加瀬勉さん加瀬 勉(三里塚大地共有委員会〈2〉代表)

 三里塚大地共有委員会代表辞任

 東峰堀越昭平君の後を引きづいてまいりました三里塚大地共有委員会代表を11月28日法人化設立総会をもって辞任したことを報告申し上げます。長い間ご協力ありがとうございました。

 三里塚闘争の歴史的評価

 東京第二国際空港の建設計画は、その規模において3000ヘクタール。浦安、木更津、霞ヶ浦、八街、富里、三里塚の闘争へと引き継いでまいりましたが、三里塚空港は規模にして1050ヘクタールに縮小、その用地の半分は下総御料牧場、千葉県の竹林400ヘクタール、3500mの滑走路は完全に建設を阻止することができました。彼らの野望を完全に挫くことができませんでしたが、日本人民の闘争として歴史的な任務を果たしてきたと思います。

 新たなる空港機能拡大計画

 空港機能拡大計画は、50年闘ってきた経験とは違う新しい側面が出てまいりました。①強権政治を我々に阻止された権力は、地元誘致、地元からの要求の可能拡大計画として表れてまいりました。成田、芝山、多古、横芝光待ちの空港関係自治体には空港と地域の共存共栄の政策によって「空港対策協議会」が組織されています。それに商工会議所、空港を誘致する会を組織して地元容貌の空港計画として表れてきました。②空港機能拡大計画を懇切丁寧に説明してご理解をいただくと称して、関係自治体、関係地域、関係集落において140回の説明会を開いてきました。③その機能拡大計画は新たなる用地1000ヘクタール。3500mの新滑走路の建設、2500mの滑走路の3000m延長、2000戸の住民の立ち退き、50万回の増便、10年計画を内容とするものでした。

 権力の攻撃の特徴

 ①地元誘致の空港 ②140回の説明会 ③関係自治体庁舎に空港会社が社員を出張して80人態勢をとっている。 ④部落長を通じて繰り返しアンケート用紙を配布して一人一人の意見要望を把握している。 ⑤空港会社が多古、横芝の学校で空港は良いものであるとの出前特別授業を行っている。 ⑥地域住民を空港見学に招待している。

 成田、芝山、多古、横芝光待ちの四者協の動向


 国土省、空港会社のこれらの策動は4者協との合意、許可のもとで行っている。空港交付金の増額、新たなる空港機能拡大による労働市場の確保、振興政策の要求を掲げている。国土省、空港会社はその内容を現段階では提示できないでいる。空港機能拡大はペーパープランである。11月末日に関係自治体は改めて振興計画の要望を提出した。四者協・首長の選挙に一票を投じたかもしれない。彼らは市民・町民の代表であると思い上がっている。選挙に一票投じたからといって主権在民の基本権、財産に関する基本権、職業選択の自由、居住権の自由、思想信条の自由、健康で文化的な生活を送る生存権をゆだねているわけではない。空港用地に土地を売れ、騒音で立ち退け、騒音地獄の中で生活しろと基本権を蹂躙介入している行為は許されるものではない。我々は四者協に運命を一任してはいない。奴隷ではない、国土省、空港会社と四者協の合意と住民との合意はまったく違うことである。四者協との合意をもって住民と合意したとはもってのほかである。

 地域住民と政治団体の動向

 ①140回の説明会の中で出てきたのは空港建設によって地域格差がはつきりとうまれてきたこと ②騒音被害、騒音A・B区域による集落分断、騒音補償家族人員制でなく家面積に、トイレ、風呂場、作業場に対する補助、航空機燃料によるビニール、農産物の汚染、騒音測定値の違い、騒音健康被害に対する追跡調査の要求 ③住民の要求を運動化する主体が存在しない。騒音反対の看板は集落住民で立てているが個人が孤立し奮闘している。 ④政党は空港建設反対、機能拡大反対の立場に立っていない。住民対策をたてよ、振興計画を充実させよと言っているだけである。 ④地域には戦前の革新運動の歴史があり、地区労など地域安保共闘の主体があったのだが、今は解体されてその存在はない ⑤新たなる住民運動の現段階ではない。

 新しい酒は新しい革袋に

 ①フランス革命は貴族社会を打ち倒し、自由、平等、博愛の人権宣言を世界に発した ②マルクスは労働者に国境はないと言った。ロシア革命は農奴社会を解放して万国の労働者は団結せよと宣言した。 ③中国革命は半封建、半植民地の社会を解放した。三大紀律八項注意人民に奉仕する思想の主体によって革命を成功させた。 ④ベトナムのホウチミン首席はアメリカ帝国主義の枯れ葉作戦焦土のなかで、我々には田畑もある美しい山川もある祖国解放戦争に勝利してもっと美しい、もっと美しい祖国を建設しようと呼びかけた勝利した。

 三里塚闘争の思想

 支援、助ける。共闘から三里塚闘争はわが闘争、三里塚の農民と我々は運命共同体である、と闘争の思想を発展させて闘ってきた。運命共同体、そして多くの同志が三里塚に命を捧げ厳しい弾圧の中、戦いを50年にわたって堅持してきた。土地は農民の命、土地なくしては農民の存在は無い。大地に命を土地に刻んで農民は生きてきた。その農民の土地を一坪共有地に、今度は法人化することになった。法人化全国運動は単なる空港建設の阻止の戦術ではない。法人化運動を発展させる新たなる三里塚闘争と農民との運命共同体の関係を創造しなければならない。法人化全国運動を発展させ、中で自己を変革し、自己を生まれ変わらせ新しい人民像を創造できるように努力しなければならない。10年一日の如く金太郎飴ではしょうがない。

 法人化出陣式のお祝い

 法人化の運動の出陣式。今日はお祝いの日であります。前田の爺さんにどぶろくを作ってもらって国税局長官を招待して乾杯するところであるが、前田さんが死んでしまったので残念ながらそれはできません。三里塚闘争に命を捧げた我が同志たち、管制塔戦士をはじめ厳しい弾圧に敢えて闘争の意思を貫いた同志たちに哀悼と敬意を表してインターナショナルを歌うところですが、斉藤茂吉の「赤光」「あかあかと一本の道とほりたり魂きわまるわが命なりけり」を吟じて私からのお祝いといたします。頑張ろう。