虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

死刑制度廃止

名張毒ぶどう酒事件、奥西勝元死刑囚 無念の死去

20131017160902653_ddfaf2affb6c6725a99815e7a811f9ac(2013年に八王子医療刑務所で面会した弁護人がスケッチした奥西さん)

司法制度が奥西さんを殺した

 名張毒ぶどう酒事件で、第九次再審請求を行っていた奥西勝さん(死刑囚)が一〇月四日、八王子医療刑務所で亡くなった。享年八九歳。三五歳で逮捕され、五四年を獄中で暮らさざるを得ず、それも死刑囚として刑の執行におびえながらであった。えん罪を晴らすことができず、無念な最後であった。再審請求は妹の
岡美代子さんが引き継ぐことになった。名張毒ぶどう酒事件は終わっていない。改めて裁判所、検察の許さざるべき体質が明らかとなった。えん罪を生みださないあり方、再審制度が問われている。

 一九六一年、三重県名張市葛尾(くずお)地区の懇親会でぶどう酒を飲んだ女性五人が死亡、一二人が中毒症状を起こした。「名張毒ぶどう酒事件」だ。男たちは日本酒を飲んでいて、事件にあわなかった。奥西さんはいったん犯行を自白するが、起訴直前に「警察に自白を強要された」と主張し、その後一貫して犯人でいないことを訴えた。一審名古屋地裁は無罪判決。高裁は逆転死刑判決、一九七二年、最高裁も死刑判決を維持し確定した。奥西さんの孤独な再審の闘いが始まった。最初は一人で再審請求したが、その後国民救援会などの支援、日弁連も支援を行っていた。

 二〇〇五年四月、第七次再審請求に対して、名古屋高裁は「再審を開始する。請求人に対して死刑の執行を停止する」決定を出した。しかし、検察の異議で、同年一二月、名古屋高裁の別の部で、再審決定が棄却された。二〇一〇年、弁護団の特別抗告を受け、最高裁は毒物を詳しく検証するよう、名古屋高裁に審理を差し戻した。しかし、二〇一二年、名古屋高裁は再審開始の取り消しを決定した。弁護団は最高裁に特別抗告し、最高裁で争われたが請求は棄却され、現在第九次再審の最中であった。

 名張毒ぶどう酒事件は、犯行を裏付ける物的証拠が少ない。そうした中で、奥西さんを犯人と結びつけたのは、ぶどう酒の王冠、農薬、ぶどう酒到着時間などだ。ぶどう酒を歯で噛んで開けたという自白があるが、実は王冠に残る歯型が奥西さんのものでないことが第五次再審請求で明らかになった。また、第七次再審請求では、王冠の足の部分に、奇妙につぶれて曲がった個所があった。弁護団は町工場に依頼し、一八〇〇個を復元し、奥西さんが自白した方法で開けたが、犯行現場に残されたようなつぶれ型をするものは一個も出なかった。

 奥西さんが持っていたニッカリンTという農薬を混入させたとされた。ぶどう酒を飲んだ人たちは、白ぶどう酒だったと証言している。第五次再審請求で、弁護団はいまは作られていないこのニッカリンTを探し出した。ニッカリンTは赤い色をしていた。つまり、白ぶどう酒ではなかったのだ。さらに、第七次再審請求では、ニッカリンTを使うと混合物が残ることを明らかにした。飲み残したぶどう酒には不純物は出てこなかった。

 事件直後の取り調べに対して、村人たちは「酒屋から会長宅にぶどう酒などが届けられたのは午後二時一五分。それを奥西さんが公民館に運んだのは午後五時二〇分頃だった。この間、複数の村人は会長宅を訪れていた」と証言した。しかし、奥西さんが自白した後は「ぶどう酒が会長宅に届けられたのは午後五時頃」とし、「奥西さんだけが『毒』を入れることが出来た」と村人たちは証言をひるがえした。

 一九六一年名張毒ぶどう酒事件、一九六三年狭山事件、一九六六年袴田事件。六〇年代に起きた重大事件で、再審請求・冤罪をはらす運動がずっと続けられてきた。名張事件は一審無罪で、高裁は逆転死刑判決という戦後初めての例だ。奥西勝さんと袴田巌さんは死刑囚として、いつ死刑が執行されるかという恐怖の中で長年闘い続けた。袴田さんは二〇一四年再審が認められた。石川一雄さんは一審死刑、そして無期懲役が確定し、現在仮釈放の身だ。

 共通しているのは自白偏重の取り調べ、証拠のねつ造などだ。こうしたウソの自白の強要をなくすためには、代用監獄の廃止、取り調べの全面可視化、全証拠の開示が必要だ。

 奥西さんと面会するなど長年、名張事件に関わってきた江川紹子さん(ジャーナリスト)は次のように裁判所のあり方を批判している(「YHOO!ニュース」10月6日)。

 「私は、第五次再審請求から本件をフォローしているが、裁判所は確定判決に問題はないかという視点から証拠を見ようとせず、再審を開かずに済む理由を懸命に探すのが、基本的な姿勢なのだと知った。再審を開かせないためには、すでに残骸のようになった証拠にしがみつくだけでなく、検察側も言っていないような化学反応を、裁判官の頭の中で作り上げさえする。特に、ひとたび再審開始決定が出た後の、門野決定や下山決定、さらにはそれを追認した最高裁(桜井龍子裁判長)の決定からは、何が何でもこの事件での再審を開かせまい、という強烈な意思すら感じた」。

 「結局、司法にとっては、囚われた人の人権や人生よりも、『裁判所は間違わない』といった無謬神話の方が大事なのだろう。『疑わしきは被告人の利益に』という刑事裁判の原則が再審請求審にも適用されるとした最高裁『白鳥決定』は、ごく一部の稀有な裁判官にしか通じなくなっていると、言わざるをえない」。
 
 江川さんは再審請求に対して、次のように提案している。

 「これでは、過去の裁判の誤りを正し、無辜を救済する機能を、裁判所に期待することはできない。再審制度を根本から変えていかなくては、冤罪に巻き込まれた者は救われない、と思う。たとえば、再審開始を決める再審請求審は、今のように裁判官が密室の審理で決めるのではなく、裁判所とは何のしがらみもない市民が関わるようにすべきだ。市民によって判断をする検察審査会方式か、市民と裁判官が協力して判断する裁判員裁判方式がよいのかはともかく、市民が参加して、もっと常識的な目で事件を見直せばよい。さらに、鑑定人などの証人尋問は公開で行うべきだろう」。

 「また、現在の刑事裁判であれば、開示されるはずの捜査側の証拠は、再審請求の場合にも、検察は開示すべきだ。名張毒ぶどう酒事件は、今なら裁判員裁判の対象になり、公判前に広範な証拠開示が行われる」。

 警察・検察の人権感覚なしの取り調べ・起訴のひどさはいうまでもないが、名張毒ぶどう酒事件の裁判のように、再審決定がされてもなお、それを取り消すことができるような制度の不備を変えなければならない。検察と裁判所のもたれあいを根本から変える司法制度の抜本改正。無罪判決が出たら、検察が控訴できない制度、再審決定への異議を認めない制度の確立。死刑制度の廃止。

(滝)

袴田巌さんを生きて取り戻した!

IMG_05583.27ついに再審開始決定―無罪かちとるぞ


袴田巌さんを生きて取り戻した!


えん罪デッチ上げの責任追及を



【静岡】3月27日、9時30分頃、静岡地裁前に約200人の支援が集まり、10時の袴田事件再審決定を待った。その間、小集会を開き、全国からかけつけた多くの市民団体の決意が語られた。9時50分、西嶋弁護団長、袴田さんの姉・ひで子さんを先頭に、裁判所に入った。


そして10時過ぎ「再審開始」の布が掲げられた。いっせいに「やった!」、「勝ちとった!」の声があがった。涙を流す人、肩を抱き合う人そして西嶋弁護団長が「袴田さんの熱い思いがやっとかなえられた」と述べ、ひで子さんも「うれしい、それだけです」と語り、長い闘いを一つになって支えた思いを抱え、東京拘置所に向かった。決定はきわめて明確なものだった。


3・30 再審開始決定報告集会

3月30日、静岡市で「再審開始決定報告集会」が行われた。激しい風雨のなか、200人が参加した。西嶋弁護団長が決定内容の骨格を紹介した。弁護団の5人の弁護士がそれぞれ担当した分野について、経過を含めて報告した。


そして、集会には島田事件の赤堀さん、足利事件の菅家さんが出席した。午後1時半から4時半までのかなり長い集会となった。集会の終わりには「声明」に名を連ねた各団体のアピールがあり、集会アピール(別紙)を確認した。また、検察に対して即時抗告を行わないように、あらゆる方法で訴え、要請の声を届けることが訴えられた。そして袴田さん支援カンパが呼びかけられた。

(S)

無題3.30集会アピール

袴田巌さんの無実を晴らす闘いは、3月27日の静岡地裁による再審開始決定によりやっと動き始めることとなりました。そして、デッチ上げ逮捕以来、無実の罪を着せられた袴田さんを生きて故郷に迎えようとの切実な願いが、身柄の解放により現実となりました。


今回の再審開始決定は、DNA鑑定等に基づき、確定判決が犯人性に関する最有力な証拠とした衣類について袴田さんのものでなく、後日ねつ造されたものであった可能性を示しました。


また、捜査機関によってねつ造された疑いのある重要な証拠によって有罪とされ、極めて長期間死刑の恐怖の下で身柄を拘束されてきたとして、これ以上の拘置を続けることは耐えがたいほど正義に反する状況にあるとして、死刑及び拘置の執行を停止しました。


獄中の袴田さんは無実の訴えを途切れることなく続けて来ましたが、誰をも信じることができなくなり、自らを守るため外界との接触を絶ち切ることでしか、生き延びることができませんでした。


袴田さんは、解放された今も再び拘置所に引き戻されるのではないかとの不安、そして、未だ死刑執行の恐怖から完全に解放されたわけではありません。

 

私たちは司法権力への責任追及、誤判原因の究明、そして、捜査機関によるデッチ上げ、えん罪の構図を厳正かつ徹底的に明らかにしなければなりません。


今回の再審開始決定で、捜査機関によってねつ造された証拠によって獲得されたという重大な疑義が指摘され、裁判所によって厳しく指弾されたことについて、検察官は厳粛に受け止めなければなりません。


したがって検察官は、再審開始決定に対して即時抗告を行わす、これ以上袴田さんの人生を脅かし、死刑の恐怖を抱かせないよう改めて強く求めます。


袴田さんは無実だ!


2014年3月30曰

 

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3月27日、待ちに待った袴田巌さんが解放されました。
今までのご支援、ありがとうございました。


しかしながら、今後、再審公判で無罪になり、刑事補償を受けるときまでは、
まだ相当の時間を要することは確実です。48年間の拘禁のため,巌さんの健康状態は,完全ではありません。その間、巌さんの生活を支えなければなりません。


そこで、私たちは、袴田救済ファンドという基金を作り、広く募金をお願いし、今後の費用を賄っていきたいと考えています。ご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。

袴田事件弁護団団長 西嶋勝彦

下記の口座に一口1000円以上で,余裕のある方は一〇口程度をめどに振り込んでいただけると幸いです。今後、銀行にも、口座を開設する予定です。

ゆうちょ銀行  二三八支店
普通 3833391
名義人 岡島順治

郵便局から振り込む場合は手数料の関係でこちらが便利です。番号が似ていますが違いますのでお気を付けください。

記号 12350
番号 38333911
名義人 岡島順治

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報告:3.25取調べの可視化を求める市民集会

かしか 3月25日、日本弁護士連合会は、弁護士会館で「取調べの可視化を求める市民集会『取調室にシナリオは要らない~骨抜きを許さない!取調べ全過程の録画を~』」が行われ、240人が参加した。


 法務省は、大阪地検特捜部の押収資料改ざん・犯人隠避事件(10年9月)を通した検察機構の危機と社会的批判を収束するために法相の諮問機関である新時代の刑事司法制度特別部会(2011年6月)を設置し、取り調べの可視化をめぐる審議を行ってきた。賛成・反対派の委員(裁判官、検察官、弁護士、警察、学者、民間人26人、幹事14人)の構成で論議し、2015年の通常国会に向けて法案化をめざし
ている。


 すでに試案として①「裁判員裁判の対象罪名で逮捕された場合は原則的に全過程の録音・録画を義務付ける」案と、②自白の誘導と強要、「拷問」に近い脅迫場面を記録せず、えん罪防止には程遠い「録音・録画の範囲を取調官の一定の裁量に委ねる」案を併記した。可視化反対派の警察官僚は、徹底して抵抗するとともに新たな刑事司法制度と称して人権侵害に満ちた「供述証拠の収集/客観的証拠の収集/公判段階の手続き/捜査・公判を通じた手続き」を導入しようとねらっている。


 日弁連は、密室で作られた自白調書によるえん罪を繰り返させないために取り調べの全面可視化を実現するために集会を行った。


集会は、日弁連の山岸憲司会長のあいさつで始まり、可視化実現にむけた決意表明を行った。


 小坂井久弁護士(法制審特別部会幹事)は、基調報告として「法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会の議論状況について」て提起し、「警察関係の抵抗は厳しいものがある。しかし、民間委員5人[神津里季生(連合事務局長)/周防正行(映画監督)/松木和道(北越紀州製紙株式会社取締役)/村木厚子(厚生労働事務次官)/安岡崇志(元日本経済新聞社論説委員)]が『原則としてすべての事件を録音・録画の対象とすべきである』(13年2月)という意見書を提出した。長い審議過程において歴史的な出来事であり、可視化の法案化にむけて大きなステップとなる」と強調した。


 えん罪被害者報告では桜井昌司さん(布川事件)、上田里美さん(北九州爪ケア事件)が発言した。


 桜井さんは、「1967年に茨城県利根町布川で発生した強盗殺人事件で私ともう一人が逮捕され、長時間におよぶ強引な取り調べによって虚偽の自白に追い込まれた。無期懲役の判決を受け、29年間受刑さぜられていたが、2005年に再審決定され、11年5月、水戸地裁土浦支部で無罪判決が言い渡された。現在、国賠裁判を取り組んでいるが、権力はいまだに反省することなく開き直り続けている。可視化はえん罪を防ぐ前提だ。私の全体験を通して言えることだ」と訴えた。


 上田さんは、「北九州市の病院に勤めていたが、2007年7月、高齢者の患者の爪を剥がしたと傷害罪で逮捕された。警察のシナリオにもとずいて取り調べが行われ、爪切り行為そのものを楽しみとしたなどという供述調書が作られた。福岡地裁小倉支部は、それを証拠採用し、正当業務行為との推定が働かないとし、懲役6ヶ月執行猶予3年の判決を出した。控訴審では、看護行為として必要であり、正当業務行為だとして無罪判決(確定)をかちとった。供述調書は、誘導されたものと疑いが残るとして信用性が否定された。えん罪を防ぐためには可視化がもちろん必要だし、さらに弁護士接見、立会いの実現も必要だ」と指摘した。


 パネルディスカッションは、菊地幸夫弁護士 (第二東京弁護士会所属)がコーディネーター、パネリストが北尾トロさん (ライター)、小坂井久弁護士(法制審特別部会幹事)、周防正行さん (映画監督/法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会委員)。


 とりわけ周防さんが特別部会の審議状況を報告し、「警察関係委員は、自らの取り調べを絶対正しいという立場からウソをしゃべったえん罪被害者こそが悪いという主張だった。さらに被告にマイクとカメラをつきつけたら、喋れなくなるということを理由にして可視化に反対し続けているが、実は喋れなくなるのは取調官なのだ。それだけ酷い取り調べをやっていることを証明してしまっている。可視反対派の警察、揺れ動く検察と裁判官という構造があり、へたをすると可視化の実現さえも危うい状況にある。だからこそ私たちは『意見書』をまとめた」と批判した。


(Y)

【報告】8.27 再審が出来なかった二人への滝実法相による死刑執行に抗議する緊急院内集会

死刑反対 八月二七日、衆議院第二議員会館で「再審が出来なかった二人への滝実法相による死刑執行に抗議する緊急院内集会」が死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90、死刑廃止を推進する議員連盟、(社)アムネスティ・インターナショナル日本、NPO法人監獄人権センター、「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク、死刑に異議あり!キャンペーンが主催して行われた。国会内院内集会は初めて開催された。

 滝実法相は就任後二カ月たらずの八月三日、服部純也さん(40歳)と松村恭造さん(31歳)の死刑を執行した。今年に入り二度執行が行われ、五人が殺された。

 死刑廃止を推進する議員連盟会長の亀井静香さんが最初に議連の活動を報告した(別掲)。次にかつて議連事務局長だった山花郁夫さん(民主党、衆議院議員)と橋本勉さん(民主党、衆議院議員)が連帯のあいさつをした。
 安田好弘弁護士が死刑をめぐる全般的状況を報告した。

 「死刑廃止議連は死刑廃止に向けて一歩をやってほしい。それは国会に法案を出して欲しい。韓国では法律に手をつけないで一四年間死刑を執行していない。フランスではミッテランの時に、死刑廃止の法律を作ったがその前五年間執行をしなかった。執行しないことによって、死刑存置の世論は下がっていった」。

 「八月三日というのはお盆前で執行しないことになっていたがこのタブーが打ち破られた。松村さんは本人が一審死刑判決後、控訴を取り下げ、それが確定してしまったので一審の判決だけで執行された。国際人権規約では恣意的な死刑を排除するために上訴権を保障しなければならないとなっているので、これに反している。さらに、強盗殺人とされているが、数万円を奪っただけなので殺人と窃盗ではないか。精神的にも大きな問題を抱えていた」。

 「服部さんは一審が無期で、死刑判決が出るはずがない事件だった。永山最高裁判決では、いろいろ総合的に考える、なおかつ死刑が許される。死刑しか選択がない時のみ死刑は許される。この基準に照らしても誤判の可能性がある。二人とも再審をしようとしていた。再審を願うと執行される。年四回執行体制に戻そうとしているのではないか。このままでは年内に後二回はあるだろう。検察が死刑執行の維持を強く進めている。死刑廃止に向けてハードルの低い法律を考えてほしい」。

 この後、執行された二人の担当弁護士が裁判の問題点、面会の様子など詳しく報告した。宗教者ネットワークの「死刑は殺人だ」の訴え、集会決議を採択し法務大臣に届けた。静岡県清水市で起きた袴田事件で袴田さんは死刑が確定しているが新たなDNA鑑定結果、再審の可能性が高まっている。何人もの死刑囚が再審無罪をかちとってきた。死刑制度の廃止を実現しよう。(M)

亀井静香さんの報告から

 残念ながら死刑廃止が出来ていない。刑の厳罰化を望む風潮が増して、国民のほとんどは目をそらしている。弱者を強者が押さえつけて豊かになっていく。これが当然だという考え方が強く覆っている。純ちゃん(小泉純一郎)が総理になってブッシュ大統領との約束でネオコン政策を持ち込んだ。私の力では止めることはできなかった。

 いま中東、ヨーロッパ、アメリカでも抵抗する流れが生まれている。日本でも起きている。民主党が自公と同じようになってしまった。消費税、原発、オスプレイ、三年前とはまったく違ってしまった。

 死刑についても、民主党は当初、命を大事にすると対応したがかつてに戻ってしまった。自民と同じように死刑を執行している。死刑廃止議連は一〇〇人程度いたが大きな政治混乱の中で、前に進めていこうという状況にないが、少しでも前に進めていきたい。

 第一に、法務省が三年に一度やっている死刑問題での国民意識のアンケートによると八十数%が死刑存置。このアンケート調査のやり方がおかしい。深層心理まで出るような結果になっていない、と法務省に変えるように申し入れ議論した。法務省は中身を検討すると謙虚さをもって始めている。検察をめぐるさまざまな不祥事で法務省は自信喪失状態だ。これは非常に大事だ。

 いっきょに死刑廃止にもっていけなくても、近づける一里塚があればということで衆参でぜひ調査する調査会の設置を求めている。これは全員一致でないともてない。また議員立法でも、会派の政調のOKをとらなければならない。特別無期刑の導入に対して、日弁連は最初ダメだと消極的だったが変わってきた。それを進めたい。国会議員は選挙違反や汚職などでやられるのではないかということで、検察・法務省に弱い。そういう困難さを抱えているが次の臨時国会に向けて進めていきたい。

 死刑廃止運動が強い圧力となっている。法務省は国際会議にいくと肩身が狭いという。犯罪人引渡しでも日本に引き渡さない理由に、日本に死刑制度があるからという。事務上の障害になっている。みなさん、死刑廃止に向けてがんばろう。(発言要旨、文責編集部)

【韓国チャムセサン】死刑廃止国は増加し、死刑執行の減少

韓国の社会運動情報サイト:チャムセサンから翻訳
http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=60840

アムネスティ・インターナショナルの発表で、"韓国でも死刑制度の廃止を早急に決断しなければ"

キムドヨン記者2011.03.28 05:34

dj(画像は金大中に死刑判決を下した軍事法廷 1980年)

2010年の全世界の死刑執行件数は、前年度に比べ減少した一方、死刑廃止国は増加するなど、国際的な死刑廃止の動きが持続的に現れている。

アムネスティ・インターナショナルは28日、『年次死刑の現状レポート:2010死刑と死刑執行』を発表し、"過去10年の間、死刑廃止の流れの発展によって、死刑を行う国々がますます孤立している"と主張した。

アムネスティ・インターナショナルの発表によると、死刑制度の運営に関連して機密性を維持している中国を除いて、正式に記録された全死刑執行件数は、2009年の最低の714件から2010年の最低の527件に減少した。

また、昨年2月、ガボン共和国ですべての犯罪に対する死刑制度が廃止されたことで、2011年3月16日現在、すべての犯罪に対する死刑廃止国は、昨年より一カ国増の96カ国で、1991年(48カ国)から着実に増加していることが分かった。

アムネスティ・インターナショナルは、引き続き、現在の一般的な犯罪への死刑廃止国は9カ国、事実上の死刑廃止国は34カ国で、まだ死刑制度を存置している58カ国のうち、2010年、実際に死刑を執行した国は半分以下の23カ国だけだったと伝えた。

アムネスティ・インターナショナルのシェティ事務総長は「死刑執行は減少したが、相変らず多くの国家が重犯罪を除いては死刑の使用を禁止している国際法に違反して、麻薬関連犯罪、経済犯罪、同意の下に結ばれる成人間の性関係(訳注-同性愛を含む)、神聖冒涜などの罪目に死刑を宣告してきた」として、「世界的な死刑反対の動きに逆らって死刑制度を組織的に使う少数の国家は、昨年処刑された数千人の生命に対する責任がある」と指摘した。

一方、今年、死刑執行停止14年を迎え、事実上の死刑廃止国に分類されている韓国の場合、2010年12月31日現在確定死刑囚は61人で、昨年2月、憲法裁判所は5対4の裁決で死刑制度を合憲と宣言した。(訳注-2010年2月25日に韓国の憲法裁判所が死刑制度を裁判官9人中,合憲意見が5人,違憲意見が4人で「合憲」と判断したこと)

キムフイジン:アムネスティ韓国支部事務局長は「今年で死刑執行停止14年を迎えた韓国社会では死刑制度の存廃について、今岐路に立っている」とし「現在、国会で三つの死刑廃止法案が準備されており、昨年10月には六つの政党の代表的な議員らが、世界の死刑廃止デー記念式を開催し、国会議員の共同宣言を発表するなど、国会内で死刑制度の廃止にかなりのコンセンサスが形成されている。 国会の速やかな決断が必要だ」と主張した。

2010年の一年間の合計67カ国で少なくとも2,024人が新たに死刑を宣告され、現在地球上には少なくとも17,833人以上の死刑囚が存在する。


【アムネスティ・インターナショナル日本】
2010年の死刑~過去10年の進展により、死刑存置国はさらに孤立
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=940

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