無題 治安弾圧・民衆管理監視強化のための共通番号法(マイナンバー)と個人情報保護法の改悪修正法案が8月28日の参院本会議で採決を強行し可決した。自民党、民主党、公明党、維新の党などが賛成。日本共産党、社民党、生活の党は反対した。改悪修正法案は、9月3日、衆院本会議で再度、採決強行した。

 参議院内閣委員会は、6月4日以降、日本年金機構の情報流出事件(6月1日/100万人を超える年金データの流出)によって法案審議が中断していたが、マイナンバー推進である民主党が年金データとの連結を延期する修正案(年金情報とマイナンバーの連携を「16年1月から最大で1年5カ月」で行なうとしていたが「17年1月から最大で11カ月遅らせる」)を加えて提出し、27日の参議院内閣委員会で採択してしまった(自公民、民主、日本を元気、次世代が賛成、共産、生活が反対)。

 委員会でIT政策を担当する山口沖縄・北方担当相は、「サイバー攻撃への対応策が不十分な地方自治体も制度の運用に加えるのか」の質問に対して「出来ていない自治体は制度に入れない」と答えた。つまり、10月に世帯ごとにマイナンバーの番号が入った通知書とカードの申請書(任意)を郵送し、16年1月運用開始ありきで強引に押し進めていくことを前提にしている。改悪修正法案もセキュリティー対策が不可能であるにもかかわらず、いいかげんに延期日程をデッチ上げたにすぎない。

脆弱なセキュリティー温存

 「日本年金機構における個人情報流出事案に関する原因究明調査結果」(8月20日)の報告は、年金機構と厚生労働省のセキュリティー対策の希薄、対応不能を温存し続けてきた組織的な欠陥を批判しているのみだ。報告は「標的型攻撃対策としてシステム上の有益な対応策が示されているにもかかわらず、必要な機関において、その実施がなされないことがある」「システムの維持運用を確実にする監査を強化せよ」と決意表明のみで情報流出事件を収束させたいのが本音だ。

 標的型攻撃メールは年金機構だけでなく全ての官庁機構、企業に対して行なわれており、従来のウィルス対策では防御が不可能だからこそネットワーク分離や技術的分析が優先されなければならないはずだ。運用開始を強引にすすめる姿勢には民衆の人権を守ることなど投げ棄ててしまっている。

 マイナンバー制度(2013年5月成立・公布)は、税務署や自治体などが別々に把握している所得や納税、社会保障サービスなどの状況を管理し、年金、医療、介護保険、生活保護、労働保険、税務の六分野で活用するとしている。さらにIC(登録証)カード(氏名、生年月日、性別、住所を記載し、ICチップに番号を記録する)を持たせ、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の住民票コードによって住民登録・戸籍・収入・税・健康保険・医療・福祉給付・介護保険・年金・免許・旅券・犯歴などの個人情報の一元化をめざしている。

 いまだに政府は、「今まで各機関で管理していた個人情報は引き続き当該機関で管理してもらい、必要な情報を必要な時だけやりとりする『分散管理』の仕組みを採用しています。マイナンバー(個人番号)をもとに特定の機関に共通のデータベースを構築することはなく、そこから個人情報がまとめて漏れるようなこともありません」(内閣官房のマイナンバーHP)とデマキャンペーンを居なおり的に繰り返し維持しているところに国家的意志が現れている。民衆1人1人の個人情報を掴みきるシステム構築の野望は、個人情報の統合的なデータベース化によって国家権力の統治力を強化していく装置となるからだ。だが個人情報漏洩事件、秘密データ漏洩事件、犯罪歴・病歴漏洩事件、ハッカーによる不正アクセスやサイバー犯罪が多発し、人災漏洩事件もなくならず、現在のセキュリティーレベルの脆弱性が明白な状態にもかかわらず、その危険性を覆い隠そうと策動を繰り返
している。

 しかもマイナンバー制度の中間サーバー(自治体などが保有する個人情報と国などが持つ情報と連携させる)の拠点は、東日本・西日本の全国2カ所に設置し、中央集約的システムに個人情報の一元的管理を行なう。このシステムに対してサイバー攻撃がかけられたら、日本年金機構における個人情報流出事件よりも巨大な個人情報流出が発生してしまうのだ。だから個人情報を国家が一元的に集中するのではく、分散型によってできるかぎり情報漏洩を防止していく前提条件の整備が必要なのだ。

 それにもかかわらず日本年金機構の情報流出事件のシステムとウィル対策の技術的分析の棚上げは、悪質な犯罪だ。

 すでに欠陥システムのために「情報提供ネットワークシステム」の設計・開発を共同事業体(NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所)に123億1200万円、「番号生成システム」に68億9580万円(14年3月)の巨額財政を支出している。ITゼネコンは、立て続けの大儲けで大喜びだ。新たな利権がマイナンバー制度の運用によって発生することに厳しく監視していかなければならない。


金儲けのための個人情報保護法改悪

 個人情報保護法改悪は、「ビッグデータ」と称して商品価値が高い個人情報を特定できないように加工すれば本人の同意なしで企業の金儲けのために活用できることを目的にしている。内閣府の外局として個人情報の取扱いの監視監督権限を有する第三者機関(個人情報保護委員会)を特定個人情報保護委員会を改組して設置して個人情報の目的外利用ができないように監視を強化すると宣伝しているが、プライバシー保護のための情報主体の「事前の同意」による「自己の個人情報をコントロールする権利」と「個人情報の開示請求権」、「違法な情報利用の中止請求権」、「不服申し立て制度」を排除した人権侵害に満ちたシステムなのである。共通番号法とセットの個人情報保護法の改悪は、強引に法案を一本化してしまったように治安弾圧・民衆管理監視強化を最大の目的にしている。人権侵害の拡大を促進する個人情報保護法改悪を糾弾する。

共通番号制度の中止にむけて

 共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会は、9月3日に「声明・共通番号(マイナンバー)利用拡大法案の成立に抗議する!」を発表し、10月3日に抗議デモを行なう。さらに具体的な反対行動として「通知カードの受領拒否、個人番号カードの申請拒否、番号記入・本人確認書類提示の拒否、番号の変更要求、国・自治体への抗議や延期・中止要求などさまざまなバリエーションの中からできる抵抗運動をチョイスしてもらいたい。さらに新たに行われようとしている法人や学校を単位とした個人番号カードの取りまとめ申請について反対運動を強めてきたい。個人番号カードの申請はあくまで個人の任意な行為であり、団体が取りまとめるべき筋合いのものではなく、任意性を侵害する危険性が高いからである。

 私たちは政府に警告する。市民の理解がないまま共通番号(マイナンバー)制度を強行すれば、市民の抵抗を受けて頓挫した住基ネットの二の舞いになることを。私たちは利用拡大法案の成立にひるむことなく、共通番号制度の中止をめざして反対運動を継続していく」と呼びかけている。全国各地で反撃の闘いを準備し、治安弾圧・民衆管理監視社会を打ち壊していこう。(Y)