGは最も効果的な戦闘を遂行している。

 この問題に関連した反対意見と向き合い、かつ結果についての一〇〇%の保証がない中で、私と委員会の多数派は、国会議員が議会で賛成投票することを認める決議に賛成した。われわれの多くにとって賛成か反対かのバランスを決めたのは、社会主義者をふくむすべての進歩的クルド人勢力、そして当該地域ならびにデンマークのクルド人組織――幾人かのRGAのメンバーを含めて――が、たんに賛成票を投じるようアドバイスしただけではなく、決議に反対しないよう懇願したという事実にあった。かれらは、こうした決議がPKK/YPGに武器をもたらし、ISISとの闘いの強化だけではなく、地域の進歩的勢力を強化する上でも必要だと確信している。

 この決定を補足するものとして、RGAはISISへの軍事的・財政的供給を阻止する別のイニシアチブを取った。それはクルド民族の自決権のための闘いを大衆化し、また米国とEUのいわゆるテロリスト・リストからPKKを取り除くためである。デンマークの特殊な観点からすれば、全欧州のクルド人向けTV局は、最近禁止されるまでデンマークにあり、クルド人コミュニティーの一〇人が、警察の主張によれば資金を集めてPKKに送金したとして裁判にかけられている、という事情もある。

 米国の指揮下でデンマークの航空機によってPKK/YPGへの武器が輸送された時、政府当局にとってテロ組織に物資を供給したと説明することはむずかしくなるだろう。

(国境なき欧州連帯[ESSF]のサイトより)

「イスラム国」とアメリカの空爆について米左派の論評

無題今問題になっているISISと米国のイラク爆撃についての米国の同志の分析です。
…………

からまった帝国主義のクモの巣

デービッド・フィンケル

http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article3599

 帝国主義は、自ら解決できない危機を創り出す。これこそオバマ大統領が九月一〇日に行った演説が最終的に残したものである。それはシリア、イラクからアフガニスタンなどにつながる破局の連鎖なのである。米国が次の中東戦争に滑り落ちるなかで、今度こそ違ったものになると期待できる理由などあるのだろうか?

 テロリズムからエボラ出血熱にいたる、あらゆるグローバルな危機と闘う米国の「リーダーシップ」に関する、型にはまったたわごとはさておき――水責めの拷問、「異常な演出」、アフガニスタンやイエメンの結婚式パーティーを一掃する無人機爆撃、ガザへの連続的虐殺のためのイスラエルへのF16やヘルファイヤー・ミサイルの提供などでのわれわれの前衛的役割は知ったことではない――、オバマ大統領は少なくとも、イラクの石油収入で支払われる速やかで値段のかからない勝利というジョージ・W・ブッシュのウソを再利用してこなかった。オバマの演説は、敵を「弱体化させ、究極的に破滅させる」には時間とカネとリスクが伴うことを明らかにしている。

 

二〇一四年九月一〇日、オバマはイラクでの新たな米軍配備を発表した。

 オバマは、実際には一つの国名も名指しをしないまま、同盟諸国の広範な連合について語った。一五〇〇人ほどの米軍「顧問団と訓練員」の派遣という大統領の発表は、確かに婉曲な響きがする。しかし戦術的な意味では、彼が概括した限定的で特殊な目的は確かに達成可能である。しかしイラク、シリア、そして地域全体で次に何が起こるかは、巨大な戦略的空白状況を招くことになる。

 自称「イスラム国」なるものが、全体主義的でジェノサイド的存在であることは疑いない。しかしこの怪物は真空から生まれたものではなく、一部の頑迷な賢者がわれわれに信じ込ませたように七世紀のイスラムの教義から生じたわけでもない。それはむしろナチズムとマフィアの現代的混合である。そこではヒトラーを権力の座につけたドイツの強力な産業的基盤、あるいはコーザ・ノストラ(米国のマフィア)に無辜の非戦闘員の大虐殺を一般的には抑制させる社交儀礼を欠いているのだが。

 もともとの呼ばれ方からすれば「イラクとアル・シャムスのイスラム国」(ISIS)、そしてかつての「メソポタミアのアルカイダ」は、二〇〇三年の米国の侵略によるイラクの破壊の直接の産物であった。第一次大戦後のドイツに強制された屈辱と経済的破壊からナチスが登場したこととおおまかに類比すれば、アルカイダのイラク支部は、イラク国家と支配政党のバース党を解体し、スンニ派主導の軍を廃止し、それを破壊された国家の諸機関に真空状態で置き替えた、ジョージ・W・ブッシュ、ディック・チェイニー、ドナルド・ラムズフェルドの「偉大な」決定から生み出されたものだ。

 「産業的」スケールでの宗派間の殺害が続き、シーア派・スンニ派の混住地域は消滅し、イラクは内戦の中でほとんどメルトダウンしてしまった。そして米国の占領は惨害の中で泥沼にはまり込んでしまった。二〇〇六年から〇八年にかけて、米国はスンニ派の部族指導者にカネを出し、アルカイダに立ち向かわせて大きな成功を収めた。しかし資金が干上がる中で、ブッシュ、つづいてオバマの政権は、腐敗した宗派主義者のアル・マリキ政権に依存し、米国の戦闘部隊は不可避的に撤退した。ジャーナリストのロバート・フィスクは、米国の占領のきわめて初期に、先見の明ある言葉でこの物語を要約している。「米国はイラクから去らなければならない。米国はイラクから去るだろう。そして米国はイラクから去ることができない」。

 そうした中で、アラブの春が二〇一一年にもたらされ、シリアで民衆蜂起が起こり、アサド政権がそれに大規模な軍事的残虐性によって対処した時、米国は政策的ワナにとらわれた。米国政府とその地域的同盟国は「アサドは退陣しなければならない」と宣言しつつ、反乱の結果を恐怖していた。その結果、ゆるやかに組織されていた「自由シリア軍」(穏健な反対派)の指導者たちは、アサドはイラン、ロシア、レバノンのヒズボラから全面的な支援を得ているのに対し、西側はかれらを支援するが実際にはかれらが失うものを補充する援助だけを与えている、という印象を持っていた。

 シリアの悲劇の中から「メソポタミアのアルカイダ」の残党が立ちあがり、ISISという新名称の下にアサド政権と一定の戦術的共謀を行った(ジハーディストの囚人の釈放、ISISが接収した油田の秘密の購入をふくむ)。そしてイラクが混乱状況に舞い戻った時、イラク北部に乱入してモスルを奪取し、捕虜にした兵士数百人を処刑し、キリスト教徒とヤジディ社会(訳注:ヤジディ教はイラク北部のクルド人の民族的宗教とされる)で虐殺を行い、この暴虐行為をメンバー募集ビデオとして撮影し、「イスラム国」として征服を拡大するという願望をはっきりと言明したのである。

 

 次は何か? 米空軍はクルド人勢力や部分的に再編されたイラク軍とともにISISによるこれ以上の領土征服の勢いを鈍らせるだろう。支配の空白領域で拘束されたかれらの輸送部隊は全滅させられる可能性がある。かれらの武器が倉庫に置かれている限り、破壊される可能性がある。ISISは自らの武器産業を持ってはいない。非スンニ派社会における、初期的段階でのジェノサイド的絶滅はほとんど予防できる。そして外国からのジハーディスト青年の流入は、トルコが国境管理を厳しくし、そしてとりわけ「イスラム国」がもはや勝ちそうもないと見られれば、減少することになるだろう。

 クルディスタン地域政府とペッシュメルガ(訳注:イラク・クルド人ゲリラ部隊)武装勢力は、その弱点にもかかわらず、ISISの脅威に対して抵抗するとともに、かれら自身の自由のために闘っている。かれらは、それが手に入れられる場合にはどこでも、必要とする援助への権利を有している。住民たちののど元に突きつけられたISISのナイフを押し戻すために、かれらは最も重要な「地上兵力」なのだ。

 これらは多かれ少なかれ容易な部分である。次に起きることはもっと困難だ。情報アナリストのジョージ・フリードマンは次のように指摘している。

 「イスラム国は勢力を分散させ、非軍用航空機を標的にするのを否定するだろう。イスラム国支持者と他のスンニ派グループを区別し、支持者を殺害してイスラム国を打ち負かそうとするのは、最初の段階で失敗に終わるだろう……。今やかれらはスンニ派社会の網の目の一部であり、スンニ派社会だけがかれらを根絶できる」

 このことは明らかに事実である。ISISはイラクのモスル、ファルージャ、シリアのラカアといった都市に根を下ろし、空爆では打ち負かされない。

 要するに、イラク新政権(依然として重要閣僚の穴は埋まっていない)がアル・マリキ政権の閣僚の入れ替えのようなものになり、米国がシリアの政権――その軍事力、市民への残虐性は、その度合いにおいて「イスラム国」を超えている――と協力するようなことになれば、スンニ派ジハーディストの言説が確認され、ISISはもはや征服軍ではないかのように、かれらの影響力は持続的なものとなり、その病巣が転移することになる。



 注意を払っている誰もが、最近の経験から多くの教訓を得ている。オサマ・ビン・ラディンを殺害したオバマ大統領の大きな成功は、何も変えなかったことが明らかになった。何か変化があったというなら、CIAの協力組織がビン・ラディンを追い詰める中でポリオ・ワクチン注射プログラムを創り出したことが、パキスタンの極端な原理主義者にワクチン注射の労働者を殺害する口実を与え、公共保健に深刻な事態を招いている、ということだ(訳注:CIAによるビン・ラディンの捜索・特定にあたっては住民への肝炎ワクチンの投与が口実として利用された。そのためタリバンはワクチン投与活動を攻撃するキャンペーンを行っている、と報じられている)。

 オバマが米国の「スマート・ウォー(訳注:コンピューター情報戦争)」と考えたアフガニスタンでのブッシュの戦争は、想像できるかぎり最悪に近い形で終わろうとしている。米国の無人機爆撃は。イエメンやソマリアで起きたことを改善したという彼の主張は、幻想の飛翔である。

 正直になろうではないか。強いリーダーというオバマ大統領のイメージは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフが幾度もくりかえしオバマを失望させたことで、ほとんど高まらなかった。

 バランスをとることがほとんど不可能に見える、地域の政治的・宗派的紛争は、この新しい介入と米帝国のグローバル政策が直面する手に負えない矛盾の始まりに過ぎない。それはさらに拡大している。今やイランとの協力がイラク軍を保持する上で不可欠である。それはアサドを弱体化させる米国の意図にとって何を意味するのか。あるいはイランの核開発計画に関わる交渉にとってどういう意味を持つのか。代理人を通じたロシアの東ウクライナ占領によって混乱の淵にある欧州、そしてロシアが天然ガスの供給を削減すればこの冬に闇の中で凍える恐れに直面している欧州.を抱えるオバマ政権は、一度にいくつも複合的に起きる危機に対して、どのように「指導性を提供」しようとしているのか。

 大気中の二酸化炭素濃度が三九六ppmという不気味なレベルに達し、地球を荒廃させる気候変動の影響が戦争によって悪化するだけだという時に、こうしたことが起こっているのだ。帝国主義のグローバルなテロは、タリバンから「イスラム国」に至る、醜悪な、地方的かつ領域的な片割れを生み出したのである。破壊された社会で生じるテロリスト勢力は、不可避的にかれらを育むグローバルシステムを根こそぎにしないかぎり根絶できないのである。(二〇一四年九月一二日)

▼デービッド・フィンケルは米国の社会主義雑誌「アゲンスト・ザ・カレント(流れに抗して)」編集長。

(「インターナショナルビューポイント」編集長)

仏NPA声明 ガザの停戦:イスラエル国の政治的・軍事的敗北

▲7月19日、デモが禁止された日のパリ

ガザの停戦をどうとらえるか。仏NPAの声明を翻訳・転載します。


…………

声明 ガザの停戦:イスラエル国の政治的・軍事的敗北



NPA(フランス反資本主義新党)

2014年8月29日



イスラエルがガザに対して行った七週間以上に及ぶ空と地上からの殺人的・破壊的軍事作戦の後、イスラエルは、七年以上にわたった小さな海岸の地峡(ガザ)に対する、殺人的で不法な封鎖を縮減するための様々な意識的措置を伴った、停戦協定を受け入れざるをえなかった。

漁業区域は部分的に拡張され、再建に必要なさまざまな物資が封鎖された地域に運ばれなければならず、ガザ空港、港湾の再開の問題についての議論が一カ月以内に行われるべき、などである。

こうした措置は、ガザの住民が尊厳ある生活を送ることを可能にするにはきわめて不十分であり、イスラエル国はこの責任や合意を尊重するという点で名声を博しているわけではないが、NPA(フランス反資本主義新党)は、イスラエルのこの政治的・軍事的敗北を歓迎する。イスラエルはガザにおいて、軍事的攻撃による耐え難いまでの暴力にもかかわらず、それに立ち向かった住民とその組織の抵抗によって、目標を達成しなかったのである。

封鎖を完全に撤回するための闘いは継続しており、NPA(反資本主義新党)はパレスチナ人、ならびにかれらの正当な民族的権利を獲得する闘いへの連帯のイニシアチブに参加し続ける。イスラエル国への圧力は、この政治的・軍事的敗北をパレスチナ人民の勝利へと転化させるものでなければならない。とりわけボイコット・投資引き上げ・制裁の運動の発展は、イスラエルにその犯罪的政策の代価を支払わせる唯一の道である。


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【イラク情勢】

1_vd-ISIL-408x264イラク情勢の深刻化と米国による「軍事顧問団」300人の派兵をどう考えるべきか。

米国の第四インターナショナル系同志の論評。




………………

イラク 「悪行の報い」
デービッド・フィンケル


イギリスの元首相トニー・ブレアは、イラクの現在の悲劇について言及し「われわれがこうした事態を引き起こしたのだという考えから解放されなければならない」と語った。この発言が引き起こす最初の疑問は、何者がなぜトニー・ブレアの意見を何であれ求めたのか、ということだ。少なくともジョージ・ブッシュは、賢明にも彼の農場の灌木の茂みに隠れて、何事も語らないだろう。

イギリスに支持された米国による二〇〇三年のイラク侵略が、「この現実をもたらした」のはもちろんのことだ――今やISIS(イラクとシリアのイスラム国)と呼ばれるアルカイダの装備品を作り出し、スンニ派とシーア派が最も入り混じった近隣六カ国に吹き荒れる共同体間戦争を起動させ、サダム・フセインの恐怖に満ちた独裁政治を、ヌリ・アル・マリキの宗派主義的で、腐敗した、不手際きわまる政権に最終的に置き換えることによってである。

次に何が起きるのか? メディアの取り乱した見出しにもかかわらず、ISISはバグダッドやシーア派の拠点を手に入れることはないだろうし、クルド人勢力は北部地域での拡張を止めることもないだろう。ISISがスンニ派の中心地域をどれだけの期間にわたって支配できるかは、主要には、住民たちがどれだけの期間、このテロリストたちの暴政に耐えられるかにかかっている。ISISが、捕虜にした兵士やシーア派の市民を残虐に殺害していることは、報復的殺害を引き起こすことは明らかであり、イラクの圧倒的に多くの人びとが望んでいないスンニ―シーア間内戦を強制することになる。

イラクが一つの国家として生き残れるかを予測することはいっそう困難になるにしても。いずれにせよ米国は実質的に手を引かなければならない。この危機をさらに悪化させ、イラクの分解の機会増大させるものが一つあるとすれば、それは米国による新たな空爆である。イラクへの爆撃は、「この事態を引き起こした」戦争から、ワシントンが何一つ学ばなかったことを示すものとなるだろう。われわれはすでに「悪行の報い」を見てきたし、それを繰り返させてはならない。

二〇一四年六月一八日

(「インターナショナルビューポイント」二〇一四年六月号)


デビッド·フィンケルは、米国社会主義組織ソリダリティが発行する "Against the Current"の編集者(http://www.solidarity-us.org/)です

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【共同声明】シリア民衆との連帯を!

シリア民衆との連帯を!

2013年8月30日

社会主義レジスタンス(第四インターナショナル・イギリス支部)
国際社会主義ネットワーク(ISN)


 この共同声明は、二〇一三年八月二九日に社会主義レジスタンスと国際社会主義ネットワークが採択したものである。国際社会主義ネットワーク(ISN)は二〇一三年初めに、元SWP(社会主義労働者党)党員によって結成された。(「インターナショナル・ビューポイント」編集部)

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 ▲ 介入ではなく連帯を!


 議会で政府の戦争推進決議が否決されたのは、重要な出来事である。労働党は保守党の決議に反対していたが、労働党も国連の武器査察官の報告を待つという条件付きの戦争支持決議案を提出していた。この決議案も否決された。このような投票結果は英国における反戦の気運を反映している。しかし米国に関しては、英国内の基地を使う戦争という可能性がある。

 バッシャール・アル・アサド政権は、シリア民衆に対するいっそうの残虐性をもって、毎日のようにますます多くの虐殺を行っている。それが市民居住区域への爆撃によるか、あるいは化学兵器によるかに関わらず、である。二年間にわたる独裁反対の決起の中で。人口二〇〇〇万人のこの国で一〇万人以上が死亡し、二〇〇万人が難民となり、多くの人びとが「住み家を失った」。 この悲劇は、われわれを恐怖と怒りで満たす。

 われわれは、シリアの民主主義をめざす運動への連帯の闘いを続けていく。われわれは残忍な独裁体制との闘いで命を失ったすべての人びとを追悼し、抵抗を継続しているすべての人びとに敬意を払う。

 しかし、帝国主義諸国の偽善もまたわれわれの怒りをかきたてている。かれらはこの悲劇に第一の責任を負うものである。かれらは人殺しのアサド独裁政権が権力の座にとどまるのを許容し、反乱に立ちあがった人びとが武器の欠乏に苦しむ一方で、アサド政権がロシアとイランから武器の供給を受けるのを許容してきたのである。かれらはシリア民衆の苦境にあたって民衆との固い握手をかわしているが、かれら民衆が自分たちを守る手段については拒否している。

 この二年以上にわたって、米国、フランス、イギリスは傍観し、対航空機・対戦車の防衛的武器を反対派の進歩的・民主主義的構成員に供与することを拒否してきた。それはアサド政権の転覆が、二〇一一年にチュニジアとエジプトで始まった革命を拡大・深化することになりかねないと危惧したためだ。同時にかれらは、サウジアラビアとその他の湾岸諸国が、シリア革命を宗派間戦争に変質させようとしてイスラム反動勢力を支持することを許容してきた。かれらはシリアにおける革命の勝利が、地域全体に拡大し、かれらの大きな脅威になりうることを知っている。

 今や英国、米国、フランスは、もう一つの「人道的介入」について討議している。それはかれら帝国主義の側が、化学兵器の使用に関する独占的権利を持っているとアサドに警告することに目標を定めた、軍事的攻撃である。

 われわれは最大の決意を持って、シリアへの外国からのいかなる直接的軍事介入にも反対し続ける。それが米英仏とその同盟国によるものであろうと、イランならびにその同盟国によるものであろうとも反対する。反乱勢力の中でこうした外国の軍事介入を支持している者は、大きな間違いをおかしている。われわれは、シリア民衆がアサド独裁体制から解放されるべきことを確信している。かれらの闘争が成功するためには、西側からの条件付きではない武器や人道的支援物資をふくむ、すべての必要な物質的援助をかれらは受け取るべきである。

 シリアを襲っている大規模な難民の危機を目の当たりにした西側諸国は、深い沈黙を決め込んできた。これは、難民と経済的移民に対する長期にわたるレイシズムとイスラム嫌悪の反映である。

 アサド独裁体制は、平和的で交渉による民主主義への移行への可能性をもたらす、あらゆる架け橋を焼き切ってきた。一方の米英両国、他方のロシアとイランも上からの解決の強制を望んでいる。それは体制を維持しながら、バッシャール・アル・アサドを取り除くという解決策である。

 われわれは、反乱勢力が帝国主義の手先だという暗示を拒否する。この反乱は、依然として抑圧からの解放のために闘う民衆による大衆的革命である。それはこの地域、そしてそれを超えた世界の大衆を鼓舞してきた「アラブの春」の核心的構成要素である。

 われわれは、イギリス、フランス、そして米国の「人道的介入」にも、イランとロシアによるアサド支持の介入にも反対する。われわれは、自らの解放のために闘っている革命的大衆の側に立つことを選び、とりわけこの革命の民主主義的・進歩的構成要素への連帯の意を表明する。

 われわれは「ストップ戦争連合」とともに、英仏米によるシリアへの介入に反対運動を継続し、シリア革命に対する実践的な救援物資と人道的援助を送る。またわれわれは、「革命は、この地域と世界の民衆的革命、そして無知と隷属と搾取を強制する体制と闘っているすべての戦士たち以外の、真の同盟者など持たない」と述べてきた革命的左翼潮流のようなシリアの社会主義者に連帯するものである。

帝国主義の介入反対!
アサド独裁体制と闘う革命に連帯を!
シリアの民衆に自らの未来の決定権を!外国の介入をやめろ!

(「インターナショナルビューポイント」二〇一三年八月号)


【声明】差し迫った米国のシリア軍事介入についての声明

差し迫った米国のシリア軍事介入についての声明

「ソリダリティー」政治委員会


 この声明は、二〇一三年八月二八日に発表された「ソリダリティー」(米国の第四インターナショナル支持組織)の声明である。「ソリダリティー」は、労働者階級と抑圧された民衆の自主的組織による「下からの社会主義」という立場の革命的社会主義者によって一九八六年に創設された。「ソリダリティー」は二〇一一年に第四インターナショナルの支持組織になることを決定した。(「インターナショナルビューポイント」編集部)


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 マケイン、ベイナー、ケリー、バイデン……といった民主、共和両党のタカ派たちの声が、ますます強まっている。もちろんかれらの口実は、シリア内戦による幾万人もの死者、幾百万人もの離散した難民、あらゆる残虐性の現れに付け加えられる、ダマスカス近郊での幾百人もの命を奪った化学兵器攻撃である。

 政府当局者によれば、オバマ大統領は軍事介入に関して「何の決定も行っていない」が、すでに軍用機や軍需物資輸送機が、シリアの沿岸から一〇〇マイルも離れていないキプロス島のアクロチリ英空軍基地に集結している。チャック・ヘーゲル米国防長官は、東地中海からシリアに緊急ロケット攻撃を行う「あらゆる軍事的装備」がすでに準備されている、と発表した。

 軍事介入の支持者たちは、神経ガス攻撃を含む内戦の残虐性を指摘している。それは全くありそうなことであり、シリア政府がそうした犯罪行為を行ったかどうかは完全に明らかというわけではない。しかし米国と英国は、戦争犯罪への関与や化学兵器の使用に関して無関係ではない。第二次大戦においてウインストン・チャーチル(英首相)が命じたドレスデンのじゅうたん爆撃、米国によるヒロシマ、ナガサキへの原爆使用から、ベトナムでの枯葉剤とナパーム弾、イラク・ファルージャでの白燐弾に使用に至るまで、である。

 数日前、雑誌「フォーリン・ポリシー」に掲載された機密解除文書は、一九八〇年代にサダム・フセインがイランとクルド人に対して化学兵器攻撃を行ったのを米国が支持した詳細を明らかにしている。こうした攻撃は、いずれも現代史における最大規模の化学兵器使用である。


 ソリダリティーは、シリアでの米国の軍事介入を非難する。それはわれわれがアサド政権になんらかの形で同情したり、支持を与えたりしているからではない。それは、艦船から発射されようと航空機から発射されようと、ミサイルは確実に市民の犠牲者を出すからである。シリアへの爆撃は、さらなる残虐行為から住民を守ることとはなんの関係もないからである。そして米国には、自分たちが嫌いな諸国を攻撃する正当な権利などないからである。


 米国と同盟国による攻撃は、西側帝国主義者と闘う戦士という装いでアサドの立場を強化する結果すらもたらしかねない。シリアのある社会主義グループは次のように述べている。「われわれの革命は、この地域と世界の民衆的革命、そして無知と隷属と搾取を強制する体制と闘っているすべての戦士たち以外の、真の同盟者など持たない……ワシントン反対! モスクワ反対!」。


 「ソリダリティー」政治委員会は、われわれのメンバーたちに、この明らかになった悲劇をさらに悪化させる可能性が高い米国の危険で不当な軍事介入に反対する集会・デモへの参加、組織化の支援を呼びかける。


二〇一三年八月二八日


(「インターナショナルビューポイント」二〇一三年八月号)


【報告】 1.15 「イスラエルの平和運動は今――アダム・ケラー講演会」

IMG_1582 一月一五日、東京・御茶ノ水の明治大学リバティタワーで「イスラエルの平和運動は今――アダム・ケラー講演会」が開催された。アダム・ケラーさんは一九五五年生まれのイスラエルのジャーナリストで、平和活動家。一九九三年に創設された平和団体「グーシュ・シャローム」のスポークスパーソンで、同団体の機関紙「ジ・アザー・イスラエル(別のイスラエル)」の編集長。パレスチナにおける第一次インティファーダのさなかの一九八八年には、イスラエル軍の戦車や軍用車に反戦スローガンを書き、三カ月間投獄されたという経験も持っている。

 「グーシュ・シャローム」は、イスラエルによる占領の終結=一九六七年占領地からの完全撤退、イスラエルと並ぶ独立パレスチナ国家の設立、イスラエル人入植者の退去、入植地は帰還するパレスチナ難民のために利用、エルサレムは両国共通の首都とし、西エルサレムはイスラエルの首都、東エルサレムはパレスチナの首都とする、パレスチナ難民の固有の人権としての帰還権を原則的承認、歴史的事実の評価のための「真実和解委員会」の設立、水資源の共同管理と公正な分配、この地域からの大量破壊兵器の一掃、などの基本的立場を明らかにしている。



 集会実行委員会から奈良本英佑さん(パレスチナ現代史研究、アル・ジスル―日本とパレスチナを結ぶ)が、集会の趣旨を説明した。

「昨年一一月にイスラエルはガザを爆撃し一七〇人を殺害したが、停戦後、国連総会では圧倒的多数でパレスチナが『オブザーバー国家』を認められるという大きな前進が勝ち取られた。しかしイスラエルのネタニヤフ政権は、その報復として新たな入植地拡大を進めている。一月二二日はイスラエルの国会(クネセト)の選挙があり、この重要な時期にケラーさんからイスラエルの平和運動について学ぶことには大きな意味がある」。

続いてアダム・ケラーさんの講演に移った。

「私は中学生の頃から平和運動に取り組んできた。今は髪の毛もなくなるほどの年齢になったが、イスラエルで平和運動をするためには短距離競走ではなくマラソンレースを行う気構えが必要だ。状況が悪い時でも悲観的にならず、良くなっても楽観的にならないことが必要。平和運動家にとってはつねに同じ場所に立ち続けることが求められている」とケラーさんは切りだした。

「重要なことはイスラエル、パレスチナという二つの民族が共に強いアイデンティティーを持ち続けていることであり、またオスマン・トルコの時代から一〇〇年以上にわたって両民族の闘いが続いているのを知ることだ。そしてもう一つ重要なことは、エルサレムが二つの国の共通の首都になるのをイスラエルの中で話題にすること」。

「イスラエルでは、エルサレムが『永遠の分かつことのできない首都』であるという合意が存在している。これは東エルサレムのパレスチナ人を犠牲にすることを意味する。私たちは一九九〇年代に東エルサレムのパレスチナ人とともに、『両民族にとってのエルサレム』という運動を行い、一〇〇〇人以上の署名を集めて五回にわたり新聞に掲載した。回を重ねるたびに新しい名前が加わった。エルサレムを分けるという主張は、今では頭ごなしに拒絶される意見ではなくなっている。このように少数者の側からの対抗的主張で多数の見解を統制することは、変化を引き起こす上で重要なのだ」。

「徴兵拒否運動、あるいは占領地やレバノンでの兵役拒否運動について。この運動では当局に『私は自分の国を守る。しかし他民族の土地を奪うために兵役に就いたのではない』という請願文を送りつけ、現にレバノンや西岸地区では約一〇〇〇人の兵士が刑務所送りとなった。私は、一八歳の時に徴兵を拒否して半年刑務所に入り、一九八八年に西岸地区でのイスラエル軍の作戦に予備役として動員されたが、その時一七〇台の戦車・軍用車に『占領者となるべきではない』と落書きして、三カ月の刑に服すことになった」。



「われわれに何ができたのか、何ができなかったのか。それはなぜか。一九九三年、オスロ合意が成立した時には、もう勝ったも同然だという気分が広がった。しかしなぜオスロ合意はうまくいかなかったのか。ラビン首相の暗殺が決定的な転機だった。その時の平和集会には一〇万人が参加し、ラビンがバルコニーからあいさつすることになった。もしもあの時ラビンが暗殺されていなかったら、一九九九年にはパレスチナ国家が成立し、両民族が平和に生きることができていただろう」。

「しかしラビンを理想化することへの批判が平和活動家の中でも生まれた。オスロ合意以後、イスラエルでもパレスチナでも状況は悪化し続けている。平和を実現するためには国際的な市民団体からの圧力が必要だ」。

このように語ったケラーさんは、西岸のパレスチナ人が自分の土地に植えたオリーブの実を収穫するのをユダヤ人入植者が暴力的に阻止して、その土地を自分のものにすることに抗議して、ともに収穫する運動を行っていることも報告した

フロアからの質問に答えてケラーさんは、パレスチナ問題の解決方針に関して「イスラエル国家」と「パレスチナ国家」という二国家案と「民族共生国家」という一国家案の論争に関して「私は一国家案に原則的に反対するわけではない。しかし新しい世代のイスラエル人はアッバース(パレスチナ自治政府大統領)が隣国の大統領になることは受け入れるだろうが、自国の大統領としては受け入れないだろう」と語り、「一国家案」はきわめて困難であるという見解を述べた。

また西岸にパレスチナ国家が建設された場合、イスラエルの入植者の多くは残らないだろうが、パレスチナの法に従い、友好を求めて残る人もいるかもしれない、とケラーさんは語った。

さらに「真実和解委員会」という「グーシュ・シャローム」の主張について、それが南アフリカのアパルトヘイト体制清算にあたって取られた措置を参考にしたものであり、「報復・処罰ではなく、何が行われたかを明らかにして、和解を実現しようとするものだ」と説明した。

集会では来日中のカナダ・モントリオール大学の歴史学者、ヤコブ・ラブキンさんもコメントした。『トーラーの名において』などの邦訳書もあり、一九世紀末に生まれたシオニズムの政治運動がユダヤ教の教えとは根本的に反するものだという主張で大きな反響をよんだ。

ラブキンさんは、「私はカナダでアダムさんの話したことをやりたいと思って活動してきた」と語り、アメリカの若いユダヤ人の三分の一は「ユダヤ人国家」という主張に「何、それ」という違和感を表明していると語り、シオニスト国家イスラエルに対するBDS(ボイコット、投資引き上げ、制裁)キャンペーンの有効性について述べた。そして「小さな運動が変化を作り出すことができる」と訴えた。

(K)
 

【報告】11.18ガザ攻撃をやめろ! イスラエル大使館前緊急行動

IMG_1491 11月18日、ガザ攻撃を止めろ! イスラエル大使館前緊急行動が有志の呼びかけで行われた。

 11月14日、イスラエルはパレスチナのガザで、ハマスの幹部アフマド・ジャアバリ氏の乗った車を空爆し、ガザへの大規模な空爆を開始した。この空爆はきわめて執拗であり11月15日以来で約950回にのぼり、ガザ自治政府の建物も破壊されている。18日午前9時段階で少なくとも40人の死者が出ている。すでにイスラエルの予備役兵七万五〇〇〇人が動員され、大規模な地上侵攻作戦も準備されている。

 このイスラエルの理不尽きわまる暴挙に対して国際的な抗議の声が高まっている。この日の行動は前日に呼びかけられたものだが、緊急の呼びかけにもかかわらず午後二時からのイスラエル大使館前行動には六〇人が集まった。イスラエル大使館方面に曲がる角で待ち受けていた麹町署の警官は、拡声機を使うのは住民の苦情があるのでやめろと不当な規制をかけてきた。今までになかったことだ。参加者はこうした規制を拒否して、堂々と一時間以上にわたって抗議活動を貫いた。

 最初に「ミーダーン・パレスチナ対話のための広場」の田浪亜央江さんが、行動の趣旨を説明した後、パレスチナ現代史研究者の奈良本英佑さんが今回のイスラエルの暴挙の背景について説明した。

 「イスラエルでは来年一月に国会選挙が行われる。今回の軍事作戦は選挙で有利な立場に立つことを狙ったきわめて計画的・意識的な行動だ。そもそもネタニヤフ政権とハマスの間では、停戦交渉がまとまりかけており、その交渉の最中に相手の司令官を殺害するのはぶちこわし以外のなにものでもない。その数日前にはイスラエル軍の司令官はシリア戦線の視察に出向いていた。それはガザ攻撃がないと思わせるための陽動作戦だった。これを『イスラエルの自衛権の行使』として容認したオバマ米大統領も弾劾しなければならない」。

 パレスチナ子どものキャンペーンの北林岳彦さんは、「四年前のガザ空爆も選挙を目前にした時期だった。シオニズム国家の本質がここに現れている」と批判した。

 その後、行動参加者にマイクをまわして一言アピールが行われ、さらにヘブライ語、アラビア語、英語、日本語で「占領やめろ」「壁はいらない」「破壊はうんざり」などのシュプレヒコールが塀の向こうのイスラエル大使館に向けて何回も繰り返された。アラブ人男性からのシオニスト国家とそれを支える米国への怒りの発言も行われた。

 この日のイスラエル大使館への申し入れ文書は、イスラエル大使館がかつては門に設置されていた郵便ポストも取りさってしまった中で、参加者それぞれが郵送することになった。(K)
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