IMG_2448都立病院の地方独立法人化を許さない

安達智則さんが講演

 三月二七日午後六時半から、「第二回都立病院の地方独立行政法人化を都議と考える学習講演会」が都立病院の充実を求める会の主催で行われた。東京都は一月二六日、都立病院の将来像を示す六年間の中期計画案を公表した。その中で、都立病院の独法化も検討するとした。

東京都立八病院について、都立病院経営委
員会は一月二九日、経営主体を都から地方独立行政法人に変えるよう、都に検討を求める方針を決めた。 独法化すれば、医師ら約七〇〇〇人が非公務員となる。

 最初に、氏家祥夫共同代表が経過報告した。

 「中期計画に対するパブリックコメントに一五〇を超える意見が寄せられた。地元の都立病院を守る会や充実する会は署名・宣伝・都議への働きかけを行っている。都立病院がある墨東・広尾・大塚などで地域学習会を。本日開催の都議会に署名四一一〇筆を請願として提出した。第二回定例都議会で議論になった。五月二〇日までに、三万筆の署名を集めよう。都立病院は一般会計から四〇〇億円が支出されていて赤字だと流されているが、そうではないということを伝え、都民的・全体の運動として広げていきたい」。

 次に、和泉尚美都議が「小池知事になっても、中央卸売市場の豊洲への強行移転、オリンピック、岸体育館改築など石原都政時代の闇にメスを入れられていない。都立病院は一六から八つに減らされた。公立化から民営化への流れを止め、都民を守らなければならない」と発言した。

 安達智則さん(東京の自治、都政分析、行財政問題の調査研究で三十数年。名古屋大学などで講師歴任)が「 行政的医療から医療行政へ、皆保険回復へ向けて」として題して詳細なレジメに基づく講演を行った。①日本の医療問題②小池都政をどのようにみるのか③「都立病院新改革実行プラン2018(仮称)素案」の批判的検討④すべての都民の医療保険は、都政の基本任務。

 ①「日本型国民皆保険の解体には絶対反対すべきである。ここに日本医療の生命線がある」(川上武)、「日本の医療はいま、全般的危機といっていい状況にある。公的な医療保険にカバーされない人々の数が劇的に増加しつつある」、「医を経済に合わせるのではなく、経済を医に合わせるのが、社会的共通資本としての医療を考えるときの基本的視点である」「市場原理主義が、世界を滅ぼしつつある」(宇沢弘文)。

 ②四月から東京都が国民健康保険の指導的保険者になる。国保問題(東京都が日本で一番高い保険料・保険証の取り上げなど)は解決していない。無保険者の増大(無保険者の実態調査がない。人口増の中、加入者減少)。

 ③都立病院の病床削減の危険性がある。四〇〇億円の一般会計負担を病院財政問題にすべきではない。国の報酬の不十分さのために、医療収支が一〇〇%にならない。その不足分を補充している(行政的医療)。地方自治と予算からの「自由」が、都立病院の地方独立法人化のねらい。

 ④止めること 都立病院の地方独立法人化。見直しをすること 「都立病院新改革実行プラン2018(仮称)素案」。創り出すこと 行政的医療から医療行政への転換。医療行政の基本的役割。皆保険を回復する。●国民健康保険料の値下げ●保険証の取り上げは原則ゼロ化。無保険者の調査と保険証交付。皆検診を実現する。都立病院が無料低額診療に取り組む。診察を受けても薬局に行かない問題。薬代の助成制度が必要。全国で一〇の自治体で行っている。一人年間七万円の予算で可能。



 講演の後に質疑応答があった。「独法化の先は何か?」、「国の印刷局病院は独法化し、その後民間に売却された。その先は売却か閉鎖かだ。埼玉県では二年前に二つの病院を売却した。今、九州の民間医療法人が九州では安い賃金の医師や看護師が多い利点を生かして、M&Aで病院を買っている」。「質の高い医療について。まだ未完成の技術だ。北欧では一〇年経ったら現場を離れて一年間研究する時間を与えている。せめて日本でも半年ぐらい保障する制度、福祉国家の仕組みが必要だ」。

 次回学習会は四月二五日午後六時半から、文京シビックセンター四階ホール「改革プランと経営委報告の虚実を検証する~経営形態と財務諸表を中心として~」講師:太田正さん(作新学院大学名誉教授)。この日、印刷所から届いたばかりの『労働情報』四月号で特集「自治体病院『独法化』の闇 東京・大阪・大津」が販売された。独法化によって病院がどのようにダメにされていったのかを具体的に分かりやすく紹介している。ぜひ参考にしてほしい。

(M)