年金1 六月一六日午後二時から、SNSで呼びかけられた「年金返せ」デモが東京・日比谷公園中幸門を出発して、銀座を通り京橋まで行われた。若者たちの参加が目立ち、二〇〇〇人を超えていたのではないか。

 ことの発端は、五月二二日に金融庁審議会で出された、少子高齢化や非正規雇用の増加で公的年金の支給が困難となり、将来的に国民に自助を求める報告書案にするというもの。この報告書に、「九五歳まで生きるとしたら公的年金のほかに夫婦で二〇〇〇万円が必要」と書かれていた。つまり、年金だけだと毎月五万ずつ赤字になるというのだ。そして、年金が何歳からどのくらい支給されるのか、きちんとした見通しもたっていないことだ。「百年安心の年金」が足元から揺らいでいる。

 年金支給の危機として捉えられたこの報告書を、麻生金融担当大臣は自分が諮問したにもかかわらず、受け取りを拒否し、この審議会報告書をなかったものとしてしまった。その後、この審議会の根拠となった数字は厚労省が出したものであることが分かった。夏の参議院選の争点となることを恐れた政府・自民党は打ち消しにやっきになっている。

 こうした真実を隠し、ウソで逃げ切ろうとする安倍政府へ怒りをぶつけるデモだった。デモのコールは「年金返せ、年金壊すな、生活できる年金を、暮らしを守る年金を、支給開始繰り下げ反対、二〇〇〇万円も貯められないぞ」というものだった。米軍から兵器を爆買いするのに、年金や社会保障費を切り下げる安倍政権を許さないぞ。

(M)