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オキュパイ金鐘湾の民主流動教室で「真の普通選挙から
真の民主主義へ」の講義を行う香港の仲間(10月24日)



旺角(モンコック)攻防戦のアップグレード (その1)

區龍宇

原文

旺角(モンコック)での攻防戦の発展は多くの人々の予想を超えた。梁振英が意図的に衝突をけしかけ、しかも状況が比較的落ち着いた時を狙ってきたことが、オキュパイ旺角の情勢を押し上げた理由の一つである。しかしそれだけではない。旺角の人々の勇敢な迎撃がなければ、旺角を奪還することはできなかっただろう。

不動産資本の独占を排除し、小商店を守れ

オキュパイ旺角には有利な点が大いにある。しかしまた弊害もある。オキュパイによる地域の居住民および小商店への影響は否定できない。また旺角にある大型チェーン店の労働者、特に時計や宝石の類を扱う商店への影響もある。これらの商店の労働者の収入の多くは、売上の手数料に依っているところがおおい[歩合制に近い:訳注]。友人の話によると、商売への影響で、売上手数料は半分になったという。

もちろん商売への影響にもかかわらず、さまざまな方法でオキュパイ行動を支持する小商店の人々もいることは確かだ。また熱心なオキュパイ参加者も、地域の小商店を回って理解を求める行動を呼びかけたり、消費者に向けて小商店での購入を呼びかけている。だがそれだけでは十分とは言えないかもしれない。われわれはオキュパイ旺角をアップグレードさせて、この社会的コミュニティの支持、すくなくとも中立的態度を勝ち取る必要がある。私のいうオキュパイのアップグレードとは、行動のことではなく、政治的にアップグレードさせるということだ。

◆300万余の勤労者の生活を保障してこその民主主義

小商店の店主らにさらに我慢を説得することは難しい。我々はかれらの利益を保護しなければならない。いかにして保護するのか?不動産資本の独占を排除することが、最良の方法になるだろう。小商店から搾取する本当の犯人は、不動産資本の独占とそれを後押しする香港政府である。

多くの国家では、小商店やその従業員を保護する法律がある。たとえばアメリカでは1996年に小規模商業とその雇用を保護する法律がつくられ、税制面をはじめ各種の優遇政策が実施されている。香港では反対に、ウルトラ級の巨大財閥も、吹けば飛ぶような個人商も同率の事業所得税なのである!一見、公平に見えるこの制度は、実際には不公平極まりない。本当に公平な税制というのであれば、固定税率ではなく累進課税にしなければならない。

香港政府は最大の地主であるにもかかわらず、小商店を支援しないだけでなく、不干渉の名のもとに実際には財閥の独占を黙認している。たとえば、かつては大型スーパーが公共住宅に併設されている商業スペースで営業する際には面積の規制があり、惣菜販売も規制されていた[地域の小商店の営業を保護するため:訳注]。しかし2000年ごろからそれらの規制は取り払われた。これが大規模小売店による小商店排除の先駆けとなった(住宅供給公社が管理する駐車場と商業スペースの民営化がそのピークとなった)。今日の民主化運動は、小店主らの支持を得るために、これら不動産財閥に搾取されている小店主らのために立ち上がる責任を果たすべきだろう。たとえば法律や税制、融や土地リースなどの面で優遇政策をかちとるための運動を組織化することなどが考えられる。

民主主義とは単なる「価値観」ではなく、一種の利益(権利)であることを理解すべきである。つまり、多数の中下層の人々の生活の利益(権利)を守るということだ。われわれは、普通選挙の実現というシングル・イッシューの運動から、社会改革運動へ飛躍しなければならない。そこにはもちろん不動産資本の独占への攻撃も含まれる。香港基本法では、香港の土地は公有である。それゆえ、香港政府の不動産政策が大多数の人々を犠牲にして、ごく一部の不動産資本をもうけさせる理由などないのである。

不動産資本の独占への攻撃の方法とは、穏健なもの、つまり少なくとも小商店に土地とスペースを提供するよう政府に要求するという内容である。たとえば私が住んでいる地域を例にすれば、政府の経営放棄や不作為の結果、公営市場[いちば]は閉鎖されてしまった。だが住民は買い物をしないわけにはいかない。しばらくのち、個人経営の八百屋や肉屋が開店したが、これらの小店主は公営市場のときよりも高いテナント料を支払わなければならず、その結果、住民は以前よりも高い買い物を強制されることになった。本来、行政は閉鎖などの対応ではなく、地域住民と一緒に市場の改革に取り組むべきであった。

このほかにも、大型商業店舗が営業のための土地使用を申請する際には、小店舗地区などのスペースを確保することを条件とし、政府がそのスペースを小店舗などに貸し出すことなども可能なはずだ。

宝石店の従業員らが、オキュパイによって歩合収入が半減したことも、必然の事柄であるというわけではない。もし従業員らに団体交渉権があれば、労働組合を結成することで、収入が半分も減少することは防ぐことができただろう[香港では労働組合の団体交渉権は法的に保障されていない:訳注]。これらの大型チェーン店は、いくつかの支店で収入が減少するかもしれないが、会社全体では正常な利潤を上げ続けている。つまり従業員がまともな集団的契約(協約)を結んで会社側と利潤を分け合うこともできたはずである。

我々は小店主や従業員らに我慢をお願いするよりも、社会全体を民主的に変革する偉大な事業の隊列に加わるよう促すほうがよいだろう。真の普通選挙の実現とともに、団体交渉権や小店舗の保護などを実現し、不動産資本を規制する一連の生活防衛の主張を掲げよう。普通選挙のシングル・イッシューから、民主改革憲章の提唱へとステップアップし、それを行動促進の旗印としよう。

真の普通選挙は社会変革の大工程

香港の民主化運動30年の最大の失策は、普通選挙というシングルイッシューに切り縮めてきたことにある。運動のなかには、要求すべきは普通選挙であって社会構造の改革ではない、という意見もある。しかしそれはあまりに単純な見解ではあるが、願望と客観的事実を分けて考える必要がある。

最低賃金制度の導入のような運動[香港では2011年5月にやっと導入された:訳注]においては、社会経済の権力構造の変革は不要であり、その導入は典型的なシングル・イッシューの改良と言える。しかし真の普通選挙は、新たな政治権力の再編を引き起こすことから、シングル・イッシューではありえず、社会変革の大工程となる。民主化運動は下からの闘争によってのみ勝利することができる。その一方で、その運動の発動は、必然的に社会各層の利害に抵触するし、当然にも支配階級の利害にも抵触することから、社会全体の激動を引き起こす一歩となる。

だから、たとえ我々がこの運動をシングル・イッシューと考えていたとしても、相手にとっては蜂の巣をつつかれたような大騒ぎとなる。とりわけ中国共産党の官僚独占資本主義のもとでは、香港の財界はすでに中国国内の官僚資本との二人羽織を演じていることから、真の普通選挙の実施は最高権力者たちの利害に抵触せざるを得ないし、だからこそ彼らは一部のプチブルや不安定階層をつかって民主化運動への攻撃を行っている。このような官僚財閥の陰謀に対して、民主化運動は総合的な改革綱領を提起して、最大多数の人々の支持をかちとるべきである。

これは世界の民主化運動の歴史な教訓でもある。私は、全面的な社会改革によってではなく、普通選挙というシングル・イッシューだけで民主化運動に成功した事例を知らない。

普通選挙シングル・イッシューか民主憲章か

これまでも民主化運動のなかで民衆の生活防衛の重要性を提起してきた団体は存在した。しかしその声は普通選挙の実現と並んだメインストリームにはならなかった。しかし今後も主流民主派による普通選挙シングル・イッシュー路線に追従することは、敗北への道に他ならない。敗北の道を避けるために今すぐ、民主化と民衆の生活の両方を掲げた社会的イメージを、簡潔で力強い方法で一般化すべきである。1952年に南アフリカで掲げられた自由憲章(Freedom Charter)が参考になるだろう。この憲章は、多くの民主的、政治的要求を帰納的に提起するとともに、以下の三つの経済的要求を提起している。

1、国家の富は共有される。鉱物資源、銀行、独占企業は、人民全体の所有とする。

2、土地は人民のものとする。土地の再分配を行い、国家は小農民を物質的に支援する。

3、誰もが働く権利を有し、労働組合を自由に選ぶことができ、団体交渉権が尊重される。性別や民族にかかわりなく同一労働同一賃金が保障される。


民主憲章の制定に賛成するすべての団体・個人との議論を推進し、機が熟した段階で、各地域で代表を選出し、民衆会議を組織し、民主憲章の起草と採択を行おう。人数の多い少ないは関係ない。この運動の推進および選挙すべてが啓蒙と教育の過程である。さまざまな課題に取り組む社会運動団体がそれぞれの課題のために奮闘するとともに、この憲章を中心的なスローガンとして、人々をけん引して運動のアップグレードをつづけ、多数をかちとり、少数の専制者を孤立させることが目的である。

これがわたしの考えるオキュパイ運動のアップグレードである。

2014年10月24日