j_top_c 11月22日、渋谷ユーロスペースで「三里塚に生きる」の上映がスタートした。12月19日まで「不屈のロードショー」が行われる。「三里塚の今」を考えるためにぜひ観てほしい。


監督の思い

初日舞台あいさつが行われた。

 


代島治彦監督は「ご来場ありがとうございます。共同監督の大津幸四郎は、体調崩しており、ぜひ駆けつけたいといっていたが来れませんでした」と報告した。

 

大津監督の思いは、こうだ。「ともかく出来てしまったからには、農民たちの闘いは敗北したと括られるだろう。しかし、農民たちはこの地でヒコーキの発着を横目で眺めながら、農業を続けている。生きてつづけています。農民たちの生活も、心の裡も複雑に揺れ動いている、でしよう。私たちはカメラを彼らの脇にそっと置いて、彼らの独白を静謐な映像にしてみました」(『三里塚に生きる』採録シナリオ)。

 


代島監督は、「この国を相手に命をかけて闘った三里塚の人びとは『生きるかなしみ』の世界を生き続けてきました。人間は愚かで、無力なものだということを胸に刻みながら。だからこそ、いま彼らが語る真実は『人間は自らの無力さに気づかなければ、ほんとうの意味で人生を肯定的に生きることはできない』ということを教えてくれるのです」(同シナリオ)という観点からフィルム編集をやりきった。映画は二人のフィルターを通しつつも、次々と三里塚の人々の過去・現在・未来を浮き彫りにしていった。

 


「大木よね 戦闘宣言」を映画で朗読した吉行和子さん(俳優)は、「大木よねは、戦闘宣言でわかるようにすさまじい女性だった。だから監督に『戦闘宣言を読んでくれないか』と依頼されて『やるっきゃない』とOKした。三里塚に参加したわけではないが、映像は一人一人の生き方を伝え、色々と強烈に考えさせる。なにをやってもだめだという雰囲気の中で、だめでも反対していくエネルギー、忘れてはいけないものを感じさせる。今もそれは続いている。会場に若い人たちが参加しているが、さらに若い人たちに観てほしい映画だ」と訴えた。

 


映画に出演した北井一夫さん(闘争を記録した写真家)は、「大津さんは、45年間、心に残る三里塚があった。その思いを映像化した。大津さんの小川プロ時代の白黒映像もすごかったが、『三里塚に生きる』のカラー映像はみずみずしい新鮮さを感じる。三里塚とはなんだったのか突きつける説得力がある映画だ」と強調した。

 


柳川秀夫さんの思い


映画内容を詳細に記述することはできないが、「主な登場人物」をあえて以下のように明記しておく(パンフレット)。三里塚に心を寄せる人々であればこの映画の全体像をぼんやりと見えてくるのではないか。

 


登場しているのは柳川秀夫(元青年行動隊リーダー)、故・三ノ宮文男(元青年行動隊リーダー)、小泉英政(三里塚に定住した支援者)、島寛征(元反対同盟事務局次長)、三ノ宮静枝(元婦人行動隊)、椿たか(元婦人行動隊)、大木よね(元婦人行動隊)、萩原勇一(元親同盟)、堀越昭平(元親同盟)、石毛博道(元青年行動隊)、秋葉清春(元青年行動隊)、山崎宏(団結小屋の住人)、北井一夫などだ。

 


なお観客に配布された「サンリヅカニイキル? U(アンダー)三〇世代の感想座談会」は、1980年代以降に生まれた7人がおおいに語っている。その中味、
なかなか興味深いものだ。

 

映画は、三ノ宮文男さんの自死と柳川さんの三里塚に生きる=「闘う根拠」、
大木よねさんと小泉英政さんの三里塚に生きる「闘う根拠」、そして山崎宏さんの「闘う根拠」を観る側に迫ることに成功している。

 


印象的だったのは代島監督が柳川さんに対して、「なぜ闘いをやめないで闘い続けるのか」という問いに対して、「三ノ宮が死んでるのが一番でけえけど」、(三ノ宮遺書が)「『ここでずっと生き続けろ』っていう風に言っているからな」、「生きられる環境を(作れ)ってことだんべからなぁ、三ノ宮が言っていることはよ。そういうことをちゃんとやれっていうことだ」と語るシーンはズッシリと迫ってくる場面だ。あらためて柳川さんの思いがわかるような瞬間だった。

小泉英政さんの思い

冒頭、成田空港の轟音とともに全体像が映し出されるが、すぐに空港会社によって破壊された横堀団結小屋(労活評)が登場。さらに山崎さんへのインタビュー、横堀大鉄塔の上から山崎さんが空港を断固としてにらみつけるシーンを押し出してくる。このワンシーンの後に「三里塚に生きる」のタイトルが観客に飛び込んでくるのだ。

 

ラストコーナーでも「空港誘導路と隣接する『よねの畑』」シーンでは小泉さんが黙々と農作業しているシーンだ。小泉さんは、「普通のおばあちゃんが最後まで国に抵抗するという、そういう気持ちに惚れた訳で。引き継ごうと思うのは、そういう気持ちですよね」と語る。小泉さんの思いは、初日先着二〇人に三里塚・小泉循環農場の里芋プレゼントに現れているのかなと感じながらゲットした。

 

(Y)

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