IMG_1647 一〇月一七日、東京・田町の交通ビル六階ホールで、「死ぬのはイヤだ! 生きぬくためにつながろう!」をスローガンに「反貧困全国集会2015」が開催された。三五〇人が参加した。午前中は東京メトロの売店で働く契約社員の女性たちの「雇い止め」阻止の闘いを描いた「メトロレディーブルース3」などが上映された後、反貧困全国ネットワークの活動報告会が「子どもの今を考える」「自分が貧困?なんでやねん」「下流老人のリアル」の三つの分科会に分かれて行われた。

 午後の部は「死ぬのはイヤだ! 生き抜くためにつながろう!」をテーマにしたシンポジウム。反貧困全国ネットワーク世話人代表の宇都宮健児弁護士が「戦争法を成立させた安倍政権は、社会・福祉支出がどんどん削られる中で、削られないのは軍事費だけだ。青年層の死亡原因で一番多いのは自殺、というこの絶望的現実に立ち向かってつながろう」と呼びかけた。

 

雨宮処凛さんがコーディネーターを務めたシンポの発言者は、SEALDsで活動している小林叶さん(国際基督教大)、福島原発事故で札幌に自主避難した方、キャバクラユニオンの女性、高校生の子どもが給付型奨学金を受給したといく理由で生活保護を打ち切られた件で訴訟を行っている弁護士と当該の女性、反貧困ネットワーク北海道のメンバーなど。

 SEALDsの小林さんは「安保関連法と貧困は表裏一体の関係にある。安倍首相は『安全保障環境の変化』を理由に戦争法を持ちだしたが、『生活保障』についてはどうなのか。私は四年間で六〇〇万円の奨学金を受けているが、多くの場合、学生たちは大学を出た途端に不安定で低額の雇用しか見いだせない中で、多額の債務の返済を背負わされることになる」と語った。

 「ニート、ひきこもりを経て、今は活動家」と自己紹介したキャバクラユニオンの「えりこ」さんは、仕事を休めば多額の罰金を背負わされ(その罰金を計算に入れたら、「日当五〇円」などという場合もある)、「やめる」と言ったらこれまた罰金、未払いも多く、「野宿」せざるをえない、という雇用実態について語った。

キャバクラユニオンのもう一人の女性は「一七歳でこの業界に入り、七年つとめてユニオンに入ったことで、初めて給与がちゃんと支払われていなかったことが分かった」と語り、「マージャン店もブラックの中のブラック企業だ。バイトも賭けマージャンに入らなければならず、負けたら給料から引かれる。働きに行ってマイナスになって帰ってくる」と訴えた。

弁護士の関根さんは、福島市の生活保護世帯の子どもが給付型奨学金を受給したことが、市から「収入」と認定されて生保を打ち切られ、ネット上でバッシングされたことを報告した。厚労省はこの打ち切り処分を不当として取り消したが、それは「奨学金を収入と認定したことは不法とは言えないものの手続き上問題がある」という理由だった。一方、福島市は弁護士・当該女性の話し合いの申し入れを拒否している、という。

福島県生活と健康を守る会は、二〇一一年に原発被災者への義捐金が「収入」と認定され、生活保護費を差し引かれた(その後、収入認定しないことになったが)例を紹介し、「貧困を作って徴兵へ」という動きが進むことへの闘いを訴えた。

反貧困ネットワーク北海道からは、「貧困の問題とは自分の居場所がなくなるということ。人びとのつながりが密になる社会が必要だ」と強調した。



討論の中でSEALDsの小林さんは「生活できる雇用を求めて自衛隊に行き、死んだら『自己責任』ということになりかねない。この国がどういう状況を作り出しているのかを論議すべき」と強調した。福島からの自主避難者は「自主避難者の多くは母子避難だ。また避難区域指定が狭められれば、補償が打ち切られたところからどんどん困窮が増していく。なにが原発事故収束なのか!」と怒りを表明した。

キャバクラユニオンの女性は「組合で活動するようになったウツが治った。これまでキャバ嬢・ウツ・生活保護のサイクルの繰り返しだった。貧乏人が自己を取り戻す作業として組合活動をやっていると楽しい。誰かに相談すれば気持が楽になるという場が必要だ」と語った。

最後に山本太郎参院議員(生活の党と山本太郎と仲間たち)が「貧困に苦しむ人の生の声を議会に上げることが重要だと思って活動している。子どもの六人に一人が貧困というこの現実を変えなければ!」と訴えた。

最後に「集会宣言」(別掲)を大きな拍手で確認した。(K)



資料:反貧困全国集会2015集会宣言

死ぬのはイヤだ! 生きぬくためにつながろう!




子どもの貧困が注目されて大分時間がたった。2月、中学生の男の子が仲間に暴力を受け殺された。5人の子どもを抱えたシングルマザーの母親は、朝から深夜まで働いていたという。

子どもだけじゃなく、高齢世代の貧困も深刻だ。5月、川崎の簡易宿泊所で火災が発生し、10人が犠牲となった。居住していた74人のうち、70人が生活保護を利用し、多くは高齢者だった。

働く世代も大変だ。労働者派遣法が改悪され、働く土台はどんどん崩れている。

「生活が苦しい」と答えた世帯は62・4%(国民基礎生活調査)となり、過去最悪を更新した。

東日本大震災・原発事故から4年半が過ぎたが、いまだ約20万人もの人が避難生活を続け、多くの被災者が生活の不安を抱えたままだ。



すべての世代で貧困が拡大し、一部の富裕層に富が集中し格差が拡大している中で、政府は、社会保障費を年間3000億円から5000億円規模で削減する方針を決め、他方、軍事費は過去最大の5兆円規模まで膨らませ、9月19日、多くの市民の反対を無視して、戦争法を強行採決で成立させた。



貧困を悪化させ、格差を広げ、この国を戦争へと向かわせる政府を、私たちは認めない。誰もが、平和な社会で、人間らしく生きられることを保障している憲法を勝手に壊す政府を、私たちは認めない。人のいのとを軽んじ、人の尊厳を踏みにじる傲慢な政府を、私たちは認めない。

貧困で、そして戦争で死ぬのはイヤだ!民主主義の力で希望をつむぎ、生きぬくために、つながろう!