配信:アタック 7月23日、ATTAC Japan(首都圏)は、文京シビックセンターで2020東京オリンピック・パラリンピック開催一年前にあたって「オリンピック・ムーブメント sv オルタ・グローバリゼーション・ムーブメント」をテーマに二人のフランスからのゲストを迎えて反オリンピックの問題提起を受けた。

 フレデリック・ヴィアルさんは、attacフランス(1999年)に参加し、様々な社会運動を取り組み、「2024パリオリンピック反対の会」を創設(2017年)し、会長を担っている。発言要旨別掲。

 ダニエル・シモネさんは、「2024パリオリンピック反対の会」のメンバーであり、またパリ市議で来年のパリ市長選挙に「オリンピック反対」を公約にして立候補予定だ。

 ダニエル・シモネさんは、「オリンピックは大都市の金融化を加速化させる。例えば、交通インフラの整備も人の移動のためではなく土地の価格を上げるために行われている。また、企業がオリンピック開催中の一五日間のためにいかに利益を上げられるかを追求し、色々なプロジェクトを推し進めるための言い訳に使われる。こんなオリンピックを中止させるために住民投票を行えと要求している。

開催地となる市民と手を結ぶことは重要だ」と強調した。通訳は、稲葉奈々子さん(上智大学教授)。

 2人の提起を受けて、質疑応答を行い、今後のオリンピック反対運動に向けた方向性を深めていった。
(Y)
 
 フレデリック・ヴィアルさんの問題提起

 オリンピックに反対する理由を上げる。
 パリ市長のイダルゴは、候補者だった時は、反五輪を掲げていた。ところが当選した後、反五輪をやめてしまった。私は、これに対して憤りを感じて反五輪運動に参加した。オリンピックは、旧体制のままで壁にぶちあたっているにもかかわらず、生き延びようとしている。そもそも公的オカネを私的な目的に流用していることが第1の反対すべきところだ。

 どこでも同じだがオリンピック予算にしても真剣に作られておらず、信用できない内容だ。東京オリンピックは、予定していた予算よりも爆発的に増えている。そのようなあり方がフランスにも影響を及ぼしている。

 最初はそんなにカネはかからないと言って始めるのだが、次々と新たな予算が追加されていく。例えば、セキュリティー、建設、交通やインフラなどにオカネが増えていく。すでにパリの場合では二倍に増え、最終的に六倍になるだろうと言われている。

 当初の予算から超過した予算にならなかったオリンピックはない。東京オリンピックもそうだし、1984年のロスアンゼルスオリンピックも予算は倍となった。

 フランスも同様だが、なぜこのようなことになってしまうのか。オリンピックを組織しているIOC(国際オリンピック委員会)自体が自分たち自身が利益を得る側にいるからだ。オカネは公的なものだから自分たちが支払うわけではないから増えていく。

 とりわけフランスの場合は、オリンピックのために特別の法律を作り、予算が超過したら公的資金から支払うことが可能だという内容だ。だから企業は、一円も払わなくてもいいし、様々な利益を得ることができる。公的資金とは市民のオカネだ。

 第2の問題は、IOCが国際的なブラックホールになっている組織ということだ。

 IOCの本部はスイスのローザンヌにあり、スイスの法律によって守られている。銀行口座の秘密によって一度も会計報告書を出したことがない。外部からの調査を行おうとしても、それができない。

 IOCは、様々な知的所有権を持っており、例えば、映像・写真などの著作権を持ち多額な利益を独占している。

 第3は、オリンピックによってエコロジー、すなわち環境が犠牲となっている問題だ。

 東京と同じようにフランスはオリンピック候補の時、いかに綺麗でエコロジーにかなっているかのプレゼンテーションを行った。しかし、すべて嘘だらけだ。

 例えば、300万人の人々が参加しても電気自動車、自転車、徒歩だから環境汚染
はないと言っている。しかし、人々は飛行機で来るし、パリ以外のところへと大量に移動するわけだから環境汚染されないというのは嘘だ。

 さらに炭素を排出したら、他方で木を植えればいいという議論がある。だが、それをいつどこで誰がやるのかを決められないままで流れている。

 水の汚染は、パリでも同じだ。推進派は、オリンピックのおかけでセーヌ川が綺麗になり、環境にいいと言う。だが、そのためには工事が必要であり、実際には一部分を科学的に綺麗に見えるようにするだけだ。

 第4は、オリンピックによって隠ぺいしていく圧力が強まっていく問題だ。東京の場合は、原子力の問題が隠ぺいされた。すでに福島原発問題はなくなり、それを信じさせるためにオリンピックが利用されている。非常に深刻な事態だ。

 フランスは、交通機関を発展させるグランドパリ計画がある。パリは小さな都市で、集中して人々が住んでおり、周りに大きな郊外が広がっている。この計画についてオリンピックを口実にしてやろとうとしており、なんら議論もしていない。

 このプロジェクトによってパリに人口がさらに集中する。2024年のオリンピックまでに完成させようとしている。民主主義的な議論をさせないことを正当化ている。

 例えば、農業が行われていた肥沃な土地をコンクリートで固めて、地下鉄を作り、ショッピングセンターを作る計画もある。これらも議論せずにオリンピックのために正当化されている。

 さらにオリンピックによって、貧しい人たちが住んでいるサンドニという都市の人々が追い出されようとしている。生き場所がなくった人々に対して推進派は、自分たちでなんとかしろと言うのです。オリンピックによる都市建設計画は、規模も大きくなり、同時に、貧しい人々が追い出されていく。この流れによってパリは、人々が住まない場所となり、周辺に人口が集中することになる。遠くに追いやられてしまう人々は、働くために交通機関を使って、時間をかけることになる。これはエコロジーの観点から、人間的観点から正しいことではない。

 第5の理由は、オリンピックの唾棄すべきイデオロギー的な問題だ。スポーツをスペクタルに見せようというイデオロギーは、競争の原理に基づいており、多くのオカネを使って行う。フランスには、もっと深刻な社会問題があるにもかかわらずだ。

 例えば、フランスでは「黄色いベスト」運動が行われているが、多くの人たちが排除されていることを意味している。経済システムからの排除、政治システムからの排除、つまり民主主義的ではない社会を意味している。

 公共の病院で救急で運ばれて亡くなった人がいました。財政難でまともな診察ができずに亡くなったのです。このような財政的な問題があるにもかかわらず、政府はたった15日のスポーツのスペクタルのためにたくさんのオカネを使おうとしている。

 要するに公共サービスのために払うオカネがない、高齢者のために払うオカネがない、教育のために払うオカネがない、しかしスポーツのスペクタルのためのオカネはあるということだ。これは深刻な民主主義の危機だ。

 私たちアタックが反対運動をするのは、民主主義のために闘い、公共財のために闘い、社会的に緊急性が高い課題のために闘っている。推進勢力は古い世界とシステムは失敗しているのがわかっているにもかかわらず、オリンピックを利用して維持・持続させようとしている。

 私たちが東京に来たのは、2日後に各国のオリンピック反対運動のメンバーとの会合があり、もはや失敗しているオリンピックだと示すことができるからだ。

 来年、地方議会選挙が行われる。この選挙に対してオリンピックの問題を提起するいい機会だと思っている。オリンピックに反対している勢力は、1つは緑の党、もう一つは「不屈のフランス党」。一緒に来たダニエル・シモネさんは、「不屈のフランス党」に所属している。選挙を通してオリンピックについて公的議論を行う。