配信:福島 3月17日、福島県楢葉町天神岬スポーツ公園で「2018原発のない福島を!県民大集会」(主催:実行委)が行われ、3300人が参加した。

 角田政志実行委員長が主催者あいさつを行った。

 「原発事故から八度目の春を迎えた。被災地の復興が進んでいるとはいえ、住民の帰還には多くの課題がある。亡くなられた方々のご冥福をお祈りしたい。今年は被災地の楢葉町を会場に準備を進めてきた。被災地で集会を行うことについては、『第一原発事故の収束にいたっていない中で大規模集会をやるべきではない』『被災地に多くの人を集めることは福島は安全だという国の復興政策と同じにみえる』など様々な意見がなげかけられた。昨年は多くの地域で避難指示が解除された。しかし、住民帰還に関しては、一人一人様々な思いがあり、選択が迫られ、新たな課題が生まれ、人々の分断も生まれている。これが福島の現状であり、実態だ。どの意見がよい、悪いということではなく、この事実をしっかりと押さえておかなければならない」。

 「被災地で県民集会を行うことの意義について、議論を重ねてきた。元の生業を取り戻したいと帰還した人の今の生活の姿がある。しかしそれを簡単に取り戻すことはできない。古里の帰還を諦めた人、今も思い悩んでいる人もいる。これが原発事故をもたらした事実です。原発事故の風化が進む中で皆さんに原発事故によって奪われた暮らしと人々の人権、原発災害の苛酷さを実際に見ていただきたい。福島の事実を多くの人々に広めていただくことがなにより重要だと結論を出した。県民集会の大きな目標は、東電第二原発の全基即時廃炉を実現することだ。福島に原発はいらない。原発のない社会を作っていこう」。

 連帯あいさつが鎌田慧さん(さようなら原発1000万人署名市民の会)から行われ、「安倍政権を打倒できないわれわれの力不足を感じている。原発事故がなかったように川内、伊方、高浜と続き、これから玄海、大飯原発の再稼働が進められている。使用済み燃料を処置できない出口がないにもかかわらず突進している。歴史的な教訓を生かせず安倍政権に引き継がれている。森友・加計学園問題に見られるように政治が私物化されている。原発政策が破たんしているにもかかわらず推進し、輸出しようとしている。国会内外の闘いでこのような政権は打倒するしかない」とアピール。

 武藤類子さん(ハイロアクション福島)が呼びかけ人の訴えを行った。

 「今、福島では帰還、復興、再生、未来などのポジティブな言葉が飛び交っている。2020年のオリンピックを控え、莫大な復興予算が投入され、沿岸地域を中心にイノベーション構想が進められている。福島県は、できるだけ早く避難者をゼロにしたいと考えている。しかし、その影で苦しんでいる人が多くいる。避難住宅の無償提供が打ち切られ、生活は困窮し、追い詰められて望まない帰還をする人、ホームレス、自死する人も出ている。この帰還政策は、本当に妥当だったのでしょうか。安全、暮らしが保障される施策がなかったのか。国連は原発事故被害者の人権状況を是正するように政府に勧告した」。

 「福島沖の海は、原発事故によって大量の放射性物質が流されたのに、さらに人為的に流すのか。許し難いことだ。甲状腺ガンの疑いが一九六人となった。さらに増えていることが発覚した。甲状腺ガン検査を縮小する動きさえある。裁判では東電の責任を認める判決が出ている。刑事裁判も始まっている。原発事故は被害者の人権を侵害し、生きる尊厳を傷つける。分断されず、なにが力をあわせることができるのか。この時代を生きる有り様が、次の時代を作っていくことを忘れずに今を誠実に生きていきたい」。

 三瓶春江さん(浪江町津島地区の原発訴訟原告団)は、「古里を返せと裁判を行っている。被害者は全国に避難を強いられている。原発の被害者を出してはならない、将来の子どもや孫たちに後始末をさせてはいけないという思いで一杯だ。残酷な状況になったのも原発事故のせいだ。何事もなかったかのようになぜ原発を再稼働するのか」と糾弾した。

 高校生平和大使の二人は、核兵器廃絶運動の取り組みや原発廃止に向けて発言
した。

 最後に「原発NO!」のプラカードアピール、集会アピールを採択した。


 また集会は、「私たちは訴えます!」―①東電福島第二原発を廃炉とし、福島
県では原子力発電は将来にわたり行わず、福島県を再生エネルギーの研究・開発及び自立的な実施拠点とすること。②放射能によって奪われた福島県の安全・安心を回復し、県民の健康、とりわけ子どもたちの健やかな成長を長期にわたって保障すること。③原発事故に伴う被害の賠償、及び被災者の生活再建支援を、国と東京電力の責任において完全に実施すること。―を確認した。


(Y)