Eaw1ItsU8AA2H3q(画像は「宇都宮けんじ広報」ツイッターから)

都内での感染が続いている。

徹底したPCR検査が行われていないのでどの程度感染が拡大しているかわからない中で、さらに都のコロナ対策は場当たり的なものになっている。6月20日の会見で小池都知事は「マスクオフde休憩を」と言い出した。温暖化により今年も猛暑が襲うことは確実である。炎天下マスクを着用することは命の危険がある。6月9日にはマスクをつけて歩行訓練をしていた自衛隊員が死亡したことが報道されている。

「東京アラート」が解除されたが、その後も新規感染者数は警報を出す基準である「1日20人未満」を超え続け、その後小池都知事は「東京アラート」の基準を緩和することを発表した。感染の広がりにより基準を超えたら基準を変えてしまう。これはそもそも基準が科学的な根拠に基づいていなかったこと、今後も自らの政策に不都合なデーターが出てきたら基準を変えて感染の広がりをなかったことにするということである。このような都知事の下で2波が襲えば、感染ばかりでなく補償なき自粛により多くの犠牲が生み出される可能性がある。このような意味でも、今回の都知事選は、都民の生存権がかかった選挙だ。

 6月17日、日本記者クラブで立候補予定者5人の共同記者会見が行われた。当初、出席しないと言われていた小池都知事も出席した。

しかし、質問に直接答えることなくはぐらかすばかりの態度はひどいものだった。宇都宮さんから、オリンピックにこだわりコロナに対する初動が遅れたのではないかと質問されると、「その指摘は当たらない」となんの根拠も示さず開き直った。さらにカジノ誘致について問われると「メリット・デメリットを研究していく」と答えをはぐらかせた。

しかし小池都知事は、「東京都ほど長年にわたってIRを研究しているところはない。」として「稼ぐ東京」を掲げてきた。「東京大改革2.0」の「稼ぐ東京」は、地場産業の復興なのではなくカジノのことだ。18年に都の委託を受けてIRについての調査報告をまとめた監査法人トーマツは、19年には都立病院の地方独立行政法人化の報告書もまとめている。このような報告書をまとめるのに1億円近い税金が使われている。

また記者から第2波への備えを質問され「自助・共助・公助」と答えたことに対して、重点は順番のとおりかと再質問されると「バランスは今後進み方次第」とはぐらかした。まさに小池都政の4年間を象徴するものだった。温暖化が進行しておりスーパー台風のような災害への備えが待ったなしに問われている。災害への備えの重点は、コロナであっても台風であっても、まずは公助である。

小池都知事は3密の避難所を開設するつもりのようだ。これに対して宇都宮さんの公約にはこうある。「災害時避難について、避難所・避難施設の確保、災害弱者・帰宅困難者・女性・高齢者に配慮した避難施設整備に取り組みます。」

6月15日(月)れいわ新鮮組代表の山本太郎代表が都知事選への立候補を表明した。

その公約の多くは山本候補が立候補会見で述べたように、宇都宮さんの公約と重なる部分が多い。コロナ失業・ロスジェネ対策として都の職員を3000人増員、全都民への10万円の給付などの訴えに心うごかされた人も多いだろう。これらの公約に対して「ばらまき」との批判が出ている。コロナ禍での失業の広がり、暮らしの破たんは、まだその全貌が明らかになっていない。そのような中で、反貧困運動の現場に関わってきた山本候補の実感から生み出された政策なのだろう。

山本候補が立候補会見で述べたように宇都宮さんとの一番の違いは財政である。公約では数回に分けて起債を行い、総額15兆円を確保するとしている。都がこの間、政策調整基金の95%近くを取り崩したことを指摘して、「貯金がないのであれば(略)都が独自に財源を確保する以外に、都民を守れません。(略)都として、地方債を積極的に発行します。」と主張する。この点に山本候補が掲げた公約の良く言えば粗削りな点が象徴されている。

税収で自らの政策が実現できないと判断した場合、まず行うのは予算の組み換えである。「東京オリンピック・パラリンピックの中止」を公約の一番に掲げているが、オリ・パラや不要不急な道路建設の中止など政策の見直しと予算の組み換えが書き込まれていない。おそらく都の予算を吟味して批判する時間的・人的余裕がなかったのだろう。

先ほど指摘した監査法人トーマツの都立病院地方独立行政法人化の調査費は、都立病院の充実や都民医療の充実のために使われるべきだった。おそらくIRの調査費用も億単位の税金が使われていたはずである。このような都民の利益に反し大企業を利するだけの税金の使われ方は、綿密に調査すれば無数にあるはずだ。

また「さっさと10万円」給付よりも、権利としての生活保護を定着させるように区に厳正な指導を行い増加した生活保護費を都が補填する、国民健康保険料の値下げなど都民の生活を底上げするために「さっさと」できることは沢山ある。予算の見直しでは財源が確保できそうにないから起債というのはかなり乱暴な議論である。

「超健全団体の東京都債なら多くの金融機関が欲しがる」と言っているが、債権はそれを引き受けるメガバンクなどを富ませるだけだということも指摘しておかなければならない。

 山本候補と宇都宮さんの支持者は重なっている。そのため、宇都宮さんへの支持を拡大していくためには山本候補の公約の問題点を押さえておくことが大切になる。しかし最も重要なのは、小池都政への徹底的な批判である。

 2波に備えるには、都立・公社病院の地方独立行政法人化を中止し、コロナ対応のために倒産の危機に瀕している医療機関を救済し、統廃合され機能低下した保健所を拡充すること。自粛により生活破たんに追い込まれた人々の生活保障を徹底することである。

 大企業優遇・開発・イベント優先の政治から、一人一人の生存権を保障する都政への転換を実現するために。宇都宮さんの政策を地域に職場に学園にくまなく広げよう。

(6月20日 矢野薫)