配信:浅見講座アジア連帯講座:10・25公開講座/文京区民センター

イギリスは今 ブレグジット(EU離脱)をめぐる労働組合運動の状況

講師:浅見和彦さん(専修大学)


 イギリスの経済危機などを背景に2015年5月の総選挙で保守党は、英国の「ブレグジット」(欧州連合離脱)の是非を問う国民投票の実施を公約し、16年6月に国民投票を行った。結果は、離脱賛成が過半数だった。ところが保守党のメイ首相は、EU離脱協定案を議会に提出したが、否決。「ブレグジット」をめぐって混迷を深めていくことになる。メイ首相辞任後、7月に保守党党首となったボリス・ジョンソンは、「EUとの合意があってもなくても2019年10月31日の期限までに必ず離脱する」と公言。労働党は、第2回国民投票案が提出されれば支持すると表明しているが、内部的にはスタンスのとり方の違いある。


 このような流れの中で左派系・労働組合はどういう態度なのだろうか。「レフト・ユニティー(左翼統一)」(映画監督のケン・ローチなどが呼びかけ、2013年11月に結成)は、「今回の国民投票は、反移民感情に突き動かされ、レイシズムが焚きつけた極右からの圧力がもたらしたものだ。これは英国の政治史の中で最も反動的な全国運動であり、極右の公然たる登場に結果してしまった」と批判。また、左派系も「レイシズム、外国人排撃、英民族主義の右翼の構想」と批判してきたが、諸傾向と温度差があり一括りできない状況だ。


 分析・評価するための情報が少ないなかで、英国の「ブレグジット」問題をこじ開けるための第一歩として公開講座を設定した。浅見和彦さん(専修大学)は、「現代労働組合研究会/新しい労働組合運動のゆくえ・戦後労働運動の歴史をたどり、イギリス運輸・一般労組の研究」というテーマで研究活動を行ってきた。浅見さんから「ブレグジット」問題をめぐる労働組合の諸傾向、人々の動向などのレポートを含めて報告してもらった。


btbrexit201903312ブレグジット(Brexit)問題―背景と経過

  2016年にブレグジット(EU離脱)をめぐる国民投票が行われた。国民投票を実施したのは、キャメロン政権だった。戦後は、保守党か労働党の単独政権だったが、保守党だけでなく自由民主党という第三党の力を借りて、戦後初めて連立政権として成立したのがキャメロン政権だった。

 なぜ国民投票を行ったのか。連立政権を組まざるを得ないなかで、保守党内の離脱強硬派(ボリス・ジョンソンなど)の存在があり、また当時、UKIP(イギリス独立党)という党派もできた。保守党の政治基盤の弱体化への危機感が一方にあり、しかしながら党内では解決できず、そのため国民投票にかけて、危機を「克服」しようとするという動機もあった。

 連立を組んでいる自由民主党は、元々は残留派で、国民投票にも反対だった。だがキャメロンが打って出たのだ。

 当時、誰もが離脱が多数を占めるとは思っていなかった。しかし、結果は投票率72%で、「離脱」52 % 、「残留」48%で、離脱派が多数派となり、みなが驚いていた。

 キャメロン首相も辞任せざるをえず、その後メイが首相になった。

 なぜ離脱派が多数となったのか。保守党の元副幹事長のアッシュクロフトは、世論調査会社を持っていて、保守党の政策に反映させるため、およそ13000人が回答したアンケート調査を行い、国民投票の分析を行っている。

 それによると、特徴としては、若い人は残留支持が多く、 18-24 歳は73 %が「残留」に投票、 25-34 歳は62 %が「残留」で、他方、45歳以上は過半数が「離脱」で、とくに 65 歳以上は60%が「離脱」だった。

 労働者のなかでは、残留支持が多かった。労働者(フルタイム、パートタイム)の過半数は「残留」で、大卒労働者の 57 %は「残留」、専門職・管理職も 57 %は「残留」支持だった。

 政党支持別(2015 年の総選挙時の投票先)に見ると、 保守党支持者は離脱派が多く、 53 %は「離脱」だった。 UKIP(イギリス独立党)への投票者は、当然ながらほとんどが「離脱」である。

 それ以外の党では「残留」が多数を占めた。労働党への投票者の 63%は「残留」 、スコットランド独立党(SNP)の 64 %は「残留」 、自由民主党、緑の党の投票者の7割以上は「残留」であった。

 「離脱」派の最大の理由(49 %)は、「イギリスのことはイギリスが決めるべき」 (いわゆる「主権」問題)が多かった 。「離脱」派の 33 %は、「入国審査と国境管理の回復」 を理由にあげている。この調査では問われていないが、新自由主義的な政策に対する反発で、底辺の人たちがかなり強い抗議を示したといわれた。

 「残留」派は、経済・雇用重視している。「残留」派の最大の理由(43 %)は、「離脱すれば、経済、雇用、物価などへのリスクが大きすぎること」 であり、「残留」派の 31 %は、「イギリスと単一市場との双方にとって最善だから」と答えている。

 2017年に総選挙がおこなわれた。保守党 313議席(-13)、労働党 262 議席(+30) という結果だった。労働党は、コービン党首で左派的な反緊縮政策が支持されていた。

 議席を減らした保守党は北アイルランドの民主統一党と連立政権を組み、第二次メイ政権はジョンソン外相らの強硬派を含めて発足した。メイ自身は、もともと残留派だった。

 メイ政権は、EUとの交渉では移行期間、清算金などは合意したが、北アイルランドとアイルランドとの国境問題で対立が続いた。EU側は、北アイルランドだけは、EUの関税同盟に残せという要求だった。離脱強硬派は、これに反対した。

 2019 年3月 29 日の離脱起期限は、まず4月 12 日まで延期になり、さらに 10月 31日まで延期となった。 2018年 11月、メイ政権が EUとのあいだで離脱合意案をまとめるが、今年に入って、離脱合意案は3度にわたってイギリス議会で否決され、メイ首相は辞任に追い込まれた。

最近の動き

 7月に保守党の党首選挙があり、ボリス・ジョンソンが外相のハントを破り、党首となって、首相に就任した。

 ジョンソンは、9月からの「議会休会」強行しようとしたが、議会内の反発と「クーデター反対」の大規模デモが行われた。最高裁も、「議会休会」に対して「違法」の判決を出した。

 この過程において保守党内の穏健派の離反で、議会の過半数割れとなってしまう。保守党内の1人が自由民主党へ移り、この時点で過半数割れとなる。 さらに、前財務相などの保守党の有力者を含む21人が造反し、除名された。結果、大幅に過半数割れとなったのである。

 労働党など野党と保守党の除名組が離脱延期法案(交渉期限の3か月延期〈2010 年1月末まで〉を EUに対して政府が要請することを求める法案)を提出し、可決された。法案が成立したためジョンソンも要請せざるをえなかった。

 労働党の態度は、どうなのか。コービンは、党首としての声明(2019年6月)で、「合意なき離脱も、保守党による離脱にも反対し、私としては、労働党が残留を支持するキャンペーンをおこなうことを鮮明にしたい」という態度を示した。ただ労働党としての結論ではなかった。

 10月25日、ジョンソンは、労働党に総選挙をやらないかと呼びかけた。解散・総選挙には下院の3分の2の賛成が必要で、保守党、労働党がOKを出さないと総選挙ができないからだ。

 2019年9月末の労働党大会でコービンは「離脱の52%ではなく、また残留の48 %でもなく、99%のために」とあいまいな発言をしている。影の離脱担当相のケア・スターマーも、あいまいな残留支持の立場だ。

 「週刊かけはし」に掲載されていたアラン・ソーネットの論評(10月21日号)は、態度がはっきりしていると評価しているようだが、全体としてはそうとは言えないと思う。

 なぜかというと、労働党の中のコービンとコンビを組んでいる最左翼の影の財務相マクドネルは、「残留」をより強調したい意向だったし、左派組合の UNISON(公務員)があいまいさに反発し、「残留」を強調している。つまり、労働党は「残留」で固まっていないということだ。

  ジョンソン政権がEUとあいだで合意した協定の改訂案

 ジョンソン政権とEUは、改訂案で合意したことを発表した。基本的な性格は、①メイ前首相のときのハードボーダー(バックストップ)を回避する ②その他の部分は、基本的にはメイのときの協定案と同じだ。

 関税については、① イギリスは EUの関税同盟から(形式的には)離脱する ②したがって、離脱後は、イギリスは各国とのあいだで貿易協定を締結する ③法的には、北アイルランドとアイルランドの国境での関税に関する国境ができる ④しかし、実際には、グレートブリテン島から北アイルランドへ送られる物品について自動的に課税されるわけではない。 ⑤イギリスとアイルランドの共同委員会で、どの物品に課税するかを決めることになる ⑥一般の人が送る物品には課税されない ⑦北アイルランドは、イギリスの規制や関税ではなく、EU の規制や関税が適用されることを意味する。

 移行期間は、メイのときと同じで、2020年末までで、1~2年の延長も可能となっている。市民権は、移行期間中は、イギリス国民の EU 諸国での市民権、EU 諸国の国民のイギリスでの市民権は保障される。清算金は、正確な金額は決まっていないが、日本円でおよそ4兆6千億円を 2022 年末までに 支払うことになると推測されている。自由貿易協定は、イギリスがEUから脱退して、独立した国として、経済関係について他の国とどうするのかとなった場合、各国と貿易の協定を結ぶ形になる。来年の9月に会合を開く予定といわれる。

 整理すると、最初は北アイルランドだけはEUの関税同盟に入れておけというEUの姿勢が、ある程度軟化して、形式的に離脱するという形を認めた。それを保守党の強硬離脱派も受け入れた。ただ現実には、北アイルランドは特別扱いで、EUのいろんな規制や関税に関するルールが適用されることになった。実質的には関税同盟から脱退しない。形式と実質を、言い訳的に使ってEUの譲歩をイギリスが勝ち取ったんだ、という評価にしている。

 北アイルランドとアイルランドの関係だが、アイルランドはEUの加盟国なので、これからは共同委員会で協議していくことになる。イギリスとアイルランドと相談するといっても、アイルランドはEUの加盟国だから、イギリスとEUが相談するような形になってしまっている。当然、おかしいという批判は出ている。
 
 10月 17日に、ジョンソン政権の改訂案に対して、EUは合意した発表している。翌日には、EUは 27カ国(イギリス以外)の首脳会議が一致して承認した。

 10月19 日、ジョンソンは議会で改定案の採決を求めたが、保守党を除名されたレトウィン議員提案の動議によって、法的な準備が整うまで、離脱条件の採決を延期することになった(322票対 306票)。この間、再度の国民投票などを求める大規模デモが行われた。

b479d07a30fc41129e28ad46aa2f9d90_18 労働党の変貌と現状― 2015年以降

 2015 年労働党首選で、最左翼のジェレミー・コービンが右派のオーエン・スミスに勝利した。以降、党内右派は「コービン不信任」動議などの抵抗を続けた。

 しかし、2017年総選挙で労働党は30議席増となった。党内外で、コービン主導で行った政策が受入れられたと評価され、コービン派の地盤の拡大・強化されることになった。そして、労働党党員が50万人以上に増えた。

 党内左派のコービン支持グループである「モメンタム」 が 2015年結成され、現在、4万2000人のメンバーを擁している。 当初は、非党員も少なくなかったが、その後は党員であることが条件になった。

 1980年代、トニーベンを中心したに左派グループがあったが、コービンが当選すると、それら党内外の左派系の人々が労働党に再結集してきた。同時に、党外の政治グループをブロックする必要があった。それが、社会主義労働者党(SWP)や社会主義党(SP)などの加入戦術に反対という態度の現れであった。

 欧州を見ると、ドイツ社民党、フランス社会党が衰退しているにもかかわらず、イギリス労働党は増えるという対照的な動きがある。ギリシャ、スペインでも急進左派の登場があるが、最近は失速しつつある。イギリス労働党が欧州最大の左派政党になったというのは興味深い現れだ。

ブレグジットに対する労働組合の態度
新自由主義の下での労使関係


 1979年以降、サッチャリズムとニューレーバーの下で労働組合運動は後退していった。ストライキなどの労働争議も激減していった。イギリスは、もともとストライキは法的な権利保障がなくて、免責があるだけだ。ストライキをやったら組合が損害賠償されることはない(民事免責)し、ストライキをやっても恐喝とはならない(刑事免責)というものだ。

 1979年から1997年まで保守党政権だった。この間、労働組合規制法をたくさん作った。例えば、クローズドショップに対し、組合員の雇用を優先するような協約を作ってはいけないとした。組合員を雇用させるという組合側のメリット、企業側も熟練労働者を確保できるというメリットがあったが、それが否定されたわけだ。

 組合のストライキなどの方針決定の時、挙手で採決するのとはだめだとなり、かならず秘密投票をおこなえとなった。連帯ストライキを禁止した。他産業の労働者との連帯ストライキだけではなく、同一産業の労働者との連帯ストライキも禁止された。自分の企業の使用者にたいするストライキだけが認められるとなったのだ。

 1997年以降、2010年までの13年間の労働党政権(ニューレーバー)も、サッチャー、メジャー政権時に作った労働組合規制法を一本も廃止していない。

 ただ変わったのは2つある。1つは、全国一律最賃と一定の条件の下での組合承認制度(使用者が団体交渉に応じなければならない制度)が導入されたことだ。イギリスでは、一般に組合の実力で団体交渉を認めさせなければならない。使用者側に応諾義務がないからだ。

 労働組合の組織的な後退が目立つ。サッチャー政権成立時の1979年の 54%から 2018年の 23%へ下がっている。

 産業別交渉機構の廃止と労働協約適用率の縮小も大きい。 協約の適用率は、1980 年の 86 %から 2018 年の 20%へ下がっている。

 大陸欧州諸国、北欧諸国は労働組合組織率が高い。ドイツ、オーストリア、イタリア、フランスの労働組合の組織率はそんなに高くはないが、協約適用率が高い。これは拡張適用制度があり、同じ産業内に適用できるシステムを作っているからである。

 イギリス、日本、アメリカ、韓国は労働組合組織率も、労働協約適用率も低い。

 イギリスには拡張適用という制度がないし、かつての産業別の交渉が潰された。ところが労働組合はその対応に対して反対しなかった。産業別交渉機構は、労働組合専従の右派がやっているからだというのが理由だった。昔は、全国交渉をやっている人たちは右派の人たちだった。しかも交渉による賃金水準は実収賃金の半分ぐらいの場合が多く、あとは職場で頑張らないと獲得できないから、左翼的な人たちは企業内で頑張れという傾向が強かった。日本の場合は、企業横断的に闘えと主張されてきたが、イギリスの場合はそんなものは役にたたないという評価だった。

 さすがにそれではまずいので、労働党の「マニフェスト 2017」では、労働法の学者などの意見を取り入れて、 産業別交渉機構の設置の義務化を提案している。

 EU指令とイギリスの労働改革

 イギリスの労働組合がEUに残留すべきだという理由の1つとしてあるのが、サッチャー保守党政権時代にできた集団的労使関係の法律は変わっていないことだ。むしろEUに加盟していることによって、労働者の権利を守るために国内法を整備しろというEUの指令によって労働者の権利が守られるという形になるからだ。労働運動の力が弱まっていることもあり、運動で諸条件を勝ち取っていくというよりは、EUに依存する傾向がある。

 EU の指令による労働改革には、①労働時間・年次有給休暇、②妊娠・出産休暇、③ 年齢・宗教・信条・性別による差別の禁止、④パートタイム労働者や有期雇用労働者などの非典型労働者の権利、⑤派遣労働者の均等待遇、⑥事業継承に伴う 労働者の権利、⑦情報・協議の権利、⑧健康・安全がある。

 イギリス労働組合指導層の変化

 全国組合の指導部には左派の人たちが多い。全体として労働組合は後退しているのに、役員のトップだけは左翼が多い。

 振り返ると、1970年代は共産党が強かったが、1980年代以降、共産党の分裂・後退とトロツキスト諸派が進出してくる。とはいえ、職場の活動家層が 1970年代のように厚みがあるとは言えない。

 労働組合の中央執行委員レベルには、かなりトロツキストがいる。 なかでも、かつてトニー・クリフが率いていた社会主義労働者党(SWP)と旧ミリタントの分裂後の多数派である社会主義党(SP)が中心だ。最大労組のUnite(一般/123万人)の執行部には、SWP1人とSWPから分かれたカウンターファイヤー1人の計2人のトロツキストがいる。2番目のUNISON(公務公共/119万人) には、SWP4人とSP6人の計10人のトロツキストが中央執行委員にいる。

 教員組合も45人の中執のうちSP4人、SWP3人、労働者解放同盟(AWL)2人の計9人がトロツキストで、公共・民間サービス労組には37人の中執のうち10人がSWPとSPによって占められている。大学教職員組合にいたっては、64人の中執のうち15人がSWPだ。主要組合の中執には56人のトロツキストがおり、かなり指導部に入っているといえる。

 SWPは特定組合に集中し、旧ミリタントのSPはいろんな組合にいるのが特徴だ。

 労働組合のブレグジットに対する態度はどうなっているか。主流派は、残留支持だ。Uniteはコービン支持の最大中核勢力で、UNISON は、コービン労働党に対して、「残留」をより明確にすることを2019年大会で要求している。穏健派の GMB(一般/61万人)、USDAW(小売・流通関連労組/43万人)も残留支持になっている。

 離脱支持派は、中小組合で、最左翼のRMT(鉄道労組/8万5000人)とBFAWU(製パン・食品関連労組/1万人)だ。

 ナショナルセンターのTUC(イギリス労働組合会議)に加盟する主要労働組合の態度は、国民投票の時と基本的な変化はない 。TUC非加盟の「中立」組合が「残留」支持へ転換したケースがあるだけである。

労働党外の左翼諸党派―その勢力とブレグジットへの態度

 基本的に多数派は、離脱支持派だ。

 労働党以外では最大党派の社会主義労働者党(SWP/5886人)は、 2016 年の国民投票でも離脱を支持した。態度は、①資本家のためではなく、労働者のためのブレグジットをめざす②EU は資本家のクラブであり、労働者とその権利を擁護しない。左翼ブレグジットのためのたたかいが必要③総選挙でのコービン支持、保守党打倒などである。

 旧ミリタント分裂後の主流派である社会主義党(SP/2000人)は、社会主義的綱領をもって、コービン政権を樹立し、EUとの交渉を、という立場だ。①離脱派の組合のRMT(鉄道労組)や BFAWU(製パン・食品関連労組)以外の労働組合指導者は、資本家クラブである EU からの離脱という挑戦を提起できていない②労働組合運動の左翼的転換、労働者によるブレグジットを③欧州諸国で社会主義諸国家を樹立し、その連合をつくろう、という主張だ。

 イギリス共産党(CPB/769人)も、 国民投票でも EU 離脱支持した。①総選挙での労働党主導政権の樹立を支持するが、EU 在留に反対し、国民投票の結果にもとづいて離脱すべきだ②EU の改革 は不可能である③TUC が EU の指令などがイギリス労働者の権利保護に 貢献していたとしている見解に同意できない、としている。

  SWP から分裂したカウンターファイヤー(Counterfire/300人)は、民衆のブレグジットのためのたたかいを広げる、という態度だ。

 旧ヒーリー派の労働者革命党(WRP/120人)は、国民投票でも EU 離脱支持し、革命でこそ真のブレグジットが実現できる、と 主張している。

 残留してたたかうという態度のトロツキスト党派は、2つしかいない。

 労働者解放同盟(AWL/140人) は、国民投票時も EU 離脱に反対した。現在も、残留してたたかうとする路線で、当面、欧州レベルにおける民主主義的で連邦制の欧州合衆国を樹しよう、という立場だ。

 第4インター派のソシアリスト・レジスタンス(SR/95人)は、EU 残留支持の態度で、①EUが資本主義の進歩的形態であるという理由によるのではない②ブレグジットは排外主義と極右にドアを開くことになるからだ③「もう一つの欧州」は可能であり、欧州左翼とともにたたかう④労働党のなかで活動し、コービン労働党政権の樹立を支持するとしている。

 「どちらでもない」というトロツキスト党派は、旧ミリタント分裂後の少数派であるソシアリスト・アピール(300人)だ。①資本家の EUにノー、イギリスの緊縮政策にノー②EU内であれ、その外であれ、 資本主義こそが民営化、規制緩和、緊縮政策の根因である③社会主義をめざす欧州労働者の連帯で社会主義の欧州合衆国の樹立を、という路線である。

 国民世論のうごき

 10月15日のOpinium による 世論調査を紹介する(他の調査機関もほぼ同様の数字)。

 まず、政党支持率は、保守党 37 %、労働党 24 %、自由民主党 16%、ブレグジット党 12 %、スコットランド民族党 4 %、緑の党 4 %、イギリス独立党 2%となっている。

 次に、ジョンソンの離脱改定案が提案されれば、下院議員は「賛成するべき」が 46 %、「反対すべき」が25%だった。

 離脱改定案が下院を通過しなかった場合、次のステップはどうすべきかでは、「再度の国民投票」が29 %、 「総選挙の実施」が 26 %になっている。

 なぜ保守党がリードしているのかだが、一つは2016年国民投票の「離脱」という結論が出ていることが重いと考えられる。強硬派は、依然「離脱」強行派だ。議会休会の強行など、ジョンソン政権への批判はもちろん在留派のなかで強いのだが、離脱派はそういうジョンソンをつよく支持する傾向が強い。
 労働党とコービンの支持率が低迷しているのはなぜか。その理由としては、①残留派の世論は、労働党と自由民主党に支持が分裂していて、直近の調査では、自由民主党への支持が徐々に増える傾向にある②労働党とコービンは再度の国民投票を強調してきたが、それでも「残留」の態度を強く打ち出せず、あいまいさがあることへの批判・不信が指摘されている、などが考えられる。

 イギリスのブレグジットをめぐる動向に、今後も継続して注目していきたい。