IMG_0987反核世界社会フォーラム2016分科会:原発を輸出しないで!
アジアの人びとの叫びに応えて
国際的な連帯闘争が必要だ


輸出される国の民衆の声を聞け

 三月二七日午前中、韓国YMCAスペースYで「原発を輸出しないで! 〜アジアの人びとの叫び」(反核世界社会フォーラム2016の分科会3)が主催:No Nukes Asia Forumで開かれた。

 欧米諸国で行き詰った原子力産業は、生き残りをかけてアジア各国でその動きを強 めている。日本では国内での原発新増設の問題に加えて、原発輸出の問題も深刻さを増している。三菱とアレバが四基輸出予定のトルコ・シノップ、米仏の原子力企業と結んで日立、東芝、三菱が大規模な原発輸出をねらうインドなど、輸出される側の声に耳を傾ける。そして、輸出する側の国に住む者がどうすべきかを明確にし、原発輸出を「挟み撃ち」にして食い止めるための議論のきっかけとしたい。

トルコとインドから切実な訴え

 トルコの報告。プナール・デミルジャンさん (トルコ、脱原発プロジェクトnukleersiz)とメチン・グルブズ(トルコ、シノップ反原発プラットフォーム)が行った。

 「二〇一三年五月に、日トルコ原子力協定が結ばれ、四基の原発を建設する。値段は二二〇億ドルとされていたが一六〇億ドルに値下げされた。しかしこのことをトルコ側は説明していない。建設反対の理由は次の通りだ。建設予定のシノップ市の近くに地震の断層がある。電力は不足していない。トルコは自然の豊かな国で、水力・風力・太陽力を活用できる。発電は天然ガスが四八・七%で、ロシアに依存している。ロシアとも原発協定を結んでいる」。

 「シノップ市は黒海に面し、九九%が森であり、第一級の自然遺産だ。漁港もあり、漁業と観光業が盛んだ。二〇一四年にシノップ市で二万五〇〇〇人が建設反対のデモを行い、二〇一五年には三万人のデモを行った。チェルノブイリ原発事故の影響で三年後にガンが増えた。全世界の原発に反対する」。

 インドの報告。ラリター・ラームダースさん(インド、核廃絶と平和のための連合)、アミルタラージ・スティフェンさん(インド、反核運動全国連合)。

 「一九七四年にインドは最初の核実験を行った。その後核実験をしないとしていたが一九九八年に核実験を再び行った。核兵器と原発をリンクして考えることが大事。インドとパキスタンは一九四七年に分裂した。一九七四年、インドが核実験をした二週間後にパキスタンが核実験をやった。核国家主義になっている。安全保障アイデンティティと結びついていて、スーパーパワー国は核兵器・原発を持っているのに、なぜわれわれが持ってはいけないのか。ここに闘う難しさがある」。

 「日印原子力協定の問題点。非常に危険だ。貧困層へ苦しみを与える。フクシマ、ヒロシマ・ナガサキがあった。日本が原発輸出するのは道徳違反だ。死んでしまいそうな核産業を復活させた。インドには原発が二二基あるがこれを四六基にする計画だ。原発企業は事故の免責を要求しているがこれは絶対に受け入れられない。核拡散反対の願いが打ち切られ、武器レースがエスカレートしていく。軍事主義になり、日本国憲法九条違反になる」。

 「クダンクラム原発反対運動について。父が原発建設関係の仕事をしていた。原発は経済開発のものだと思っていたが福島の原発事故で変わった。情報公開を求めたが安全性は見せない。フクシマの恐怖が起こってきた。二〇一一年八月から、非暴力・平和デモを行った。多くの漁民が参加した。警察は激しい弾圧を行った。一日六億リットルの海水を使い、四〇度になる温水を海に流す。二〇一一年九月、海から抗議した。それに対して国家に対する扇動罪で弾圧した。五人が殺された。核廃棄物の処理計画がまったくない。日印原子力協定を止めたい。再稼働反対、原発ゼロを」。

止めた比国、輸出する韓国

 フィリピンの報告。コラソン・ファブロスさん(フィリピン、非核フィリピン連合)。

 「一九七〇年代にマルコス時代、独裁体制で秘密裏に建設が進められた。最初二三億米ドルで原子炉が二つであったが、三二億米ドルで原子炉一つとなった。マニラから車で三時間のバターンに作られた。電力不足、安い電力ということだった。IMFから大きなカネを借りた。汚職や人権侵害もあった。反対運動は消費者の問題として始まり、反マルコスキャンペーンの一部となった。一九八三年バターン原発は稼働した。しかし反対運動が全国化し、一九八六年にピープルズパワーがあり、原発は止まったままだ。一九九一~二年に米軍基地が閉鎖された。政府は一三カ所の建設計画をあきらめていない。五月に総選挙があるが原発反対の候補者がいない。バターンから原発に反対している。世界中の仲間と共に反対している。『平和・連帯・再稼働反対』」。

 韓国からの報告。イ・ホンソクさん(韓国、エネルギー正義行動)。

 「韓国政府の原発輸出問題について十分な対応ができてこなかった。政府は原発輸出をどんどん進めている。韓国では二五基の原発が稼働しているがこれを二〇年で四六基に増やす計画だ。電力需要は増加しない、核濃縮サイクルがない、再処理はしないのにだ。二〇〇九年、ヨルダンに研究用の原子炉を輸出、二〇一一年三月一五日にUAEと原子力協定を結んだ。韓国にとってフクシマ原発事故は原発輸出のチャンスになった。そしてこの日を原子力の日として制定した。二〇一六年にアラブ首長国連邦(UAE)に輸出。このオプションで韓国の軍隊がUAEに行き、UAEの軍隊を訓練している。これに対して平和団体が反対している。国際金融機関からカネを借りてUAEに貸し付けて原発を作っている。低金利で返してもらう構造になっているので韓国にとって負担だ。また核兵器を持とうという動きが強まっている。韓国インド原子力協定を結んだ。さらに、サウジアラビアにはスマート原子炉の輸出をしようしている。反対する国際的な闘いを」。

原子力マフィアとの闘いへ

 台湾からの報告。王俊秀さん(国立清華大学社会学研究所教授/台湾環境保護連盟)

 「台湾には三基の原発があるが民進党政権ができ、二〇二五年には原発が止まる。日本が輸出する必要はない。今後核廃棄物が問題になる。自転車で発電するなど市民の電力の運動が起きている。日本のデモに参加した。若者が出てこないと運動は成功しない。がんばって」。

 アジアの報告を終え、日本の運動団体が発言した。日印原子力協定反対キャンペーンの福永正明さんは「国際的な原子力マフィアがうごめている。世界中の原発を止める。輸出させない。次の世代に核の被害を受けさせないためにがんばろう」と訴えた。河合弘之さん(脱原発弁護団全国連絡会代表、弁護士)は「原発が稼働していないと輸出はできない。台湾は原発を止めた。『日本と原発』を自費で制作し、一一〇〇回の自主上映を行い、八万人が観ている。高浜原発3、4号機を止めた。稼働しているのは川内原発二基だけだ。四月二日には、差し止めの判決がある。原発なし自然エネルギーでやっていける」と発言した。宇野田陽子さん(ノーニュークス・アジア)が「原発には未来はない。原発や武器を売ってもうけるのは許せない。台湾へ日本企業が原発を二基輸出した。今回、アジアフォーラムとして富岡など福島被災地をアジアの人々に見てもらった。貴重な交流が持てた」と報告した。

アジアで反原発・反核の闘う仲間たちとフクシマの交流の実現は重要な機会だった。原発・核兵器のない世界の実現に向けて奮闘しよう。

(M)