IMG_0529 名古屋市立教育館講堂で5月21日、講師にイラクの子どもを救う会代表でフリージャーナリストの西谷文和を招いて「G7伊勢志摩サミットを問う!講演集会」(主催:G7伊勢志摩サミットを問う集会実行委員会)が開かれた。約70人が参加した。

今回の講演は映像の解説を中心に進められ、G7における「テロとの戦い」の欺瞞を深くえぐる内容であった。同時に事実の背景を報道しないメディアの欺瞞を追及するものであった。

講師は一昨日までシリアのイスラム国支配地域にいたとのこと。これまでISへの空爆は10,000回以上行われており、空爆によりシリアの多くの子供たちの命が失われている。日本はテロの有志連合に入っている日本とも無縁ではない、と指摘した。

講演では現在までのシリアの内戦の歴史がスライドで説明された。そもそも中東で戦争が多い原因は宗教の違いで戦争が行われているのではなく、ヨーロッパ列強の植民地支配のなかで民族対立、宗教対立があおられ戦争が発生している地域背景について述べた。スライドでは、講師が自ら取材、政策したシリア現地の映像も紹介され、臨場感あふれる内容であった。

トルコからシリアに入り、さらにカメラは空爆で破壊された激戦地に進み衝撃的な映像が続く。アサド軍と自由シリア軍が対立して壮絶な銃撃戦が続いている地域ではほとんど人が歩いていない。人がほとんどいない街で、カメラは「アラーは偉大なり」と叫びながら機関銃を連射する兵士。長引く戦争が日常となっている異常な状況のなかで銃弾、戦車砲の破片が取り除かれないまま、麻酔薬のない病院に放置されている子供たちが映し出す。

映像は続いてIS(イスラム国)のものに切り替わる。石油の強奪をもくろんだ米国、欧米の資本がもたらした数年間のシリアの無政府状態、マリキ政権によるスンニー派の虐殺を背景に台頭したISはクルド人虐殺を始めた。

罪なき人々が虐殺されても動かなかった米国だったが、自らの油田が危うくなった段階で空爆を始めた。シリア内戦による大量の武器の調達により潤う戦争商人によりシリアの内戦は泥沼化、長期化させられる。ISの正体は、米国がイラクに無謀な戦争にもってもたらされたものである。

映像のあと講師は、わかりにくい戦争、テロとの戦いによって儲け続けたい死の商人らが存在するため、本来取り締まれたISやアルカイダの台頭を招いた、と指摘。歴史的背景を含めてわかりやすく説明する必要があるメディアが役割を果たしていない、と会場に取材に来ているマスコミに問題提起した。

また、諸悪の根源は米国にあるが、米国の後方支援のために集団的自衛権を行使して憲法の解釈を変え、日米ガイドラインを変えた日本にも「米国の正義の戦争」の責任の一端があることを指摘した。講師はさらに、最近のパナマ文書の暴露にも触れ、戦争法と格差拡大は密接につながっていることも訴えた。

講演の終了後、約80人の参加者が名古屋の繁華街の栄を中心にメッセージボード、横断幕、旗を掲げてデモ行進を行った。名古屋の街に「Attac.jp」の%の旗、「アジア連帯講座」の旗等がひるがえった。デモの参加者は大量の公安政治警察が過剰警備するなか、G7の欺瞞性を市民に訴えるとともに、世界経済の問題、沖縄県で起きた米軍属による女性遺棄事件への抗議の声を上げた。

今回の集会、デモでは大量のマスコミへの対応が行われた。デモの終了後にネットで検索をしたところ、相当数の記事がヒットしている。名古屋の主要な通信社、新聞社、テレビ局が取材・報道を行った今回の集会、デモは、社会的な影響が大きかったといえる。

(山本)