1220政治弾圧に抗議し、香港・中国の民主化運動を支援しよう

民主主義と人権は国境を越えて


人権・民主主義を確立しよう!

 12月20日午後2時から、新宿駅東口アルタ前広場で「民主主義と人権は国境を越えて~香港での政治弾圧に抗議し、香港・中国の民主化運動を支援しよう 香港連帯緊急アクション・スタンディング」がFight for Hong Kong 香港連帯緊急アクションの呼びかけで行われた。

 司会の京極紀子さんが「国家安全法によってジョシュア・ウォン(黄之鋒)、
アグネス・チョウ(周庭)らを初めとして懲役刑が下されるなど、厳しい弾圧が行われている。国際社会から大きな批判が起きている。日本で抗議し、闘いに連帯していきたい」と述べた。

 次に、稲垣豊さんが香港での弾圧状況(別掲載の行動呼びかけ文を参照)を報
告し、12月10日国際人権デーに中国国内で、人権弁護士やその家族が公安警察によって自宅軟禁に置かれる弾圧を受けている事例をあげて、香港での弾圧が中国国内の抑圧とつながっていることを理解し、東アジア規模での民主主義・人権の確立の必要性を訴えた。

思い思いの連帯アピールが続く

 続いて、参加した人たちからのアピールが行われた。

◦「彼らが間違っているわけではない。全人類への圧迫と同じだ。今日のような行動を通じて香港の人たちを勇気づけたい」。


◦「2018年12月南京大虐殺の前日に、香港人2人が靖国神社で抗議行動を1分
間やっただけで10カ月勾留され、10カ月と8カ月の懲役刑を言い渡され、国外追放された。今裁判は最高裁に上告され争われている。香港人への日本国内での弾圧にも抗議する」。

◦「今の香港弾圧は他人ごとではなく共通点が多い。オリンピックが平和の祭典だ
とされるのに抗議しただけで、家宅捜索されたり、ヘイト反対デモで警官に携帯電話を払われたりした。香港では反対派への攻撃として性暴力が行使された。日本では草津町の前町議の新井さんがレイプ告発したのに対して、逆に失職させられる攻撃にあっている。『日の丸』を掲げる人が香港連帯なんておかしい(日本が戦争で香港をじゅうりんした)。民主主義・人権・弾圧抗議に国境はない」。

 行動のまとめとして稲垣さんが「立法会選挙はコロナ感染で1年延長された。70議席のうち、民主派は22議席だったが4人がはく奪され、2人残して他全員が辞任した。来年の選挙は厳しいものになるだろう。『われわれは必ず戻ってくる』というスローガンを2014年12月に掲げた。そして昨年の運動が起きた。必ずもう一度戻ってくるだろう。連帯行動を続けたい」と述べた。  

(M)

 
 12.20行動よびかけより
 
 12月2日、ジョシュア・ウォン(黄之鋒)、アグネス・チョウ(周庭)、アイバン・ラム(林朗彦)の3人が昨年6月21日の香港警察本部包囲行動を扇動したとして、それぞれ13カ月半、10カ月、7カ月の禁固刑の判決を受け収監されました。実際にはけが人や被害など全くでなかった事件にもかかわらず、予想された通りの厳しい量刑となりました。運動全体に対する恫喝とあわせて、来年9月に予定されている立法会選挙への立候補を妨害する判決とも言えます。

 この判決は国際的にも注目されており、欧米諸国の政府も批判的コメントを発
する中、国連人権理事会から多くの勧告を受け続ける「人権後進国」の日本政府はほぼ沈黙を保っています。コロナ対策や人命よりもビジネス、基地建設、オリンピックを優先する人権軽視の姿勢がここでも貫徹されています。

 香港現地で声をあげづらくなっていますが、民主主義と人権に国境はありませ
ん。日本から抗議と連帯の声を上げたいと思います。ぜひご参加ください。

弾圧の厳しさ増す香港の状況 

 今年6月末に制定された香港国家安全維持法によって、香港の人権状況はさらに厳しさを増しています。12月3日には許智峯・元香港議員が滞在先のデンマークで亡命を宣言しました。彼は11月に中国全人代が4人の民主派議員の資格はく奪を決定したことに抗議して議員辞職した19人の民主派議員の一人で、「違法」集会への参加や議会での国歌法案審議の議事妨害など9つの容疑で起訴されていました。同日、米政府の制裁法制定のために資金援助した国家安全法違反の容疑で8月10日に逮捕され保釈中だったメディア王のジミー・ライ(黎智英)も別件の詐欺罪で検挙され、国家安全法を専門に審理する裁判官が保釈を認めず拘置所に収監されました。

民間人権陣線や元議員らにも弾圧

12月8日には、警察の許可がでなかった毎年恒例の7・1デモを無許可で行った容疑で民主人権陣線の副代表のフィーゴ(陳皓桓)、元立法委員の胡志偉、朱凱廸、梁國雄が逮捕。また11月に行われた中文大学の卒業式の際に昨年11月の中文籠城戦を模したパフォーマンスが国家安全維持法違反の疑いがあると大学当局が通報し12月7日に区議会議員2人を含む8人が検挙されているなど、民主派や本土派への弾圧が広がっています。

中国本土に連行され100日以上も接見禁止に

 昨年来の抗議行動で今年10月31日までに1万16人が逮捕、2210人が起訴されていますが、6月末から施行された国家安全維持法では、海外勢力との結託、国家分裂煽動などの容疑で海外指名手配6人を含む延べ44人が逮捕や起訴されています。また台湾への密航を企てたとして8月23日に香港領海上で拘束された16~33歳の12人の香港人は、中国・深圳に送還され、深圳の拘置所に勾留され弁護士や家族とも接見できない状態が100日以上も続いています。

強まる国家主義に抗して

 香港ではコロナ禍によって集会やデモが禁止されるだけでなく、SNSやメディアでの発言を含め声が上げづらくなっている状況です。東アジアや世界で、香港や中国の民主化と人権尊重を求めるための国際的な取り組みは今後ますます重要になります。というのもジョシュア・ウォンさんやアグネス・チョウさんらが社会運動にかかわったのは2010年に中国政府の意向を忖度した香港政府が進めようとした道徳国民教育の教科化に反対したことがきっかけでしたし、デンマークで亡命を発表した許智峯元議員の容疑は国歌法案反対での議事妨害でした。

日本の社会運動が香港・中国の民主化運動に連帯しなければならないたくさんの理由

◦日本でも戦後民主主義に対する反動として同じような国家主義的教育が進められており、それに対して長年「日の丸・君が代」や天皇制に反対する運動が続けられていますが、そういった運動こそ、国家主義に反対するアジアの若い運動とつながる歴史的回路をもっているといえるでしょう。

沖縄辺野古の米軍基地建設に反対する運動、自衛隊による西南諸島の再軍備化や武器輸出に反対する運動は、国家安全や軍事的衝突の危機を煽り中国・香港政府が人権や民主化運動を委縮させる動きを逆に促進させている日米政府の策略にくさびを打ち込む役割を果たすはずです。

◦人権侵害の移民難民政策を続ける日本の政策を変えようとする社会運動は、香港
や中国はじめ世界からの政治難民の受け入れにも大きく門戸を開くことにつながるでしょう。

◦菅政権によるデジタル庁やマイナンバー推進に反対する運動は、日本以上のデジタル監視社会である中国の人権侵害に苦しむ人々につながる回路を十分に持っているはずです。

◦民主的な職場や社会のために奮闘する日本の労働運動は、昨年来の抗議行動に試みられたゼネストの失敗を契機に誕生した香港の新しい労働組合運動や中国の労働者支援を続ける民主派労組とつながる労働者の国際連帯を実践することができるでしょう。

◦日本や世界の#MeToo運動は、権力だけでなく運動内部におけるマッチョイムズや性差別に苦しむ香港の友人たちとのシスターフッドを築くことができます。

◦日本の民族差別とたたかう人々や運動は、香港や中国国内において「抑圧民族」の民族差別に苦しむ人々とつながる優しさにあふれているはずです。

国境こえる民主主義と人権の実現にむけて

 このように日本における様々な人権侵害や差別とたたかう社会運動が、今後、長期にわたって厳しい状況を余儀なくされるかもしれない香港・中国の民主化運動に連帯すること、そして日本において政治的にも経済的にもより民主的で平等な社会をつくることこそ、香港、中国をはじめとする東アジアの民主化にとっての最大の貢献となるでしょう。それは台湾の経験からも明らかです。国境を超える人権侵害に対抗するには、国境こえる民主主義と人権の実現にむけて奮闘するしかないのです。ぜひご参加ください。