虹とモンスーン

アジア連帯講座のBLOG

エコロジー - 反原発・気候正義

報告 12.6 一般社団法人三里塚大地共有運動の会/12・6 第3回総会

配信:平野講演 12月6日、一般社団法人三里塚大地共有運動の会は、文京区民センターで「第3回総会」を開催した。

 総会は山口幸夫代表理事の開会宣言の後、山口さんが議長で議事が進行した。

 総会成立を確認した後理事会の指示に従い、事務局(繁山)が事業報告・決算報告を行った。島田監事が監査報告・監事あいさつした。事務局から事業計画・
予算案・理事選任の提案を行った。採決で1号議案から6号議案までの議案が賛成多数で承認された。

 総会は、一般社団法人三里塚大地共有運動の会結成から三年目を通過し、あらためて三里塚闘争および一坪共有地運動を守りぬいていく取り組みの意義を再確認した。二〇二一年ステージに向けてスクラムの強化を打ち固めた。

 続いて同会場で「12・6 第3回総会・記念集会」が主催:一般社団法人三里塚大地共有運動の会、共催:三里塚芝山連合空港反対同盟(柳川秀夫代表世話人) 、 三里塚空港に反対する連絡会で行われ、40人が参加した。

 山口幸夫さん(代表理事)は、主催者挨拶を行った。

 総会報告後、「三里塚闘争の意味は、科学技術振興の国家方針に対して根本的異議申立を行ったことだ。柳川秀夫さんは、『農的価値』を考えろと提案した。新型コロナウィルスは、全世界で感染し、死者も増え続けている。この背景は、経済成長を求めるグローバルな人間、物質の交流をさかんにする道筋を現代社会が作り上げたからだ。空港が最も大きな役割を果たした。人間、物質のいききがなければ自然体系の中でひっそりと住み続けていた新しいタイプのウィルスが人間社会に出てくることはなかった。便利な交通網は、ウィルスにとって都合がいいものだった。人間は、そのしっぺ返しとして不能な状態になっている」。

 「成田空港が赤字経営に陥っているのは当然なことだ。もう一度、三里塚の農民の闘いはなんであったか。現代社会に対して文明を見直せということを突きつけた闘いであった。12月4日、大阪地裁で大飯原発3号機、4号機設置許可取り消し行政訴訟に原告が勝った。原子力ムラが生き続けることができない時代になった。三里塚大地共有運動の会が新しい時代に向かってより深く、思想、運動を広げていこう」。

 山崎宏さん(横堀地区)は、柳川秀夫さん、加瀬勉さん(多古町/前三里塚大地共有委員会〈Ⅱ〉代表)からのメッセージ(別掲)を紹介した。

 さらに現地状況を報告し、「横堀鉄塔から木の根方面を見ると、空港には全日
空の飛行機が10機位並んでいる。コロナ危機によって運休を余儀なくされ、国際便を羽田空港にシフトせざるをえなかった。国際空港成田の影が薄くなってきている。滑走路がガラガラの状態だ。それにもかかわらず成田空港会社は、第3滑走路建設を推しすすめ、地権者への買収交渉に入っている。横堀地区では、埋蔵文化財発掘調査が行われているが、山林が切り倒されている。第3滑走路建設に向けた前倒し周辺工事だとも言える。資本と国家が一体となった利潤追求、このような社会の有り様を根本的に捉え返し、空港反対を闘っていこう」と発言した。

 主催者が準備した今年3月11日に急逝した石井紀子さんの映像が映し出された。最後の発言となってしまった2020反対同盟旗開き時の石井さんの姿とアピールだ。

 繁山達郎さん(事務局長)は、法人活動報告として①2020年の取り組み②登記変更の進捗状況③21年の登記変更の諸注意などを要請した。

 平野靖識さん(東峰地区/らっきょう工場)は、「三里塚はいま」をテーマに講演した。

 「三里塚物産・らっきょう工場は、三里塚で生産される農産物に加工付加価値をつけて販売し、空港反対農家の経済基盤を強くして闘争に寄与しようと考えた。生産と闘争をむすぶ闘争拠点をめざした。熱田派同盟としてシンポ・円卓(1991年11月~1993年10月)の末席に連なった。シンポの開始前に『今後いかなる状況のもとでも強制的手段は用いない』との確約を引き出した。終結時に国はこれまでの空港づくりの仕方を謝罪、2期用地にかかる収用裁決賛成を全部取り下げた。話し合いで闘争の正義性が確定した。日本の民主主義の歴史に画期的な出来事だった。同盟は2期工事に反対、地球的課題の実験村を提案した。だが国は並行滑走路はどうしても必要であるとして工事を進め、現在は第3滑走路建設を進めている。未決着の状態が続いている。円卓会議の結論のように進んでいない」。

 「空港会社による土地収奪は続いている。成田市天神峰の市東孝雄さんの土地に対して農地法を悪用した詐術的な土地取り上げをねらっている。裁判所が許可すればいつでも畑は取り上げられる状況まで追い込まれた。市東さん側は、執行の請求があってもこれを受理しないことを求める『請求異議訴訟』をおこして、12月17日に高裁判決が出る。東峰地区住民一同は、土地の取り上げを許さない『請求異議控訴事件についての要望書』(11月30日)を高裁に出した。市東さんの土地取り上げがあれば、空港会社の次の標的はらっきょう工場か、一坪共有地かもしれない。円卓会議の合意があるのだから、あらゆる意味で強制力を使ってはならない」。

 連帯発言に移り、つぎのような発言があった。

 沖縄のおかのまめさん(辺野古にカヌーを贈る会)は、辺野古新基地建設をめぐる現地攻防、辺野古にカヌーを贈る会の活動を報告した。会場ではおかのさん制作の絵画作品、パンフレット、「沖縄通信」の配布などが行われた。また、コロナ渦における資本の労働者に対する雇い止め攻撃、それに抗する闘いなどを報告し、支援を訴えた。

 面川春光さん(福島原発刑事訴訟支援団)は、福島原発刑事訴訟が高裁に移っていることを報告。また、福島原発汚染水放流問題を取り上げ、各地で汚染水反対運動の取り組みを訴えた。

 関西から山田謙さん(東大阪・三里塚闘争に連帯する会)は、コロナ渦における諸困難によって関西三里塚闘争に連帯する会、泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会、南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会を代表してアピールした。

 和多田粂夫さん(元管制塔被告団)は、「横堀団結小屋と鉄塔の土地はずっと守り抜こうと思っている。あそこには原勲君などの墓標がある。今後も共に参加していきたい」と決意表明した。

 浅井真由美さんは、石井紀子さん追悼(仮)の準備について報告し、賛同への参加、石井紀子さんとの交流の思い出など語った。

 最後に島田清作監事が閉会あいさつを行い、「砂川基地拡張反対闘争を闘ってきた。1メートルの拡張も許さず、米軍は出ていってしまった。しかし、横田基地に移り強化されている。オスプレイが配備された。自衛隊部隊も配備されている。司令塔として運用され、軍事訓練が頻繁に行われている。横田基地撤去に向けて闘い続け、三里塚闘争、全国の基地反対と連帯しながら運動を続けていきたい」と訴えた。

■12・6第3回総会記念集会へのメッセージ

三里塚芝山連合空港反対同盟代表世話人 柳川秀夫


 コロナウイルス感染拡大の中、本日の総会、記念集会に御参集の皆様ごくろうさまです。

 このような事態は全て人間の行き過ぎた社会活動に起因するものです。

 三里塚に空港問題が発生して54年になりました。巨大開発とその経済成長は人類の存亡が問われるまでに害悪を広めてしまいました。

 根本的反省と新たな社会の在り方(コロナ対応ではない)が求められているものの、為政者はなおも持続の柱を経済の発展として消費の拡大を追い続けています。

 三里塚の空港の拡張もその一環であります。

 そのような情況の下、それらに反対し闘っていきついた所は人類とその社会が持続できることを課題とした新たな闘いであります。

 三里塚に共有地が存続し、その場所が新たな試みの場でもあり、また創造の発信の地になることを願って止みません。

 共有運動も苦難があると思いますが奮闘よろしくお願いします。

      2020.12.6


■成田空港「第3滑走路」反対!廃港に向けて共に闘おう
  加瀬 勉  2020.12.6


三里塚闘争の性格

 国家権力の暴力をもって国家犯罪の積み重ねによって建設された。農民は建設反対同盟を組織、家族ぐるみ、集落ぐるみで全国の広範な人民と共闘して闘ってきた。

 先祖伝来の土地を守る意識には生存権、財産権、居住権、職業選択の自由、健
康で文化的な生活を送る権利、思想、信条、人間の良心を守る自由等の人権擁護の生存基本権を守る闘いであったと思う。

闘争の現段階

 闘争は50年の長きに及び、さらに闘争は継続されている。新たに拡張計画がだされた。空港会社の説明会が終了し、関係住民93%の人が同意したとし発表した。その同意した人たちに、①土地に対する境界を確認すること

②土地に対する所有権の確認をすること

③各戸の土地、家屋に対する立ち入り調査が行われている

④土地、家屋に対する移転の評価価格は明らかにしていない。

 多古町牛尾騒音移転地区のケース―

①集落戸数100戸である。移転希望の人は
52名である。

②三里塚闘争が発生した時代に生まれた人たちが集落の中心になっている。三里塚闘争を知らない人たちである。

③農家は92戸である。20戸が農業経営を兼業で行っている。残り60戸余りは農業の経験を持たない人たちで、学校から他の職業に就いた人たちである。村に経済的生活基盤を持たない人たちである。村をベットタウン化している人たちである。先祖伝来の意識とか、土地、地域に自分の生き方を刻んできた意識はない。

④村に住みながら農業の経験のない人たちの子供たちは、親たちと生活していない。村に住んでいない。就職とともに都市部に住んで結婚し、子供を育てている。村に帰る気はない。

⑤家屋敷、土地を売ってマンションを買い求め、家を新築して独立するために、空港建設による移転はまたとない機会だと思っている。⑥村にいる80才~90才超老人ばかりである。一戸一名の割合で、通院、入院、自宅療養、介護施設の利用をしている人たちである。不安と動揺をしている。この人達の最後は介護施設に、その子たちは都市部の息子夫婦と生活をともにする計画を立てている。

 生産、生活の主体が村には存在していない。

歴史の転換期

 コロナの発生を契機に生活、生産、文化など人間のあらゆる領域で新しい価値観の転換が始まっている。一つだけ例にとるならエネルギー政策も風力、太陽、地熱の利用へ。住宅建設は高いビルディングを立てること、そしてその建物の中の空調をいかに快適にするかが基本であった。そうではなく家を自然の延長として開放してゆく価値観に変わってきた。

 空港建設は膨大な化石エネルギーを消費し、二酸化炭素を拡散させ、騒音地獄の中で人間を密封しようとしている。空港建設は時代の流れに、歴史の流れに人類の生存に敵対するものである。

廃港に向かって

 目の前は困難が山積している。歴史転換期に際しての主体の建設が遅れているからである。コロナの発生によって成田国際線99%が稼働していない。日本の航空会社、世界の航空会社は倒産の状態である。空港がなくても、飛行機がなくても人の交流は、国際的にもできる。自信をもって廃港に向かって闘いを継続してゆこう。

報告 9.11 アジ連 公開講座 「入門:気候危機に立ち向かうエコロジー社会主義」

配信:寺本講座9月11日、アジア連帯講座は、「入門:気候危機に立ち向かうエコロジー社会主義」をテーマに公開講座を行った。

寺本さんは、8月に発刊された「エコロジー社会主義  気候破局へのラディカルな挑戦」著者:ミシェル・レヴィー/柘植書房新社)の翻訳を行った。ミシェル・レヴィーのアプローチをバネにクライメート・ジャスティス(気候正義)運動、「システム・チェンジ」を目標としたエコ社会主義(社会主義とエコロジーを結合させた新たな社会の展望)の取り組みを提起している。

講座は、①気候変動から気候危機・気候破局へ ②温暖化否定論者は何を言っているのか? ③気候危機と地球温暖化 ④パンデミックが映し出す気候危機の本質 ⑤システムを変えよう!気候を変えるのではなく!を柱に提起した。集約として、エコロジー社会主義を実践的に具体化し、共有化していく作業を共に担っていくことを確認した。

寺本講演


 COP21(2015パリ)、COP23(2017ボン)の対抗アクションに参加してみて、「システムを変えろ・気候を変えるな」というスローガンが、とりわけヨーロッパの気候変動に対する闘いの中で定着していることを目の当たりにした。このスローガンは、2009年のコペンハーゲンでのCOP以来、大きな基軸として掲げられてきたものである。それではシステムを変えるというとき、変えた先にあるものは何か、未来の社会のイメージがないと先に進めないのではないかと考えた。その中でミシェル・レヴィーの「エコ・ソーシャリズム」という本を翻訳してみようと思い、このたび『エコロジー社会主義 気候破局へのラディカルな挑戦』として、柘植書房新社より出版されることになった。

 目次を見てほしい。序章の「二一世紀の大洪水」は、昨年、ミシェル・レヴィーがフランス語版の改訂版に書き下ろしたもので、昨年の国連の気候行動サミットでのグレタ・トゥーンベリの演説なども網羅している。それ以外は、2000年~2010年代にかけて彼が書いたものだ。第5章の「マルクス・エンゲルス・エコロジー」は、斉藤幸平さんの論文も言及がある。レヴィーは、彼の立場とは違うという形で書いている。7、8章は、レヴィーはもともとブラジルの出身なのでラテン・アメリカの先住民の運動に大きな関心と力点を置いている。

 現在、世界は、① 気候危機 ② コロナ・パンデミック危機 ③ 政治・経済・社会的危機が同時に進行している。

 例えば、アメリカが発火点となったブラック・ライブズ・マターは、その背景に深く制度の中に組み込まれた人種差別の問題がある。黒人のマルクス主義者の中では、人種資本主義という概念が広く使われている。人種差別とは、資本主義の中に制度的に深く組み込まれているという議論がされている。

 三つの危機の根源は、現在の「システム」にある。では、そのオルタナティブは何か?について問題提起していきたい。

1.気候変動から気候危機・気候破局へ

 世界中で「異常気象」が「日常化」している。例えば、モスクワの2020年1月の平均気温は約0度(観測史上最高)で平年より9.3度高く、これまでの最高記録を1.5度上回った。1月の積雪量は7センチ(平年32センチ)だった。

 南極半島のアルゼンチン基地では史上最高温度18.3℃を記録し、過去50年で約3℃上昇した。南極半島西岸にある氷河は過去50年で87%失われた。産業革命以降、すでに約1度の気温上昇があるが、南極圏・北極圏の気温上昇が激しい。

 シベリアのサハ共和国ベルホヤンスクで、6月30日に38℃を記録している。永久凍土が溶けていくと、その中に閉じ込められた大量のメタン、二酸化炭素が一挙に放出される。ますます地球温暖化に拍車がかかる。

 さらに永久凍土の中に、例えば、マンモスの死骸とか、動物の死骸とかが閉じ込められている。それが溶けることによって、その中で生き残っているウイルスが出てくる。シベリアで2016年、永久凍土の中にあった動物の死骸から出てきた炭疽菌で死亡者が出た。未知の、一万年前のウイルスがさらに出てくるかもしれない。

 こうした異常気象では、もはや「異常」であることが当たり前になり、新たな「普通」など見つけるべくもなくなっていて、過去のデータに基づく気候予測は成立しなくなっている。日本でも地球温暖化の影響は現実のものとなっている。「100年に1度」の異常気象が日常化している。今年夏の「猛暑」では、8月の平均気温は平年比で、東日本で2.1℃、西日本で1.7℃高く、過去最高だ。岡山県高梁市は、24日連続で35℃以上を記録している。浜松市は、41.1℃の最高気温だった。だから人々の間では、気候温暖化という知見は共有化されているのではないか。

 集中的・局地的豪雨、巨大台風は、日本近海の海水温上昇による水蒸気量増加が原因で、台風が日本近くで発生し、日本を直撃するようになっている。2018年9月4日の台風で関西国際空港は水没した。

 オーストラリア森林大火災は、ニューサウスウェールズ州で240日以上森林火災が続き、540万haが焼失(例年の18倍)した。結果として、2月6日から豪雨によって鎮火した。極端から極端にふれるのが異常気象の特徴だと言える。

 森林火災が起こる「主犯」は地球温暖化にある。2019年のオーストラリアの平均気温は観測史上最高で、平年より1.52℃上回った。年平均降雨量は平年より4割減っていた。つまり、地球温暖化により乾燥地域が拡大している。

 現在のカリフォルニアの火事は、81万㏊にまで広がっている。東京都の3.7倍だ。その原因には、ドライライトニング現象がある。雨が降っていないのに、雷が鳴る。晴れているところに、いきなり雷が落ちてくるわけだ。カリフォルニアだけで1200箇所にドライライトニングによる雷が落ち、火災が一気に広がった。ロサンゼルスでは、9月6日、49.4℃を記録している。

 オーストラリアの場合は、昨年から年末の間に「インド洋ダイボールモード現象」の影響があると言われている。インド洋の西側海面の温度上昇によってアフリカ東部は豪雨となり、東側海面の温度低下でインドネシア、オーストラリアで少雨、乾燥となった。ただ、地球温暖化で温度上昇や低下の度合いが大きくなっている。このダイボールモード現象によって、オーストラリアでは森林火災、アフリカではサバクトビバッタが大量発生した。アフリカ東部の豪雨によって繁殖に適した環境になった。

いまや気候変動ではなく、気候危機・気候破局の段階に入っている。日本政府の「環境白書」2020年度版でも気候危機とはじめて表現された。このような気候危機・気候破局は、ある段階を超えると、気候システムが不可逆的に暴走し、地球温暖化に歯止めがかからなくなると多くの科学者が指摘している。その限界点には私たちが考えているよりもずっと早く到達するかもしれない。ミシェル・レヴィーも『エコロジー社会主義』でその点を強調している。

2.温暖化否定論者は何を言っているのか?

 ボルソナロ・ブラジル大統領は、パリ協定からの離脱を示唆し、先住民を追い出して、アマゾン開発を促進している。三人の息子は「パリ協定は国際的な陰謀」「温暖化はウソ」「気候変動は左派のアジェンダ」と主張している。

 トランプ米大統領は、「地球温暖化という概念は、もともとアメリカ製造業の
競争力をそぐために中国によって中国のために作り出されたものだ」(2012年)と言っていた。

 ただ注意しなければならないのは、ボルソナロやトランプの温暖化否定論とコロナ・パンデミックでの立場が共通しているとこだ。温暖化否定は、こういう人達だけではなく、世界的に日本でも、かつて一部のエコロジスト、反原発を掲げた人達の中でそういう論議が行われていた。「地球温暖化は原発推進のためのデマ、推進するための陰謀だ」という人がいた。

 ミシェル・レヴィーは、エコロジー社会主義』の序章で「アメリカ航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙研究所前所長のジェイムズ・ハンセン」に触れている。この人は気候変動の専門家で警鐘を鳴らしている人だが、熱心な原発推進論者でもある。気候変動、地球温暖化を防ぐためには、原発を推進しなければいけないと主張している。こういう人がいることが、温暖化デマ説につながっているのかもしれない。

3.気候危機と地球温暖化

 なぜ温暖化が起こるのか。地球のエネルギー収支は一致している。入ってくるエネルギーと出ていくエネルギーはイコールになっている。イコールでなかったら地球は、際限なく暑くなってしまう。温室効果ガスは、赤外線を吸収し再び放出する性質を持つ。地球の外に向かう赤外線の多くが、温室効果ガスに吸収され(熱として大気に蓄積)、放出されて地球の表面に戻り、地表付近の大気を暖めることによって地球温暖化となる。エネルギーが地球の表面にとどまることによって温暖化が促進される。

 世界気象機関は、現在の状況を「氷河時代」だとしている。南極、グリーンランド、ヒマラヤなどに氷河がある。氷河時代は氷期と間氷期が繰り返される。258万年前に始まった氷河時代のCO2の濃度は、180~280PPMで推移している。

 しかし、現在のCO2の濃度は、過去数十万年にわたる自然変動の域を超えている。だから温室効果ガスによって温暖化が進んでいることが科学的に立証されている。2015年から2016年のCO2濃度の増加は、3.3PPMでこれまでの最高だ。明らかに人為的な温室効果ガスの排出が原因だ。

 温室効果ガスはどこから排出されているのか。温室効果ガスの76%が二酸化炭素(CO2)で、65%が化石燃料に由来している(CO2換算で)。

 国連によればCO2排出量の国別順位(2016年)では、一位が中国、二位
がアメリカ、三位インド、四位ロシア、五位日本となっている。しかし、一人当たりの排出量はアメリカが突出して多い。アフリカ諸国は、総排出量でも、一人当たり排出量でも、非常に低い数字となっている。

 ドイツのCOP23対抗アクションのフォーラムに参加して、工業的農業から排出される温室効果ガスが多いことを知り、大変驚いた。食肉・乳製品製造のトップ20社が排出する温室効果ガスの量は、ドイツが排出する量を上回っている。2016年のデータでは、温室効果ガスの全排出量の14%が食肉・乳製品製造によって占められている。その中には、加工・製造・輸送などで発生するものも含まれている。今後も今のような食生活を続けるならば、いくら他でCO2を削減しても、大きな排出が残ってしまう。

4.パンデミックが映し出す気候危機の本質

 新型コロナウイルス流行でCO2排出が激減したと言われている。国際エネルギー機関の予測では、今年の世界のCO2排出量は前年比8%(約26億トン)減少(リーマン・ショック後の09年の約6倍の削減)とされている。航空輸送の中断、工場生産ストップ、発電量の減少などにより、化石燃料の使用が減少した。逆に言うと、飛行機を飛ばさなくても、クルーズ船を動かさなくても生きていけるということだ。不必要な生産がどれだけ多かったかを現わすものだ。

ボルソナロとトランプの共通した対応

 パンデミックに対してボルソナロはいまだに「われわれは生き続けなければならない。雇用を守らねばならない。普段通りに戻らなければならない」「(感染が)危険なのは60代以上。なぜ学校を閉めなければならないのか」「軽い風邪」(3月24日)、「他のウイルスの方がはるかにたくさんの死者をもたらしたのに、今回のような騒動は起きなかった」「何人かの知事や市長が行っていることは犯罪だ。ブラジルを壊している」(3月25日)などと述べている。

 トランプは当初は「フェイクニュース」「民主党によるデマ」だと言っていた。さらに「コロナウイルスは消滅しつつある。ある日、ミラクルのように消えていく」(2月28日)、「私はワクチンについても、検査と同様に感じている。新型コロナは、ワクチンがなくても消滅する。そして、一定の期間が過ぎたら、もう見ることは無いと願っている」(5月8日)などと言っていた。

 彼らは地球温暖化を否定し、パンデミックに対しても共通した態度をとった。深刻なエコロジー危機であるにもかかわらず、全く関心がなく、危機感がない。生態系を壊しても経済、金儲けを優先する態度だ。つまり、現在のコロナ危機・気候危機・新自由主義的グローバリゼーション危機の社会的危機は、相互に絡み合う有機的関係を持って進んでいることを示している。

コロナウイルスとは

 コロナウイルスは、本来の宿主であるオオコウモリや齧歯(げっし)類から「人畜共通感染症」として漏出した。エボラ出血熱、エイズ、SARS、MERS、そして新型コロナウイルスなど、1960年以降に出現した新たな病気の3/4は動物由来感染症だ。いかに動物環境に対して人間が介入し、環境を破壊したことの現れだ。

 なぜ漏出したのか。森林伐採、工業的農業の拡大、集約農業・監禁的動物飼育、鉱山開発・インフラ開発による自然破壊、野生種の利用(ペット・食用など)などのまさに生態系破壊によって、野生生物から人間への病気の漏出をもたらした。

 一方で、新自由主義的グローバリゼーションの中で爆発的な旅行の拡大、多国
間貿易、農村部破壊による都市への人口集中が、感染の世界的拡大(パンデミック)の絶好の条件となった。

 パンデミックによる被害や影響は、地域・人種・階級・ジェンダー・社会的状況などによって著しく偏在している。それは気候危機の影響と同様である。例えば、ブラジルで最初にコロナウィルスを持ち込んだのは、ヨーロッパなどに旅行に行っていた金持ちの人達だった。さらに彼らの家で働いていた人が感染し、スラムへと広がっていった。金持ちは、医療システムが崩壊していても、高いカネを払って私立病院で治療ができるので回復していった。または、田舎の別荘に移って感染しなかった。だが、社会的に脆弱な立場にある人々に感染が集中している。

 アメリカでは、黒人や中南米からの移住者、エッセンシャルワーク(病院・介護施設、物流・倉庫、公共交通、食肉加工など)の労働者が大きな被害を受けた。ヨーロッパでも老人介護施設での死亡者が多数だった。パンデミックの被害者は、ある特定の人達に集中的に影響を与えた。

 気候危機の場合はどうか。温室効果ガス排出にそれほど責任を持たない途上国の社会的に脆弱な人々に集中的に及んでいる。例えば、島嶼国・低地帯の水没・海水の浸透、砂漠化による干ばつ・食料不足・水不足、移民・難民の激増、先住民の居住地域の破壊などが拡大している。

 つまり、パンデミックや気候破局などのエコロジー危機の被害者と新自由主義的グローバリゼーションの被害者は重なっていることだ。

5.システムを変えよう!気候を変えるのではなく!

 パリ協定で決まった各国の温室効果ガス削減目標が全部達成されても、2.7℃~3.7℃の気温上昇を招く。日本は、この削減目標すら達成できそうにない国の一つだ。G20の中では他にオーストラリア、ブラジル、カナダ、韓国、南アフリカ、アメリカ合衆国もそうだ。

 日本政府は、脱石炭・脱原発に極めて消極的だ。最近になってようやく、旧式石炭火力発電所の休廃止を促す方針を表明したが、脱石炭ではなく、高効率の石炭火力発電所への転換をはかることがねらいだ。

昨年のCOP25は会議としては失敗だったが、若者たちを中心に気候アクションが盛り上がった。気候アクションで若者たちが訴えたメッセージは、「① 1.5℃目標に沿った温室効果ガス排出削減目標の更新・強化を打ち出すこと ② 2030年より早期段階での脱石炭の宣言 ③ 自然エネルギー100%目標の策定 ④ 気候変動の影響に脆弱な国・地域に住む人々(一次産業従事者・女性・先住民等)の人権を守ること」である。

 2019年には、Friday for Future などが呼びかけた気候ストやアクションが世界的に広がった(昨年3/15 140万人、9/20 400万人、9/27 200万人、11/29 200万人)。日本でも、若者を中心に気候マーチが取り組まれた。

 グレタ・トゥーンベリさんらは、今年7月16日にEU首脳・各国首脳への公開書簡を出した。

 「われわれがより少ない排出への信頼できる道筋の上にいる、さらに気候災厄を回避するために求められる行動は現在のシステム内で求めることができる-さらに言うならば、われわれが危機を危機として扱うことなしに、危機を解決することができる-と長期にわたって言い張れば言い張るほど、貴重な時間がますます失われてしまうだろう」。

 つまり、今のシステム内では気候破局を回避することは難しいということだ。具体的な要求としては以下のことを掲げている。

*ただちに、全面的に、化石燃料の探査・採掘に対する投資の中止、化石燃料への補助金の終了、化石燃料からの投資を完全撤退。

*消費指数や国際航空・海運を含む(温室効果ガス)排出全体を数値目標に含め
ること。

*拘束力のある毎年のカーボン・バジェットを確立すること。

*民主主義を保護・防衛すること。

*労働者ともっとも脆弱な人々を守る環境政策を立案し、あらゆる種類の不平等-経済・人種・ジェンダー-を減らすこと。

*気候緊急事態・エコロジー緊急事態を緊急事態として扱うこと。

 これはエコロジー社会主義と現在の運動をつなぐ過渡的要求とも言える。

 このように気候危機と社会的経済的政治的危機の問題を結びつけてとらえ、システムとつながっていることが意識しはじめられている。

6.エコロジー社会主義 気候破局へのラディカルな挑戦

 地球温暖化を議論する際に、気温上昇をカウントする起点は産業革命だ。つまり、資本主義生産システムが成立した時期から起算している。このことは、エコロジー危機の要因の一つである地球温暖化は、資本主義生産システムとともに進行してきたことの表現になっている。

 ところが気候変動に理解をしていると言われる資本家は、人間の存在とその活動(人口の爆発、際限ない消費の欲望、エコロジーに配慮しない企業の存在など)が地球温暖化の原因だと言う。エコロジストの一部でも同じような考えをしている人たちがいる。レヴィーの本の中でも出てくる。

 人間の存在が問題だと考えると、解決策は「人間の倫理的問題」、あるいはグリーン資本主義ということになってしまう。「車に乗らないようにしよう」「エアコンを使わないようにしよう」ということなるのか。また、グリーン資本主義は、できるだけCO2を出さない資本主義、技術革新によってCO2を貯蔵・管理する資本主義を目指すということだ。

 私たちは、こういう立場に立たない。資本主義生産システムそのものが、エコロジー危機の根源だ。さらに新自由主義グローバリゼーションがそれを加速させているという立場だ。

 そのうえでとるべきオルタナティブは何か? 資本主義生産システムそのもののオルタナティブとしてのエコロジー社会主義だ。だが社会主義は時代遅れだという意見がある。レヴィーは、それは違うと言っている。社会主義を復権するためには、エコロジー的な視点を取り入れることが重要だと言っている。

 ミシェル・レヴィーは、『なぜエコ社会主義なのか? 赤と緑の未来のために』(2018)で次のように言っている。なお、この論文は、「エコロジー社会主義」の要約的なものとなっている。

 「現代の資本主義文明は危機に瀕している。資本の無制限な蓄積、あらゆるものの商品化、労働と自然の無慈悲な搾取、そしてそれに伴う野蛮な競争は、持続可能な未来の基盤を損ない、それによって人類の生存そのものを危険にさらしている。われわれが直面している深くシステム的な脅威は、深くシステム的な変化、すなわち「大転換」を要求している。」

 「エコロジーの基本的な考え方とマルクス主義の経済学批判を統合することでエコ社会主義は、持続不可能な現状に対する根本的なオルタナティブを提供する。それは、市場の成長と量的拡大(マルクスが示すように、それは破壊的進歩である)に基づく資本主義的な「進歩」の定義を拒否して、社会的ニーズ、個人の福利、エコロジー的均衡のような非貨幣的基準に基づいて確立された政策を提唱する。エコ社会主義は、資本主義システムに挑戦しない主流の「市場型エコロジー」と、自然の限界を無視した「生産力主義的社会主義」の両方を批判する。」

 つまり、個人の福利、とりわけ労働時間の短縮が必要だと強調している。自由時間を増やすことだ。

 その中で「エコ社会主義の根幹」として「民主的でエコロジー的な計画作成」が重要であると提起している。つまり、生産手段を資本家から奪い取って、共有化するだけでは不十分だ。それはソ連型社会主義が陥った誤りである。ソ連型社会主義に欠けていたのは、「民主的でエコロジー的な計画作成」だと言っている。

 具体的には、「どのような生産分野を優遇するのか、どのように教育、医療、文化に資源を投資するのか、技術革新をどのような方向に向けていくのか、を民主主義的に決定していくこと。重要なのは、地方、広域、国家、大陸、国際的なあらゆるレベルでの民主的管理だ」。

 また、「資本主義の「破壊的進歩」からエコ社会主義への大転換は、・・・社会、文化、考え方の永続的な革命的変革の過程でもある。この転換を実現することは、新しい生産様式と平等主義的で民主的な社会につながるだけでなく、お金の支配を超えて、広告によって人為的に生み出された消費習慣を超えて、無駄で環境に有害な商品の無制限の生産を超えて、オルタナティブな生活様式、新しいエコ社会主義的文明にもつながる。」と主張している。

 生産方式の所有から変革だけではなく、その過程全体を通して人間の考え方、
生き方を変えていかなければならないということである。エコロジー社会主義は、そういうものを含むものでなければならないということだ。

 例えば、ラテンアメリカの先住民が「よく生きる」という概念を使っている。エクアドル、ボリビアでは憲法の中でも明記されている。自然と共生し、よく生きるという考え方がある。レヴィーは、このことを評価している。「所有(having)」(何をどれくらい持つか)よりも「実存(being)」(どういう生き方をするか)を優先するということだ。

 最後にレヴィーは言う。「エコ社会主義はユートピア(「どこにもない何か」の意味)であるが、現実の社会を根本的に変革するにはユートピアを夢想すること抜きにはありえないのではないか」。

 ヴァルター・ベンヤミンの「マルクスは、革命は世界史の機関車だと言った。しかしおそらく、事態はそれとは大きく異なっている。革命は、列車旅行をしている人類が非常ブレーキをかける行動なのかもしれない」を引用して、「革命とは、列車が奈落の底に落ちる前に人類が手を伸ばす非常ブレーキである」と提起している。

 一方で、エコロジー危機に対する具体的闘い、つまり石炭火力をなくすこと、原発をなくすこと、あるいは地域で地産地消の取り組みを進めていくことなど、具体的な課題がたくさんある。そういう課題に積極的に参加し、一つ一つ実現していくことも大事だ。

 私たちは、ユートピアとしてエコロジー社会主義と現在のエコロジー的危機の課題を、どのようにつなぐのか。どういう要求を掲げて、つないでいくのか。要求のもとにどれだけ多数の支持を集めていくのか。これらが私たちの具体的に問われている課題だ。ただし時間がそれほど残されているわけではない。

終わり

【アジア連帯講座:9.11公開講座】入門:気候危機に立ち向かうエコロジー社会主義

fullsizeoutput_1e54-1-e1568398187175アジア連帯講座:9.11公開講座

入門:気候危機に立ち向かうエコロジー社会主義


講師:寺本勉さん(ATTAC関西グループ事務局員)

日時:9月11日(金)/午後6時30分

会場:東京・全水道会館4階小会議室
http://www.mizujoho.com/

資料代:500円

主催:アジア連帯講座
東京都渋谷区初台1-50-4-103
新時代社気付 TEL:03-
3372-9401 FAX:03-3372-9402
                     

 世界中で「異常気象の日常化」の激発、新型コロナウイルスの感染が拡大しています。この現象は、どのように考えればいいのでしょうか。私たちは、グローバル資本主義システムが温室効果ガスを排出し続け、「開発と成長」と称して環境破壊、生態系破壊を繰り返し、生物多様性を減少させてきた結果として、今日の気候危機とコロナ危機があるのだと言えます。そのうえで根本的な社会—エコロジー的転換が必要だと考えます。

 日本の気候危機は、すでに冬の厳しい寒波に始まり、夏には記録的な猛暑・豪雨、そして巨大台風の上陸と立て続けに異常気象に見舞われました。さらに今年の7月も九州地域における豪雨によって被害が拡大しています。やはりこの背景には、地球温暖化に伴う気温の上昇、日本周辺での海水温上昇による水蒸気量の増加があることは明らかです。

 世界的に見ても、北半球が記録的な高温となり、北極圏でも30℃を超えるかつてない高温を記録しました。各国で高温・乾燥による山火事も多発しています。

 COP25(国連気候変動枠組条約締約国会議/スペイン・マドリード/2019.
12)では「国別の温室効果ガス削減目標を引き上げる機運の醸成」と「市場メカニズムによる排出量取引のルール作り(パリ協定第六条の具体化)」を獲得目標にしていました。

 すでにCOP24を前に公表されたIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)特別報告書は、パリ協定で目標とされた1.5℃の気温上昇にとどめるには、世界のCO2排出量を2030年までに45%削減(2010年比)し、2050年ごろまでに実質ゼロにする必要があると強調していました。

 だがCOP25は、国別削減目標の大幅な引き上げを明確に義務化することはできませんでした。「各国の事情に応じて」とか「可能な限り」とかの表現を用いて、削減目標の引き上げを事実上回避できる内容です。

 日本の小泉環境相は、COP25で脱石炭や削減目標引き上げを表明できず、環
境NGOから「化石賞」を受賞するほどです。そもそも日本政府は、「第五次エネルギー基本計画」(2018年7月)で2030年における電源構成の中での原発の比率を20年22%、化石燃料の比率を56%にするという目標を掲げ、脱化石燃料にも、脱原発にも真剣にとりくむつもりがないことを明らかにしています。

 その現れとして安倍政権は、東京五輪と「復興」をリンクさせ、福島第一原発事故などなかったかのようにキャンペーンを繰り返しました。ところが新型コロナウイルスの感染拡大によって延期に追い込まれ、今度は「ウイルスとの闘いに打ち勝って五輪を成功させたい」などととんでもないことを言い出しました。環境破壊、カネの無駄遣い、コロナ感染拡大へと導く東京五輪は中止にし、気候とコロナ危機によるすべての被害者に援助を強化していくことが必要です。

 寺本さんは、「気候危機」に立ち向かうためにクライメート・ジャスティス
(気候正義)運動、「システム・チェンジ」を目標としたエコ社会主義(社会主義とエコロジーを結合させた新たな社会の展望)の取り組みを提起しています。

 講座は、地球温暖化STOP、クライメート・ジャスティス運動、コロナ危機に立ち向かう入門編として設定しました。ぜひご参加ください。


125■8月新刊

「エコロジー社会主義  気候破局へのラディカルな挑戦」

著者:ミシェル・レヴィー
訳者:寺本 勉

柘植書房新社/2800円+税


著者ミシェル・レヴィーについて

著者のミシェル・レヴィーは、一九三八年にブラジルで生まれ、一九六九年からパリに居住している政治哲学者で、パリ国立科学研究所の社会学研究所長などを務めた。彼が研究の対象とした分野は極めて広範囲にわたっていて、マルクスの思想に関する多くの著作があるほか、中欧におけるユダヤ人文化、ラテンアメリカにおける政治と宗教、シュールレアリズム、ヴァルター・ベンヤミンの思想などについても、著作を著している。さらに、ATTACや世界社会フォーラムに参加するなど社会運動に積極的にかかわるとともに、気候変動・地球温暖化を生み出す資本主義システムに対するオルタナティブとしてのエコ社会主義について積極的な発信を続けている。(柘植書房新社のホームページから転載)

 

目次

序章 二一世紀の大洪水

第一章 エコ社会主義とは何か?

第二章 エコ社会主義と民主的な計画作成

第三章 エコロジーと広告

第四章 エコ社会主義的倫理のために

第五章 マルクス・エンゲルスとエコロジー

第六章 革命とは非常ブレーキである ヴァルター・ベンヤミンの政治・エコロジー思想

第七章 シコ・メンデスとアマゾンを守る闘い

第八章 先住民によるエコ社会主義的闘い

資料1 国際エコ社会主義者宣言(二〇〇一年)

資料2 ベレン宣言(二〇〇九年)

資料3 リマ・エコ社会主義者宣言(二〇一四年)

訳者あとがき


報告:被災者・被災地切り捨ての『復興五輪』反対!3・11を反天皇制・反原発 の日に!

3.11② 3月11日、星陵会館で「被災者・被災地切り捨ての『復興五輪』反対!3・11を反天皇制・反原発の日に!」(主催:3・11行動実行委)が行われ、61人が参加した。

 安倍政権は、この日、国立劇場で「東日本大震災九周年追悼式」を秋篠宮夫婦、政府関係などの出席で実施する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ必要があると判断して中止にし、追悼式に代わる献花式を首相官邸で行った。

安倍首相は、談話で「防災・減災、国土強靱化を進め、災害に強い故郷を創り上げてまいります」と強調し、原発事故を引き起こした国家責任・原発企業責任に触れることもなく、過去のものとして葬り去ろうという狙いだ。すでに政府主催の「追悼式」は、来年で10周年となり終えることを明らかにしている。

 秋篠宮の式典出席は4回目であり、皇嗣として初めての出席の予定だった。秋篠宮の出席は、「天皇代替わり」キャンペーンの延長のうえで式典を天皇制賛美の一環として作り上げ、被災者に「寄り添う」ポーズをとりながら原発事故責任を覆い隠し、天皇制による民衆統合の役割を振舞うことでしかない。

 式典は中止になったが、実行委はこのような政治的意図を許さず、「政府・東電・電力独占の責任を隠ぺいし、原発を推進する『皇族出席の追悼式典』・一斉黙祷反対!」を掲げ、集会とデモを行った。

 集会は基調報告から始まり、以下のポイントを提起した。

 ①「復興」と原発政策推進に「国民」を向かわせる政治的意図のもとに行われる儀式。原発事故責任への抗議や怒りを封じ込めるための「追悼」動員であり、それに従わないものの排除、切り捨てだ。

 ②東電は住民・労働者の健康被害の責任をいっさい拒否。福島第一原発の労働者は、溶融燃料取り出しなど高線量下での危険な作業が予定され、労働者被ばくが深刻化している。

 ③聖火リレーのスタートを「復興のシンボル」として原発事故の対応拠点としていた「Jビレッジ」とし、オリンピックで野球とソフトボールの一部試合を福島市でおこない「復興」をアピールしようとしている。

 ④「象徴としての務め」という天皇の「非政治的」政治の拡大と権力性の強大化は、象徴天皇制を超えた元首性を天皇に付与し、戦争国家の要素となった。

 ⑤オリンピック・パラリンピックで天皇が、「国家元首」として世界に向かっ
て開会宣言を行う。それは原発事故責任追及ではなく、「国難」と「復興」に立ち向かう「国民」の一体性をつくりだす国民の融和(「復興五輪」)と、天皇制と一体となったナショナリズム=国威発揚だ。

 鵜飼哲さん(一橋大学教員)は、「福島原発事故隠しの東京オリンピック・パラリンピックと天皇制」というテーマで講演した。

 鵜飼さんは、①2013年9月、五輪招致決定②「復興五輪」と天皇制③惨事便乗型資本主義と祝賀資本主義について批判。

 さらにグリーンウォッシング(欺瞞的な環境配慮)を取り上げ、「五輪組織委
員会は、『環境五輪』の例として新国立競技場には木がたくさん使われている。だが、熱帯雨林を破壊、多摩川河口の橋建設で干潟が減少、しじみの減少へと追い込んだ。外国人記者から『グリーンウォッシング』だと批判された。コロナウィルス等、周期的に発生する感染症は、世界的な森林破壊による野生動物の生育域の縮小が構造的な原因だと言う研究者もいる。『復興五輪』と称して、その一方で福島原発汚染水の海洋投棄強行が迫っている」と批判した。

 また、「国内の少数民族・外国人とオリンピック」について「アイヌの『民族共生象徴空間』は、先住権を認めず、遺骨を返還せず、『文化』のみ多文化主義のアリバイでしかない。沖縄では『聖火』は消失した首里城跡から出発だ。国民統合の強化による反基地運動の切り崩しをねらっている」ことなどを指摘し、東京五輪の反動性を明らかにした。

 池田実さん(元原発労働者)は、「重層的下請け構造と原発労働の実態」について報告。

 「浪江町の除染作業では、工期が迫ってくると下請け会社から『草だけ刈ればいい』とせかされ、いいかげんだった。イチエフ(第一原発)構内の作業に移った。APD(アラーム付線量計)が鳴っても、すぐに慣れてしまう。『白血病など、年間五ミリSv以上が認定基準』とはじめに講習をうけるが、これまでに認定された人はわずか。自分は2014年2月から15年5月まで働いた。累積線量は7・25ミリSvだった。白血病の5ミリSvを上回っている。今も不安を抱えている」。

 「福島第一原発だけでも10万人近くの労働者が入っている。除染労働、中間貯蔵施設、警備も含めて様々な関連労働者がいて被ばく者が増え続けている。ガン、白血病になった人、過労死で亡くなった人もいる。しかし、その補償はまったくない。労災申請もあるが、時間とカネがかり、申請しない労働者が多い、ほとんど泣き寝入りだ。政府・東京電力は、無視し続けている。福島原発労災認定された人の損害賠償裁判(あらかぶ裁判)を支援している。東電は、『放射能の因果関係が認められない。喫煙、食生活との因果関係も考えられる』と居直り続けている。被害者切り捨てを許さない。原発関連労働者ユニオンを作りました。労働者の命と健康、福利厚生、労働条件向上を求めていきたい。今後も被ばく労働者への支援をお願いしたい」と訴えた。

 連帯アピールが「3・11から10年目 原発被ばく隠しを許さない 首都圏行動」、「オリンピック災害」おことわり・連絡会、4・28━29行動実行委員会、ピリカ全国実・関東グループから行われた。

 集会後、デモに移り、千代田区一帯にわたって「追悼式典・一斉黙祷反対!復興五輪反対!3・11を反天皇制・反原発の日に!」などのシュプレヒコールを響かせた。

(Y)

中止となりました【アジ連4.17公開講座】入門:気候危機に立ち向かうエコロジー社会主義

3↓企画はコロナ対策のため、中止とさせていただきます。
ご理解のほどよろしくお願いします。



アジア連帯講座:4.17公開講座


入門:気候危機に立ち向かうエコロジー社会主義


 講師:寺本勉さん(ATTAC関西グループ事務局員)

4月17日(金)、文京区民センター3D/午後6時半

アジア連帯講座 東京都渋谷区初台1-50-4-103
新時代社気付

TEL:03-3372-
9401 FAX:03-3372-9402

アジア連帯講座ブログ:「虹とモンスーン」 http://monsoon.doorblog.jp/ 


 世界中で「異常気象の日常化」ともいうべき現象を激発させています。

 日本では、昨年は冬の厳しい寒波に始まり、夏には記録的な猛暑・豪雨、そして巨大台風の上陸と立て続けに異常気象に見舞われました。この背景には、地球温暖化に伴う気温の上昇、日本周辺での海水温上昇による水蒸気量の増加があることは明らかです。

 世界的に見ても、北半球が記録的な高温となり、北極圏でも30℃を超えるかつてない高温を記録しました。各国で高温・乾燥による山火事も多発しています。

 こうした地球温暖化による諸現象に対してヨーロッパなどでは、高校生らを中心にした「未来のための金曜日」運動が展開されています。この運動に参加しているスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんは、「気候危機は危機として扱わなければならない!今のまま気候変動が進めば、まともな未来なんてないかもしれない」と訴え、毎週金曜日に学校を休み、スウェーデン国会前で、政治家がもっと気候変動を食い止める政策を実行するように求めています。

 COP25(国連気候変動枠組条約締約国会議/スペイン・マドリード/2019.12)では「国別の温室効果ガス削減目標を引き上げる機運の醸成」と「市場メカニズムによる排出量取引のルール作り(パリ協定第六条の具体化)」を獲得目標にしていました。

 すでにCOP24を前に公表されたIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)特別報告書は、パリ協定で目標とされた1.5℃の気温上昇にとどめるには、世界のCO2排出量を2020年までに45%削減(2010年比)し、2050年ごろまでに実質ゼロにする必要があると強調していました。

 だがCOP25は、国別削減目標の大幅な引き上げを明確に義務化することはできませんでした。「各国の事情に応じて」とか「可能な限り」とかの表現を用いて、削減目標の引き上げを事実上回避できる内容です。

 日本の小泉環境相は、COP25で脱石炭や削減目標引き上げを表明できず、環境NGOから「化石賞」を受賞するほどです。そもそも日本政府は、「第五次エネルギー基本計画」(2018年7月)で2030年における電源構成の中での原発の比率を20年22%、化石燃料の比率を56%にするという目標を掲げ、脱化石燃料にも、脱原発にも真剣にとりくむつもりがないことを明らかにしています。

 その現れとして安倍政権は、東京五輪と「復興」をリンクさせ、福島第一原発事故などなかったかのようにキャンペーンを繰り返しています。さらに東京電力による原発事故被災者への補償と生活保障、除染・廃炉労働者の賃金・権利・労働条件・労災補償などの後退を無責任に容認している始末です。原発マフィアと一体となって原発再稼働へと加速化させています。地球温暖化阻止とともに脱原発運動を拡大させていかなければなりません。

 寺本さんは、「異常気象の日常化」が地球温暖化による気候変動の一部であり、まさに地球のエコシステム(生態系)自体に亀裂が生じている結果と強調しています。気候変動を食い止め、クライメート・ジャスティス(気候正義)を実現する運動作りを訴えています。また、運動のスローガンである「システム・チェンジ」を現実の目標としていくためにエコ社会主義(社会主義とエコロジーを結合させた新たな社会の展望)という考え方を提起し、運動の中において脱石炭・脱原発・気候危機との闘いと反緊縮運動とを結びつけていくことが重要だと提起しています。

 講座は、地球温暖化STOP、クライメート・ジャスティス運動に向けた入門編として設定しました。ぜひご参加ください。

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報告 : 東電福島・放射能汚染の拡大と”オリンピック” 1.25 小出裕章講演会

DSC_0972 一月二五日午後一時半から、東京・江戸川区総合文化センターで「東電福島・放射能汚染の拡大と”オリンピック”小出裕章講演会」が主催:NPO法人ふくしま支援・人と文化ネットワーク、協賛:「さようなら原発江戸川連絡会・一千万人署名江東実行委員会」・「脱原発下町ネットワーク」で開催され、二〇〇人が参加した。

 神田かおりさん(講談師)が主催あいさつをしたあと、小出さんが講演した。

 安倍首相が二〇一三年九月八日に、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会総会で、福島の状況を「アンダーコントロール」と言ったが、当時からコントロールなど出来ていない状況を、データーを示しながら詳しく報告した。講演の要点を報告する。(M)

嘘つきの安倍さんが誘致した東京オリンピック

 当時、敷地は放射能の沼のような状態になっていた。二〇一四年一〇月一三日に採取した海側の井戸の水は環境への放出基準の千倍を超えるほど猛烈に汚染されていた。敷地内での苦闘は今も続いている。熔け落ちた炉心が今どこにどんな状態であるかすら分からない。ひたすら注水してきたが、放射能汚染水が溢れている。

 山側から出てくる地下水は原子炉建屋内に入り、放射能で汚染している。これを遮断しなければならないが出来ていない。放射能汚染水は、タンク貯蔵容量一二八万トンに対して、一一九万トンが溜まっている。あらゆる放射能を取り除いてもトリチウムだけは取り出せない。処理水を海に流そうとしている。どうにもならない状態だ。何も手をうつことができないまま、オリンピックを誘致した。九年経った今も事故現場に行けない。行けば人は死んでしまう。それでロボットを作ったが、ICチップが放射能で壊れてしまう。果てしない放射能の封じ込め作業と毎日五〇〇〇人の被曝労働が行われている。百年経っても収束しないだろう。

 国と東電は熔け落ちた炉心をつかみ出し三〇年~四〇年で事故を収束させるためのロードマップを作った。しかし、熔け落ちた炉心は、ペデスタルから外部に出ており、つかみ出すことはできないことが分かり、ロードマップを書き換え先送りすることにした。例え、取り出すことが出来ても放射能は消えず、一〇万年から百万年の管理が求められる。

 フクシマ事故で放出された放射能は広島原爆の一六八個分で大地を汚染した。福島県の東半分を中心にして、宮城県と茨城県の南部・北部、さらに、栃木県、群馬県の北半分、千葉県の北部、岩手県、新潟県、埼玉県と東京都の一部地域など、面積で言うと約一万四〇〇〇k㎡の大地が、放射線管理区域(4万Bq/㎡を超える区域)にしなければならない汚染を受けた。

 「除染」はできない。「除染」とは汚染を除くという意味。汚染の正体は「放射能」。人間には「放射能」を消す力はない。言葉の本来の意味で言えば、「除染はできない」。やっていることは汚染を別の場所に移動させる「移染」。容赦なく溜まり続けるフレコンバッグは二〇〇〇万袋を超えている。

 事故当時、政府は「原子力緊急事態宣言」を発令し、六〇万Bq/㎡以上の汚染地から住民を強制避難させたが、それ以下の汚染地では人々を棄てた。
 
原子力マフィアは犯罪集団

 日本では、これまで五七基の原子力発電所が建てられた。そのすべては自民党政権が「安全性を確認した」として建てられた。そして、電力会社、原子力産業、ゼネコンをはじめとする土建集団、学会、裁判所、マスコミ、すべてがグルになって原子力を進めてきた。もちろん、福島第一原子力発電所も「安全性を確認した」として建てられたが、事故を起こした。

 原子力マフィアには重大な責任があるが、誰一人として責任を取っていないし、取ろうとする人もいない。日本が「法治国家」だというのであれば、彼らを犯罪者として徹底的に処罰する必要がある。

些末なことと大切なこと

 「原子力緊急事態宣言」は八年一〇カ月以上たった今も解除されていない。しかし、原子力マフィアはそれを忘れさせようと画策している。その時に彼らが取る手段は、別のことに国民の目を誘導することである。

 今、日本国中がオリンピックに向かい、それに反対すると非国民であるかのように言われる。しかし、今なすべきことは福島第一原子力発電所事故の収束と被害者の救済である。それをなさない国であれば、私は喜んで非国民になろうと思う。

(講演要旨、文責編集部)

 
 質疑応答での小出さんの発言の一部を紹介する。

 質問 食物への放射能の影響は? どうすればいいのか?

 答え 生態系が放射能で汚されている。農作物が汚染していないはずがない。程度の問題だ。福島県沖の海域も汚れている。食物は一㎏、一〇〇Bqに達しないものとして野放しになっている。事故前は〇・一Bqしか汚れていなかった。すべての食べ物について、放射能について表示すべきだ。汚染はどうしようない。大人は責任があり、福島の農家などを守る意味もこめて、食べて下さいと言う。ただし、子どもだけは極力守るために食べない方がいい。

 質問 事故の福島原発をどうしたらいいのか

 答え 放射能は消すことはできないし無毒化できない。今までいろんな案が出された。隔離する。そのために、ロケットで宇宙に送る、深海に沈める、南極に捨てる、陸地で深い穴に埋めるなど。しかし、どの案も一〇万年から百万年安全に管理することなどできない。私もどうしたらいいか分からない。ただ、原子力をただちに止める。そして、監視できる方法で保管するしかない。

【第四インター声明】われわれの未来を取りもどせ、気候変動ではなくシステムの変革を

_20191005_231405(アフガニスタンでの金曜気候ストライキ運動 9月20日)

声明

われわれの未来を取りもどせ、気候変動ではなくシステムの変革を

2019年9月26日 第四インターナショナル執行ビューロー

 九月二〇日の金曜日に始まった動員の一週間は、歴史的な規模を持つものだった。すでに一五六カ国で四〇〇万人がデモに参加し、五〇〇〇以上のイベントが行われている。数十万人の若者たちが何か月にもわたって学校や大学の外に出て、気候ストライキを行っていたが、今週はさらに大規模なものとなった。それは多くの場合、グレタ・トゥンベリの呼びかけに応えたものだった。現に進行中の気候破局を回避しようとする新しい世代が、地球上のすべての大陸で広がっている。

 二〇一九年七月は、これまでの記録の中で最も暑い七月だった。何ものにも代えがたい何十万ヘクタールものアマゾン流域の森林が灰燼に帰し、かつてなかった森林火災がグリーンランド、シベリア、アラスカで猛威をふるった。ハリケーン「ドリアン」がバハマを、台風ファクサイ(日本での呼称は台風15号)が日本を襲い、スペイン南部では滝のような豪雨が降り注いだ……。このリストはさらに長く続き、この一世紀半をかけた平均気温の一・五℃上昇の劇的な影響を示すものとなっている。

 摂氏二度は、安全のリミットだなどとは全く言えない。最大限でも一・五℃以下にとどめることがパリ協定で示されている。それは気候問題での大衆運動と、最初に海面水位上昇に脅かされる諸国からの圧力によるものだった。しかし二〇一五年以後、温暖化ガスの排出は増え続け、摂氏七度上昇にも達するという予測も出されている。

 今週、ニューヨークで国連気候行動サミットが開催されている。すでに四年前になされた極めて不適切な約束にも達していないにもかかわらず、国連事務総長は、これら諸国に「二〇五〇年までの炭素ガス排出ゼロを達成する計画」「化石燃料に代わるエネルギー源をどうするか」、「炭素税」、「二〇二〇年以後、新しい石炭火力発電所を稼働させない方法」を問うている。われわれは、この何度目か分からないサミットからは何ものも生まれないこと、資本主義は気候犯罪を続けるだろうことを、すでに知っている。

 気候を変動させないためには、システムを変えなければならない。われわれの希望は、変わったことの中にある。それは若者たちが主導するグローバルな結集である。われわれは労働者運動、女性運動、LGBTQ運動、略奪的資本主義によって直接虐殺された先住民族、グローバルな反レイシスト・反ホモフォビア(同性愛忌避に対する闘い)運動に、すべての人が生きることのできる惑星をめざす、この根本的な闘いに結集することを呼びかける。

 ストライキや気候行進が九月二七日、二八日の週末に、再度行われる。この行動を強化し、社会的公正と気候正義をめざす国際的で大規模のラディカルな運動を共に作り出そう。

報告:9.20 グローバル気候マーチ 私たちの未来を奪うな

配信:気候マーチ 9月23日から始まる国連気候行動サミットを前に、9月20日、全世界で地球温暖化を止める「グローバル気候マーチ」の取り組みが行われた。スウェーデンの高校生グレタさんが「地球温暖化」の危機を訴えて開始したこの行動は、全世界に波及した。今年も全世界で約400万人が参加する、文字通り「グローバル環境アクション」となった。「グローバル・ストライキ」というスローガンは、文字通り環境危機に対する直接行動を示すものだ。

 日本でも26都市で5000人が参加したと報じられている。

 この日の夕方、東京・渋谷の国連大学前には約2800人が集まり、温暖化の危機を止める意思を明らかにした。高校生など若い人たちの姿が目立ち、外国人の参加者が半数近い、フレッシュでジェンダーバランスの取れたユニークな行動となった。

 全労協系の各労組も、宣伝カーの手配などで協力していた。若者たち、女性た
ちの発言と、行動への参加は、新しい社会的・政治的アクションへの可能性をはっきりと示すものとなっている。

 日本では諸外国に比べて地球温暖化への関心が低いと報じられている。確かにそうだろう。しかし、この日の行動を契機に、温暖化STOP!の意識が広がることを期待したい。 

(K)

報告 : 3.11を反原発と責任追及の日に!デモ

配信:反天3.11 3月11日、日比谷図書館文化館で「今こそ被害者・労働者と連帯し、加害者責任の追及、原発廃止を!3・11を反原発と責任追及の日に!」(3・11行動実行委)が行われた。

 福島第一原発事故から8年目を迎える3月11日、安倍政権は国立劇場で秋篠宮が出席して、「東日本大震災八周年追悼式」を行う。地震が発生した午後2時46分に一斉黙祷を強要し、官公庁、学校、企業など「弔旗掲揚、一斉黙祷」の指示を出している。このプロセスを通して天皇制民衆統合の強化とともに、原発事故を引き起こした国家責任・原発企業責任を後景化させ、被害者も加害者もともに「日本国家の再興」「経済復興」「原発推進」へとからめとるものだ。実行委は、「皇族出席の追悼式典」・一斉黙祷反対を掲げて集会とデモを行った。

 集会は基調報告から始まった。とりわけ「皇族出席の追悼式典」に対して「天皇明仁と安倍極右政権が共同してつくった『天皇退位のための皇室典範特例法』の最大の目的が、天皇の『象徴としての務め』を法的に謳いあげ天皇と国家のもとに人民の『統合』、つまり人心の収らん、階級対立の融和を図ることにあります。今回の『皇族出席の追悼式典』もまさにその目的がある。『上皇・天皇・皇嗣皇太子』体制のもとで、今後の日本の原子力政策と電力・独占資本を支える『国民』をつくるための天皇制への統合(奴隷状態)を強めるものです」と暴き出し、批判した。

 藤田康元さん(戦時下の現在を考える講座)は、「原発・国体・不安定労働~茨城の現場から~」をテーマに講演。

 冒頭、藤田さんは、「原発震災の始まりからまる八年。東電原発事故は収束していない。東京電力福島第一原子力発電からの新たな放射性物質の放出は続いている。汚染水は敷地内で増え続けていると同時に、敷地外の外洋への流出も続いている」と指摘した。

 そのうえで「廃炉計画が順調に進んでいない。私見では、燃料デブリを取り出して、原子炉を解体して、という廃炉作業を進めることが必要なのか、そもそも疑問だ。事故原因の究明と汚染水問題の解決(軽減)と被ばく労働の最小化を同時に追求する必要があるのではないか。あらゆるデータの公開と敷地内調査を受け入れるべきである」と問題提起した。

 さらに放射能汚染の実態を取り上げ、「政府や研究機関は、福島県の超高汚染地に関しては比較的詳しい調査を行ったが、他地域の調査は全く手薄だ。特に、福島県(会津地方を除く)以外のまともな土壌放射能汚染調査を実施していない」ことを批判し、市民による自主的な土壌汚染調査の取り組み(「みんなのデータサイト)を紹介した。

 今後の方向性として①東海第二原発再稼動阻止運動 ②茨城国体(今年九月)反対運動 ③5月1日、新天皇即位を祝わない「反奉祝メーデー」の取り組みについて報告した。

 連帯発言が「終わりにしよう天皇制!『代替わり』反対ネットワーク」、「オリンピック災害」おことわり連絡会などから行われた。

 日比谷公園霞門からデモに移り、「追悼式典」反対と天皇制解体に向けたシュプレヒコールを千代田区一帯にわたって響かせた。デモの途中、東京電力本店前で抗議の申し入れ行動も行った。

(Y)



報告 : 報告:2019原発のない福島を!3.16県民大集会

配信:3.16福島3月16日、福島県教育会館で「2019原発のない福島を!県民大集会」(主催:実行委)が行われ、1700人が参加した。

 2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故の翌年から開催してきた県民大集会は今回で8回目となる。

今回も集会は「私たちは訴えます」を掲げ、

「◦東
電福島第二原発を廃炉とし、福島県では原子力発電は将来にわたり行わず、福島県を再生可能エネルギーの研究・開発及び自立的な実施拠点とすること。

◦放射能
によって奪われた福島県の安全・安心を回復し、県民の健康、とりわけ子どもたちの健やかな成長を長期にわたって保障すること。

◦原発事故に伴う被害への賠償、
及び被災者の生活再建支援を、国と東京電力の責任において完全に実施すること」をアピールしている。

 集会は角田政志実行委員長のあいさつから始まった。

 「昨年6月、東京電力は福島第二原発について、『廃炉の方向で検討する』と表明した。まだ正式決定にまでは至っていないものの。もはや後戻りのできない段階に踏み込んだものと言える。集会の第1目標である原発全基廃炉はおおむね達成されたが、3つの指標のすべてが実現したわけではない。関連死者数は、昨年九月末現在で2267人にのぼり、依然として増え続けている。ふるさとを奪われ、避難
している人は今年2月現在、県内外に約4万2000人もいる。第一原発は使用済み核燃料の取り出しすらスムーズに進んでおらず、溜まる一方の汚染水はトリチウム以外の放射性核種の存在が指摘され、海への放出の方針に強い不信感と批判が巻き起こっている。裁判所における東電幹部の責任追及、および損害賠償をめぐる紛争解決も途上の段階だ」。

 さらに「原発事故から8年が経過し、全国的に記憶と意識の風化が進んでいる。今回の集会は、これまでの活動の歴史的な意義を振り返るとともに、県民がこれからも立ち向かっていかねばならない諸課題を確認し、その解決に向けた道筋についてともに考える集会と位置付けて開催した。立場や意見の違いを乗り越え、一致する点で協同するというこの県民集会の基本的精神を堅持しながら、新たな段階にまた一歩踏み出していきましょう」と訴えた。

 特別ゲストの香山リカさん(さようなら原発1000万人署名・市民の会賛同人/精神科医)は、「福島から東京にお子さんとともに避難生活をしている母親たちの心の悩みを聞く機会がある。原発事故によって家族の中で見解が異なり、家族同士で分断され、その苦しみを引きずっている人たちの話も聞く機会がある。それにもかかわらず大震災、原発事故から八年が経過したということで政府は原発事故を終ったこと、あるいはなかったことにしているようにみえる。意図的に、実態とは違うのに、すんだことだという雰囲気作りをしているようだ。その一例として、この一月に放射能の被害を過小評価した東大名誉教授の論文に不正があったことが明らかになっている。福島第一原発事故収束したとはとても言えない状況だ」と発言。

 とりわけ「復興にむけた取り組みの中で、『あなたたちがあまり騒ぎすると福島の人は迷惑なんじゃないか。福島の人も、もうそっとしておいてほしいんじゃないか』とよく言われる。福島の実情をよく知らないと言い返せないことになる。だからこそ今日の集会のように福島第一原発事故、被災者の復興、第二原発の廃炉などを語り続けていくことが重要だ」と強調した。

 集会呼びかけ人の大原尚子さん(県女性団体連絡協議会会長)、小渕真理さん(アウシュヴィッツ平和博物館館長)、清水修二さん(福島大学特任教授)、藤野美都子さん(福島県立医科大学教授)、武藤類子さん(ハイロアクション福島)、吉川毅一さん(福島県生活協同組合連合会会長)、後援団体が紹介された。

 「県民の訴え」では、浪江町避難者、双葉郡の教育関係者、第二〇代高校生平
和大使、福島県生活協同組合連合会から福島第一原発事故後の「怒り、悲しみ、苦しみを耐えてきた」ことなどを語った。

 最後に「集会アピール」が提起され、参加者全体で採択した。

(Y)




報告: 3.21さようなら原発 全国集会

L1030434 三月二一日、東京・代々木公園野外音楽堂で「3・21さようなら原発 全国集会」が主催:「さようなら原発」一千万署名 市民の会、協力:戦争させない・9 条壊すな!総がかり行動実行委員会で開かれ、全国から一万人が集まった。雨にはならなかったが春の嵐で土ほこりが舞い上がるというあいにくのコンディションだった。

 そんな中、歌手の李政美さんがさようなら原発ライブを行った。透き通るような歌声で韓国の軍事独裁下で歌われた抵抗歌「朝露」などを披露した。

 鎌田慧さん(ルポライター・呼びかけ人)が「原発をつぶす、廃炉にする、原発のない社会を作る」と決意を述べ、安倍政権による大間原発などを建設していることを批判し、「東海第2原発の再稼働を許さない」と主催者あいさつを行った。

 フクシマから人見やよいさん(福島原発告訴団・フリーライター) と熊本美彌子さん(避難の協同センター世話人)が発言した。

 人見さんは「福島原発事故は何一つ解決していない。放射能物質が出ているのに帰還が進められている。そして、モニタリングポスト三〇〇〇台のうち、二四〇〇台を撤去するとしている。汚染水は海洋へ流そうとしているし、汚染土・焼却灰を全国で使おうとしている。何でこんなことが起きているのか。それは事故の責任を誰も取っていないからだ。東電の刑事裁判で九月有罪判決を勝ちとろう」と話した。

 熊本さんは「政府は放射線の数値をいじり、旧来の規制値から高くしても避難などするなという方針だ。自主避難者に対して、住宅支援を打ち切り、出て行かざるをえなくさせている。避難者で元の住宅に戻っているのは二〇%しかいない。原発のない新しい世の中にしていきたい」と語った。

 阿部功志さん(東海村村議会議員)が東海第2原発再稼働について発言した。

 「四〇年過ぎた東海第2原発をさらに二〇年稼働させる計画を原子力規制委員会が認めた。日本原電は毎年一七億円の純利益を上げているが、再稼働に向けた工事に三〇〇〇億円、廃炉費用に一八四〇億円かかる。この費用をどうねん出するのか。東電と東北電力がカネを出す。東電は被災者支援を打ち切る一方で一九〇〇億円出す。新しい制度が作られ、一kwに対して一万円を補助する。東海原発は一一〇万kwなので毎年何をしなくても一一〇億円が入ることになる。結局電気料金の上乗せによるものだ」と明らかにし、さらに「周辺三〇キロ圏内に九六万人も住んでいる。避難は不可能だ」と避難計画もずさんだと批判した。

 山崎誠さん(立憲民主、衆院議員)が昨年提出された原発ゼロ法案が自公の審議拒否によって棚ざらしになっていることを報告し、「原発は終わっている。きちんとケジメをつける必要がある」と話した。高校生平和大使の高校生たちが「戦争、原発、原爆はたくさんの命を奪うものであり、傷が深く残る。死ななくてもよい命を奪ってはならない」と訴えた。

 外間三枝子さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)は「さよなら、ニッポンと言いたい。ジュゴンを翁長知事を殺した。なんでこんなひどい目に沖縄は合わなければならないのか」と問い、三月二五日から新たな区画に土砂投入を予定している政府を批判し、首都圏での行動への参加を訴えた。

 福山真劫さん(戦争させない・9条壊すな総がかり行動実行委員会)「5・3憲法集会への参加、辺野古新基地絶対阻止、東アジアに平和を」と訴えた。全港湾など労組と市民団体の若者によって組織されたフクシマ連帯キャラバンが、いわきから新潟柏崎原発、省庁要請行動を行ったことを元気よく報告した。落合恵子さん(作家・呼びかけ人)も発言した。

 平和フォーラムの藤本さんが閉会あいさつを行い、集会アピールが採択された。原宿コース・渋谷コースに分かれてデモを行い、「さよなら、原発」と訴えた。

(M)


【ヨーロッパ】高校生を中心に気候ストライキ運動が広がる

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子どもたちが気候のためにストライキ!

ダニエル・タヌロ

若者の危機感は大げさではない

 今年に入り特に欧州各国で、気候変動への真剣な行動を求める高校生のデモが続いている。気候変動がもたらす破壊的結果に対する危機感が若者の間に高まっていることが示されている。この状況を前に、ベルギーのタヌロ同志が、環境の課題と社会的課題を一体として闘うことの不可欠さと緊急性を、あらためて呼びかけている。内容からは、特に立ち上がった若者への訴えを意識していることがうかがえる。(「かけはし」編集部)

 世界中で、多くの若者たちが自然発生的に、気候のための出発を始めようとしている。一月一七日ブリュッセルでは、一五歳のスウェーデンの高校生、グレタ・トゥンベリによりCOP24に合わせて行われた格調高いアピールに応えて、一万二〇〇〇人以上の人々がストライキとデモを行った。彼らは一週間後三万五〇〇〇人以上になり、運動は継続している。 「わたしたちの世界が明日破壊されるのであれば、学校に行く利点とは何なのか?」、先の若者たちはこう問いかけている。それは常識そのものだ! これらの若者たちは誇張しているわけではない。情勢は実際深刻だ。平均気温は一八〇〇年以後で一度Cしか上昇していない。しかし結果はすでに懸念を呼んでいる。つまり、熱波、寒波、より厳しい干ばつ、溶けつつある氷河と氷冠、より暴力的になったサイクロン、巨大な山火事……と。

 上昇が二度Cで、影響は破局的になるだろう。われわれはその点から、地球温暖化の雪だるま効果(坂を転がる雪玉が自動的にひたすら大きくなることにたとえられた加速的昂進の作用:訳者)を経験する危険を犯す。地球は、「乾燥した衛星」になるだろう、そして気温は、極めて急速に四度Cも上昇する可能性があるだろう。全地域が居住不可能になると思われ、何億人もの人びとが気候難民になるだろう。そして生物多様性は崩壊し、海面はやがては三メートルから四メートル上昇するだろう。それはもはや惨害というようなものではなく、激変となるだろう!

 パリのCOP21で決定された地球温暖化の閾値、一・五度Cを確実に超えないようにするために、あらゆることが行われなければならない。それが不可避の結論だ。しかし諸政府は、これを行おうとはしていない。諸政府の「気候計画」を基礎とした場合として、専門家たちは、二・七度Cから三・七度Cの温暖化を予想している……。それは最低の場合だ。ドナルド・トランプやブラジルのファシスト、ボルソナロのように、ますます多くの指導者が真実否認に引きつけられているからだ!

 欧州では、ベルギー政府がもっとも偽善的な政府の一つだ。実際この政府は昨年一二月二日、気候に関する七万五〇〇〇人のデモ行進に祝意を表したが、翌日になると、EUの気候に関する二つの指令を支持することを拒絶したのだ。これらの偽善者はまさに恥知らずだ! しかし人々は、まがいものの約束と開き直りにうんざりしている。一月二七日のブリュッセルには、もっと多くのデモ参加者がいた。

暮らしと地球を資本が破壊


 科学者たちは二五年以上警報を鳴らし続けてきた。排出はなぜ増え続けているのか? 諸政府はなぜ(ほとんど)何もしないのか? 彼らが資本主義に奉仕しているからであり、資本主義のただ一つの目的が利潤であるからであり、利潤は成長を必要とし、この成長は歴史的に化石燃料エネルギー(石油、石炭、天然ガス)に基づいているからだ。

 再生可能エネルギーはどうか? それらも環境のためではなく、利潤のために生産されている。われわれがより少なく生産し、より多くを分かち合うならば、人間の真の必要を満たす上では、それで十分となるだろう。

 しかし多国籍企業は彼らが確保している埋蔵化石燃料と設備の放棄を拒否し、銀行はそれらの埋蔵と設備に投資された彼らの資本の放棄を拒絶している。そしてあらゆる部門の経営者が心中に抱える考えは一つしかない。つまり、むしろもっと多くを生産し、彼らの競争相手よりも多くの利潤を上げる目的で、さらに多くの労働者と自然を搾取する、ということだ。

 われわれは、あらゆること、われわれの仕事、賃金、社会保障、公共サービス、生活水準にとっては成長が条件だ、と告げられている。こうしてわれわれの暮らしは、われわれの搾取と自然の搾取次第になっている。現実には、この生産力主義のシステムがわれわれの暮らしと自然両者を破壊しているのだ。

われわれは今、奈落の縁にいる


 今日われわれは、崩壊の瀬戸際にある。地球温暖化一・五度Cを超えない可能性が半々になるためには、世界全体のCO2純排出が、二〇二〇年から二〇三〇年の間で五八%減らなければならない。それらはその後、二〇五〇年までにゼロにならなければならない。そしてその後、地球がCO2を排出以上に確実に吸収するようにすることが必要になるだろう。

 そうでなければ、用済みに成り果てた地球に自らを任せるか、大気中から炭素を人工的に取り除く技術(「マイナス排出テクノロジー」)の利用、あるいは太陽放射の一部を宇宙空間へ戻す技術(「ジオエンジニアリング」)の利用か、が必要になるだろう。

 しかし警告がある。つまり、こうした魔法使いの弟子的技術が機能する保証はまったくないのだ。それは、地球の上での、そこに住む生き物を使った、直接の実物大規模の実験を経ることが必須となるだろう……。

 いわば死を招く危険を前に、自己保存本能は一〇〇〇倍も正統化される。高校生にはそれゆえに、ストライキに打って出る権利が一〇〇〇倍もあるのだ。ぼうっと傍観しないようにしよう。それがどこから来ようが、親トランプ右翼や権益回復のもくろみからの攻撃に立ち向かい彼らを支援しよう。そして彼らの模範に続こう!

社会と環境の闘争一体化を


 地球温暖化の主な犠牲者は、諸政権や雇用主から変わることなく攻撃を受けている者たち、つまり労働者、小農民、子どもたち、女性、年金生活者、病人……そして移民だ!

 金持ち連中は自らに、それが億万長者のために用意された人工島上での暮らしを意味しているとしても、自分たちはいつであれ何とかやっていけるだろう、と言い聞かせている。彼らの特権を救い出し、われわれの社会と民主的達成成果を破壊するために、彼らはますます、レイシストであり、性差別主義者であり、気候変動否定派である極右に引きつけられている。したがって、社会的課題と環境の課題が同じ民主的な大闘争の両面だということは明確だ。

 この戦闘は始まったばかりにすぎない。そこには労働の世界が現れなければならない。黄色のベストから若者まで、今こそ闘争と要求を結集する時だ。今日われわれの子どもたちは、この地球上に彼らが存在する権利を、また彼らの子どもたちが存在する権利を守るために、ストライキを行い、そして街頭にいる。われわれ大人はどうなのか? われわれは何をするのか? われわれは彼らを支援しなければならない。それはわれわれの義務であり責任だ。

 あらゆる手段で決起しよう。われわれもストライキに決起しよう。自宅にとどまるストライキではなく、能動的なストライキに、それこそ、あらゆる不公正、あらゆる破壊、社会的なまた環境上双方の現在の窮状に終止符を打つ方法、それらを徹底的に討論するためのストライキに、だ。

エコ社会主義の緊急計画を


気候の惨害を回避することはまだ可能だろうか? 必要な努力は巨大だ。それは、民主主義と公正の中で社会的課題と環境上の課題を組み合わせることで、はじめて成功できる。一つのエコ社会主義的移行が基本だ。これは緊急計画を必要とする。以下に一〇項目の提案を示したい。

1.不必要かつ危険な製造品(武器を始めに)、および不必要な商品輸送の廃止、製品品質を最高度に高め、計画的な陳腐化と闘うこと。

2.あらゆる建物を断熱化し刷新する(住民の超過費用負担ゼロで)公的企業の創出。

3.自家用車の使用を思いとどまらせる公共交通に対する大規模な投資。航空移動を合理的に見直すこと。

4.化石燃料を地中にとどめること。再生可能エネルギーを一〇〇%基礎にする(核エネルギーのない!)経済への急速な移行を組織するために、エネルギーと金融部門を収用し社会化すること。

5.富の再配分、課税における平等性、および世界化された所得に関する課税の累進性の回復。公的部門、教育、医療・介護への資金再充当。

6.クライメートジャスティスの尊重。全員のための持続可能な発展に必要な技術と財源の、南への移転。

7.アグリビジネスの放棄。可能な限り多くの炭素を土中に隔離するために必要なことを行う、環境調和的な農業の推進。

8.賃金を下げることなく、全員の間で必要な仕事を分かち合うこと。廃止されるべき部門の労働者を、新たな活動に転換すること(所得の維持と社会的成果と一体的に)。

9.市場からの取り出し。つまり、無料の教育、交通、医療だ。基本的必要に対応する水と電力の無料消費。この水準を超える消費に対しては急激な累進的価格設定。

10.「思いやり」、透明性かつ説明責任の文化の発展。民衆とエコシステムに対するケア活動の強化と社会化。全員に対する投票権容認。被選出代表に対するリコールを含む、市民と民衆の統制と主導性に関わる諸権利の容認。


 これはユートピアだろうか? 一九四〇年から同四四年まで、米政府は緊急計画を実施した。軍事生産はGDPの四%から四〇%まで上昇するにいたった。そしてあらゆる種類の制約が課された。ナチスを打ち破り、米国の多国籍企業の世界的優位性を確保するために行われたことは、社会的公正に基づき気候を救い出すためにも行うことが可能だ。それは政治的意志の問題だ。それを迫ることはわれわれにかかっている。

▼筆者は実績を積んだ農学者かつエコ社会主義の活動家であり、「ラ・ゴーシュ」(第四インターナショナルベルギー支部、LCR/SAPの月刊機関誌)記者。(「インターナショナルビューポイント」二〇一九年二月号)  


報告 : いのちをつなぎ くらしを守れ フクシマと共に 9.17さようなら原発全国集会

IMG_2705 九月一七日一二時半から、東京・代々木公園B地区野外ステージで「いのちをつなぎ くらしを守れ フクシマと共に 9・17さようなら原発全国集会」が主催:「さようなら原発」一千万署名市民の会、協力:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会で開かれ、八〇〇〇人が参加した。

 木内みどりさんの司会で集会は始められた。最初の一時間はゼロノミックスと
うじきつよしのコンサートが行われた。鎌田慧さん(ルポライター)と澤地久枝さん(作家)が主催者あいさつを行った。

 鎌田さんは「原発いやの声は広がっている。原発推進派はカネもうけのために再稼働している。これを許さないためには政権を代えるしかない。東海原発再稼働するかどうかが問題になっている。青森県の下北・大間原発、再処理場は核センターとしてやられている。原発は絶対に認められない」とあいさつした。澤地さんは「自民党の総裁選では足をひっぱったり、おどしをかけている。こんなひどい政治があるか。フクシマを切り捨てているばかりか、原発を輸出しようとしている。私たちは原発稼働を許さない。被害者といっしょになって闘う。沖縄で
も勝ちましょう。NO!原発」と発言した。

 フクシマから、村田弘さん(福島原発訴訟かながわ原告団)と佐藤和良さん
(福島原発刑事裁判支援団)が報告した。

 村田さんは「原発関連自殺者が今年でも三人、通算一〇二人にのぼる。事故はおわっていないのだ。三週間前、内堀福島県知事は帰還困難区域の避難者への住宅提供を再来年の三月で打ち切ると発表した。二万数千人の住宅が奪われる。家がなかったらどう生きていけというのか。二〇二〇年のオリンピックで、もう福島は終わったと言いたいのだろう。三〇近い集団訴訟で、七つの判決が出て、その内の四つの裁判で東電と政府の責任を認めた。静かに怒るのではなく、赤鬼になっても立ち上がる。むしろ旗、座り込み、署名などあらゆる行動を起こす」と語った。

 佐藤さんは「二五回の公判の中で、東電の津波は想定外であり、法的責任はな
いという主張がいかにでたらめか分かってきた。二〇〇六年に耐震審査があり、二〇〇七年、吉田所長が部として計画を立てて地震対策をするとなった。二〇〇八年六月の東電の常務会で決めたにもかかわらず、七月三一日にそれを中止した。それは津波対策に四年と数百億円の費用がかかること、当時、新潟地震の影響で柏崎原発が停まっていたことがあり、福島原発が停まったら経営が成り立たないと、経営を優先させたからだ。九月五日に、この内容の証拠が採用された。これでほぼ有罪が決まった。一〇万余人が避難している民事裁判にも大きな影響が出るだろう。一〇月に被告人尋問が行われ、年内に論告求刑、来年には一審判決が予想される。裁判の支援を」と訴えた。

 東海第二原発再稼働について、大石光伸さん(東海第二原発訴訟原告団)が
「一一月末に、四〇年ルールを骨抜きにし、二〇年の延長を決め再稼働を目論んでいる。東海原発は首都圏の人口三〇〇〇万から五〇〇〇万人から一一〇キロの地点にある。東海原発を運営する日本原電は国策民営会社だが、資産の一四一億円の内、八〇億円を差し押さえられている。そのため、再稼働に必要な一七四〇億円を東電が肩代わりするとしている。こんなことを許してはいけない」と発言した。

 原発ゼロ法案について、吉原毅さん(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟)が
「原発はコンクリートで出来ているので、普通の民間戸建て住宅よりも地震に弱いことを示し、原発を止めよう」と話した。

与儀睦美さん(辺野古の海を土砂で
埋めるな!首都圏連絡会)が首都圏における集会などの取り組みの報告をし、知事選で玉城デ二―さんの勝利に向けて支援を訴えた。

福山真劫さん(戦争させな
い・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)が、①憲法改悪の発議を阻止すること②沖縄県知事選勝利で、辺野古新基地建設を阻止すること③東アジアで、非核・平和の確立を、と訴えた。

 最後に落合恵子さん(作家)が安倍政治を批判し、原発、沖縄そして自衛隊と問題点をあげ、命以外に大事なものはない、政権に命と人生を左右させない」と閉会のあいさつをした。その後、渋谷コースと原宿コースに分かれてデモ行進を行った。

(M)


報告:2018原発のない福島を!3.17県民大集会

配信:福島 3月17日、福島県楢葉町天神岬スポーツ公園で「2018原発のない福島を!県民大集会」(主催:実行委)が行われ、3300人が参加した。

 角田政志実行委員長が主催者あいさつを行った。

 「原発事故から八度目の春を迎えた。被災地の復興が進んでいるとはいえ、住民の帰還には多くの課題がある。亡くなられた方々のご冥福をお祈りしたい。今年は被災地の楢葉町を会場に準備を進めてきた。被災地で集会を行うことについては、『第一原発事故の収束にいたっていない中で大規模集会をやるべきではない』『被災地に多くの人を集めることは福島は安全だという国の復興政策と同じにみえる』など様々な意見がなげかけられた。昨年は多くの地域で避難指示が解除された。しかし、住民帰還に関しては、一人一人様々な思いがあり、選択が迫られ、新たな課題が生まれ、人々の分断も生まれている。これが福島の現状であり、実態だ。どの意見がよい、悪いということではなく、この事実をしっかりと押さえておかなければならない」。

 「被災地で県民集会を行うことの意義について、議論を重ねてきた。元の生業を取り戻したいと帰還した人の今の生活の姿がある。しかしそれを簡単に取り戻すことはできない。古里の帰還を諦めた人、今も思い悩んでいる人もいる。これが原発事故をもたらした事実です。原発事故の風化が進む中で皆さんに原発事故によって奪われた暮らしと人々の人権、原発災害の苛酷さを実際に見ていただきたい。福島の事実を多くの人々に広めていただくことがなにより重要だと結論を出した。県民集会の大きな目標は、東電第二原発の全基即時廃炉を実現することだ。福島に原発はいらない。原発のない社会を作っていこう」。

 連帯あいさつが鎌田慧さん(さようなら原発1000万人署名市民の会)から行われ、「安倍政権を打倒できないわれわれの力不足を感じている。原発事故がなかったように川内、伊方、高浜と続き、これから玄海、大飯原発の再稼働が進められている。使用済み燃料を処置できない出口がないにもかかわらず突進している。歴史的な教訓を生かせず安倍政権に引き継がれている。森友・加計学園問題に見られるように政治が私物化されている。原発政策が破たんしているにもかかわらず推進し、輸出しようとしている。国会内外の闘いでこのような政権は打倒するしかない」とアピール。

 武藤類子さん(ハイロアクション福島)が呼びかけ人の訴えを行った。

 「今、福島では帰還、復興、再生、未来などのポジティブな言葉が飛び交っている。2020年のオリンピックを控え、莫大な復興予算が投入され、沿岸地域を中心にイノベーション構想が進められている。福島県は、できるだけ早く避難者をゼロにしたいと考えている。しかし、その影で苦しんでいる人が多くいる。避難住宅の無償提供が打ち切られ、生活は困窮し、追い詰められて望まない帰還をする人、ホームレス、自死する人も出ている。この帰還政策は、本当に妥当だったのでしょうか。安全、暮らしが保障される施策がなかったのか。国連は原発事故被害者の人権状況を是正するように政府に勧告した」。

 「福島沖の海は、原発事故によって大量の放射性物質が流されたのに、さらに人為的に流すのか。許し難いことだ。甲状腺ガンの疑いが一九六人となった。さらに増えていることが発覚した。甲状腺ガン検査を縮小する動きさえある。裁判では東電の責任を認める判決が出ている。刑事裁判も始まっている。原発事故は被害者の人権を侵害し、生きる尊厳を傷つける。分断されず、なにが力をあわせることができるのか。この時代を生きる有り様が、次の時代を作っていくことを忘れずに今を誠実に生きていきたい」。

 三瓶春江さん(浪江町津島地区の原発訴訟原告団)は、「古里を返せと裁判を行っている。被害者は全国に避難を強いられている。原発の被害者を出してはならない、将来の子どもや孫たちに後始末をさせてはいけないという思いで一杯だ。残酷な状況になったのも原発事故のせいだ。何事もなかったかのようになぜ原発を再稼働するのか」と糾弾した。

 高校生平和大使の二人は、核兵器廃絶運動の取り組みや原発廃止に向けて発言
した。

 最後に「原発NO!」のプラカードアピール、集会アピールを採択した。


 また集会は、「私たちは訴えます!」―①東電福島第二原発を廃炉とし、福島
県では原子力発電は将来にわたり行わず、福島県を再生エネルギーの研究・開発及び自立的な実施拠点とすること。②放射能によって奪われた福島県の安全・安心を回復し、県民の健康、とりわけ子どもたちの健やかな成長を長期にわたって保障すること。③原発事故に伴う被害の賠償、及び被災者の生活再建支援を、国と東京電力の責任において完全に実施すること。―を確認した。


(Y)



報告 : 3.21さようなら原発全国集会

FB_IMG_1521613979022いのちを守れ
くらしを守れ
フクシマと共に
3.21さようなら原発全国集会


 三月二一日午後一二時半から、東京代々木公園で「いのちを守れ くらしを守れ フクシマと共に3・21さようなら原発全国集会が雨とみぞれ混じりの中でも全国から熱い想いの一万二〇〇〇人が集まった。主催は「さようなら原発」一千万人署名 市民の会、協力:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会。

 集会の前に、さようなら原発ライブがゼロノミックスとMILK(弥勒)の歌
によって行われた。本集会は午後一時半から開始された。

 落合恵子さん(作家・呼びかけ人)が「雨が雪になっているが怒っているから寒さを感じない。安倍政治によって、耐えることを強いられてきた。福島の孤立感と苦しみを誰が作ったのか。原発をなくす、在日米軍をなくす、改憲を許さない。何としても安倍政治をストップさせよう」と主催者あいさつをした。

 フクシマから、片岡輝美さん(脱ひばく子ども裁判の会共同代表)、この間の損害賠償裁判で国と当然の責任を認める判決が相次いでいる。低線量被曝が争点で、東京地裁がこれを認める判決を出した。われわれは都合のいい、無力の市民ではない」と闘いを宣言した。

あらかぶさん(被曝労働者)は「原発を早く収束
させたいと思い、家族の反対を押して、福島原発事故現場で働いた。現場はズサンな管理が行われていた。二〇一三年熱が出て、風邪のような症状になり、調べたら白血病だと分かった。骨髄輸血五〇回などつらい治療を受けた。敗血病やうつ病にもなった。その後労災認定を受けた。裁判を起こしたのは、東電に責任を認めさせ、二度とこのような事故を繰り返させないためだ」と話した。

長谷川克己さん(自主避難者)は「原発事故五カ月後に郡山市から静岡県の富士宮市に家族四人で避難した。悔しい思いをしながら福島を離れた。被曝がなかったように、原発はコントロールされている錯覚を作り出している。絶対にこのまま終わらせるわけにはいかない。必ずけじめはつけさせる」と強く訴えた。

村上達也さん(元東海村村長)が東海第二原発再稼働について報告した。

「原発発祥の地で六〇年原発推進の旗を振ってきた。一九九九年のJCO臨界事故の時、安全だと言われたが、住民を避難させた。政府は想定外の事故だとして依然として安全神話を作っていた。二〇一一年福島原発事故の三カ月後に脱原発を表明した。脱原発をめざす首長会議を立ち上げた。東海第二原発は四〇年経た原発を二〇年延長させるモデルとして再稼働しようとしている。これを何としても阻止しなければならない」。

韓国のイ・キョンジャさん(核再処理実験阻止30キロ連帯実行委員長、労働党副委員長)が連帯のあいさつをした。

「すべての原発に反対し、平和を願っている。朝鮮半島の南北対話、米朝会談は
平和の春が本当に来ているのか。平和協定だけでは平和はこない。サード追加配備、GM工場の閉鎖、権力型の差別、ムン・ジェイン大統領は脱原発を表明したが五基の原発が建設されている。日本で原発再稼働、安倍による改憲の動きが出ている。こうした問題を解決していかないと非核化・平和協定は本当に実現しない。韓国では二四基の原発が稼働している。一万六〇〇〇トンの核のゴミが溜まっており、一年で七五〇トンが新たに生まれる。一五〇万人の大都市の真ん中に核のゴミが運ばれている。すべての核兵器の廃棄、原発をなくせ。日韓連帯が大事だ。安倍をやめさせるまで連帯する」。

イさんらはソウルで行進した時、核廃棄物の脅威を訴えるために作った廃棄物の
ドラム缶二個をプレゼントした。フクシマ連帯キャラバン隊の報告の後、河合弘之さん(原発ゼロ自然エネルギー推進連盟事務局長)が「原発の即時ゼロ、再稼働の禁止の原発ゼロ法案を作り、野党が国会に提出した。世界が地球温暖化対策のために自然エネルギーへ切り替えつつある。原発ゼロは必ず勝つ。自信を持って闘おう」と話した。

逢坂誠二さん(立憲民主党エネルギー調査会会長)が「三
月九日原発ゼロ法案を国会に提出した。この法案を作るために二〇カ所でタウンミーティングを行い、二〇〇〇人が参加した。安倍首相は方案は無責任だと言ったが、四七トンもプルトニウムをため込み、廃棄物処理場も見つからない。こんな状態で原発を推進する方が無責任だ。海外への原発輸出を許してはならない」と話した。

福山真劫さん(総がかり実行委)は「安倍政権の矛盾が吹き出ている。三月二七日に佐川証人喚問が決まったがしっぽ切りを許さない」と安倍内閣総辞職をせまった。鎌田慧さん(ルポライター)が閉会のあいさつを行い、全員でシュプレヒコールで傘をふり、闘いを盛り上げた。デモが予定されていたが雪のため、集会のみとなった。寒い中、最後まで脱原発・福島の被災者を支援する決意に満ちた
集会となった。

(M)


報告 : 9.18さようなら原発さようなら戦争集会

IMG_2065代々木公園に9500人

沖縄と福島の怒りを一つに


 九月一八日午後から、東京代々木公園・野外ステージで「ともに生きる未来を!さようなら原発さようなら戦争全国集会」が「さようなら原発」一千万署名市民の会主催で開かれ、九五〇〇人が集まった。

第一部はさようなら原発ライブ:路上組、うた・松崎ナオさん。けやき並木ステージで集会が開かれた。第二部が野外ステージで全体集会が開かれた。

 司会を木内みどりさん(俳優)が務め、落合恵子さん(作家)が開会のあいさつを行った。

 「報道によると安倍首相が解散総選挙を決めたようだ。われわれを見くびっている。支持率がアップしたことで勝てるだろうという判断だ。その思惑をはずしていこう。やりたい放題、傲慢な内閣。命と安全を守るのか、ふるさとの福島を離れざるを得なかった。廃炉と補償を求める。九・一一経産省前テント撤去一周年のウォーキングで逮捕者が出た。これは運動への脅迫だ。沖縄の山城さんと同じだ。北朝鮮のミサイル問題で、防衛予算を五兆三〇〇〇億円も要求し、一機八〇〇億円もする陸上設置のイージス・アショアを配備する。安倍のような人たちに負けるわけにはいかない」。

 次に佐藤和良さん(福島原発刑事訴訟支援団団長)が裁判について報告した。

 「原発過酷事故が起こってふるさとを奪われた。誰もが人権が尊重され、今まで通り職場があり、生活があるべきだ。憲法は福島の手前で止まった。この原発事故で東電、保安院、内閣、自民党も責任をとった人はいない。そこで告訴団を立ち上げて、一万四〇〇〇余人が原告となり告訴・告発した。しかし、検察は不起訴にした。検察審査会に申し立てようやく強制起訴になった。東電の経営者三人の起訴を運動の力で勝ち取った。六月から裁判が始まった。多くの証拠が出てきた。一五・七メートルの津波高について二〇〇八年にシミュレーションしていた。一〇メートルの防潮堤を作ることが決まっていた。にもかかわらずその計画をひっくり返してやらなかったことにより、原発の爆発が起きた。だから刑事罰に問える。三人の有罪を勝ち取るまで注目・支援をしてほしい」。

 武藤類子さんも「原発はいらない、戦争はいらない、差別もいらない」と一言述べた。

核被害者を生み出さない世界を

 自主避難者の森松明希子さん(原発賠償関西訴訟原告団団長)が「私は福島から子ども二人連れて大阪に逃れた。私たちには平和に生存する権利がある。ヒロシマ、ナガサキ、フクシマと続く核被害者だ。再稼働に反対する」と思いを切々と語った。

 玄海原発から、徳光清孝さん(原水爆禁止佐賀県協議会会長)が報告した。

 「一月一八日、保安院は玄海3・4号機の再稼働を許可した。県知事は再稼働やむなしの立場で、県民の意見を聞く委員会を三〇人で発足させた。反対七人、賛成一〇人という中味。五カ所で説明会を開いたが質問一人一回、三分間。公開討論会を要求してもそれを認めない。四月一一日から三日間臨時県議会を開いて賛成決議を採択し、四月二四日知事が再稼働に同意した。一方、佐賀地裁も再稼働を認めない仮処分を六月一三日に却下した。来年一月に3号機、三月に4号機を再稼働させる予定になっている。そして、九州電力は再稼働による利益を株主に配当するという。まったく許せない」。

朝鮮半島を戦場にしてはならぬ

 趙博(チョウ・パギ)さんの歌の後、福山真劫さん(総がかり行動共同代表)が行動提起した。

 「①日朝ピョンヤン宣言、六者協議声明の精神に基づいて、米朝の戦争を絶対に阻止しなければならない。そうしないと韓国も日本も破滅する。対話と協議だけが解決方法だ。②戦争法の廃止を求める。③九条改憲、自衛隊の軍隊化、海外派兵、集団的自衛権の行使。衆院選で三分の二を維持し、憲法改正発議をしようとする安倍を絶対に許せない。三〇〇〇万署名を実現しよう。一一月三日国会包囲へ④沖縄闘争をやりぬこう。一〇月四日日比谷野音集会。⑤衆院選で野党共闘を実現しよう。サヨウナラ 安倍晋三」。

 次に、山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)が登壇し、激烈なアジテーションと歌を披露した。

 「解散をする、逃げるのか、アベ。ただじゃおかない。怒りを示そう。総選挙、野党は自公とだけぶつかれ。これ以上アベ政治をのさばらせてはいけない。沖縄はアベの圧政にさらされてきた。命をかけて闘う。負けるわけにはいかない。沖縄は真っ先に戦場になる。アベに差し出す命、暮らしはない。本気になって立ち上がろう。弾圧が強まっているが政治は変えられる。政治を私たちの手に取り戻そう。翁長知事を先頭にしたたかに、断固として闘おう」。

 最後に鎌田慧さん(ジャーナリスト)が「ミサイルが降ってくると恐怖を与えて解散する。火事場泥棒と同じやり方で政権を持続しようとしている。野党共闘を実現し、長期持久戦で勝ちぬく。原発を認めない。人間として生きていく」と閉会のあいさつを行った。プラカードを掲げ、シュプレヒコールを行い、渋谷コースと原宿コースでアピールデモを行った。総選挙を勝ち抜き安倍政権を打倒しよう。   

(M)

報告 : 2017原発のない福島を!3.18県民大集会

18福島デモ三月一八日、福島県郡山市・開成山陸上競技場で「2017原発のない福島を!県民大集会」が同実行委主催で開催され、競技場観覧席をいっぱいにする五七〇〇人が県内外から集まった。

原発事故から六年が過ぎても、福島第一原発の廃炉作業は思うように進まず、原発被災者の生活再建も先が見えていない。実行委は以下の訴えをしている。

私たちは訴えます!

●東電福島第二原発を廃炉とし、福島県では原子力発電は将来にわたり行わず、福島県を再生可能エネルギーの研究・開発及び自立的な実施拠点とすること。

●放射能によって奪われた福島県の安全・安心を回復し、県民の健康、とりわけ子どもたちの健やかな成長を長期にわたって保障すること。

●原発事故に伴う被害への賠償、及び被災者の生活再建支援を、国と東京電力の責任において完全に実施すること。

角田政志さん(実行委員長)のあいさつの後、小渕真理さん(呼びかけ人)が「原発はいらない。復興ありきの政策によって権利を安倍政権から奪われている。希望に向かって励まし合おう」と発言し、集会が始められた。

 香山リカさん(精神科医、さようなら原発1000万人アクション賛同者)が特別ゲストとして、連帯の訴えを行った。

「被災地で働く自治体労働者から今でも相談がある。住民への対応でストレスがたまり、うつ病になる人も少なくない。国は終息し、乗り越えたと言い、経産省が一月二六日、福島ツデー『農産物は安心で、若者の被ばくはたいしたものではない』とCMを流した。風評被害を吹き飛ばすのは必要だが明るいイメージだけではだめだ。何が起き、実情は何なのかを明らかにしなければならない。第一原発の廃炉作業の困難さ、第二原発の廃炉問題、被災者への充分な支援問題など」。

「山城さんなど三人の初公判があり、沖縄に行っていた。基地はいらないという沖縄の民意を切り捨てている。これは福島と同じだ。福島を全世界が応援している。福島から始まる脱原発のスタートだ。心から連帯を」。

次に県民の、被災自治体の首長(浪江町長・馬場有さん)、避難を強いられている方(大熊町・渡部千恵子さん)、若者(佐藤さん・DAPPE<ダッペ:Democracy Action to Protect Peace and Equality=平和と平等を守る民主主義アクション>)がそれぞれ訴えた。

馬場浪江町長の訴え。

「六年間の過酷な避難生活に耐えてきた。大震災と原発事故から二二〇〇日になる。長い時間が経過した。八万人がふる里に戻れない。今月末から一部地域を除いて避難指示が解除される。復興の課題が山積している。第一原発の廃炉問題。除染廃棄物の処分問題。数十年数百年もかかる。暗い陰を落としている。長期間に渡り、生命・居住・財産・歴史文化を失う塗炭の苦しみを与えられた。全国・世界に伝えていかなければならない」。

「第一原発の事故は充分に究明されていない。津波による全電源の喪失以前に地震の揺れによって破断が起こっていたのか。そうであれば安全基準を根本から見直さなければならない。一切検証されていない。前橋地裁の判決は津波が予見できたのに対策をとらなかったと国と東電の責任を明確に認定した。それでも原発再稼働が進められている。国や電力会社は信用できない。何を信じて、原発と付き合うのか。信用できない原発とは付き合わない。廃炉実現、第二原発の廃炉を、原発のない社会・日本をめざそう」。

避難者渡辺さんの訴え。

「大熊町から三春に避難した。三月一二日、一斉避難勧告があり、町民はほとんど町を出た。消防士の息子と再会したのは三カ月後だった。みぞれが降る程寒い日だった。孫たちとワゴンを止めて一夜を明かした。国道288号線で郡山方面に向かう。普段なら一時間で着くところが五時間かかった。避難所では助け合った。その後、四月三日まで田村町に避難した。役場は会津若松に移った」。

「六年が経ち、戻ることなく亡くなった人が大勢いる。私の父も亡くなった。戻るために毎日歩いている人、新しい土地に移り住んだ人、県外で福島の新聞をとり死亡欄を見ている人、一次帰宅し家の周りを見ている人、家を作ったが大熊を忘れられない人」。

「電気に頼った生活だと電気が止まると終わり。井戸水を使い、汲み取り式のトレイであっても何の不自由もない。脱原発はもちろんのこと、種もみ、桜、種まき、田植えのふる里を思い出す。人間だけのものではない地球に思いをはせ、自然によりそった生活、優しい生き方が課題だ」。

若者・DAPPEの佐藤さんの訴え。

「第二原発の廃炉に動き始めたと報道されたが、東電は事実ではないと否定した。東電はさっさと決断しろ。政府は被災者が帰還しないことが足かせのように言うがそれがダメだ。一人一人の選択を尊重することが本当の復興につながる。足かせは第二の廃炉が決まらないことだ」。

「昨年一一月原発ゼロ若者ミーティングをやった。三五三人の若者が語ってくれた。電力不足が心配だという人に、原発の問題を話すとだったらない方がよいというふうに変わった。どうしたら原発依存をなくすのか。原発ゼロを可視化することが必要だ。原発に頼らないということは民主主義のテーマだ。一人一人の行動が社会を動かす。政治を人任せにしない。原発ゼロの未来をつくっていこう」。

次に「原発NO!」のプラカードを掲げ、スタンディングオベーション。集会アピール(別掲)を採択し、郡山駅に向かってデモ行進をし、原発のない社会の実現、被災者支援を訴えた。

(M)
        

18 2017原発のない福島を!県民大集会 集会アピール

東京電力福島第一原発の大事故から6年の歳月が流れました。全国的には「記憶の風化」が語られていますが、福島県民にとって原子力災害は、「忘れる」いとまもない目の前の日常です。

 避難を続けている県民は、減ってきているとは言えまだまだ多く、県内避難が39608人、県外避難が39818人、合計79446人(避難先不明を含む:2月現在)にのぼっています。これほど膨大な長期避難者を生んだ産業公害は、この国に前例がありません。

 この3月末を期して飯舘村、浪江町、富岡町、川俣町山木屋地区で帰還困難区域を除き避難指示解除が行われる予定です。ふるさと復興への一歩前進とは言えますが、すでに先行して避難指示が解除された楢葉町や南相馬市小高地区をみると、帰還した住民は高齢者を中心にわずか1割ほどです。将来希望を描こうにもあまりに条件が悪すぎるというのが、被災地域の覆いようもない現実です。

 住民の帰還の足を鈍らせている大きな要因が、第一原発の事故現場への不安です。高線量の放射能のためメルトダウンした核燃料の状況把握もままならず、燃料デブリを取り出すことができるかどうか、見通しは立っていません。昨年12月には、驚くべき初歩的な人為ミスから、冷却水の注水と使用済み核燃料プールの冷却が一時ストップするトラブルが起きました。汚染水漏洩を防ぐ切り札ともいえる凍土遮断壁も、期待されただけの効果をあげていません。

 地域の除染も困難をはらんでいます。里山の除染が試行的に始まっていますが、除染の範囲を広げれば広げるほど、汚染廃棄物の量はふえていきます。すでに県内には1200万個を超えるフレコンバックが積み上がっています。フレコンバッグの耐用年数は3年から5年です。まだ土地の買収も満足に進んでいない中間貯蔵施設に、一体いつになったら運び込めるというのでしょうか。

 県産の食品の安全性をめぐる問題も、生産者や各種協同組合の努力にもかかわらずら、根本的な解決には至らないのが現状です。県産のコメは全量検査の結果、99・995パーセントが検出限界値未満になるところまでこぎ着けましたが、コメの値段は事故前に戻っていません。農林水産物だけではありません。「福島」に対する誤解や歪んだまなざしは、福島県民、そして避難している県民への差別や偏見につながっています。昨年11月以来、避難者家庭の子どもが学校でいじめにあっていた事案がいくつも表面化しました。これらが氷山の一角だという見方に、うなずかざるをえない県民の思いは痛切なものがあります。

 子どもたちの将来にかかわって健康被害への心配も続いています。県民健康調査で子どもの甲状腺がんが多く見つかっていることについては、まだ確たる評価は下されていませんが、検査の結果として現に手術を受けた患者さんの体と心の傷は、簡単に癒えるものではないでしょう。また、慢性疾患の増加や「うつ」傾向の広がり、子どもたちの運動能力の低下など、心身の被害は現に広範囲に及んでいます。

 第一原発の処理費用の負担問題も重要です。廃炉にかかる費用の試算額は当初の2兆円が8兆円にまで膨張し、除染と賠償を加えれば全体で21・5兆円に達すると予想されています。経済産業省は、その少なからぬ部分を託送料に上乗せして電気料金に転嫁することを提案しています。「償い」である賠償金まで国民に負担させようとは、なんと理不尽なやり方でしょうか。

 さて、私たちが声を大にして要求してきた福島第二原発の廃止は実現するのでしょうか。昨年11月22日に発生したやや大きな地震にさいし、第二原発3号機の使用済み燃料プールの冷却機能が一時停止するという、肝の冷える事態が生じました。福島県議会は全会派が一致して意見書をまとめ、あらためて福島第二原発の全基廃炉を強く主張しています。意見書が言うとおり、福島県は「県民の総意として、国へ対して幾度となく廃炉の実現を強く求めて」きましたが、国は「一義的には電気事業者が判断する」ことだという逃げ口上を繰り返すばかりです。しかし東京電力ホールディングスの株式の過半数は、国の設置した「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が保有しています。政府さえその気になれば、廃炉を決めることはすぐにでもできるはずなのです。

 第二原発全基廃炉を求める「オール福島」の声に背を向けながら、政府が何をしているかといえば、各地の再稼働の推進です。福島事故後、5基の原発が再稼働しました。もっともそのうち関西電力高浜3・4号機は、地方裁判所の仮処分命令で再停止になっていますが、原子力規制委員会の審査を通過したもの、および審査中のものは全国で20基以上にのぼっています。政府はあくまでも早期原発回帰への執着を捨てず、福島第二原発の廃止を断じて口にしないのも、そのことの表れにほかならないでしょう。第二原発の廃止は決して「自明のこと」ではないといわなければなりません。

 福島原発事故と放射能災害は、いまなお継続中です。万単位の住民がふるさとを奪われたまま、公的支援や賠償責任は次第に縮小されようとしています。そうした中で多くの人々が、あるいは「被害者訴訟」に打って出、あるいは「脱原発訴訟」の原告となり、人としての権利を声高く主張しています。これらの裁判は近々、結審あるいは判決の日を迎えることと予想されます。また原発の立地県では、性急な再稼働をよしとない知事も生まれています。事態は決して政府の思い通りに進んでいるわけではありません。

 私たち福島県民が全国民の未来のために果たすべき最大の使命は、福島第二原発の廃止です。それは県議会の言うように「県民の総意」であり、政府と東電がこれを受け入れないのは県民の総意を真っ向から踏みにじるものです。立場や利害の違いを乗り越え、力を合わせて、「原発のない福島を!」の声をさらに高くあげていきましょう。

 2017年3月18日
 2017原発のない福島を!県民大集会

報告 12.8さようなら「もんじゅ」さようなら核燃サイクル」東京集会

IMG_1649破綻する核燃料サイクルにとどめを‼


 一二月八日、東京日比谷野音で、破綻する核燃料サイクルにとどめを‼ さようなら「もんじゅ」さようなら核燃サイクル東京集会がさようなら原発1000万人アクション実行委の主催で開かれ、九〇〇人が参加した。

 鎌田慧さん(ルポライター)が主催者あいさつをした。

 「原発政策は破綻だらけ。先がない、未来の展望がない。真珠湾攻撃と同じで、原爆が二発返ってきた。アジアの人々を二〇〇〇万人殺し、日本人も三〇〇万人死んだ。今日はもんじゅを完全に断念させる集会だ。高速炉開発で生き延びようとしているが決着はついている。再処理工場は二〇年動いていない。一兆円の予定が二兆三〇〇〇億円になっている。使用済み燃料は三〇〇〇トンが残っている。再稼働を止める、もんじゅを廃炉に、六ケ所村再処理工場をやめさせる。再処理サイクルの終わりを。断念するまで運動を続けよう」。

 宮下正一さん(原子力発電に反対する福井県民会議事務局長)がもんじゅ現地報告を行った。

 「政府は一二月二〇日、もんじゅの廃炉を閣議決定する。もんじゅはダメだと高木仁三郎さんが提起し、一九七六年に反対組織の敦賀市民の会、福井県民会議が生まれた。五人の代表の中には自民党の敦賀市議が入っていた。一九八二年、第二次公開ヒアリングが開かれ、九三〇〇人が徹夜で反対した。機動隊も一万人
を動員した。すでに原発が九基あった。二一年前の一二月八日にナトリウム漏れが起き、もんじゅは止まった。二〇一〇年に原子炉内で落下事故が起きた。その他火災の発生など様々な事故があいついだ。一六〇〇トンのナトリウムがある。水と反応すると大爆発する。プルトニウムが二・五トンある。これが爆発したら日本の半分は壊滅する。私たちは必ず勝つ。なぜなら勝つまでやめないからだ」。

 新もんじゅ訴訟の海渡雄一さん(弁護士)が発言。「一九八五年にもんじゅ差し止めの提訴をした。もんじゅの廃炉は闘いの成果で、ひとつの勝利だ。しかし、ここ数カ月の動きは焼け太りのように、高速炉を動かすという。それに怒っている。もんじゅは冷却材にナトリウムを使っている。ナトリウムは水のように中を見ることができない。ナトリウムと蒸気で熱交換する。ナトリウムが沸騰したら暴走する。危険だ。異常で根本的な問題だ」。

 「研究炉を作り、常陽を再開する。それまでフランスのアストリット(2030年にできるとされる)に三八〇〇億円のカネを出して、この研究炉を支えデータをもらうというのだ。実験炉、原型炉、実証炉、商業炉と四段階になっている。しかし、実証炉に進めるはずがない。もっと怒ってほしい。なめられている。核燃サイクル、伊方再稼働を止めよう」。

 福武公子さん(弁護士)が技術的、カネがかかりすぎ、フランスの高速増殖実証炉スーパーフェニックスが中止になった経過を報告し、日本の増殖炉計画をやめるように語った。

 浅石紘爾さん(核燃料サイクル阻止1万人訴訟原告団)が核燃料サイクルについて報告した。

 「使用済み燃料のガラス固化に失敗した。東日本大震災にみまわれ、いま適合審査が行われている。六ケ所村の再処理工場は二二回運転が延期されている。二〇一八年に稼働の予定にはなっている。計画から二一年も遅れていて、施設も老朽化している。知事は積極推進。核燃やめるなら廃棄物を入れさせない。貯めてある廃棄物を運び出せと脅迫している。もんじゅの廃炉は要の一角が崩れる。もんじゅでプルトニウム燃料をつくるが使い道がない。プルトニウムはプルサーマルで使う」。

 「闘いの目標は、プルサーマルをつぶすこと。プルサーマルを行っている伊方原発の再稼働をさせない。輪を断ち切る。高速炉開発、悪い冗談だ。原子力の亡霊がひとり歩きしている。毎年プルトニウムが五トン貯まる。再処理工場に今まで七兆三〇〇〇億円が投入されている。一日三億円の維持運営費がかかっている。即刻廃棄すべき。プルトニウムロードはデスロード、死の回廊だ」。

 熊本美弥子さんが福島避難者の実情について訴えた。

 「応急救助の期限が切れた。調査の三八〇〇世帯が避難先に留まりたいと答えている。避難者は苦しい立場に置かれている。アスファルトの上は一時間〇・二マイクロシーベルトなのに庭では五・四マイクロシーベルトだ。帰還か、貧困か、被ばくかの三つの選択が迫られている。都営住宅の優先入居で、七月二〇〇戸、九月一〇〇戸の募集があった。しかし、収入や世帯人数、年齢など募集要件が厳しすぎて、七一二世帯が要望したにも関わらず、一九二世帯しか仮あっせんが受けられなかった。都へ募集の緩和を求めているが明確な回答がない。国として住宅政策をつくるべきだ。交渉したいので力を貸して下さい」。

 川内原発1号機再稼働反対のメッセージが紹介され、「もんじゅ今すぐ廃炉」のプラカードを掲げるパフォーマンスを行い、銀座・東京方面のデモでアピールした。

(M)

報告 : 9.22さようなら原発さようなら戦争大集会

IMG_1424 九月二二日正午から、東京・代々木公園野外ステージで「9・22さようなら原発さようなら戦争大集会」が「さようなら原発」一千万署名市民の会の主催で開かれ、九五〇〇人が参加した。東京は早朝から激しい雨が降り続き、集会中も止むことがなかった。それにもかかわらず、福島や北海道、福井など全国各地から参加者が集まった。会場には多くのテント・ブースも並んだ。

 正午から第一部、福島被災者からの訴え、北海道の運動の報告が行われた。そして、寿の歌が参加者と一体となり披露された。

 まず、福島からの報告が行われた。長谷川健一さん(飯舘村、ひだんれん共同代表)。「飯舘村出身です。汚れた村になった。遅れて避難したので断トツの被ばくをした。八人家族で牛五〇頭を飼っていた。村は悲惨な状況になっている。今年の七月末フレコンバッグが一八〇万個。一カ月で一〇万個増えている。何の保障も確約もなく、来年の三月末に避難解除になる。自己責任で帰れと。限界を超えている」。

 「国に求めていることはヒロシマ・ナガサキで行われているような、健康手帳を交付し医療費を無料にすることだ。いずれは村に帰る。農家がほとんどなので、高齢者だけの村になるだろう。そこで生産・生活しなければならないので、チッソが汚染された魚を買い取ったように、売れないものを買い取ってほしい。チェルノブイリに行ってきた。悲惨であった。二度と原発を再稼働させるな、原発をなくす運動をやっていこう」。

 蛇石育子さん(福島県郡山市議)が八〇〇〇Bq/㎏以下の放射性廃棄物なら安全なので再利用するという国の方針を批判し、「東電が管理すべきである。放射能汚染土壌の処理については、何よりも安全安心対策を最優先すべきで、汚染土壌を再利用することは、放射線被ばくを軽視し許容する言語道断の方針だ」と批判した。そして、具体的に①県中浄化センター②産業廃棄物最終処分場の建設予定③原子力バックエンド推進センターによる焼却灰減容化実証実験について紹介し批判した。

 中手聖一さん(避難の権利を求める全国避難者の会共同代表)は「今、札幌に避難している。自力で避難せざるをえなかった被災者を国は放置してきた。避難者は宙ぶらりんの生活を強いられてきた。今、母子避難者が増えている。避難する権利がある。住宅保障があるべきだ。住宅支援の継続を求めて行動を起こしている」と話した。

 長田秀樹さん(北海道平和運動フォーラム代表)は「三つの課題に取り組んでいる。①泊原発再稼働反対②幌延での高レベル放射能廃棄物地層処分研究反対③大間原発(青森県)建設反対。泊原発3号機(90万kW)の再稼働(2017年)に向けた審査が山場にきている。敷地内の断層が問題になっている。北海道は一月が一番電力を使うが原発の電力がなくても電力不足は起きていない。核の廃棄物は持ち込ませないという県の条例が作られた。二〇〇一年から地層処分研究が始まったが二〇二一年頃には施設を全部撤去して終わらなければならないことになっている。幌延で毎年反対の集会を開いている。今年は三一回目を開く」と報告した。



 午後一時半から、第二部が開かれた。澤地久枝さん(呼びかけ人)が「もんじゅを止めると決めたのに、なぜ国は原発を止めるという勇気をもたないのか。福島原発問題は何一つ解決していない。ふる里を奪われた。戻って行く所がない。今後廃炉代金が電気代に上乗せされる。被ばく問題、患者が増えている。廃炉に向けて働く人の被ばく労働問題、賃金が三万から一万円を切るようにされている。不払い賃金問題で訴訟している労働者もいる」と問題点を指摘し、主催者あいさつを行った。

 武藤類子さん(ひだんれん共同代表)が「避難解除、賠償の打ち切り問題、とても困っている。生活の再建ができない。途方にくれる人もいる。家を奪われた。自力避難者も強制避難者も両方とも救済すべきだ。国や県に交渉・申し入れを行っている。現実は厳しい。一〇月二〇日院内集会などを予定している。帰りたくても帰れない。誰が帰れなくさせたのか。甲状腺ガンの子どもが一七四人に増えた。子ども基金を立ち上げる。雇用を保障する制度が必要だ。命が守られる社会を作ろう」と訴えた。

 アーサー・ビナードさん(詩人)。「この間の台風の大水で地下水が地上に達して地上水になっている。毒水をどうするのか。東電は希望にあふれる対策をとっていると言っているが。凍土壁で汚染水を遮断していると言う。凍らせて止める。凍らない凍土壁。新しい日本語が生まれてくる。『凍土のつまり』」。「東京電力は社名を代えた。東京電力フォールデングス。責任逃れだという人がいる。良い名前だと思う。『ホール』、穴が開いているのだ」。

 「プルトニウムを平和利用すると言っているが本音は核武装したいのだ。オバマ米大統領が核兵器を先制しない宣言をし、核廃絶に向けたアピールをしようとした。安倍はそんな約束はしないで欲しいと要請した。とんでもない話だ。核兵器・原発に終止符を打とう」。

 木内みどりさん(俳優)が落合恵子さんのアピールを代読した後、「キューバ革命がなぜ起きたのか知りたくてキューバに行ってきた。一九五八年の革命成功後の革命広場に一〇〇万人集会が開かれた。六〇〇万人の人口だったので、半分が動いたことになる。今の日本だと六分の一で二〇〇〇万人。私なりに二〇〇〇万人を動かす一人としてやっていく」と語った。布川さん(高校生平和大使)が平和な世界をめざす一万人署名について語った。

 宮下正一さん(原子力発電に反対する福井県民会議事務局長)がもんじゅ問題について発言した。

 「一九九五年八月にもんじゅの運転開始。同年一二月に冷却剤ナトリウム火災事故。二〇一〇年、燃料交換用の炉内中継装置が設計の問題で、原子炉容器内に落下するトラブルを起こす。二〇一二年、九〇〇〇点の点検漏れが発覚。二〇一五年規制委が今までの原子力機構が信用できない。新しい組織でやり直しを勧告したが政府は新しい機構を提起できなかった。こんなにデタラメはない。悪魔の原子炉だ。プルトニウムは茶さじ一杯で一〇〇〇万人もの人がガンになり死んでしまう毒性の強いものだ。原子炉が暴走した場合、制御棒を抜くしか止める方法はない。金属ナトリウムは水など反応すると大爆発する危険なものだ。高温で運転するので配管が破断する可能性がある。爆発すれば大量の放射能が出る。もんじゅを運転させてはならない。県などはカネのことばかり考えて廃炉にするなと言っている。年末までに大きな動きがあるだろう。県民は止めたいと思っている。まだ、生き返るかもしれない。声を集中してほしい。必ず勝つ。勝つまで闘うのをやめない」。

 協力団体から、木村辰彦さん(「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲行動実行委)が高江の攻防、九・一六辺野古埋立て不当判決について報告し、共に闘うように呼びかけた。

 福山真劫さん(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委)が、「9・19国会包囲集会が二万三〇〇〇人、全国三〇〇カ所で行われたこと、今後、南スーダンで自衛隊が駆けつけ警護を行い、戦争に参加すること、それを阻止するために一〇月三〇日、自衛隊が出発する師団のある青森現地で反対集会を行う、そして、沖縄基地建設反対の統一全国署名を行うこと」を報告し参加するように訴えた。最後に、鎌田慧さん(呼びかけ人)が「原子力船むつを闘いによって廃船にしたことを思い起こし、もんじゅの廃炉という歴史的出来事を記憶し、さらに脱原発・戦争やめろ、沖縄連帯を訴え」閉会のあいさつとした。集会の後、デモが予定されていたが集会の途中では豪雨だったのでデモは中止された。九月二六日から臨時国会が始まる。闘いの秋、安倍政権と対決し、安倍の暴走を止めるようにがんばろう。

(M)

経産省前脱原発テントの撤去糾弾

IMG_2217 八月二一日、日曜日の午前三時すぎ、経産省前の脱原発テントが撤去された。すでに七月二八日、最高裁小法廷(大谷直人裁判長)は経産省前テントの撤去と「損害賠償」(三七〇〇万円支払い)を命じる東京高裁の判決を不当とする被告二人の上告を棄却する決定を下していた(「かけはし」八月一五日号三面記事参照)が、日曜日の深夜午前三時過ぎという時間をねらって、この暴挙が行われたのだ。テントは破壊、撤去され、中にあった私物もすべて持ち去られたという。

 急を聞き、始発電車を待って人びとが駆けつけ、午前九時から抗議の記者会見、抗議の集会・座り込みなどが行われた。しかし午後一時過ぎには、抗議行動を行っていた仲間が丸の内署に逮捕された。この二重の弾圧を許さない。

 九月一一日(日)には、経産省周囲一帯で午後三時から「脱原発怒りのフェスティバル~テント設立五周年」が開催される(主催:経産省前テントひろば)。結集しよう。

(K)

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