配信用:2016旗開き 1月10日、三里塚芝山連合空港反対同盟 (代表世話人:柳川秀夫)は、横堀農業研修センターで「2016反対同盟旗開き」を行い、37人が参加した。

 成田国際空港会社(NAA)の夏目誠社長は4日、年頭訓示で安全軽視の過密運航や環境破壊をもたらす夜間飛行制限の緩和などの空港機能強化にむけて「騒音下の住民に丁寧な説明を行い、理解と協力を得ることを忘れてはならない」と居直り、押し進めていくことを表明。

 さらに第3滑走路についても「成田空港に関する4者協議会(4者協)での議論が重要な局面を迎えた。空港間競争が激化する中、成田の最重要の戦略となる」と位置づけ、国・千葉県・地元周辺推進派との連携を進め、踏み込んだキャンペーンを展開していくと宣言した。すでに空港会社は「成田国際空港の更なる機能強化推進本部」(15年10月)を設置し、パンフレット作成、特設ウェブサイト開設、成田空港マフィア(利権集団)への工作などを行っている。

 安倍政権の2016年度予算で成田空港関連予算は、昨年度よりも5億円増の44億円を計上した。震災発生時対策、耐震対策、CIQ(税関・入管・検疫)機能向上に投入する。まだ第3滑走路にむけた調査費等は予算計上していない。だが空港会社は、自己財源で約470億円をかけて高速離脱誘導路(A・B滑走路の到着機の滑走路占有時間短縮にむけ、滑走路から早く離脱させるために誘導路を整備する)、エプロンの整備を行う。過密運航にむけて拡張工事を押し進めながら第3滑走路キャンペーンを強化し、空港マフィアを使って地元農民、民衆に対して当面の獲得目標である夜間飛行制限の緩和を迫っていく計画だ。同時に三里塚闘争の破壊にむけて横堀現闘本部裁判、東峰住民など闘う農民の追い出し攻撃を行っている。

 反対同盟と支援は、木の根ペンションと一坪共有地、横堀大鉄塔と案山子亭、横堀研修センター、横堀現闘本部などの拠点を守り抜き、安倍政権、成田空港会社、空港マフィアの野望を打ち砕いていく。

 「第三滑走路計画粉砕!」のスローガンを掲げた旗開きは、山崎宏さん(横堀地区/労活評現闘)の開催あいさつから始まり、「政府と空港会社は、一体となって第三滑走路の建設を目論んでいる。また、現空港用地内の土地を取り上げるために裁判に提訴し、横堀現闘本部を撤去しようとしている。東京高裁は、まともに審議もせず第1回の公判(15年12月14日)で結審し、次回は判決公判となる(2月3日〈水〉午後1時30分/824号法廷)。今年も第三滑走路計画粉砕の闘いにむけて奮闘していこう」と呼びかけた。

 柳川秀夫さん(反対同盟世話人)は、「今年、三里塚の闘いは50年を迎える。弱い者が強い者に力で押し切られるかといったら、そうではない。世界は、いろんな紛争、闘いが繰り広げられている。『テロ』の一言で片付けているが、その根源は何かについて真剣に考えなければならない。だから弱い者は、負けるわけにはいかない。これが結論だ。グローバル経済によって弱肉強食の世の中がまかり通っている。空港問題もその中の一つだ。だから新しい物差しを作っていくことを考えながら、今年も行動していきたい」と発言した。

 石井紀子さん(成田市川上)は、「残念な報告です。1月4日、ワンパックの旧宿泊所を解体しました。すでに東峰の旧ワンパック出荷場もない。なとんか残したかったが、石井恒司さんが用地内の土地・墓地の権利を売ってしまい、空港会社に渡ってしまった。思い出深いところなので最後まで見届けた。私は忸怩たる思いだが、ずっと忘れない。らっきょう工場、島村家もおり、私も含めて東峰は生き続ける。ここ横堀研修センターもみんなの力で維持していこう」と呼びかけた。

 加瀬勉さん(大地共有委員会Ⅱ代表/多古町牛尾)は、「除夜の鐘が鳴り終わると同時に、『第三滑走路計画反対』の文書を地元の100戸に配布した。権力に対する戦闘宣言だ。深夜、初めて村中に撒いた。闇は深くても朝が来ない日はない。厳しい寒さだったが、いずれ春は来る。『小さな火でも燎原を焼き尽くす』(「星火燎原」毛沢東)とあるように、1人でビラを撒きながらも、きちっと決意したのが元朝参りだ。これからは集まりがいつも同じ顔しか見ない金太郎飴ではだめだ。三里塚に新しい命を打ち込んでいこう。人民の中に新しい種を撒いてい
こう」。

 「私の村は、第3滑走路ができると騒音地区になる。みんなに問うた。騒音地獄で子々孫々まで生きていくのか。補償金を貰って移転していくのか。第3滑走路に反対し、粉砕していくのか。私は、第3滑走路計画粉砕のために生涯をかけて闘うと表明した。村の反応はよかった。文書を配布したら翌日、国家権力の手先どもが会談を申し込んできた。私は断固拒否した。決意新たに今年も闘っていこう」。

 平野靖識さん(東峰地区/らっきょう工場)は、「小泉よねさんのお墓が東峰共同墓地にできた。小泉英政さんによってよねばあちゃんの闘いを讃える文章が刻まれている。東峰で御披露目があった。第3滑走路計画推進派は、B滑走路を南に延長するのは無理だという認識になっている。東峰地区は闘いの成果として、しっかり守っていきたい。三里塚50年だが、平行滑走路の作られ方、運用の仕方について、シンポジウム、円卓会議で語られた成田空港の平和的解決の道筋から逸脱して進んでいる。そもそも平行滑走路は正当性がない。それなのに第三滑走路なんてとんでもない。異議申し立てを続け、らっきょう工場で頑張っていきた
い」と強調した。

 支援の発言に移り、高見圭司さん(スペース21)、大阪と福岡の仲間、田んぼくらぶ、首都圏の仲間などからアピールが行われた。(Y)