6.20国会写真誰ひとり戦争に行かせたくない

 六月二〇日、安倍政権による戦争法案制定阻止に向けて、「女の平和6・20国会ヒューマンチェーン」が国会議事堂周辺で行われ、一万五〇〇〇人が参加した。

 一九七五年、アイスランドの古い因習を許さない女性たちが「国際婦人年」に立ち上がった「レッド・ストッキングの戦い」の史実に思いを重ねて市民運動、労働運動、学者、作家、弁護士などが呼びかけた。一月一七日の「女の平和 国会ヒューマンチェーン」(七〇〇〇人)に続いて「赤は怒りの赤!平和と情熱の赤!国会を真っ赤なチェーンで囲みましょう!」、「わたしたちは、誰ひとり戦争に行かせたくありません。戦争法案の成立は、絶対に認めません」を合言葉に抗議のレッドチェーンが国会包囲した。

貧困と格差差別にNO!

 開会あいさつが呼びかけ人の横湯園子さん(呼びかけ人/前中央大学教授)から行われ、「安倍政権は、アメリカと一緒になって戦争し、軍国主義国家にしようとしている。自民党内部からも反対の声が出ている。私の父は、労働運動、平和のために闘った。逮捕され、拷問され、病死した。身をもって戦争は、最大の人権侵害だと実感している。なんとしてでも戦争法案を廃案にしたい。戦争させないために闘いぬこうではありませんか」とアピール。

 次々と安倍政権糾弾と戦争法案廃案の発言が続く。

 渡辺美奈さん(呼びかけ人/wam女たちの戦争と平和資料館事務局長)は、「安倍政権は、砂川判決を自分たちに都合がよい解釈をして、戦争法案を成立させようとしている。同じように日本軍『従軍慰安婦』問題においても強制連行の文書がないから、なかったのだと言う。しかし、軍隊慰安婦に強制された人たちが名乗り出て、証言したことによって明らかとなった。これこそが女たちの歴史を作ってきたことだ。彼女たちの思いは戦争を二度と行わせてはならないということだ。今日は、安倍政権を退陣に追い込んだということを歴史に刻みこみたい」と
強調した。

 伊藤みどりさん(働く女性の全国センター代表)は、「昨日、労働者派遣法大改悪が衆院本会議で強行可決された。戦争法案と派遣法改悪、労働規制緩和は表裏一体だ。安倍政権は、『女性の活躍』を言いいながら女性が多い派遣労働者を一生派遣で使おうとしている。安定雇用が強く求められているのに無視だ。奴隷法制へと変わってしまう。貧困と格差による怒りが暴力、戦争へと動員される危険性がある。戦争反対の闘いを広げていこう」と批判した。

私たちは声を上げ続ける!

 戦争法案を審議する衆院特別委員会で奮闘する辻元清美衆院議員(民主党)は、「四五人のうち女性は私と維新の会の議員だけだ。質問席に立つ時、戦前は男たちだけで戦争を決めていった。女性には選挙権もなかった。男たちだけの議会だから戦争に走った。戦前とは違うということを女の力で、かならず戦争法案を止めたい。止めてやるぞ、という思いで闘っている。昨日、政府は徴兵制はやりません、憲法違反だと言った。だが、憲法には徴兵制をやらないとどこにも書いていないからやれるんだと、また同じ理論で言い出すんじゃないですか。国会議員は憲法を守る義務がある。戦争法案を通してしまったら、国会議員全員が憲法違反の同罪になってしまう。戦前になかった女性の力で戦争を止めましょう」と強調した。

 続いて、神本美恵子参議院議員(民主党)、梅村さえこ衆院議員(共産党)、畑野君江参議院議員(共産党)が発言した。

 湯川れい子さん(呼びかけ人/音楽評論家)は、「戦争法案による後方支援そのものが、戦争行為だ。豊かな想像力があるならわかることだ。戦争はいけないし、その芽を作ってはならない。だから私たちは声を上げ続ける。憲法九条を壊す安倍政権は間違っている。戦争には絶対参加しない」と訴えた。

人殺しに加担してはならぬ

 青井美帆さん(呼びかけ人/憲法学者)は、「憲法研究者の反対声明は二〇〇人以上、学者の会は五〇〇〇人を超えている。だが安倍政権は、自分たちだけが『権威』になろうとしている。立憲主義の否定だ。自衛隊員が自国防衛ではなく、外国で人を殺すことを受け入れることができるのか。九条に基づく国際貢献があるはずだ。先の戦争で女性は後方支援であり、戦争遂行のために女性が組み込まれてしまった。女性は、二度と戦争に加担してはならない」と発言した。

 さらに発言は、角田由紀子さん(呼びかけ人/弁護士)、河内千鶴さん(ピースボート)、アンナ・セカイさん(歌手・高江ヘリパット基地反対)、黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)、朴慶南さん(作家)、林郁さん(作家)などがアピールした。

 最後に杉浦ひとみさん(呼びかけ人/弁護士)が閉会あいさつを行い、「女たちは、戦争法案に反対します!人を殺し合うのは嫌です。だれ一人戦争に行かせません」と訴えた。

(Y)