michel%20warschawski_0イスラエル、オルタナティブ情報センターのミシェル・ワルシャウスキが書いた「イスラム国」についての短評です。

米国と闘っているという理由で「イスラム国」を味方だと考える欧州の左派の一部の論調を、厳しく批判しています。



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「ダーイシュ」(イスラム国)―「ゴーレム」はその製造者に逆襲する

ミシェル・ワルシャウスキー

http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article3663


「ゴーレムは、それを作り出した者に逆襲する」。米国は再びこの古いユダヤの物語(訳注:ゴーレムと名づけられた人造人間が、その創造者である人間に反逆するという物語)の現実性を経験している。ソ連邦の影響力に終止符を打つことに望みを抱いてアフガニスタンで最も原理主義的なムスリムを支持したことが、数年後にはアルカイダとその不透明なインターナショナルに対する全面戦争になったのであり、結果は勝利とはほど遠いものになった。その背景にあるのは、つねに間違いなのだが、「私の敵の敵は私の友だ」、という考え方だ。一九三〇年代にさかのぼれば、「民主的」諸国は、ヒトラーが共産主義という危険に対する同盟者になりうると考えた。しかし、私たちは知っている。そんなことにはならなかった……。

イスラエルもまた一九八〇年代に、こうしたゲームをもてあそんだ。民族主義のPLOに対してイスラム主義のハマスの成長を促したのだ。その結果何が起きたか、われわれは知っている。現在、米国とその同盟者が同じ経験をしているのは「ダーイシュ」(IS、ISIS、あるいはISIL)に対してである。このアルカイダの副産物は、ペンタゴンの戦略とCIAの専門家を驚かせた重要性を身につけており、ほぼ一世紀前、オスマン帝国が「欧州の病人」になった時に、サイクス氏とピコ氏によって作り出された中東の枠組み(訳注:サイクス・ピコ協定。第一次大戦中の一九一六年にイギリスのサイクスとフランスのピコによって取りきめられたフランスとイギリスによるオスマン・トルコ帝国の領土分割協定)を破壊するおそれがある。

次のような強調が重要だ。中東における米国の巨大な同盟者であるサウジアラビアは、中東でのイランの影響力の拡大に対決する戦争の中で、アルカイダ、そして間接的に「ダーイシュ(イスラム国)」を作り上げたのだ。そのラディカルな原理主義的ワッハーブ派イスラムは、この運動のイデオロギー的学校だった。いまやゴーレムは、その製造者に逆襲している。

私は、最近欧州の最左派の間で、ダーイシュを支持する表明を聞いた。またも、私の敵(米国)の敵は、おそらく私の味方だというのだ。深刻な誤りだ。かれらが米国とその同盟者に対して闘っているとしても、「ダーイシュ」には進歩的要素などない。それは死と破壊の種をまくだけではなく、おおやけにかつあからさまに公共的自由、女性の権利、マイノリティーの権利の無視などをもたらす、最も頑迷に解釈されたイスラム体制を強制する文明破壊の侵略なのである。

政治的戦闘は、一方のチームが好きでなければ、他方のチームを応援しなければならないというサッカーの試合ではない。どっちも一方に比べてましではないという災難に向かいあう場合もある。

米国は中東での汚い戦争をやめ、国際社会はイスラエルの植民地政策を飾りつけるのをやめ、「ダーイシュ」はムスリム世界で持っていた一定の層からの民衆的支持を失う。それは簡単な話だ。

(「クーリエ・ド・ジュネーブ」2014年10月号。「インターナショナル・ビューポイント」一〇月号サイトより)。

 

◆ミシェル・ワルシャウスキー

ミシェル・ワルシャウスキー(1949- )は、イスラエル在住のユダヤ人ジャーナリスト、反シオニズム活動家、「イスラエル革命的共産主義者同盟」のメンバー、ノンフィクション作家。元イスラエル社会主義機構(通称マツペン)構成員。1984年創設のNGO「オルタナティヴ・インフォメーションセンター」(AIC)創設者。

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