_20210120_213220労農の団結で農業法の廃止へ
左翼はセクト主義の克服を


ラディカル・ソーシャリスト (インド)

 昨年秋以来、インドのニューデリー近郊で大規模な農民の抗議行動が続いている。モディ政権がもくろんだ農業支持制度の解体に反対する決起だ。以下では、現地の同志がこの闘争の現状とそれに内包された潜在的可能性について論じている。(編集部)

 北インドに冬の寒さが厳しく降りかかる中、シングーとティクリの境界で各々全国高速道路1号線と9号線に沿って新たに出現した「手押し車の町」は、日毎に長くなり続けている。何ヵ月もそれらで食料を運びながら、これらの抗議活動は、政府の新自由主義的行進に反対する恐るべき対抗として出現することになった。作業用トイレ、風呂場、まきで作動する湯沸かし装置、台所、読書室、それ自身の新聞、そして図書館を備えたこれらの間に合わせ的な町に住む膨大な人々をもって、これらの抗議行動は、少なくともインド現代史上これまでで最大の抗議行動の一つと言われている。これらの抗議行動参加者たちは三つの農業法の廃止を求めているが、ここに姿を見せている群集は、農民のみに限定されているとはとても言えない。学生、失業青年、教員、アーティスト、さらに社会のさまざまな部分からの人々もまた、これらの抗議行動の一部になっている。

大規模抗議への発展の背景事情

 農民の82%が小規模で周辺的である全国レベルの数字とは逆に、パンジャブ州では、2ヘクタール以下しか所有していない小規模で周辺的な農民の数はおよそ32%だ。しかしながら、その数はハリヤナ州では全国平均にもっと近い――67%――。

 これら2つの州は、「緑の革命」(1960年代に米国が中心になって推奨した「発展途上国」開発方策の一つ、灌漑や化学肥料や多収量品種栽培などを軸に農業生産の急速増大をめざしたが、灌漑による塩害発生など後々にさまざまな問題も引き起こした:訳者)の心臓部だった。そして1970年代この方盛大な農業経済を経験した。90年代はじめ、農業の生産性が下降し始め、投入材コストが増大しはじめる中で、中央政府は補助金形態の農民への支援を取り上げはじめた。この高まり続ける危機は、多国籍で企業的なアグリビジネスの参入によってさらに悪化させられた。

 これらの要素が、4ヘクタール以下しか所有していない勃興しかけていた資本主義的農民に有害な影響を及ぼした。投入材とテクノロジーに要するコストの高まりは彼らを借り入れのサイクルに投げ入れ、それは、パンジャブだけでこの20年に2万人近い農民の命を奪った自死の波に達した。この国では1995年以来、農民の自死数が優に30万人を超えている、ということを心にとどめることが重要だ。農場で働いている土地をもたない者の数を加えるならば、その数字ははるかにもっと高くなるだろう。これは、新自由主義諸方策の実行以来この国を掴んできたすべてを巻き込む危機、そしてはるかにもっと深い沈滞、の印だ。

 「緑の革命」に引き続いて、買い上げ制度が確立されたが、その機能は、中央政府によって設定された最低支持価格(MSP)で小麦や米や他の食料穀物を買い上げることにあった。これらの食料穀物は、公正価格商店を通じて取るに足らない価格で貧困層が入手できるようにされた。

 しかし自由市場勢力からの圧力の下に、この公共配分システム(PDS)は深刻に弱体化された。三つの農業法の一つである不可欠商品法(修正)は、買い上げ制度とPDS解体に向けたもう一つの一歩だ。この法の下で、食料穀物のような蓄え可能な不可欠商品の退蔵が合法となり、大農業企業の利益のために食料価格を操作することを可能にしている。他方で、他の二つの法は、MSPを根こそぎにし、大規模アグリビジネスによる契約農業を推し進めることを目的にしている……。そしてそのすべては、農地保有者の大規模な二極化へと導く中で、大規模アグリビジネスにも巨大な利益をあげる可能性を与えるだろう。

農業担うのは農民か企業か

 衝突と闘争の基本線は極めて単純に設定され得る。……それは、農民による彼ら自身の暮らしと生計に関する支配―対―この政府が招き入れた農業部門に対する企業の支配だ!  これらの3法は、市場の自由を推し進めるという名目で買い上げと配分の制度を大きく掘り崩すことを狙いとすることによって、農民に対してだけではなく、インドの全勤労民衆に対しても一つの攻撃になっている。その上に中央政府は、一定の公的部門の企業を私有化するために、諸企業に彼ら自身の銀行の設立を許す提案を推し進めてきた。そして、その目的がまさに、より多くの支配と権力を私企業に、特に大企業に移すことによって、鉱業や製造業やサービス部門で労働者を臨時化し、契約化し、解雇することである、そうした四つの労働法令を押し通そうとしている。

 農民に対するこの現在の攻撃にもし政府が成功するならば、彼らは、都市と半都市の労働者に取りかかる彼らのその後のもくろみで、はるかにもっと強化されるだろう。これこそが、今日と明日の必要が、強力かつ長続きする労働者と農民の団結を打ち固めることにある理由だ!

 現在の抗議を理解するためには、われわれは、農業危機を超えてパンジャブ州とハリヤナ州における現地の悲惨な現状を調べなければならない。パンジャブ州の失業率は33・6%、ハリヤナ州でのそれは35・7%で、全国レベルよりも高い。その上に、この20年における小規模農民や周辺的農民の離農が、この危機を悪化させてきた。

 1990年代この方、投入材とテクノロジーの高まる一方のコストは、小規模のまた周辺的な農民にとって、農業を実行不可能にし、その大きな部分を農業の外部へと押し出してきた。2から4ヘクタールを所有している農民が、MSP形態での保証付き価格のおかげで、彼らのコストを辛うじて全部まかなうことができているに過ぎない。事実として、この不穏の心臓部にあるものは、深刻な失業、離農、そして多数の農民にとっての耕作不可能性という、これらの組み合わせにほかならない。

鍵は勤労民衆の諸闘争との連帯

 これらの抗議を他の反モディ政権抗議と異ならせているものは、左翼諸勢力の群を抜いて高い関与だ。これらの勢力の大多数は、インド左翼のマルクス・レーニン主義の伝統に属している。この事実は以前の抗議行動では見られなかった可能性を諸々開いているが、これらの勢力のイデオロギー的セクト主義は同時に、現在の不穏の潜在的可能性に制約も加えている。

 農業生産物に対して適切なMSPを確保するという課題は、マディア、プラデシュ、マハラシュトラ、ラジャスタン、ウッタル・プラデシュ、ウットラカンドから農民の支持を集めることになった。左翼は、これらの抗議を現在の権威主義政権反対の幅広い民衆的闘争に変えるために、またそれに反資本主義的性格を与えるために、あらゆる努力を払わなければならない。これらの抗議を広げ深めるために、勤労民衆のさまざまな層の要求を含めるための努力が払われなければならない。

 雇用世代のための要求と食料安全保障の要求の結合が、さまざまな地域を貫いて大衆内部でこの運動のアピール力と強さを高めることができる。これらの要求を追求することは、勤労民衆内部で支持を獲得する点で運動を助けると思われるだけではなく、それはまた、富農層の代表を周辺に押しやることにもなるだろう。差し迫ってある必要は、他で進んでいる勤労民衆の諸闘争との連帯を築き上げることだ。

階級政治への好機を逃すな

 左翼ポピュリズムは、左翼政治の最終的目標ではないかもしれないが、しかしそれは、反資本主義政治の一つの導入口になる可能性がある。左翼は世界中で、左翼ポピュリズムのあれやこれやの形態で再興を経験――米国、英国、スペイン、ギリシャがその事例のいくつか――してきた。これらの実験の多くは敗北に直面してきた。しかし一つのことは確実だ。つまり、それらは勤労民衆の支持を獲得することに成功したということであり、また勤労民衆の政治をさらに進める跳躍台として利用される可能性もあったということだ。

 左翼諸勢力の関与と一体化した現在の運動は、そうした階級政治に向かう出発点として活用される潜在的可能性を抱えている。左翼は、この可能性を認識し、この目標に向けて共に努力しなければならない。

 支配的な左翼勢力に対する最大の限界は、選挙政治に関する彼らのセクト主義だ。彼らにとっては選挙政治が、「修正主義的」主流左翼諸政党から「革命的な」M―L勢力を分ける点になっている。しかしながら、ヒンドゥートバ勢力(現政権の強力な支持基盤である原理主義的極右ヒンドゥー民族主義勢力:訳者)に対抗するためばかりではなく、反新自由主義の諸課題を支持する大衆を動員するためにも、この高揚する騒動に一つの選挙上の形態を与えるという、差し迫った必要がある。

 他方で、現在の騒動を支え強化する点で主流左翼が果たした役割は、十分ではない。彼らが重要な存在感をもっている州や地区でも、農業法廃止の課題をめぐるはるかにもっと大きな動員が求められている。

 これは、毛派諸組織が断言するような国家権力を奪取する農民蜂起ではないし、段階論的社会主義革命の支持者が主張するような富農だけの運動でもない。これは、民衆の多数が彼らの今この時の、またもっと長期の、生き延びを求めて闘っている最中の運動なのだ。左翼は、ヒンドゥートバに対する侮りがたい反対を形作るための、また彼らの陳腐なイデオロギー的繭殻から抜け出るこの好機を浪費してはならない。

(2020年12月20日、「ラディカル・ソーシャリスト」より)

▼インドのラディカル・ソーシャリスト組織は第4インターナショナルのパーマネント・オブザーバー。(「インターナショナルビューポイント」2021年1月号)