虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

人権-フェミニズム

報告:3・14共謀罪国会提出許さない!国会正門前集会

14共謀罪
 3月14日、共謀罪NO!実行委員会と戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の共催で「3・14共謀罪国会提出許さない!国会正門前集会」が行われ、500人が参加した。

「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」とはすべての民衆

 安倍政権は、2月28日、民衆監視と対テロ治安弾圧体制強化に向けた「実行準備行為を伴う組織的犯罪集団による重大犯罪の遂行」罪(共謀罪)を新設する組織犯罪処罰法改正案原案を自民党、公明党に提示した。しかし、民衆に危機を煽り、騙すためのテロの表記が一切ないことに対して批判が出たため、「テロリズム集団その他の」の文言を加えた改正法案をデッチ上げた。修正改正法案の表題を「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画」罪とし、「【テロリズム集団その他の】組織犯罪集団の活動として、当該行為を実行するための組織により行なわれるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行なわれたときは、当該各号に定める刑に処する」と明記した。原案と同様に条文には、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団組織的犯罪者集団」の定義・範囲を明記していない。

 つまり、安倍政権、警察権力と公安政治警察は、グローバル資本主義と日本国家防衛という階級的任務を貫徹していくために既遂処罰が原則の法体系を破壊し、未遂でも罰することを可能にすることを狙っている。共謀罪と称していつでもどこでも窃盗罪、組織的な封印等破棄罪、組織的な強制執行妨害目的財産損壊等罪、組織的な強制執行行為妨害等罪、組織的な逮捕監禁罪、組織的な強要罪などを適用し、準備行為を立証するために盗聴法などを拡大した刑訴法を悪用してくるだろう。電話・メール・フェイスブック・ライン・盗撮・衛星利用測位システム(GPS)機器設置にいたるまでプライバシー侵害の違法行為のやりたい放題だ。

 人権侵害に満ちた修正案に対して法務省官僚は、「テロリズム集団は組織的犯罪集団の典型のため、あえて明記する必要はないと考えていた。再検討し、テロ等準備罪の対象をより正確に理解できると考えた」と補強した。与党もテロの表記が入ったため「国民に説明しやすくなった」などと民衆を騙す法案性格の「本音」を言い出しながら法案を了承した。安倍政権は、共謀罪を3月10日に閣議決定する予定だったが、原案修正と与党対策のために21日に延期した。

 共同通信社は、3月11~12日、全国電話世論調査を実施し、共謀罪に反対が45・5%、賛成が33%だった。毎日新聞の全国世論調査(11~12日)でも反対が41%、賛成が30%だった。いずれも前回の調査では賛成が反対を上回っていたが、今回は共謀罪反対が多数を示した。急速な反対運動の拡大によって安倍政権の危機アジリと「テロ対策」のウソが瓦解しはじめた現れだ。言論の自由、結社の自由、通信の秘密、基本的人権の破壊の共謀罪の正体を暴き出し、賛成派に切り込んでいきながら廃案運動を拡大していこう。

共謀罪法案上程阻止・廃案へ

 国会前集会は、「戦争法と一体の共謀罪は絶対反対!言論封じの共謀罪はいらない!閣議決定絶対反対!答弁不能の金田法相はただちに辞任!」のコールから始まった。

 主催者あいさつが海渡雄一弁護士(共謀罪NO!実行委員会)から行われ、「共同通信と毎日新聞の世論調査で共謀罪反対が賛成より上回った。反対の声が少しずつ世論を変えてきた。政府の偽りの情報を打ち破り、テロ対策ではなく政府に異議申し立てする市民を一網打尽にする戦前の治安維持法なみの治安立法だと示されたからだ」と強調した。

 国会議員の発言では逢坂誠二衆院議員(民進党)、山下芳生参院議員(共産党)、福島みずほ参院議員(社民党)から行われ、共謀罪廃案に向けた決意とともに森友学園問題、稲田防衛相糾弾が続いた。

 落合恵子さん(作家)は、「森友学園の不透明きわまりない問題や東京都の豊洲問題百条委員会についてメディアは盛んに報道している。その影に隠れて共謀罪が前のめりになっている。あわててテロという文言を入れた。テロとオリンピックをドッキングさせたら、みんな納得するだろうという安易さを許せない。政府は言い換えで本質を隠してきた。私たちこそ民主主義の下に彼らをアンダーコントロールすべきだ」と発言した。

 鎌田慧さん(ルポライター)は、「共謀罪によって盗聴、司法取引、尾行などを行ってくる。共謀罪によって『社会を脅かす』者だとしてデッチ上げ、逮捕する。沖縄の山城博治さんは、いまだに釈放されていない。怪しいヤツを安心・安全のために逮捕するのが狙いだ。国会包囲によって共謀罪を粉砕する」と訴えた。

 桜井昌司さん(布川事件えん罪被害者)は、「えん罪被害者は警察を信用できない。いかに悪党の組織かを体験して知っているからだ。人を死刑にするために、平然と証拠を捏造する。警察が共謀罪を持ったらヤクザに拳銃を与えるのと同じだ。裁判所も信頼できない。沖縄の山城博治さんは釈放されているはずだ。裁判所は警察にフリーパスを与えているからだ」と批判した。

 続いて三澤麻衣子弁護士(共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会)、武田隆雄さん(日本山妙法寺)、秘密保護法廃止をめざす藤沢の会 斉藤隆夫さん(秘密保護法廃止をめざす藤沢の会)、宮崎俊郎さん(盗聴法廃止ネットワーク)がアピール。

 最後に高田健さん(総がかり実)が「3・21共謀罪閣議決定糾弾 首相官邸前行動」、「自衛隊は南スーダンから即時撤退、共謀罪反対、3・19国会議員会館前行動」「4・6共謀罪反対!日比谷野音集会・デモ行動」などを提起した。

(Y)

報告:1.20話し合うことが罪になる共謀罪 国会提出を許さない院内集会

20共謀罪 1月20日、「秘密保護法、戦争法と一体 話し合うことが罪になる共謀罪 国会提出を許さない院内集会」(共催/「秘密保護法」廃止へ!実行委員会/解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会/日本マスコミ文化情報労組会議/盗聴法廃止ネットワーク)が参議院会館講堂で行われ、340人が参加した。

 安倍政権は、3度も廃案になった共謀罪の名称だけを変えた「テロ等組織犯罪準備罪」法案(=新共謀罪―犯罪を行ったら処罰するのが近代法の原則だが、それを否定し、法律に違反する行為を話し合い、合意しただけで処罰可能にする)を今国会提出に向けて加速している。安倍首相は、施政方針演説で「安心・安全の国創り」の項目で「テロなど組織犯罪への対策を強化します」と強調した。すでに共同通信のインタビュー(1月11日)で(『共謀罪』の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案に関し)「成立させなければテロ対策で各国と連携する国際組織犯罪防止条約が締結されず、2020年東京五輪・パラリンピックができない。『共謀罪』は一般の方々が対象となることはない」などとウソを繰り返した。

 そもそも国際犯罪防止条約(TOC条約)の立法ガイドには、『自国の国内法の基本原則に従って必要な措置をとる』と明記されおり、新共謀罪は犯罪の既遂以前を取り締まりであり、国内法原則の逸脱だ。テロ対策が必要というならば、すでに現行法で予備罪、準備罪、ほう助犯、共謀共同正犯などの形で共謀を犯罪とする措置がとられている。つまり、派兵国家建設と一体である治安弾圧強化に向けて警察権力の権限拡大のために盗聴法改悪などの刑訴法制定とセットで新共謀罪を使って民衆監視・管理・人権侵害のやりたい放題の「武器」を握りたいのだ。現在、自民党と公明党は、法案の国会提出に向けて修正協議を法務省、警察官僚らとともに適応刑法の絞り込みを行っている。安倍政権の民衆管理・弾圧強化に向けた新共謀罪の国会提出反対と制定阻止をめざして新たなスクラムを実現した。

 司会は中森圭子さん(「秘密保護法」廃止へ!実行委員会) が行い、「共謀罪法案が国会提出リストに入ってしまった。行為を処罰するのではなく、思想、考えそのものを処罰するのがねらいだ。市民的自由の制限を許さず、なんとしてでも4度目の廃案を目指して取り組んでいこう」と開催あいさつを行った。

 主催者あいさつが高田健さん(解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会)から行われ、「共謀罪は戦争法と一体だ。憲法破壊につながる悪法だ。すでに南スーダンに自衛隊が派兵され、戦争法が発動されている。自衛隊を撤退させたい。全国の戦争法廃止集会では共謀罪反対のスローガンが入り、制定阻止にむけて広がりつつある。韓国の民衆と連帯して安倍内閣を倒そう」と発言した。

 民進党、共産党、社民党、自由党の国会議員も複数駆けつけ、共謀罪制定阻止をアピールした。

 平岡秀夫さん(元民主党法務大臣、弁護士)は、「共謀罪(テロ等準備罪)の問題点」をテーマに問題提起。とりわけ政府の「国際犯罪防止条約を批准するために共謀罪が必要だ」という主張に対して「条約の目的(第1条)は『国際的な組織犯罪を防止、これと戦うための協力を促進』することであり、条約34条1項には『自国の国内法の基本原則に従って措置(立法上、行政上)』せよと明記されている。この枠組みであれば、すでに国内法で十分満たしている。密告、盗聴、司法取引を可能にした刑訴法改悪と一体で共謀罪を制定し、警察権力による監視社会の強化だ。政府のウソを暴き、法案制定を阻止していこう」と発言した。

 海渡雄一さん(弁護士)は、「平成の治安維持法・共謀罪法案の国会提出に反対しよう!」をテーマに①通常国会へ提出必至の情勢②なぜ共謀罪に反対してきたのか③盗聴捜査の拡大を招く危険④秘密保護法には既に共謀罪が導入されている⑤組織犯罪集団の関与を要件にしたら大丈夫か?⑥準備行為を要件としても、曖昧さは解消されない⑦共謀(合意)の対象となる犯罪としての「重大な犯罪」を限定したら⑧1925年治安維持法制定時には濫用のおそれのない完璧な法案と宣伝された⑨治安維持法と共謀罪との共通点と相違点について解説し、「条約批准のために共謀罪制定は不可欠ではなく、共謀罪法案の提案に反対する」と結論づけた。

 連帯発言が桜井昌司さん(布川事件元被告人)、治安維持法事件「横浜事件」の元被告の妻・木村まきさん、日本国民救援会、日本民主法律家協会、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会から行われた。

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報告:12.6話し合うことが罪になる共謀罪の国会提出を許さない!市民の集い

配信:共謀罪12月6日、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会は、文京区民センターで「秘密保護法 強行採決から3年『12.6を忘れない六日行動』 話合うことが罪になる共謀罪の国会提出を許さない!市民の集い」が行われ、70人が参加した。

 実行委は、新聞労連、平和フォーラム、5・3憲法集会実行委員会、秘密法に反対する学者・研究者連絡会、秘密法反対ネット、日本国民救援会で構成され、秘密保護法廃止をめざして定期的に国会行動を取り組んでいる。 秘密保護法が強行制定されてから3年。安倍政権は、グローバル派兵国家建設の一環として秘密保護法と戦争法を一体のものとして打ち固め、南スーダンPKOの自衛隊派遣部隊を派兵した。現地は内戦状態にあり、戦争の拡大連鎖の危険性の中で民衆を殺し、自衛隊員が殺される戦場に送り込んだ。すでに国内外の戦時態勢のレベルを上げており、国内治安弾圧体制の強化を加速しつつある。

 5月に刑事訴訟法改悪(一部可視化、司法取引、盗聴対象拡大)を強行した。その延長において8月時点で菅義偉官房長官は、3度も廃案になった共謀罪の名称だけを変えた「テロ等組織犯罪準備罪」法案(=新共謀罪―犯罪を行ったら処罰するのが近代法の原則だが、それを否定し、法律に違反する行為を話し合い、合意しただけで処罰可能にする)を臨時国会に向けて提出するキャンペーンを「国際犯罪防止条約の締結に伴う法整備」から「対テロ対策のために必要な法律」へと比重をかけて開始した。

 なんら治安弾圧と人権侵害の性格が変わっていない法案に対して野党、日弁連、市民などの抗議に直面し、表向きTPP法案などの成立を優先すると称して先送りにした。つまり、12月の盗聴法の施行強行のうえで、次の通常国会に新共謀罪法案を提出するということだ。実行委は、戦争法廃止とともに新共謀罪制定に反対していく新たな運動の取り組みに向けて集会を行った。


 集会は、実行委の中森圭子さんから開催あいさつが行われ、「この6日で秘密保護法強行採決から3年だ。この日を忘れずに6日に国会抗議行動を取り組んできた。安倍政権は、秘密保護法とセットである新共謀罪を通常国会提出に向けて準備を進めている。現代版治安維持法の危険性を社会的に訴えていこう。当面、国会提出を許さない取り組みをポイントにしながら戦争法反対運動とも連携しながら強化していこう」と訴えた。

 平岡秀夫さん(元民主党法務大臣、弁護士)は、「共謀罪と監視社会について考える―国連越境組織犯罪条約は共謀罪をつくらなくても批准できる」というテーマで以下のように講演した。

 「2000年の国連総会で採択された『国際的な組織犯罪の防止に関する条約』(TOC条約)に日本政府が12月に署名し、03年5月、国会で批准を承認したことにより、国内法整備のためとして組織犯罪処罰法の中に共謀罪新設を打ち出した。しかし共謀罪法案は、3度も廃案に追い込まれた。政府は、国際犯罪防止条約の締結に伴う法整備のために共謀罪が必要だと言ってきた。しかし、TOC条約の立法ガイドには、『自国の国内法の基本原則に従って必要な措置をとる』と求めているにすぎない。現行法ですでに予備罪、準備罪、ほう助犯、共謀共同正犯などの形で共謀を犯罪とする措置がとられている。共謀罪を導入せずともTOC条約を批准することは可能だ」。

 「法務相だった2011年9月に法務官僚に対して『TOC条約の目的・趣旨に基づいて防止すべき罪に対して、すでに当該罪について陰謀罪・共謀罪・予備罪・準備罪があるものを除き、予備罪・準備罪を創設することには、どのような問題があるか』と検討指示し、共謀罪を設けずに批准する道を探った。だが、『時間がかる』と言って慎重対応だった。法務相辞任後、自民党と警察官僚、財務官僚は、共謀罪制定に向けて一気に動き出した。TOC条約の立法ガイドを後景にしながら『テロ対策のために共謀罪は必要』という主張に対して反論していく必要がある。三度の廃案に追い込んだ国会審議を整理した。新国会議員は、共謀罪の存在と危険性をまったく知らない。国会議員の勉強会も含めて取り組んでいきたい。監視社会の野望を止めていこう」と強調した。

 講演後、平岡さんと海渡雄一さん(秘密保護法対策弁護団)が「共謀罪、秘密保護法、盗聴法で進む日本の監視社会」をテーマに対談を行い、秘密保護法反対運動の一定の総括を行い、今後の新共謀罪反対運動の課題を浮き彫りにした。

 後半は、米倉洋子さん(日本民主法律家協会)、高田健さん(解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会)、木村広さん(出版労連・書記長)、宮崎俊郎さん(共通番号いらないネット)、鈴木猛さん(日本国民救援会)から新共謀罪反対運動の決意が表明された。

 最後に前田能成さん(実行委、出版労連)が閉会あいさつを行った。

(Y)

沖縄情報:現場の写真(2016年5月28日)

みなさん

5月28日(土)、女性暴行殺人・死体遺棄事件の現場に行ってきました。

恩納村安富祖から金武町に抜ける県道104号線沿いの雑木林です。

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実は私はこの道を5月2日に通りました。

そのときはまだ事件が明るみに出ていませんでしたが、女性はすでに殺されて山中に捨てられていたのです。

今沖縄の野山のあちこちに咲き誇っているテッポウユリを3株手向け、手を合わせました。

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同じ時間、バイクに乗って若者がやって来て手を合わせていました。

現場の道路や雑木林の入口には、女性が好きだったというピンク色の花束や生前の写真、飲物、お菓子などがたくさん供えられています。

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これまで数百、数千と重ねられてきた基地あるが故の悲劇はもう繰り返したくない!

県民の気持ちは一つです。

6月19日(日)那覇市のセルラー球場で県民大会が開かれます。

3万5千人の収用定員を大きく上回る県民の怒りの爆発の場となるでしょう。

O・Y

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沖縄情報(2016年5月20日)

沖縄情報2016.5.23 その2 
米軍属の女性暴行殺人・死体遺棄事件に抗議する5.20嘉手納基地前抗議行動

①2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 朝7時半から150人が集まりました。
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②2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 赤信号で停車する米兵の車両(Yナンバー、Aナンバー、Eナンバー)の前でいっせいに抗議。「CLOSE ALL BASES」
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③2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 米軍人・軍属の車の運転席に駆け寄り、訴えます。
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④2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 抗議団の激しい抗議に県警が出動しました。ゲート入口付近はもみ合いで混乱。
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⑤2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 女性が涙ぐんで訴えます。「DON'T RAPE OKINAWA」
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⑥2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 米軍の車両の前に立ちふさがる人々。
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⑦2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 警官隊との攻防。人々の怒りが強く簡単に規制されません。
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⑧2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 ゲート入口付近にたむろする軍警(米軍に雇われた民間人警備員)
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⑨2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 上空を飛ぶF15イーグル戦闘機。連続して離陸し訓練を行なっています。
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⑩2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 ゲート入口付近の米軍専用ゴルフ場。米兵がカートに乗ってプレイしていました。
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⑪2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 正午に開かれた抗議集会。嘉手納基地爆音差止訴訟団と中部地区労の共催。200人以上参加しました。
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⑫2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 マスコミの注目も大きく、たくさんのテレビカメラが取材しています。
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⑬2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 前に立つ主催者のメンバーたち。向かって左から3人目は、伊波洋一さん。
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⑭2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 第1ゲート前の歩道と左折用車道は人でいっぱいです。
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⑮2016.5.20 嘉手納基地第1ゲート前 辺野古海上チームの仲間たち。「基地があるから米軍の犯罪がおこる。辺野古に基地はいらない。沖縄から基地をなくそう」と訴えました。
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報告:マイナンバー制度の廃止を求める12・12集会

12 12月12日、連合会館で「マイナンバー制度の廃止を求める12・12集会 延期させよう!1月利用開始 申請やめよう!個人番号カード 支援しよう!違憲訴訟」集会が行われ、280人が参加した。主催は、共通番号いらないネット、マイナンバー反対連絡会、マイナンバー違憲訴訟東京弁護団の実行委。

 白石孝さん(共通番号いらないネット)から開会あいさつを行い、冒頭、「今日の集会にテレビ局の取材がまったく入っていない。マイナンバー反対の意見をニュースで報道しない姿勢の現れだ。安倍政権とともにメディアもマイナンバー推進の立場だと言える」と批判した。

 さらに「マイナンバー(危ない共通番号)の利用開始が 2016年1月に迫るなか、番号利用開始の延期と共通番号制度の廃止を求めていこう。個人番号通知が届いているが、その中身は個人番号カードを申請させようと誘導している。この手法は民主主義に反している。番号通知が届き、人々の不安が高まっている。だが個人が孤立した状況でもある。反対運動が間に合っていない。労働組合の取り組みを強化していこう」と訴えた。

 瀬川宏弁護士(マイナンバー違憲訴訟東京弁護団)は、「マイナンバー違憲訴訟の論理とは」をテーマに報告した。

 「12月1日、マイナンバー違憲訴訟を東京、仙台、新潟、金沢、大阪の五地裁に提訴した。請求の趣旨は、①原告らのマイナンバーの収集、保存、利用及び提供の禁止。②保存している原告らのマイナンバーの削除。③原告らに対し、各11万円の慰謝料の支払い。この請求は、憲法13条で保障されたプライバシー権(自己情報コントロール権)、人格権を侵害されたことを理由として、国に対して、原告らのマイナンバーの利用等の差し止めを求める民事訴訟だ。コンピュータ・ネットワークなどの情報通信技術の進展と、『ビッグデータ』の利活用が推し進められている現代社会におけるプライバシーの保護のあり方を問う裁判だ。マイナンバー違憲訴訟を支援してください」と述べた。

 原田富弘さん(共通番号いらないネット)は、「番号利用開始前の状況と今後の運動について」、次のように提起した。

 「番号利用開始前の状況は、私たちが指摘してきた問題が現実化した。通知カード配布の遅れ・トラブル。住民票交付のトラブル。マイナンバー口実の詐欺の多発だ。さらに自治体のセキュリティー対策の未整備状況が続いている。つまり見切り発車で強引に進めている。厚労省担当官汚職で逮捕されたが、IT利権のための推進ではないのかという疑問が浮上している」。

 「利用開始後、さらに問題が広がるだろう。取り上げればたくさんあるが、例えば、役所や会社で番号やカードのない人や記入拒否する人に対する不当な圧力が行われる。政府は、個人番号を3カ月で1000万枚交付すると言っているが、自治体窓口にたくさんの人々が殺到して窓口が混乱するのは必至だ。DV等の被害者の番号通知カードが加害者宅に届く危険性もある。問題点はたくさんあるが、結局、労働者の税徴収の強化にねらいがある」。

 「今後の運動は、①利用開始を延期させ、見直し・凍結・中止・廃止を、さらにアピールしていくことだ。同時にマイナンバー制度の運用監視、制度の定着と利用拡大反対の取り組みを進めいこう。基本的人権の侵害を許さないための措置を自治体と国に求めていこう」。

 徳森岳男さん(マイナンバー制度反対連絡会)は、「番号利用開始延期の取り組みについて」(①マイナンバー反対署名〈2万筆到達〉②国会議員要請行動③院内集会開催の予定)を報告した。

 リレートークでは、全国商工団体連合会、 神奈川県保険医協会、生活と健康を守る会連合会、反五輪の会、ふじしろ政夫千葉県議会議員などから取り組み報告とマイナンバー反対の発言があった。

 池内さおり衆議院議員(共産党)は、「視覚障がい者から『点字がないから通知カードが届いても読めない』と抗議が寄せられており、そのことを総務省に伝えると『携帯電話のらくらくホンで聞いて』『音声変換する音声コードを付けた』とか言って、居直っていた。障がい者の実情無視のマイナンバー制度だ。さらに中小零細企業は、マイナンバー対策費で多額な出費が強要されると怒っている。まさにマイナンバー増税だ」と糾弾した。

 最後に集会宣言を採択し、政府に対して①運用開始に値する準備が不足している状況に鑑みて2016年1月の共通番号制度運用開始を延期すること②個人番号カードの所持を強制するような施策を行わないこと③共通番号記入が求められる申告・申請書類に共通番号の記入がなくても受理し、不利益を与えないことを周知徹底すること④共通番号制度運用の検証が行われていないのに、利用拡大を法制化しないこと。検証作業の中で制度そのものの廃止も含めて抜本的な見直しを行うこと―を要求していくことを確認した。

(Y)

報告:11.27「監視社会はゴメンだ!盗聴法・刑訴法改悪案を廃案へ!市民の集い」

配信用:盗聴法反対 11月27日、盗聴法廃止ネットは、スペースたんぽぽで「監視社会はゴメンだ!盗聴法・刑訴法改悪案を廃案へ!市民の集い」を行い、35人が参加した。

 中森圭子さんが主催者あいさつを行い、「刑訴法改悪法案は、前国会の参議院法務委員会で継続審議となった。安倍政権は、1月4日に通常国会を召集している。参議院法務委員会の審議日程はどうなるかわからないが、改悪法案の審議に入ったとたんに採決される危険性がある。厳しい状況だが、刑訴法改悪法案を批判し、新たな取り組みを準備していきたい」と呼びかけた。

 川崎英明さん(関西学院大学大学院司法研究科教授 刑訴法)は、「盗聴法の改悪で私たちの人権はどうなるのか」というテーマで講演した。

 川崎さんは、①変貌する盗聴法②第三者チェック(通信事業者の立会)なき秘密処分について提起し、「盗聴対象通信該当性は盗聴を実施して初めて判別可能になる。通信内容は通信当事者の間で無限に変容するから、犯罪関係通信に限定することはできず、全通信盗聴だ。通信の秘密、思想・良心の自由への脅威であり、市民の自由への脅威であることを明らかにしていく必要がある。同時に盗聴の違憲性に対応した現行盗聴法の抑制的側面を抹殺し、警察・検察にとって使い勝手の良い盗聴法へと変質させようとしている」と強調した。

 そのうえで盗聴法改悪によって「市民的自由はどうなるのか?」について、「盗聴法の運用実態(国会報告2004年~12年)の総数が45662件、犯罪関連通信が7107件で残りの85%が日常生活の通信だった。改悪によって盗聴数は飛躍的に拡大する。すなわち日常通信の補足数の飛躍的拡大であり、その盗聴が明らかにされないのだ。将来的には防犯カメラ、スマホ等のGPS位置探索と結びつけることをねらっている。まさに監視社会だ。残念ながら改悪法の修正の余地はない。付帯決議などしても歯止めにならない。粘り強く盗聴法の違憲性、人権侵害を訴え続け、廃案をめざそう」と批判した。

 刑訴法改悪法案批判と今後の取り組みについて今井恭平さん(盗聴・密告・冤罪NO!実行委員会)、井上和彦さん(共通番号いらないネット)、日本国民救援会、海渡雄一さん(弁護士)から行われた。

(Y)

18歳選挙権と高校生の政治活動

maxresdefault禁止・制限の全面撤廃を
自分たちのことは自分たちが決める!



69年通知は廃止された

九月一四日、文科省は高校生の郊外での政治活動について、容認することを決め、都道府県教育委員会に通知を出した。一五日の新聞報道では以下のような内容になっている。

「新通知案は、放課後や休日に校外で行う政治活動などについて『生徒が自主的、主体的に判断して行うもの』として容認。生徒の学業に支障が発生するか、生徒間で政治的な対立が生じて学校教育の妨げとなる場合は、禁止も含めて適切に指導すると記述。違法の恐れが高い場合には制限または禁止が必要とした。生徒による公職選挙法違反を防ぐため、高校が同法の重要事項を周知する必要性も指摘した」。

「一方、学校に政治的中立性を求める教育基本法の規定に触れ『(高校生の政治活動などは)無制限に認められるものではなく、必要で合理的な範囲で制約を受ける』と明記。校内では通常、授業などが行われていることを踏まえ、原則的に活動を禁じた」。

「授業では具体的な政治的事象に関する議論を促すものの、公選法により教師は地位を利用した選挙運動が禁じられているとして、特定の政治的立場に立って生徒と接してはならないと強調した」。

「意見が対立するテーマでは多様な見解を生徒に紹介し、異論に耳を傾け合意形成する力を身に着けさせるよう求めた。模擬投票の実施も推奨した。(共同)」(「毎日」、9月15日)一九六九年に文部省(当時)が高校への学生運動波及を受けて出した通知は、学校の内外を問わず政治活動を禁止していた。反動的な六九年の通知は廃止することになった。

主権者として考えるために

こうした学外での高校生の政治活動の「解禁」は次のようなことが重なったからのようだ。

六月一七日に改正公職選挙法が全会一致で可決し、選挙権年齢が一八歳に引き下げられ、来年夏の参議院選挙から実施されることになったこと、また文科省、教育委員会、高校長の間で、SEALDs呼びかけ集会の高校生について、「政治活動の禁止」を適用すべきかどうかが議論になった。政治活動は禁止すべきという意見もあったが、一八歳選挙権との折り合いがつかなくなる、という考え方が大勢を占めたようだ。その結果学外での政治活動の自由を認めることになった(教育ジャーナリスト・小林哲夫)。

八月二日夕方から東京・渋谷で、国会で審議中のいわゆる「安全保障関連法案」=戦争法案に反対する高校生たちがグループ「T­-ns SOWL(ティーンズソウル @teensSowl)」を結成し、高校生の呼びかけによる初めてのデモが行われ、高校生たち一〇〇人(全体で五〇〇〇人)が参加した。

「主催者側によると、若者の団体『SEALDs(シールズ)』による国会前のデモなどに参加した高校生約三〇人が『自分たちでもグループを作り、デモをやろう』とインターネットを通じて呼び掛け、実現に至ったという」(ロイター、8月2日)。

甲府市から参加した高校二年生の女子生徒は「同い年の人が呼びかけていることを知って、自分も動こうと思いました。デモを見た一人一人が考えてほしい」と話していました。また、都内から参加した高校二年生の男子生徒は「強行採決で押し切ろうという考え方が納得できません。少しでも声を上げて、それが力になればと思います」と話していました(NHK、8月2日)。こうした高校生の運動は京都などにも広がっていった。

一八歳選挙権付与が決まった後、都立青山高校校長は次のように生徒に呼びかけた。
「この件については、何度か集会等で触れました。『当時の青高生のとった行為(1969年の青高闘争のことを指す)は決して許されるものではありませんが、その姿勢は見習うべき点もある』と話しました。あまりに今の青高生(高校生と言ってもよいと思いますが)が社会や政治に無関心すぎることに危惧を抱いていたからです」。

……「これまで学校教育では政治教育が禁止されていました。今後は高校での授業等を通じて、生徒に主権者としての意識や資質、能力を身に付けさせる主権者教育を進めていきます。現在、安全保障関連法案をめぐり与党と野党が大きく対立しています。主権者になる皆さんはこの問題をどのように考えますか? 一つの意見だけにとらわれず、様々な意見に耳を傾けることが大切です。そして最後は自分自身で考え判断することになります。今からその心構えと意識をもって、私たちを取り巻く社会(広く世界)をしっかり見る力を付けてほしいと思っています」。(都立青山高校統括校長小山利一、「青高通信」6月30日)

20069年高校生運動と厳しい弾圧

一九六九年前後の学生運動を受けて、全国で高校生が学内民主化、受験体制粉砕、政治活動の自由を求めて闘った。一九六九年、文部省は高校生による政治団体の組織化や文書の掲示・配布、集会開催などの政治活動を「教育に支障があるので制限、禁止する」と通達を出した。

当時高校生(静岡県掛川西高)だった私たちも闘いに立ち上がり、学内での政治表現の自由(生徒による自主的な掲示板の設置)、チラシまき、デモ自由などを求めた。これに対して、学校側は掲示板の撤去、学外でのデモ参加に対して教師を派遣して、生徒を特定し参加しないように親にどう喝を行った。そして、一九六九年六月の静岡県伊東市で開かれたアスパック反対闘争(アジア・太平洋協議会首脳会議)に参加した八人のうち四人が逮捕され、無期限停学の処分がなされた。これが処分撤回闘争として発展し全国的にも注目される闘いとなった。この時、学校側が処分理由として使ったのが文部省による高校生の政治活動の禁止通達であった。

今回の文科省の高校生の政治活動への対応の変更は当然のことであるが、学内での政治活動を認めないという抑圧的なものだ。新しい事態を受けて、文科省は「副教材」「教師指導用テキスト」を配布する。教師へ「政治的中立」の名のもとに、現実に起こっている政治的対立について、政府批判をさせないような政治的締め付けはかえって強化されるだろう。教育現場は「政治的自由」どころか、かえって萎縮するだろう。選挙権という政治行為を一方で許し、一方で政治活動を制限しようとする。政府・文科省の矛盾は高校の教師へ一番重圧がかかり、結局高校生たちを非政治化したり、右翼・自民党政治にからめとようとするだろう。

学内において、政治討論の場を要求しよう。政治活動の自由をかちとろう。高校生たちの強みはツイッターなどによって、学内で政治的抑圧をしようとしてもできないほどの情報を得ることができ、それが横につながって仲間たちを作ることができることだろう。あふれんばかりの笑顔でデモをする高校生たちの姿はさわやかさを持っている。

憲法は集会や言論などの表現の自由を保障している。なぜ高校生の政治活動は制限されるのか。これは明確な憲法違反である。一八歳からの選挙権は一八歳~二〇歳の有権者が二五〇万人増えることになる。これらの青年たちがどのように政治にかかわり投票していくのか、今後の日本の政治動向にも大きな影響を与えるかもしれない。未来を決める高校生を始め青年たちに「自分たちのことは自分たちで決める」、「政治活動の自由を!」。「デモに出よう、デモを行おう」。 

(滝)


名張毒ぶどう酒事件、奥西勝元死刑囚 無念の死去

20131017160902653_ddfaf2affb6c6725a99815e7a811f9ac(2013年に八王子医療刑務所で面会した弁護人がスケッチした奥西さん)

司法制度が奥西さんを殺した

 名張毒ぶどう酒事件で、第九次再審請求を行っていた奥西勝さん(死刑囚)が一〇月四日、八王子医療刑務所で亡くなった。享年八九歳。三五歳で逮捕され、五四年を獄中で暮らさざるを得ず、それも死刑囚として刑の執行におびえながらであった。えん罪を晴らすことができず、無念な最後であった。再審請求は妹の
岡美代子さんが引き継ぐことになった。名張毒ぶどう酒事件は終わっていない。改めて裁判所、検察の許さざるべき体質が明らかとなった。えん罪を生みださないあり方、再審制度が問われている。

 一九六一年、三重県名張市葛尾(くずお)地区の懇親会でぶどう酒を飲んだ女性五人が死亡、一二人が中毒症状を起こした。「名張毒ぶどう酒事件」だ。男たちは日本酒を飲んでいて、事件にあわなかった。奥西さんはいったん犯行を自白するが、起訴直前に「警察に自白を強要された」と主張し、その後一貫して犯人でいないことを訴えた。一審名古屋地裁は無罪判決。高裁は逆転死刑判決、一九七二年、最高裁も死刑判決を維持し確定した。奥西さんの孤独な再審の闘いが始まった。最初は一人で再審請求したが、その後国民救援会などの支援、日弁連も支援を行っていた。

 二〇〇五年四月、第七次再審請求に対して、名古屋高裁は「再審を開始する。請求人に対して死刑の執行を停止する」決定を出した。しかし、検察の異議で、同年一二月、名古屋高裁の別の部で、再審決定が棄却された。二〇一〇年、弁護団の特別抗告を受け、最高裁は毒物を詳しく検証するよう、名古屋高裁に審理を差し戻した。しかし、二〇一二年、名古屋高裁は再審開始の取り消しを決定した。弁護団は最高裁に特別抗告し、最高裁で争われたが請求は棄却され、現在第九次再審の最中であった。

 名張毒ぶどう酒事件は、犯行を裏付ける物的証拠が少ない。そうした中で、奥西さんを犯人と結びつけたのは、ぶどう酒の王冠、農薬、ぶどう酒到着時間などだ。ぶどう酒を歯で噛んで開けたという自白があるが、実は王冠に残る歯型が奥西さんのものでないことが第五次再審請求で明らかになった。また、第七次再審請求では、王冠の足の部分に、奇妙につぶれて曲がった個所があった。弁護団は町工場に依頼し、一八〇〇個を復元し、奥西さんが自白した方法で開けたが、犯行現場に残されたようなつぶれ型をするものは一個も出なかった。

 奥西さんが持っていたニッカリンTという農薬を混入させたとされた。ぶどう酒を飲んだ人たちは、白ぶどう酒だったと証言している。第五次再審請求で、弁護団はいまは作られていないこのニッカリンTを探し出した。ニッカリンTは赤い色をしていた。つまり、白ぶどう酒ではなかったのだ。さらに、第七次再審請求では、ニッカリンTを使うと混合物が残ることを明らかにした。飲み残したぶどう酒には不純物は出てこなかった。

 事件直後の取り調べに対して、村人たちは「酒屋から会長宅にぶどう酒などが届けられたのは午後二時一五分。それを奥西さんが公民館に運んだのは午後五時二〇分頃だった。この間、複数の村人は会長宅を訪れていた」と証言した。しかし、奥西さんが自白した後は「ぶどう酒が会長宅に届けられたのは午後五時頃」とし、「奥西さんだけが『毒』を入れることが出来た」と村人たちは証言をひるがえした。

 一九六一年名張毒ぶどう酒事件、一九六三年狭山事件、一九六六年袴田事件。六〇年代に起きた重大事件で、再審請求・冤罪をはらす運動がずっと続けられてきた。名張事件は一審無罪で、高裁は逆転死刑判決という戦後初めての例だ。奥西勝さんと袴田巌さんは死刑囚として、いつ死刑が執行されるかという恐怖の中で長年闘い続けた。袴田さんは二〇一四年再審が認められた。石川一雄さんは一審死刑、そして無期懲役が確定し、現在仮釈放の身だ。

 共通しているのは自白偏重の取り調べ、証拠のねつ造などだ。こうしたウソの自白の強要をなくすためには、代用監獄の廃止、取り調べの全面可視化、全証拠の開示が必要だ。

 奥西さんと面会するなど長年、名張事件に関わってきた江川紹子さん(ジャーナリスト)は次のように裁判所のあり方を批判している(「YHOO!ニュース」10月6日)。

 「私は、第五次再審請求から本件をフォローしているが、裁判所は確定判決に問題はないかという視点から証拠を見ようとせず、再審を開かずに済む理由を懸命に探すのが、基本的な姿勢なのだと知った。再審を開かせないためには、すでに残骸のようになった証拠にしがみつくだけでなく、検察側も言っていないような化学反応を、裁判官の頭の中で作り上げさえする。特に、ひとたび再審開始決定が出た後の、門野決定や下山決定、さらにはそれを追認した最高裁(桜井龍子裁判長)の決定からは、何が何でもこの事件での再審を開かせまい、という強烈な意思すら感じた」。

 「結局、司法にとっては、囚われた人の人権や人生よりも、『裁判所は間違わない』といった無謬神話の方が大事なのだろう。『疑わしきは被告人の利益に』という刑事裁判の原則が再審請求審にも適用されるとした最高裁『白鳥決定』は、ごく一部の稀有な裁判官にしか通じなくなっていると、言わざるをえない」。
 
 江川さんは再審請求に対して、次のように提案している。

 「これでは、過去の裁判の誤りを正し、無辜を救済する機能を、裁判所に期待することはできない。再審制度を根本から変えていかなくては、冤罪に巻き込まれた者は救われない、と思う。たとえば、再審開始を決める再審請求審は、今のように裁判官が密室の審理で決めるのではなく、裁判所とは何のしがらみもない市民が関わるようにすべきだ。市民によって判断をする検察審査会方式か、市民と裁判官が協力して判断する裁判員裁判方式がよいのかはともかく、市民が参加して、もっと常識的な目で事件を見直せばよい。さらに、鑑定人などの証人尋問は公開で行うべきだろう」。

 「また、現在の刑事裁判であれば、開示されるはずの捜査側の証拠は、再審請求の場合にも、検察は開示すべきだ。名張毒ぶどう酒事件は、今なら裁判員裁判の対象になり、公判前に広範な証拠開示が行われる」。

 警察・検察の人権感覚なしの取り調べ・起訴のひどさはいうまでもないが、名張毒ぶどう酒事件の裁判のように、再審決定がされてもなお、それを取り消すことができるような制度の不備を変えなければならない。検察と裁判所のもたれあいを根本から変える司法制度の抜本改正。無罪判決が出たら、検察が控訴できない制度、再審決定への異議を認めない制度の確立。死刑制度の廃止。

(滝)

報告:10.3 ストップ! マイナンバー(共通番号)10月通知 全国集会&デモ

3マイナンバー 10月3日、共通番号いらないネット(共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会)は、共通番号法施行(10月5日)直前に対して「ストップ! マイナンバー(共通番号)10月通知 全国集会&デモ」を宮下公園で行い、400人が参加した。

 集会は、白石孝さん(ネット代表世話人)から主催者あいさつが行われ、「全国各地で学習会、集会が行われ日増しに共通番号に対する危機感が拡大している。事業者を指導する税理士、社会保険労務士さんたちでさえも制度の仕組みがわからず、不安、疑問の声が上がっている。今日の集会は、5日からの共通番号通知の延期と全面的な見直し要求していく。来年1月運用開始に反対していく運動のスタートだ」と決意表明。

 さらに「政府は、全ての人々に共通番号カード所持の義務化、常時携帯を強要してくるだろう。さらに本人確認のためにカード申請時に顔写真を撮り、ICチップの取り込んでいく顔認証システムを導入しようとしている。最終的に街頭などのカメラとカードに取り込まれた顔写真データが照合していくことまでねらっている。とんでもない管理国家になっていく。番号制度中止を求めていこう」と訴えた。

 池内さおり衆議院議員(日本共産党)は、 「政府は、いまだにマイナンバー制度の費用対効果を公表していない。初期投資に3000億円の税金を投入しても便益がほとんどない。民間事業者にも大きな負担となる。ある試算によれば100人規模の会社では初期費用約1000万円、年間維持・管理費に約400万円が必要になる。まさにマイナンバー増税にほかならない。セキュリティー対策もまともにできていない。年金機構の個人情報流出の反省をまったくしていない。制度の中止、廃止を求めていこう」と批判した。

 続いて自由法曹団、田島泰彦さん(上智大学教授)、札幌の仲間、千葉県議の藤代政夫議員(無所属・立憲ネット)、マイナンバー制度反対連絡会、秘密保護法廃止実行委員会からアピール。

 最後に共通番号いらないネット事務局の宮崎俊郎さんは、「『私たちはマイナンバーカードはいらない』と全国的に訴えていきたい。政府は、8割の民衆にカードをもたせるために必死だ。2020年の東京オリンピックの入場のためにカードを提示させようとねらっている。この人は『危険ではない』という入場規制を行ってくる。治安管理が基本的な性格だ。12月12日に連合会館で16年1月からのマイナンバー運用開始反対集会を行う」と呼びかけた。

 デモに移り、「共通番号反対!監視・管理社会はごめんだ!」のシュプレヒコールを渋谷一帯に響かせた。(Y)


10.5共通番号(マイナンバー)通知糾弾! 制度運用を中止せよ!

 安倍政権は、10月5日、グローバル派兵国家建設の一環である治安弾圧・民衆管理監視強化のためのマイナンバー(共通番号)を民衆1人1人に12桁の個人番号と13桁の法人番号を通知し、16年1月に制度運用を強行する。しかしサイバー攻撃などのセキュリティー対策は不完全なまま見切り発車で運用開始の強行を押し進めている。

 そもそも日本年金機構の情報流出事件(6月1日/100万人を超える年金データの流出)の原因と対策は、いいかげんなものに貫かれており、それでもよしとする態度で乗り切ろうとしている。「原因究明調査結果」(8月20日)は、「標的型攻撃(メールの添付ファイルを開かせてパソコンをウイルス感染させ、システム内の情報を抜き取る)対策としてシステム上の有益な対応策が示されているにもかかわらず、必要な機関において、その実施がなされないことがある」「システムの維持運用を確実にする監査を強化せよ」などと科学的根拠と対策を具体的に示すこともなく年金機構と厚生労働省のセキュリティー対策の希薄、対応不能を温存し続けてきたことを批判するだけだ。いまだに情報の一元管理に固執し、新型ウイルスから防衛する最低限の対策であるネットワーク分離、分散管理に抵抗し続けている。これでは年金機構の情報流出の再発は必至だ。

 だから政府は、対テロ治安弾圧・民衆監視・管理の観点から「サイバーセキュリティ戦略」を修正し、政府機関の情報システムをインターネット接続から分離することを決めざるをえなかった。総務省は、各自治体に対して、ネット分離や早期にシステム改修せよと掛声けだけは大きいが、ほとんど間に合っていないのが現状なのだ。

 共同通信は、各自治体に対して不正アクセス被害の調査結果(9月21日)を明らかにし、100以上の自治体がサイバー攻撃を受け、対策措置が遅れていることを明らかにした。「サイバー攻撃と被害を受けた自治体」では、①ホームページが外国語に書き換えられた(13県・都)②ホームページを見た人のパソコンをウイルス感染させる(5県)③大量のメールを送りつけられたサーバーが動きづらくなるなどした(10県)④サーバーが乗っ取られて踏み台になり、外部にメールをばらまく(2県・都)⑤サーバーからメールアドレスが漏えいする(2県)⑥ウイルス付きのメールを送りつけられ、サーバーが感染する(標的型攻撃)(1県)――と集約した。さらに、システムをネットから遮断していない自治体が19%も存在しており、セキュリティー対策の任務放棄をしていたことを暴露した。

 安倍政権よ、こんな実態でもマイナンバー運用を強行するのか。先の参議院内閣委員会でIT政策を担当する山口沖縄・北方担当相は、「サイバー攻撃への対応策が不十分な地方自治体も制度の運用に加えるのか」の質問に対して「出来ていない自治体は制度に入れない」と答えていたが、本当に「排除」するのか信用できない。基本姿勢は、明らかにセキュリティー対策が間に合わないことを前提にしており、これでは自治体からの個人情報流出はやむをえないと判断しているに等しいのである。

 総務省は日本年金機構の情報流出事件を契機に、あわてて全国1789の都道府県と市町村に「『基幹系』や『情報系』のネットワークはインターネットから分離してますか」などと緊急調査を実施(6月下旬)していた。完全に分離していたのは七%でしなく、大半はインターネットと接続していたことを把握していた。総務省は「それぞれ攻撃対策は講じているので、この結果だけで即危険とは言えないが、マイナンバー制度で重要情報のやりとりが増える中、見直しが必要」と認識していたにもかかわらず、棚に上げたままだったのだ。これは確信犯そのものである。

 すでに制度導入着手時から財政逼迫の自治体は、セキュリティー対策費と人材不足でまともに対応できないと「悲鳴」を挙げていた。だが政府は、統一した安全基準を明示せず、各自治体のシステムの安全性を再点検することもなく、日本年金機構の情報流出事件で明らかになった標的型メール対策やパスワードの設定などの運用基準の強化さえも「教訓」とし共有化することもしていない。自治体は「マイナンバーは国が言いだした制度なのだから、国が対策レベルを示してほしい」と突き上げているが、総務省幹部は「このレベルの対策を取れば安全だとまでは言いにくい。責任問題になる」などと対応を繰り返しているのだ(共同通信/9月22日)。

 ようやく総務省は基幹系システムの分離に必要な費用を16年度当初予算に計上する方針を決めたが、中小企業にいたってはシステム対応などの準備がほとんど進んでいないのが実情だ。つまり、いまだにセキュリティー対策は後回しのまま、マイナンバー運用開始を強行するという態度は変えていないのだ。

マイナンバー拡大適用やめろ!

 こんな欠陥だらけのマイナンバー制度にもかかわらず拡大適用だけは一人歩きしている。財務省は消費税増税に伴いマイナンバーを活用する還付制度案をぶち上げたが、実現性ゼロということで漫画的にたち振る舞って頓挫した。マイナンバー拡大適用の悪のりは、これだけではない。すでに2018年からは、金融機関の預金口座にも個人番号が使えるようにし、21年をめどに義務化することも狙っている。IT総合戦略本部は、戸籍事務、パスポート申請、医療・介護・健康情報の管理、自動車登録を挙げている。成長戦略も、17年度以降、個人番号カードをキャッシュカードやクレジットカードとして利用できるようにすることを明記していた。NHKの籾井勝人会長にいたっては、受信料の支払率向上に向けて「積極的にマイナンバーの活用を検討したい」と言うほどだ。

 警察庁は、マイナンバー制度が省庁自治体間のデータ連携を認めていることを根拠にして対テロ治安弾圧のために個人情報の取得の強化のためにフル回転させようとしている。マイナンバーカードは、顔写真が記載されたICチップのついたカードだ。この顔認証システムと防犯カメラで集積したデータをリンクさせ、人物特定・追跡していくシステム開発もめざしている。「サイバーセキュリティ戦略」ではグローバルテロリズムとの対決の観点から2016伊勢志摩サミット、2020東京オリンピック・パラリンピックをメルクマールにして対策を強めろと「決意表明」している。マイナンバーを通した人権無視、治安弾圧、金儲け優先を許してはならない。

 欠陥だらけのマイナンバー一六年一月運用を中止せよ!拡大適用をやめろ!

(Y)

9.3衆院 共通番号法(マイナンバー)と個人情報保護法の改悪法可決糾弾!

無題 治安弾圧・民衆管理監視強化のための共通番号法(マイナンバー)と個人情報保護法の改悪修正法案が8月28日の参院本会議で採決を強行し可決した。自民党、民主党、公明党、維新の党などが賛成。日本共産党、社民党、生活の党は反対した。改悪修正法案は、9月3日、衆院本会議で再度、採決強行した。

 参議院内閣委員会は、6月4日以降、日本年金機構の情報流出事件(6月1日/100万人を超える年金データの流出)によって法案審議が中断していたが、マイナンバー推進である民主党が年金データとの連結を延期する修正案(年金情報とマイナンバーの連携を「16年1月から最大で1年5カ月」で行なうとしていたが「17年1月から最大で11カ月遅らせる」)を加えて提出し、27日の参議院内閣委員会で採択してしまった(自公民、民主、日本を元気、次世代が賛成、共産、生活が反対)。

 委員会でIT政策を担当する山口沖縄・北方担当相は、「サイバー攻撃への対応策が不十分な地方自治体も制度の運用に加えるのか」の質問に対して「出来ていない自治体は制度に入れない」と答えた。つまり、10月に世帯ごとにマイナンバーの番号が入った通知書とカードの申請書(任意)を郵送し、16年1月運用開始ありきで強引に押し進めていくことを前提にしている。改悪修正法案もセキュリティー対策が不可能であるにもかかわらず、いいかげんに延期日程をデッチ上げたにすぎない。

脆弱なセキュリティー温存

 「日本年金機構における個人情報流出事案に関する原因究明調査結果」(8月20日)の報告は、年金機構と厚生労働省のセキュリティー対策の希薄、対応不能を温存し続けてきた組織的な欠陥を批判しているのみだ。報告は「標的型攻撃対策としてシステム上の有益な対応策が示されているにもかかわらず、必要な機関において、その実施がなされないことがある」「システムの維持運用を確実にする監査を強化せよ」と決意表明のみで情報流出事件を収束させたいのが本音だ。

 標的型攻撃メールは年金機構だけでなく全ての官庁機構、企業に対して行なわれており、従来のウィルス対策では防御が不可能だからこそネットワーク分離や技術的分析が優先されなければならないはずだ。運用開始を強引にすすめる姿勢には民衆の人権を守ることなど投げ棄ててしまっている。

 マイナンバー制度(2013年5月成立・公布)は、税務署や自治体などが別々に把握している所得や納税、社会保障サービスなどの状況を管理し、年金、医療、介護保険、生活保護、労働保険、税務の六分野で活用するとしている。さらにIC(登録証)カード(氏名、生年月日、性別、住所を記載し、ICチップに番号を記録する)を持たせ、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の住民票コードによって住民登録・戸籍・収入・税・健康保険・医療・福祉給付・介護保険・年金・免許・旅券・犯歴などの個人情報の一元化をめざしている。

 いまだに政府は、「今まで各機関で管理していた個人情報は引き続き当該機関で管理してもらい、必要な情報を必要な時だけやりとりする『分散管理』の仕組みを採用しています。マイナンバー(個人番号)をもとに特定の機関に共通のデータベースを構築することはなく、そこから個人情報がまとめて漏れるようなこともありません」(内閣官房のマイナンバーHP)とデマキャンペーンを居なおり的に繰り返し維持しているところに国家的意志が現れている。民衆1人1人の個人情報を掴みきるシステム構築の野望は、個人情報の統合的なデータベース化によって国家権力の統治力を強化していく装置となるからだ。だが個人情報漏洩事件、秘密データ漏洩事件、犯罪歴・病歴漏洩事件、ハッカーによる不正アクセスやサイバー犯罪が多発し、人災漏洩事件もなくならず、現在のセキュリティーレベルの脆弱性が明白な状態にもかかわらず、その危険性を覆い隠そうと策動を繰り返
している。

 しかもマイナンバー制度の中間サーバー(自治体などが保有する個人情報と国などが持つ情報と連携させる)の拠点は、東日本・西日本の全国2カ所に設置し、中央集約的システムに個人情報の一元的管理を行なう。このシステムに対してサイバー攻撃がかけられたら、日本年金機構における個人情報流出事件よりも巨大な個人情報流出が発生してしまうのだ。だから個人情報を国家が一元的に集中するのではく、分散型によってできるかぎり情報漏洩を防止していく前提条件の整備が必要なのだ。

 それにもかかわらず日本年金機構の情報流出事件のシステムとウィル対策の技術的分析の棚上げは、悪質な犯罪だ。

 すでに欠陥システムのために「情報提供ネットワークシステム」の設計・開発を共同事業体(NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所)に123億1200万円、「番号生成システム」に68億9580万円(14年3月)の巨額財政を支出している。ITゼネコンは、立て続けの大儲けで大喜びだ。新たな利権がマイナンバー制度の運用によって発生することに厳しく監視していかなければならない。


金儲けのための個人情報保護法改悪

 個人情報保護法改悪は、「ビッグデータ」と称して商品価値が高い個人情報を特定できないように加工すれば本人の同意なしで企業の金儲けのために活用できることを目的にしている。内閣府の外局として個人情報の取扱いの監視監督権限を有する第三者機関(個人情報保護委員会)を特定個人情報保護委員会を改組して設置して個人情報の目的外利用ができないように監視を強化すると宣伝しているが、プライバシー保護のための情報主体の「事前の同意」による「自己の個人情報をコントロールする権利」と「個人情報の開示請求権」、「違法な情報利用の中止請求権」、「不服申し立て制度」を排除した人権侵害に満ちたシステムなのである。共通番号法とセットの個人情報保護法の改悪は、強引に法案を一本化してしまったように治安弾圧・民衆管理監視強化を最大の目的にしている。人権侵害の拡大を促進する個人情報保護法改悪を糾弾する。

共通番号制度の中止にむけて

 共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会は、9月3日に「声明・共通番号(マイナンバー)利用拡大法案の成立に抗議する!」を発表し、10月3日に抗議デモを行なう。さらに具体的な反対行動として「通知カードの受領拒否、個人番号カードの申請拒否、番号記入・本人確認書類提示の拒否、番号の変更要求、国・自治体への抗議や延期・中止要求などさまざまなバリエーションの中からできる抵抗運動をチョイスしてもらいたい。さらに新たに行われようとしている法人や学校を単位とした個人番号カードの取りまとめ申請について反対運動を強めてきたい。個人番号カードの申請はあくまで個人の任意な行為であり、団体が取りまとめるべき筋合いのものではなく、任意性を侵害する危険性が高いからである。

 私たちは政府に警告する。市民の理解がないまま共通番号(マイナンバー)制度を強行すれば、市民の抵抗を受けて頓挫した住基ネットの二の舞いになることを。私たちは利用拡大法案の成立にひるむことなく、共通番号制度の中止をめざして反対運動を継続していく」と呼びかけている。全国各地で反撃の闘いを準備し、治安弾圧・民衆管理監視社会を打ち壊していこう。(Y)

8.7刑訴法改悪 衆院強行採決糾弾!

無題 自民、公明、民主、維新、次世代、生活の党の賛成を許すな

 8月7日、グローバル派兵国家建設の一環である対テロ治安弾圧体制強化にむけた刑事訴訟法改悪法案(刑事訴訟法等の一部を改正する法律案)を衆院本会議で自民、公明、民主、維新、次世代、生活の党の賛成で可決を強行した。共産党と社民党は反対した。安倍政権による戦争法案の強行制定と一体である刑訴法改悪法案の衆院成立を糾弾する。参院での成立阻止にむけて刑訴法改悪の反動性と人権破壊をあらためて暴露し、批判を強めていかなければならない。

修正案の反動性

 法案の衆院制定のプロセスには、用意周到な根回しが水面下で進行していた。そのイニシアチブとなったのが村越進日本弁護士連合会会長の「取調べの可視化の義務付け等を含む『刑事訴訟法等の一部を改正する法律案』の早期成立を求める会長声明」(5月22日)だ。

日弁連村越派は、国会議員に対して法案成立にむけてロビー活動まで行っていた。千葉県弁護士会会長の刑訴法改悪反対声明、「通信傍受法の対象犯罪拡大に反対する18弁護士会会長共同声明」、冤罪被害者の抗議の申し入れ(6月8日)など全国の闘う弁護士、市民運動から刑訴法改悪法案を支持する村越派に対して抗議が殺到していたにもかかわらず、無視し続けた。

 この日弁連村越派の取り調べの全面可視化から部分可視化への変質をバックアップにして民主、維新が自民、公明に修正協議を持ちかけ、四日に修正合意(①司法取引について協議過程を透明化するため、協議の記録を捜査機関が作成し、公判が終了するまで保管する②捜査機関と容疑をかけられた人が協議する過程に、弁護士が常時、関与する③通信傍受では、事後に不服申し立てがあれば記録を閲覧できることを通知するよう規定する。捜査に関与しない警察官が、不適正な傍受を監視する)し、5日の衆院法務委員会で修正案を含む改悪法案を強行採決したのである。

部分可視化ではなく全面可視化だ

 修正合意は、取り調べの全面可視化を投げ棄てえん罪の大量生産、人権侵害、監視社会の構築、すなわち安倍政権の戦争国家づくりへの加担である。取調べの可視化は、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件に限定した(施行時期3年)。また、録音・録画すれば容疑者が十分に供述できないと検察官が判断した場合など可視化の例外も認めた。裁判員裁判の対象は、殺人・強盗致死傷・傷害致死・危険運転致死・現住建造物等放火・身代金目的誘拐などであり全事件のわずか2%程度、検察官独自捜査事件は年間100件程度でしかない。

任意の取調べも含めた可視化の排除は、強引な誘導尋問などが検証できず、実質的に権力の冤罪多発体質を温存したのだ。取調官の裁量を認めたことは取調べの自白部分、供述調書を被疑者に読み聞かせ、署名・押印させ、供述内容に間違いないと語っているような状況を録音・録画するという「よいとこ撮り」の定着でしかない。これでは人権侵害に満ちた自白の誘導と強要、「拷問」に近い脅迫場面を記録せず、えん罪防止にはならない。

 こんな取り調べの全面可視化を否定した改悪法案のいったいどこが、「全体として刑事司法改革が確実に一歩前進」(日弁連村越声明)だというのか。民主、維新と自民、公明の修正協議では最初っから取り調べの全面可視化にむけた協議対象にも入っていなかった。

えん罪多発の司法取引

 司法取引の導入(捜査・公判協力型協議・合意制度の導入)は、捜査機関が容疑者や被告の処分を軽減することを「エサ」にして取調官の誘導により、虚偽自白、第三者を名指しする引き込みの危険が発生することを前提にしている。すでに薬物などの組織犯罪、企業犯罪、汚職など経済事件で秘密裡に適用しているが、この手法を拡大強化していくことをねらっている。所属組織のスパイになることを取引き条件にした処分軽減も横行することになる。

 司法取引の合意には、弁護人の合意を条件にしているが、権力の誘導によって協力者となった被告人に依頼された弁護士が動員され、冤罪事件に加担する危険性がある。「弁護人の合意」は、冤罪歯止めの保障とはならない。多くの冤罪事件で元検事の弁護士がどれだけ権力と一体となって被疑者に圧力、虚偽自白を誘導してきたか。いわゆるヤメ検弁護士は、検察人脈があることを「売り」にして被疑者に「事件を認めれば早く出れるよ」と誘導することを常套手段としている。「協議の記録」を保管するといっても、権力と弁護士の裏取引きに基づいて作り上げたストーリーによって簡単にデッチあげることも可能となってしまうのだ。だから「協議」そのものを可視化することは絶対に拒否するだろう。

盗聴やりたい放題の合法化

 盗聴法(通信傍受法)は、対象犯罪が①銃器犯罪②薬物犯罪③集団密航④組織的殺人の四類型から傷害、詐欺、恐喝、窃盗などを含む一般犯罪にまで大幅に拡大した。つまり、盗聴のやりたい放題が可能となってしまった。修正案では、通信事業者の常時立会制度も撤廃し、アリバイ的に「捜査に関与しない警察官」が監視するとしたが、盗聴実行犯の身内がいったいどれだけ「プライバシー侵害」の摘発をするというのか。

 これまで表向きは通信事業者による常時立会によって①傍受記録の改ざんの防止②通信傍受の濫用的な実施を防止するとしていたが、このようなハードルを排除するだけでなく、傍受対象通信を通信事業者等の施設において暗号化したデータを警察施設に送信し自動記録ができることになった。つまり、技術的にも盗聴のやりたい放題が可能となってしまった。しかも盗聴の全データを記録するからプライバシー侵害は最初から排除したシステムなのだ。すでにコンピュータ監視法(11年6月)によってインターネット接続業者などに通信履歴(電気通信の送信元、送信先、通信日時など)の保全とコンピュータの差押え、電気通信回路で接続されているすべてのコンピュータに保存されたデータのコピーが可能になっている。

 法務省は、2月に2014年の通信傍受の実施状況発表(発布を受けた令状は26件、傍受した通信は計13778回)しているが、ほとんどが大麻取締法違反、覚せい剤取締法違反、銃刀法違反事件だ。刑訴法改悪が制定されることによって盗聴のやりたい放題が可能となり、盗聴の実施状況が飛躍的に拡大することは間違いない。公安政治警察の非合法の盗聴も含めれば盗聴社会はすでに定着していると言える。盗聴法とコンピュータ監視法は、憲法21条「通信の秘密」の破壊の先取りであり、なし崩し的にプライバシー侵害を拡大しようとしている。


 以上のように刑訴法改悪と修正案の反動性は、明白である。法案推進派を糾弾し、戦争法案廃案の闘いとともに刑訴法改悪法案の制定阻止にむけて奮闘していこう。

 (Y)

刑訴法改悪を支持する村越進日本弁護士連合会会長声明を撤回せよ!

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冤罪被害者の声を聞け


 安倍政権は、グローバル派兵国家にむけた戦争法案の強行制定にむけて加速化しつつある。この戦争法案と一体である刑訴法改悪法案も5月、衆議院法務委員会で審議入りしており、司法取引、証拠開示・保釈、盗聴法に関する質疑、参考人意見などが行われた。質疑等は継続して行われているが、与党は7月28日(火)以降の採決強行をねらっている。戦争法案廃案の闘いとともに刑訴法改悪法案の制定阻止にむけた国会闘争が求められている。

 刑訴法改悪法案は、①部分「可視化」(捜査員の恣意的な判断で、取調べの録画・録音を「いいとこ録り」できる)②盗聴法対象の拡大③「司法取引」(自分の罪を逃れるために他人の密告を奨励する)などを柱にしており、えん罪の大量生産、人権侵害、監視社会にむけた超反動法だ。

 こんな改悪法案に対して村越進日本弁護士連合会会長が「取調べの可視化の義務付け等を含む『刑事訴訟法等の一部を改正する法律案』の早期成立を求める会長声明」を明らかにし、「全体として刑事司法改革が確実に一歩前進するものと評価している。本法律案が、充実した審議の上、国会の総意で早期に成立することを強く希望する」などと強調する始末だ(5月22日)。この態度は、安倍政権の「戦争ができる国づくり」攻撃に屈服し、戦争法案とセットである対テロ治安弾圧強化への加担であり、民衆の人権を防衛しぬく弁護士の基本任務の投げ捨てだ。すでに千葉県弁護士会会長の刑訴法改悪反対声明、「通信傍受法の対象犯罪拡大に反対する18弁護士会会長共同声明」、全国の闘う弁護士、市民運動から抗議が殺到しているにもにもかかわらず、いまだに官僚的に無視し続けている。

 日弁連村越派の裏切りは、冤罪被害者の抗議の申し入れ(6月8日/別掲参照)に対しても同様に貫かれている。春名一典(日弁連事務総長)は、会長の逃亡を防衛するだけでなく、「申し入れ書では、可視化、証拠開示、通信傍受及び司法取引に関する当連合会の意見をお求めですが、当連合会が公表している会長声明のとおり御理解いただければ幸いです」などと居直ってきた(6月16日)。冤罪被害者たちは、ともに闘ってきた日弁連の従来の主張と完璧に違うから問いただしているにもかかわらず、まともに回答しようともしない。こんな失礼な立ち振る舞いは許されない。冤罪被害者13人は、「村越日弁連会長 まともにまじめに回答してよ」と抗議している。

 日弁連村越派の反民衆的態度、安倍政権の戦争国家づくりをバックアップする踏込みの危険性を糾弾し、ただちに村越声明の撤回と刑訴法改悪反対の闘いに立ち戻ることを求める。その一環として「冤罪被害者からの申し入れ書」を掲載する。(Y)

【資料】

冤罪被害者からの申し入れ書

二〇一五年六月八日

日本弁護士連合会会長 村越 進 様

冤罪被害者/石田崇(痴漢事件)/川畑幸夫(志布志事件・踏み字事件)/ゴビンダ・プラサド・マイナリ(東電女性社員殺害事件)/桜井昌司(布川事件)/杉山卓男(布川事件)/菅家利和(足利事件)/袴田秀子(袴田事件家族)/藤元俊裕(志布志事件)/藤山忠(志布志事件)/藤山成子(志布志事件)/懐安義(志布志事件)/柳原浩(氷見事件)/矢田部孝司(痴漢事件)

 私たち冤罪被害者は、このたび「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」に対して、冤罪が増えこそすれ、減ることはない危険なものだとして、成立の反対を訴えて来ました。しかし、日本弁護士連合会は、同法案の「早期成立を求める会長声明」を出され、国会議員に対しても「早期に成立させて欲しい」としてロビー活動もされていると聞きます。

 国民の権利を守り、冤罪者を救うために活動される日本弁護士連合会が、国民の権利が侵され、冤罪の危険が増す、このような法案を成立させるために積極的に活動されますことは、私たちには信じられない思いですし、驚くばかりです。

 全事件の全面可視化を求めて活動されて来たはずの日本弁護士連合会が、なぜ取調官の裁量を含む抜け道だらけの可視化法案を飲まれて、「早期成立」などと積極的に警察や検察の思惑に乗った活動をされるのか、私たちは残念で納得できません。

 日本弁護士連合会には、ぜひとも私たち冤罪被害者の立場に立ち戻られて、冤罪の虜がなくなる修正が行われるまでは法案の成立をさせないように行動して戴きたいと願いまして、私たちの以下の疑問に対しましてお答え頂きたく申し入れ致します。

 1 可視化について

 日弁連は「全事件・全過程の可視化」を求めて活動されていたはずですが、このたびの法律では、可視化されますのは裁判員裁判事件と検察独自事件のみです。

 正式に裁判になる事件のうち、たった2~3%しか可視化されない法案に賛成されたわけですが、日弁連が目標と掲げられた「全事件の可視化」に付いては、どのように実現されようとするのでしょうか。

 この「数パーセントの可視化」を手掛かりに、全事件の可視化を実現させると、「夢のような展開」を「期待」としている話を聞いたことがありますが、現に布川事件では「取調官の裁量でなされた一部可視化録音テープ」が有罪判断に強く影響しましたし、逮捕前の拘束段階で自白させられた「足利事件」もあります。これらの経験は逮捕勾留前の段階での可視化も必要と教えますし、一部しか録画されないのでは、却って冤罪作りに利用されかねない恐れも教えます。警察や検察の悪辣さを体験として知る私たちには、「取調官の裁量が利用されて可視化さ
れない冤罪事件が続く悪夢」しか見えませんし、日弁連にある「善良な期待」には、恐怖の白日夢を見せられる思いです。

 日弁連として、具体的に、何をどうして、全事件の可視化を実現する計画なのか、お聞かせください。

 2 証拠開示について

 私たちは、警察による自白強要など、違法な取り調べが許されている現状こそ、冤罪が作られる原因であることを体験しています。そして、違法な取り調べの上塗りとして、検察官による「証拠隠し」が許されることが、裁判での真実解明を阻害していることも体験しています。

 それゆえに、このたびの法案では、その証拠開示に付いて、「証拠リスト開示」は実現することになりましたが、残念ながら、この「リスト開示」では証拠の中身が判りません。それに警察が持っている証拠は入っていません。依然として、警察が検察に提出しない証拠は隠され続けることになります。

 この「リスト開示」を運用によって弁護活動に生かし、更に「証拠開示」を進めようという、ここにも「善良なる夢」を聞いていますが、証拠の中身が判らない中途半端な開示は、そこに真実を韜晦(とうかい)する警察と検察の悪巧みが紛れることにもなりまして、却って真実の証拠が隠されることになるのではないかとの危惧を感じます。

 私たち冤罪被害者は、国費・税金で収集した証拠物を「検察官の独占物」として許してきた、長年の法曹界の常識が間違っていたと思っています。検察独占であったものに、少し風穴を開けた成果は判りますが、検察が私物であるかのように証拠を独占して来たことが社会常識に反するのです。

 裁判に必要な、総ての証拠物が裁判に明らかになり、法曹三者である弁護人が検察と同じ土俵で証拠物を検討検閲できシステムが作られるべきだ、と私たちは思っております。

 検察の証拠隠しと、警察による証拠捏造が見逃されますのは、全面的な証拠開示がなされないからです。完全な証拠開示を実現するために、日弁連として、今後、どのような活動をされる方針なのか、お教えください。

 3 通信傍受について

 日弁連は、前回、現行の通信傍受法が制定されますとき、反対されたはずですが、今回の法案は第三者の立会いを無くした上、傍受対象事件を飛躍的に増やすなど、大変に危険な中身です。

 ご存じのように共産党の国際部長であった緒方靖夫氏宅盗聴事件を犯した警察は、国会の質問でも「警察が組織的に行った盗聴はない」などと嘯いています。このような警察に拡大した盗聴を許すならば、全国民が公安警察の盗聴対象になるなど、その被害は甚大です。日本の人権を守る存在としてある日本弁護士連合会なのに、なぜ、このような危険な法律に一括して賛成されるのか、私たちには理解できません。

 この盗聴法にある危険は感じないのでしょうか。歯止めの具体策は、何になるのでしょうか。日弁連としてのご見解をお聞かせください。

 4 司法取引について

 日弁連が支援されます「福井女子中学生殺人事件」はじめ、他人の密告で冤罪が捏造される事件は、これまでにもありました。先の「美濃加茂市長収賄事件」などは、その典型です。自らの刑事責任を逃れるために、他人の罪を密告する「司法取引」は、今までは隠れて行われていたものが公然化するのだから良い、という意見もあるようですが、公然と法律で認めたならば、公然と冤罪が作られます。

 そもそも冤罪は警察や検察の誤った見込、思い込みから始まり、誤っても引き返せない組織的な欠陥があることで作られます。この「密告取引」が入り込みましたらば、ますます冤罪が増えることは自明です。

 取引に密告する側の弁護士の立会いが書かれていますが、取調べそのものに立ち会えない弁護士が、果たして冤罪の原因である「嘘を語る司法取引」を見抜けるのでしょうか。阻止できるのでしょうか。弁護士は、ただ書面にサインするだけですから、冤罪作りに加担することにならないでしょうか。

 私たちの疑問にはどのようなご回答をお持ちなのでしょうか。お聞かせください。

 この他、この法案の他の部分にも、冤罪を増やしこそすれ、減らすことにはならない問題が多くて、わたしたち冤罪被害者には、どこから考えまして賛成できません。このような法律案に賛成される日本弁護士会の方針が理解しかねております。

 私たちと会う時間を設けて頂きたい願いは、会長公務の多忙で無理のことですが、16日、鹿児島から上京します志布志事件の川畑さん、藤山さんはじめ、冤罪被害者が、この刑事訴訟改正問題で院内集会や記者会見をする予定ですので、その16日の記者会見前に日本弁護士連合会としてのご見解を受け取りに伺います。私たちの疑念に対しまして、日本弁護士連合会としてのご回答を、回答書として頂けますように、冤罪被害者一同の連名で申し入れさせて頂きます。

年金個人情報流出事件 マイナンバー導入を中止、廃止せよ

maxresdefault 6月1日、日本年金機構は年金の個人情報を管理しているシステムがウイルスメールによる不正アクセスを受け、約125万件の加入者の個人情報が流出したことを発表した。だが事件は、5月8日に発生しているにもかかわらず、塩崎厚労相に報告されるまで20日間もかかり、外部掲示板に事件発生メールが掲載され、隠蔽し続けることが困難となりあわてて公表したにすぎない。事件の全貌を解明できず、セキュリティーを強化してきたなどと手前勝手な「安全神話」をデッチ上げてきたことが完璧に破産したことを示す「謝罪」を繰り返すのみの会見だった。

 事件発覚直後、甘利経済再生担当大臣は、マイナンバー制度の導入スケジュールに「変更予定はない」と断言し、「厳重なファイアウォール(防御壁)で隔離されている」「今回の事案を検証し、絶対にこういう事案が起こらないよう対処していく」(二日)と強がっていた。ところが事態の深刻さを認め、同時にシステム開発の大幅な遅れ、ずさんな不正アクセス対策の現実を突きつけられて、「年金にマイナンバーを使用することについては、今回の事件をしっかり検証して、検証を踏まえて導入時期を考えたい」と言わざるをえなかった。つまり、年金個人情報流出事件発生で明らかなように絶対に安全なシステムはありえないことを改めて証明したのである。

個人情報一元的管理・支配を許すな

 年金個人情報流出事件の概要はこうだ。
 5月8日~18日、日本年金機構九州ブロック本部(福岡市)外部窓口に「竹村」名のメール(ヤフーのフリーメールアドレス)が厚生年金基金制度の見直しに関する意見書を装って届き、職員がウィルスが含まれた添付ファイルをダウンロードしてしまった。ウイルス対策ソフトを装備していたが、「新種」だったため検出できなかった。しかも職員のパソコンは、機構のサーバーとインターネットの両方に繋げており、ウィルスによってパソコンは乗っ取られ、遠隔操作が可能となり、利用者IDなどの情報が抜かれていった。23日には、19台のパソコンから大量の情報発信が操作されていた。

 結局、東京、福岡の40台が次々と感染し、「記録突合センター」(東京)、沖縄事務センター、和歌山事務センターから125万件の個人情報が流出した(①「年金加入者の氏名と基礎年金番号の2つ」が3万1000件②「氏名と基礎年金番号、生年月日の3つ」が116万7000件③「氏名と基礎年金番号、生年月日、それに住所の4つ」が5万2000件)。しかも125万件のうち55万件にはパスワードを掛けていなかった。「内閣サイバーセキュリティセンター」(NISC)によって感染したパソコンを遮断したが、全拠点のネットを切断したのが29日であり、すでに大量流失が拡大して後の祭り状態だった。

 なにがなんでもマイナンバーを実施したい安倍政権は、今回の年金個人情報流出事件の責任を年金機構に押し付けようというねらいで、メールへの対応やパスワードの未設定に切り縮めようとしている。「新種」ウィルスを摘発できなかったように、次々と「新種」ウィルスが開発され、不正アクセスが繰り返されているのが現状であり、「安全神話」にしがみつくことこそが最も危険な対応なのである。

 ウイルスは「標的型メール攻撃」でかなり有名な存在だった。近年、官公庁、国会議員などに送られ被害を拡大している。だから最低限のセキュリティーとして内部のデータベースにつなぐ専用パソコンと、インターネットにつなぐパソコンは分離しておかなければならなかった。だが経産省官僚は、年金個人情報流出事件に対して「ネットを完全に切り離してしまうとコストがかり、業務の利便性に影響が出る。機密性が高い場合に限りネットと隔離されたパソコンを使うなど、内容によって使い分ける」(産経新聞/6・6)という認識のレベルだ。年金個人情報流出は、「機密性が高い場合」ではないと言いたいのか。

 安倍政権の「成長戦略」と称する中軸のIT政策のいいかげんな実態が集約的に発生したことを認めるべきなのだ。つまり、政府は、マイナンバーが個人情報漏洩の危険性とセキュリティーの脆弱性を持っており、ICカードによる身分証明書機能や個人情報の統合的なデータベース化の危険性を周知徹底し、ただちに凍結し、廃止にむけて着手することを宣言すべきなのである。

 甘利は、今回の事件の全貌掌握が不可能にもかかわらずマイナンバーは安全だと居直り、いまだにウソの「分散管理」を撒き散らかしている。マイナンバー制度は中間サーバー(自治体などが保有する個人情報と国などが持つ情報と連携させる)の拠点を東日本・西日本の全国二カ所に集約・設置し、自治体の外に個人情報を集約する。これは分散型ではなく中央集約的システム、個人情報の一元的管理だ。ここにサイバー攻撃が行われたら年金個人情報流出事件より大規模な流出事件となってしまう。どのような根拠で安全だと言えるのか。

 「先輩」の米国でさえも、「米政府 400万人分の個人情報流出」事件が発生している(6月4日)。セキュリティー対策を積み重ねてきたが、現段階でも不正アクセスの犯人を特定することもできず、侵入を許しており、ついに米人事管理局から連邦政府の職員などおよそ400万人分の個人情報が流出した。米では社会保障番号を個人認証に使っているので、慢性的な個人情報流出が多発しており、本人なりすましによって税金の還付金をだましとる犯罪が増えている。オバマ政権は、サイバー攻撃は「国家安全保障への挑戦だ」として、5月、米軍にコンピューター・ネットワーク空間の専門部隊「サイバーコマンド」を発足させてきた。だが、ほとんど防御できず、あわてふためいているのが現状だ。

 安倍首相にいたっては最悪だ。年金個人情報流出事件を知っていながら、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(6月3日)でマイナンバーの利用範囲の拡大にむけて安倍は「健康保険証などのカード類を個人番号カードに一元化し、カード一枚で身近なサービスを受けられるワンカード化、電気・水道などの公共サービスの手続きをまとめて行えるワンストップ化を32年をめどに実現することとし、具体化に向けた作業を加速してほしい」と述べ、民衆のプライバシーが大規模に侵害され、現在進行形であるにもかかわらず平然とこんな指示をしていたほどだ。

 あげくのはてに会議では「世界最先端IT国家創造宣言」の工程表案でマイナンバーの利用範囲として「戸籍事務、旅券事務、預貯金付番、医療・介護・健康情報の管理・連携、自動車検査登録への利用拡大、国・自治体が法人に係る情報を公開する際の法人番号の併記、公的サービスや国家資格等資格証明に係るカード類と個人番号カードとの一体化を進める」ことを決める始末だ。年金個人情報流出事件に触れることもなく、ずさんなセキュリティーの実態を解明していく姿勢もなく、資本が求めるIT政策を押し進めるだけだ。こんな人権破壊政策を許してはならない。

マイナンバーカードはいらないぞ

 安倍政権は大量の個人情報を一元的に支配し、治安弾圧・民衆管理監のためのマイナンバー制度をただちに凍結し、中止せよ。これが最も有効な安全対策なのである。すでに年金個人情報大量の流出事件が明らかになってから、無差別に「名簿から削除してあげる」「流出情報を確認してあげる」などと不審電話がかけられる被害が出ている。今後、流出情報によって名簿化され、強引な勧誘商業に使われてしまうのが必至だ。政府は、マイナンバー実施強行をするのではなく、事件の全貌を明らかにし、被害拡大を止めることを優先して強化すべきなのである。現在、国会でマイナンバー制度(2013年5月)導入に続いて、マイナンバー(共通番号)改悪と個人情報保護法改悪を一体化した改悪法案を参議院内閣委員会で審議中(5月21日、衆院可決)だが、改悪法案を取り下げ、廃案にすべきである。

 (Y)

報告:えん罪をなくせ!盗聴法の拡大と司法取引の導入に反対する国会議員と弁護士・市民の集い‏

刑訴法改悪反対 5月26日、「えん罪をなくせ!盗聴法の拡大と司法取引の導入に反対する国会議員と弁護士・市民の集い」(主催/盗聴・密告・えん罪NO! 実行委員会)が星陵会館で行われ、200人が参加した。


 グローバル派兵国家にむけた戦争法案の国会審議が始まると同時に、セットである刑訴法改悪も審議入りした。改悪法案は、①部分「可視化」(捜査員の恣意的な判断で、取調べの録画・録音を「いいとこ録り」できる)②盗聴法対象の拡大③「司法取引」(自分の罪を逃れるために他人の密告を奨励する)などを柱にしており、えん罪を生み出してきたシステムへの反省もなく警察・検察に新たな力を与えるものでしかない。えん罪の大量生産、なんでもありの人権侵害、監視社会にむけた刑訴法改悪を阻止するために集会が行われた。

 総合司会が米倉洋子さん(弁護士)、セクション司会が山本太郎参議院議員(生活の党と山本太郎となかまたち)、小池振一郎さん(弁護士)で行われた。

 主催者あいさつが今井恭平さん(ジャーナリスト、なくせえん罪!市民評議会理事)から行われ、刑訴法改悪を厳しく批判し、「改悪法案は、日本の刑事司法を崩壊させかねない。ただ警察・検察が焼け太ることにしかならず、それは安倍政権が進めている戦争する国づくりと改憲への道と一体のものである。法案の廃止にむけて国会議員、市民、各団体で共に奮闘していこう」と発言した。

刑訴法改悪支持する日弁連村越声明

 岩村智文さん(弁護士・日弁連刑事法制委員会刑事手続対策部会部会長)は、「刑訴法等の一部を改正する法案」を徹底批判した。

 とりわけ村越進日本弁護士連合会会長が「取調べの可視化の義務付け等を含む「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」の早期成立を求める会長声明」に対して全国の弁護士から批判が殺到していることや、千葉県弁護士会会長の刑訴法改悪反対声明、「通信傍受法の対象犯罪拡大に反対する一八弁護士会会長共同声明」が上がっていることを紹介し、日弁連会長派を糾弾した(別掲解説参照)。

 足立昌勝さん(関東学院大学名誉教授)は、「盗聴法拡大をめぐる問題について」の報告、刑訴法賛成派へと踏み出した日弁連執行部派を批判する「日弁連はどこの味方か、執行部の変節」を提起した。

 緒方靖夫さん(盗聴被害者・元共産党国際部長)は、「盗聴被害者の立場から」盗聴法改悪を批判し、「1986年11月に自宅の電話が公安警察によって盗聴されていたことが発覚した。しかし、いまだに警察はそれを認めず、謝罪もしていない。それにもかかわらず今度は、盗聴法改悪し盗聴対象を広げ、市民一人一人を監視し、必要に応じて事件化、脅迫、プライバシーの侵害のやりたい放題を獲得しようとしている。こんなことを許してはならない。緒方盗聴事件を知らない国会議員、世代にも伝え、与党の国会議員も盗聴対象にあることを明らかにし、反対勢力を広げていこう」と強調した。

 さらに発言が新屋達之さん(前大宮法科大学院教授)が「司法取引の導入について」、辻恵さん(弁護士・元衆議院議員)が「実務から見た司法取引の問題 」、鈴木宗男さん(元衆議院議員)が「検察での取調べを体験して 」、桜井昌司さん(布川事件国賠原告)が「えん罪被害者の立場から 」行われた。

 国会議員からの発言は、玉城 デニー衆議院議員(生活の党と山本太郎となかまたち)、共産党から清水ただし衆院議員、畑野君枝衆院議員、仁比聡平参議院議員、福島みずほ参議院議員(社民党)から行われた。

 最後に集会宣言を採択し、刑訴法改悪法案廃止にむけて奮闘していくことを確認した。

(Y)

日弁連執行部は村越声明を撤回し、刑訴法改悪反対を貫け

 解説

 五月二二日、村越進日本弁護士連合会会長と執行部は、安倍政権の「戦争ができる国づくり」攻撃に屈服して戦争法案とセットである対テロ治安弾圧強化にむけて「武器」となる刑訴法改悪に対して市民の人権を防衛しぬく弁護士の基本任務を投げ捨て、「『取調べの可視化の義務付け等を含む『刑事訴訟法等の一部を改正する法律案』の早期成立を求める会長声明」を出した。

会長と執行部の態度は、多くのえん罪被害者、人権侵害と闘う仲間たち、市民運動、労働団体に対する裏切りであり、厳しく糾弾する。全国の弁護士から抗議が殺到し、千葉県弁護士会会長声明、通信傍受法の対象犯罪拡大に反対する一八弁護士会会長共同声明に対して真摯に受け止め、ただちに撤回し、刑訴法改悪阻止の闘いに参加せよ。

 日弁連会長声明は、これでもかと刑訴法改悪の悪質な文言をも次々と追認する。

 一部可視化について、「被疑者取調べの録画の対象範囲が裁判員裁判対象事件及び検察独自捜査事件に限定されているものの、対象事件については全過程の録画を義務付けるものである」と容認だ。

 「通信傍受の拡大、捜査・公判協力型協議・合意制度のいわゆる司法取引制度の導入など、証拠収集手段の多様化も盛り込まれた。当連合会は、通信傍受制度の安易な拡大に反対してきたところであるが、補充性・組織性の要件が厳格に解釈運用されているかどうかを厳しく注視し、人権侵害や制度の濫用がないように対処していく。いわゆる司法取引についても、引き込みの危険等に留意しつつ、新たな制度が誤判原因とならないように慎重に対応する」。

 だから「反対」するのが論理的整合性を持った結論であるにもかかわらず、「本法律案については、多くの制度がひとつの法案に盛り込まれていることに批判もあるが、答申にも述べられているとおり、複数の制度が一体となって新たな刑事司法制度として作り上げられているものである」から欠陥を多分に含まれているにもかかわらず、「全体として刑事司法改革が確実に一歩前進するものと評価している。本法律案が、充実した審議の上、国会の総意で早期に成立することを強く希望する」などと断言するのだ。

 いったいどこが「一歩前進」なのだ。えん罪多発の一部可視化と司法取引、秘密保護体制下において必須のツールである盗聴法拡大によって公安警察などによる市民監視が強化され、プライバシー・人権が侵害されていくのが必至ではないか。そのような反論さえも日弁連会長声明には触れようともしない堕落した姿勢を満天下に明らかにしているのが実態だ。

 ならば「同僚」である千葉県弁護士会・山本宏会長声明が明快に改悪法案を批判しているが、熟読し、日弁連会長声明を撤回せよ。

 (声明要旨)
①取調べの録音・録画制度―対象事件が著しく限定されている。広範な例外事由が設けられている。

②証拠開示制度―全面的証拠開示制度の実現が不可欠である。証拠一覧表には証拠の要旨の記載を義務付けるべきである。

③通信傍受の拡大―通信傍受の範囲を拡大すべきではない。通信傍受時の立会いを不要とすべきではない。④司法取引制度の導入―裁判員対象外事件は、取調べは録音・録画の対象外となる。そのため、協議に入る前の段階で、取調官の働きかけによって虚偽供述が誘発され、えん罪が生み出される危険を防ぐことができない。したがって、全面的な取調べの録音・録画がなされていない現状において、かかる制度を堂に結うすることは容認できない。

 山本声明は、「本法案の内容では、従来型の糾問的な捜査手法の抜本的な改革に至らず、えん罪の防止や適正手続きの保障を徹底することはできない。よって、国会においては、上記特別部会設置の趣旨に立ち返って本法案の内容を抜本的に見直されるよう強く要望する」と結論づけている。日弁連会長と執行部は、山本声明にどのように答えるのか。「一歩前進」の刑訴法改悪だと居直り続けるのか。

全戦線にわたって混乱と分断、対立を持ち込む日弁連会長声明を撤回せよ!
 (Y)

公安テロ情報流出被害国家賠償請求事件高裁判決 公安の違法捜査を防衛する不当判決を許さない!

20110516-1(画像は流出事件被害者による記者会見 2011年)

 

 

東京高裁(高野伸裁判長)は、4月14日、公安テロ情報流出被害国家賠償請求事件について一審判決(2014年1月15日)を支持し、公安政治警察の違法捜査を容認したうえで被告の東京都に対して9020万円の賠償を命じた。





警視庁を監督する警察庁の組織的責任については、「その監査権限には限りがあり、監査責任者が恒常的に監査を怠っていたとか、監査によって不十分な点を発見したのにその指摘を怠ったというような事情は認めることができないから、被告国には本件流出事件発生の責任はない」と防衛し、国の請求について棄却した。


判決後の記者会見で原告は、「証拠は明らかなのに警察の責任をはっきり認めず、満足していない」「警察の捜査に警鐘は鳴らしたがトーンは弱く、残念だ」
「私たちの人生を危うくした。その責任を認める必要がある」と次々と糾弾した。


ムスリム違法捜査弁護団(旧:公安テロ情報流出被害弁護団)の井桁大介弁護士は、「イスラム教徒というだけで捜査対象にするのは人権侵害だというのが国際的な流れ。この日のような判決がまかり通れば、日本は司法の人権感覚が信頼できない国と見なされる」と批判した。原告は、不当判決に対して上告する方針だ。


イスラム教徒=テロ犯罪者という宗教差別

公安テロ情報流出事件は、2010年10月28日、インターネット上にグローバル派兵国家建設と連動した対テロ治安弾圧体制の一環として作られた警視庁公安部外事三課のテロ情報が流出していることが発覚したが、警視庁は速やかな流出拡大対策、被害者防衛措置をとらず、謝罪もせず、外事三課から流出したことを否定し続けた。被害者である17人(アルジェリア人、モロッコ人、イラン人などの外国人14人、日本人3人)は、東京地裁に「警視庁、警察庁及び国家公安委員会が、人権を侵害する態様で被害者らの個人情報を収集し、収集した個人情報を正当な理由無く保管し、かかる個人情報を漏洩させ、さらに、漏洩後に適切な損害拡大防止措置を執らなかった」ことを理由として総額1億5400万円の損害賠償を請求し、一審では都に損害賠償を認め、国の監督責任請求は棄却した。


地裁に続いて高裁は、都の(流出したテロ情報が)「公安警察外事三課の文書だと認める証拠はない」「個別に明らかにするのは適当でない」というウソの繰り返しに対して、テロ情報は警察職員によって持ち出されたと認定し「警視庁が情報管理を怠った。徹底した漏えい対策を行う義務があった。原告のプライバシーの侵害や名誉毀損の程度は甚大だ」と都の賠償責任を認めた。なお警視庁は流出発覚後、偽計業務妨害の疑いで捜査したが、犯人を特定できずに13年10月に公訴時効が成立している。


しかし高裁は公安外事課のイスラム教徒=テロ犯罪者という宗教差別を前提にした日常生活とモスクへの出入り監視、交友、仕事などを調べ続けたことに対して「それ自体が原告らに対して信教を理由とする不利益な取扱いを強いたり、宗教的に何らかの強制・禁止・制限を加えたりするものではない」と一審判決を支持し、公安防衛を前面に押し出した。


さらに「イスラム教徒のうちのごく一部に存在するイスラム過激派によって国際テロが行われてきたことや、宗教施設においてイスラム過激派による勧誘等が行われたことがあったことといった歴史的事実に着眼して、イスラム過激派による国際テロを事前に察知してこれを未然に防ぐことにより、一般市民に被害が発生することを防止するという目的によるもの」「本件情報収集活動自体は、国家が差別的メッセージを発するものということはできず、原告らの国家から差別的に取り扱われない権利ないし法的利益を侵害したともいえない」と誤認しながら、憲法13条(個人の尊重[尊厳]、幸福追求権及び公共の福祉)に「違反するものではない」(同じ)と言い切った。


人権侵害に満ちた公安捜査を批判

原告は、地裁判決の誤認に対して控訴審で以下の新証拠を高裁に提出し、反論していった(ムスリム違法捜査弁護団/情報発信から)。


①国連総会に提出された「テロ対策における人権及び基本的自由の促進及び保護に関する特別報告者による報告書」(ムスリムということのみを理由としたプロファイリング捜査は、効果がないばかりでなく有害であるとする報告書)


②自由権規約委員会の勧告(本件捜査を対象としてなされた勧告。本件捜査に懸念を表しつつ、警察職員に対し、ムスリムへの広範な監視活動を含む人種的プロファイリングが許容されないことなどを日本政府に対し勧告するもの)


③人種差別撤廃委員会の勧告(本件捜査を対象としてなされた勧告。本件捜査に懸念を表しつつ、民族的又は民族的宗教的集団に属することのみを理由とした個人のセキュリティ情報の体系的収集は重大な差別にあたること、警察が民族的又は民族的宗教的なプロファイリングを利用しないことを強く求めることを、日本政府に勧告するもの)


④山本龍彦慶応大学教授の証人尋問(収集された情報がデータベース化されていることに着目。個別の情報を断片的、一次的に保有するものではなく、大量の個人情報を長期継続的に保有し、分析・利用することを予定する捜査は、民主的統制=個別の法律がなければ許されず、かつ、通常の情報収集活動よりも厳格な司法的統制に服するべきであることを証言)


だが高裁は、新証拠をまともに検証せず、「違反するとしているものとはいえない」の一言で排除した。


そのうえで高裁は、判決が脆弱な論理構成であり、原告の批判に対してまともに反論を提示し立証できなかったため、(公安のイスラム教徒への情報収集が)「テロ防止にどの程度有効かは活動を続ける限り検討されなければならない。常に許容されると解されてはならない」と弱々しく言わざるをえなかった。


ムスリム・コミュニティに対する監視

この高裁の「楽観的」な態度は、公安らによる対テロ戦争に勝利しぬく論理で
武装し、意志一致のうえでの現在進行形の違法捜査・情報収集の人権侵害・宗教差別の実態を深刻に受け止めていないことを現わしている。ならば主な違法捜査・人権侵害のケースをあげるだけで即時中止しなければならない緊急性があることを浮き彫りにしておこう。


「事情聴取されたイスラム関係者たち」の捜査では訊問強要だけではなく、「モロッコ大使館コックからの情報収集」「ハマスに好意をもつパレスチナ人の事情聴取」「テロリストへ流出可能性ある資金の情報を持っている可能性あり」として「協力者」「情報線」の獲得工作も行っていた。「元アルジェリア人の妻」であることが理由で日本女性が「要監視対象」になっていたほどだ。


「要警戒対象の視察行動確認」作業では、イスラム教徒が集うモスクを監視するために拠点としてマンションを借り上げ、二一八人の公安を24時間ローテーション配置、14台の車両を配備していた。大掛かりな「捜査」を展開していたが、どこにもテロ犯人などは潜んでおらず、テロ情報のほとんどがニセものだった。


「国内のイスラム・コミュニティ監視」でもモスクだけではなく各団体、食料店等の個別調査まで広げている。「特異動向」などと位置づけて出入り総数、リスト、追跡調査までやり、事後報告リストを積み上げていた。イスラム、アフリカ料理店をピックアップし、テロ犯の「集合場所」「インフラ機能を果たすおそれがあり」などと決め付けて監視を続けていた。




在日イラン人に対する監視、尾行、調査の強化の現われとして「イラン大使館の給料支払いを東京三菱銀行の協力で調査」「イラン大使館員50名の全給料明細」「イラン大使館からの振込口座・金額明細」までやってのけている。しかも公安の資料提出要求に対して銀行、レンタカー会社、ホテル業、化学・薬品会社などが、顧客リスト、利用者情報を言われるままに提供している実態も明らかになっていた。


ムスリム・コミュニティに対する監視の一環として潜入捜査、スパイ獲得に着手するために「日本人が入り込む余地のない外国人だけで生活できる日本の中の外国のような地域が犯罪の温床になったり、テロリストの隠匿場所になったりするおそれが大きいため、共生による取組みで地域にとけ込ませるようにすることでその動きを把握しようとするものである」(流出テロ情報)などと意志一致している。


さらに「ムスリム第二世代」も調査対象であることを確認し、「15歳以上のムスリムについては就職適齢年齢であり、ホームグローンテロリストの脅威になりうる存在であります」から「①子供のためのコーラン教室参加者から把握②自転車の防犯登録のデータベースにより把握③スクールサポーター等を通じた把握(イスラム教を起因とする学校における相談事案等の取扱い)」にまで網を広げている。第二世代は、「ムスリム特有の行動や外見上の違い等に起因するいじめや差別」「イスラムの教えを実践させようとする親の意向とそれを望まない本人との対立」があるから、「 これらの問題は将来、日本社会に対する不満へと発展し、その不満が第二世代の過激化の要因となる可能性もあります」などとレッテルするほど差別・排外主義に貫かれている。


秘密保護法下の公安

公安テロ情報流出被害国家賠償請求事件高裁判決は、安倍政権によるグローバル戦争に本格的に参戦していくシステム構築にむけて憲法九条破壊の集団的自衛権行使にむけた戦争法の制定をねらい、2016年日本サミット、2020東京五輪をメルクマールにした治安弾圧体制の強化にむけて秘密保護法、「テロ対策」三法を制定し、今国会での刑訴法改悪強行の流れの中での政治判決なのだ。対テロ治安弾圧体制防衛の階級的立場の貫徹なのである。


だから警視庁は、一審判決時、「妥当な判断」「テロリストや関係者が潜む可能性を否定できない。こうした活動は必要だ」(朝日新聞/14年1月16日)と居直ったのだ。高裁判決後も警視庁は「主張が認められず残念だ。内容を検討して対応を決めたい」と述べているが、基本姿勢は一審判決時となんら変わっていない。高裁判決の不当性を社会的に暴露し、秘密保護法下の公安政治警察、公安調査庁、自衛隊情報保全隊の高裁判決をバネにした暗躍と対決していかなければならない。


治安機関による不当弾圧をはね返し、解体にむけて奮闘していこう。

(Y)

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対テロ治安弾圧体制強化にむけた刑訴法改悪に反対しよう

234902570 安倍政権は、3月13日、グローバル派兵国家建設の一環として対テロ治安弾圧体制強化にむけた取調べの全面可視化(録音・録画)の否定、盗聴法対象範囲拡大、司法取引の導入など刑事訴訟法改悪法案(刑事訴訟法等の一部を改正する法律案)を閣議決定し、今国会での成立を強行しようとしている。

 

大阪地検特捜部の押収資料改ざん・犯人隠避事件(2010年9月)を通した検察機構の危機と社会的批判を収束するために法務省は、取調べの可視化へと踏み込むポーズをみせ、法相の諮問機関である法制審議会で新時代の刑事司法制度特別部会(11年6月設置)で論議してきた。改悪法案は、その中でまとめられた「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」(13年1月)、「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」答申(14年7月)の法案化である。

 


安倍政権成立後、審議会は警察、法務省、司法官僚らが可視化賛成派に圧力と屈服を迫り、強引に取調べの全面可視化を否定し、警察庁の「捜査手法、取調べの高度化を図るための研究会」最終報告(12年2月)をベースにした新たな捜査手法導入をバーターとして認めさせるところまで追い込んでいった「勝利」の結果だ。


全面可視化を否定

法案の取調べの可視化は、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件に限定した(施行時期3年)。また、録音・録画すれば容疑者が十分に供述できないと検察官が判断した場合など可視化の例外も認めた。裁判員裁判の対象は、殺人・強盗致死傷・傷害致死・危険運転致死・現住建造物等放火・身代金目的誘拐などであり全事件のわずか二%程度、検察官独自捜査事件は年間100件程度でしかない。

 

つまり、任意の取調も含めて可視化しなくていいということは、強引な誘導尋問などが検証できず、実質的に権力の冤罪再発体質は温存されたのである。すでに権力によるデッチアゲとえん罪犯罪は、任意による取調べも含めてすべての事案で発生しているのであり、可視化を裁判員対象罪だけにするというのは検察・警察のえん罪犯罪に対して全く反省していないのであり、居直りだ。えん罪犯罪の再犯を許さないためにすべての事案における全面可視化を実現していかなければならない。

 

さらに取調官の裁量に委ねるというのは、結局、検察庁、警察庁が取調べの自白部分、供述調書を被疑者に読み聞かせ、署名・押印させ、供述内容に間違いないと語っているような状況を録音・録画するという「よいとこ撮り」の定着でしかない。これでは人権侵害に満ちた自白の誘導と強要、「拷問」に近い脅迫場面を記録せず、えん罪防止にはならない。えん罪再犯を増産する欠陥法案であることを暴露し、反対していこう。


いつでもどこでも盗聴可能

法案は、共謀罪制定を見据え、かつ治安弾圧の強力な武器として通信傍受法の対象犯罪を拡大した(施行時期三年)。現行では薬物関連犯罪、銃器関連犯罪、集団密航、及び、組織的に行なわれた殺人の捜査に限られている。これに現住建造物等放火/殺人/傷害・傷害致死/逮捕監禁/誘拐・人身売買/窃盗・強盗・強盗致死傷/詐欺・恐喝/爆発物使用/高金利の貸し付け/児童ポルノの製造・提供を追加した。さらにNTTなど通信事業者施設内で立ち会いのもとに盗聴を行ってきたが、通信事業者から警察施設へのデータ伝送によって盗聴が可能となる。盗聴法改悪は、権力の恣意的判断でいつでもどこでも無制限に盗聴態勢を敷くことになる。改悪盗聴法の制定によって「公然」と盗聴しようというのだ。

 


法務省は、2月に14年の通人傍受の実施状況発表(発布を受けた令状は26件、傍受した通信は計13778回)しているが、ほとんどが大麻取締法違反、覚せい剤取締法違反、銃刀法違反事件のケースでしかない。公安政治警察の非合法の盗聴などは含まれていない。改悪法が施行後、実施状況が大幅に増えることは間違いない。「合法的」盗聴による通信の秘密、個人のプライバシーを否定した人権侵害捜査法の危険性を明らかにし廃止を訴えていかなければならない。

 


同時に、すでにコンピュータ監視法(11年6月)が制定されており、権力はインターネット接続業者などに通信履歴(電気通信の送信元、送信先、通信日時など)の保全、コンピュータの差押え、電気通信回路で接続されているすべてのコンュータに保存されたデータをコピーすることができる。プライバシーと「通信の秘密」の破壊が進行していることを明らかにしながら改悪法案反対を強化していこう。


えん罪大量生産の司法取引

法案は、「 捜査・公判協力型協議・合意制度の導入」(司法取引/施行時期2年)をする。捜査機関が容疑者や被告の処分を軽減することを取引条件にして協力させる手法である。すでに薬物などの組織犯罪、企業犯罪、汚職など経済事件で秘密裡に適用されているが、これを合法的に強行するのがねらいだ。取調官の誘導により、虚偽自白、第三者を名指しすることは充分想定できるから、えん罪事件の近道となってしまう。

 

これだけではない。検察のデッチ上げストーリー事件を補強するための証人に対して不利益証拠にしないと誘導し、裁判所に証人申請できる制度も導入する(施行時期2年)。証人は検察官の証人要請を拒否することもできず、何度もデッチ上げストーリーに基づくウソ証言を繰り返すことになる。冤罪大量生産に導く司法取引制度に反対していかなければならない。


2016日本サミット、2020東京五輪を通した対テロ弾圧強化を許すな

今回の刑訴法改悪では虚偽自白を生み出す取調べの温床である代用監獄の廃止、証拠の全面開示、弁護人立会権制度の実現、不当な勾留保釈制度改正、裁判所の各種令状乱発について全く無視した状態のままだ。刑訴法改悪による新たな捜査法導入は、国家安全保障会議(日本版NSC)創設と特定秘密保護法案制定、マイナンバー(共通番号)導入に続く、民衆監視管理の強化だ。2016日本サミット、2020東京五輪を通した対テロ治安弾圧への加速化に反撃していこう。

 

(Y)

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【中国】囚われたフェミニズム~労働者たちの支援メッセージ

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中国では3月8日の国際女性デーの直前、公共交通機関における性暴力などを訴えるフェミニズム・アクティビスト5人が警察に拘束された。このニュースは国内外のフェミニストたちを通じて中国全土および世界中に広がった。


中国政府に彼女たちの即時釈放を求める署名(レイバーネット日本より)


逮捕されたフェミニストの一人、大兔さんは2014年夏に広州で広がった清掃労働者たちのストライキをフェミニズムの視点でレポートしていた。


女たちのたたかい-広州大学城の環境衛生労働者のストライキ日本語訳 (日中労働情報フォーラムより)

以下に訳出したのは、労働NGOで活動する大兔さんのボーイフレンドによる文章。原文および画像はこちらから。

最後に張り付けたYouTubeは、5人のフェミニストの早期釈放を訴える労働者たちの歌声を収録したショートフィルムと歌詞の日本語訳。(H)

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囚われたフェミニズム 支援の声を上げた労働者たち

3月7日に拘束されたフェミニズム・アクティビストを労働者が支援


ソース:新媒体女性
 
筆者:危志立

20150310
 


筆者は警察に拘束された大兔のボーイフレンド。本文は作者からの了解のうえで配信しており、転載する場合には出所と著者を明記してください。


「闘争において、膨大な数の強力な敵と対峙しているとき、あなたにまだ一人の友がいること発見し、そしてそれが未知の友であったなら、それは無上の喜び(原文:最棒的感受)となるだろう」


これは映画『PRIDE』(邦題は『パレードへようこそ』、日本公開は4月から:訳注)に登場する、ストライキ中のウェールズの炭鉱労働者の指導者が、炭鉱労働者の支援カンパを行ったロンドンの同性愛者たちにむけた感謝の言葉だ。この映画は1984年におこった実際の物語を映画化したものであり、この演説もそのまま再現されている。そしてこのセリフは、この何日間で僕が心から感じたことでもある。


37日早朝、僕のガールフレンドの大兔(鄭楚然)を含む北京、広州、杭州、雲南のフェミニストが警察に拘束された。彼女たちは3月7日に公共交通におけるセクシャルハラスメント予防の啓発活動を提唱して、国際女性デー(38日)を迎えようとしていた。今日(3月10日)までに、李麦子、韋婷婷、王曼、大兔、武嶸嶸ら5人のフェミニストは拘束されたままで、すでに刑事拘留で北京海淀看守所に拘留されている可能性が高い。


3月8日、僕はチャットのモーメンツ(SNSアプリ、友人間で写真などを共有できる機能:訳注)でシアトル、ロンドン、ニューヨークの友人たちが、大兔がつくったセクシャルハラスメント反対のシールや「フェミニスト行動派」のスローガンを掲げたり、「フェミ無罪」と書かれたスローガンを掲げて、拘束されたフェミニストたちを支援する写真を見た。


その時に僕が感じたのが例の「無上の喜び」だ。そしてこの種の喜びは、じつのところ今回が初めてではない。


2012年9月26日に感じたのが、この「無上の喜び」だ。その年、僕たち深センの労働NGOがまとめて弾圧を被った。そしてその年の9月26日に広州の小鳥(人名)が、労働者の仲間たちのためにフェミニストたちが手作りした月餅102個を持ってやってきてくれたのだ。こうして僕たちは、とても厳しい状況のなか、とてもうれしい中秋節を迎えることができた。


雪中送炭(困っている人を支援する)とは、こういうことをいうのだろう。


実際のところ、大兔らフェミニストはこれまでも労働者、とくに女性労働者の権利に関心を持ってきた。2013年には迪威信の労働者代表だった呉貴軍が捕まったときにも、大兔は呉さんを積極的に支援した。



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砂浜に書いた文字は「労働者は団結しよう、もう砂つぶのようにバラバラにされない、ストライキは合法、呉兄さんを釈放せよ」


2013年11月25日、深セン手牽手工友活動室は、工場で働く女性たちのセクシャルハラスメント被害の調査報告と宣伝用のビデオを発表した。このビデオもおもに大兔が撮影・編集をてがけた。


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禁止マークに「性騒擾(セクシャルハラスメント)」などの文字がデザインされている



2014年に広州の学園都市の清掃労働者のストライキのさいには、大兔は現場に駆けつけて、レポート『見よ!これが女のたたかいだ:広州学園都市清掃労働者のストライキ』を書いて、ストライキにおける女性労働者たちの主体性を描きだし、女性労働者たち全体を鼓舞して、「ストライキは男がやるもの」という偏見を打破した。


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写真:ストライキ現場で取材する大兔



大兔たちフェミニストはこれまでも労働者の権利に関心を持ち続けてきた。だから今回フェミニストたちを襲った監獄の苦しめに際して、労働者たちが当然のごとく支援に駆けつけたのだ。


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写真:拘束されている5人のフェミニストの名前と「厦門
[アモイ]の女性労働者はあなたたちとともにいる」のメッセージ


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写真:拘束されている5人のフェミニストの名前と「支援します」「厦門の労働者より」と書かれたメッセージ


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写真:拘束されている5人のフェミニストの名前と「支援します」「厦門の労働者より」と書かれたメッセージ


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写真:拘束されている5人のフェミニストの名前と「声援します」「厦門の労働者より」と書かれたメッセージ



この労働者は(職場で)鉄さびか機械油かでメッセージを書いたようだ。彼女のぼろの軍手は、何とも言えない悲痛さを感じさせるとともに、とても感激させるものだ。


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写真:ぼろ布に「フェミニズム・アクティビストを応援します」の文字と固く握られた軍手のこぶし



この女性労働者が掲げているメッセージは「私たちはハラスメントに反対します、あなたたち(当局を指す)はハラスメントをやめなさい!!!」と書かれている。チャット仲間の言葉を借りれば「自分がこれほど覚醒したことはこれまでなかった」。


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写真:「私たちはハラスメントに反対します、あなたたち(当局を指す)はハラスメントをやめなさい!!!」と拘束されている5人の名前と「支援します」と書かれたメッセージも持った女性



労働者もフェミニズム支持!


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写真:ハート型で囲んだ「大兔」の名前、「あなたはずっと僕の自慢だ」、「無産階級」と書かれたメッセージ


労働運動の歴史における成果の多くは、フェミニストたちとともに勝ち取ってきたものだ。たとえば3・8国際女性デーも最初の目標は、労働時間の短縮、賃上げ、労働環境の改善、児童労働の禁止などだった。フェミニストたちが今回被った被害は、男主義社会の抑圧に根源があるが、同時に社会構造における階級的抑圧という根源でもある。これらの問題があるなかで、僕たちの誰一人としてこの問題を避けて通ることはできないし、まして屈服することなど断じてできない。前進する道を探し続けながら、他の誰かに対する支援の手を差し伸べよう。そしてその手を強く握りしめよう。

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听到女人在歌唱吗

女たちの歌声がきこえるか
 


このショートフィルムは、「はやくあなたたちと爆食いしたいよ!あなたたちの帰りを待ってるよ!」と題して労働者たちがつくったもので、上記に訳した文章からの引用が多くみられる。

途中から始まる、かなり素人っぽさ満載の合唱は「レ・ミゼラブル」でうたわれる「民衆の歌」の替え歌で、タイトルは「女たちの歌声がきこえるか」。

この「女たちの歌声がきこえるか」は、女性への暴力が大きな問題になっていた中国社会でも数年前から広まり、2013年11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」の際には、フェミニストたちが北京の地下鉄でこの歌を歌い始めるフラッシュモブも行われた(そのときの映像はこちら)。

 

このショートフィルムの最後には、5人のフェミニストたちを支援する労働者たちが「パンとバラ! 労働者とフェミニズムは一緒にいる!武嶸嶸、鄭楚然、王曼、李婷婷、韋婷婷、みんな帰りを待ってるよ!」というメッセージを語っている。以下は歌詞の日本語訳(H) 

你听到女人在歌唱吗
女たちの歌声がきこえるか


你是否和我一样  あなたもわたしのように
坚信这世界应平等 この世界が平等でなければならないと信じている?
这是首传唱自由和尊严的 これははじめて自由と尊厳を歌い伝えた
女人之歌 女たちの歌


你可愿和我一样 あなたもわたしのように
为权力抗争到老 老いてなお権利のためにたたかいを続ける?
打破沉重的枷锁 重苦しい鎖を引きちぎり
找回女人的力量 女たちの力をとりもどすために


我想出门不害怕 どこへ出かけるにも恐れることなく
想美丽不被骚扰 おしゃれをしてもセクハラされることもなく
请保护我別困住我 どうかわたしを困らせないで
为何我失去自由 どうして私が自由を失わなければならないの
快醒醒巴抓住他犯錯的人不是我 寝ぼけないでよ 悪いのはアイツで私じゃない


我为自己而歌唱 私は私のために歌う
不做你评判的対象 あなたにとやかく言われるためじゃない
我爱我独特模样不论它是 自分だけのスタイルが好きなの
美丑或瘦胖 それがキレイかどうか 痩せてようが太ってようが関係ない


我有闪光的梦想 わたしにはまばゆいばかりの夢がある
我也有丰富的欲望 わたしにはあふれんばかりの欲求がある
面对怀疑和嘲笑 疑いの目や薄ら笑い
艰难中我成长  そんな逆風のなかでわたしは成長する

マイナンバー(共通番号)と個人情報保護の改悪案反対

ref_l治安弾圧・民衆管理監視強化のためのマイナンバー(共通番号)と個人情報保護法の改悪案反対


マイナンバーカードがなくても困らない

安倍政権は、3月10日、グローバル派兵国家建設にとって必須のシステムであり、治安弾圧・民衆管理監視強化のためのマイナンバー(共通番号)と個人情報保護法の改悪案を国会に提出した。

 

改悪法案の名称は、「個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案」と長たらしい文言となっている。マイナンバー導入スケジュールが決まっているため、性格が違う2法案を強引に一本化し早期成立を目指している。

 

改悪法案の目的は、15年10月から市区町村による民衆一人一人に12桁の個人番号と13桁の法人番号を通知し、16年1月に制度を強行することを前提に、18年から「金融分野、医療等分野等における利用範囲の拡充」と称して、「預貯金口座への付番、特定健診・保健指導に関する事務における利用、予防接種に関する事務における接種履歴の連携等」へつなげ適用拡大を狙っていることだ。まさに官民分野共通番号導入による監視社会へのさらなる踏み込みだ。


安倍政権のねらい

 

政府は、改悪の意図を「個人情報の保護を図りつつ、パーソナルデータの利活用を促進することによる、新産業・新サービスの創出と国民の安全・安心の向上の実現及びマイナンバーの利用事務拡充のために所要の改正を行うもの」と位置づけているが、その本音は麻生太郎財務相が「(税の)徴収にも利用できて公平適正な納税につながる」として、21年をめどに義務化の強行だ。

 

つまり、社会保障の給付抑制路線を背景にした税・社会保険料の徴収強化にある。税務署や年金事務所などが、マイナンバーで照会し税務調査、資力調査が可能となる。だから金融機関へのマイナンバー登録は任意で強制力はないにもかかわらず、新規に銀行口座を開設時にマイナンバーを記入させたり、すでに口座がある場合は登録を促したりしていくことになる。

 

医療分野でも自治体や健康保険組合が乳幼児の予防接種記録、特定健康診査(メタボ健診記録)などを管理しチェックしやすいようにしていく。 すでに厚労省は、医療等分野での番号による情報連携が想定される利用場面として①医療保険のオンライン資格確認②保険者間の健診データの連携③医療機関・介護事業者等の連携④健康・医療の研究分野⑤健康医療分野のポータブルサービス(医療健康履歴の確認、予防接種の案内)⑥全国がん登録を打ち出している。将来的には、健康保険証の役割も担わせ病院での診療記録を管理し、二重診療の防止などで医療費の削減につなげようとしている。

 

ところが厚労省は、医療情報等の漏えい・悪用の危険性について触れることはしていない。だから日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会は、「医療等IDに係る法制度整備等に関する三師会声明」を出しているほどだ(2014年11月)。

 

声明は、「患者の病歴という極めてプライバシー性の高い情報が個人番号と紐付く危険性が高くなる」から医療の現場で利用すべきではないと主張している。また、「過去から現在治療中の病気、死後にいたるまで紐付けできる」から漏洩した場合を想定して、医療IDは必要な場合に「忘れられる権利」「病歴の消去」「管理番号の変更」「複数管理番号の使い分け」などが担保されていない欠点を指摘した。

 

マイナンバー制度(2013年5月成立・公布)は、税務署や自治体などが別々に把握している所得や納税、社会保障サービスなどの状況を管理し、年金、医療、介護保険、生活保護、労働保険、税務の6分野で活用するとしており、さらにIC(登録証)カード(氏名、生年月日、性別、住所を記載し、ICチップに番号を記録する)を持たせ、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の住民票コードによって住民登録・戸籍・収入・税・健康保険・医療・福祉給付・介護保険・年金・免許・旅券・犯歴などの個人情報を一元化することにある。警察庁は、マイナンバー制度が省庁自治体間のデータ連携を認めているから治安弾圧のために個人情報の使い放題へと広げていくことは必至だ。

 

今回の改悪法案の「金融分野、医療等分野等における利用範囲の拡充」は、営利主義のために個人情報を大いに使うための突破口となる。すでに民間レベルの個人情報流出事故は限りなく続出している。各省庁・行政においても公務員の守秘義務があっても、個人情報漏洩事件・秘密データ漏洩、犯罪歴・病歴の漏洩など数多く発生している。ハッカーによる不正アクセスやサイバー犯罪、サイバー攻撃も多発している。要するに現段階の「技術水準」では個人情報流出事故は、阻止できないことを証明しているのだ。個人情報を国家が一元的に集中するのではく、分散型によってできるかぎり情報漏洩を防止していく前提条件の整備が必要なのだ。

 

ところが政府はさかんにマイナンバーのコマーシャルを個人情報漏洩の危険性とセキュリティーの脆弱性をひた隠しながら、なにがなんでも導入強行にむけてばらまいている。個人情報をつかみきるシステム構築は、ICカードによる身分証明書機能や個人情報の統合的なデータベース化によって国家権力の統治力を強化していく装置となるからだ。


個人番号カードの申請やめよう

16年1月からマイナンバーの利用と個人カードの交付(任意)が開始される。行政、金融機関、医療機関等、会社等の関係書類で番号の記載が求められ、強制ではないが本人確認のためにマイナンバーカードの提示が求められる。カードは、顔写真を添付して申請しなければ届かない。当面は任意だが、今回の改悪を通して個人番号カードに医療分野利用を拡大し、保険証へとつなげることによってカード義務化の下地を積み上げていこうとしている。

 

しかしこのカードがとんでもない「なりすまし」を増やすツールとなってしまうのだ。政府は、「顔写真付きだからなりすましがしにくい」と居直っているが、カード表面の顔写真を取り替える偽造が可能なのだ。本人確認の場合、内蔵されたICチップの顔写真デートをかならずチェックしなければならない規定と罰則がないのだ。偽造カードによって別人になりすました犯罪が横行することは間違いない。

 

政府はカード義務化の材料としてカード普及率を根拠にするだろう。だから個人番号カードを申請せず、通知カードのままでいいのだ。「マイナンバーカードがなくても困らない」を合い言葉に民衆管理監視強化に有効な痛打を与えていかなければならない。

 


自己の個人情報をコントロールする権利を否定

個人情報保護法改悪案は、匿名加工情報を特定できないようにすれば本人の同意なしで企業利益のために活用できることを目的にしている。いわゆる「ビッグデータ」と称する商品価値が高い個人情報を金儲けのためのマーケッティング調査などに有効活用していくことだ。内閣府の外局として個人情報の取扱いの監視監督権限を有する第三者機関(個人情報保護委員会)を特定個人情報保護委員会を改組して設置して個人情報の目的外利用ができないように監視を強化するとしている。

 

だがここではプライバシー保護のための情報主体の「事前の同意」による「自己の個人情報をコントロールする権利」と「個人情報の開示請求権」、「違法な情報利用の中止請求権」、「不服申し立て制度」の確立が無視されたままだ。しかも自己コントロール権とプライバシー権の防衛に比重をおき、情報公開され、公正な「第三者機関」の設置にはほど遠い代物だ。

 


政府は、いまだにマイナンバー導入費・維持費等の総額を明らかにしていない。「社会保障と税の共通番号制度に関する検討会」(10年6月)では導入コストは最大6100億円程度と試算し、利用範囲の拡大によっては最低2000億円以上膨らむとしていた。現在の財政破綻状況のなかでこんな巨額な費用を支出すべきではない。

 

すでにマイナンバー関連の「情報提供ネットワークシステム」の設計・開発を共同事業体(NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所)が123億1200万円、「番号生成システム」が68億9580万円で落札した(14年3月)。システム準備段階でこの勢いだから軽く「想定」予算を突破してしまう。「金食い虫のマイナンバーはいらない」とアピールしていこう。

 

マイナンバー改悪法案の反動性を暴露し、共通番号いらないネットの「『内国人登録証/国内パスポート』として私たちを識別し追跡監視するICカード=個人番号カードを申請しないよう呼びかける」運動を広げていこう。

 

(Y)

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報告:2.21国賠ネットワーク第26回交流集会

国賠ネット 2月21日、国賠ネットワークは、第二六回交流集会が行なわれ、約50人が参加した。

 

国賠ネットは、国や自治体の公務員から不法な被害を受けた人たちが国家賠償法により責任を問い、賠償を求める国賠裁判を進める原告や支援グループの連携や相互支援をめざしたネットワークだ。前半は、総会が行なわれ、この1年間の活動等を報告した。

 

講演は、竹内明美弁護士が「面会妨害国賠の現状と今後の課題」をテーマに提起した。

 

竹内さんは、東京拘置所で接見した際に体調が悪い被告をカメラで撮影して、接見を打ち切られ、その面会妨害(2012年3月30日)に対する国賠の原告だ。被告人はソマリア人の男性(11年、アラビア海の商船三井のタンカーを乗っ取ろうとして米軍が海賊対処法違反で逮捕、日本に引き渡す)。男性と接見中、体調及び精神状態の不良が見られたため、写真撮影し、録画を行なおうとした。ところが東京拘置所職員がのぞき窓から撮影行為を目撃し、写真消去を要請してきた。拒否したところ職員は、『接見中止』と告げ、強制終了させた

 

国賠は、12年10月12日に提訴し、14年11月7日に東京地裁が国に10万円の支払いを命じたが、「裁判の証拠に使う目的での被告の撮影は認められていない」と違法を認める不十分な内容だった。

 

竹内さんは、一審判決の問題点を次のように整理した。

 

①「接見」の意義―「写真撮影は接見室で取得した情報の記録化だ。国は、写真撮影は『接見』ではないと主張してきた。判決は、接見を意思疎通の確保であると限定的に解釈し、証拠保全と接見を分断して考えている」。

 

②弁護活動の自由について―「男性の心身の状況を写真撮影し、証拠として保全しておくことは、弁護活動上も必要性が高い。弁護活動の自由として保障される行為であり、それを制限したことは弁護活動の自由の侵害だ。判決は、原告の主張に触れず、撮影行為を禁止し得る実質的な論拠を示さなかった」。

 

③カメラ持込み・撮影禁止の根拠の希薄さ―「国は、外観を撮影する必要があるなら、証拠保全としての『検証』を行なえば足りる。写真撮影を認める必要はないと主張。さらに写真撮影を許すと『未決拘禁者と第三者との無制限な意思疎通を許すこととなり、未決拘禁者の逃走又は罪証隠滅のおそれが生ずる』『(画像が)被収容者の逃走の援助や身柄奪取のために用いられるおそれがある』まで主張してきた」。

 

「原告は、検証より迅速かつ簡易な写真撮影を禁止する理由はないと主張した。写真撮影=接見であり、刑訴法39条2項に基づき写真撮影を禁止する法令はないと反論したが、排除された。『撮影行為により被告人の状態を正確に記録化できることは、弁護活動を行うに当たって……必要不可欠とまでは言い難い』の一言だ」。

 

竹内さんは、一審判決に対して原告・被告ともに控訴し、3月5日から始まることを報告し、「撮影行為は、男性の現況を証拠として保全する最も効果的な手段であり、弁護活動として重要性は極めて高い。撮影行為を制約することは、必然的に『接見』の制約を伴うことになる。撮影行為の禁止も『相当の蓋然性』が認められなければ許されない」と強調した。

 

集会の後半は、裁判進行中の富山(氷見)冤罪国賠、布川事件国賠、麻生邸リアリティツアー国賠、築地署公妨国賠、新宿署違法捜査国賠、星野再審の手紙・ビデオ国賠、横浜事件国賠、よど号逮捕状撤回国賠などから報告が行なわれた。

 

最後に故国倍ネットワーク大勝・最悪賞を選出した。

 

(Y)


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