配信:小西講座②3月22日、アジア連帯講座は、小西誠さん(軍事ジャーナリスト)を講師に招き、「自衛隊の南西シフト 戦慄の対中国・日米共同作戦の実態」をテーマに講座を行った。
 

 開催にあたって司会は、「急ピッチで進行している南西諸島への自衛隊配備、新基地建設について、その意図するところがどういうところにあるのか。この自衛隊配備が具体化したのは、2009年の鳩山民主党政権の時だった。防衛省内文書で明らかとなった。2010年、菅政権の時に新防衛大綱で具体化され、与那国島の配備(2016年3月28日開設)を強行した。3月1日には、石垣島で基地建設に向けて旧ジュマールゴルフ場の造成工事着工した。自衛隊配備によって住民の分断、生活が破壊され、さらに基地建設によって赤土が海上に大量に流出し、サンゴが破壊されるということも報告されている。3月27日には宮古島、奄美大島で自衛隊新基地が運用される。車輌、人員が到着している。一連の自衛隊配備、基地建設の意図を正しく把握し、ヤマト・本土で配備反対運動を大きく作り切れていない現状も見据え、現地と結びつきながら少しでも止めることができるか。そのステップとして企画した」と発言。

 小西さんは、現地取材で撮影した220枚の写真をプロジェクターで映し出しながら、①「東シナ海限定戦争」を想定する「島嶼防衛戦」 ②与那国島、石垣島、宮古島、奄美大島、種子島(馬毛島)への自衛隊配備 ③沖縄本島の自衛隊配備 ④日米共同作戦態勢の実態―について提起した。

 最後に司会は、「琉球弧自衛隊配備反対アクションが明日、『石垣島工事着工・宮古島&奄美大島基地運用開始を許さない―自衛隊新基地はあってはならない3.23アクション」を行う。首相官邸前で抗議の声を上げていこう」と呼びかけた。

(Y)


小西誠さんの講演(要旨)

米軍事戦略と自衛隊の南西シフト

 米政府は、2010年QDR(4年ごとの国防計画の見直し)で「統合空海戦闘構想の開発」を打ち出し、エア・シー・バトル(JABC)の統合部隊による中国への縦深攻撃を想定する。つまり、エア・シー・バトルはアメリカによる中国への「対抗的封じ込め戦略」であり、「陸海空・宇宙・サイバー空間における統合作戦」であり、米軍の新冷戦戦略ともいうべきものである。

 そのうえで実際の作戦として策定されたのが、A2/AD戦略(アクセス(接近)阻止/エリア(領域)拒否)であり、実体化したのがオフショア・コントロール戦略だ。ポイントは、①抑止力と信頼性の増大②核エスカレーションの可能性低下③紛争終結の可能性が高まる④平時のコストを低減⑤中国に武器システム最大距離で戦うことを強制⑥米国の海軍力発揮が可能と設定している。つまり、中国軍と米軍の死傷者を少なくし、経済的後退にむけた圧力を行使していくことにある。

 このオフショア・コントロールに基づいて自衛隊に対して「拒否的抑止戦略」(DBD)と「島嶼防衛戦略」を担わせることにある。すでに日米安保共同宣言(1996年)、日米防衛協力のための指針改定(1997年)から新ガイドライン、中国封じ込め政策を軸にした日米安保再編に動き出していた。連動して防衛省・自衛隊は、「統合幕僚監部『日米の[動的防衛協力]』について」(2012年)を策定し、「対中防衛」を軸にした南西シフト態勢を初めて明記する。

 この延長においてトランプ政権は、中国を米国の覇権に挑戦する最大の脅威とみなし、そして、中国とロシアとの『長期的な戦略的競争』に備える体制に転換するという方針を打ち出した。米新軍事戦略下のうえで安倍政権の「インド太平洋戦略」が設計され、対中抑止戦略を米と共同して、その先兵を担うことなのである。それは南西諸島におけるミサイル部隊配備にとどまらず、沖縄本島への水陸機動団一個連隊の配備、在沖米軍基地が自衛隊との共同運営さえも射程にしていた。

 要するに、在沖海兵隊の司令部、戦闘部隊のほとんどは、グアムなどへの移駐を決定しているが、この米海兵隊の穴埋めを狙っているのが、水陸機動団ということだ。このような総戦略のうえで南西諸島シフトと日米共同作戦態勢が現在進行している。このプロセスについて、マスコミや反戦運動の関心が薄いのが現状だ。

 与那国島への自衛隊配備

 2016年3月28日に与那国島に自衛隊が配備された。第303沿岸監視隊160人、空自移動警戒隊約50人。「兵站施設」(巨大弾薬庫)配備の位置づけだが、正式には事前集積拠点という。武器、弾薬などを事前に集積する。

 さらに「情報保全隊(旧調査隊)」と「警務隊」の配備も公表した。大部隊の配備を想定して配備されたといえる。対住民情報などの調査活動は行う。

 しかし、これだけにとどまらずミサイル部隊も配備されるだろう。防衛省文書には、機動展開として配備すると書いている。常駐はしないが、いざとなったら本土から部隊を送るということだ。こういう部隊配備を許したら、どんどん増殖する。与那国は、160人だが、500から1000人へと膨らむだろう。その兆候として、情報公開でわかったが、防衛省は頻繁に現地を訪問し、土地売買、住民対策をしている。

 石垣島への自衛隊配備
 
 自衛隊基地建設に向けて3月1日、旧ジュマールゴルフ場の造成工事を着工した。土地は幸福の科学の市会議員のものだったが、防衛省が買収した。19年度以降、約600人規模の警備部隊と対艦・対空ミサイル部隊を配備予定だ。だが、防衛省の「「機動展開構想概案」では2000人規模の部隊を投入すると明記している。だから当初計画の約600人規模はうそだ。また、石垣島を実際の戦闘現場と想定し、自衛隊の戦力などを検討していたことも分かっている。

 現在のところ基地建設予定地の全体は買収されていない。基地建設反対派の土地がまだ残っている。住宅地、最良の農地がある。石垣空港反対闘争の三四年間の歴史があり、簡単に基地建設が進むとは思わない。
  
 宮古島への自衛隊配備

 自衛隊の南西諸島への配備は、2010年から始まっている。電波傍受施設が建設されていた。これは早い時期から対中国シフトのうえで配備していたと考えられる。2017年には、新型のレーダーが作られた。

 さらに野原(のばる)岳の手前に、航空自衛隊基地が作られた。宮古島に800人規模で警備部隊と対艦・対空ミサイル部隊を配備、ミサイル指揮統制部隊約200人を配備予定だ。

 宮古島の闘いで重要なことは、孤立しながらも大福地区に予定されていた駐屯地を中止に追い込んだ。宮古島は、山がない、川がない平坦な島だ。水はサンゴ礁の地盤の下に溜まる。地下ダムを造り、水をあげて供給している。この水源を守るために中止に追い込んだ。

 基地建設は3月1日に着工されたが、真相は環境アセスメントを逃れるためにあわてて強行着工した、ということだ。

 これは宮古島の住民運動が中心になって沖縄県に20ヘクタール以上の自衛隊基地を環境アセスメントの適用対象にしろと運動して、沖縄県が認めた。その結果、4月1日から沖縄県の20ヘクタール以上の基地建設予定は、環境アセスをやらなければならなくなった。だから自衛隊は、石垣島の基地工事着工した。さらに市城辺保良(ぐすくべぼら)地区の基地予定地を19ヘクタールにせざるをえなかった。

 三月四日には、100台の装甲車をはじめ自衛隊車輌が入ってきた。住民は阻止行動を取り組んだ。さらに、まだ半分もできていないことだ。千代田地区に警備部隊が入ってきたが、ミサイル部隊はまだ入っていない。鉱山跡地の市城辺保良(ぐすくべぼら)に弾薬庫などの配備を発表(2018年秋)し、測量入札を開始している。問題は、ミサイル弾薬庫の近くに住宅地があることだ。こんなところに作るのは今までにないことだ。

 宮古島では少人数でも連日抗議行動を続けている。3月26、27日、抗議が行われる。


 奄美大島への自衛隊配備

 奄美大島に警備部隊と対艦・対空ミサイル部隊を二カ所に計550人規模。また空自の移動警戒隊を約50人などを配備する。最低四箇所の基地建設は、巨大な陸自基地となる。さらに海自の古仁屋港誘致ならび艦艇部隊を配備もねらっている。大熊地区が30ヘクタール、節子地区が28ヘクタールだ。

 宮古と同じ3月1日、夜中に部隊が入ってきた。大熊地区で隊友会などによる歓迎式典が行われた。奄美市全体で歓迎式典が行われたわけではない。ここに弱点もあると考えている。

 住民が情報公開請求して、五本のトンネルと整備工場があることがわかった。弾薬貯蔵庫は、南西シフトに動員されるミサイル弾薬庫となる。

 岩屋防衛大臣は、「日本の守りの最前線は南西地域にあるわけですけれども、安全保障上の観点から言って、現在の移設計画が適切だと考えております」(19年2月)と言った。これは奄美、種子島、南西諸島への機動展開事前集積拠点、兵站拠点として具体的に着手していることの現われだ。

 琉球弧に沿って配備される部隊は、基本的に対艦ミサイル部隊だ。車載式で移動が簡単にみえるが、そんなに簡単に動けない。1個中隊で10数台が動くから動きは鈍い。これを守るために地対空ミサイル部隊が必要となる。これらを守る部隊が警備部隊だ。だから奄美、種子島、馬毛島の部隊は、南西諸島の部隊を先島、八重山の部隊の機動展開拠点として位置づけている。2012年「奄美大島等の薩南諸島の防衛上の意義について」で明らかにしている。要するに機動展開拠点・事前集積拠点・上陸作戦訓練拠点としての奄美大島―種子島(馬毛島)の要塞化だ。

 すでに5年前から演習が行われている。奄美・種子島などでの演習を「鎮西演習」と名付けた生地訓練(市街地戦闘訓練) が行われている。奄美市内は、武装した自衛隊が展開する。民間フェリーをチャーターもしている。有事になれば民間船舶はすべて徴用するつもりだ。海員組合は、戦争動員に反対している。

 種子島(馬毛島)への自衛隊配備

 報道は、政府が馬毛島の買収を決定すると報道している。だが、馬毛島は米軍空母艦載機による陸上空母離着陸訓練(FCLP)施設だと報道しているが、間違いだ。米軍のFCLPは、年間の1カ月も使わない。主力は自衛隊だ。2012年統幕文書で「南西諸島の防衛中継拠点として馬毛島を確保する」と言っている。

 地元の説明資料では、2011年防衛省資料「国を守る」では、馬毛島に上陸訓練・物資集積拠点、FCLP(空母艦載機着陸訓練) にすることを言っている。つまり、主力は自衛隊基地であり、南西シフトの機動展開事前集積拠点という位置づけだ。このことを報道は一切行わない。

 3年前、種子島に全国地対艦ミサイル部隊が集結し、演習を行った。この後、図上演習など軍事演習も行っている。さらに種子島から奄美大島、徳之島、沖永良部島の北琉球―薩南諸島は、自衛隊の南西シフト態勢の、「機動展開拠点」「事前集積拠点」「上陸訓練・演習拠点」また「島嶼戦争の出撃拠点」(馬毛島の航空基地化)という位置づけで急ピッチに推進されつつある。

 こういう状況の中、政府・自衛隊は、徳之島の基地化にまで踏み込もうとしている。住民はオスプレイ反対の取り組みをしているが、地元の一部は自衛隊誘致運動を始めている。さらに十島(としま)村・臥蛇島(がじゃじま)の実弾射爆場(産経・2016年 9月 16日)もねらい、南西諸島全体の軍事化を押し進めている。

 沖縄本島への自衛隊配備

 沖縄本島の自衛隊配備は、2010年で約6300人、16年が8050人。ここ5年で約1750人増、空自で約1210人増に達した。さらに陸自は、第15混成団の旅団への昇格(2010年)し、人員は現在約2200人(1個連隊増強) だ。対艦サイル部隊も配備(18年1月) された。

 空自も第9航空団へ昇格(第83航空隊から第9航空団の新編F15で40機態勢)、早期警戒機E2C、4機を配備した。第60三飛行隊の編成へと至っている。

 これだけではない。17年7月、南西航空混成団から「南西航空方面隊」へ昇格し、1000人以上増員した。 海自・潜水艦部隊も増強し、16隻から22隻態勢となった。護衛艦も47隻から54隻へと増強し、1個護衛隊へと増強した。イージス艦も6隻から8隻態勢となり、同時に沖縄本島に20機の対潜哨戒機(P3C)が配備された。

 ところが自衛隊は、那覇空港しかなく、民間航空機とともに過密状況だ。「空の危険」が増しているにもかかわらず、九州の航空自衛隊も増強態勢に入っている。南九州―沖縄の空自の増強は、日米共同基地化の踏み込みだ。

 新防衛大綱等で「いずも」型護衛艦の空母への改修を決定した。南西シフトの観点から見ると琉球列島弧の島々の航空基地化――要塞化 として位置づけた。新中期防ではF35Bを20機、新防衛大綱で42機(空自編成)へと増強する。空母も2隻から3隻に向けて5年、10年かけて改修していく。

日米共同作戦態勢の実態

 日米共同作戦態勢の現れとして、キャンプ・ハンセンに陸自部隊を配備する予定だ。すでにキャンプ・シュワブ、ハンセン等の米軍基地・訓練場・射爆場など全ての米軍基地が日米共同使用になっている。これも2012年統合幕僚監部「日米の『動的防衛協力』について」で「沖縄本島における恒常的な共同使用にかかわる新たな陸上部隊の配置」 「対中戦略」と南西シフト態勢を策定について明らかしている。

 実際の有事を想定して「統合衛生」という戦時治療態勢=野戦病院づくりも着手している。統合衛生ロードマップには、「島嶼部における治療後送・態勢」を明記した。防衛省「自衛隊病院等在り方検討委員会」報告書では、統合後送態勢構築のために飛行場及び港湾の輸送上の要所 に整備、関東地区の飛行場近傍に病院を整備することも明らかにしている。

 さらに共同作戦態勢の強化として陸自は在日米陸軍司令部(座間)に中央即応集団(18年3月廃止)から、「陸自総隊司令部・日米共同部」を新設している。在日米空軍司令部の横田基地に空自航空総隊司令部も設置している(2012年) 。在日米海軍司令部・第7艦隊司令部と海自護衛艦隊司令部も横須賀に同居している。このように米軍基地を自衛隊が共同使用することは、米軍と自衛隊は一体化するということだ。戦略的プレゼンスとして「中国の海洋権益を阻止する」ことを柱にしている。対中戦略を正面から日米共同戦略とし押し出した。

 琉球列島弧・第1列島線の中に中国軍、中国の経済力を封じ込める体制を作り上げることだ。ただちに戦争になるのではなく、軍事外交、砲艦外交、空母を出して圧力をかける。北朝鮮に対して空母、B1を出して圧力をかけたが、同様の手法で中国に対して行う。

 しかし、当然、中国も軍事的に対応してくる。それで軍拡競争となる。去年九月、中国艦艇と米軍艦艇が東シナ海でぶつかる寸前となった。12メートルで止まった。防衛白書でも言っているように島嶼戦争は、平事から有事へ、シームレスに、切れ目なく発展する。すでにこのように南シナ海、東シナ海で始まっている。こんな緊迫した状況にもかかわらず日中間のホットラインも構築されていない。

 最初は限定すると言っているが、しかしかならず限定できなくなる。段々と規模が大きくなっていく。戦争がエスカレートする。今、日米経済、世界経済の状況からすれば必死に限定せざるをえない。世界恐慌にまで至ってしまうからだ。だが限定戦争が西太平洋における通常型戦争へと拡大する可能性もある。核戦争だってないとは言えない。

 私たちはどうするか。3月26日、宮古島、奄美でアクション行動がある。僕も3月31日に奄美に行く予定です。

(講演要旨、文責編集部)