xy

1月14日、香港政府の梁振英行政長官が今年の施政報告を行った。民主派議員らは黄色い雨傘を掲げて抗議の意味を込めて退場した。梁行政長官は施政報告の説明で、香港大学学生会の機関誌『学苑』2014年2月号が「香港民族 命運自決」と題する特集を組んで、そのなかで香港独立を主張したと厳しく批判した。雨傘運動の中でも中国嫌いの「香港本土派」らが盛んに「香港独立」「中国国内のことなど関係ない」という主張を展開し、中国の民主化がなければ香港の独立どころか高度な自治さえも実現することができないと訴える社会運動派に対する敵がい心をあからさまに表現していたことは、區龍宇氏による一連の論評でも紹介してきたところである。以下は、區龍宇氏が「民主的自決権派」という立場から今回の問題を論じたもの。原文はこちら。(H)

===============

思想を大いに解放しよう
独立を目指さない自決権について


區龍宇

2015年1月16日

梁振英(行政長官)の『学苑』に対する攻撃は、準備されたものであり、香港独立派に対して先手を打ち、反す刀で主流民主派に立場表明を迫ったものである。梁家傑(民主党派の公民党党首)は梁振英から香港独立を支持するのかと追及され、やや受動的かつ簡単に、香港独立に反対すると答えた。だがこれが民主派の立場であると受け取られてはかなわない。さらに重要なことは、梁家傑 のような答えは、主流民主派がそもそも情勢の推移に追いついていないことを暴露するものである。民主主義の立場に立ち、戦略的な観点から答える、次のようになるだろう。

1、香港人には自決権がある。香港の真の民主派は、これからは「民主的自決権派」と名乗るべきである。(原注1)

2、自決権には独立する権利も含まれる。

3、独立する権利は、イコール、独立しなければならないということではない。去年のスコットランドの独立を巡る投票では、多くの有権者が自決権を支持した(独立を問う投票に参加した)が、結果は独立反対が多数を占めた。

4、つまり民主的自決権派は二つに分類することができる。独立をめざす自決権派と独立を目指さない自決権派である。

5、大多数の香港人は、(独立や自決権ではなく)高度な自治のみを願ってきたが、今日の情勢下においては、自決権をかちとらなければ自治さえも危ういということが明らかになった。

6、自決権は擁護するが独立は目指さないという価値観は、大多数を結集させることができるし、また柔軟にとらえることができる。だが独立を目指す自決権の場合は、独立と自決のどちらの実現も難しいだろう。それゆえ後者の立場は支持できない。(原注2)

7、独立を目指す自決権派は、反中国人主義と決別しなければ、支持されないばかりでなく、自ら墓穴を掘ることになるだろう。

8、香港人が自決権を実現しようとするのであれば、中国大陸人民の共感と支持をかちとり、中国政府をけん制することができれば、実現の可能性がでてくるだろう。逆に、すべての中国人を敵視する排外主義は、たとえいかに「香港の利益」を打ち出すことで粉飾したとしても、実際には一部の政治的ポピュリストのために危険な火遊びを行うことにしかならない。それは香港の民衆を袋小路に追いやることになるだけである。

9、独立を目指さない自決権派は、独立を目指す自決権派と連携して言論の自由(香港独立の主張を含む言論の自由である)を防衛するとともに、政治路線においては違いをはっきりとさせなければならない。

10、香港の自治権は空前の危機に陥っている。香港人はさらなる思想の解放、大胆な発言し、自由な思索が必要である。政権によるいかなる言論抑圧の試みに対しても、全香港人による共同の反撃が必要である。


(原注1)民族だけが自決権があるわけではない。民主主義の原則から以下に自決権を導き出すべきかについては、筆者による『自決権を誤解する郝鉄川氏』を参照してほしい。「主場新聞」に掲載され[同サイトは閉鎖:訳注]、現在は以下のサイトで閲覧できる。http://www.workerdemo.org.hk/0001/20140413.01T.pdf

(原注2) これに関する見解については、筆者はこの一年の間に「主場新聞」「独立媒体」「明報」などで述べてきたところである。