_20200602_013203小池都知事が非常事態宣言以降、知事選への出馬表明のないまま露骨なメディアへの露出を繰り返してきた。

小池都知事のパフォーマンス政治は、2月12日都内で一人目の感染者が確認されてから3月24日にオリンピック延期が決定されるまでの約1か月半、小池都知事がオリンピックに開催にこだわり続け、コロナに対して何ら具体的な対策を取ってこなかったことを覆い隠した。

さらに安倍政権の、補償のないまま自粛を「強制」する、一世帯に2枚のマスクを配布するというなど愚策のオンパレードが、小池都知事の評価を上げることになった。

一方、統一候補の擁立を模索した野党は、いくつかの名前が浮かんでは消えたが、告示まで1か月を切っても候補を決めきれず。このままでは不戦敗かとの悲観論が聞かれるまでになっていた。

5月27日に宇都宮健児さんが都知事選への立候補を記者会見で発表した。それを受けて共産党が支持を表明し野党統一候補とするように各野党に呼びかけている。その結果はどうなるか不透明だ。

本来選挙における支持決定は、その候補者の政策が明らかになってから、それを評価し機関で決定されるべきものである。しかし私は、今回すでに告示まで2週間ほどしかない。そこで、まず一個人として宇都宮さんへの支持を訴える。

宇都宮さんの政策文章は、5月27日の会見で発表された「東京都知事選出馬にあたって」しかない(下記参照)。そこで表明されている立場は、コロナウイルス感染症が拡大する中、国と東京都の二重の無策の下に苦しめられている民衆と共に、困難に挑戦しそれを共に運動の力で解決しようとするものであり、左派として十分なものである。

また前回不出馬になった都知事選以降も宇都宮さんは都議会の傍聴を継続し、都立・公社病院の地方独立行政法人化反対運動や、羽田空港新ルート低空飛行反対運動などにコミットしてきた。前回不出馬以降地道に継続されてきた宇都宮さんの運動の成果が、「出馬にあたって」ではコンパクトに漏れなく表現されている。

今回、宇都宮さんが勝利するためには、前々回よりもより時間がない中で、さらに広い層の支持を獲得する必要がある。今まで『革新系』候補に投票したことがないような中間層、とりわけ今回の自粛により経済的打撃を受けた商店主などに支持を広げ、保守層・支配層に動揺を与えることができれば勝利のチャンスが確実に広がるだろう。

時間がない中、立候補を決意した宇都宮さんを支え、その政策を全都に急速に広めよう。一人一人がSNSなどでつながって、資金を集め、ポスターを貼り、運動を前に進めよう。今回の都知事選は宇都宮さんが会見で述べたように「都民一人一人の生存権がかかった選挙」である。この闘いを多くの人々と共に担おう。

(2020.5.31 矢野薫)


東京都知事選出馬にあたって

2020年5月27日 宇都宮けんじ
http://utsunomiyakenji.com/2889

  • 今回の都知事選で問われているもの

都民の生存権がかかった選挙である~都民一人ひとりの雇用を守る、営業を守る、住まいを守る、生活を守る、命をまもる~。

  • 緊急の3課題

1.新型コロナウイルス感染症から都民の命を守る医療体制の充実と自粛・休業要請等に対する補償の徹底

(1)PCR検査態勢充実

(2)病院や保健所、医療従事者に対する財政支援の強化

(3)病床、人工呼吸器・ECMO(人工肺装置)・マスク・防護服などの医療器具の充実

(4)自粛・休業などにより収入が減少した中小事業者に対する補償、仕事を失ったり収入が減少した非正規労働者、フリーランス、学生などに対する生活補償を徹底して行う。

2.都立・公社病院の独立行政法人化を中止するとともに、これまで以上に充実強化を図る。

3.カジノ誘致計画は中止する。

  • 重視する8課題

1.学校給食の完全無償化~子どもの貧困をなくす。

2.東京都立大学の授業料を当面半額化し無償化をめざす~誰もが学べる東京を実現する。

3.都営住宅の新規建設、家賃補助制度・公的保証人制度の導入、原発事故避難者に対する住宅支援~住まいの貧困をなくす。

4.公契約条例の制定、非正規労働者を減らし正規労働者を増やす~働く者の貧困をなくす。

5.災害対策(防災、減災、避難者対策など)を強化する~自然災害から都民の命と財産を守る。

6.道路政策(外環道、特定整備路線、優先整備路線)を見直す~地域住民の意見に耳を傾ける。

7.羽田空港新ルート低空飛行の実施に反対する~都民の命と暮らしを守る。

8.温暖化対策(CO₂の排出削減、自然再生エネルギーの充実など)を抜本的に強化するとともに緑と都市農業を守る~地域環境、自然環境を守る。