配信:G20

つくば市のデジタル経済・貿易閣僚会合に反対
暴きだそう!この問題点を


 五月一七日夜、文京シビックホールで、「G20サミットを持続させるな!」と銘打った学習会が行われた。六月二八、二九日の日程の下大阪で開催が予定されているG20サミット(金融・世界経済に関する首脳会合)に対し、世界の多数の民衆と連帯して抗議の声を上げるために、この会合のもつ極度の反民衆性をあらためて共有しようと企画された。

 この場の焦点は特に、自由貿易とデジタル経済の諸問題。今回のG20の一部として関東では、六月八日つくば市でデジタル経済・貿易に関する閣僚会合が予定され、関東のG20抗議としてはそれに対する抗議行動が中心になるからだ。主催は、戦時下の現在を考える講座、ATTAC首都圏、盗聴法に反対する市民連絡会の三団体。

G20に反対する五つの理由とは

 学習会は、盗聴法に反対する市民連絡会の小倉利丸さんからG20に反対する総括的な観点の提起、藤田康元さん(戦時下の現在を考える講座、つくば市を中心に活動)、内田聖子さん(PARC)、稲垣豊さん(ATTAC首都圏)による、自由貿易とデジタル経済に関し今回のサミットで議論されようとしている方向性に対する批判的論点提起、それを受けての会場を交えた意見交換、という形で進められた。
 
 小倉さんは、五つの理由に整理する形でG20に反対する観点を提起した。その五つとは、密室談合のトップダウンという民主主義とは相いれない性格、集まる二〇の国家・機関に極右、原理主義、権威主義の影響が深く浸透している現状、たとえば今回の会合では大阪の警備に一二〇億円が投入されることに示されるような、いわば非常事態の常態化と言うべき強権化の進行、知識・情報の商品化と国家・資本による独占・囲い込み・管理に向けた方向設定、そして格差拡大やCO2急増を加速する新自由主義の枠組み。

 そしてこの最後の点については、格差とCO2に関する資本主義の二〇〇年を通じた増大を示す図表を示して、単に新自由主義だけではなく資本主義の時代を通じて一貫して格差の拡大とCO2の増大があったことを確認しつつ、今や資本主義そのものが大問題になっていると指摘、その上で、何かを決められなくても、決めても、G20を持続させてはならないと強調した。

様々な角度から批判点を明確に

 藤田さんは、技術論研究者の立場から、デジタル技術に対する批判的視点として、権力者が浸透させようとし、また社会一般にも素朴に流布している技術決定論的思考への対抗の必要を主張した。つまり、社会的問題を技術それ自体が自動的に解決することはないといういわば当たり前のことだが、それがことデジタル技術となると見過ごされる傾向が見られることの指摘だ。その上で特に、安倍政権が「ソサエティ五・〇」などと段階的歴史発展イメージを操ってデジタル経済の可能性を持ち上げていることに注意を喚起し、それへの意識的な批判が必要だと力説した。
 
 内田さんは、WTOの機能不全をメガFTA(多国間自由貿易協定)で突破しようとする自由貿易追求も実は難航している、とまず指摘。そこで取り上げられている「保護主義対自由貿易」という対立構図が偽りのつくられた対立であり、「強い者がつくるルール」をめぐる争いという本質を隠している、本当の対立は「新自由主義的な市場原理主義対人々と地球環境のための持続可能性」だ、自由貿易が実際には格差と貧困を深刻化している現状を見据えた民主主義によるコントロールが切実に必要だと訴えた。

 さらに電子商取引に関しても、個人情報を含む情報全般の国境を越える移動の自由が追求されていることの問題、この部門の投資に制限がない問題、投資家保護に潜む問題、などを放置したまま有志国だけで議論が進められている現状の危険性を指摘した。また内田さんも、安倍首相がG20議長国を意識し今年一月のダボス会議で、デジタル経済で社会問題に取り組む展望として「ソサエティ五・〇」(安倍首相によれば超スマート社会)を打ち出したことに触れ、そこには社会問題の解決につながる具体的な内容に触れるものがまったくないことを明らかにした。
 
 稲垣さんは、今注目の焦点になっている米中貿易紛争を、まず資本主義の覇権をめぐる対立であると指摘した。その上で自由貿易をめぐる対立の根底には世界的な階級闘争が潜んでいるとして、その重要な構成要素として、中国の強搾取と必然的な労働者の抵抗の発展を取り上げ、中国の社会階級構成の歴史的な変容と、いわゆる農民工の闘争に発展した労働者の抵抗の現状を概説した。

 さらにこの抵抗の発展も背景に、中国ではIT技術をデジタル監視と民衆管理に応用する技術開発が急速に進んでいる現状が、BBCが制作した映像も交えて明らかにされた。まさにデジタル経済と持ち上げられるものの闇の部分が現実になっている。しかし一方でウェブサイト上に、IT部門の労働者による労働条件の内部告発があふれ出るなど、民衆統制に次々に穴が開いている現状も、いわばデジタル経済が抱え込む一つの矛盾として指摘された。

勝手に決めるなと声を上げよう!

 これらの提起を受けて行われた会場を交えた討論では、デジタル経済がSDGs(国連が設定した持続可能な開発目標)達成に資するかのように持ち上げられている問題、デジタル技術を通じた思考の枠付け、AIと失業の関係などで意見が交わされた。そして第一の論点では、問題が結局のところ成長に預けられていること、およびエンパワーメントでの解決以上の踏み込みがないこと、が確認され、そこでの打ち出しも事実上リップサービスでしかなく、貧困と格差の問題にはまったく届いていないことがあらためて明確にされた。

 第二の論点では、IT技術に本質的に内在する問題だが、情報のコントロールという点で、現代では特に民衆による監視と統制をメディア全体の動向にも広げる必要が指摘された。第三の論点では、かつての機械打ち壊し運動の経験なども考え合わせ、資本との力関係の決定的重要性に焦点を合わせて検討を今後さらに深める必要が確認された。

 問題の深刻さに比して時間が足りないことは明らかであり、討論の不十分さは歴然としていた。しかしこれら全体を通して、G20が人々の暮らしと地球環境の持続可能性に敵対していること、したがって「勝手に決めるな」と声を上げて闘う重要性、があらためて明快にされた。その上で、世界の民衆と意識的につながる抵抗をどのように日本で広げてゆくかが課題になる。

 その課題を念頭に、この日の学習会は最後に、つくば市から参加した戦時下の現在を考える講座の仲間から、六月八日に行われるデジタル経済・貿易閣僚会合抗議行動への結集アピールを受け、そこへの結集を確認して終了した。 

(D)