配信:防災 8月22日、東京都総合防災訓練に反対する実行委員会は、滝野川西区民センターで11月22日の「北区・東京都防災総合訓練」強行に反対していく取り組みの一環として「考えよう!防災訓練の問題性・危険性」をテーマに集会を行った。

 実行委員会は、11月22日の北区中央公園野球場などで行われる救出救助訓練と称する治安訓練に反対し、その柱を以下のように確認している。

 ①防災訓練は、「武力攻撃災害」の観点から「国民保護訓練」として位置づける。発動根拠として「緊急事態」を権力者が都合良く判断し、「大規模災害」だけではなく「戦争・内乱」「大規模テロ」「騒擾」(大規模デモ、ストライキなど)にわたって対処していくことにある。つまり、緊急事態条項追加改憲の先取りであり、緊急事態対処訓練である。

 ②防災訓練には自衛隊が参加し、その任務として宣撫工作、リクルート活動の場として展開する。そもそも「災害派遣」も「治安維持活動」の一種として位置づけており、テロリスト掃討などの戦闘、デモ隊を弾圧する「治安維持」が本質任務としてある。

 大規模災害時に緊急事態を理由として軍事組織に秩序維持の活動を担わせることは、関東大震災時の戒厳令下における警察・軍隊・自警団が一体となった朝鮮人虐殺によってその危険性が示されている。再生を許してはならない。

 ③「新型コロナ災害」を契機に警察による威嚇などの「自粛」強制に呼応し
「自粛警察」が横行し、ヘイトグループの活動も活発化している。加害の歴史を否認し、米軍・自衛隊との連携を前提とした緊急事態条項追加改憲を先取りした国民保護に通じる防災訓練に住民や児童・生徒を動員することは人権の否定につながる。

 そのうえで防災訓練は、「新型コロナ災害」を踏まえ、来年開催予定の「東京オリンピック・パラリンピック2020」戒厳体制を見据え、緊急事態対処訓練として行おうとしている。実行委は、このような動向・性格全体と対峙し、支配者たちの野望を打ち砕いていくための反撃として取り組んでいく。ともにスクラムを広げていこう。

 実行委から開催あいさつが行われ、「差別・排外主義の動きが加速され、右翼らの関東大震災時の朝鮮人大虐殺は、デマだというキャンペーンを強めてきた。小池都知事も関東大震災時に虐殺された朝鮮人の追悼式への挨拶状を出すのをやめ、規制を強めている。都知事選での小池の圧勝、日本第一党の躍進、維新の暗躍など、徐々に右翼の浸透が広がっている。この流れの中で防災訓練の危険性、私たちの取り組みを探っていきたい」と発言した。

 愼蒼宇(シンチャンウ)さんは、「関東大震災時の朝鮮人虐殺 官民一体のヘイトの歴史的源流をたどる」というテーマで講演した。 「石原都知事(2000年)の『三国人』発言、『新型コロナ』も含めて緊急事態の中の差別主義の表出、暴力の連鎖が広がっている。自衛隊の出動は差別主義の表出、暴力の連鎖とは関係ないと見られているが、歴史的にみれば関東大震災時、日本軍隊は戒厳令下で率先して差別・排外主義の先頭に立った。事後処理の中で責任を自警団に押し付けた。官民一体による朝鮮人虐殺には歴史的背景がある。震災時、官民が一時的に興奮して虐殺を行ったのではなく、そこに至るまでの道のりがある」。

 「戦争というと『15年戦争』の枠組みでしか連続的にとらえてこなかった。日
本近代史の戦争の不在を問いただしていかなければならない。朝鮮総督府・軍・警察は、常に朝鮮人を騒擾予備軍として予防的支配を実施していた。民族運動の弾圧をした。植民地支配とは、戦時と平時が常に隣り合わせだった。日本の植民地支配の責任についての議論は低調だ。植民地犯罪と向き合っていくこと、戦後七五年たった現在も問われている。植民地犯罪の根幹にたくさんの軍事暴力があり、その中に関東大震災時の朝鮮人虐殺がある」。

 「朝鮮半島は、現在も南北に分断されたまま朝鮮戦争も終結していない。南北
分断を背景に日本は、アメリカの冷戦政策に乗る形で植民地責任の問題を根本的に解決しないまま、被害者と歴史認識の克服をおきざりにしてきた。現在の対朝鮮人ヘイトが100年前の官民の朝鮮人に対するものとほぼ同様の蔑視と偏見、憎悪が時代を越えて表出している。植民地主義は、いまだに官民にへばりついている。日本の罪と加害責任を明確にし、近現代の日朝関係に向き合っていくしかない。
だが、はてしなく遠く感じている」。

 問題提起が三人から行われた。

 片岡万里子さん(医療労働研究会)は、「新型コロナ災害下の命の選別とトリアージ」をテーマに「天皇制国家における医療の本質は、戦後も続く優性保護法体制のもとで、国家にとって有用か否かで選別し、排除することであり続けてきた。『コロナ』以前から医療は破綻状態であり、現場での日常的な選別・切り捨てで顕在化しないできた。すべての人に差別なく必要な検査・医療を無料化すべきだ。『臨時』ではなく、大幅増床、医療労働者の大幅増員が必要だ」と述べた。

 伏見忠さん(都教委包囲ネット)は、「生徒動員・一斉休校・そして今」を取り上げ、「学校は防災教育と称して動員に応じてしまう。実態は、防災ショーに取り込まれているのが実態だ。生徒管理を強化して宿泊防災訓練というプログラムまである。コロナ下でこの訓練もなくなった。北区の防災訓練に対して都立高校の動員は、今年にかぎってない。ただ来年以降、どうなるかわからない。この間、高校生を地域に動員していく傾向は強まっている。つまり、災害時に高校生を使うことにある。自衛隊も宿泊訓練の時、介入してきてリクルート活動をやっている。ただ防災訓練に異議ありと言う教員が少なくなっている。警戒は続けていかなければならない」と報告した。

 池田五律さん(有事立法・治安弾圧を許すな!北部集会実行委員会)は、「自衛隊の緊急事態と防災訓練」をテーマから①緊急事態対処と軍隊 ②戦後から1980年までの緊急事態をめぐる動き&災害派遣の法的根拠 ③ビッグレスキューへの道 ④東京都総合防災訓練と自衛隊統合防災訓練(2007) ⑤2019年の動向 ⑥新型コロナ災害下の動き―について報告した。

 最後に主催者から関東大震災朝鮮人虐殺追悼式をめぐる動き、東京都防災訓練の動向が報告され、参加を呼びかられた。

(Y)