14共謀罪
 3月14日、共謀罪NO!実行委員会と戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の共催で「3・14共謀罪国会提出許さない!国会正門前集会」が行われ、500人が参加した。

「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」とはすべての民衆

 安倍政権は、2月28日、民衆監視と対テロ治安弾圧体制強化に向けた「実行準備行為を伴う組織的犯罪集団による重大犯罪の遂行」罪(共謀罪)を新設する組織犯罪処罰法改正案原案を自民党、公明党に提示した。しかし、民衆に危機を煽り、騙すためのテロの表記が一切ないことに対して批判が出たため、「テロリズム集団その他の」の文言を加えた改正法案をデッチ上げた。修正改正法案の表題を「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画」罪とし、「【テロリズム集団その他の】組織犯罪集団の活動として、当該行為を実行するための組織により行なわれるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行なわれたときは、当該各号に定める刑に処する」と明記した。原案と同様に条文には、「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団組織的犯罪者集団」の定義・範囲を明記していない。

 つまり、安倍政権、警察権力と公安政治警察は、グローバル資本主義と日本国家防衛という階級的任務を貫徹していくために既遂処罰が原則の法体系を破壊し、未遂でも罰することを可能にすることを狙っている。共謀罪と称していつでもどこでも窃盗罪、組織的な封印等破棄罪、組織的な強制執行妨害目的財産損壊等罪、組織的な強制執行行為妨害等罪、組織的な逮捕監禁罪、組織的な強要罪などを適用し、準備行為を立証するために盗聴法などを拡大した刑訴法を悪用してくるだろう。電話・メール・フェイスブック・ライン・盗撮・衛星利用測位システム(GPS)機器設置にいたるまでプライバシー侵害の違法行為のやりたい放題だ。

 人権侵害に満ちた修正案に対して法務省官僚は、「テロリズム集団は組織的犯罪集団の典型のため、あえて明記する必要はないと考えていた。再検討し、テロ等準備罪の対象をより正確に理解できると考えた」と補強した。与党もテロの表記が入ったため「国民に説明しやすくなった」などと民衆を騙す法案性格の「本音」を言い出しながら法案を了承した。安倍政権は、共謀罪を3月10日に閣議決定する予定だったが、原案修正と与党対策のために21日に延期した。

 共同通信社は、3月11~12日、全国電話世論調査を実施し、共謀罪に反対が45・5%、賛成が33%だった。毎日新聞の全国世論調査(11~12日)でも反対が41%、賛成が30%だった。いずれも前回の調査では賛成が反対を上回っていたが、今回は共謀罪反対が多数を示した。急速な反対運動の拡大によって安倍政権の危機アジリと「テロ対策」のウソが瓦解しはじめた現れだ。言論の自由、結社の自由、通信の秘密、基本的人権の破壊の共謀罪の正体を暴き出し、賛成派に切り込んでいきながら廃案運動を拡大していこう。

共謀罪法案上程阻止・廃案へ

 国会前集会は、「戦争法と一体の共謀罪は絶対反対!言論封じの共謀罪はいらない!閣議決定絶対反対!答弁不能の金田法相はただちに辞任!」のコールから始まった。

 主催者あいさつが海渡雄一弁護士(共謀罪NO!実行委員会)から行われ、「共同通信と毎日新聞の世論調査で共謀罪反対が賛成より上回った。反対の声が少しずつ世論を変えてきた。政府の偽りの情報を打ち破り、テロ対策ではなく政府に異議申し立てする市民を一網打尽にする戦前の治安維持法なみの治安立法だと示されたからだ」と強調した。

 国会議員の発言では逢坂誠二衆院議員(民進党)、山下芳生参院議員(共産党)、福島みずほ参院議員(社民党)から行われ、共謀罪廃案に向けた決意とともに森友学園問題、稲田防衛相糾弾が続いた。

 落合恵子さん(作家)は、「森友学園の不透明きわまりない問題や東京都の豊洲問題百条委員会についてメディアは盛んに報道している。その影に隠れて共謀罪が前のめりになっている。あわててテロという文言を入れた。テロとオリンピックをドッキングさせたら、みんな納得するだろうという安易さを許せない。政府は言い換えで本質を隠してきた。私たちこそ民主主義の下に彼らをアンダーコントロールすべきだ」と発言した。

 鎌田慧さん(ルポライター)は、「共謀罪によって盗聴、司法取引、尾行などを行ってくる。共謀罪によって『社会を脅かす』者だとしてデッチ上げ、逮捕する。沖縄の山城博治さんは、いまだに釈放されていない。怪しいヤツを安心・安全のために逮捕するのが狙いだ。国会包囲によって共謀罪を粉砕する」と訴えた。

 桜井昌司さん(布川事件えん罪被害者)は、「えん罪被害者は警察を信用できない。いかに悪党の組織かを体験して知っているからだ。人を死刑にするために、平然と証拠を捏造する。警察が共謀罪を持ったらヤクザに拳銃を与えるのと同じだ。裁判所も信頼できない。沖縄の山城博治さんは釈放されているはずだ。裁判所は警察にフリーパスを与えているからだ」と批判した。

 続いて三澤麻衣子弁護士(共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会)、武田隆雄さん(日本山妙法寺)、秘密保護法廃止をめざす藤沢の会 斉藤隆夫さん(秘密保護法廃止をめざす藤沢の会)、宮崎俊郎さん(盗聴法廃止ネットワーク)がアピール。

 最後に高田健さん(総がかり実)が「3・21共謀罪閣議決定糾弾 首相官邸前行動」、「自衛隊は南スーダンから即時撤退、共謀罪反対、3・19国会議員会館前行動」「4・6共謀罪反対!日比谷野音集会・デモ行動」などを提起した。

(Y)