17国会 参院安保法制特別委員会は、9月17日、午後4時34分、米軍と一体になって自衛隊をグローバル派兵する戦争法案を自民、公明、次世代、元気、改革が強行採決し、可決した。民主、共産、社民、生活の4党は採決に加わらず、維新は反対した。

 政府・与党は、衆参安保特別委員会の審議において一貫して不誠実、ごまかし、答弁不能を繰り返してきた。必然的に戦争法案の違憲性、欠陥が益々明らかになり、民衆の反対運動のうねりに包囲され、追い込まれたあせりを衆参議院において強行採決でしか突破していく道を見いだせなかったのである。この姿勢の「集大成」が衆議院に続いて参院安保法制特別委員会でも繰り返した。

 与党は、戦争法案を16日の参院安保法制特別委員会で強行採決をねらったが、野党の阻止行動によって委員会が開催できないままだった。あせりに満ちた首相官邸、自民党執行部は、委員会での強行採決にむけて鴻池祥肇安保法制特別委員会委員長(自民)、佐藤正久筆頭理事(自民)と事前謀議し、なんとしてでも17日の委員会採決にむけて踏み出した。鴻池は、野党と理事会室で協議に入ることで合意(16日午前三時過ぎ)していたが、17日午前8時50分、だまし討ち的に第一委員会室に入室し、委員長席に座わり、委員会開催を宣言した。野党は抗議し、不信任動議を提出。鴻池は、突然、佐藤正久理事に「職務を委託します」と発言し、退席してしまった。この暴挙によって委員会は休憩に入った。

 結局、民主党の福山哲朗幹事長代理が不信任動議の趣旨説明、審議に入ったが与党らが否決。鴻池は、野党議員が抗議しているにもかかわらず、締めくくり総括質疑さえも吹っ飛ばして安倍首相が着席すると同時に与党の質疑打ち切り動議の確認さえも行わず、「採決」するという強引な運営を行い、そのまま戦争法案の強行採決まで押し進めるという議会制民主主義破壊を貫徹したのである。

 民主、共産、維新、生活、社民は、山崎正昭参院議長に戦争法案の「採決は無効」だから差し戻せと申し入れたが無視し、職権で参院本会議の開会を決めてしまった。

 民主、共産、維新、生活、社民は、午後九時すぎ、参院本会議で戦争法案成立阻止にむけて中川雅治参院議院運営委員長解任決議案、中谷元・防衛相問責決議案を提出した(両案否決)。午後11時すぎ、参議院本会議で山崎参院議長は延会を宣言し、18日再開することになった。このように戦争法案は、特別委員会で強行採決されてしまったが、国会内外にわたる果敢な阻止闘争によって本会議での採択はできなかった。

強行採決弾劾コールが響く!

 9月17日、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会は、国会正門前で「委員会採決徹底弾劾!戦争法案廃案!」のコールを繰り返すなか、「戦争法案反対!国会前集会」を行い、多くの人々で埋め尽した。

 集会前、国会闘争中、福島みずほ参議院議員(社民党)が途中経過報告のために駆けつけ、「皆さんたちの声は国会に聞こえている。ほんとに元気になる。公聴会での反対の声も届いた。16日は委員会を開催させなかった。鴻池委員長不信任が否決され、安倍首相が委員会に入ったら法案を強行『採決』した。しかし、鴻池委員長の声は一切聞こえなかった。締めくくり総括質疑のために安倍首相が入ってきたのに、質疑に応じることもせず、さっさと退室してしまった。こんな採決は無効だ。衆参で法案阻止にむけてやれることをやる」とアピールした。

 集会は辻元清美衆議院議員(民主党)の発言から始まり、「国会の外の圧倒的多数の人が法案に反対だ。国会の中の少数の人たちと安倍首相がクーデターをやっているに等しい。今日は、国民の声を切り捨てた。廃案にむけて身体を張って、あらゆる手段を使って阻止していく」と発言した。

 小池晃参議院議員(共産党)は、「特別委員会で『強行採決らしき』ものが行われた。なにをやったのか全くわからなかった。委員長の声も全く聞こえなかった。なにを採決したかもわからない。こんな採決は無効だから委員会に差し戻せと要求している。安倍首相への質問を準備していたのにできなかった。与党は、戦争法案を採決しよとしている。阻止するために闘っていこう」と決意表明した。

 天野達志さん(愛知・創価学会員)は、「7月30日から一人で『安保法案』の白紙撤回を求める請願書を現在、9177筆を集めた。公明党は本来、平和、人権、戦争反対の党だった。しかし、今の公明党はなんだ、だまされた。戦争法案じゃないか。公明党本部に行ったが無視だ。来年の参院選では公明党を応援しない。賛成議員の落選運動を取り組む」と発言した。

 続いて佐高信さん(評論家)、落合恵子さん(作家)、室井佑月さん(作家)、山口二郎さん(立憲デモクラシーの会)、安全保障関連法案に反対する学者の会、高田健さん(解釈で憲法9条を壊すな!実)、内田雅敏さん(戦争をさせない1000人委員会)、山岸良太さん(日弁連憲法問題対策本部本部長代行)、SEALDs、斉藤和子衆院議員(共産党)、近藤昭一衆院議員(民主党)などからアピール。

 最後に石田純一さん(俳優)は、「われわれは世界が誇る平和国家だ。子どもたち、孫たちが平和に暮らせるようになんでわざわざ集団的自衛権が必要なんだ。そんなに米国の機嫌をとりたいのか。先の大戦で尊い命がたくさん亡くなった。戦争は文化ではない。戦後七〇年、一〇〇年、平和を続けていこう」と訴えた。

 国会で闘う野党議員に連帯し怒りのコールが繰り返された。午後9時すぎには議員会館前に移動し、抗議行動を続けた。

(Y)