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人権-フェミニズム

公安テロ情報流出被害国家賠償請求事件高裁判決 公安の違法捜査を防衛する不当判決を許さない!

20110516-1(画像は流出事件被害者による記者会見 2011年)

 

 

東京高裁(高野伸裁判長)は、4月14日、公安テロ情報流出被害国家賠償請求事件について一審判決(2014年1月15日)を支持し、公安政治警察の違法捜査を容認したうえで被告の東京都に対して9020万円の賠償を命じた。





警視庁を監督する警察庁の組織的責任については、「その監査権限には限りがあり、監査責任者が恒常的に監査を怠っていたとか、監査によって不十分な点を発見したのにその指摘を怠ったというような事情は認めることができないから、被告国には本件流出事件発生の責任はない」と防衛し、国の請求について棄却した。


判決後の記者会見で原告は、「証拠は明らかなのに警察の責任をはっきり認めず、満足していない」「警察の捜査に警鐘は鳴らしたがトーンは弱く、残念だ」
「私たちの人生を危うくした。その責任を認める必要がある」と次々と糾弾した。


ムスリム違法捜査弁護団(旧:公安テロ情報流出被害弁護団)の井桁大介弁護士は、「イスラム教徒というだけで捜査対象にするのは人権侵害だというのが国際的な流れ。この日のような判決がまかり通れば、日本は司法の人権感覚が信頼できない国と見なされる」と批判した。原告は、不当判決に対して上告する方針だ。


イスラム教徒=テロ犯罪者という宗教差別

公安テロ情報流出事件は、2010年10月28日、インターネット上にグローバル派兵国家建設と連動した対テロ治安弾圧体制の一環として作られた警視庁公安部外事三課のテロ情報が流出していることが発覚したが、警視庁は速やかな流出拡大対策、被害者防衛措置をとらず、謝罪もせず、外事三課から流出したことを否定し続けた。被害者である17人(アルジェリア人、モロッコ人、イラン人などの外国人14人、日本人3人)は、東京地裁に「警視庁、警察庁及び国家公安委員会が、人権を侵害する態様で被害者らの個人情報を収集し、収集した個人情報を正当な理由無く保管し、かかる個人情報を漏洩させ、さらに、漏洩後に適切な損害拡大防止措置を執らなかった」ことを理由として総額1億5400万円の損害賠償を請求し、一審では都に損害賠償を認め、国の監督責任請求は棄却した。


地裁に続いて高裁は、都の(流出したテロ情報が)「公安警察外事三課の文書だと認める証拠はない」「個別に明らかにするのは適当でない」というウソの繰り返しに対して、テロ情報は警察職員によって持ち出されたと認定し「警視庁が情報管理を怠った。徹底した漏えい対策を行う義務があった。原告のプライバシーの侵害や名誉毀損の程度は甚大だ」と都の賠償責任を認めた。なお警視庁は流出発覚後、偽計業務妨害の疑いで捜査したが、犯人を特定できずに13年10月に公訴時効が成立している。


しかし高裁は公安外事課のイスラム教徒=テロ犯罪者という宗教差別を前提にした日常生活とモスクへの出入り監視、交友、仕事などを調べ続けたことに対して「それ自体が原告らに対して信教を理由とする不利益な取扱いを強いたり、宗教的に何らかの強制・禁止・制限を加えたりするものではない」と一審判決を支持し、公安防衛を前面に押し出した。


さらに「イスラム教徒のうちのごく一部に存在するイスラム過激派によって国際テロが行われてきたことや、宗教施設においてイスラム過激派による勧誘等が行われたことがあったことといった歴史的事実に着眼して、イスラム過激派による国際テロを事前に察知してこれを未然に防ぐことにより、一般市民に被害が発生することを防止するという目的によるもの」「本件情報収集活動自体は、国家が差別的メッセージを発するものということはできず、原告らの国家から差別的に取り扱われない権利ないし法的利益を侵害したともいえない」と誤認しながら、憲法13条(個人の尊重[尊厳]、幸福追求権及び公共の福祉)に「違反するものではない」(同じ)と言い切った。


人権侵害に満ちた公安捜査を批判

原告は、地裁判決の誤認に対して控訴審で以下の新証拠を高裁に提出し、反論していった(ムスリム違法捜査弁護団/情報発信から)。


①国連総会に提出された「テロ対策における人権及び基本的自由の促進及び保護に関する特別報告者による報告書」(ムスリムということのみを理由としたプロファイリング捜査は、効果がないばかりでなく有害であるとする報告書)


②自由権規約委員会の勧告(本件捜査を対象としてなされた勧告。本件捜査に懸念を表しつつ、警察職員に対し、ムスリムへの広範な監視活動を含む人種的プロファイリングが許容されないことなどを日本政府に対し勧告するもの)


③人種差別撤廃委員会の勧告(本件捜査を対象としてなされた勧告。本件捜査に懸念を表しつつ、民族的又は民族的宗教的集団に属することのみを理由とした個人のセキュリティ情報の体系的収集は重大な差別にあたること、警察が民族的又は民族的宗教的なプロファイリングを利用しないことを強く求めることを、日本政府に勧告するもの)


④山本龍彦慶応大学教授の証人尋問(収集された情報がデータベース化されていることに着目。個別の情報を断片的、一次的に保有するものではなく、大量の個人情報を長期継続的に保有し、分析・利用することを予定する捜査は、民主的統制=個別の法律がなければ許されず、かつ、通常の情報収集活動よりも厳格な司法的統制に服するべきであることを証言)


だが高裁は、新証拠をまともに検証せず、「違反するとしているものとはいえない」の一言で排除した。


そのうえで高裁は、判決が脆弱な論理構成であり、原告の批判に対してまともに反論を提示し立証できなかったため、(公安のイスラム教徒への情報収集が)「テロ防止にどの程度有効かは活動を続ける限り検討されなければならない。常に許容されると解されてはならない」と弱々しく言わざるをえなかった。


ムスリム・コミュニティに対する監視

この高裁の「楽観的」な態度は、公安らによる対テロ戦争に勝利しぬく論理で
武装し、意志一致のうえでの現在進行形の違法捜査・情報収集の人権侵害・宗教差別の実態を深刻に受け止めていないことを現わしている。ならば主な違法捜査・人権侵害のケースをあげるだけで即時中止しなければならない緊急性があることを浮き彫りにしておこう。


「事情聴取されたイスラム関係者たち」の捜査では訊問強要だけではなく、「モロッコ大使館コックからの情報収集」「ハマスに好意をもつパレスチナ人の事情聴取」「テロリストへ流出可能性ある資金の情報を持っている可能性あり」として「協力者」「情報線」の獲得工作も行っていた。「元アルジェリア人の妻」であることが理由で日本女性が「要監視対象」になっていたほどだ。


「要警戒対象の視察行動確認」作業では、イスラム教徒が集うモスクを監視するために拠点としてマンションを借り上げ、二一八人の公安を24時間ローテーション配置、14台の車両を配備していた。大掛かりな「捜査」を展開していたが、どこにもテロ犯人などは潜んでおらず、テロ情報のほとんどがニセものだった。


「国内のイスラム・コミュニティ監視」でもモスクだけではなく各団体、食料店等の個別調査まで広げている。「特異動向」などと位置づけて出入り総数、リスト、追跡調査までやり、事後報告リストを積み上げていた。イスラム、アフリカ料理店をピックアップし、テロ犯の「集合場所」「インフラ機能を果たすおそれがあり」などと決め付けて監視を続けていた。




在日イラン人に対する監視、尾行、調査の強化の現われとして「イラン大使館の給料支払いを東京三菱銀行の協力で調査」「イラン大使館員50名の全給料明細」「イラン大使館からの振込口座・金額明細」までやってのけている。しかも公安の資料提出要求に対して銀行、レンタカー会社、ホテル業、化学・薬品会社などが、顧客リスト、利用者情報を言われるままに提供している実態も明らかになっていた。


ムスリム・コミュニティに対する監視の一環として潜入捜査、スパイ獲得に着手するために「日本人が入り込む余地のない外国人だけで生活できる日本の中の外国のような地域が犯罪の温床になったり、テロリストの隠匿場所になったりするおそれが大きいため、共生による取組みで地域にとけ込ませるようにすることでその動きを把握しようとするものである」(流出テロ情報)などと意志一致している。


さらに「ムスリム第二世代」も調査対象であることを確認し、「15歳以上のムスリムについては就職適齢年齢であり、ホームグローンテロリストの脅威になりうる存在であります」から「①子供のためのコーラン教室参加者から把握②自転車の防犯登録のデータベースにより把握③スクールサポーター等を通じた把握(イスラム教を起因とする学校における相談事案等の取扱い)」にまで網を広げている。第二世代は、「ムスリム特有の行動や外見上の違い等に起因するいじめや差別」「イスラムの教えを実践させようとする親の意向とそれを望まない本人との対立」があるから、「 これらの問題は将来、日本社会に対する不満へと発展し、その不満が第二世代の過激化の要因となる可能性もあります」などとレッテルするほど差別・排外主義に貫かれている。


秘密保護法下の公安

公安テロ情報流出被害国家賠償請求事件高裁判決は、安倍政権によるグローバル戦争に本格的に参戦していくシステム構築にむけて憲法九条破壊の集団的自衛権行使にむけた戦争法の制定をねらい、2016年日本サミット、2020東京五輪をメルクマールにした治安弾圧体制の強化にむけて秘密保護法、「テロ対策」三法を制定し、今国会での刑訴法改悪強行の流れの中での政治判決なのだ。対テロ治安弾圧体制防衛の階級的立場の貫徹なのである。


だから警視庁は、一審判決時、「妥当な判断」「テロリストや関係者が潜む可能性を否定できない。こうした活動は必要だ」(朝日新聞/14年1月16日)と居直ったのだ。高裁判決後も警視庁は「主張が認められず残念だ。内容を検討して対応を決めたい」と述べているが、基本姿勢は一審判決時となんら変わっていない。高裁判決の不当性を社会的に暴露し、秘密保護法下の公安政治警察、公安調査庁、自衛隊情報保全隊の高裁判決をバネにした暗躍と対決していかなければならない。


治安機関による不当弾圧をはね返し、解体にむけて奮闘していこう。

(Y)

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対テロ治安弾圧体制強化にむけた刑訴法改悪に反対しよう

234902570 安倍政権は、3月13日、グローバル派兵国家建設の一環として対テロ治安弾圧体制強化にむけた取調べの全面可視化(録音・録画)の否定、盗聴法対象範囲拡大、司法取引の導入など刑事訴訟法改悪法案(刑事訴訟法等の一部を改正する法律案)を閣議決定し、今国会での成立を強行しようとしている。

 

大阪地検特捜部の押収資料改ざん・犯人隠避事件(2010年9月)を通した検察機構の危機と社会的批判を収束するために法務省は、取調べの可視化へと踏み込むポーズをみせ、法相の諮問機関である法制審議会で新時代の刑事司法制度特別部会(11年6月設置)で論議してきた。改悪法案は、その中でまとめられた「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」(13年1月)、「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」答申(14年7月)の法案化である。

 


安倍政権成立後、審議会は警察、法務省、司法官僚らが可視化賛成派に圧力と屈服を迫り、強引に取調べの全面可視化を否定し、警察庁の「捜査手法、取調べの高度化を図るための研究会」最終報告(12年2月)をベースにした新たな捜査手法導入をバーターとして認めさせるところまで追い込んでいった「勝利」の結果だ。


全面可視化を否定

法案の取調べの可視化は、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件に限定した(施行時期3年)。また、録音・録画すれば容疑者が十分に供述できないと検察官が判断した場合など可視化の例外も認めた。裁判員裁判の対象は、殺人・強盗致死傷・傷害致死・危険運転致死・現住建造物等放火・身代金目的誘拐などであり全事件のわずか二%程度、検察官独自捜査事件は年間100件程度でしかない。

 

つまり、任意の取調も含めて可視化しなくていいということは、強引な誘導尋問などが検証できず、実質的に権力の冤罪再発体質は温存されたのである。すでに権力によるデッチアゲとえん罪犯罪は、任意による取調べも含めてすべての事案で発生しているのであり、可視化を裁判員対象罪だけにするというのは検察・警察のえん罪犯罪に対して全く反省していないのであり、居直りだ。えん罪犯罪の再犯を許さないためにすべての事案における全面可視化を実現していかなければならない。

 

さらに取調官の裁量に委ねるというのは、結局、検察庁、警察庁が取調べの自白部分、供述調書を被疑者に読み聞かせ、署名・押印させ、供述内容に間違いないと語っているような状況を録音・録画するという「よいとこ撮り」の定着でしかない。これでは人権侵害に満ちた自白の誘導と強要、「拷問」に近い脅迫場面を記録せず、えん罪防止にはならない。えん罪再犯を増産する欠陥法案であることを暴露し、反対していこう。


いつでもどこでも盗聴可能

法案は、共謀罪制定を見据え、かつ治安弾圧の強力な武器として通信傍受法の対象犯罪を拡大した(施行時期三年)。現行では薬物関連犯罪、銃器関連犯罪、集団密航、及び、組織的に行なわれた殺人の捜査に限られている。これに現住建造物等放火/殺人/傷害・傷害致死/逮捕監禁/誘拐・人身売買/窃盗・強盗・強盗致死傷/詐欺・恐喝/爆発物使用/高金利の貸し付け/児童ポルノの製造・提供を追加した。さらにNTTなど通信事業者施設内で立ち会いのもとに盗聴を行ってきたが、通信事業者から警察施設へのデータ伝送によって盗聴が可能となる。盗聴法改悪は、権力の恣意的判断でいつでもどこでも無制限に盗聴態勢を敷くことになる。改悪盗聴法の制定によって「公然」と盗聴しようというのだ。

 


法務省は、2月に14年の通人傍受の実施状況発表(発布を受けた令状は26件、傍受した通信は計13778回)しているが、ほとんどが大麻取締法違反、覚せい剤取締法違反、銃刀法違反事件のケースでしかない。公安政治警察の非合法の盗聴などは含まれていない。改悪法が施行後、実施状況が大幅に増えることは間違いない。「合法的」盗聴による通信の秘密、個人のプライバシーを否定した人権侵害捜査法の危険性を明らかにし廃止を訴えていかなければならない。

 


同時に、すでにコンピュータ監視法(11年6月)が制定されており、権力はインターネット接続業者などに通信履歴(電気通信の送信元、送信先、通信日時など)の保全、コンピュータの差押え、電気通信回路で接続されているすべてのコンュータに保存されたデータをコピーすることができる。プライバシーと「通信の秘密」の破壊が進行していることを明らかにしながら改悪法案反対を強化していこう。


えん罪大量生産の司法取引

法案は、「 捜査・公判協力型協議・合意制度の導入」(司法取引/施行時期2年)をする。捜査機関が容疑者や被告の処分を軽減することを取引条件にして協力させる手法である。すでに薬物などの組織犯罪、企業犯罪、汚職など経済事件で秘密裡に適用されているが、これを合法的に強行するのがねらいだ。取調官の誘導により、虚偽自白、第三者を名指しすることは充分想定できるから、えん罪事件の近道となってしまう。

 

これだけではない。検察のデッチ上げストーリー事件を補強するための証人に対して不利益証拠にしないと誘導し、裁判所に証人申請できる制度も導入する(施行時期2年)。証人は検察官の証人要請を拒否することもできず、何度もデッチ上げストーリーに基づくウソ証言を繰り返すことになる。冤罪大量生産に導く司法取引制度に反対していかなければならない。


2016日本サミット、2020東京五輪を通した対テロ弾圧強化を許すな

今回の刑訴法改悪では虚偽自白を生み出す取調べの温床である代用監獄の廃止、証拠の全面開示、弁護人立会権制度の実現、不当な勾留保釈制度改正、裁判所の各種令状乱発について全く無視した状態のままだ。刑訴法改悪による新たな捜査法導入は、国家安全保障会議(日本版NSC)創設と特定秘密保護法案制定、マイナンバー(共通番号)導入に続く、民衆監視管理の強化だ。2016日本サミット、2020東京五輪を通した対テロ治安弾圧への加速化に反撃していこう。

 

(Y)

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【中国】囚われたフェミニズム~労働者たちの支援メッセージ

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中国では3月8日の国際女性デーの直前、公共交通機関における性暴力などを訴えるフェミニズム・アクティビスト5人が警察に拘束された。このニュースは国内外のフェミニストたちを通じて中国全土および世界中に広がった。


中国政府に彼女たちの即時釈放を求める署名(レイバーネット日本より)


逮捕されたフェミニストの一人、大兔さんは2014年夏に広州で広がった清掃労働者たちのストライキをフェミニズムの視点でレポートしていた。


女たちのたたかい-広州大学城の環境衛生労働者のストライキ日本語訳 (日中労働情報フォーラムより)

以下に訳出したのは、労働NGOで活動する大兔さんのボーイフレンドによる文章。原文および画像はこちらから。

最後に張り付けたYouTubeは、5人のフェミニストの早期釈放を訴える労働者たちの歌声を収録したショートフィルムと歌詞の日本語訳。(H)

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囚われたフェミニズム 支援の声を上げた労働者たち

3月7日に拘束されたフェミニズム・アクティビストを労働者が支援


ソース:新媒体女性
 
筆者:危志立

20150310
 


筆者は警察に拘束された大兔のボーイフレンド。本文は作者からの了解のうえで配信しており、転載する場合には出所と著者を明記してください。


「闘争において、膨大な数の強力な敵と対峙しているとき、あなたにまだ一人の友がいること発見し、そしてそれが未知の友であったなら、それは無上の喜び(原文:最棒的感受)となるだろう」


これは映画『PRIDE』(邦題は『パレードへようこそ』、日本公開は4月から:訳注)に登場する、ストライキ中のウェールズの炭鉱労働者の指導者が、炭鉱労働者の支援カンパを行ったロンドンの同性愛者たちにむけた感謝の言葉だ。この映画は1984年におこった実際の物語を映画化したものであり、この演説もそのまま再現されている。そしてこのセリフは、この何日間で僕が心から感じたことでもある。


37日早朝、僕のガールフレンドの大兔(鄭楚然)を含む北京、広州、杭州、雲南のフェミニストが警察に拘束された。彼女たちは3月7日に公共交通におけるセクシャルハラスメント予防の啓発活動を提唱して、国際女性デー(38日)を迎えようとしていた。今日(3月10日)までに、李麦子、韋婷婷、王曼、大兔、武嶸嶸ら5人のフェミニストは拘束されたままで、すでに刑事拘留で北京海淀看守所に拘留されている可能性が高い。


3月8日、僕はチャットのモーメンツ(SNSアプリ、友人間で写真などを共有できる機能:訳注)でシアトル、ロンドン、ニューヨークの友人たちが、大兔がつくったセクシャルハラスメント反対のシールや「フェミニスト行動派」のスローガンを掲げたり、「フェミ無罪」と書かれたスローガンを掲げて、拘束されたフェミニストたちを支援する写真を見た。


その時に僕が感じたのが例の「無上の喜び」だ。そしてこの種の喜びは、じつのところ今回が初めてではない。


2012年9月26日に感じたのが、この「無上の喜び」だ。その年、僕たち深センの労働NGOがまとめて弾圧を被った。そしてその年の9月26日に広州の小鳥(人名)が、労働者の仲間たちのためにフェミニストたちが手作りした月餅102個を持ってやってきてくれたのだ。こうして僕たちは、とても厳しい状況のなか、とてもうれしい中秋節を迎えることができた。


雪中送炭(困っている人を支援する)とは、こういうことをいうのだろう。


実際のところ、大兔らフェミニストはこれまでも労働者、とくに女性労働者の権利に関心を持ってきた。2013年には迪威信の労働者代表だった呉貴軍が捕まったときにも、大兔は呉さんを積極的に支援した。



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砂浜に書いた文字は「労働者は団結しよう、もう砂つぶのようにバラバラにされない、ストライキは合法、呉兄さんを釈放せよ」


2013年11月25日、深セン手牽手工友活動室は、工場で働く女性たちのセクシャルハラスメント被害の調査報告と宣伝用のビデオを発表した。このビデオもおもに大兔が撮影・編集をてがけた。


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禁止マークに「性騒擾(セクシャルハラスメント)」などの文字がデザインされている



2014年に広州の学園都市の清掃労働者のストライキのさいには、大兔は現場に駆けつけて、レポート『見よ!これが女のたたかいだ:広州学園都市清掃労働者のストライキ』を書いて、ストライキにおける女性労働者たちの主体性を描きだし、女性労働者たち全体を鼓舞して、「ストライキは男がやるもの」という偏見を打破した。


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写真:ストライキ現場で取材する大兔



大兔たちフェミニストはこれまでも労働者の権利に関心を持ち続けてきた。だから今回フェミニストたちを襲った監獄の苦しめに際して、労働者たちが当然のごとく支援に駆けつけたのだ。


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写真:拘束されている5人のフェミニストの名前と「厦門
[アモイ]の女性労働者はあなたたちとともにいる」のメッセージ


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写真:拘束されている5人のフェミニストの名前と「支援します」「厦門の労働者より」と書かれたメッセージ


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写真:拘束されている5人のフェミニストの名前と「支援します」「厦門の労働者より」と書かれたメッセージ


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写真:拘束されている5人のフェミニストの名前と「声援します」「厦門の労働者より」と書かれたメッセージ



この労働者は(職場で)鉄さびか機械油かでメッセージを書いたようだ。彼女のぼろの軍手は、何とも言えない悲痛さを感じさせるとともに、とても感激させるものだ。


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写真:ぼろ布に「フェミニズム・アクティビストを応援します」の文字と固く握られた軍手のこぶし



この女性労働者が掲げているメッセージは「私たちはハラスメントに反対します、あなたたち(当局を指す)はハラスメントをやめなさい!!!」と書かれている。チャット仲間の言葉を借りれば「自分がこれほど覚醒したことはこれまでなかった」。


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写真:「私たちはハラスメントに反対します、あなたたち(当局を指す)はハラスメントをやめなさい!!!」と拘束されている5人の名前と「支援します」と書かれたメッセージも持った女性



労働者もフェミニズム支持!


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写真:ハート型で囲んだ「大兔」の名前、「あなたはずっと僕の自慢だ」、「無産階級」と書かれたメッセージ


労働運動の歴史における成果の多くは、フェミニストたちとともに勝ち取ってきたものだ。たとえば3・8国際女性デーも最初の目標は、労働時間の短縮、賃上げ、労働環境の改善、児童労働の禁止などだった。フェミニストたちが今回被った被害は、男主義社会の抑圧に根源があるが、同時に社会構造における階級的抑圧という根源でもある。これらの問題があるなかで、僕たちの誰一人としてこの問題を避けて通ることはできないし、まして屈服することなど断じてできない。前進する道を探し続けながら、他の誰かに対する支援の手を差し伸べよう。そしてその手を強く握りしめよう。

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听到女人在歌唱吗

女たちの歌声がきこえるか
 


このショートフィルムは、「はやくあなたたちと爆食いしたいよ!あなたたちの帰りを待ってるよ!」と題して労働者たちがつくったもので、上記に訳した文章からの引用が多くみられる。

途中から始まる、かなり素人っぽさ満載の合唱は「レ・ミゼラブル」でうたわれる「民衆の歌」の替え歌で、タイトルは「女たちの歌声がきこえるか」。

この「女たちの歌声がきこえるか」は、女性への暴力が大きな問題になっていた中国社会でも数年前から広まり、2013年11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」の際には、フェミニストたちが北京の地下鉄でこの歌を歌い始めるフラッシュモブも行われた(そのときの映像はこちら)。

 

このショートフィルムの最後には、5人のフェミニストたちを支援する労働者たちが「パンとバラ! 労働者とフェミニズムは一緒にいる!武嶸嶸、鄭楚然、王曼、李婷婷、韋婷婷、みんな帰りを待ってるよ!」というメッセージを語っている。以下は歌詞の日本語訳(H) 

你听到女人在歌唱吗
女たちの歌声がきこえるか


你是否和我一样  あなたもわたしのように
坚信这世界应平等 この世界が平等でなければならないと信じている?
这是首传唱自由和尊严的 これははじめて自由と尊厳を歌い伝えた
女人之歌 女たちの歌


你可愿和我一样 あなたもわたしのように
为权力抗争到老 老いてなお権利のためにたたかいを続ける?
打破沉重的枷锁 重苦しい鎖を引きちぎり
找回女人的力量 女たちの力をとりもどすために


我想出门不害怕 どこへ出かけるにも恐れることなく
想美丽不被骚扰 おしゃれをしてもセクハラされることもなく
请保护我別困住我 どうかわたしを困らせないで
为何我失去自由 どうして私が自由を失わなければならないの
快醒醒巴抓住他犯錯的人不是我 寝ぼけないでよ 悪いのはアイツで私じゃない


我为自己而歌唱 私は私のために歌う
不做你评判的対象 あなたにとやかく言われるためじゃない
我爱我独特模样不论它是 自分だけのスタイルが好きなの
美丑或瘦胖 それがキレイかどうか 痩せてようが太ってようが関係ない


我有闪光的梦想 わたしにはまばゆいばかりの夢がある
我也有丰富的欲望 わたしにはあふれんばかりの欲求がある
面对怀疑和嘲笑 疑いの目や薄ら笑い
艰难中我成长  そんな逆風のなかでわたしは成長する

マイナンバー(共通番号)と個人情報保護の改悪案反対

ref_l治安弾圧・民衆管理監視強化のためのマイナンバー(共通番号)と個人情報保護法の改悪案反対


マイナンバーカードがなくても困らない

安倍政権は、3月10日、グローバル派兵国家建設にとって必須のシステムであり、治安弾圧・民衆管理監視強化のためのマイナンバー(共通番号)と個人情報保護法の改悪案を国会に提出した。

 

改悪法案の名称は、「個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案」と長たらしい文言となっている。マイナンバー導入スケジュールが決まっているため、性格が違う2法案を強引に一本化し早期成立を目指している。

 

改悪法案の目的は、15年10月から市区町村による民衆一人一人に12桁の個人番号と13桁の法人番号を通知し、16年1月に制度を強行することを前提に、18年から「金融分野、医療等分野等における利用範囲の拡充」と称して、「預貯金口座への付番、特定健診・保健指導に関する事務における利用、予防接種に関する事務における接種履歴の連携等」へつなげ適用拡大を狙っていることだ。まさに官民分野共通番号導入による監視社会へのさらなる踏み込みだ。


安倍政権のねらい

 

政府は、改悪の意図を「個人情報の保護を図りつつ、パーソナルデータの利活用を促進することによる、新産業・新サービスの創出と国民の安全・安心の向上の実現及びマイナンバーの利用事務拡充のために所要の改正を行うもの」と位置づけているが、その本音は麻生太郎財務相が「(税の)徴収にも利用できて公平適正な納税につながる」として、21年をめどに義務化の強行だ。

 

つまり、社会保障の給付抑制路線を背景にした税・社会保険料の徴収強化にある。税務署や年金事務所などが、マイナンバーで照会し税務調査、資力調査が可能となる。だから金融機関へのマイナンバー登録は任意で強制力はないにもかかわらず、新規に銀行口座を開設時にマイナンバーを記入させたり、すでに口座がある場合は登録を促したりしていくことになる。

 

医療分野でも自治体や健康保険組合が乳幼児の予防接種記録、特定健康診査(メタボ健診記録)などを管理しチェックしやすいようにしていく。 すでに厚労省は、医療等分野での番号による情報連携が想定される利用場面として①医療保険のオンライン資格確認②保険者間の健診データの連携③医療機関・介護事業者等の連携④健康・医療の研究分野⑤健康医療分野のポータブルサービス(医療健康履歴の確認、予防接種の案内)⑥全国がん登録を打ち出している。将来的には、健康保険証の役割も担わせ病院での診療記録を管理し、二重診療の防止などで医療費の削減につなげようとしている。

 

ところが厚労省は、医療情報等の漏えい・悪用の危険性について触れることはしていない。だから日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会は、「医療等IDに係る法制度整備等に関する三師会声明」を出しているほどだ(2014年11月)。

 

声明は、「患者の病歴という極めてプライバシー性の高い情報が個人番号と紐付く危険性が高くなる」から医療の現場で利用すべきではないと主張している。また、「過去から現在治療中の病気、死後にいたるまで紐付けできる」から漏洩した場合を想定して、医療IDは必要な場合に「忘れられる権利」「病歴の消去」「管理番号の変更」「複数管理番号の使い分け」などが担保されていない欠点を指摘した。

 

マイナンバー制度(2013年5月成立・公布)は、税務署や自治体などが別々に把握している所得や納税、社会保障サービスなどの状況を管理し、年金、医療、介護保険、生活保護、労働保険、税務の6分野で活用するとしており、さらにIC(登録証)カード(氏名、生年月日、性別、住所を記載し、ICチップに番号を記録する)を持たせ、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の住民票コードによって住民登録・戸籍・収入・税・健康保険・医療・福祉給付・介護保険・年金・免許・旅券・犯歴などの個人情報を一元化することにある。警察庁は、マイナンバー制度が省庁自治体間のデータ連携を認めているから治安弾圧のために個人情報の使い放題へと広げていくことは必至だ。

 

今回の改悪法案の「金融分野、医療等分野等における利用範囲の拡充」は、営利主義のために個人情報を大いに使うための突破口となる。すでに民間レベルの個人情報流出事故は限りなく続出している。各省庁・行政においても公務員の守秘義務があっても、個人情報漏洩事件・秘密データ漏洩、犯罪歴・病歴の漏洩など数多く発生している。ハッカーによる不正アクセスやサイバー犯罪、サイバー攻撃も多発している。要するに現段階の「技術水準」では個人情報流出事故は、阻止できないことを証明しているのだ。個人情報を国家が一元的に集中するのではく、分散型によってできるかぎり情報漏洩を防止していく前提条件の整備が必要なのだ。

 

ところが政府はさかんにマイナンバーのコマーシャルを個人情報漏洩の危険性とセキュリティーの脆弱性をひた隠しながら、なにがなんでも導入強行にむけてばらまいている。個人情報をつかみきるシステム構築は、ICカードによる身分証明書機能や個人情報の統合的なデータベース化によって国家権力の統治力を強化していく装置となるからだ。


個人番号カードの申請やめよう

16年1月からマイナンバーの利用と個人カードの交付(任意)が開始される。行政、金融機関、医療機関等、会社等の関係書類で番号の記載が求められ、強制ではないが本人確認のためにマイナンバーカードの提示が求められる。カードは、顔写真を添付して申請しなければ届かない。当面は任意だが、今回の改悪を通して個人番号カードに医療分野利用を拡大し、保険証へとつなげることによってカード義務化の下地を積み上げていこうとしている。

 

しかしこのカードがとんでもない「なりすまし」を増やすツールとなってしまうのだ。政府は、「顔写真付きだからなりすましがしにくい」と居直っているが、カード表面の顔写真を取り替える偽造が可能なのだ。本人確認の場合、内蔵されたICチップの顔写真デートをかならずチェックしなければならない規定と罰則がないのだ。偽造カードによって別人になりすました犯罪が横行することは間違いない。

 

政府はカード義務化の材料としてカード普及率を根拠にするだろう。だから個人番号カードを申請せず、通知カードのままでいいのだ。「マイナンバーカードがなくても困らない」を合い言葉に民衆管理監視強化に有効な痛打を与えていかなければならない。

 


自己の個人情報をコントロールする権利を否定

個人情報保護法改悪案は、匿名加工情報を特定できないようにすれば本人の同意なしで企業利益のために活用できることを目的にしている。いわゆる「ビッグデータ」と称する商品価値が高い個人情報を金儲けのためのマーケッティング調査などに有効活用していくことだ。内閣府の外局として個人情報の取扱いの監視監督権限を有する第三者機関(個人情報保護委員会)を特定個人情報保護委員会を改組して設置して個人情報の目的外利用ができないように監視を強化するとしている。

 

だがここではプライバシー保護のための情報主体の「事前の同意」による「自己の個人情報をコントロールする権利」と「個人情報の開示請求権」、「違法な情報利用の中止請求権」、「不服申し立て制度」の確立が無視されたままだ。しかも自己コントロール権とプライバシー権の防衛に比重をおき、情報公開され、公正な「第三者機関」の設置にはほど遠い代物だ。

 


政府は、いまだにマイナンバー導入費・維持費等の総額を明らかにしていない。「社会保障と税の共通番号制度に関する検討会」(10年6月)では導入コストは最大6100億円程度と試算し、利用範囲の拡大によっては最低2000億円以上膨らむとしていた。現在の財政破綻状況のなかでこんな巨額な費用を支出すべきではない。

 

すでにマイナンバー関連の「情報提供ネットワークシステム」の設計・開発を共同事業体(NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所)が123億1200万円、「番号生成システム」が68億9580万円で落札した(14年3月)。システム準備段階でこの勢いだから軽く「想定」予算を突破してしまう。「金食い虫のマイナンバーはいらない」とアピールしていこう。

 

マイナンバー改悪法案の反動性を暴露し、共通番号いらないネットの「『内国人登録証/国内パスポート』として私たちを識別し追跡監視するICカード=個人番号カードを申請しないよう呼びかける」運動を広げていこう。

 

(Y)

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報告:2.21国賠ネットワーク第26回交流集会

国賠ネット 2月21日、国賠ネットワークは、第二六回交流集会が行なわれ、約50人が参加した。

 

国賠ネットは、国や自治体の公務員から不法な被害を受けた人たちが国家賠償法により責任を問い、賠償を求める国賠裁判を進める原告や支援グループの連携や相互支援をめざしたネットワークだ。前半は、総会が行なわれ、この1年間の活動等を報告した。

 

講演は、竹内明美弁護士が「面会妨害国賠の現状と今後の課題」をテーマに提起した。

 

竹内さんは、東京拘置所で接見した際に体調が悪い被告をカメラで撮影して、接見を打ち切られ、その面会妨害(2012年3月30日)に対する国賠の原告だ。被告人はソマリア人の男性(11年、アラビア海の商船三井のタンカーを乗っ取ろうとして米軍が海賊対処法違反で逮捕、日本に引き渡す)。男性と接見中、体調及び精神状態の不良が見られたため、写真撮影し、録画を行なおうとした。ところが東京拘置所職員がのぞき窓から撮影行為を目撃し、写真消去を要請してきた。拒否したところ職員は、『接見中止』と告げ、強制終了させた

 

国賠は、12年10月12日に提訴し、14年11月7日に東京地裁が国に10万円の支払いを命じたが、「裁判の証拠に使う目的での被告の撮影は認められていない」と違法を認める不十分な内容だった。

 

竹内さんは、一審判決の問題点を次のように整理した。

 

①「接見」の意義―「写真撮影は接見室で取得した情報の記録化だ。国は、写真撮影は『接見』ではないと主張してきた。判決は、接見を意思疎通の確保であると限定的に解釈し、証拠保全と接見を分断して考えている」。

 

②弁護活動の自由について―「男性の心身の状況を写真撮影し、証拠として保全しておくことは、弁護活動上も必要性が高い。弁護活動の自由として保障される行為であり、それを制限したことは弁護活動の自由の侵害だ。判決は、原告の主張に触れず、撮影行為を禁止し得る実質的な論拠を示さなかった」。

 

③カメラ持込み・撮影禁止の根拠の希薄さ―「国は、外観を撮影する必要があるなら、証拠保全としての『検証』を行なえば足りる。写真撮影を認める必要はないと主張。さらに写真撮影を許すと『未決拘禁者と第三者との無制限な意思疎通を許すこととなり、未決拘禁者の逃走又は罪証隠滅のおそれが生ずる』『(画像が)被収容者の逃走の援助や身柄奪取のために用いられるおそれがある』まで主張してきた」。

 

「原告は、検証より迅速かつ簡易な写真撮影を禁止する理由はないと主張した。写真撮影=接見であり、刑訴法39条2項に基づき写真撮影を禁止する法令はないと反論したが、排除された。『撮影行為により被告人の状態を正確に記録化できることは、弁護活動を行うに当たって……必要不可欠とまでは言い難い』の一言だ」。

 

竹内さんは、一審判決に対して原告・被告ともに控訴し、3月5日から始まることを報告し、「撮影行為は、男性の現況を証拠として保全する最も効果的な手段であり、弁護活動として重要性は極めて高い。撮影行為を制約することは、必然的に『接見』の制約を伴うことになる。撮影行為の禁止も『相当の蓋然性』が認められなければ許されない」と強調した。

 

集会の後半は、裁判進行中の富山(氷見)冤罪国賠、布川事件国賠、麻生邸リアリティツアー国賠、築地署公妨国賠、新宿署違法捜査国賠、星野再審の手紙・ビデオ国賠、横浜事件国賠、よど号逮捕状撤回国賠などから報告が行なわれた。

 

最後に故国倍ネットワーク大勝・最悪賞を選出した。

 

(Y)


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報告:共通番号いらないネット2.20結成集会

共通番号 2月20日、共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会は、「共通番号いらないネット2・20結成集会」を千駄ヶ谷区民会館 で行い、83人が参加した。

 

安倍政権による治安弾圧・民衆管理監視強化の一環として住民票がある民衆に個人番号、納税義務のあるあらゆる団体に利用制限のない法人番号を付けようとしている。2015年10月には番号通知を行い、16年1月に強行する。共通番号制度は個人情報のデータマッチング(名寄せ)によって生涯にわたり追跡可能にし、分野を超えてヨコにつなげ一覧可能にする、国による一元管理の監視装置だ。警察、公安機関も利用できるのだ。ネットは、共通番号制度のねらいと危険性を社会的に暴露し、廃止に追い込む取り組みの強化にむけて「共通番号はいらない」「ほんとうに必要なのか」を合い言葉に結成した。

 


集会はネットの仲間から結成に到る経過、趣旨説明から始まり、「共通番号は住基ネットの失敗を総括し、当初からデータマッチングを目的とし、市民管理の精緻化が最終的に目指されている。共通番号を最終的に廃止に追い込んでいくために全国的に幅広く呼びかけていく」と述べた。さらにネット世話人として白石孝(反住基ネット連絡会)、田島泰彦(上智大学教員)、石村耕治(プライバシー・インターナショナルメジャパン)、末永誠二(弁護士)、田辺由起夫(神奈川
県保険医協会)、藤代政夫(千葉県会議員)、新田真澄(プライバシー・アクション札幌)、広瀬正明(共通番号制ト監視・管理社会に反対するネットワーク大阪)、上江洲由美子(監視社会ナラン市民ネット沖縄)が紹介された。

 

「共通番号・カードにいかに立ち向かうか」をテーマにパネル討論。

 

原田富弘さん(やぶれ住基ネット市民行動)は、「自治体に対して危険性を防止するための措置と個人情報保護を最優先に慎重な対応を求めていかなければならない。警察等への提供の規制、DV等の被害や差別的利用など不利益扱いが予想される場合の提供拒否、自己情報コントロール権の保障、中間サーバや個人番号カードの発行を共同化・委任せず自治体内での責任をもった対応、DV等被害者への番号通知カードの送付方法、個人番号カードの不正取得の防止、『IT弱者』や住民登録がない等の人が不利益にならない仕組みなどの検討と実施を求めていく必要がある」と提起した。

 

石村耕治さん(プライバシー・インターナショナルメジャパン)は、「個人番号は、漏洩して不正に使われるおそれがあると認めせれるときには、本人が市町村長に申請し変更を求める、あるいは市町村長が職権で変更しなければならない。この規定によって順法運動を展開し、実質的に使えなくすることも可能だ。マイナンバー制を廃絶に持ち込むために、各地で各市民が頻繁に番号の変更申請する取り組みは有効だ」と強調した。

 

水永誠二さん(弁護士)は、「憲法13条は、人格権を保障している。人格権の一内容として『プライバシー権』がある。『自己情報コントロール権』とも言われる。情報が高度に流通するようになった現代社会においては、自分に関する情報の取得、保管、利用(第三者への)提供の各段階において、その目的を事前に明らかにさせ、そのような目的での取得や利用について本人の同意権の行使により、その流通を国コントロールして自分のプライはジー情報を守っていくことが必要だ。プライバシーの侵害は萎縮効果を生み、個人が人格的自律を行なってゆく環境を喪失させ、個人を前提とする民主主義の基盤をも掘り崩す結果とな。このインフラは、特定秘密保護法の運用など、監視のためのインフラとして活用されてしまう。歯止めの一つとして『憲法で保障された基本的人権の侵害を止めろ!』と訴えていく必要がある」とアプローチした。

 

藤田倫成さん(神奈川県保険医協会理事、小児科医)は、「横浜市では地域の開業医が中心となり、在宅で療養中の患者の医療等情報をクラウドシステムで共有し、医療・介護の多種連携しているグループがある。だが政府・財界の推進する医療IT化のねらいは、公的医療費の給付抑制、医療産業化のためでしかなく、経済政策としての色合いか強い。生存権とプライバシー保護のバランスを図った医療等情報の活用の道を探るべきだ。そのためにも医療独自の個人情報保護法を整備し、医療等情報の機微性に配慮した上で、活用範囲や方法、罰則などを規定すべきだ」と発言した。


 

最後にネットは、「共通番号いらないネット 結成宣言」を提起し、「共通番号法は、その後の成立した秘密法、そして今国会に登場しそうな盗聴法の改悪、共謀罪の新設といった安倍政権が整備する治安立法の一環であることを強調しておきたい。今後違憲訴訟を提起することも射程に入れて運動を進めていこう」と呼びかけた。

 

とりわけ15年10月に「通知カードが届いて初めて共通番号に向き合う市民に対して、『内国人登録証/国内パスポート』として私たちを識別し追跡監視するICカード=個人番号カードを申請しないよう呼びかける」と当面する具体的行動を提起した。

 

(Y)

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18歳選挙権を支持する

TKY201307120438 3月5日、与野党六党(自民、公明、民主、維新、次世代、生活・山本太郎)は、共同で、18歳以上に選挙権年齢を引き下げる「公職選挙法改正案」を衆議院に提出した。社民党もすでに同法案に賛成を表明しており、共産党は「検討中」とされる。

選挙年齢の18歳への引き下げは、昨年成立した「改憲国民投票」改定案が、同国民投票の投票権年齢を「18歳以上」に引き下げたことと関連している(同法では改憲国民投票での18歳選挙権規定は、一般選挙での投票権年齢が18歳に引き下げられるまで実施しないことになっている)。すなわち今回の「18歳以上」に有権者年齢を引き下げる「公選法改正案」は、安倍自民党政権が打ち出している2016年改憲のタイムスケジュールと連動したものであることは一見して明らかである。

安倍政権が、18歳以上への選挙権拡大に積極的である理由は、憲法改悪国民投票に当たって、およそ240万人に達する18歳、19歳の青年人口の支持を得たい、という思惑に発しているのだろう。他方、自民党の中には、この機会をとらえて「教育の政治的中立性確保」を名目に、教員労組の活動、教員の授業の内容にいっそうの統制・監視を強めようという動きもある。



われわれは、有権者年齢の引き下げに賛成である。かつてわれわれは1970年代に発行した政策パンフ「根本的解決が求められている」の中で、「16歳選挙権」を提起した。ニカラグアのサンディニスタ革命政権が、選挙権の16歳への引き下げを断行したことは、われわれに大きな感銘を与えた。さる2月22日に行われた自衛隊駐留の是非を問う、沖縄県与那国町の住民投票では中学生も投票権を行使した。

16歳以上選挙権は現在、ニカラグア以外でもオーストリア、キューバ、ブラジルなどで実施されており、ノルウエー、スイスなどでは特定の州や市町村選挙で16歳選挙権が実施された。18歳選挙権は世界の85%以上の国で実施されており、日本では25歳以上(参院議員と都道府県知事は30歳以上)となっている被選挙権も、世界では過半数の国が21歳以上である。

刑法の適用における「少年保護」と、選挙権・被選挙権の有権者年齢の引き下げは決して矛盾するものではない。

われわれは1970年代の高校生運動において「高校生の政治的・社会的諸権利を」と訴え、そのスローガンの下に多くの仲間を結集した。安倍政権の憲法改悪・戦争国家をめぐる攻防の中でこそ、あらためて青少年層の間で大きな論議を巻き起こすことが求められている。

18歳選挙権はそのための入り口である。(K)

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報告:日弁連「通信の秘密と通信傍受法を考える市民学習会」

日弁連 11月21日、日本弁護士連合会は、弁護士会館で「通信の秘密と通信傍受法を考える市民学習会」を行い、150人が参加した。

 


9月18日、法相の諮問機関の法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」(2011年6月設置)は、「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」を答申した。答申は、取調べの全面可視化(録音・録画)の否定、盗聴法対象範囲拡大、司法取引の導入など法務省、警察官僚の治安弾圧体制強化を代弁するものとなった。来年の通常国会に、刑法・刑事訴訟法等改正案と通信傍受法改正案を上程する。

 

盗聴法の改悪は、現行法が薬物関連犯罪、銃器関連犯罪、集団密航、及び、組織的に行なわれた殺人だが、さらに現住建造物等放火/殺人/傷害・傷害致死/逮捕監禁/誘拐・人身売買/窃盗・強盗・強盗致死傷/詐欺・恐喝/爆発物使用/高金利の貸し付け/児童ポルノの製造・提供を追加した。また、これまではNTTなど通信事業者施設内で立ち会いのもとに盗聴を行ってきたが、通信事業者から警察施設へのデータ伝送を可能にした。対象犯罪の拡大と立会人なしの盗聴法改悪は、権力の恣意的判断でいつでもどこでも無制限に盗聴態勢を敷くこが可能になってしまう。通信の秘密、個人のプライバシーを否定した人権侵害の違法捜査法は廃止しなければならない。


盗聴法改悪のねらい

開会あいさつが神洋明さん(日弁連副会長)から行われ、「エドワード・スノーデンのアメリカ国家安全保障局(NSA)による盗聴・情報収集活動への告発によって、米国で大騒ぎになった。日本も国が個人の情報を盗むために通信傍受法(1999年)を制定し、今回、対象範囲を拡大しようとしている。多くの懸念を持っている」と述べた。

 

青木理さん(ジャーナリスト)は、「盗聴権限の拡大と警察・検察」というテーマで講演した。

 

日本共産党の緒方靖夫国際部長宅盗聴事件(1985年)を取り上げ、「この事件は警察庁警備局、いわゆる公安政治警察の裏組織の『サクラ』の下に行っていたことが明らかになっている。だが不起訴となり、警察幹部が処分されるだけだった。当時の警察庁長官山田英雄が『警察におきましては、過去においても現在においても電話盗聴ということは行っておりません』(1987年5月)と国会答弁し、逃げ切ってしまった。後に伊藤 栄樹元検事総長は回顧録『秋霜烈日』(1988年)で緒方盗聴事件に関連して盗聴を合法化すればいいと提言していたが、現実に盗聴法を1999年に制定してしまった」。

 

「だが、警察にとって現行盗聴法は薬物関連犯罪、銃器関連犯罪、集団密航、及び、組織的に行われた殺人の四類型に限定され、通信事業者の立会いが必要なため使い勝手が非常に悪いと感じていた。だから今回、一般的犯罪も含めて対象範囲を拡大し、盗聴やり放題を合法化しようとしている。公安警察のこれまでの違法な情報収集活動を合法化することだ。非常に危機感を持っている」と批判した。

 

パネルディスカッションが行われ、コーディネーターが山下幸夫さん(日弁連刑事法制委員会事務局長)。パネリスト が青木理さん(ジャーナリスト)、足立昌勝さん(関東学院大名誉教授)、岩村智文さん(日弁連刑事法制委員会)から「新時代の刑事司法制度特別部会」答申、改悪盗聴法の批判が行われた。

 

なかでも足立さんは、日弁連の答申に対する「あいまいな態度」について取り上げた。

 


「日弁連意見書(13年1月17日)では、『通信傍受は、通信の秘密を侵害し、個人のプライバシーを侵害する捜査手法であることを踏まえ、その対象を安易に拡大するべきではない』と表明していた。しかし日弁連は答申に賛成し、盗聴法改悪の『●通信傍受の対象を拡大し、振り込め詐欺や組織窃盗を含め、通信傍受が必要かつ有用な犯罪において活用できるものとする。●暗号等の技術的措置を活用することにより、立会いや封印等の手続きを合理化する。●該当性判断のための傍受の方法として、全ての通信を一旦記録しておき、事後的にスポット傍受(最小化)の方法による必要最小限度の範囲の聴取を行うことも可能な仕組みとする』ことを認めてしまった」と批判した。

 

「会話傍受」についても「①振り込め詐欺の拠点となっている事務所等②対立抗争等の場合における暴力団事務所や暴力団幹部の使用車両③コントロールド・デリバリーが実施される場合における配送物の三つの場面を念頭に置き、指摘される懸念をも含めて、その採否も含めた具体的な検討を行うことまで合意した。『懸念』に配慮するポーズをとりながら次々と違法盗聴を合法化していくことをねらっている」と指摘した。

 

(Y)

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報告:盗聴法の大改悪に反対する9.11集会

盗聴法 9月11日、「盗聴法の大改悪に反対する9・11集会」が文京区民センターで行われ、60人が参加した。主催したのは、盗聴法廃止ネットワーク(盗聴法に反対する市民連絡会/東京共同法律事務所/日本国民救援会/反住基ネット連絡会/許すな!憲法改悪・市民連絡会)。



安倍政権は、「戦争をする国」作りの一環として集団的自衛権行使を閣議決定で容認し、秘密保護法の年内施行、司法改悪を法案化し国会提出を狙っている。とりわけ法務省法制審議会特別部会では、冤罪防止に向けた取調べの全面可視化を軸にした論議が行われていたにもかかわらず、法務省・警察省の抵抗によって限定可視化で妥協する事態に入ってしまった。


さらに えん罪を大量生産する司法取引、盗聴のやりたい放題を可能にする盗聴法改悪を強行し、治安弾圧体制のレベルアップへと踏み込もうとしている。ネットワークは、安倍政権が盗聴法改悪の次に共謀罪制定を策動してくると分析し、新たな局面と対決する運動の取組みにむけて論議を深めた。


集会あいさつが西田壌弁護士(自由法曹団治安警察問題委員会事務局長)、今井恭平さん(なくせえん罪!市民評議会)から行われ、法務省法制審議会特別部会、盗聴法改悪を厳しく批判した。


村井敏邦さん(一橋大学名誉教授)は、「盗聴法の拡大になぜ反対するのか」というテーマから講演した。



村井さんは、「秘密国家、軍事国家への道を支える道具として盗聴法と共謀罪がある。すでに秘密保護法の中に共謀罪を新設し、共謀罪制定の先駆けとして設定した。共謀罪の発動を実効的にさせる手段として盗聴法の拡大がある」と提起し、盗聴法と共謀罪がセットであることを浮き彫りにした。


さらに(盗聴法が)「現行法では盗聴の実施にあたっては、立会人が必要となっている。改正案では立会人ではなく機械によってチェックする案が提出されている。本来、立会人には、違法な盗聴をチェックする権限が与えられるべきであって、違法盗聴の切断権を認められる必要があった。より形式的にすることによって盗聴によるプライバシー侵害を一層容易にするなどということは、もってのほかというべきである」と強調した。


NSAと日本の情報機関の一体化?

海渡雄一さん(弁護士)は、「共謀罪捜査のための盗聴法拡大か」という観点から、以下問題提起した。



①盗聴法の適用犯罪拡大反対―盗聴捜査は少なくとも組織犯罪の捜査手法に限定させ、一般犯罪への拡大を阻止することで、捜査機関の恣意的な濫用を未然に防ぐ必要がある。


②NSA(米・国家安全保障庁)が開発した「プリズム」(インターネット業者から情報収集するシステム)―NSAは、イギリスの諜報機関GCHQと情報共有が図れていた。当然、日本の情報機関が「プリズム」の存在を前提にした繋がりを求めている可能性がある。NSAと日本の情報機関の一体化について、どのような関係を結んでいたかを究明することは重用だ。



③司法改悪をめざす審議会の最終報告に対して日弁連推薦委員が賛成した問題―日弁連は、審議項目の個別採決を認めず一括採決に同意した。個別に反対することも可能であったにもかかわらず、限定可視化、国選弁護人拡大の制定を優先して妥協してしまった。だから日弁連には、盗聴法反対にむけたイニシアチブ組織を設置していない。日弁連が盗聴法反対の先頭に立つことは困難であり、反対運動が厳しくなることを自覚しなければならいない。だが日弁連は共謀罪に反対している。だから共謀罪反対と結びつけて盗聴法反対の運動を組織していくことだ。


最後に反住基ネット連絡会がマイナンバー導入の危険と反対運動の方向性、盗聴法に反対する市民連絡会が盗聴法改悪批判を行った。


(Y)

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新たな刑事司法制度答申案批判 安倍政権の治安弾圧強化を許すな!

press_140709_houseishinL-279x156(7月5日、法制審の答申を受けて村木厚子労次官や周防正行監督ら5委員が会見)

7月9日、法相の諮問機関の法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」(2011年6月設置)は、「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果(案)」を了承した。答申案は、取調べの全面可視化(録音・録画)の否定、盗聴法対象範囲拡大、司法取引の導入など法務省、警察官僚の治安弾圧体制強化を代弁するものとなった。

 

 

9月の審議会総会で報告し、法務大臣に答申する。来年の通常国会に、刑法・刑事訴訟法等改正案と通信傍受法改正案を上程する。安倍政権は、グローバル派兵国家建設の一環として特定秘密保護法施行に次ぐ強力な「武器」として使い切ろうと狙っている。

 

 

 

 


全面可視化否定―これでは冤罪がくり返される


特別部会は、大阪地検特捜部の押収資料改ざん・犯人隠避事件(10年9月)を通した検察機構の危機と社会的批判を収束するために可視化賛成・反対派の委員(裁判官、検察官、弁護士、警察、学者、民間人26人、幹事14人)で構成し、表面的にバランスを保ちながら審議してきた。

 

 

しかし、安倍政権成立以降、反対派(警察庁、元検事など)の攻勢が続き、事務局が全面可視化に逆行する「論点整理」(12年3月16日)を出してきた。容疑者の取り調べの可視化は、「裁判員裁判の対象罪名で逮捕された場合は原則的に全過程の録音・録画を義務付ける」案と、「録音・録画の範囲を取調官の一定の裁量に委ねる」案を併記した。容疑者以外の参考人については「一律に対象とする必要性は乏しい」として排除した。可視化の限定と裁量の両論併記という手法を用いながら、全面可視化の否定に踏み込んでいた。

 

 

このような反対派の抵抗に対して全面可視化派は、民間委員5人[神津里季生(連合事務局長)/周防正行(映画監督)/松木和道(北越紀州製紙株式会社取締役)/村木厚子(厚生労働事務次官)/安岡崇志(元日本経済新聞社論説委員)]が『原則としてすべての事件を録音・録画の対象とすべきである』(13年2月)という意見書を提出せざるをえなかった。

 

 

ところが全面可視化派の必死の反撃に対して日弁連幹部は、反対派の治安弾圧体制強化である全面可視化の否定という階級的任務にもとづく恫喝に屈して、自己保身的に検察の可視化先行を取引条件にして「将来的には全事件で全面可視化」というあいまいなレベルで妥協の土俵に乗っていくのであった。

 

 

こんな「裏切り」を許せないと憤激する冤罪事件の被害者らは、日弁連に対して「全事件・全過程の可視化」を要請する事態になっていた(14年6月13日)。桜井昌司さん(「布川事件」冤罪被害者)は、「全事件で可視化をしなければ冤罪は防げない。日弁連が妥協すると、『全て可視化しなくてもいい』と社会から誤解されてしまう」と厳しく糾弾した。朝日新聞も「冤罪への猛省から出発した三年間の議論の結果は、妥協の産物と言わざるをえない」と批判した(7月10日)。

 

 

最終的に答申案は、取調べの可視化について裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件に限定してしまった。しかも録音・録画すれば容疑者が十分に供述できないと検察官が判断した場合など可視化の例外も認めた。このような答申案に対して日弁連は「検察・警察がともに、一定事件についてであっても全過程の録音・録画に踏み出したことは、当連合会が求める全事件の可視化実現に向けた第一歩として評価することができる」と持ち上げ、民間委員もこの流れに巻き込まれていった。

 

 

民間委員の周防正行さん(映画監督)も「対象事件は限られていても録音・録画は取り調べの全過程でなければならないんだということが法律で決まることの意味は大きいと思います」と苦々しく総括せざるをえなかった(朝日/8月2日)。

 

 

裁判員裁判の対象は、殺人・強盗致死傷・傷害致死・危険運転致死・現住建造物等放火・身代金目的誘拐などであり全事件のわずか2%程度、検察官独自捜査事件は年間100件程度でしかない。例えば、パソコン遠隔操作冤罪事件(2012年)は4人がデッチアゲ逮捕(脅迫罪、威力業務妨害罪、不正指令電磁的記録作成・同供用罪などを適用)された。権力は、被害者に対して「誤認逮捕」として平謝りしただけだった。

 

 

つまり、答申案が法制化されたとしても、このような事件の場合、裁判員対象外事件だから取調べを可視化しなくてもいいわけだ。だから強引な誘導尋問などが検証できず、実質的に権力の冤罪再発体質は温存されたままである。すでにデッチアゲに向けた取調べは、任意による取調べも含めてすべての事案で発生しているのであり、可視化を裁判員対象罪だけにするというのは検察・警察の冤罪再犯もやむをえないと言っているのと同じだ。取調べの全面可視化を否定する答申案を厳しく批判し、法案審議段階でも強く要求していく取り組みが必要だ。

 


盗聴やりたい放題のための改悪


答申案の第2の問題点は、通信傍受の対象犯罪拡大だ。現行の通信傍受法は、薬物関連犯罪、銃器関連犯罪、集団密航、及び、組織的に行なわれた殺人の捜査に限られている。これに現住建造物等放火/殺人/傷害・傷害致死/逮捕監禁/誘拐・人身売買/窃盗・強盗・強盗致死傷/詐欺・恐喝/爆発物使用/高金利の貸し付け/児童ポルノの製造・提供を追加する。さらにこれまではNTTなど通信事業者施設内で立ち会いのもとに盗聴を行ってきたが、通信事業者から警察施設へのデータ伝送によってお手軽な盗聴を強行することができるのだ。

 

 

 


要するに対象犯罪の拡大と立会人なしの盗聴は、実質的に権力の恣意的判断でいつでもどこでも無制限に盗聴態勢を敷くこが可能なのである。公安政治警察は大喜びなのは間違いない。盗聴犯罪として有名なのが日本共産党の緒方靖夫国際部長宅盗聴事件(一九八五年)だが、この事件は警察庁警備局、いわゆる公安政治警察の裏組織の非公然司令部「サクラ」の下に行っていたことが明らかになっている。だが当時の警察庁長官山田英雄が「警察におきましては、過去においても現在においても電話盗聴ということは行っておりません」(1987年5月)と国会答弁し、逃げ切ってしまったが、改悪盗聴法の制定によって「公然」と盗聴しようというのだ。

法務省は、アリバイ的に2013年の盗聴強行が六四件(通話の回数は計10934回)だったと公表した。「傍受が実施されたのは、覚醒剤など薬物の輸入・密売や拳銃所持、組織的殺人未遂など12事件」(朝日/14年2月2日)と言っているが、ここには公安政治警察の非合法の盗聴などは含まれていないことは明白だ。公安の盗聴は解体だ。

 

 

答申は盗聴が「複数人が共謀する場合にだけ認められる」などと明記しているが、これまで権力がデッチアゲ罪名を被弾圧者に適用し、共謀範囲を広げて複数人を準備段階から盗聴し不当逮捕してきた「実績」を繰り返してきたことを「合法的」に行うというのだ。こんな通信の秘密、個人のプライバシーを否定した人権侵害捜査法は廃止しなければならない。

司法取引=冤罪大量生産

 

 

答申案の第3の問題点は、「 捜査・公判協力型協議・合意制度の導入」(司法取引)の導入だ。捜査機関が容疑者や被告の処分を軽減することを「エサ」にして協力させる手法のことだ。すでに薬物などの組織犯罪、企業犯罪、汚職など経済事件で秘密裡に適用しているが、これを合法的に強行することをねらっている。つまり、取調官の誘導により、虚偽自白、第三者を名指しする引き込みの危険が発生することを前提にしている。また、所属組織のスパイになることを取引き条件にした処分軽減も横行することになる。

司法取引の合意には、弁護人の合意を条件にしている。取り調べの全面可視化、全面証拠開示制度が成立していない中で、弁護士はどのように事件内容を判断できるというのか。権力の誘導によって協力者となった被告人に依頼された弁護士が動員され、冤罪事件に加担する危険性があるのだ。米国の冤罪事件の15%が司法取引によるものだったことが明らかになっている(中日新聞14年6月27日)。特別部会の審議では、司法取引は欧米で広く取り入れられているなどと導入根拠の一つとしているが、米国の冤罪事件発生も含めて検証し、合理的な必要性を提示した形跡がない。冤罪大量生産に導く司法取引制度に反対していかなければならない。

共謀罪制定時期の策動開始

 

 

自民党の脇雅史参院幹事長は、答申案に便乗して、「共謀罪」創設を組織犯罪処罰法の改正など関連法案の提出を急ぐべきだと表明した(7月22日)。菅義偉官房長官は「慎重な上にも慎重に検討していくべきだ」と述べ、「火消し」に振る舞った。だが、司法改悪のうえで共謀罪を制定する魂胆を明らかにしたに等しい。

特別部会の審議段階で法務省、警察庁関係者が熱心に求めていた「会話傍受の導入」を答申案では見送った。露骨な住居侵入罪の成立、プライバシー侵害だから、とりあえず引っ込めたにすぎない。権力にとって住居や車両内への秘匿による監視機・盗聴機の設置を合法化することも絶対に必要な捜査手法の一つなのだ。盗聴法改悪の延長に共謀罪とセットで「会話傍受の導入」を狙ってくる。

 

 

特別部会では「対象犯罪が犯されたことを疑うに足りる十分な理由、他の方法によっては犯人を特定し又は犯行の状況等を明らかにすることが著しく困難であることを令状発付の要件とするものとする」というフリーハンドで監視機・盗聴機の設置することができるなどという意見も出ていたほどだ。答申案は「今後の課題」で(「会話傍受の導入」が)「証拠を収集する上で必要であり、理論的にも制度化は可能であるとの意見があった一方で、……認めるべきでないとして制度化自体に反対する意見があった」と両論併記したが、時期を見計らって再浮上させるつもりだ。

東京オリンピック治安弾圧キャンペーンを煽りながら繰り返し悪法制定を狙ってくる。今後も厳しく監視し、その意図を社会的に暴露し阻止しなければならない。 (Y)

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7.8大阪高裁判決 京都朝鮮第一初級学校襲撃事件について

20100811132935bb1人種差別禁止法、ヘイト・クライム法を制定せよ

大阪高裁(森宏司裁判長)は、7月8日、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)による京都朝鮮第一初級学校襲撃事件に対する民事訴訟の控訴審で一審判決(2013年10月7日)を支持し、再び在特会に対して約1226万円の支払いと学校の半径200m以内での街宣禁止街宣差し止めを命じた。在特会側の控訴を棄却した。

 


在特会のヘイト・クライム(憎悪犯罪=差別的動機による暴力や差別発言を伴った暴力)とヘイト・スピーチ(人種差別憎悪表現)を断罪した一審判決に続く、大きな勝利だ。安倍政権のグローバル派兵国家建設と連動したナショナリズム、差別排外主義潮流に対する新たな打撃を与えたことは間違いない。

 

事件の経過はこうだ。在特会は、ヘイト・クライムとヘイト・スピーチ全国運動の一環として2009年12月4日から3回にわたって、京都朝鮮第一初級学校が隣接する公園を同校が教育を受ける権利の観点から慣例として使用してきたにもかかわらず、京都市の許可を得ないまま運動場として使っているなどとデッチ上げ、同校の校門前で、「朝鮮人をたたき出せ」「北朝鮮のスパイ養成所」「朝鮮学校、こんなものはぶっ壊せ」「犯罪者に教育された子ども」「端のほう歩いとったらええんや」などと拡声器で脅迫する襲撃と教育活動への妨害を行った。この暴挙の映像をインターネット上で公開した。在特会のメンバーは、威力業務妨害罪などに問われ、有罪判決が確定している(2011年4月)。

 

在特会は、民事訴訟一審判決を不服として控訴し、「街宣は朝鮮学校側が公園を無許可で占有していた特定の集団への優遇措置を批判する正当な政治的表現活動であり、公益性があった。差別目的ではなく、懲罰的な高額賠償も許されない」などと居直り、反論していた。

 

一審判決は、在特会のヘイト・クライム、ヘイト・スピーチに対して「示威活動で児童らを怖がらせ、通常の授業を困難にし、平穏な教育事業をする環境を損ない、名誉を毀損した」だけではなく「在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図がある」として、「日本が加盟する人種差別撤廃条約が禁じた『人種差別』(人種や民族的出身などに基づく区別、排除)に該当する」と違法性を認定した。また、「街宣活動による物品の損壊など経済的な面だけでなく、業務の運営や社会的評価に対する悪影響など全般に及ぶ」と指摘し、「差別行為に対する効果的な保護と救済措置となるような高額の損害評価が必要」だと判断した。


二審判決は、基本的にこの立場を踏襲しつつ、原告の朝鮮学校の意義と重要性の主張に対して「朝鮮人学校を設置・運営して在日朝鮮人の民族教育を行っていたこと、……民族教育を軸に据えた学校教育を実施する場として社会的評価が形成されている」と認めた。

 

さらに「(在特会の)活動により、学校法人としての存在意義、適格性等の人格的利益について社会から受ける客観的評価を低下させられたこと、学校の教職員等の関係者が受けた心労や負担も大きかったこと、……学校における教育義務を妨害され、学校の教育環境が損なわれただけではなく、我が国で在日朝鮮人の民族教育を行う社会環境も損なわれたことなどを指摘することができる」と踏み込んだ評価を行っている。

 

そのうえで判決は在特会を断罪するために「朝鮮ヤクザ」「日本からたたき出せ」「ぶっ壊せ」「端のほう歩いとったらええんや」「キムチ臭いで」「約束というのはね、人間同士がするもんなんですよ。人間と朝鮮人では約束は成立しません」「日本から叩き出せ」「解体しろ」「不逞な朝鮮人を日本から叩き出せ」「保健所で処分しろ、犬の方が賢い」「卑劣、凶悪」「ゴキブリ、ウジ虫、朝鮮半島へ帰れ」などのヘイト・クライムとヘイト・スピーチを列挙した。つまり、差別に基づく、暴力、脅迫、迫害が行われ、重大な人権侵害であると指摘しているのである。

 

判決は言う。「これらは在日朝鮮人を嫌悪・蔑視するものであって、その内容は下品かつ低俗というほかはない。しかも、その態様は、多人数で、多数の児童らが在校する日中に、いきなり押しかけて拡声器を用いて怒号して威嚇し、街宣車と拡声器を使用して声高に叫んで気勢を挙げ、広範囲の場所にいる不特定多数の者らに聴取させたというものである」と批判し、「強い違法性が認められる」とした。

 

インターネット動画配信についても、「不特定多数の者による閲覧可能な状態に置いたことは、その映像を広く拡散させて被害を増大させたというだけでなく、映像の流布先で保存されることによって今後も被害が再生産されることを可能としている」「その全体を通じ、在日朝鮮人及びその子弟を教育対象とする被控訴人に対する社会的な偏見や差別意識を助長し増幅させる悪質な行為であることは明らかである」と糾弾している。

 

最後に「人種差別という不条理な行為によって被った精神的被害の程度は多大であったと認められ、被控訴人は、それら在校生たちの苦痛の緩和のために多くの努力を払わなければならない」、(在特会の)「活動は、教育業務を妨害し、学校法人としての名誉を著しく損なうものであって、憲法13条にいう『公共の福祉』に反しており、表現の自由の濫用であって、法的保護に値しないといわざるを得ない」と結論づけた。


このように一審、二審判決は、人種差別撤廃条約の第4条「(a)人種的優越・憎悪観念の流布・煽動を犯罪とする(b)人種差別団体を規制すること」の観点から「示威活動で児童らを怖がらせ、通常の授業を困難にし、平穏な教育事業をする環境を損ない、名誉を毀損した」だけではなく「在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図がある」として、「日本が加盟する人種差別撤廃条約が禁じた『人種差別』(人種や民族的出身などに基づく区別、排除)に該当する」と厳しく批判したのである。さらに、「街宣活動による物品の損壊など経済的な面だけでなく、業務の運営や社会的評価に対する悪影響など全般に及ぶ」と判断し、「差別行為に対する効果的な保護と救済措置となるような高額の損害評価が必要」だと判断したのだ。

 

もはや安倍政権は、人種差別撤廃条約(a)、(b)を留保し続けることは許されない。すでに人種差別撤廃委員会が日本政府に人種差別禁止法を制定せよと勧告されている(2001年3月10日)。京都朝鮮第一初級学校襲撃事件判決は、日本政府の「処罰立法を検討しなければならないほどの人種差別煽動は日本に存在しない。憲法は表現の自由を保障している。表現行為の制約には、制約の必要性と合理性が求められる。優越的表現や憎悪の活動の行き過ぎは刑法の個別的な罰則で対処する。現行の法体系で十分な措置である」などとくり返し、逃げ続けることを批判していることは明白だ。

 

一審判決直後、菅義偉官房長官が「(在特会の行為が)こうしたことがないように、関係機関において法令に基づいて適切に対応したい。政府として、関心を持っていきたい」など表明していたが、いまだに人種差別撤廃条約(a)、(b)の留保の撤回と承認、人種差別禁止法制定にむけて着手していないのが現状だ。安倍政権がナショナリズムと差別排外主義を煽り立てを強めているのと比例してサボタージュしているのが真相だ。

 

人種差別禁止法(民事・行政・刑事など諸分野にまたがる法律。個人や団体による人種差別の禁止、政府による人種差別の禁止、差別被害者の救済〈被害補償、損害賠償、地位保全など〉を包括する法律)、ヘイト・クライム法(人種差別のなかでも特に犯罪に焦点を当てた法)を制定せよ。

(Y)

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新疆ウィグル独立運動10問10答--ウルムチ爆破事件によせて

20140430
▲ウィグル人の労働模範らと会見する習近平総書記(4月30日、ウルムチ)


4月27日から30日まで新疆ウィグル自治区を訪れていた習近平総書記が帰途に着いた直後の4月30日夜7時過ぎ、新疆ウィグル自治区政府の所在地であるウルムチ市のウルムチ南駅前で爆破事件が発生し、3名が死亡、80名が負傷するという事件が発生した。

習近平総書記は新疆訪問直前の4月25日に、国家安全と社会安定に関する中央政治局第14回集団学習会を開催し、治安維持の強化について強調したばかりであった。この会議で習は「暴力テロは、基本的人権を無視し、人道正義を踏みにじり、人類文明の共同のボトムラインに挑戦するものであり、それは民族問題でもなく、宗教問題でもなく、各民族人民共同の敵である。われわれは断固として各民族の幹部大衆を信頼し、かれらと団結して民族団結と社会安定を維持する」と述べた。

習総書記は新疆ウィグル自治区の訪問で、ウィグル族が集住する南疆地区のカシュガルで武装警察の特殊部隊を閲兵し、公安局の派出所で対テロリスト制圧演習を激励。地方の小学校で双語(漢語とウィグル語)教育を見学し、「漢語をしっかり学ぶと将来の仕事にも役立つ。双語教育は民族団結に貢献する」と発言。新疆地域の屯田兵制度である新疆生産建設兵団を訪問し「新疆地区の開墾は漢の武帝時代から2000年の歴史がある」と過酷な生活条件下にある屯田兵を鼓舞し、民族団結や中央政府の支援による経済発展を演出した。

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新疆ウィグル自治区訪問の最終日となったメーデ前日の4月30日には、ウルムチで労働模範および先進的工作者らと会見。そこで次のように述べている。「労働は一切の成功が必ず経由する路である。」「労働は、共産党人が政治的本質を保持する重要な経路であり、共産党人が保持する健康な政治的皮膚感の手段であり、共産党人が優秀な作風を発揮し、自覚的に『四風』を抑制する重要な保障である。」「我が国の労働者階級は改革開放と社会主義現代化建設の主力軍である。現在、経済発展方式の転換の加速、経済構造の戦略的調整の促進、過剰生産力の解消などの原因によって、一部の企業と従業員が種々の困難に直面している。そうであればあるほど、職員大衆の主人公としての役割を発揮しなければならず、職員大衆の生産生活と職業の発展に関心を持たねばならず、全身全霊で労働者階級に依拠するという方針を実現しなければならない」。

「労働者は主人公」と誇らしげに語る習総書記の描く中国の現状は、123年前の同じ日の1891年4月30日に老エンゲルスが「賃労働と資本」の序文に記した状況を彷彿とさせる。

「今日におけるわれわれの社会全体を支配する経済体制にあっては、労働する階級のみがすべての価値を生産する。……労働者階級は、自分たちがつくり出した生産物量全体の一部のみを取り返すのである。そして、先ほど見たように、資本家階級がわがものとする残りの部分は新しい発明や発見のたびごとに大きくなり、労働者階級に属する部分は非常にゆっくりと、しかも少しずつしか増大しないかまったく増大せず、状況しだいでは減少しさえするのである。だが、ますます急速にあいついで起こっているこれらの発明や発見、前代未聞の規模で日々増大している人間労働のこの高い生産性は、ついには、今日の資本主義経済を没落させるに相違ない一つの衝突を生み出す。一方では、買い手には処理できないほどの巨万の富と生産物の過剰とがつくり出され、他方では、社会の大部分がプロレタリア化し、賃金労働者に転化し、まさにそのことによってこの過剰な生産物を取得することができなくなっている。社会は、途方もなく豊かな少数の者と多数の何も持たない労働者階級とに分裂し、そのせいで、この社会は、それ自身の過剰さによって窒息しながら、その一方で成員の大多数が極度の窮乏からほとんどないしまったく保護されないでいる。」

--- 『賃労働と資本/賃金・価格・利潤』 マルクス著、森田成也訳、光文社、2014年4月発行

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爆弾事件の発生は、習総書記の新疆ウィグル自治区を後にした直後に発生した。圧倒的な治安管理下において演出された民族団結のムードは3名の命ととも吹き飛ばされた。そのうち2名は実行犯といわれており、うち1人は南疆アクス出身の39歳のウィグル人だという警察発表が行われた。

民族問題でも宗教問題でもない?そのとおりだ。それは民族自決権や信仰の自由を抑圧する支配体制の問題である。事件を受けて習総書記は断固たる決意で反テロ治安活動を強化するよう指示した。一方、民族抑圧に対抗する手段としての報復テロリズムは、漢族とウィグル人の団結ではなく離反と憎しみを増幅し、支配体制はその憎しみを利用して更なる弾圧政策を行うだろう。

以下は、今年3月1日に雲南省昆明の駅広場で発生したウィグル人らによる無差別襲撃事件のあとにウェブサイトで公開された中国共産主義者の立場である。

それは先に紹介したエンゲルスの序文の最後で述べられている「新しい社会秩序」を実現する上でもきわめて重要な問題を提起している。つまり現に存在する複雑な民族抑圧の解消のために、大民族の労働者階級に対して被抑圧民族の労働者階級に真摯に向き合うことを呼びかけている。

「新しい社会秩序は可能だ。そこにおいては、今日におけるような階級差別が消え去っているだろうし、すでに獲得された巨大な生産力を社会の全成員が計画的に利用しいっそう発展させることを通じて、そうして平等な労働義務にもとづいて、生活のための、生活を享受するための、あらゆる身体的・精神的諸能力を陶冶し発揮するための諸手段が、平等かつますます大量に自由になるだろう。そして、労働者は、この新しい社会秩序を闘いとろうとする決意をますます固めている」(エンゲルス、前出)

以下は、香港・先駆社のウェブサイトに転載されていたものを翻訳した。(H)


新疆ウィグル問題10問10答
3・1昆明襲撃事件をどう見るか?

木椿

(工農在線からの転載)
http://gnzxlm.com/forum.php?mod=viewthread&tid=297

【工農在線の編注:昆明でのテロ事件以降、人々は安全に不安を覚え、政府と主流メディアはテロ分子への非難と弾圧を高圧的におこなっているが、新疆のテロ勢力は何ゆえにますます過激化しているのか。本文はマルクス主義的方法でテロ勢力の由来を分析し、テロ事件に対する共産主義者の態度を示そうとするものである。】


【1】 新疆は「古来より中国の神聖不可分の領土」なのか?

紀元前4世紀の漢王朝の時代、新疆はいくつかの小国に分かれていた。早くは匈奴ハン国の付属国であり、後に漢の宣帝時代に、匈奴勢力の衰退によって、中国の漢民族王朝(漢王朝)が西域を支配した。しかし中国内部の分裂が進むにつれ、実際には唐王朝の時代まで、中国の支配者は新疆の支配権を確立していなかった。

強大な唐王朝が巨大な軍事力で突厥ハン国を打ち負かしたが、民衆を抑圧して栄えたこの帝国もこのときから衰退の道をたどり、8世紀中ごろに発生した「安史の乱」以降、元王朝にいたるまで、中国は新疆の地に踏み入ることはなかった。モンゴル人皇帝の元王朝と漢民族の皇帝である明王朝の時代において、中央政府が支配した新疆の地域はハミおよびトルファンという東部地区であり、現在でも漢民族が比較的多い地域である。1759年に満州族の清王朝がモンゴル系のジュンガル=ハン国を打ち負かし、新疆全域を支配した。新疆に対する中国の持続した支配はこの時代からのものである。


【2】 「祖国の神聖不可分な領土」である新疆はなぜこれほど重要なのか?

新疆の面積は中国の陸地面積の六分の一を上回り、国境線の四分の一を占めている。それゆえこの回廊から、中国の軍隊は中央アジアへの進出が可能であり、とくにパキスタンからインド洋へ抜ける道を探し出すことができる。帝国主義の時代においては、遠洋航路を統制下におくことは国際秩序への関与を意味した。新疆には石油など豊富な鉱物資源がある。中国は石油資源希少国であることから、新疆は中国政府の戦略的石油備蓄の建設にとってきわめて重要である。しかもアクスとカラマイの天然ガス資源は「西部のガスを東部に送る」プロジェクトの基盤でもある。新疆鉄鉱石資源も豊富で、2009年の「7・5事件」が発生する前には、開発可能な金鉱窟がいくつも見つかっていた。中国にとって、伊寧(グルジャ)などの内陸港は中央アジアとトルコなどの国家と貿易を行ううえで重要な交易地となっている。


【3】 それほど重要な新疆で、建設と発展の恩恵を被っているのは誰?

ひとつの国家において、勤労の汗水を流すのはつねに労働者大衆だが、富と繁栄を享受するのは上流社会の身なりのよい人だけであることを、われわれはよく知っている。ボトルウォーター会社、旅行会社、貿易会社などの経営者は(漢族か少数民族かに関係なく)、新疆の発展からより多くの利益を受け取っている。


【4】 なぜ新疆独立運動が存在しているのか?

資本主義市場において、いくつかの大民族は比較的勢力が大きく、統一した国内市場をつくり、この市場においてはその民族の言語を使う必要がある。漢語は新疆の公式言語で、漢語が分からないウィグル人は、思い通りの仕事が見つからないことを意味する。漢語を学ぶ機会もそう多くはない。中国における資本主義の発展過程において、少数民族の庶民はたくさん働いても得るものはそう多くない。南疆地区の貧困現象に理由がないわけではない。2014年3月1日の昆明テロ事件で、実行犯の多くが1.7m以下だったという。ウィグル人は欧州系の人種だ。一般的には大柄な姿を思い浮かべるが、なぜ実行犯たちの背丈はそれほど高くなかったのだろうか。栄養不良問題があるのではないか。

新疆独立運動の要求は政教一致のイスラム国家を設立することである。このような建国運動の受益者はまずなによりも地元のブルジョア階級である。なぜなら独立した「民族国家」の範囲内において、自らの資本主義経済を発展させることができるからだ(この民族国家は政治的に依然として旧本国に依拠せざるを得ないとしても)。しかるにブルジョアジーの民族解放運動あるいは分離運動が、もし被抑圧民族の民衆の参加を得られなければ、それは一分たりとも持ちこたえることはできないだろう。新疆建設兵団は新疆の人口の14%、250万人余りを雇用している。しかしそのうち地元のムスリムはわずか25万人にすぎない。

ウィグル民衆の失業率は、大げさなものでは70%に達するというデータもある。もしそれなりの規模の漢族支配階級に対するウィグル民衆の反搾取闘争が登場すれば、あるいはブルジョア民族主義思想との決裂もありえるかもしれないが、現段階においては、不満を持つ民衆は「漢族の経営者や役人がわれわれをいじめる」という事態を「漢族がわれわれをいじめる」と理解してしまうだろう。


【5】 われわれのイスラム教に対する態度とは?

われわれは共産主義者であり、共産主義者の思想体系は唯物主義の立場に立つものである。それゆえマルクスが言ったように「宗教上の不幸は、一つには現実の不幸の表現であり、一つには現実の不幸にたいする抗議である。宗教は、なやめるもののため息であり、心なき世界の心情であるとともに精神なき状態の精神である。それは民衆のアヘンである。民衆の幻覚的幸福としての宗教を廃棄することは、民衆の現実的幸福を要求することである」。

われわれの世界観は、イスラム教を含む一切の宗教と対立するものである。宗教思想は観念論の立場に立つものである。イスラム教はほかの宗教と比べても後進的というわけではなく、それはアラビア半島の氏族社会末期に封建社会へ向かう過程において生まれたものである。その誕生は、ペルシャ(ササン朝)帝国の覇権的支配に反対するアラビア半島人民の闘争に付随したものであった。ムハンマドと最初のイスラム教徒たちは深く反権威的な急進主義的色彩を帯びていた。一神論を提唱したアブラハム宗教のうち(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)において、その預言者たちの出身は庶民階層に近かった。羊飼いや難民の類であり、それはまさに宗教形成の階級的背景を反映したものであった。初期のイスラム教の伝道において、ムハンマドは中東における奴隷と庶民の解放者とみられていた。おもなイスラム教徒はペルシャ王朝とビザンツ帝国に抑圧された貧民たちであり、イスラム教はこれら被抑圧民衆の精神的指導となった。

ムハンマドとその後継者たちが支配者になったのちも、イスラム教社会では依然として富める者が貧しい者を抑圧する社会であった。結局のところイスラム教は前資本主義時代に生み出されたイデオロギーであるが、資本主義社会においても生き続ける空間を見出し、それは搾取秩序に奉仕している。ウィグル人が集住する南疆地区をふくむ多くのイスラム圏では資本主義の世界市場への参画が比較的遅く、経済的に発展した資本主義諸国の統制下において、不満を持つ一部の知識分子が反資本主義的立場を主張することになった。しかしこの立場は労働者大衆を社会変革へと向かわせるものではなく、逆に過去の伝統的秩序に後退させるものでしかない。

そうであるがゆえに、イスラム教徒の内部にも分岐がある。その上層部--一部の高級神職は資本主義経済と密接に関係しており、富を蓄えている。新疆では、1949年の中国革命以前にはモスクが多くの土地を所有する地主でもあり、貧農らはその下にしたがっていた。現在でも新疆のイマーム(導師)はムスリム民衆の冠婚葬祭を支配する地位をもっている。しかし多くのムスリム庶民は貧しい状態のままであり、2009年時点で新疆には27の国家認定の貧困県がある。その多くはウィグル人が集住している南疆地区にあり、その地区の大学生の就職率は20%にも達していない。


【6】 「東トルキスタン」分離運動の実態とは?

この種の排外的で、テロを手段とする武装分離運動の攻撃の矛先は、大民族の一般庶民になっており、それは極端な反動であることは疑いようもない。このような運動は、ウィグル人や漢人に幸福をもたらすことは不可能であり、やむことなき流血の衝突は新疆の各民族を後進的な深みに追いやるだけである。しかしこのような運動が生まれてくる理由は、ウィグルのプロレタリアートの大衆運動が不在であるからであり、貧農や一部の失業者がこうのような極端なテロリズムの虜になってしまっている。この種の運動は漢族ブルジョアジーを排撃するだけでなく、漢族の労働者とウィグル人の労働者の団結をも分裂にさせてしまうのである。

これらの運動は、ある程度までは現代商品経済(資本主義経済)が庶民にもたらす苦難に反対するものである。しかしその方向性は労働者民衆の解放に向かうのではなく、資本主義的全体主義的要素の膨張であり、世俗のウィグル・漢民族連合政府に代わって、非イスラム信徒の権利の抑圧だけでなく、ひいては男女平等の国家をも拒否する。ウィグル人労働者にとっては、ムスリムであったとしても、自らの生活のための闘争において、同じ宗教の信徒であったとしても資本家がその攻撃を和らげることはないのである。

【7】 わが国の新疆問題における政策はどのようなものなのか?

かつて中央政府は「中発〔1984〕第5号文書」を出し、その中で「少数民族の犯罪者に対しては『余り殺さず余り捕まえず』という方針を堅持し、一般的に寛容な処置をすべきである」と規定した。この規定によってウィグル族のスリや押し売りなどに対しては軽い処罰ですまされてきたが、ウィグル族の役人の腐敗汚職に対する寛容さと比べたら、どちらがより保護されているのか? 

またウィグル族の教員は自民族の言語での教育を制限され、ウィグル族の学生がイスラム教を信仰する権利を剥奪され、ウィグル族の女性が街頭でスカーフを被らせないようにさせ、ウィグル族の民衆が「海外敵対勢力」の宣伝資料を読んだだけで「思想犯の嫌疑」がかけられ、内地[新疆以外の中国の区域]の大都市における公然たるウィグル族差別政策(たとえば雲南省の一部の地域で実施されたことのあるウィグル人駆逐政策、東北地方でウィグル人カメラマンがインターネットカフェの利用を拒否されたケース、上海の大学ではかつて政治指導員や班長に対してクラスのウィグル族学生を指導するよう公然と求めていたこと)などがあげられる。

2009年にウルムチで発生した民族衝突では、政府はインターネットを強制的に遮断した。少数民族の民衆は経済的にも弱い立場におかれており、文化および日常生活のうえでも「二等公民」として扱われていることは、遠心的作用のみを加速させる要素となっている。


【8】 われわれは「3・1昆明テロ事件」にどのような態度をとるべきなのか?

われわれは共産主義者であり、共産主義者は労働者階級の利益と団結を擁護する。われわれは労働者階級の立場から庶民に対する無差別なテロ襲撃を批判する。この種の個人的な報復行動はそもそも権力エリートによる新疆政策を変更させることはできない。大民族の庶民のなかにテロの影を落とし、それをもって大民族の支配者たちの譲歩を引き出そうという考えだが、それはまさに逆に、大民族の庶民にテロへの憎しみを抱かせ、大民族の庶民に大民族の支配階級が持つ偏見を受け入れさせ、大民族の庶民を民族抑圧という戦場に送り出すことになるだけである。司会階級はいわゆる秩序を守るためには、無辜の民の犠牲をなんら厭うものではなく、排外的、暴力的な武装テロ行動を恐れてはいない。


【9】 もし政府が強圧的手段を用いて社会的安定を維持しようとすれば、われわれはどのような態度をとるべきなのか?

われわれ共産主義者はブルジョアジーがとるいかなる措置に対しても、政治上の支持をすべきではない。そのようにして維持される社会的安定は、民衆の民主的権利の侵害を前提とするものであり、もうひとつのテロ--国家の暴力装置によるテロがつくりだす安定では、労働者民衆の安心した生活をつくりだすことはできない。昆明事件では実行犯らは大型刃物で庶民を殺傷した。しかし現実の生活において庶民に包丁の所持まで実名登録をさせ、労働者農民自身の組織化とそれに付随する自衛的権利を禁止している状況において、自らの権利を守ることなど語ることもできないのが現状である。


【10】 漢族の労働者はどのように少数民族(ウィグル族)の労働者に向き合うべきか?

みんな貧困にあえぐ労働者である。貧乏人が貧乏人をいじめる必要はない漢族の資本家とその背後にいる役人たちがウィグル人労働者を差別しているのであれば、漢族の労働者は国際主義と階級団結の立場からウィグル人労働者に向き合うべきである。ウィグル人の仲間の習慣、思考方法を尊重し、日常の権利擁護の闘争のなかで緊密な関係を築き、ウィグル人の階級的兄弟姉妹に対する偏見を捨て去るべきである。2009年に東莞の玩具工場で漢族労働者とウィグル族労働者の衝突が発生したが、われわれはこのような悲劇の再発を絶対に回避すべきである。漢族の労働者は現実社会においてはいっそうウィグル人労働者に対して謙虚な精神を持つべきである。そうしてこそ資本家がわれわれの中に築き上げた壁を打ち破ることができるし、ウィグル人の友人たちの信頼をかちとることができるのである。

万国の労働者、団結せよ!

[最後のスローガンは原文は漢語とウィグル文字で書かれている:訳注]


『トークバック 沈黙を破る女たち』

『トークバック 沈黙を破る女たち』 坂上香 監督作品

ドキュメンタリー映画/2013年/日本/日本語字幕付/119分
東京・渋谷【シアター】イメージフォーラムにて4月25日まで上映



公式サイト


「talk backとは、言い返す、口答えするというネガティブな意味で使われることが多い。しかし、本映画では、沈黙を強いられてきた女性たちが『声を上げること』や、人々と『呼応しあう』というポジティブな意味で使っている。」


映画『トークバック 沈黙を破る女たち』のパンフレットにある説明だ。この映画は、サンフランシスコを拠点とするローデッサ・ジョーンズ率いるアマチュア劇団「メデア・プロジェクト:囚われの女たちの劇場」の新作「愛の道化師たちと踊る」の上演とその過程を描いたドキュメント。


この新作「愛の道化師たちと踊る」は、元受刑者とHIV陽性者らが、これまで明らかにしてこなかった自らの経歴や病歴をモチーフにしたパフォーマンス演劇。出演者のほとんどが女性である。ドラッグや犯罪、レイプやDVの被害など深刻な経歴の元受刑者もいれば、比較的恵まれた環境においてもHIVに感染した女性など、さまざまな経歴をもつ女性たちが作り上げるパフォーマンスは、記憶の奥深くに刻み込まれた魂の声であったり、加害者に対する怒りであったり、奴隷出身の祖母らへの尊敬の祈りであったり。それらをひとつの作品につくりあげ、尊厳と力を回復するローデッサらのシスターフッドに衝撃と感銘を受ける。


劇団名の「メデア」とはギリシャ悲劇の「王女メデア」からとられているという。夫への復讐のために自らの娘を殺害するメデアと、深刻な性暴力や虐待の循環の犠牲者となった女性受刑者らを重ねあわせ、更生プログラムの一環として行われる刑務所での演劇ワークショップから始まったプロジェクト。


「HIV女性プログラム」のディレクターであり、ゲイであることをカミングアウトしている医師エドワード・マティンガーが、このメデア・プロジェクトに着目し、コラボレーションを持ちかけたという。医学の進歩によりHIVで死ぬことはほとんどなくなったが、自らの担当したHIV陽性者が、HIVではなく深刻なノイローゼによる自殺や薬物依存による死、夫を含む他者による殺害で亡くなる女性たちを一人でも減らしたいという思いからだ。


劇場でのパフォーマンスには、身振り手振り、気迫のこもったセリフなど、観客に伝わる表現方法が必要だ。自らの過酷な経歴をさらけ出すことの困難さは、この舞台稽古のシーンに加え、出演者らへのインタビューなどによって重層的に描かれている。パフォーマンスやインタビューで語られる女性たちの被害の深刻さは、アメリカ的特長はあるだろうが(祖母が奴隷だった、エスニックグループ内の犯罪社会など)、おそらく日本や世界中の女性たちにも共通のものだろう。女性の体と心に刻まれた深い傷を、表現という方法を通して回復させる方法は、日本軍「慰安婦」とされた女性たちの絵画による表現を想起させる。


作品に登場する女性たちを取り巻く暴力という現実をあらためて認識させられたとともに、手法は異なるのかもしれないが、尊厳回復のひとつの手法としての「トークバック」は、今はなきラディカル・フェミニストのアンドレア・ドヴォーキンの『ドヴォーキン自伝』を読んだときの感覚を思い起こした。「わたしは、姉妹たちにどうしても触れたい。わたしに痛みを取り除く力があればいいのに」(『ドヴォーキン自伝』)。カサンドラ、デボラ、マルレネ、フィーフィー、アンジー、ソニア、メアリー、そしてローデッサら『トークバック』に登場する姉妹たちはドヴォーキンのこの願いが届いているように見える。だがさらに多くの姉妹たちが、いまもなお暴力と抑圧のなかで命と尊厳を踏みにじられている。


トークバックという手法は映像の中だけでなく、この映画作品を作り上げる過程においてもすばらしいシスターフッドを発揮したトークバック的手法がとられた。詳しくは劇場で販売されているパンフレットに掲載されている坂上香監督の解説をぜひ読んでほしい。


東京・渋谷の【シアター】イメージフォーラムで4月25日まで、モーニング(10時45分)、レイトショー(20時50分)で上映されている。ひとりでもおおくの姉妹兄弟に観てもらいたい。


2014年4月14日 (H)


袴田巌さんを生きて取り戻した!

IMG_05583.27ついに再審開始決定―無罪かちとるぞ


袴田巌さんを生きて取り戻した!


えん罪デッチ上げの責任追及を



【静岡】3月27日、9時30分頃、静岡地裁前に約200人の支援が集まり、10時の袴田事件再審決定を待った。その間、小集会を開き、全国からかけつけた多くの市民団体の決意が語られた。9時50分、西嶋弁護団長、袴田さんの姉・ひで子さんを先頭に、裁判所に入った。


そして10時過ぎ「再審開始」の布が掲げられた。いっせいに「やった!」、「勝ちとった!」の声があがった。涙を流す人、肩を抱き合う人そして西嶋弁護団長が「袴田さんの熱い思いがやっとかなえられた」と述べ、ひで子さんも「うれしい、それだけです」と語り、長い闘いを一つになって支えた思いを抱え、東京拘置所に向かった。決定はきわめて明確なものだった。


3・30 再審開始決定報告集会

3月30日、静岡市で「再審開始決定報告集会」が行われた。激しい風雨のなか、200人が参加した。西嶋弁護団長が決定内容の骨格を紹介した。弁護団の5人の弁護士がそれぞれ担当した分野について、経過を含めて報告した。


そして、集会には島田事件の赤堀さん、足利事件の菅家さんが出席した。午後1時半から4時半までのかなり長い集会となった。集会の終わりには「声明」に名を連ねた各団体のアピールがあり、集会アピール(別紙)を確認した。また、検察に対して即時抗告を行わないように、あらゆる方法で訴え、要請の声を届けることが訴えられた。そして袴田さん支援カンパが呼びかけられた。

(S)

無題3.30集会アピール

袴田巌さんの無実を晴らす闘いは、3月27日の静岡地裁による再審開始決定によりやっと動き始めることとなりました。そして、デッチ上げ逮捕以来、無実の罪を着せられた袴田さんを生きて故郷に迎えようとの切実な願いが、身柄の解放により現実となりました。


今回の再審開始決定は、DNA鑑定等に基づき、確定判決が犯人性に関する最有力な証拠とした衣類について袴田さんのものでなく、後日ねつ造されたものであった可能性を示しました。


また、捜査機関によってねつ造された疑いのある重要な証拠によって有罪とされ、極めて長期間死刑の恐怖の下で身柄を拘束されてきたとして、これ以上の拘置を続けることは耐えがたいほど正義に反する状況にあるとして、死刑及び拘置の執行を停止しました。


獄中の袴田さんは無実の訴えを途切れることなく続けて来ましたが、誰をも信じることができなくなり、自らを守るため外界との接触を絶ち切ることでしか、生き延びることができませんでした。


袴田さんは、解放された今も再び拘置所に引き戻されるのではないかとの不安、そして、未だ死刑執行の恐怖から完全に解放されたわけではありません。

 

私たちは司法権力への責任追及、誤判原因の究明、そして、捜査機関によるデッチ上げ、えん罪の構図を厳正かつ徹底的に明らかにしなければなりません。


今回の再審開始決定で、捜査機関によってねつ造された証拠によって獲得されたという重大な疑義が指摘され、裁判所によって厳しく指弾されたことについて、検察官は厳粛に受け止めなければなりません。


したがって検察官は、再審開始決定に対して即時抗告を行わす、これ以上袴田さんの人生を脅かし、死刑の恐怖を抱かせないよう改めて強く求めます。


袴田さんは無実だ!


2014年3月30曰

 

::::::::



3月27日、待ちに待った袴田巌さんが解放されました。
今までのご支援、ありがとうございました。


しかしながら、今後、再審公判で無罪になり、刑事補償を受けるときまでは、
まだ相当の時間を要することは確実です。48年間の拘禁のため,巌さんの健康状態は,完全ではありません。その間、巌さんの生活を支えなければなりません。


そこで、私たちは、袴田救済ファンドという基金を作り、広く募金をお願いし、今後の費用を賄っていきたいと考えています。ご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。

袴田事件弁護団団長 西嶋勝彦

下記の口座に一口1000円以上で,余裕のある方は一〇口程度をめどに振り込んでいただけると幸いです。今後、銀行にも、口座を開設する予定です。

ゆうちょ銀行  二三八支店
普通 3833391
名義人 岡島順治

郵便局から振り込む場合は手数料の関係でこちらが便利です。番号が似ていますが違いますのでお気を付けください。

記号 12350
番号 38333911
名義人 岡島順治

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報告:3.25取調べの可視化を求める市民集会

かしか 3月25日、日本弁護士連合会は、弁護士会館で「取調べの可視化を求める市民集会『取調室にシナリオは要らない~骨抜きを許さない!取調べ全過程の録画を~』」が行われ、240人が参加した。


 法務省は、大阪地検特捜部の押収資料改ざん・犯人隠避事件(10年9月)を通した検察機構の危機と社会的批判を収束するために法相の諮問機関である新時代の刑事司法制度特別部会(2011年6月)を設置し、取り調べの可視化をめぐる審議を行ってきた。賛成・反対派の委員(裁判官、検察官、弁護士、警察、学者、民間人26人、幹事14人)の構成で論議し、2015年の通常国会に向けて法案化をめざし
ている。


 すでに試案として①「裁判員裁判の対象罪名で逮捕された場合は原則的に全過程の録音・録画を義務付ける」案と、②自白の誘導と強要、「拷問」に近い脅迫場面を記録せず、えん罪防止には程遠い「録音・録画の範囲を取調官の一定の裁量に委ねる」案を併記した。可視化反対派の警察官僚は、徹底して抵抗するとともに新たな刑事司法制度と称して人権侵害に満ちた「供述証拠の収集/客観的証拠の収集/公判段階の手続き/捜査・公判を通じた手続き」を導入しようとねらっている。


 日弁連は、密室で作られた自白調書によるえん罪を繰り返させないために取り調べの全面可視化を実現するために集会を行った。


集会は、日弁連の山岸憲司会長のあいさつで始まり、可視化実現にむけた決意表明を行った。


 小坂井久弁護士(法制審特別部会幹事)は、基調報告として「法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会の議論状況について」て提起し、「警察関係の抵抗は厳しいものがある。しかし、民間委員5人[神津里季生(連合事務局長)/周防正行(映画監督)/松木和道(北越紀州製紙株式会社取締役)/村木厚子(厚生労働事務次官)/安岡崇志(元日本経済新聞社論説委員)]が『原則としてすべての事件を録音・録画の対象とすべきである』(13年2月)という意見書を提出した。長い審議過程において歴史的な出来事であり、可視化の法案化にむけて大きなステップとなる」と強調した。


 えん罪被害者報告では桜井昌司さん(布川事件)、上田里美さん(北九州爪ケア事件)が発言した。


 桜井さんは、「1967年に茨城県利根町布川で発生した強盗殺人事件で私ともう一人が逮捕され、長時間におよぶ強引な取り調べによって虚偽の自白に追い込まれた。無期懲役の判決を受け、29年間受刑さぜられていたが、2005年に再審決定され、11年5月、水戸地裁土浦支部で無罪判決が言い渡された。現在、国賠裁判を取り組んでいるが、権力はいまだに反省することなく開き直り続けている。可視化はえん罪を防ぐ前提だ。私の全体験を通して言えることだ」と訴えた。


 上田さんは、「北九州市の病院に勤めていたが、2007年7月、高齢者の患者の爪を剥がしたと傷害罪で逮捕された。警察のシナリオにもとずいて取り調べが行われ、爪切り行為そのものを楽しみとしたなどという供述調書が作られた。福岡地裁小倉支部は、それを証拠採用し、正当業務行為との推定が働かないとし、懲役6ヶ月執行猶予3年の判決を出した。控訴審では、看護行為として必要であり、正当業務行為だとして無罪判決(確定)をかちとった。供述調書は、誘導されたものと疑いが残るとして信用性が否定された。えん罪を防ぐためには可視化がもちろん必要だし、さらに弁護士接見、立会いの実現も必要だ」と指摘した。


 パネルディスカッションは、菊地幸夫弁護士 (第二東京弁護士会所属)がコーディネーター、パネリストが北尾トロさん (ライター)、小坂井久弁護士(法制審特別部会幹事)、周防正行さん (映画監督/法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会委員)。


 とりわけ周防さんが特別部会の審議状況を報告し、「警察関係委員は、自らの取り調べを絶対正しいという立場からウソをしゃべったえん罪被害者こそが悪いという主張だった。さらに被告にマイクとカメラをつきつけたら、喋れなくなるということを理由にして可視化に反対し続けているが、実は喋れなくなるのは取調官なのだ。それだけ酷い取り調べをやっていることを証明してしまっている。可視反対派の警察、揺れ動く検察と裁判官という構造があり、へたをすると可視化の実現さえも危うい状況にある。だからこそ私たちは『意見書』をまとめた」と批判した。


(Y)

農民と労働者の娘たち:中国全人代(その4)

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▲売春の一斉摘発に反発して「東莞がんばれ!」の
 パネル掲げてデモする女性たち

 
全人代の13人の副議長のひとりで中華全国婦女聯合会主席の瀋躍躍は、6日午後に全人代会場の人民大会堂で開かれた3・8国際女性日の記念式典の講演の中でこう述べている。


「中華民族の偉大な復興という中国の夢は、多数の女性を含む13億の中国人民の共同の夢です。多くの姉妹たちがさらに重要な責任を担い、個人の夢を中国の夢に自覚的に重ね合わせ、中華女性の優良な伝統と時代的精神を大いに発揚し、社会主義の核心的価値観を実践し、積極的に改革に身を投じ、自らの職責に足場を置くことで、中国の夢に貢献する知恵と力を実際の行動で発揮することを願っています。」


この愛国主義と伝統主義にまみれた講演に女性独自の視点を見出すことは困難である。

開催中の全人大の代表リスト2987人中、女性は699人(23.4%)。婦女聯合会のウェブサイトでは、189カ国の国会における女性議員の割合を報じている。中国は61位で、韓国の91位、インドの111位、日本の127位を上回っている。選出のされ方の問題はおくとして他のアジア諸国よりもジェンダーバランスには配慮されているといえるかもしれない。


一方、労働者と農民の代表は合計401人(13.4%)と依然として低い水準にとどまっているが、うち農民工は31人で、前任(2008~2012)の3人からは大幅に増加している。前任の3人のうち一人は公務員として、もうひとりは党の代表として今回の全人代代表にも再選出されている。もうひとりの朱雪芹さんだけが今期も農民工として全人代代表に選出されている。朱雪芹さんは上海の日系アパレル企業の社員として日本で3年間研修し、現在は上海の同社で販売主管の役職および労組委員長の肩書きを持つ。いわゆる「出稼ぎ労働者」というイメージとはややかけ離れているといってもいいかもしれない。


2010年5月のホンダストライキの際に、わずか19歳で労働者代表として会社との交渉団に加わり、全国の労働者に向けて「私たちの闘争は、単にこの工場の労働者1800人の利益のためだけではありません。私たちはこの国全体の労働者の権益にも関心を持っているのです。私たちは労働者による権利のための闘争の良好な事例を打ち立てたいと願っています。」という感動的なアピールを発した李暁娟さんも農民工。彼女はその後ホンダを辞めて広東総工会が設立している幹部学校に編入している。将来は組合か労働NGOで力を発揮したいという。彼女のような80年代、90年代生まれの農民工はとくに「新生代農民工」と呼ばれ、いずれは農村に戻るかつてのような「出稼ぎ農民」ではなく、その街で労働、生活、文化、消費、恋愛などの社会生活を送る市民的権利の意識も高いのが特徴だ。


農村から深センに仕事を求めてやって来たうら若き女性たちが主人公のテレビドラマ「打工妹」(出稼ぎ娘)が90年代初めの中国で一世を風靡したことからも分かるように、農民工と呼ばれる労働者の多くは女性である。93年に深センのおもちゃ工場の火災で犠牲になった87人の農民工も女性たちだった。


昨年夏に広州のNGOが行ったセクハラ調査では134人の女性労働者のうち69.7%が何かしらの性的いやがらせを受けた経験があると答えている。対応として「がまんする」が43.5%、「仕事を辞める」が15.2%に達し、「労働組合や政府系女性団体や警察に訴える」はなんと0%だった。


職場でのセクハラについては、2008年に日系企業の広州森六塑件有限公司の日本人管理職によるセクハラ事件がある。被害者の女性は卑劣なセクハラを受けたうえに会社を解雇された。不当な扱いに対する正当な賠償を求めた裁判は被害女性が勝訴判決をかちとったが、低すぎる慰謝料(賃金一か月分)や加害者である日本人管理者と会社の責任はなんら問われないものであったことなど、多くの課題を残す判決であった。


職場の労働組合は被害者女性の側に立つのではなく、無断欠勤したから解雇されたなどという会社側の立場を擁護したことも問題として挙げられる。対応に当たったのは組合の副委員長で社内に設置されている女性委員会の委員もつとめているが、社内の役職としては総務部の副部長であったことから、生産効率や経営方針を重視する総工会の立場という、中国労働者階級をとりまく古くて新しい問題が、女性の課題においても重要な問題であることがうかがい知れる。この裁判についてはこちらのサイトが詳しく報じている。貴重な情報であり極めて参考になる。


(参考)広州でのセクハラ勝訴判決をめぐって
http://genchi.blog52.fc2.com/blog-entry-295.html



婦女聯合会のウェブサイトでは3・8国際女性日を記念した記事が配信されている。そのひとつに「7割の女性労働者が仕事に満足を感じている」という見出しの記事があった。総工会女性職工委員会が最近まとめた「女性職工の権利擁護状況の調査報告」の内容を紹介したものだ。記事には回答者数がないが、女性の労働に関する様々な調査項目と回答が紹介されている。もちろん基調はタイトルにあるとおり。しかしちょっと見ただけでも「70.7%の女性労働者が賃金は最低賃金を上回っていると回答。」「50.9%が失業するのではないかと心配と回答」というように、どうみても満足しているとは思えない調査結果が示されている。3割もの女性が最低賃金を下回っているのに7割が満足してる? これが「社会主義の核心的価値観の実践」のなのだろうか。


全人代開催の一ヶ月ほど前の2月9日、「世界の工場」の心臓部の一つであり、それにともない性産業も空前の繁栄を見せていた広東省東莞市で大掛かりな買売春摘発が行われた。摘発には中央テレビのカメラも同行し、その様子は全国に放映された。習近平指導部が推進する反腐敗キャンペーンや社会主義核心的価値観の確立の実践のひとつだろう。その後広東省全土で摘発が行われ200箇所以上のサウナなど娯楽施設を営業停止にし、1000人以上が逮捕された。その後の報道では、裏社会による薬物売買や性産業の経営者らが地元の派出所に定期的に付け届けをしていたことなども報じられており、極めて深刻な状況にあることは違いない。


しかしここで伝えたいことは、摘発された女性の多くが農民や労働者の娘達であること(その後の報道に登場する風俗嬢は、弟二人の学費のために2009年に農村から東完に出稼ぎに来た農民工で毎月1500元の賃金だけでは足りずに風俗産業に入った)、蔓延する性産業が極めてシステム化された資本主義的な搾取構造にあること、そして農民と労働者の娘達(ときには息子達も)が、資本主義的搾取、犯罪社会、官憲支配、家父長制の迷路から抜け出すことができず、身も心も搾取されているということだ。


90年代から全国で推進された国有企業民営化とそれに抗する労組委員長の物語を悲劇的に綴った曹征路の短編小説「那兒」(『当代』2004年第5期掲載)は、冒頭でレイオフされた国有企業の女性労働者が街娼となって登場するシーンがある。国有企業をレイオフされた女性たちは、商品経済が勢いを増す改革開放中国において、みずからの労働力商品だけでなく、性的尊厳や身体の自由、そして時には生命の安全すらも売り渡す必要にせまられた。それは巨大な社会的後退のなかでおこなわれた。


「巨大な社会的後退は、とりわけ女性労働者により深刻な打撃をもたらした。1987年には国営部門における最初の景気後退の際、解雇者の64%が女性であった。リストラ政策に合わせて、女性は家庭に戻れ、家庭こそが女性の職場だ、という政府の大々的な宣伝が付随した。出産と育児は女性の生産能力を奪うので雇用されるべきではない、と社会的エリートは主張した。これは女性労働者の雇用からの締め出しを導いただけでなく、若年の女性、あるいは大学を卒業したての女性も同じような状況に直面した。運良く就職できたとしても、往々にして男性よりも賃金は低かった。すでに1988年の時点の調査によると、都市と農村の女性の賃金は男性の84%にとどまっており、1990年には77.5%、2000年には70.1%にまで落ち込んだ。かつての工場地帯であり、その後、大規模な企業改革によって不景気になっていた東北地区では、失業した女性労働者の多くが性産業に従事して生活費を稼ぐことになった。競争の激しさから、毎回の性交渉の報酬はわずか50元であった。2002年10月、福建省龍岩市鋼鉄廠を解雇された200名の女性労働者は『レイオフされるには若すぎる、娼婦になるには老け過ぎた』という横断幕をもってデモをしている。」
---《China's Rise: Strength and Fragility》, AU LoongYu, 2013より


冒頭に紹介した3・8国際女性日の記念式典で、瀋躍躍・婦女聯合会会長は、過去5年の活動を振り返り、次のように語っている。


「多くの中国女性が自強自立、進取の気性に富み、積極的に国家の経済社会建設に参加し、『天の半分を支える』という役割を十分に発揮したことで、中国の女性政策は新たな進歩を獲得しました。」


中国では「女性は天の半分を支える」と言われる。つまり、女性は天地=この社会をひっくり返す巨大な力を有しているということだ。


福島とすべての被災地の女性たちに想いを馳せつつ
3・8国際女性の日に


2014年3月8日 (H)


【参考】
エンゲルス
・イギリスの婦人労働者の状態(1877年11月8日)
・アウグスト・ベーベルへの手紙(1892年12月22日


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悪夢に血塗られた「春城」:中国全人代(その1)

20140303
人民協商会議の開幕式で昆明事件の犠牲者を追悼する習近平(中央)ら(3月3日)

3月1日午後9時ごろ、中国南西部の内陸の雲南省の省都で「春城」の別名もある昆明市の駅前広場で、死者29名、負傷者143人を出す集団襲撃事件が発生した。事件は、4日後の3月5日には一年に一回の全国人民代表大会を控え、会場の北京をはじめ全国の主要都市では、「中国の夢」という華やかなスローガンには似つかわしくない厳戒警備体制のさなかに発生した。襲撃犯らは昆明駅の切符売り場に侵入し殺傷を続けた。死傷した多くは内陸の昆明から沿海部へ出稼ぎに向かおうとしていた農民工らであった。彼ら、彼女らにとってはまさに悪夢でしかない。

習近平総書記、李克強総理ら指導者は緊急の指示を出し、翌2日未明に公安部門を司る党の中央政法委書記の孟建柱、政府の公安部部長の郭声琨らを現地に派遣した。同日、最高人民検察院も捜査班を現地に派遣した。

犯人は当初10余名と伝えられた。その場で4人が射殺され、女性1人を拘束した。翌3月2日には、開催を次の日に控えた全国人民政治協商会議の呂新華報道官が「新疆分裂勢力が組織的に画策した重大な暴力テロ事件だ」と述べた。3日夜に、逃走中とされた3人も午後に逮捕されたという報道が伝えられた。

中国公安部のウェブサイトが3月3日に掲載した情報によると、襲撃したのはアブドレイム・クルバンを中心とする8人(男6、女2)のテログループだという。だが、3月5日現在、それ以外の情報はどの報道機関も報じていない。

ハッキリしているのは、犯人は3月5日の全人代開幕式までに逮捕されなければならなかったということである。

3月3日に開幕した全国人民政治協商会議の開幕式では、共産党政治局常務委員が7人全員列席し、冒頭に3月1日に雲南省昆明で発生した大量殺戮事件の犠牲者に黙祷がささげられた。

4日には習近平国家主席が同会議の少数民族委員の会議に参加し、「民族政策は大局に関わる。中国の特色ある社会主義の道を堅持し、新情勢下で民族政策を着実に進め正しい政治方向性を確保しなければならない。」「少数民族地区の経済社会の発展のテンポを速め、民族地域の大衆が実際の恩恵を得なければならない。」「団結安定は幸福、分裂動乱は災厄である。全国の各民族人民は民族団結の政治局面を大切にし、民族団結を損なう一切の言動に断固反対しなければならない」と発言している。

5日に開幕した第12期全国人民代表大会第2回会議の政府活動報告のなかで李克強総理は「社会治安の総合統治を強化し、暴力テロ犯罪活動に断固たる打撃を与え、国家安全のイメージを維持し、良好な社会秩序を形成しなければならない」と述べた。

170余名もの無辜の死傷者を出した襲撃事件は許されるべきものではない。ましてや中国政府に対する抵抗の意思を示したのであればなおのことである。海外にサーバーを置くいくつかのサイトでは事件直後の画像や襲撃に遭った遺体、そして犯人らが所持していたとされる黒地に白で描かれた星と月の模様とウィグル文字の書かれた黒旗、8人の容疑者らの指名手配写真、そして現場で逮捕された黒装束の女性容疑者が治療を受けている姿などが掲載されている。

だが「良好な社会秩序」の一環である良好な民族関係を構築するために民族自治を訴えてきたウィグル族の研究者、イリハム・トフティ氏に対する拘束がいまだにつづいていることをあげるまでもなく、良好な社会秩序を脅かす原因のひとつに現在の中国の民族政策があることもまた確かである。雲南省ではウィグル族とみられる市民に対する強権的な捜査が展開されている。新疆ウィグル自治区では3月13日の会議終了日まで、いやそれ以降も厳しい抑圧体制がつづく。悪夢はここでも続いている。

「勝利を得た社会主義は、かならず完全な民主主義を実現しなければならない。したがって、諸民族の完全な同権を実行するばかりでなく、被抑圧民族の自決権、すなわち自由な政治的分離の権利をも実現しなければならない。隷属させられた諸民族を解放し、自由な同盟――ところで、分離の自由なしには、自由な同盟はごまかし文句にすぎない――にもとづいてこれらの民族との関係を打ち立てることを、現在も、革命のあいだにも、革命の勝利のあとでも、その全活動によって証明しないような社会主義諸政党は、社会主義を裏切るものであろう。」(レーニン「社会主義革命と民族自決権(テーゼ)」より)

+ + + + +

3月5日から13日の日程で第12期全国人民代表大会第2回会議が開催されている。全人代の役割は国務院による法案を審議・制定する機関で年一回開催される。日本の国会に相当するが、国会議員に相当する全国人民代表は「中国の特色ある民主制」によって選出される。国務院の李克強総理(党ナンバー2)による今後1年の経済運営をふくむ政府活動報告に注目が集まる。

中国では全人代に先立ち、全国人民政治協商会議第12期全国委員会第2回会議が3月3日から12日までの日程で開催されている。最初の全国人民政治協商会議は、新中国建国直前の1949年9月に、国民党を除く有力党派7党に共産党が呼びかけて開催。国民党の一党独裁にかわる新民主主義社会の建設を目的とした臨時議会の役割を果たし、「中国人民政治協商会議共同綱領」などを採択し、毛沢東を中央人民政府の主席に選出し、国旗・国歌を制定した。

「共同綱領」は1954年に立法府として設立された全国人民代表大会で「中華人民共和国憲法」が採択されるまで事実上の憲法としてあつかわれた。朝鮮戦争など帝国主義による攻勢のなか、毛沢東は53年元旦に過渡期の総路線を掲げたことで「共同綱領」に体現された「新民主主義」という二段階革命の方針は事実上破棄されていくが、全国人民政治協商会議は、文革中に一時機能が停止されたがその後復活し、現憲法においても社会主義建設における重要かつ広範な統一戦線組織として位置づけられ、全人代に平行して開催されている。3月2日までに1130件の提案、637件の法案が提出されており、会議のなかでも議論が行われるが、しかしその実態は共産党の提示する方針や法案を後押しするためだけのお飾り的機能を果たすに過ぎない。

今回の全体会議に参加した政治協商会議の委員は2000名を越す。各党派、各界の内訳は以下のとおり。

中国共産党98人、中国国民党革命委員会64人、中国民主同盟65人、中国民主建国会65人、中国民主促進会45人、中国農工民主党45人、中国致公党30人、九三学社45人、台湾民主自治同盟20人、無党派65人、中国共産主義青年団9人、中華全国総工会62人、中華全国婦女聯合会67人、中華全国青年聯合会30人、中華全国工商聯合会64人、中華科学技術協会43人、中華全国台湾同胞聯誼会15人、中華全国帰国華僑聯合会28人、文化芸術人145人、科学技術研究者111人、社会科学研究者69人、経済界153人、農業界67人、教育界111人、スポーツ界21人、新聞出版界44人、医薬衛生界89人、対外友好界41人、社会福祉社会保障界36人、少数民族103人、宗教界66人、香港ゲスト124人、マカオゲスト29人、特別ゲスト161人

2014年3月5日 (H)


 

11.26衆院採決を許すな

日比谷②(1万人の大結集を勝ち取った11.21集会)

秘密保護法を廃案へ 
与党・みんなの党・維新の会の修正協議は茶番劇だ!


安倍政権は、グローバル派兵国家建設の一環である特定秘密保護法案と国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案を国会に提出し、なにがなんでも成立を強行しようとしている。日本版NSC法案は、11月7日に衆院で採決強行し可決、参院の国家安全保障特別委員会で審議に入っている。特定秘密保護法案も8日、衆院国家安全保障特別委員会で審議に入った。

 秘密保護法案をめぐる国会情勢は、与党が26日採決を強行しようと策動を強め、与党補完勢力であるみんなの党、日本維新の会が秘密保護法案修正協議を行い、合意に至っている。しかし法案の「特定秘密の指定」、「適性評価の実施」、「特定秘密の提供」、「特定秘密の漏えい等に対する罰則」についての基本的変更はなく、特定秘密を漏らした政治家、国家公務員、民間人を最高で懲役10年を科すというのはそのままだ。基本的人権の侵害、報道規制を行う現代版治安維持法であり、修正協議は茶番劇でしかない。

 その第一は、「特定秘密」を指定する基準を首相が示すと言っているが、それが具体的にどのような内容なのか明らかになっていない。この前提が未定のまま、「行政機関の長」が「特定秘密」を指定したり解除したりするさい首相が「第三者機関的」に関与するというのだ。そもそも首相が「第三者機関的」に関与すること自体が、独立性もない機関でしかなく首相の御用機関だ。政府は、すでに特定秘密事項が42万件もあると答弁しているが、これだけ膨大な事項を一つ一つ首相と「第三者機関」がチェックするというのは、ウソであり、官僚が提出する書類を追認するだけの通過儀式でしかない。

 第二は、「特定秘密」の指定期間を60年とし、公開の例外として7項目(①暗号②情報源の名前などの情報③情報収集の能力④武器・航空機などの情報⑤国民の生命や領域保全に関する外国政府との重要交渉方針など⑥外国政府から60年を超えて秘密指定を行うことを条件に提供された情報⑦これらに準ずる情報)をあげた。

 60年の期限は、ほとんど情報公開しないと言っているに等しい。なんら根拠も示さずに繰り返し延長できる原案をそのまま60年にでっち上げたにすぎない。7項目の例外は、手前勝手に秘密特定の対象を拡げたにすぎず、民衆の「知る権利」をことごとく圧殺するものだ。とりわけ「七 これらに準ずる情報」は、権力が恣意的に判断できる常套手法だ。



報道弾圧の本音



 さらに森雅子法案担当相の二転三転のあいまいな発言によって法案の欠陥が次々と明らかになっていることだ。

 とりわけ「特定秘密」の報道に対する弾圧見解だ。森担当相は「報道機関のオフィスなどにガサ入れ(家宅捜索)が入るということはない」(8日)と答弁していたが、谷垣禎一法相が「具体的な事例に即して検察において判断すべきものだ」、古屋圭司国家公安委員長も「具体的な捜査の内容については個別事案に即して判断する必要がある」として森答弁を否定した。

 当初、森は10月25日の記者会見段階では「不当な取材行為」とは沖縄返還に伴う密約を報じた元毎日新聞記者の西山太吉逮捕事件の判例に匹敵するような行為だと大雑把に捉えたいただけでしかなかった。わざわざ西山事件の最高裁判決(1978年5月)の「取材の手段・方法が贈賄、脅迫、強要等の一般の刑罰法令に触れる行為を伴う場合は勿論、その手段・方法が一般の刑罰法令に触れないものであっても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙する等法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認することのできない態様のものである場合にも、正当な取材活動の範囲を逸脱し違法性を帯びるものといわなければならない」の文言を読み上げたほどだ。

 あわてた森は、官僚に弾圧対象とはならない11例(①(夜や朝に取材相手の自宅などへ取材に行く)夜討ち朝駆け②複数回の頻繁なメール、電話、直接接触③個人的関係に伴うコミュニケーション・飲食④入室可能な状態の政府の部屋に入り、閲覧可能状態のパソコン画面や紙を閲覧⑤机上に伏せられ放置されている文書を裏返して閲覧、写真撮影して閲覧⑥省エネモードのパソコンをワンタッチして起動し閲覧可能となったページの閲覧⑦情報取り扱い責任者ではないが、その関係者、周辺者への取材⑧特定秘密取扱者と極めて関係の深い関係部局担当者の取材⑨情報を得ているだろう政治家の取材⑩情報取扱者の家族の取材⑪民間事業者の取材)を上げざるをえなかった。

 結局、森は「個別具体的な事案を細かく想定して言及するのは避けたい」(14日)と逃げてしまった。法案が権力の恣意的判断によってやりたい放題できる性格を森自身が不明確な形でしか把握していなかった、否!ごまかしたにすぎないのである。

 「特定秘密」の指定基準、運用基準さえ決まっていないのに法案成立ありきで暴走してきた結果だ。制定後、検討していくと言っているが、そのチェックと検証は公開され、関与できるものか不明確だ。強力な「武器」を握ることになった公安政治警察は、日頃の対象者調査データをもとにして不当弾圧を強行することをねらっている。

 権力の暴挙を許さず、反弾圧戦線を打ち固めつつ、秘密保護法を廃案に向けて国会をさらに包囲していこう。

      (Y)

グローバル派兵国家建設のための秘密保護法に反対しよう 

20120310142629774 安倍政権と自民党は、10月15日からの臨時国会にグローバル派兵国家建設の一環である特定秘密保護法案と国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案を提出し、成立を強行しようとしている。すでに自民党は、両法案を連日にわたって強引に審議することができる国家安全保障に関する特別委員会の設置を表明し、公明党との協議のうえで17日の衆院本会議で賛成多数で特別委員会設置を決めてしまった。政府は二五日に法案を閣議決定し、国会に提出する。

 公明党は、特定秘密保護法案に対する多くの危惧、反対の圧力を受けながらも日米安保強化の観点から法案成立を実現するために政府と修正協議を行い合意した。

 法案の当初案には「特定秘密指定などの運用基準」がなかったが、修正案で「政府は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定める」とした。

 「特定秘密の指定」は①防衛に関する事項②外交に関する事項③外国の利益を図る目的で行われる安全脅威の防止に関する事項④テロ活動防止に関する事項をあげているが、その「運用基準」なるものが具体的に明らかになっておらず、新たなベールをかかったままで法案を提出しようとしている。たとえ「基準」なるものが出てきても「国家利益に反する」「公共の安全に反する」などと抽象的かつ広範囲に解釈できる文言であることが予想できる。

 しかもその「基準」が明らかになっていないにもかかわらず、修正案では「政府は、前項の基準を定め、又は変更しようとするときは、わが国の安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者の意見を聴かなければならない」とした。要するに政府に忠実なメンバーを指定するのは必至であり、情報操作することでしかない。

 「知る権利」に関しては、「この法律を拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害することがあってはならない」とした。やはりこの判断も権力側にあり、恣意的に使い分けることが可能なのだ。そもそも特定秘密指定の行為者は、権力であり、官僚らの手前勝手な認定を乱発していく。従来の情報隠蔽の罪業からすれば当然の立ち振舞いとして強行してくるだろう。



法案の根本性格はなんら変わっていない



 また、「報道」に関しては、「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない」とした。ここで大きな「罠」を埋め込んだ文言が、「十分に配慮」だ。ここも権力側の身勝手な解釈は可能であり、秘密保護法によって不当弾圧しても「十分に配慮」したうえでの法適用だと居直れるのだ。広範囲に弾圧の網をかけ、情勢判断から的確な打撃を与えるために取捨選択し、ターゲットを絞込み不当逮捕を決行する。このような手法を公安政治警察が「得意」としている。

 同様に、「出版又は報道の業務従事者の取材行為は、公益を図る目的を有し、かつ法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、正当な業務による行為とする」とした。結局、「著しく不当な方法によるものと認められない限り」などと言っているが、トータルなプロセスから「特定取得行為」として処罰するのは権力だ。しかも、その独立教唆や共謀・煽動なども処罰しようとしているではないか。ここにはなんら歯止めのシステムも設定していない。

 このように法案は、「特定秘密の指定」、「適性評価の実施」、「特定秘密の提供」、「特定秘密の漏えい等に対する罰則」についての基本的変更はなく、文言上に若干の加筆を加えただけだ。特定秘密を漏らした政治家、国家公務員、民間人を最高で懲役一〇年を科し、基本的人権の侵害、報道規制の性格はまったく変更はない。



福島県議会意見書を受け止めろ



 NHKの「特定秘密保護法案」に関する世論調査(一〇月一二日~一四日)によれば内容を「知っている」が二三%、「知らない」が七四%だった。政府は、民衆が法案の実態を知らないまま強行制定をねらっている。反対運動にとっては七四%の民衆を反対勢力へと獲得しなければならないということだ。

 福島県議会は、一〇月九日、「特定秘密の保護に関する法律案に対し慎重な対応を求める意見書」を採択した。

 意見書は、「当県が直面している原子力発電所事故に関しても、原発の安全性に関わる問題や住民の安全に関する情報が、核施設に対するテ口活動防止の観点から『特定秘密』に指定される可能性がある。記憶に新しいが、放射性物質の拡散予測システムSPEEDIの情報が適切に公開されなかったため、一部の浪江町民がより放射線量の高い地域に避難したことが事後に明らかになるケースがあった。このような国民の生命と財産を守る為に有益な情報が、公共の安全と秩序維持の目的のために『特定秘密』の対象に指定される可能性は極めて高い。今、重要なのは徹底した情報公開を推進することであり、刑罰による秘密保護と情報統制ではない。『特定秘密』の対象が広がることによって、主権者たる国民の知る

権利を担保する内部告発や取材活動を委縮させる可能性を内包している本法案は、情報掩蔽を助長し、ファシズムにつながるおそれがある。もし制定されれば、民主主義を根底から覆す瑕疵ある議決となることは明白である。よって、国においては、特定秘密保護法案に対し、慎重な対応をするよう強く要望する」として「地方自治法第九九条の規定により」「衆 議 院 議 長 参 議 院
議 長 あ て 内 閣 総 理 大大臣」に提出した。

 福島県議会意見書は当然の要求である。福島第一原発事故、汚染水問題は現在進行形であり、すべてが情報公開されているわけではない。政府は秘密保護法によって数倍も都合が悪い事実、被害状況を隠蔽してしまうだろう。安倍政権は、福島県議会の意見書を真摯にうけとめ、法案提出を中止しろ。原発再稼働どころではない。(Y)

報告:10.15市民の生命と安全を脅かす秘密保護法案に反対する院内集会

jpg 10月15日、衆議院第一議員会館で「市民の生命と安全を脅かす秘密保護法案に反対する院内集会」(盗聴法に反対する市民連絡会、東京共同法律事務所、日本国民救援会、反住基ネット連絡会、許すな!憲法改悪・市民連絡会の共催)が行われ、220人が参加した。 秘密保護法案成立阻止にむけた国会内外の取り組みで包囲していくことを意
志一致した。



厳罰化と処罰の早期化に狙い



 基調報告は、海渡雄一さん(日弁連秘密保全法案対策本部委員)が「市民の生命と安全を脅かす秘密保護法案―厳罰化と処罰の早期化―」について報告した。

 「秘密保護法は、戦争準備のための法案であり、早期処罰と厳罰が鍵だ。法案の内容は、戦前の軍機保護法とほとんど同じであり、濫用されれば歯止めがなくなる可能性がある」と指摘し、「公務員だけでなく、ジャーナリストや市民活動家も特定取得行為の対象になる。さらに政府の秘密を暴こうと記者同士で相談すれば、何の情報が得られなくても共謀罪成立だってねらっている。集会で『公務員は政府の秘密を明らかにしてほしい』と発言すれば煽動罪が成立し、現行犯逮捕だって可能にしようとしている」などの危険性を示した。さらに秘密保護法によって警察・公安調査庁にとって「不都合な事実」を隠し通し、原子力に関する情報も何でもテロ対策関連にして秘密にしてしまうだろうと注意を喚起した。

 海渡さんは、「民主党内にも反対の意見の議員がいる。報道機関の動きは毎日・東京・朝日を除いて鈍かったが、ようやくテレビなどの動きも出てきた。10月10日には国会内に超党派の議員ネットワークがようやくできた。院内集会には、20人の議員、300人の市民が集まった。闘いの火蓋は切られた。法案制定阻止にむけて共に頑張ろう」と訴えた。



徹底した情報公開を



 特別報告が三木由希子さん(情報公開クリアリングハウス理事長)から行われ、

「歴史の闇に消される秘密文書」をテーマに問題提起した。

 「法案では①秘密指定の有効期間の上限は五年間②更新可能③更新回数や期間の制限なしだった。政府・与党の修正協議で、秘密指定が30年を超える場合は内閣の了承を得ると修正されると報道されている。また、秘密指定の有効期間満了前でも、特定秘密として要件を欠くに至ったときは速やかに指定を解除するとされている。だが「防衛秘密」のケースを見ると、2007~2011年の指定が約55000件、廃棄が約34300件もあり、解除されたのは一件だけであった。防衛省内部の判断で廃棄していた。しかも2011年4月施行した公文書管理法の適用も受けていなかった」ことを明らかにした。

 そのうえで三木さんは、「秘密指定のままでも廃棄させずに重要な文書は歴史的に残し、秘密指定解除して公開させる。秘密解除をシステム化させる。『秘密』を監査・観察する仕組みを作るべきだ。徹底した情報公開を広げていかなければならない」と強調した。

 赤嶺政賢衆議院議員(共産党)、佐野善房日弁連副会長、山本太郎参議院議員(無所属)、福島瑞穂参議院議員(社民党)、仁比聡平参議院議員(共産党)から秘密保護法案をめぐる国会情勢と法案反対の決意表明が行われた。

 さらに発言がアムネスティ・インターナショナル。日本ペンクラブ、新聞労連、田島泰彦さん(上智大学教授)、許すな!憲法改悪・市民連絡会、反住基ネット連絡会、日本国民救援会から行われ、今後の集会とデモ、国会行動への参加を呼びかけた。(Y)
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