配信防災デモ1 9月1日、自衛隊・米軍参加の東京都・立川市総合防災訓練―9都県市防災訓練に反対する実行委員会2015は、東京都と立川市の合同の総合防災訓練に抗議して、会場の一つである昭和記念公園にむけて「安倍来るな!防災訓練反対デモ」を行い、40人が参加した。

 都と立川市は、9月1日午前、多摩直下地震(マグニチュード7・3)発生を想定し、国営昭和記念公園周辺、多摩都市モノレール高松駅付近、都立木場公園、東京木材埠頭などの会場で防災訓練を行った。

 安倍晋三首相は、東京都立川市の九都県市合同防災訓練会場である昭和記念公園に政府調査団として会場入りし、閉会式の挨拶で「地元立川市や周辺の住民の皆様を始め、警察、消防、海上保安庁、自衛隊、TEC―FORCE(緊急災害対策派遣隊)、DMAT(災害派遣医療チーム)、民間事業者など、100を超える機関、約1万人の参加を得て、このような大規模な防災訓練が実施されたことは、大変意義深い」と讃え、戦争法案の強行採決も射程にしつつ、防災訓練を政治利用していくことを押し出した。さらに「我が国の未来を担う小・中・高校生が約1200人参加いただくなど、多くの住民の方々が自主的に、そして熱心に訓練に参加していただきました」などとデマ宣伝の放言も行なった。

 立川市教育委員会は、「防災教育」と称して生徒を強制動員しようとしていたが、突然、「学校行事」に変更し、安倍首相の視察に合わせて参加者を増やすために動員した。実行委の教委交渉(6・23)では「授業として強制的に訓練に参加させることは、思想・良心の自由に反する。本人の同意の有無、拒否の自由があるのか」という追及に対して、教委は「本人に確認などはとらない。保護者には学校だよりなどで知らせている」と居直ってきたほどだ。いったい生徒たちのどこが「自主的」参加なのだ。

軍事作戦の実態

 各会場の訓練は、以下のように行なわれた。

 昭和記念公園―劇場型体験ショーとして初期消火活動、住民避難誘導、救出救助活動、消防資機材の使用体験を演出した。

 都立木場公園―ヘリコプターや医療ユニットを活用した負傷者搬送や現地連絡調整所の設置による防災機関相互の連携と情報共有を目的にした消防・警察・自衛隊の連携訓練。自衛隊は軍事作戦として一個中隊100人が参加し、「身近な」自衛隊として登場させた。軍隊の軍事行動を巧妙に覆い隠す部隊訓練でもある。

 東京木材埠頭―海上自衛隊護衛艦「いずも」(ヘリコプターの発着スポット5所を持つ)を拠点にして負傷者の受入れ及び負傷者のトリアージ(傷病者の治療優先順位を付ける)等の戦時医療措置の訓練だ。

 横田基地―米空軍と海兵隊の連携訓練。米軍普天間飛行場のMV22プレイ一機が参加。自衛隊と米軍が合同で東京臨海広域防災公園(昭島、福生、立川市)と横田基地などを結ぶ訓練を予定していたが、雨天のため中止となった。その後、米軍と海兵隊は、独自でオスプレイが横田空域を飛行し、緊急物資搬送訓練を行なった。

 なお戦争法案を先取りし、2021年までにオスプレイ10機を配備していくための日米共同軍事態勢キャンペーン作戦の一環として米軍は、8月にスプレイへの搭乗を横田基地周辺五市一町の首長や政府関係者に打診していたほどだ(搭乗者不明)。日米共同訓練中止に対してダグラス・デラマター大佐(横田基地司令官)は、「日米の連携を確認できず残念だが、訓練をする準備ができたことは将来役に立つはずだ」と述べ、自衛隊などと8月以前から用意周到に訓練作戦を練り上げてきたことを明らかにした。オスプレイ横田配備を阻止し、自衛隊・米軍の共同実戦体制の強化に反対していこう。

 自衛隊のDMAT(災害派遣医療チーム)搬送訓練―千歳基地、入間基地、厚木基地、羽田空港、大阪空港、福岡空港を拠点にして自衛隊、消防ヘリなどを使って医師、看護師、業務調整員などのチームを被災現場に派遣する。自衛隊は、各基地を拠点にしながら各部隊と連携して軍事搬送任務を強化していくことをねらっている。

 このように自衛隊、米軍は、軍事行動として防災訓練を位置づけていることは明白だ。さらに防災訓練への生徒たちの強制動員の拡大にみられるように「自衛隊は子どもたちを狙っているのです。防災訓練や職場体験を使って、学校教育をいわば『国防』の最前線にしようとしているのです」(実行委ビラ)。だからこそ「防災訓練を戦争法案に利用するな!軍隊が参加する訓練への子どもの動員やめろ!」を掲げ、自衛隊・米軍参加の防災訓練の実態を暴露し、粘り強く反対していこう。

(Y)