配信用:大野さん講座 4月16日、アジア連帯講座は、大野和興さん(「TPPに反対する人々の運動」世話人)を講師に「TPPをマクロとミクロの視点から批判する」公開講座を豊島区民センターで行った。

 安倍政権は、食料主権と生活破壊、グローバル資本のための環太平洋経済連携協定(TPP)を昨年、12カ国政府と談合し、強引に「大筋合意」を進め(15年10月5日)、TPP署名式(ニュージーランド/2月4日)で署名した。TPPの既成事実化を押し進めながら自民、公明党は、交渉内容や協定などの情報公開、説明が不十分なままTPP関連法の改正案11本を一括法案として国会に提出することを決め、3月8日にTPP協定承認と関連法案提出を閣議決定した。4月5日、審議入りを強行し、なんとしてでも批准し、関連法案なども成立させようとしていた。

 しかし、アメリカは11月に大統領選があるため批准に遅れるだけでなく、次期大統領候補たちもTPPに反対傾向が強い。日本の国会では、強引に審議入りしたが、

①甘利明前TPP担当相が金銭問題で失脚し、病気を理由に雲隠れ中

②TPP衆院特別委員会に提出されたTPP交渉の経過・関連文書はほぼすべてを黒塗り状態で実質的に「審議」を否定

③委員会の西川公也委員長(自民)が『TPPの真実-壮大な協定をまとめあげた男たち』(中央公論新社)という本の出版予定が判明。黒塗り文書提出とは真逆の対応で審議紛糾してしまった。3月14日の熊本震災の発生もあって、結局、安倍政権は参院選前のTPP争点化を避け、今国会での成立を断念し、秋の臨時国会に先送りすることになった。

 TPPは農産品関税の撤廃と称する農業破壊の拡大、食の安全基準や食品表示の緩和、金儲けのための投資や金融、サービス貿易などの協定で貫かれている。世界の人々はTPPによる貧困の拡大、農業と環境の破壊、食の安全軽視など民衆の生活全般への深刻な影響へと直結するために不安と批判を強めている。あく
までも安倍政権は、TPP関連法制定をねらっている。大野さんの問題提起を材料に、さらに学習・論議を深めていきたい。

■大野和興さん講演要旨(文責アジ連)

 国会でTPPの審議が始まっている。だが緊迫感がない。なぜかというとアメリカが動かないからだ。米大統領候補全員がほぼTPP反対だ。最初はいいよと言っていたクリントンも反対に回った。大統領選挙が終わったら、すぐに賛成に転じる話もあるが、あれだけはっきりと反対と言っていたら、そんなに簡単に賛成はできないだろう。たぶん米は、再交渉を要求してくるだろう。米が主導してきたと言っても、積み木細工の再交渉は、なかなかうまくいかないだろう。そこを見越して批准をしていない国もある。議会の批准をしなければならない国は、アメリカの動きを見ている。

 その中で安倍政権だけが、突出して前のめりだ。今国会で確実に成立させるということでやってきた。ところが甘利の問題で失脚した。さらに情報開示で黒塗りの書類が出てきた。やつていることが、すごくちぐはぐだ。熊本地震も重ねって、強行にやるメリットは日本にない。アメリカは大統領選で動かず、選挙後も1年、2年は動かないだろう。参院選あるいは衆参同時選挙前にTPP成立を強行突破するメリットはない。たぶん次の国会にまわるだろう。私たちは批准阻止を掲げて取り組んでいるが、やはり運動が上滑りしている所がある。ここらで地域からもう一度作り直すことが必要かなと思っている。 


本題にはいりますと、TPPをどう捉えるかを一つは、軍事と経済との関係、つまり、日米安保とTPPの問題だ。二つ目が、憲法とTPP。三番目が、具体的に暮らしの中でどうなるのか、というアプローチをしていきたい。

■日米安保とTPP

 2010年に民主党の菅首相が、10月の通常国会の冒頭で「TPPに入る」ことを表明した。ほとんどの人がTPPを知らなかった。なぜ突然、こんなことを言い出したか。その背景は日米安保にある。

 日米経済摩擦が70年代から80年代にあったが、そのとき改めて感じたのはそもそも60年安保改定だった。安保条約に経済条項が入り、単なる軍事同盟だけではなく、経済同盟にもなった。日米安保条約の第二条(経済的協力の促進)には、「締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによって、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」と明記されている。安保条約で日米政府は、経済政策の食い違いを除くことになっている。アメリカの主張に沿って「除く」となる。

 このことを具体的に示したのが、吉岡 裕さん(元農林水産省経済局長)の「日米貿易摩擦とアメリカの農業政策 」(昭和62年度〔日本農業経済学会〕大会討論会報告)だ。その中に「5.日米関係の特殊性と日本の政治状況」がある。「特殊性」とは、日米安保の存在だ。「この条約には同時に『経済協力条項』が含まれており、自由な経済社会体制の強化をめざして両国は、経済政策上の相違を除去するように努力し、そのための協議を続けることを確認している。この防衛関係と経済関係のリンクは、米国側の政治的解釈としては当然視されており、『防衛での貸しは、経済で返させる』との期待が米国にはある。」と述べている。

 つまり、日米の貿易関係は、防衛と軍事に確実にリンクされている。東西冷戦下、安保はどんどん変質し、冷戦終結と同時に安保も経済もグローバル化していった。グローバル安保とグローバル経済のリンクがTPPだ。

 2011年東日本大震災の年の11月にAPEC首脳の閣僚会議がホノルルであった。野田首相(民主党政権)は、オバマ米大統領と会談をし、TPPの交渉に日本入ると宣言した。ぼくらもデモをするために現地に入っていた。

 集会で、グアム、ホノルル、ハワイ、グアム、沖縄、韓国の済州島、オーストラリアの人たちが集まってのセッションで、米軍基地でなにが起こっているのかということを話した。これらの地域を線で結ぶと中国をすっぽり包囲する形になる。沖縄からは高里鈴代さんが参加した。この時にTPPの狙いを実感した。

 野田首相は、中国の包囲網としての経済の軍事化、原発の輸出、武器輸出3原則をはずして武器輸出と兵器協力などを言い出していた。これが安倍政権に引き継がれ、アベノミクスの核のところに原発輸出と武器輸出がおかれた。日米安保は、冷戦下の安保からグローバル安保へと変わっていた。TPPはグローバル経済の象徴として位置づけられた。この二つがここで具体的に結合したとみてよい。TPPは経済のグローバル化であり、世界の市場化の一環だ、アジア・太平洋における自由な企業活動を行うこためのものだといわれているが、実態は米日主導の経済のブロック化の一つの現れだとぼくはみている。

■反国益論としての反TPPではなく

「TPPに反対する人々」を作った時、奇妙な状態があった。保守主義の経済を論じている中野剛志(経産官僚)をTPP反対の論客として引き込んだ。当時、ネット右翼の在特会がTPPに反対だった。中野は、在特会が講師として招くような人物だった。中野はよく右翼のインターネットTVのチャンネル桜にも出演していた。右翼のTPP反対のよって立つ位置はナショナリズムで「国益に反する」という主張だ。私たちは、こういう主張や運動とは一線を画さなければならないと考えた。国益論としての反TPPではなくて、グローバリゼーションで抑圧され収奪されるのは世界の民衆ですから、生活者として共に反対していく論理を作っていかなければならないと考えた。

第二は、日本は加害者だということだ。

 TPPにはISDS条項(投資家と国との 間の紛争解決)がある。例えば、米国の企業が日本に投資したが、日本の公害防止条例で停止させられた。投資の儲けと投資の自由を阻害したことになるから、その企業は日本政府を相手に損害賠償請求ができる。すでに米国ではやっていて、結構、カネ儲けをしている。だから日本は米国にそれをやられると大変だ、日本の国益が侵されるというのが、TPP反派主流の論理だ。

 私たちは、そうじゃないだろう、海外投資をしているのは日本も同じだろうという視点を提起していった。例えば、フィリピントヨタでの組合潰し、マレーシアで住友化学がある村に放射性廃棄物を出し、住民の健康被害を発生させるといった日本企業による悪事の事例は沢山ある。住民たちは、日本に来て、抗議集会、住友化学と交渉を行った。TPPは日本の企業にとって絶好のカネ儲けの話だった。日本は、むしろそこを狙っているのだから加害者だ。このことをきちっと言っていかなければならないとキャンペーンを開始した。革新系のTPP反対運動をしている人たちも「日本の国益に反する」といういい方をよくする。国益論は、右派、左派関係なく侵されています。右派は、単なる経済的なことだけではなく、軍事の問題を絡めて国益論を主張する。左派は国益論を出したほうが人々に訴えやすいので安易に流れていった。今もTPP反対運動では国益論の傾向に流れている。

●憲法とTPP

 今、TPP違憲訴訟が行われている。違憲訴訟の幹事長の山田雅彦さんは、民主党政権時代の農林水産大臣でTPP反対運動で頑張っている人だ。「なぜ違憲訴訟を始めたのか」と質問したら、山田さんは、「TPPは人権、生存権を損なう。憲法違反で真っ向から問うたほうがいいだろう」と強調した。当初は、みんな門前払いになるだろうと思っていたが、門前払いにならなかった。

 違憲訴訟は、一つはTPPによる損害賠償を請求し、二つ目が憲法判断をさせる、二本立てになっている。つまり、TPPによって農産物の安全性か損なわれる、薬が高くなるとか、色々あげて国民が不利益を被るから損害賠償請求した。だが、まだ協定が結ばれていないから諸被害発生していなかったので「そうなるであろうという」論理なので損害賠償請求はできないのだが、山田さんはそれを前提にしつつ、たとえ損害賠償請求で却下されたとしても、憲法判断を仰ぐことが狙いだと語っていた。

 TPPに対する憲法判断とは何か。13条の「生命・自由・幸福追求権」、15条の自由権と基本的人権、22条の職業選択の自由、25条の生存権、健康で文化的な最低限の生活をする権利に対する憲法判断だ。つまり、農業者がTPPで関税撤廃などで農業を辞めざるをえなくなったから憲法13条違反だという立論だ。さらに職業選択自由とは、営業する権利、生業の権利、つまり百姓は百姓で生きる権利、商店で生きる権利が脅かされるから違憲だという論理だ。

 もう一つの柱は、ISDS条項だ。進出企業は、その国による諸規制などによって投資の自由が脅かされたとして、国際仲裁裁判所に訴えられることができる。仲裁裁判は、ほとんど投資した方が勝っている。投資の自由を保障するための仲裁機関だから、負けるわけがない。仲裁裁判所の国際法廷の結論は、日本の最高裁判所の判決よりも優先するという条項らしい。そうすると司法の独立性とか、権限はどうなるのか。一国の司法の最高裁の判決を越える国際仲裁裁判所の決定は、ほんとに効力があるのか。そんなことが許されるのか。司法独立の問題として争点となる。

 これらが違憲訴訟の争点だ。すでに原告側の証言が三回もやられている。山田さんは、「証人調べまでいけそうだ」と言っていた。

 アメリカと韓国のFTA(自由貿易協定)が結ばれて、最初は韓国の米、豚、牛が大変だと言っていた。たしかに牛は大変になっている。それ以上に果樹農家が壊滅的状況だ。どんどん安い果物が入ってきた。想定外の被害が韓国では発生している。日本でもこれから何が起きるかわからない。韓国の状況を知っておくことは重要だ。山田さんは、農家、薬価の問題などで国民は不安におののいていることを根拠にして精神的慰謝料を請求するべきだと主張している。

 このように反TPPのアプローチは、生存権の問題として捉えることだ。そして日常の運動のレベルに降ろさなければいけないなというのが課題だ。裁判の意義も含めて日常の問題として労働と生活の現場に問題を引き下ろして、運動を組立てていかなければと思っている。

■反TPP運動の課題

 世論調査を見ると、TPP賛成が多い。一般の人は、「いいじゃないの安いものが食えるから」と言う。みんなが食えなくなって、低賃金で非正規になってという背景もある。ここをいかに崩していくか。現実としてTPPの運動は、いつも少数だ。僕らの集会だって数百人を超えたことがない。だから共産党も含めたネットワーク作ることにした。TPPストップ市民アクションに全労連、全労協、全日農、農民連も入ってくれと、一緒にやろうよと広げた。農協は途中、安倍政権に脅されて抜けてしまった。反TPP運動は、いかに戦争法反対と反原発と結びつけて取り組んでいけるのかが大きな課題だ。

 じゃどうすればいいのか。一つの試みとして農業集落ごとに入り、その集落の農業が20年後にどうなるか計算をしょうよと言って集まってもらう。つまり農業グループ、個人の農家などが一番身近なところで、今後どうなってしまうのかを実感しないと運動にならない。

 3.11大震災で東北が壊滅し、福島の原発が吹っ飛んだ。実は、2011年5月、6月は反TPP闘争の山場だと位置づけていた。そのために陣形作りをやっていた。2月に東京で集会をやって、500人集まった。それをバネに春の決戦だとしていた。そしたら3.11だ。TPPどころじゃないとおもっていたら、4月に読売新聞が社説で「震災復興のためにTPPを」を出した。TPPでカネ儲けをしよう、カネで震災復興しなければならないという論理だった。その後、経団連が「今こそTPP」「震災復興はTPPなくしてありえない」と提言した。原発が爆発し、津波被害で三陸海岸は深刻な状況、行方不明者が5000人も発生していた。こんな時になんでTPPなのか。

 権力者は、TPPによって反転攻勢を狙った。 典型的な意見として元農水省官僚だった山下一仁(キヤノングローバル戦略研究所)が「ダイヤモンド」で「この大震災は、強い農業を作っていくためのチャンスだ」と主張していた。要するに、三陸海岸含めて農業地帯が真っさらとなった。だから農民の土地所有権がない状態だから私権を制限して大規模な区画を作り、大型農業機械を入れ、政府投資をして企業を動員して大規模農業を育成することができるというのだ。これがTPPで勝つことであり、強い農業の中心だ。TPPで儲けることのチャンスを震災が作ってくれたと言っていた。まさにTPPの本質をずばり指摘し、その後、あらゆる分野に貫徹していくことになる。私はいろんなところで「ショックドクトリンもいいところだ」と山下批判やった。

 もう農業という言い方で語ることはできない時代に入っていると思う。誰の農業か、主体は誰か。企業の農業、資本の農業、百姓の農業、農家の農業と言わないとだめだ。一つにくくれない局面に入っている。強い農業を作ると言うと時は、それは農家の農業ではない。それを農業と言ってしまうと、百姓自身が俺も強い農業でやっていけると誤解してしまう。

 色々な農家と知り合いだが、千葉の米作地帯で農業を行っている仲間たちからTPPの話をしてくれというので行った。かつて三里塚闘争もやっていた人たちもいる。TPP批判を話したが、終わってからの交流会で大型農家の彼は、「TPPになったら米の輸出を考えている。どやら儲かるみたいだ。外国で和食がブームだから日本の米が売れる」と言だし始めた。TPP賛成だという農業者はたくさんいる。農業者だからTPP反対だというのは間違いだ。むしろ専業農家のほうが主流で米の輸出で儲かるからTPP賛成だというのが多い。

 私は、「日本中に同じようなことを考えている人が一杯いる。みんな輸出で儲かるということで輸出したら、そんなの誰が買うのだ。それだけの需要があると思うのか。当然、だぶついて大暴落だ。それより国内で売ったほうがいい。アジアで金持ちが増えているといったって、中国の富裕層だけだ。そんな話に乗らないほうがいいよ」と言ったけど納得しなかった。

 こないだ日経新聞で全国の農業法人のアンケート調査の記事が出ていた。大型経営の農業法人は、7割がTPPになったら輸出が増えると答えている。同じように5割が値段が下がると答えている。つまり大型経営の7割は、輸出が増えるから、それに乗っかれということだ。

 山下一仁の「強い農業」「大震災が絶好のチャンスだ」という論理と空気が浸透している。このような雰囲気が農業者にも広がっている。

 それに対してどうすればいいのか。今、北海道五区で衆議院補選が行われている。自民党の 小泉進次郎が張り付いている。小泉は、細かく歩き、強い農業の話をしている。北海道は、TPPでたしかに大変だが、実は北海道の百姓で遺伝子組み換えをやりたがっている農民、農民グループがある。遺伝子組み換えを認めろと常に発信しているグループもある。モンサントからカネも出ている。遺伝子組み換えで量産して、輸出して儲けるという論理が蔓延している。

■TPPによって貧困連鎖が拡大

 いま企業化した輸出型の農業経営者は俺らの時代だと思っているが、TPPによって、確実に小さな農業が潰れてしまう。小さい農業が潰れたら、どうなるか。僕らはきちっと言わないとだめだ。

 例えば、国威内では1000万トン~1200万トンぐらいの米の潜在生産力があるが、それを減反して800万トンぐらいにしている。この列島の人が食べるうち、大型経営の人たちの米より小さな農家・兼業農家が生産した米の方がはるかに多い。その小さな農家はつぶれる。小さな農家は、高齢化し、平均年齢が70歳ぐらいだ。国民年金が夫婦で5万か、6万だ。これでは食えない。畑、田んぼを耕して、年金と農業で生活を支えている。小さな農家がいなくなるということは、村がなくなるということだ。地域社会がなくなり、商店がなくなり、そして食えなくなる。地域社会が崩壊しつつある。TPPは、その状況を進めることになる。

 都市の労働者にも関係する。例えば、TPPのメリットで牛丼が安くなると言われる。確かに牛肉が安くなる。輸入米も安くなる。安い米と安い牛肉でいっぱい350円の牛丼が300円になる。かつて4~5年前、牛丼の安売り競争があった。260円になったこともある。めし代が下がるということは、それだけ賃金を引き下げてもいいということでもある。350円の牛丼を260円に下げた時、経営者は、260円の牛丼が食えるのだったら、また給料を下げるのもいいなと判断する。そして給料が下がり、200円の牛丼になる。このように貧困と牛丼の値下げは、貧困の循環だ。

 牛丼の引き下げは環境問題にもつながる。1993年、GATTウルグアイラウンドの最後に牛肉の自由化をやった。例えば、今回地震にあった阿蘇の山麓は、肉牛の放牧をやっている。赤牛の放牧地だ。春になると草原を野焼きして、牛を放つ。牛は草を食いながら、夏と秋を過ごして、その間に子どもを産む。秋は子牛を連れた母牛を呼びもどして小屋で飼う。牛小屋の牛のフンは、畑、田んぼに入れて作物、米を作る。山と田んぼ、畑、牛がぐるぐると循環する。日本型の循環農業だ。こういう循環の農業が昔から成立している。TPPでやすい牛肉が入ってくることでこの循環が破壊されてしまう。春の野焼きと牛が草を食べることで、草原は再生する。熊本は昔から名水の地域だが、その水は阿蘇の草原に降った雨が地下に染み込み、地下水となったものだ。牛がいなくなって草原が荒れると、その水も枯れてします。

 韓国と米国でFTA協定を結び、その後、農家は先行き不安で牛を売り出した。大暴落し、牛肉不足になった。結果として牛がいなくなることによって、いろんな循環が途絶えてしまった。

 TPPの問題は、一筋縄でいかない。都市の貧乏人、農村の貧乏人の拡大再生産だ。同時に環境は、どんどん壊されていく。食の安全の危険以前にこのような問題がある。食の安全の基礎が壊されていくのだ。

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