配信:三里塚デモ写真 7月14日、三里塚空港に反対する連絡会は、東峰地区で「飛行制限時間緩和を許さない! 成田空港「第3滑走路」計画を撤回せよ! 反原発—再稼働やめろ!沖縄・辺野古新基地建設反対!」を掲げて「7・14 東峰現地行動」を行い、40人が参加した。

 成田国際空港会社は、人権破壊、安全軽視と空港公害のまき散らしでしかない第三滑走路を2020年代半ばまでに完成させ、さらに2020年東京五輪・パラリンピックによる便数増加に対応するために飛行時間(現行午前6時から午後11時まで)を1時間延長するという計画を打ち出した。だが、騒音被害を実際に受ける飛行ルート直下の芝山町・横芝光町住民はあくまで飛行時間の延長を認めることができないと反対している。住民は「空港騒音断固反対」「わたしたちの静かな生活環境をこわすな」などの看板を掲げ抗議している。

 しかし、空港会社は、住民の声を無視して、19年の冬ダイヤ(10月)から飛行時間延長を強行することを明らかにしている。四者協議会(国・千葉県・空港会社・周辺自治体/2月4日)も空港利権の拡大を優先し、住民に圧力をかける始末だ。参加者は空港会社の居直りを許さず、闘う三里塚農民・住民と連帯して空港内にある東峰地区開拓道路にむけてデモを行った。

 旧東峰共同出荷場跡で前段集会が行われた。

 山崎宏さん(労活評現闘/横堀地区)は、「空港会社は夜間飛行時間の1時間延長を10月から実施すると言っている。第三滑走路計画も押し進めている。騒音被害を受ける横芝光町住民は強く抗議している。空港会社の利益を優先したやり方に強く反対の声をあげていきたい」と訴えた。

 続いて石井紀子さんから寄せられたメセージが読み上げられた。

 石井さんは、「沖縄を思う成田の会」の主催で上映された「沖縄スパイ戦史」を観て「沖縄について知らなかったことが多すぎるのです。……もっとこういう埋もれている沖縄の歴史を掘り起こしていこうと思います」と述べ、「とにかくアベを止めたい、ひきずり落としたい。沖縄にこれ以上の罪を重ねないよう政治の流れを変えていかなければなりません。皆さん一緒に頑張りましょう」と訴えた。

  渡邊充春さん(関西三里塚闘争に連帯する会)は、冒頭、「いつも三里塚に来ていた釜日労の山田将夫さんが1月に亡くなった。釜日労の仲間が山田さんの遺影を掲げてデモをする」と発言。また、一般社団法人三里塚大地共有運動の会の関西における取り組み、一坪共有者名簿を通した連絡の積み上げなどを報告した。

 さらに「反空港全国連絡会は、泉州沖に空港を作らせない住民連絡会、石垣島、静岡空港に反対する仲間、三里塚の仲間、羽田空港に反対する仲間たちともに活動している。関西新空港は、台風(18年9月)による連絡橋破壊の被害で安全を無視した運用が浮き彫りになった。今年から関西新空港、神戸空港、伊丹空港が一体的に運用されるが、安全無視の利益優先の姿勢は相変わらずだ。九月八日に関西新空港反対現地集会を行う。4月2日に伊丹空港にオスプレイが緊急着陸した。軍用航路の調査の目的の狙いがある。私たちは空港の軍事利用に対する抗議を行った。石垣島、宮古島に自衛隊ミサイル基地が建設された。南西諸島への自衛隊配備と空港建設の連動の危険性に注意しなければならない」と強調した。

 繁山達郎さん(一般社団法人三里塚大地共有運動の会)は、会の活動報告、一坪共有地運動に敵対する所有者不明土地対策法に対する批判と今後の対策について発言した(「一坪共有地運動に敵対する表題部所有者不明土地の登記・管理適正化法に反対する」/連絡会声明・別掲)。

 デモに移り、開拓道路から空港滑走路に向けて「飛行制限時間緩和をやめろ!成田空港「第3滑走路」計画を撤回せよ!住民追い出しを許さない!三里塚空港粉砕!」のシュプレヒコールを響かせた。

 再び旧東峰共同出荷場跡で集会の後半を続けた。

 釜日労は、「山田さんはいろんなところで頑張ってくれたメンバーだった。今日は皆さんに報告するために参加しました」と発言。

 平野靖識さん(東峰地区/らっきょう工場)は、「18年4月の火事後、皆さんに応援していただき新しい冷蔵庫を設置できた。若い新社長の下で頑張っています。社会的な信用力も高まった。近くの鉄パイプで囲まれた部分が東峰の一坪共有地だ。三里塚大地共有運動の会に登記を集めていない共有者が法人に登記を移していくのに協力していきたい」とアピール。

 続いて高見圭司さん(スペース21)、三里塚勝手連、田んぼくらぶから発言があった。

(Y)

 
 
一坪共有地運動に敵対する所有者不明土地の登記・管理適正化法に反対する

    三里塚空港に反対する連絡会


 安倍政権は「所有者不明土地対策」を口実に一坪共有地強奪の法整備を進めている。

 5月17日、所有者不明土地登記・管理適正化法(表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律)が成立した。この法律は所有者不明土地対策法の第2弾。「表題部所有者不明土地」の登記・管理の適正化を図る措置として、

(1)
登記官に所有者探索のための調査権限付与、探索結果を登記に反映。
(2)所有
者を特定できなかった「表題部所有者不明土地」について、裁判所の選任した管理者の管理を可能とする内容。「管理」には草木伐採、売却が含まれる。

 17年、安倍政権は成長戦略のひとつとして「所有者不明土地対策」を打ち出した。空き家問題や防災を口実にしているが、リニア建設など大型開発促進が真の狙いだ。18年3月に決定された2030年成田第3滑走路建設計画も無関係ではない。

 18年6月、法制化第一弾として、所有者不明土地特別措置法が成立。公共事業での所有者不明土地の収用における収用委員会の関与が廃止され、申請も決定も知事のみでできる制度に改悪された。

 今回の法制定によって、所有者不明土地は登記官が調査して所有者が分からない場合、代金を法務局に供託して、裁判所任命の管理者から買収できることになった。共有者の一部を特定できない共有地も所有者不明土地となる(法務省民事局ホームページから)。

 さらに来年には第3弾として、登記の義務化、土地所有権の放棄確認緩和などの法制化が計画されている。これが成立すれば、これまでの法律と合わせ、登記期限までに相続登記がされない共有地を、法務局に代金を供託するだけで強制買収できることになる。

 まさに一坪共有運動の圧殺を狙う悪法だ。

 1966年、三里塚闘争開始直後に始まった三里塚一坪共有運動は、83年からは再共有化が取り組まれ、五三年間闘いが続いてきた。昨年10月、加瀬勉さん・柳川秀夫さんの呼びかけで三里塚大地共有委員会を受け継ぎ、一般社団法人三里塚大地共有運動の会(山口幸夫代表理事)が設立された。全国の共有者に呼びかけ、共有地の管理・登記変更に取り組んでいる。

 共有運動に敵対する法制定に反対し、一坪共有地を守り抜こう。 

     2019年6月